●夜明けの惨劇
いつもと変わらずに朝日が昇り、いつもと変わらずに一日が始まる。
きっと誰もが日々、そう思っているはずだ。
だが、その日。東京都阿佐ヶ谷市の住宅街の朝は、いつもと同じ夜明けではなかった。闇より出ずる死者が告げる朝だった。
どこからか現れた大量のゾンビがあちこちの家に侵入しては、暴虐の限りを尽くす。時刻は早朝4時過ぎ。まどろみの中にあるまま死者の振るう刃にかかった者も少なくない。
「う……ぁ……ぁぁァァァアアアアアア!」
だが、その中に命を落とすとは異なる結果になる者がいた。
ゾンビの手にあるのは特徴的な装丁のナイフだ。それに貫かれた少年の姿が、人ならざる者へと変貌していった。
衣服を破って全身が巨大化、大きく開いた口には鋭い牙が並び、太く力強くなった腕の一部は鋭い刃になっている。
全身が蒼く染まった魔物となった少年だった者は、死者の蔓延る街へと飛び出して行った。
●緊急事態
「朝早くに集まってくれてありがと。早速だけど……デモノイドって皆、覚えてる?」
夏月・柊子(中学生エクスブレイン・dn0090)は、集まった灼滅者達の顔を見るなり事件の話を始めた。
デモノイド。その名と存在が初めて確認されたのは、鶴見岳の戦いの折だ。山頂の戦いの場にいた者であれば、実際に戦ったこともあるだろう。最近は、愛知でデモノイドによる襲撃事件も起きた。
「また、現れたのよ。場所は、阿佐ヶ谷。急いで向かって」
このままデモノイドを野放しにしておけば、阿佐ヶ谷は壊滅してしまうだろう。
「急にデモノイドが現れた原因なんだけど、アンデッドよ」
かつてのデモノイドはソロモンの悪魔『アモン』により生み出されていた筈だ。だが、今回は阿佐ヶ谷を襲撃したアンデッドの被害者の中から、デモノイドになる者が現れている。
デモノイドになった者は全て、アンデッドが持つ儀式に使うような短剣で襲われた者であるようだ。
「えぇと、前にソロモンの悪魔の配下が行っていた儀式に使われていた短剣と同じもの、かもしれないみたいよ」
確証はまだない。
今は被害を抑える為に、アンデッドとデモノイドの撃破が優先だ。
あちこちの家から、悲鳴が聞こえる。赤く濡れて滴る刃を手に、家からアンデッドが出てくる。
街路樹、街灯、信号機、自販機。原型を留めぬそれらが街に散乱していた。
外に飛び出したデモノイドはその巨体で、目に付くあらゆるものを破壊する。破壊された人工物に混じって、倒れて動かない人の姿もあった。デモノイドの腕から生えた刃は既に赤く染まっている。
ゾンビの襲撃をなんとか逃れ家の外に出ても――そこもまた、地獄だ。
闇に対抗する力のない人々に、アンデッドが跋扈しデモノイドが暴れる街の中で逃げ場などあろう筈がない。
「グガァァァァァァァァアァ!」
早朝の阿佐ヶ谷の街に響く咆哮。アンデッドに襲われ蒼き魔物と化したその口から、人の言葉は発せられる事は無い。
「それにしても阿佐ヶ谷って武蔵坂から随分近いわよね。……何か理由でもあるのかしら」
説明の為に広げていた地図を見ながら、柊子は呟いた。
「ごめん、変なこと言っちゃったね。今はデモノイドとアンデッドを倒す事に専念して」
デモノイドもダークネスに匹敵する強敵だ。そこにアンデッドも加わるのだから、厳しい戦いが予想される。
止められるのは、灼滅者しかいない。
「私からは以上よ。気をつけて行ってきてね」
窓の外から、朝日が差し込んでいた。
参加者 | |
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紫乃崎・謡(紫鬼・d02208) |
葛城・百花(花浜匙・d02633) |
山城・大護(高校生ダンピール・d02852) |
火室・梓(質実豪拳・d03700) |
藤木・宗佑(ラズワルドの鎖・d04664) |
フローレンツィア・アステローペ(紅月の魔・d07153) |
祁答院・在処(放蕩にして報答の・d09913) |
神楽火・國鷹(アマリリスのラブダーリン・d11961) |
●
少年が変じた蒼き魔物は、悲鳴と咆哮が木霊する阿佐ヶ谷の街へと飛び出した。その周囲には動く死体が5体。付き従うと言うより、単に同じ方向へ移動しているだけのようだが。
デモノイドの膂力で壊せない物などない。腕から生えた刃は、目に付く人を容易く切り裂く。街に在るあらゆる物はその力の前に、容易に破壊される対象でしかない。
だが、ただ蹂躙され破壊されるだけの未来は、今この瞬間から変わる。
「ここから離れなさい!」
響いたのは、フローレンツィア・アステローペ(紅月の魔・d07153)の声。同時に飛ばした精神波の効果で周囲にいた数人が遠ざかっていく。彼らが逃げた先が安全な場所である保証も、彼らが生き延びられる保証もないが、少なくともこれから起きる戦いに巻き込まないようにと。
「来なさい、黒き風のクロウクルワッハ」
フローレンツィアの言葉と共に、彼女の腕に糸繰りの篭手が現れる。
他の仲間達も、既にそれぞれの言葉で戦闘態勢を整えている。
遠ざかる気配と、新たに現れた8人。纏う気配の違いを感じたか、デモノイドの足が止まり、顔が灼滅者達の方へと向いた。
「ん。遅いよ」
敵が見せた小さな逡巡。それを見逃さず、間合いを詰めた山城・大護(高校生ダンピール・d02852)が手甲のシールドで、デモノイドを殴りつける。デモノイドの気を引く意味も込めた、先制の一撃。
「相変わらずダークネスは、やる事成す事気に入らないわね……とっとと潰してしまいましょう」
これ以上、地獄絵図を広げられては困る。葛城・百花(花浜匙・d02633)の声には、明らかな嫌悪の色が含まれていた。
そう言えば、と視線をデモノイドから隣に立つ紫乃崎・謡(紫鬼・d02208)に向ける。
「お手並み拝見させてもらうわ、謡。戦うの、好きなんでしょ?」
「否定はしないさ。今度は絶対、逃がさない」
2人は同じクラブに属する友人同士。気負う様子どころか、互いに僅かな笑みすら浮かべたそのやり取りは、気心が知れ、頼れる仲間だと良く知っているからこそ。
足を止めた百花の体から放たれた黒い殺気が、デモノイドごと回りのアンデッドも飲み込む。同時に、謡は更に駆けてアンデッドの一体に螺旋の一撃を突き込んだ。
「まずいことになってますね。敵の目的は何なんでしょうねえ」
アンデッドがデモノイドを発生させているこの状況に一体どんな目的があるというのか。
疑問を抱きながら、火室・梓(質実豪拳・d03700)が周囲を見回す。まだ、デモノイドによる本格的な破壊が行われる前だが、そもそもデモノイドがいる事、それ自体が被害が既に出ている証左だ。
「まあ、とりあえずは今いる敵を倒さないと」
気になる事があれど、今やるべきは、デモノイドとアンデッドによる殺戮と破壊を止める事。雷を纏った梓の拳が、槍に貫かれたばかりのアンデッドの顎を打ち上げる。
「何処のB級ホラーなんだろうね……どっちにしろ、つまんないよ」
成程、現実離れしている点で言えば、B級ホラーじみていると言えるかもしれない。藤木・宗佑(ラズワルドの鎖・d04664)はそう言いながらも、内では深い怒りを覚えていた。
ただの日常を脅かす敵が許し難い。シールドに怒りを乗せて、敵の怒りを掻き立てんと宗佑もデモノイドを打つ。大護と2人、デモノイドを抑える役目を果さんと。
神楽火・國鷹(アマリリスのラブダーリン・d11961)は、癒しの力を込めた矢を仲間に放った。まだ傷を負った者はいないが、その矢には眠っている感覚を呼び起こす力もある。
「一人でも多く助ける。そうしなければ、俺が戦う意味などないのだから」
この周辺に住んでいたのは何人だろう。そのうち何人が命を落とすだろう。百か、或いはそれ以上か。
國鷹にとってそれは多過ぎる数だ。焦る気持ちも、苛立ちもある。それでも頭を切り替える。仲間を支え、戦いに勝つ事が一人でも多く助けることに繋がると信じて。
仲間の安全を第一とするのは、胸元にダイヤのマークを浮かべた祁答院・在処(放蕩にして報答の・d09913)も同じだ。
「そのまま化物として終わりたいか。それとも、ヒトに戻りたいか。お前さんの答えを聞かせてくれ!」
それでも、一時的に魂を闇に傾けながら、人であった蒼き魔物に呼びかける。何もせずに救出を諦めるつもりもなかった。
●
デモノイドが吠えて蒼い巨体が大護に叩きつけられる。まるで砲弾の如く強烈な勢いの一撃を、交差させた両手で受けるも体が僅かに浮いて後ろに跳ばされた。
「……強いな」
今の体当たりは、特殊な異常をもたらす力はない力任せの一撃だ。単純な暴力だ。でありながら、伝わる衝撃は重い。防御を固めた大護でも、無視できない威力を持っていた。
敵の強烈な攻撃に耐えられる時間を伸ばす為、大護は反撃より自身の回復を選ぶ。呼吸を整え、シールドを張り守りを固める。
「皆を無事に帰すのが俺の責務だ」
後方では國鷹が回復役に徹していた。癒しの矢を放ち、前衛のメンバーを支える。
灼滅者達が取った戦法は、デモノイドを半数で抑え、残るメンバーでアンデッドを各個撃破していくものだ。勿論、アンデッドとて簡単に倒せはしないが、デモノイドに比べれば倒しやすい敵であるのは事実だ。
敵の数を減らせば、数の優位も高くなる。だが、そこに見落としもあった。
各個撃破の方針を選んだという事は、攻撃対象以外のアンデッドは自由に動けると言う事だ。その攻撃対象には、デモノイドの攻撃を受ける2人も含まれる。
「切り裂きなさい!」
フローレンツィアが翼があるかのような軽やかな動きで舞うように旋回し、鋼糸でアンデッドをまとめて斬り裂くも、全てのアンデッドの気は引ききれない。
横から延びるアンデッドの腕が届き、爪が宗佑の肩に食い込む。
「大丈夫かい?」
足元から伸ばした影でアンデッドを斬り裂きながら、謡がそちらに声をかける。愛想がなさそうに見える彼女だが、その内心では周りを気にかけていた。
「良いから早く倒してよ。俺はそれまで立ってるから」
肩に血が滲んでいるのを気にせず、宗佑はシールドを張り守りを固めながら、早く倒せと仲間を鼓舞する。捻た言葉使いだが、護れるだけは護ると決めているのだ。犠牲なんて馬鹿馬鹿しい。出すつもりも、なるつもりもない。
「勿論、早く倒すようにしますよ」
言うと同時、オーラが集束した梓の拳がアンデッドの頭部に、胴に、次々と連続で叩きこまれる。
「終わりよ」
よろめいた所に、フローレンツィアの緋色を帯びた糸が閃き、アンデッドを物言わぬ骸へと変えた。
「逃がすかよ。次はお前さんだ」
その直後、一体のアンデッドが一歩下がったのを、在処は見逃さなかった。デモノイド発生を止める為にも、逃がすわけにはいかない。
灰の髪をなびかせ、ナイフそっくりの贋作杖を叩きつける。一瞬で流し込んだ魔力が爆ぜてアンデッドの半身を一気に吹き飛ばす。手から溢れ落ちた短剣が、硬い音を立てて路上に落ちた。
攻める4人はアンデッドに専念する。
支える決意に攻め手として応えるなら、それが一番だ。
それに、デモノイドを抑える2人を支えるのは國鷹1人ではない。
「貴方を育ててくれた人と街を、その手で壊しつくすのは嫌でしょう? 私達に委ねてちょうだい。救える限りを、救うから……貴方も含めてね」
その言葉が意味を持って届いているかは判らないが、少しでも人として戻れるなら。
制約を加える魔法弾を放ち、足元から伸びた影を絡みつかせデモノイドの動きを鈍らせながら、それでも百花は声を掛けていく。
●
「君は何だ? ――君は誰だった?」
肩で息しながらも、宗佑は探す。蒼い魔物の中に人の心が残ってないかと。もし希望が持てるなら、と。
「ガアアァァァァ!」
しかし返ってくるのは、デモノイドの咆哮。宗佑の放った網状の霊力に縛られながらも、これにも力で抗って動き、蒼い巨体が彼を跳ね飛ばす。
片膝をついた宗佑に、國鷹が癒しの矢を放ち、大護が癒しのオーラを放つ。既に大護も宗佑も、魂が肉体を凌駕することで立っている。3人が防御と回復に専念してギリギリ維持している状態だ。
しかし次にデモノイドが拳を向けたのは、2人ではなくその後ろの百花。その身を蝕む制約の力に逆らい、硬く握られた蒼い拳が放たれる。
やれやれ、とばかりに小さく一つ息をついて、百花はガトリングガンを縦に構えた。回避に動くよりも武器で受けを試みる事を選んだのだ。
その選択が正解であったか判明するより早く、別の影が割って入った。デモノイドの拳と鬼の如き巨大な拳がぶつかり合う。異形の拳の拮抗は一瞬。拳を弾かれたデモノイドが飛び退いた。
「あら、向こうはもういいの?」
「ああ、もう終わるからね」
受けの構えを解いて尋ねる百花に、鬼を思わせる巨大な腕で相殺した謡は、変異を解いた白い指でデモノイドの向こうを示す。
見れば、炎を纏った在処の大ぶりのナイフに貫かれて燃えるアンデッドの姿。他に動くアンデッドの姿はない。
「終わりだ! レン!」
「引き裂き爆ぜろ、紅色の逆十字」
在処の言葉に頷たフローレンツィアは、最後のアンデッドが消えるのを見届けずにデモノイドに向き直る。放たれた紅色の逆十字が敵を引き裂いた。
「後はあなただけですよ」
梓の炎を纏った拳が叩きこまれ、蒼い体に炎が燃え移る。
「なんとか、耐え切れたな」
アンデッド殲滅まで、デモノイドを抑える。その役目を果たせた事を悟り、大護が僅かに安堵の色を浮かべる。
アンデッドと戦っていた4人も無傷ではないが、國鷹が招いた浄化をもたらす風が吹き抜けた。
「化物にされ理不尽に殺されるなんて、悔しくないかい」
白い刺の意匠を持つ槍が放つ螺旋の捻りを加えた一撃に乗せて、謡が呼びかける。
「己に未練があり、闇に抗う意思があるなら、ボクらは貴方の助けになろう」
敵を、獲物を狩る、それが使命。けれど、零れた命を黙って見過ごす程、薄情でもない。救いとなるかは彼次第だとしても。
「自分の意思を強く保ってください」
梓も拳の連打を叩き込みながら呼びかける。それで元に戻れるならよし。ダメで元々だ。
だが、再三の呼びかけにも、戦いの中ではデモノイドに届いているとは思えない。デモノイドに人の意志が残っている様子は見られない。
蒼い異形の刃が振り回され、6人が一気に斬り裂かれるが、すぐに國鷹が風が吹かせて仲間を癒す。
「くっ。それがお前さんの答えか!」
一度は呼びかけた在処だったが、最初に決断を下した。仲間の安全を優先に考えての判断。まだ誰も倒れていないが、戦場で情けは禁物だ。
複雑に変形させたナイフの刃を突き立て、デモノイドの蒼い体を抉り斬り刻んだ。
「何も感じない訳じゃないけどね、仕方がない」
大護も、耐える戦いから切り替え捻りを加えて槍を突き込んだ。人を助けたい気持ちはあるが、自分の限界も自覚している。自身の消耗は大きく、次に倒れれば再び立ち上がれる保証はない。出来ない事に固執するつもりは端からなかった。
割り切った2人の判断は、恐らく正しい。彼らに予知を伝えたエクスブレインも、デモノイドを助けられる可能性があるとは伝えていないのだから。
一度割り切った流れに入ってしまえば、灼滅者達の判断は早い。元より、呼びかけても救えなければ倒す覚悟は全員決めている。
「奔れ走れ紅い糸、翔て踊って切り刻め」
フローレンツィアが高速で糸を操り、デモノイドを鋭く斬り刻む。
宗佑の影がデモノイドを飲み込む。影が蒼い魔物に見せたトラウマは一体何であったか。
「グガァァァ!」
連続攻撃を受けたデモノイドが咆哮を上げる。傷を塞ぎ、異常を取り払う力を発揮する筈だったが、しかしデモノイドに変化は起こらない。
「無駄よ」
銀色の指輪をはめた指を向けて、慌てることなく百花が告げる。瞳にバベルの鎖を集中させた後の魔法弾は、的確にデモノイドを撃ち貫いた。
デモノイドの攻撃が強力である事も、自己回復を持っている事も判っていた事だ。それらを少しでも妨げる為、積み重ねられた制約の力がここでデモノイドの動きを止めた。
その一瞬を突いて、謡の影が斬り裂き、梓の拳が連続で叩きこまれ、在処の贋作杖から流し込まれた魔力が爆ぜる。
ぐらり。3人の連携攻撃を受け、デモノイドの蒼い巨体が揺らぐ。膝が崩れて倒れかけるも、しかし踏みとどまった。3人の連携攻撃も、僅かに足りない。
3人で足りないなら、4人だ。國鷹が動いた。
「貴様らを逃がせば、次の悲劇が生まれる。そんなものを認めるわけにはいかない」
黄金の弓から放たれたのは癒しの矢ではなく、魔法の矢。
それは正確にデモノイドの頭部を貫いて――蒼い巨体が音を立てて倒れた。
「シヌ……イヤダ……」
倒れたデモノイドの口から、咆哮とは違う、微かな声が聞こえた。
●
崩れてゆく蒼い巨体を8人は無言で見つめていた。
デモノイドが人の言葉を取り戻せたのは、灼滅者達が何度も呼び掛けた言葉があったからだろう。死の間際、本当に最後の瞬間であったがそれでも、意味はあった筈だ。
「ん。……しんどかったな」
ややあって、大きく息を吐いて片膝をついた大護が、はっきりと安堵の笑みを浮かべる。
「結構なお手前だったわ……楽しめた?」
「ああ、悪くなかったよ」
歩み寄る百花に、僅かに不敵な笑みを浮かべた謡が答えた。結果がどうあれ、満足な戦いが出来れば十分だと。
「楽しむって感覚はわかんないわね……」
そう返す百花とて、正義感よりも憎しみの方が強い。人の事は言えないわね、と浮かぶ微苦笑。
「いや、2人とも見事だった」
さらりと國鷹が2人を褒める言葉を口にした。女性を褒めるのは彼の特技だ。
「なんとか皆無事に終わったな」
仲間を守るためならば非道な事でもする覚悟を決めていた在処の表情にも、安堵の色が浮かぶ。
「レン、そっちはどうだ?」
「短剣、回収したわよ」
在処に答えて、フローレンツィアは、見つけた短剣を掲げてみせた。アンデッドの所持していた物だ。
「こっちにもあるよ」
別の短剣を拾い上げた宗佑の顔に笑みはない。誰も闇堕ちせずに済んだ安堵は彼もあるのだが、そう素直に喜べる性格ではなかった。
どの短剣も戦いの中で少なからず壊れている。これが人をデモノイドに変えた凶器であるか確証もないが、この場に放置しておく気はなかった。
そんな中、梓は難しい顔で周囲を見回していた。
「単なる偶然ならいいんですが」
この場に残っているのは短剣くらい。彼女が最も危惧している、この騒動が陽動や戦力増強に過ぎないのではないかという事については、推測の域を出ない。
今はデモノイドとアンデッドを倒した事を報告すべきだろう。
無事に役目を果たした8人は、学園へと戻るのだった。
作者:泰月 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年3月22日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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