●マドンナな先生
片田舎にあるその男子高校には、有名な先生がでる。
いるのではなく、でる。
人呼んで、ホワイトデー先生。
どんな先生かと尋ねれば、皆が目を輝かせて答えてくれることだろう。
ものすごく美人で。
ものすごくスタイルが良くて。
とにかく良い匂いがして。
ミニスカート履いてて。
胸元とか見えそうで。
ちょっと鼻にかかった低めの声がまた最高で。
とにかくみんなのマドンナなんだ、と。
「今日こそ、ホワイトデー先生に想いを伝えるぜ」
生徒Aが鼻息荒くいった。
「ホワイトデー先生の特別授業は俺のもんだ! 雑魚は引っ込んでろ!」
生徒Bが胸ぐらを掴んだ。
「若造どもが! ホワイトデー先生にふさわしいのは私だ!」
教師Aまで参加した。
教師、事務員、清掃員含め、全員が男性で構成されるこの高校では、怪我人が続出中。加えて、現在午後の授業が一切行われていない状況だった。
●マドンナな都市伝説
「ホワイトデー先生が現れた」
山之上・スエ子(小学生エクスブレイン・dn0091)は腕を組んで淡々と、そういった。
「ホワイトデー先生というのは、とある男子高校生たちの夢と希望と妄想を一身に受けた都市伝説だ。とにかく美人でボンキュボン──これは想像だが、おそらくは成長した私に近いものがあるのだろう」
想像というよりもそれこそが妄想だったが、スエ子の表情は真剣だ。
「ホワイトデー先生は、正午ちょうどに中庭に出現する。昼休みが始まるのと同じ時刻だ。その瞬間、学校中が魅了された状態になり、我先にとホワイトデー先生を目指し始める。結果、バトルに発展し、怪我人が続出……そのまま、午後の授業がなくなって、一日が終わるというわけだ」
全校生徒、三百人弱。全員がよーいどんで走り始めるため、なかなか壮絶だ。
「ホワイトデー先生に関する噂は、こうだ。ホワイトデー先生の元にたどり着いた一人だけが、愛を告白して授業を望めば、公衆の面前で特別授業を受けることができる。マンツーマンの特別授業で、人が見ているという刺激のなか、すごくイイコトを教えてもらえるのだ、と」
スエ子の言葉に、一瞬場が静まりかえる。
すごくイイコト──その言葉から想像するもの、とは。
「興味があるな。きっとものすごくイイコトなのだろう」
深々とスエ子はうなずいていた。小学一年生のスエ子にとって、すごくイイコトというのは言葉以上の意味を持たない。ちなみに、授業を望まなかった場合は、その日はそのまま消えて翌日に持ち越しとなる。
「特別授業が無事に終わればホワイトデー先生は消滅し、もう二度と出てこなくなるが、現状ではだれもたどり着いたことがない。また、一人だけではなく、皆で結託して授業を受けに行った場合には、ホワイトデー先生は定員オーバーだと憤慨、一人が残るまで破壊行為に出る。幸い、まだそうなってはいないが、放っておけばあり得ないことではない」
なかなか心の狭い先生だ。
スエ子は咳払いをすると、二本指を立てた。
「つまり、方法は二つ。一つは、お前たちのうちのだれか一人がホワイトデー先生のもとへたどり着き、愛を告白、特別授業を求める方法。もう一つは、全員で授業を受けさせてもらうように頼み、あえて憤慨させて武力行使に出る方法」
そしてそのどちらの場合も、重要な条件がある。スエ子は続けた。
「いうまでもないが、一般人に出し抜かれないように策を練らなくてはならない。こちらが魅了してホワイトデー先生から鞍替えさせるなり、説得して他のことに目を向けさせるなり、単純にバトルで一位を目指すために妨害工作に出るなり……まあ、今回の都市伝説の魅了効果自体はそれほど強いものではないから、他から力が加われば意識を変えるのは容易だろう」
もしも特別授業を受けて消滅させる場合、条件は「公衆の面前での特別授業」であるため、ある程度の一般人がその様子を見ていることが必要となる。中庭や教室の窓等から見ることのできる状況ならば良いが、高校から追い出す、眠らせるといった行動は、不可となるのだ。
「戦闘となった場合、ホワイトデー先生は淫魔と同様の戦闘能力を持つ。強敵であることは間違いない。話の分かる相手ではあるが、戦闘になった時点で我を失うからな。戦闘の道を選ぶのならば、一般人の避難を徹底して欲しい」
スエ子は改めて、腕を組んだ。
「特殊なミッションだが、皆ならできると信じている。健闘を祈る!」
参加者 | |
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古海・真琴(占術魔少女・d00740) |
天宮・優太(暁月・d03258) |
来須・桐人(十字架の焔・d04616) |
銃沢・翼冷(証拠不在の機密暴露背徳諜報犯・d10746) |
鏡見・アイ(リンゼのようなもの・d11337) |
小鳥遊・亜樹(幼き魔女・d11768) |
オーベール・マルタン(ロークワト・d12979) |
月村・アヅマ(裏方・d13869) |
●目指せマドンナ
午後には戦場と化すその高校も、午前は実に平和だった。
欠席が多かったり、やたら傷のある生徒が大多数だったり、松葉杖をついて授業をする先生がいたりしたが、それでもまあ、平和だった。
ごくあたりまえの、授業風景。青春の一ページ。
しかしそれは、正午ジャストの鐘と同時に、一変する。
「昼休み!」
「昼休みだ!」
「ホーワイトデェ~先生──!」
昼休み開始を報せるその音が鳴り響いた瞬間、生徒と教職員全員が、一斉に走り出した。
「ホワイトデー先生!」
「ホワイトデー先生!」
彼らの目は尋常ではなかった。大きく見開かれ、爛々としている。エクスブレインの説明の通り、完全に魅了された状態だ。
そして中庭には、ミニスカスーツをばっちりと着こなし、胸元をぎりぎりまで露出した、ボンキュボンなナイスバディ。
その名も、ホワイトデー先生。
「だれか一人、授業を受けにいらっしゃ~い」
最後にハートマークとうっふん効果音がつきそうな声で、ホワイトデー先生が誘う。これといって大声を出した様子もないのに、その声は校内の全員に届いた。
「うおおおおおお──!」
ヒートアップして、あっという間に乱闘が始まる。
しかし、昨日までとは、若干様子が違っていた。
「うわっ、ドア開けたら黒板消しが!」
「うおっ、こんなところにバナナの皮が!」
「わあっ、天井から塗れぞうきんが!」
地味にイラッとするラインの妨害工作が、ことごとく成功。大量のバナナを食べきった口元を拭いながら、天宮・優太(暁月・d03258)が勝ち誇った笑みを浮かべてトイレから姿を現した。
「ふふふ、大成功!」
小学六年生の優太は、怪しまれないようにエイティーン使用で十八歳に変身。かわいい系男子として男らしく変化を遂げていたが、瞳の輝きは少年のそれだ。
「バナナの皮の位置には自信があるからね!」
午前の授業中、そこら中にしかけまくったのだ。隠密行動にもかかわらず、鼻歌を歌い出してしまいそうなぐらいに楽しかった。だってバナナの皮を仕掛けまくるミッションなどそうそうない。
そして、計画はもう一つ。
「きゃーっ、アイ先生素敵ーっ!」
優太は保健室の方向を指さして、声を張り上げた。八人の共通作戦、もう一人のマドンナ先生を作り上げちゃえ大作戦。生徒たちはその声に、何事かと保健室を見る。
「アイ先生かっこいい! アイ先生の授業を受けに行かなくちゃ!」
興奮した様子を装いながら大声で叫んで、優太はできるだけたくさんの人々を巻き込むように騒ぎ立てた。
「あっちにホワイトデー先生よりもっとすごいのがいるぞー!」
「ホワイトデー先生よりも、すごいぞ! アイ先生は保健室にいるぞー!」
同様に、こちらは割り込みヴォイスで大々的に宣伝が行われていた。来須・桐人(十字架の焔・d04616)は走り回りながら、古海・真琴(占術魔少女・d00740)は空飛ぶ箒で飛び回りながらの宣伝活動だ。真琴は女の子だが、怪しまれないように男子制服を着用、男装で挑んでいる。
さすがに割り込みヴォイスの効果は抜群で、興味を引かれた人の群れが保健室へと向かっていた。
「アイ先生は、みんなにすっごくイイコトおしえてくれるよ! 保健室だよー!」
その途中、やはり空飛ぶ箒で広範囲に、小鳥遊・亜樹(幼き魔女・d11768)も宣伝していく。まだ小学校二年生の亜樹は、エイティーンで十八歳に変身中だ。
保健室へと誘導されていく人の群れは、漂うフェロモンに勢いを増し、ホワイトデー先生に向かう群れと負けないぐらいに大きくなっていった。保健室の中はぎゅうぎゅう詰め、その周囲にも人が集まってきている。
「あら、ダメよ。その机からこっちに、来ちゃダ、メ」
ホワイトデー先生よりももっとすごいと噂のアイ先生、鏡見・アイ(リンゼのようなもの・d11337)は、保健室のホワイトボードの前で、足を組んで座っていた。
ラブフェロモンむんむんで、精一杯のセクシー保険医風コーデでキメている。胸は寄せてあげて、いつもはDだが期間限定Gカップ中。赤フレームの眼鏡が色っぽく、手にした指示棒で雰囲気もばっちりだ。
「こんなにたくさん来てくれて、うれしいナ。イケメンにはチューしちゃう」
アイは結構本気でどっぷり演技中だった。ご当地アイドル時代は閑散ライブがあたりまえだったなんて信じられないぐらいの、大盛況ぶり。
「先生、素敵です!」
「先生、綺麗です!」
アイの決めた境界線ぎりぎりまで迫った男たち(教師含む)が、鼻息粗くアイを見つめてくる。
「うふ、アリガト」
アイはこれ見よがしに足を組み替えた。指示棒で、カツンとホワイトボードを示す。
本日の授業。題して、オンナノコの保健体育。
「みんなにイイコトたくさん、おしえてア、ゲ、ル」
みんな逃げてー! な状況だったが、ESPおそるべし。皆は目をぎらぎらさせて、よろしくお願いしまーすと声を揃えた。
一方、乱闘を乗り越えて、中庭にたどり着く人々も出てきていた。
「ホワイトデー先生──!」
声をあげながら、学ランの大群が押し寄せる。しかし中庭の入り口で、ごっそりと群れが消えた。
否、消えたのではない。
落ちた。
灼滅者たち特製、巨大落とし穴が効果を発揮したのだ。
「やった!」
それを見届けた真琴がぐっと拳を握りしめた。本当は前日の夜に仕掛けたかったのだが、校門に輝く警備会社の紋章に侵入は危険と判断、八人全員で協力して、朝一で掘ったのだった。一人二人が通ったぐらいでは作動しない大きさだったが、これだけの人数が押し寄せれば効果は抜群だ。
「まさか武蔵坂に転校して、こんなことまでやるとは思いませんでしたけど」
真琴がつぶやくが、ごっそりと落とし穴に落ちていくのはなかなか壮観だった。そして実のところ、掘るのもけっこう楽しかったりした。
「この先、立入禁止」
穴を回避した面々が、悲鳴をあげてすっころぶ。オーベール・マルタン(ロークワト・d12979)が、手早く縄を張ったのだ。
「おーい。ちょっと、こっち」
そういって注意を引いておいて、転ばせる。この繰り返し。なかなか効果的だ。人がいないときには大きな身体を丸めて、物陰に隠れて待機。オーベールは淡々と、己の役割とこなしていた。
実のところ、ホワイトデー先生には内心興味津々だった。しかし、自分が率先していったところで、特別授業どころか日本語授業からということになってしまいそうだと、ここは我慢。
「あれが、ホワイトデー先生か……よし」
銃沢・翼冷(証拠不在の機密暴露背徳諜報犯・d10746)は屋上から中庭を見下ろしていた。誰もが目指す中庭の中央あたりに、悠然と立つホワイトデー先生。待機中に食べていた菓子をしまい込み、校舎の端ぎりぎりに立つ。まだ、ホワイトデー先生の周辺までは人が来ていない。そもそも灼滅者たちの妨害がなくとも、いままで誰もたどり着いたことがないのだ。そう簡単にはいかないのだろう。
しかし、今日は違った。
今日で、終わらせなくてはならない。
「俺は行く!」
宣言して、屋上からダイブ。風を切って落下していき、エアライドで華麗に着地する。
シュタ。それはもう華麗だった。ポーズをキメる余裕すらあった。
「ホワイトデー先生は、俺のだー!」
「オレのだー!」
「わしのだー!」
しかし若干風に流され、思ったよりも中央から離れた位置になってしまった。たちまち襲いかかる一般人たち。
「やられないよっ!」
翼冷は怪我をさせないよう注意しつつ、バスターライフルで人々をすくい上げて落とし穴へ放り込む。すくっては投げすくっては投げ。うわああぁぁぁ──重なりゆく複数の悲鳴。
「かはは! ざまぁないねぇ、皆さん方! 遮蔽会会長の実力見せてあげるよ!」
わりとノリノリだった。
「……あんな風にはなりたくないな」
月村・アヅマ(裏方・d13869)は冷静につぶやいた。翼冷を見ていったのではない、あくまで魅了されている一般人を見ての感想だ。
アヅマは最後の一線を守るべく、中庭で待機していた。ホワイトデー先生に近づいた一般人に、最終手段として王者の風を使用、ばったばったと無気力化させていく。
「はいはい、そこで黙って見てる様に」
それはもはや作業のように。現れたホワイトデー先生にも、ああこんな感じなんだ、といった程度の感想しか抱かず、仕事に専念。
もともと色恋沙汰には興味が薄いこともあり、自ら告白するつもりも微塵もない。
「告白に成功した人が出たぞー!」
ある程度アイに誘導し終えたので、桐人は今度は誤情報を割り込みヴォイスで触れ回っていた。その様子を見て、優太も同じように声を張り上げる。
「もう行っても無駄だよー! 成功した人が出たぞー!」
十八歳になりきるため、優太はリアル高校生の桐人を模範としていた。ちらちらと立ち居振る舞いを確認し、マネをする。
「お先に失礼するねー」
その頭上を、亜樹が空飛ぶ箒でひとっ飛び。しかし混乱する中庭ではふつうに人が空を舞い、巻き込まれて一直線というわけにはいかない。
「もー、危ないなあ。なんかみんな慣れてるよね……っ」
毎日戦いを繰り広げている生徒たちは、この乱闘での経験値は充分なようだった。乱闘の中で人が飛ぶというよりも、人を投げて亜樹に当てようとしている。
アイの授業を受けに行った人々以外は、ほとんどが中庭に出てきていた。しかしダメージも相当のもので、床や地面に倒れ伏している生徒たちも少なくない。まだ元気なものたちは中央のホワイトデー先生を目指し続けるが、その数も減りつつある。
「先生──!」
その中で一人、仲間たちの協力を受け、翼冷が躍り出た。
「好きです! 授業受けさせてー!」
一瞬、場が静まりかえる。
この群れの中で、たった一人。翼冷だけが、そう要求を口にしたのだ。
ただ腕を組んで待ち構えていたホワイトデー先生は、翼冷にふわりと微笑んた。
「いいわよ。さあ、始めましょうか」
●特別授業
ゴクリ。
全員が喉を鳴らす音が、聞こえた気がした。
いつの間にか、ホワイトデー先生のうしろには移動式黒板と机一式が用意されてた。翼冷はイスに座り、ノートを広げて、机につかざるを得ない。
「みんな、静かに見てますね……」
桐人にはそれが少し意外だった。どうやら授業が始まってしまったのなら、おとなしく見守ろうというスタンスらしい。
「気になるからじゃないかな。すごくイイコトってなんだろ。楽しみだよね」
「気になりますよね。都市伝説がわざわざ教えたいことって」
「どんなのかな。楽しみだねっ」
亜樹と真琴、優太は目をキラキラさせていた。オトナな想像を一切していない三人衆だ。
「緊張、する」
一応は周囲を警戒しつつ、オーベールも物陰から見守る。
「さて、どんな授業かな」
もしも過激な内容だった場合、小学生組を引き連れて即退散するつもりのアヅマは、内容を吟味すべく待機。
「本場のイイコト授業……!」
アイも保健室の窓から、前のめりでがっつり見物準備。保健室に来ていた生徒たちも、窓から見守る。
ホワイトデー先生は、そっと目を細めた。白いチョークで、黒板に文字を書く。
『浮気の愚かしさ』
そこに、書かれた表題。周囲が静かにざわついた。
「翼冷クンといったわね。これについて、どう思うかしら?」
ホワイトデー先生の妖艶に煌めく唇が、言葉をつむぐ。翼冷は返答に詰まった。
「う、浮気は……よろしくないことだと、思います」
文化ですとか答えても良かったのだが、ここは模範解答を口にしていく。
「よくない、のではないわ。愚かなの。とても愚かなのよ。決めたことは貫き通さなくてはいけない。たとえ、どんな困難が待ち構えていようとも。途中で鞍替えなんて、良いことはひとつもないわ。ああ、自分には合わなかった、自分の求めているものとは違っていた──もしそう思ったのだとしても、途中でやめてはダメ。最後まで、やらなくちゃ」
「最後まで」
翼冷が繰り返す。
最後まで。
観客たちも胸中で繰り返した。
生まれる、共通の問い。
何を?
「できることなら、とことん、徹底的に、何度も。それこそぼろぼろになるまでに、やりまくるのよ。そうでなくちゃいけないわ。それができないようなら、最初からやろうと思ってはいけない。やるからには、やりまくる──わかるでしょう?」
ホワイトデー先生は、ずいと顔を近づけた。
「約束して」
誘惑するようにいって、白い指で翼冷の頬を撫でる。
「今日は先生と、最後まで……やりまくる、って」
さっと、アヅマが亜樹と優太の目をふさいだ。
「あれ? 真っ暗になっちゃったよ?」
「だれ、目をふさいだの。見えないよー」
「見なくていい。行くぞ」
「待ってください」
それを、桐人が制した。
「ちょっと、様子が違うような気がします」
「ちゃんと授業、かも」
オーベールが続ける。
「どきどき!」
真琴はワクテカ状態で身を乗り出している。
アヅマも気付いた。目をふさぐのはやめ、おとなしく、見守ることにする。
ホワイトデー先生は、翼冷の顎先から指を離すと、微笑んだ。
うしろに置いてあった一冊の分厚い問題集を、よいしょと持ち上げる。
「ちゃんと、用意しておいたわ」
そういうと、当然のように問題集を広げた。
「わからないところはなんでも聞いて! 大事なことは、問題集の浮気をしないこと! これは、どの教科にもいえることよ! 教科ごとにこれというのを一冊決めたら、それだけと真摯に向き合いなさい! やり始めたら、とにかく最後まで、やる! やりまくる! 一冊終わっていないのに、違う問題集を始めるようなことは、絶対にしない! わかったわね!」
「そういうことか──!」
翼冷が吼える。しかし時すでに遅し。
彼はそのまま、問題集一冊をやりまくるまで、その場に拘束され続け──そして特別授業を終えるまで、ホワイトデー先生が消えることはなかったのだった。
「オンナノコの保健体育とか……!」
保健室では、ソッチ方面の授業でがんばって対抗してしまったアイが、赤面して両手で顔を覆っていた。
こうして、翼冷が問題集をやりまくったのを見届けると、ホワイトデー先生は無事に消滅した。
そのころにはすっかり日が暮れていたが、全員がちゃんと観客として見守り、最終的には頑張れあと少しと翼冷にエールを送った。
だれもがきっと、その教えを忘れることはないだろう。
浮気、ダメ、絶対!
作者:光次朗 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年3月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 12
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