カオスの街、千葉!
なんでもかんでも入り混じるこの街に、柄の悪い男達がたむろっていた。
「ククク、何が千葉城だァ! 桜の名所ダァ! 除草剤をまきまくって人様に迷惑をかけてくれるわ!」
「ヒヒヒ、飲んだばかりのジュース缶をポイ捨てするのは気分がいいのう!」
「ハハハ、煙草も火がついたまま捨ててくれるわぁ!」
悪人である!
などと説明するまでも無く普通に悪人である!
地元を愛する近隣住民も、いかにもガラの悪い彼等に注意もできずおろおろするばかり!
そこへ……!
「貴様等待てぇいからの唐突なチバジョーキィィィィック!!」
「イノハナァ!?(悲鳴)」
木のてっぺんから三回転捻りをかけながら飛び降り、謎の影が男を踏み潰した。(良い子はマネしてはいけない!)
「だ、誰だテメェ!?」
「俺かっ! この俺はっ、千葉を愛し千葉に生き、千葉の人々を守るレッドカラー! 天地無用の問答無用、その名も千葉魂――げふん!?」
着地からの華麗なポージングをキメた男はよく通る声で何やら語り始めたのだが、途中で顔面に飛んできたコーラ缶をモロに食らった。
もんどりうって倒れる男。
これはいかんと起き上がると、男達はスタコラサッサと逃げた後ではないか!
「ククク、長い口上なんか述べてるからそうなるのだ!」
「ヒヒヒ、ヒーローなんて今時流行らねえぜ!」
「「場所を変えてまた悪戯の限りを尽くしてやるぜ! ヒャッハー!」」
砂煙をあげて走り去っていく男達。
青年は……千葉魂ジョーは怒りに震えて大地を叩いた。
「クゥ、俺は……俺はご当地ヒーローなのに……ヒーローじゃ、千葉を守れないっていうのか!」
悔し涙は心の汗。
土にぽつりぽつりと染みる雫が、彼の無念を物語っていた。
「ヒーローじゃ守れないなら……俺は……俺はあああああああああああ!!」
そして彼は!
千葉魂ジョーは!
正義ゆえに、己の闇に呑まれ始めたのだった!
所変わって。
「よう皆、ヒーロー……好きだろ!」
みんなのエクスブレインこと神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)がいつものポーズでそんなことを言い出した。
学園生徒であり灼滅者(スレイヤー)でもある皆は日頃から実体化した都市伝説やダークネスとの戦いを続けているが、なんだか昨今いつもより物騒な事件が起き続けているように思う。やはりここは本格的な出番なのではないかと思っていた……そんな矢先のことである。
「とうやら、ご当地ヒーローがダークネス……つまりご当地怪人になりかけるという事件が発生しているようだ。通常ならダークネス化した時点で意識が消滅、完全な化物となってしまうのだが、今回はまだ元の人格が多少残っている状態らしい」
つまり、怪人化しながらも怪人になりきっていない状態というわけだ。
「彼もまたご当地を愛するヒーローの一人。今回誤って怪人化してしまったが、悪意からのものじゃない筈だ。彼を倒し、ヒーローの魂を救いだしてやってくれ!」
ご当地怪人、キャッスルデストロイヤー。
真紅のオーラを纏って広範囲ビームや巨大オーラパンチなどを繰り出してくる。
彼を救うには戦闘してKOさせるしかない。
だがそれだけではないぞ!
彼に呼びかけ、魂を揺さぶることで戦闘力を下げることだってできる。
そう、彼にはまだヒーローとしての魂が残っているのだから!
あなたにもある……そのヒーロー魂が!
「千葉魂ジョー……いや、怪人キャッスルデストロイヤーは非常に強力な怪人だ。だけど皆が力を合わせれば……きっと勝てる筈だ!」
参加者 | |
---|---|
龍宮・神奈(闘天緑龍・d00101) |
海野・歩(ちびっこ拳士・d00124) |
秋篠・誠士郎(流青・d00236) |
陽乃下・のどか(ぷにたまいちご・d00582) |
鋼・世界(勇壮美麗フルメタルヴィーナス・d02590) |
狗神・伏姫(GAU-8【アヴェンジャー】・d03782) |
流鏑馬・アカネ(霊犬ブリーダー・d04328) |
風祭・爆(北関東の魔神・d05984) |
●ヒーロー・ザ・チバ!
カオスの街、千葉!
都会にド田舎海に山に高級ブティックに裏ショップにとら○あな、なんでもかんでも混じり合うこの土地に、屈強な巨漢が来県していた。
「グァーッハハハハ! ご当地怪人だとォ? オレさまの知ったこっちゃねェ、実験台のサンドバックにしてやるぜェ! グァーッハーァ!」
悪人……ではない!
風祭・爆(北関東の魔神・d05984)である! というか灼滅者(スレイヤー)である!
ごつごつのスキンヘッドを揺らしながら千葉城へとのっしのっし歩いていく爆。
そんな彼の背中を眺めつつ、海野・歩(ちびっこ拳士・d00124)はイヌミミフードをきゅっと被った。
「アウトローだねー。でも僕はヒーロー大好きだよ、かっこいいし。あこがれるよねー、ぽち!」
「わうっ!」
ポチ(霊犬)が顎を高く上げて鳴いた。
ちらりと隣を見ると、赤っぽい霊犬がおすましして座っていた。
「わっほー、今日は霊犬だらけだ! あたしにとっては天国みたいだよ! ね、わっふがる!」
「わっふ!」
両手に霊犬を抱えてもっふもふ(もっふもふ?)する流鏑馬・アカネ(霊犬ブリーダー・d04328)。
その様子を横目に、狗神・伏姫(GAU-8【アヴェンジャー】・d03782)は腕組みをした。
「ベイブリッジ斜張橋のてっぺんよりいつも見ていた。この海の向こうにはどんなヒーローがいるのだろうと。だというのに、情けない!」
「ああ、自分のやるべきことを見失うなんて、漢じゃねえよ!」
自らの拳を打ちあわせる龍宮・神奈(闘天緑龍・d00101)。
「でも、信じてた道が否定されると投げやりになっちゃうものだよ。気持ち、分かるな……私も……」
「うむ……すまん」
悲しげに顔を伏せる陽乃下・のどか(ぷにたまいちご・d00582)に、伏姫たちは少し目を反らした。
「五時以降にものを食べなければ太らないって言うからお昼のおやつに回した……体重に……」
「さっきの『すまん』を返せ」
掴みかかる伏姫たち。
そんな彼女等をよそに、秋篠・誠士郎(流青・d00236)と鋼・世界(勇壮美麗フルメタルヴィーナス・d02590)は眼前にそびえる千葉城を見上げた。
「俺にはまだ守るものはない。だが分かることはある。まだ諦めるには早いということだ」
「そうね、手を伸ばすことができる限り諦めるべきじゃない。それがヒーローというものだから」
スレイヤーカードをポケットから取り出し、世界は一度だけ目を閉じた。
「そこのところ、分かって貰わないとね」
●千葉怪人キャッスルデストロイヤー!
「少年よ、俺はヒーローだったことがある。だがその時はこんな注意はできなかった」
千葉城近くのお砂場にて。
赤ジャージの男はぐしゃりと砂の城を踏み潰した。悲鳴をあげて逃げていく子供。
その背を見て、男は悲しげに笑った。
「公園を荒らす奴はみなごろしだ……てな」
瓦屋根を模したような豪奢な鎧が現れ、彼を飾りたてていく。
その背には、口いっぱいに落花生や二十一世紀梨を詰め込まれた男達が転がっていた。
「笑える話だぜ。俺は、ヒーローを辞めた途端にこんなに強く……強くなってしまった……!」
鬼のような面で顔を覆い、額を抑えるジョー……いや、キャッスルデストロイヤー!
と、その時。
何処からともなく重いギター音からのイントロが流れ出してきた。
「これは……トレッサ横浜(ギターロックアレンジ)!?」
「よく知っているな」
顔を上げるキャッスルデストロイヤー。
木のテッペンで、伏姫がスレイヤーカードを掲げていた。
「光を求め彷徨う、貴様の咽びが我を呼ぶ。呼び覚ませ希望を――」
ダンッと枝を蹴ると、伏姫は華麗に宙を舞った。
「君を守る正義! 伏姫・ザ・アヴェンジャー、推参!」
突如光に包まれ、伏姫の手には厳めしいガトリングガンが現れた。
「低空射撃!」
「なんのっ!」
滞空からのガトリング射撃。
キャッスルデストロイヤーは華麗な側転でそれを回避。
周囲の千葉エネルギーを集めると、花のオーラに変えて発射した。
「千葉の怒りをくらえ、菜ノ花ビィィィィィィム!!」
「させません、ヴィーナストランスフォーメーション!」
瞬間、白い花が咲いたかに見えた。
だが花ではない。鋼世界がワイルドガードを展開し、敵のビームを受け止めたのだ。
無論無傷ではない。強烈なダメージを受けてはいる……だがしかし!
「大丈夫、まだまだ行けるわ……勇壮美麗フルメタルヴィーナス、参ります!」
「小癪なっ、チィーバキーィック!」
飛び込みからの豪快な回し蹴り。
しかしそこには、斬艦刀を手に割り込む誠士郎の姿があった!
「何ッ」
「ジョーでキャッスルか。ならば俺は……俺は……秋篠、秋……オータム、バンブー……」
「何ッ!?」
「何でもない!」
誠士郎は豪快にキャッスルデストロイヤーを弾くと、再び斬艦刀を構えなおした。
睨み合うキャッスルデストロイヤーとオータムバン……あいや誠士郎!
その時、彼の足元から花(霊犬)が飛び掛り斬魔刀を繰り出す。
「むっ、犬か! だが犬一匹程度……」
「違うな、一匹じゃない」
ざざりと砂煙が舞い上がる。
煙が晴れると同時に、キャッスルデストロイヤーは目を剥いた。
花、八房、ポチ、わっふがるという四匹の霊犬がキャッスルデストロイヤーの周りを高速で駆け回り、竜巻のように彼を切り裂いたのだ。
「四匹の連携だと!? そんなばかな!」
「残念だったね、偶然の神様は犬好きを選んだのさ!」
ガトリング射撃を叩き込むアカネ。キャッスルデストロイヤーは両腕をクロスして弾幕をガードした。
「ヒーローなら……いや誰だって一度は限界を経験する。でもみんなそれを乗り越えてるんだ。あんたの限界はあたし達で突き破ってやる!」
「そうだよ、悪役に何か言われても、気にしちゃダメだよっ!」
バトルオーラを纏い、ポチたちの作った隙を最大利用する歩。キャッスルデストロイヤーを掴むと、頭上へパワフルに放り投げた。
「今です、ヤツハシビーム!」
宙に浮いたキャッスルデストロイヤーめがけ、のどかがニッキが香ばしい京都伝統のビームを叩き込んだ。
「ぐおおおおっ! あえてカタナカを使用することで商標を潜りご当地に迷惑をかけない配慮がされているだと!?」
ちなみに漢字の名称は商標がとられているのでアウトだ!
「まだですっ、路面電車ダイナミック!」
地面に落下中のキャッスルデストロイヤーへ強烈な体当たりをしかけるのどか。技名の攻撃性とはうってかわってどこかノスタルジックなオーラで爆発を起こした。ほろりと目尻から流れる涙。
「グァーッハッハッハ! 怪人のくせに押されてるじゃねえか! とっととくたばりやがれェ、オラオラオラァー!」
地面をごろごろと転がるキャッスルデストロイヤーへ、爆の激しいガトリング射撃が襲い掛かる。
何発か打ち弾くが、瓦の鎧が徐々に砕け削れて行く。
爆は口端を手の甲で拭うと、ガトリングに爆炎の魔力を装填する。
「グフェフェーッ、今度はこいつを試してみるかー!」
「くっ、千葉の柔軟性を舐めるなァ!」
大量に叩き込まれる炎の弾幕を気合で凌ぎきるキャッスルデストロイヤー。
が、しかし!
「馬ァ鹿ァめ! 引っかかったな!」
大量に上がる煙を突き破り、爆が直接殴りかかってきた。
頭部を殴られよろめいたキャッスルデストロイヤーを両手で担ぎ上げる爆。
「死ねやァー!」
爆はそのままキャッスルデストロイヤーをブロック塀へ投げつけた。
砕け散るコンクリートブロック。
そして静寂が訪れた。
「なんだァ? 怪人ってのはこんなモンなのか? グァッハハハハハハ!」
腹を抱えて高笑いする爆。
悪人、ではない! 多分!
だが彼の高笑いも、なんかやられそうなフラグも、すべては次の一瞬で打ち止めとなった。
「キャッスルビーム・ダークネス」
「むぉ!?」
真紅のビームが飛来し、爆のでっぷりとした腹に直撃した。
身体をくの字に曲げて弾き飛ばされる爆。彼はガードレールに背中から激突し、地面にぼてりと転がった。
「ぐぅ……い、痛……くねえ……」
「こいつ!?」
油断なく間に割り込み身構える神奈。
崩れたコンクリートブロックの内側から現れたのは……そう、まさに怪人であった。
森林地帯を開拓し、江戸に近く海も山もあるとして農林業に栄えた土地。しかし『東京じゃ家賃高いのよね』というドーナツ化現象に巻き込まれ北部一帯を日本人のサラダボウルとされてしまったカオスの大地。そんな様子をまるで体現しているかのごとく、キャッスルデストロイヤーは強烈なオーラに覆われていた。
「千葉の怒りを知れ……ヒーローたちよ」
「お前も……お前だって……ヒーローだったんじゃないのかよ!」
神奈は歯を食いしばって跳躍。体内から炎を生み出すと、蹴りと共にキャッスルデストロイヤーへ繰り出した。
「温い」
キャッスルデストロイヤーの振り上げるような回し蹴り。二人の蹴りは相殺……いや、神奈の押し負けである! 炎を散らせて弾かれる神奈。
「まだだよ!」
空中で反転。ガードレールに着地し、再びミサイルの如く突撃する神奈。
「これならどうだ!」
閃光百裂拳が繰り出される。目にもとまらぬ拳の連打……だが、キャッスルデストロイヤーはそれを全て片手て受け止めてしまった。
「温い温い温いぞ! そんな力で何を守る! 特産品をとりあえず萌化し一部の客層から収入を得るかのような一時凌ぎの力など――!」
神奈の腕を掴み、ジャイアントスイングのように一回転させて投げ飛ばす。
「何も守れやしないぞ!」
激しい爆発の中で、神奈はぐっと歯を食いしばった。
●千葉魂ジョーという男
神奈と爆の抵抗は続く。しかしそれらは全て、キャッスルデストロイヤーの激しい猛攻に押し切られていた。
「俺様が……負ける? こんな筈はねぇ!」
ガードレールを拳で殴り、ぐにゃりとへこませる爆。
「勝つためには、やっぱり闇の力じゃないと駄目だっていうのかよ。そんなもん……!」
額から流れる血を、神奈は拳で拭う。
「ここまでのようだな、ヒーロー。身の為世の為千葉の為、今ここで潰させてもらう!」
大地を蹴り、飛び掛ってくるキャッスルデストロイヤー。
そこへ、歩が両手を広げて割り込んだ。
「待って!」
「――!」
ぴたりと額で止まる拳。
「ヒーローは子供の味方。子供に暴力を振るうの?」
「女子供に遠慮していては、モンスターペアレンツに潰されるだけだ!」
「違うよジョーお兄ちゃん、いや千葉魂ジョー! 僕達子供が憧れるような、ヒーローでいてよ!」
「う、五月蠅い!」
大きく腕を引き、歩を殴り飛ばすキャッスルデストロイヤー。
だが殴った直後に、彼の拳は震えていた。
素早く飛び込み、紅蓮斬を叩き込む誠士郎。
心に隙が生まれたか。彼の剣はキャッスルデストロイヤーの肩を大きく切り裂いた。
「今のままでは守れないと決めつけ、諦めてしまうのも選択だ。だがそれは本心か?」
「ぐ、黙れっ」
「いや黙らん。お前は立ち上がる機会を見失っただけだ。ヒーローも人間。
迷いも失敗もある。だがどうだ……不屈のヒーローは、何度失敗しても立ち上がり、強くなってきたんじゃないのか」
「黙れえ!」
拳を叩きつけてくるキャッスルデストロイヤー。しかしその拳を、誠士郎は片手で受け止めていた。
「誰しも強くはない。だが強くなる努力はできる。お前ももう一度、始めてみないか」
「そうだよ。わたしだって、あの広い京都を守れるなんて思ってない」
のどかが斬艦刀を構え、すっとキャッスルデストロイヤーの前に立った。
「でも、守りたいって気持ちがあれば……もぐ……いつか街をもぐ守れるもぐって信じてんぐんぐんぐ……」
マシュマロを沢山頬張って喉につかえかけ、いちご牛乳で流すのどか。
「だから目を覚まして、思い出して昔の気持ちを!」
「お前ちょっと黙ってろ!」
「黙るのはお前らだぁ!」
腕を振り回し、誠士郎とまどかを放り投げるキャッスルデストロイヤー。
そこへ一輪の花が飛んできた。
振り払……おうとして、彼は手に掴んだ。
「これは」
「オオガハス。千葉の花だ。花言葉は雄弁。行為は言葉よりも雄弁だという意味を持つ花だ」
「そんなものに何の意味がある!」
ビームを放つキャッスルデストロイヤー。だがそれはより大きな花に弾かれた。
「その力、どうして正義のために使わないの。まだあきらめるには 早いわ」
世界はシールドをすぼめると、デッドブラスターを発射。キャッスルデストロイヤーの胸へと叩き込む。
大きく仰け反るキャッスルデストロイヤー。
「「今だっ!」」
伏姫とまどかが同時に突撃。
「LMダイナミック!」
キャッスルデストロイヤーを蹴り上げ、高い所から叩き落とす伏姫。横浜風景の代名詞とも言われるタワービルから突き落とされるかのような強烈な打撃が彼を襲う!
「宇治金時キーック!」
商標はともかく国民的にもポピュラーな地元料理ということでまあお許しいただきたいキンと冷えたキックが炸裂。
そして更に、伏姫は懐中時計をぱちんと閉じて言った。
「時間だ。今ここにガイアチャージが完了した!」
「いつの間に千葉観光してたの!?」
「歴女ブームに乗った観光アピールはいと愉快だったぞ! 千葉城武将コスプレキック!」
振り落とすようなスタンプキックがキャッスルデストロイヤーを襲い、彼はきりもみ回転しながら地面に叩きつけられた。
「く、まだだ……まだ俺は……」
「そう、まだだよ」
ガトリングガンを振りかざし、アカネが赤い目を細めた。
「確かにあんたの力は足りてなかった。でもそれはあたし達だってそうだ。八人集まってあんたと戦ってる。分かるかい。束ねた力は、闇落ちなんかに負けやしないんだ!」
「束ねた、力……」
爆炎の魔力がガトリングガンへと集まって行く。
「それを、あんたに見せてやる!」
迸る炎がキャッスルデストロイヤーを包み込み。
そして――。
そして――。
そして――。
●ヒーロー再誕
「俺は……今まで何を……」
赤いジャージの男は、千葉の大地に寝転がっていた。
既に彼はダークネスではない。
一人の、弱い、灼滅者である。
「さ、立ちな」
アカネが手を差出し、その手を彼は掴んだ。
いつの間にか彼を囲む、八人の灼滅者たち。
「自分を取り戻したようだな」
「ハッ、これじゃあ実験台にもできねぇぜ」
「ねえ父から『アーマー成分が足りない』ってメールが来たんだけど」
「関東あるある。横浜千葉間は電車一本」
「ねえ、やつはし食べる?」
「やったねぽち! わんこパワーの勝利だよ!」
「あんたら本当に協調性ってもんがねえな!」
なんともバラバラな奴等だが……。
「一緒に来いよ。束ねた力で、世界を守ろうぜ」
「……ああ」
手をもう一度握り直す二人。
「俺は千葉魂ジョー。千葉を愛する男だ」
作者:空白革命 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2012年9月4日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 24/感動した 10/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 4
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