トライアングル・ザ・アンジェリカ

    作者:空白革命

    ●天使の楽器、トライアングル
     りん、と鈴の音が鳴った。
    「アンジェリカよ、もうおぬしに教えることはない。道場を出るのだ」
     白い髭をたくわえた仙人のごとき老人は、指から優雅に垂らした糸をつぅと撫でた。
     板敷きの床に膝を突いていた娘は、息を吸って顔を上げる。
    「お待ち下さいお師匠様! わたくしはまだ、奥義を学んでおりませぬ」
     長い髪を後ろに縛った、和装の娘である。和装と言っても弓道着のような白い上衣に袴をはいただけの質素なものだ。
     しかも髪は黄金色のそれで、目は青く澄んでいた。
     彼女の様相と今までの会話だけをとるならば、武術のなにがしかを学ぶ師弟の姿に見えるかも知れない。
     しかし、老人が指から下げた糸の、その先に下がっているものを見れば印象はがらりと変わるだろう。
     金属の棒を三角形に折り曲げた形状。恐らく日本で義務教育を受ける限り一度以上は見たことがある、『トライアングル』と呼ばれる楽器であった。
     だが金属部分はごつごつとしていて太く、表面には美しい模様が描かれている。
     市場で扱われる一般的なトライアングルが約二千円、コンサートで用いるようなプロ用となれば一万円が相場とされているが、これはそれらの値打ちにゼロを四つ加えてようやく取引が始まるというほどの品物に見えた。いや、希少さから見て金品に代えられぬ価値があるのやもしれない。
     頬に朱をさし、ほうと息をつく娘。
     だが娘の視線は、そんな世にも美しいトライアングルには向いていなかった。
     そう、彼女の恋慕にもにたまなざしは、師の老人にこそ向けられていたのだった。
     床に手を突く娘。
    「お願いします。どうか修行を続けさせて下さいまし。でなければ……」
    「でなければ、何と申すか」
     まぶたを閉じる娘。

     でなければ。
     あなたを喰ってしまうやもしれませぬ。
     慕うがゆえに。
     
    ●それは恋ではない何か
    「トライアングルという楽器がいつどこでどう生まれたのかを正しく知っている奴はいない。争いによって鐘を失った教会がせめてもの祝福として三角形の棒を三位一体のベルだとして鳴らした説だとか、同じく『父と子と精霊』を表わせる最小限の音として牧師が鳴らした説だとか、しまいには天使がいつのまにか持ってきた説だのがある。まあ私としては天使説を推したい、ロマンチックだからな」
     大爆寺・ニトロ(高校生エクスブレイン・dn0028)は音楽室に保管されている学習用トライアングルをぶら下げて、そんなことを語った。
     なんでも、トライアングル道なるやけに拘り抜いた技術を研究する老人がおり、彼に惚れ込んだ娘が淫魔へと闇堕ちしてしまうのだという。
    「まあ、どんなもんでも何かの方向に極めようって奴はいるもんだ。そいつを物好きだの変態だの呼んじゃいけねえ。求道者の背中に後ろ指さすようなことはな。だが向かう道が闇の道ってんじゃあ、とめないわけにはいかないだろ」
     
     彼女の名前はアンジェリカ・トライアングル。
     トライアングルというたった一つの三角形から無限の響きを奏でるというトライアングル道を学ぶ娘である。
     彼女は自らが淫魔の闇に呑まれつつあることを察し、師弟の関係を維持しようと努めていた。
     もしこの関係が切れてしまった途端、彼女は闇よりの欲望に呑まれ、老人の魂を握りつぶしてしまうかもしれないのだ。
    「接触するタイミングは見極めてある。夕暮れ時の道場に行けば、彼女は一人で自主訓練に励んでるだろう。師匠とやらが来ることもない。どうやってどこへ着地させたいかは……お前にまかせることにする」
     ニトロは一連の資料を手渡すと、軽く腕組みをした。
    「彼女にどうであってほしいのか、今から考えておくといいぜ」


    参加者
    来栖・清和(武蔵野のご当地ヒーロー・d00627)
    風水・黒虎(煉獄炎虎・d01977)
    裏方・クロエ(ピタゴラマジック・d02109)
    蜂・敬厳(エンジェルフレア・d03965)
    月詠・千尋(ソウルダイバー・d04249)
    白伽・雪姫(アリアの福音・d05590)
    白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)
    靴司田・蕪郎(靴下は死んでも手放しません・d14752)

    ■リプレイ

    ●君がためにベルは鳴る。星が輝く空のように。
     りん、と鈴の音がした。
     正確に擬音語を用いるとなれば、『りんぃぃん』という独特の余韻とキレのある音色である。
     素人目に見ても多様なバリエーションがあるというのに、道を究めるとなるといかなる音がでるものか……。
     そこまで考えていた白伽・雪姫(アリアの福音・d05590)は、道場から漏れ聞こえる音色に身震いした。
     星の瞬くような、春風に靡くような、草木の揺れを見つめているような、ぼんやりと浮かぶ月明かりのような、それは『豊かな』鈴の音であった。
     叩く位置やテンポだけではない。棒(ピーターなんて呼ばれている)の持ち位置や振り方、移動する軌道でトライアングル自体の振動と波長を自在にコントロールし、驚くべき豊かさを実現しているのだ。そしてその全てが、耳ではなく胸に届くのだ。
     当初は弟子入り志願者を装って接触するつもりだった雪姫だが、この楽器の奥深さを知るに至った。彼女など、トライアングルに大きさの種類があることすらしらなかったくらいなのだ。無理からぬ。
     ふと気づけば、演奏は終わっていた。
     少女は、アンジェリカ・トライアングルは彼女の方を向いて、小さく頭を垂れていた。
     ハッとして居住まいを正す雪姫。彼女にしては随分珍しい反応だと、様子を見ていた風水・黒虎(煉獄炎虎・d01977)は思った。
     頭をあげるアンジェリカ。
    「ようこそ、ご来訪くださいました。お客様ですか?」
    「いや……」
     にんともかんとも。頭をかいて言いずらそうにする黒虎を押しのけ、白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)が前へ出た。
    「心当たりがないならそれでいいんだ。オレたちはきみに話がある。聞いて欲しいことがあるんだ、……アンジェリカ」
     先に名前を述べられたことで、何かを察したアンジェリカ。
     その場に静々と膝を突き、正座の体勢でトライアングルを膝の上へと置いた。ビロードのハンカチを間に挟んでである。
    「『師は在場にありませんのでお引き取りくださいませ』と、本来ならば述べる所でございますが……わたくしへのご用件とあらば、お伺い仕りましょう。後ろにお控えの皆様も、どうぞこちらへ」
    「助かるよ」
     お茶は出せませんがと加えるアンジェリカに、月詠・千尋(ソウルダイバー・d04249)たちは並んで膝を突いた。
     視線を彼女の膝にやる千尋。
    「トランアングルね。オモチャみたいなイメージがあったけど、訂正するよ」
    「恐縮でございます」
    「ところで、年齢を超えた愛――」
    「ダウト」
     雪姫とジュンから肘で小突かれ、千尋が傾げた。
    「いや、キミの偏愛を肯定できないっていうのが、ボクの意見だよ。ボクらの、かもしれない」
    「と、いいますと?」
     背筋をぴんと伸ばしたまま、表情を変えずに述べるアンジェリカ。
     バトンタッチらしき視線をうけて、黒虎が再度頭をかいた。
    「師匠が好きなんだろ。で、師弟関係を終わらせたくないと」
    「……」
    「終わっても、個人的に訪問すりゃいいんじゃね? って思うんだけど」
    「そうですね」
     機械のように、アンジェリカは言った。『そうですね』ときた。
     一般的にはそうだが、そうではいられぬ事情があるという意味……だと、横で利いていた裏方・クロエ(ピタゴラマジック・d02109)は直感的に察した。
     今でこそ平然としているが、アンジェリカは既にダークネス・淫魔なのだ。ギリギリ清い関係でいられる師弟関係を離れた途端、別のコネクションを設けようとする筈だ。そこが『淫魔らしさ』をねじ込まれる隙になる。
     『欲求のために目的を選ぶ』のが、淫魔の特徴なのだ。
     眼鏡を指で押し上げるクロエ。
    「お師匠様からは奥義を教わっていない、とも聞いてるのですよ」
    「……随分お詳しいのですね」
     語彙が冷たい。急に踏み込みすぎたか。
     クロエは一拍おいて言を継いだ。
    「ボクも昔、ボクのお師匠に言われたことがあります。ボクなりに考えですけど、『奥義は自分で生み出すもの』と、言いたかったのではないでしょうか」
    「……そうですね」
     まただ。
     しかしこれで、彼女の言わんとしていることが分かってきた。
     冷たくあしらわれているようではあるが、彼女の本質を暴き出すにはいい質問だったかもしれない。
     ずい、と正座のまま前へ出てくる来栖・清和(武蔵野のご当地ヒーロー・d00627)。
    「他人事だといえばその通りです。僕らは結局、気持ちを軽くすることしかできません。自分で決断しなくちゃいけない……」
    「何が、おっしゃりたいのですか」
     アンジェリカの表情は変わっていない。
     変わっていないが、何かどす黒い気配が彼女の中からあふれているようだった。
     もう一押しだ。
    「負の感情は、僕らがとめます」
    「だから」
     清和と同時に膝を立てる蜂・敬厳(エンジェルフレア・d03965)。
    「僕も修行をしていて、理想通りにできることなんてたまにですけど、だからこそ嬉しいし、厳しさにも耐えられるんです。その『たまに』を、今やってみませんか」
     りん、と鈴の音がした。
     気づいたときにはアンジェリカは立ち上がり、ピーター棒を軽く振り上げていた。
    「――ッ!」
     片膝立ちの体勢から反射的に飛び退く敬厳。
     それまで座っていた床を起点に激しい竜巻が発生。飛び退いたはずの敬厳たちを盛大に吹き飛ばした。
     空中でバランスをとって、バックスライディングする敬厳。
    「そうです。その気持ち、見せて下さい!」
     次々にスレイヤーカードを取り出す灼滅者たち。
     そんな中でふと、清和と黒虎は顔を見合わせた。
    「なあ、蕪郎いなくね?」
    「あ……」


     靴司田・蕪郎(靴下は死んでも手放しません・d14752)。
     他人の靴下をはぎ取ってはむしゃぶりつくという、考えた奴の人間性を疑うような男であり、戦闘中も靴下とムタンガくらいしか着用していないので、こんな依頼にきて一体なにをするのかと誰もが(多分入れた本人も)疑問に思っているだろうが。
    「皆さん、お待たせしました!」
     オールバックに燕尾服。巨大なサックス(コントラバス。携帯性を考慮し再設計されたチューバックスという名前のサクソフォンである)を抱え、凜とした姿勢で立つ男がいた。
    「「誰お前!?」」
     同時に振り返る黒虎と清和。
    「靴司田でございます」
    「嘘つくんじゃねえ!」
    「フ、ご存じないようですね……」
     鋭く切れ長の目でまばたきをすると、内ポケットから取り出したクシで髪をすいた。
    「私は三日三晩にわたり靴下断ち(ダンジキ)を行なうことでクラシックフォームへとチェンジする設定があったのです。今知りました」
    「お前も知らなかったのかよ」
    「それにいま……恥ずかしながら、ジュンイチスタイル(靴下をはかないことをさす)です」
    「照れる意味がわからないんだけど」
    「とにかく、ここはサウンドソルジャーの私にお任せを」
     チューバックスを優雅に抱え、半身の姿勢で流し目をおくる蕪郎。
     ここにもサウンドソルジャーいるんだけどなあと雪姫あたりが思ったが、関わりたくないので黙っていた。
    「お嬢さん……靴下をください!」
    「だめだ中身が一緒だった!」
    「ソックスは私の魂。私はソックスを愛していても、ソックスは私を愛してはくれない。ゆえに多くのソックスを食べ損ねてきました。それでも追い続けるものがある。一生を捧げる覚悟がある。あなたにはあるのですか、私のソックスに並ぶほどの愛ばぶりしゃす!?」
    「もういいから下がってなさいなのだ!」
     クロエのガトリング射撃が炸裂した。粉々になったチューバックス(三百万円くらい)と共に道場から転げ出ていく蕪郎。
     全員はそれをとりあえず見なかったことにして、くるりとアンジェリカに向き直った。
    「さあ、始めるのです」
     機関銃をどっしりと構えるクロエ。
     アンジェリカもアンジェリカで、とりあえず見なかったことにして練習用のトライアングルをスッと翳して見せた。
    「……暗雲のしらべ、第二楽章『雷鳴』」
     トライアングルを小刻みに、しかし力強く叩く。
     その途端、稲妻の如く走った音の波長が、稲妻そのものとなり、閃光を伴ってクロエへ襲いかかったのだ。
    「させるか――地着!」
    「おなじく――ピュア・メタモルフォーゼ!」
     清和とジュンが同時にカードをスライド。
     すると、二人はそれぞれ別の、しかし同じ方向性のコスチュームにチェンジした。
    「ローカル特捜ムサシノウジャー、ただいま参上!」
    「希望の戦士ピュア・ホワイト! あなたの夢を守ります!」
     襲い来る雷。二人は横目で『なんなのこいつ』という視線を送り会うと、おのおのの武器を構えた。
    「武蔵野台地セイバー!」
    「ピュア・シールドバッシュ!」
     二人のクロスアタックが雷を相殺。
     その後ろから、よーく狙っていたクロエが機関銃射撃を開始した。
    「暗雲のしらべ、第三楽章『豪雨』」
     音が室内を複雑に反響し、メロディが雨のように降り注いだ。
     クロエの放った弾幕が千段空中で破砕する。
    「第四楽章『暴風』」
     更に、反響した音が収束し、渦を巻き、竜巻となって襲いかかってくる。
    「防いでる暇はねえ、フォローは任せるぜユッキー!」
     竜巻の中を突っ切るように走る黒虎。
     ユッキーこと雪姫は静かにトライアングルを鳴らすと、エンジェリックボイスを発動。
     黒虎の体が切り裂かれるそばから順次修復されていく。
     彼はその勢いのまま突っ込み、フォースブレイクを繰り出した。
     ピーターで受け止めるアンジェリカ。
    「頼もしい限――」
    「モンテのロールケーキ」
    「えっ?」
    「二個」
    「えっ?」
     思わず振り返る黒虎。
     その瞬間、武器に打ち付けられたピーターの震動が腕を通して体内の血管を複雑に破壊。黒虎は血を吹いて転倒した。
    「やべえ、なんだかんだで隙がねえぞ……」
    「もとよりダークネス戦は『たたみかけ』が基本じゃ。バランス型なら望むところ!」
     敬厳はギターネックをスイング。展開式ロッドよろしくネックが伸び、ギターの形に変形。固定バーが下り、ガキンという硬い音と共に固着した。エネルギーの弦がネックにそって出現、やんわりと光る。
    「そなたの胸の内、その程度ではなかろう……!」
     黒虎の横を突っ切るようにダッシュ。オルタナティブクラッシュを叩き込んだ。
     リリリリリ、と小刻みに内角を叩くアンジェリカ。
    「偏愛のしらべ、第一楽章『拒絶』」
     すると複雑に伸びた音の糸が結界となって敬厳をはねのける。
     が、そんな結界を切り裂く糸があった。
     千尋の斬弦糸である。
    「キミが抱いている歪んだ思い!」
     強制的に作った切れ間から、拳をねじ込む千尋。
     それはアンジェリカの胸にクリーンヒットし、彼女の体を派手に吹き飛ばした。
     道場の壁に激突し、ぺたんと地に伏せるアンジェリカ。
    「つ……っ」
    「演奏は上手でもケンカはいまいちだね。それにしてもまた胸大きくなったかな、邪魔」
    「ほう……」
     鼻から血を吹いた顔をあげる黒虎。さっきのダメージが残っているんだと思う。そうだと思う。
     そんな彼を見下ろす雪姫。
    「風水、まだいける?」
    「おう。じゃんじゃん頼むぜ」
    「じゃあ銀座ベリーのイチゴタルト、ホールで」
    「財布事情の話かいっ!」
     ツッコミと同時に起き上がる。匠の技である。
     が、フォローはちゃんとしてくれるようでシールドリングが彼の眼前に出現した。
     鼻の頭をかく黒虎。
    「アンジェリカだっけか。その力、受け入れられれば俺たちみたいに生きられるぜ。だからまずは、はき出しちまいな!」
     槍をまっすぐに構え、リングと共に突撃をかける黒虎。
    「偏愛のしらべ、第二楽章『籠絡』」
     たゆたうような音色が響き、千尋たちの足取りがぐらつく。
     が、黒虎の前にはられたシールドは音を上手に逃がしてくれた。
    「サンキュー、ユッキー!」
     リングの中央から繰り出す螺穿槍。
     それはアンジェリカのトライアングルを直撃。
     糸とフレームの付け根を破砕し、ばらばらに飛び散らせた。
    「ナイスじゃ黒虎!」
    「おう……やったか!」
     古今東西、『やったか』と言われてやれたためしはない。
     アンジェリカは二歩三歩と後じさりしてから、目の前に突き出すように手を翳した。
    「天使のしらべ」
     その時である。
     黄金の、そして見たことも無いような大きさと装飾の施されたトライアングルが彼女の目の前に現われたではないか。
     ダークネスの力によるものだが……だがしかし。
    「掴みかけてきたな」
    「自分だけのトライアングル。自分だけの音色。もしかしたら、それがキミの求めた奥義ではないのか!」
     跳躍し、謎の推進力で突っ込む清和。
    「煌めけ二次元ロマン、アニメティクキィィック!」
    「『天使の翼』!」
     音色が天使そのものとなり、清和の必殺キックと相殺する。
     いや、相殺ではない。僅かにアンジェリカの肩を打った。
    「やるな!」
    「それですよ、アンジェリカ!」
     拳を握って急接近するジュン。
    「世界中のみんなが笑顔で明日を迎えられるように。そんな未来のために私は戦っています。魔法少女への憧れと、私自身の夢をみて!」
     ジュンの拳を大きなピーターで受け止めるアンジェリカ。
     振動が互いに伝わり、ぐっと歯を食いしばる。
    「そう、この私も靴下の」
    「死ねぇ(なのだ)!」
     起き上がりそうになった蕪郎をクイックターン・アンド・ヘッドショットで眠らせるクロエ。
    「師匠にいつまでもしがみついてるなんてナンセンスなのです。さあ、語り(撃ち)合おうなのだ!」
     ブレイジングバースト発射。
     対するアンジェリカも轟雷を発射。
    「『週末のラッパ』」
     威力は相殺。いや、今度もアンジェリカが劣っていた。数発の弾丸が胸に刺さる。
    「最後じゃ!」
     左手で大きく円を描く敬厳。
     出現したリングスラッシャーを、シャープなフォームで投擲。それはアンジェリカへと高速で飛び……!


     深く頭を下げる、金髪青眼の少女。
     手には黄金のトライアングルが握られていた。
    「もう教えることは無い……お師匠様はそうおっしゃいました」
     ここから先は、自分の道。
     交わることも、もうないだろう。
    「お師匠様」
     きびすを返し、アンジェリカ・トライアングルは道場に背を向けた。
    「さようなら」
     石段を下りていく。
     先には、八人の灼滅者たちがいた。
     手を伸ばすジュン。
    「さあ行こう、奏楽の戦士ピュア・アンジェ!」
    「それ、名乗らないとだめですか?」

    作者:空白革命 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年4月18日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 22
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ