独り消え逝く灯火

    作者:白黒茶猫

    ●夕暮れの人気の無い道
     視界が、沈みかけた夕陽の赤よりも更に赤く染まる。
    (「なんであたしは倒れてるんだろ? 制服が汚れちゃう」)
     自動車が走り去る音が、遠くから聞こえる。
    (「ああ、そうだ。あたしはあの車に跳ねられたんだ」)
     起き上がるどころか、指一本動かせない。
     道路に流れ出る赤い液体は、夕陽に照らされるまでもなく真っ赤だ。
    「……ぁ……け……」
     助けを呼ぼうにも声が上手く出せない。そもそも、人の気配すら全くしない。
     どれくらい経っただろうか。
     まだギリギリ日が沈んでいない状況を鑑みれば、数分か、10分程度だろう。
     だが薄暗い道路で、独り倒れ伏して血を流すことしかできない時間は、数時間にも思える。
     赤かった視界が次第に暗くなり、手足が氷のように冷たくなるのを感じる。
     太陽が沈んだせいだけではない。
     命の灯火が、消えていく感覚。
     意識が闇に沈んでいく。
    (「たすけて……たすけて……しにたくない――!」)

    ●教室
    「皆さん集まったようですね」
     五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)が、呼びかけに答えた灼滅者を確認する。
    「とある少女が、『闇堕ちしてデモノイドになる』という事件が発生しようとしています。……ソロモンの悪魔が行なう儀式とは関係なく、です」
     デモノイドはソロモンの悪魔『アモン』がナイフの儀式によって作り出した存在のはず。
     そんな灼滅者達の考えを察したのか、最後に付け加える。
     少女の名は柳瀬・真希(やなせ・まき)という中学生。
     部活帰りに交通事故に遭って大怪我をしてしまい、生命の危機によって闇堕ちしてしまう。
     生き延びたい一心からだが、一度デモノイドとなってしまえば理性無く暴れ、その命が尽きるまで周囲に甚大な被害を出し続けるだろう。
    「ですが阿佐ヶ谷での先例があります。デモノイドになった直後なら、人間の心が多少残っているかもしれません」
     その心に訴えかける事が出来れば、あるいは助け出す事が出来るかもしれない。
     そして救出できるかは、彼女がどれだけ強く人間に戻りたいと願うかに掛かっている。
    「皆さんが接触できるタイミングは……真希さんが事故に遭った後、日没と同時に闇堕ちした直後となってしまいます」
     姫子は僅かに目を伏せる。
     事故を未然に防いだり、助けようとしてしまえば、闇堕ちのタイミングが変わってしまう。
     そうなれば未来予測の優位性が掻き消えてしまうのだ。
    「ただ、幸か不幸か、戦場となる場所は人の気配は全くありません。ので、人的被害が出る事はないでしょう」
     デモノイドの攻撃手段は腕を振り回すだけの原始的なものだが、灼滅者が使うロケットハンマーのサイキックに酷似している。
     筋肉だけでロケット噴射のような加速による殴打、地面を殴りつけて出す衝撃波、回転して遠心力を加えた追尾する一撃。
     それをその身一つで行うのだ。
     闇堕ちしたばかりで戦闘力は過去に現れたデモノイドに劣るとはいえ、それでも油断できる相手ではない。
     だが説得が上手くいけばKOした後、灼滅者として生き残る可能性がある。
    「デモノイド……真希さんは助けを欲して、もがき苦しんでいます。どうか、彼女を救ってあげてください。皆さんならそれができると信じています」


    参加者
    紫雲寺・りり(小夜風・d00722)
    杜羽子・殊(偽色・d03083)
    東風庵・夕香(黄昏トラグージ・d03092)
    天羽・桔平(信州の悠閑神風・d03549)
    マリーゴールド・スクラロース(小学生ファイアブラッド・d04680)
    古賀・聡士(氷音・d05138)
    結城・真白(月見里響の妖刀・d11282)
    片倉・光影(神薙の剣術士・d11798)

    ■リプレイ

    ●生きるチャンス
     日が完全に沈み切り、暗くなった通りに街灯が点灯する。
     その白光に、デモノイドの蒼い巨体が照らし出される。
     足元には、人であった時に自らが流し出した赤黒い血が大きな水溜りを作り、排水溝へと流れていく。
     堕ちたばかりのデモノイドが動き出そうとする前に、灼滅者達が飛び出す。
    「助けに来たよ!!」
    「ナノ!」
     マリーゴールド・スクラロース(小学生ファイアブラッド・d04680)とナノナノの『菜々花』の声が、デモノイドの元へと届く。
     その言葉の意味を理解しているのかいないのか、緩慢な動きでマリーへと身体を向ける。
    「ニコニコ笑顔の信州長野のご当地ヒーロー、ポレポレ☆きっぺー、ただいま参上なのだ!」
     屈託のない笑顔を浮かべながら、天羽・桔平(信州の悠閑神風・d03549)が名乗り上げる。
     真希の身に降りかかった悲劇を笑顔で吹き飛ばせるように。
    (「柳瀬さんが被害に遭われた後でないと手が出せないなんて……本当に心苦しいです……」)
     デモノイドの前に、東風庵・夕香(黄昏トラグージ・d03092)はぎゅっと胸の前で拳を握りしめながら相対する。
     できることなら、事故に遭う前に助けたかった。
     だがそうしてしまえば、彼女を真に助けることができなくなってしまう。
     だからこそ、本当の意味で助けるために必ず彼女を元に戻すと誓い、見据える。
    「生きたいと思っていても、命が消えていくのを感じながら何も出来ずにいるのって、本当にとても悲しくて、辛いことだよね」
     紫雲寺・りり(小夜風・d00722)が、複雑な心境で呟く。
     デモノイドとなる事で、真希に生きるチャンスが生まれたと考えて。
     だがそれは少しだけ違う。
     真希に闇堕ちする素質があったのは確かであり、そのお陰で命を取り留めたと言える。
    (「真希の……死にたくないという気持ち……痛いほどよく分かる……」)
     常に命を狙われ、命の危機に何度もあった結城・真白(月見里響の妖刀・d11282)や。
    「生きたいって……誰だって願う権利がある。だからボクは、柳瀬の願いを叶えたい」
     これまで生きるために手段を選ばずに生きてきた杜羽子・殊(偽色・d03083)のように、死に近かったゆえにその恐怖と生への渇望がわかる者や。
    「救える命の灯火を消させる訳にはいかないな」
     相棒であるライドキャリバー『神風』と共に立つ片倉・光影(神薙の剣術士・d11798)や。
    「可能性があるなら、それに賭けてみたい。最後まで諦めずにね」
     少し俯いてつま先で地面を叩いて軽く靴を鳴らし古賀・聡士(氷音・d05138)のように。
     この場に彼女を救う意志を持った灼滅者が現れたことこそ、彼女が人として生きるチャンスが生まれた瞬間なのだ。
    (「とはいえ最悪は覚悟しておくかな」)
     相棒の神風へ指示を出しつつ、光影が万が一の時の覚悟をする。
     もし彼女の心に届かなければ、彼女が手を伸ばそうとしなければ、その時は灼滅するしかない。
     彼女が親しい人や、大切なものを自らの手で破壊し尽くしてしまわないように。
     灼滅者達はスレイヤーカードを解放して防具を纏いつつも、誰一人武器を手にしていない。
     指輪や護符、オーラのような一見武器足り得ないものすら。
     敵対する意志はないと、自分達は敵ではないと伝えるために。

    ●生きるために
     一同が説得を試みる間、真白がデモノイドの背後に回って退路を断つ。
     デモノイドは視線を向けるものの、電柱に寄りかかって目を閉じ、何もしてこない真白から注意を外す。
     まずは説得するために正面に居る灼滅者達へと狙いをつけているようだ。
    「柳瀬さん、お願いです。私達の声を聞いて下さい。私達は貴女を元の姿に戻したいんです」
     夕香の言葉に耳を傾けず、少女の細腕の面影もない巨大な腕を振り下ろす。
    「神風!」
     相棒の命に従い、襲い来る巨腕を神風が体を張って防ぐ。
     デモノイドの一撃は強力だが、先日の殲術再生弾の影響で強化されたその体には大した損傷にはなりえない。
    (「デモノイドだけあって闇堕ちしかけにしては強力だが、見かけほどの威力はない、か」)
     説得に混じらず、一歩引いたところから光影はデモノイドの力をそう分析する。
    「死の恐怖に一人で耐えて……怖かっただろうね……僕らが絶対に助けるから、がんばろうね!!」
     桔平は薄暗い道路で独り倒れ伏し、誰の助けも来ない恐怖は、どれほどのものだったろう。
     だが今は桔平や灼滅者達が助けに来た。命だけでなく、真希の未来を助けるべく。
    「聞いて下さい、今、真希さんの力が暴走しかけてる、でも、助かるから、まだ間に合うの!」
     マリーゴールドが真希の心に届くよう、懸命に伝える。
    「柳瀬、君は人間だ、ボク等と同じ人として生きたい人だよ」
     殊は独りで無情に奪われかけ、命を繋げるために闇堕ちするしかなかった真希と過去の自分と重ねる。
    「一人はさみしいってわかってる、だから一緒にいたい。一緒に生き抜きたい」
     自分はかつての世界に戻らない。今堕ちた世界にいる真希も、引っ張り上げる。
     そのために、反応を示さないデモノイドに武器ではなく言葉を投げかけ続ける。
    (「……私達の心は……2つに裂けて……統制が取れていない……私は人間にもどり……暖かな日常に帰りたい……貴方は?」)
     真白が背後から近づき、手を触れて接触テレパスを用いて真希の別人格を演じながら心に直接言葉を届ける。
     返答は真白を振り払うように打ち付けられた拳として返ってきた。
     デモノイドが真白や、他の灼滅者の言葉を理解できているのかわからない。
     それでも真白は助けたいと願う心を無表情の中に隠し、次の接触のチャンスを黙して待つ。
    「今日の晩ご飯でも、次の日曜日の予定でも何でも良いから、楽しい予定の事を思い出して。……その未来が絶対来るって強く信じて!」
     マリーゴールドは、それが生きる活力になると、人間であるために必要なものだと訴える。
     なぜ死にたくないのか。生きてどうしたいのか。
     ――それはきっと、そんな当たり前のことを当たり前にするために。
     マリーゴールドの言葉を受け、デモノイドの動きが少し鈍ったような気がする。
    「真希さん、生きたい、そうでしょう?」
     りりに力強い視線と言葉を投げかけられると、りりに顔を向けてじっと視線を返す。
     敵や破壊対象としてではなく、言葉を聴くために。
     声は、確かに届いているようだ。
    「キミが生きたいと願うなら、強く、強く願えばいい。でも、それは人として、だよね?」
     殊は言う。
     生きたいと言う願いは、決してデモノイドという化物としてではないはずだと。
     歪んだ形で叶えられてはいけない願いなのだと。
    「まきちゃん、まきちゃんがまきちゃん自身を忘れないで」
     桔平は何度も名前を呼び続ける。
     彼女はデモノイドなんかではなく、真希は真希なのだから。
    「元に戻る為に、貴女自身が強く、人として生きたいと思う事が大事なの」
     りりは力強く、心に届くように声を投げかける。
    「もう一度……君の大切だった人、家族や友達……皆に会う為には、君の戻りたいという意思が必要なんだ」
     聡士が真希の心を思い出させるように、言葉を繋ぐ。
    「全ては柳瀬さんの気持ち次第です。私達はただその願いの成就を手助けできるだけなんです」
     夕香の言うとおり、灼滅者は万能の救世主ではない。
     片方が手を伸ばしただけでは、届かない。
    「だから柳瀬は、自分に負けないで。生きたいって、その手を伸ばして!」
     伸ばした手は、必ず掴み取るから。
     殊が差し伸ばした手を見たデモノイドの……いや、真希の動きが止まる。
    「生キ……タ、イ……ヒト……トシテ……ッ!」
     静寂の暗闇の中、小さく、確かに、少女の助けを求める声が、生きる希望を持った声が響いた。
    「その願い……叶えるよ」
     少女が手を伸ばしたなら、後は引っ張り上げるだけだ。

    ●人であるために
    「ボクがボクであるために」
     殊は解除ワードを改めて唱え、一本のナイフ『散華』をスレイヤーカードから取り出す。
     菊の華が彫られたナイフを持った手を額に当て、祈るように目を閉じる。
    「風よ、神風よ、闇を晴らす強き風を此処に!」
     光影の声に呼応するように、神風がエンジン音を高く響かせる。
    「紅桔梗、天の羽と参上~☆」
     明るく唄うように、桔平が美しい一振りの日本刀を取り出す。
    「元の姿に戻すためには力を削ぐ……つまり貴女を攻撃する必要があるんです」
     取り出したマテリアルロッドを構えながら、真希に伝える。
    「私達はあなたが人として生きる為に、違う存在にならない様に、あなたを止めるわ」
     りりも同様に杖を向けながら、デモノイドの身体を砕くべく。
    「まきちゃん、少し痛くしてしまうけど、僕らを信じて?」
     桔平はその身に傷を受けながらも、安心させるような笑顔を浮かべる。
     今まではただ『仲間』に声をかけていただけ。
     ダークネスとの戦いは、これからなのだ。
    「まきちゃんのお願いをかなえるチャンス、今回一回しかないんだ。そのためにはまきちゃんが強く願うことが一番大事」
    「イ、カイ……」
     真希はビクッと怯えるように身体を揺らす。
     最初の最後のチャンスということに、プレッシャーを感じてしまったのだろう。
    「大丈夫、貴女は人として生きたいと、そう強く思って」
     りりが安心させるように声をかける。真希が考えることはそれだけでいいのだから。
    「……一緒に頑張ろう?」
     聡士が柔らかい笑顔を浮かべながら放つ弾丸が、動きを麻痺させる。
     それは悪い物を取り除くために行う麻酔のように。
    「僕らと一緒に、がんばろうね。まきちゃん……!」
     桔平の言葉に真希がこくりと、頷く。
    「ヒ……ゥ」
     だが灼滅者の攻撃に怯えたように両腕で自分を庇い、僅かな抵抗の意を示す。
     わかってはいても傷つけられる恐怖を感じてしまうのは仕方ないかもしれない。
    「……絶対助けるから、信じて!」
     だがマリーゴールドや自らを助けようとする者達を信じ、自ら防御を解いて灼滅者の攻撃の全てを一身に受ける。
    「……ガァアァアァアッ!」
     灼滅者達の攻撃をじっと受けていた真希が、暴れるように腕を振り回して地面を叩きつける。
     真希が抑えていたデモノイドの力が、消されまいとして暴れだしたようだ。
    「ァ……!」
     衝撃波を受けて傷つく灼滅者達の身体を見て、真希が悲しげな声を漏らす。
     人の心が浮き出しつつあるが、その分自分が何をしているかわかってしまうのだろう。
    「僕達は大丈夫だから、安心して、まきちゃん」
     だが傷を負ったはずの、痛みを感じているはずの桔平は笑顔を浮かべている。
     痛みに耐えながら、変わらない笑顔を浮かべ。
     真希を悲しませないために、怖がらせないために。
    「大丈夫、心配しないで、私達はこういう時の為にいるんです」
    「ナノ~!」
     マリーゴールドは菜々花と共に、真希を心配させまいと、勇気づけられる様に声を掛ける。
     真希が自分を責めないようにするべく、真希の心を傷つかないようにするべく。
    (「……彼らの努力を無駄にしないためにも……自分を責めている場合じゃない……人間に戻りたいと強く願うことが先決……罪は2人で償っていけばいい」) 
     真希のデモノイドとしての身体に触れながら、伝える。
     直接頭に響く言葉に困惑しながらも、真希は自分に触れる真白を見るも、表情を変えぬまますっと離れる。
     真希はこくりと、小さく頷いた。
     巨腕を振るいながらも、最初の頃に受けた時よりも明らかにその威力は弱まっている。
     灼滅者達が真希を想うように、真希が灼滅者達を傷つけまいとする心が、デモノイドの力を抑えているのだろう。
     『8人』でなんとか倒せる相手でも、『9人』いれば容易となる。
    「これで……終わりです!」
     マリーゴールドの炎を纏った一撃が、デモノイドの身体を撃ち抜く。
     激しく燃え上がる炎が、デモノイドの蒼い身体を焼き尽くす。
     やがて消滅したデモノイドの巨体があった場所から、真希の小さな身体が現れた。
    「う……ぅ……」
     くぐもった声を漏らし、小さく身じろぎする。生きている。
     内に眠るダークネスのみを、灼滅することができたのだ。

    ●救えた命
    「良かった……それからありがとうございます、私達の事、信じてくれて」
    「ナノナノ~」
     マリーゴールドが目覚めた真希の手を取って感謝を伝える。
    「そんな、お礼を言うのはあたしのほうで……! 助けてくれて、ありがとう」
     灼滅者達にぺこりと頭を下げて言う真希に夕香が首を振る。
    「柳瀬さんが元に戻れたのは、柳瀬さんの強い気持ちのお陰です。私達は、手助けしただけに過ぎません」
    「その気持ちを引き出してくれたのは、皆が声をかけてくれて、名前を呼んでくれたから、だから」
     夕香の言葉に、真希はさらに深くぺこりと頭を下げる。
     純粋に感謝の言葉を向ける姿に、チクリと心を痛める。
     本当なら、事故からも助けてあげたかった。
     だが結果的に本当の意味で彼女を助けることはできたのは、確かだ。
    「よくがんばったね……!戻ってきてくれてありがとね」
    「お疲れ様、よく頑張ったね」
     桔平は明るい屈託のない笑顔で、聡士の落ち着いた飄々とした笑顔で、真希に労いの言葉を掛ける。
     真希は年上の男子二人に笑顔を向けられて、少し照れたように頬を染めて笑顔を返す。
     そんな普通の女の子らしい姿に、りりは笑みを浮かべこつんと指でおでこを突く。
    「………………」
     灼滅者が喜び合う中、真白は一人自分がしたことを思い出して無表情のまま顔を赤く染めていた。
    「あの……」
    「……っ!」
     真希に声をかけられて驚いた真白は、とっさに何かを足元に投げつけると、凄まじい光が爆発し、視界が白く包まれる。
     その光が消えた頃、真白の姿は消えていた。
    「……あなたの助けたいって気持ち、伝わったよ、ありがと」
     照れた真白が逃げ去った方向へ目を向け、ポツリと呟いた。
    「さて、いつまでも年下の女の子に寄りかかってるわけにはいかないしね! ……っとと」
     マリーゴールドの肩を借りていた真希が勢いよく立ち上がり、ふらりとよろめく。
    「無理はするな。傷は塞がっていても、失った血までは戻っていないはずだ」
     倒れそうになった真希を光影が支える。不良っぽい外見の光影だが、仲間を想う心は強い。
     真希はもう、仲間の一人なのだから。
    「真希さん、一緒に来てくれませんか?」
     やがて落ち着いた真希に武蔵坂学園の事やダークネスの事などを説明し終えたマリーゴールドが切り出す。
    「今の学校からは離れなくちゃいけないけど……柳瀬、一緒に、生き抜こう?」
     殊が小さなその手を伸ばす。
     真希は灼滅者達全員の顔を眺め、こくりと小さく頷いて差し出された手を取る。
    「うん、皆が居る所なら……きっと楽しい学園生活を送れるよね」
     こうしてまた一人、デモノイドの力を克服した灼滅者が武蔵坂学園に名を連ねた。

    作者:白黒茶猫 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年4月21日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 7
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