食べることは多くの人にとっては、必要なことであり、あるいは楽しみである。
少女にとっては食べることは、『戦い』でもあったのだ。
勉強も普通、運動も普通……そんな彼女の唯一の特技が、大食い。
少女はいまその特技を武器に、とある甘味屋の中で戦っている。
この店では「ぜんざいを~~杯以上食べたら豪華賞品献上」という企画が行われており、少女はその企画に挑戦している。
少女がぜんざいを食べる勢いは、まさに怒涛の如し。一杯、二杯、三杯と、大量のぜんざいが、器から少女の口の中に消えていく。
少女の食べる勢いを見て、甘味屋の店員は顔色を変えた。
後一杯で豪華賞品を献上というところで、店員は口元を邪悪に歪めた
そして、店員は少女の前に、最後のぜんざいを置く。
いや、器の中に入っているそれは、ぜんざいではなかった。いや、元はぜんざいだったのだろうが。
「これは、なにっ!」
小豆の汁の中に、赤いモノがいくつも浮かんでいる。トウガラシだ。店員がぜんざいの中にトウガラシを入れたのだ。
「こ、こんなことをしてもいいと思ってるの?!」
怒鳴る少女に店員はせせら笑う。
「へへ。せっかく客寄せで始めた企画なのに、一日目で豪華賞品を持っていかれたら困るんだよ。……お代はなしでいい。とっと帰りな!」
少女は、顔を真っ赤にし瞳に涙をうかべ……そして、
「食べることを、大食いをボウトクして……もおおおっ!」
少女の体が変化を始めた。肌の色は色白のそれから青に。体全体が一回り以上大きくなる。
少女が変化した姿――それは、デモノイド。
「ひええ?!」
悲鳴を上げる店員の前で、デモノイドは机を木っ端みじんに破壊した。店員は慌てて店を飛びだすのだった。
五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)は、教室に来た灼滅者に会釈し、説明を始める。
「現在、一般人の女の子が闇堕ちし、デモノイドになろうとしています。
その女の子はミユキさん。高校一年生」
ミユキの特技は『大食い』。ミユキ自身もそれに誇りを持っていて、大食い大会や、飲食店が行う『~~を~~杯食べたら無料』等の企画に、多く参加している。
今回は、『ぜんざいを~~杯食べたら豪華賞品献上』という企画をやっている店で、大食いに挑戦したのだが、店員に卑劣な行動を取られた。
ミユキは怒り、闇落ちしてしまったのだ。
「デモノイドとなったミユキさんは、理性なく暴れ回ります。放置すれば、店を破壊し、さらに町に出て被害を出すでしょう。
ミユキさんがデモノイドになった直後に現場に突入できますので、なんとかミユキさんを倒し、被害を未然に防いでください」
現場は、神戸市の甘味屋。
灼滅者が突入するのに最適なタイミングは、午後一時ちょうど。
そのとき、ミユキは店の中の机や椅子などを破壊しているところだ。
店員は店から既に脱出しており、また他の客もいない。
戦闘になれば、ミユキはデモノイドとしての怪力を発揮し暴れまわる。
デモノイドヒューマンと同じ技やシャウトによる回復を使ってくる。
「戦い方は比較的単純ですが――しかし怪力にはくれぐれもご注意を」
相手の強さを感じてか、姫子は体を小さく震わせた。そして続ける。
「ミユキさんはデモノイドになったばかりの状態ですから、多少の人の心が残っています。
人の心に訴えかければ灼滅した後、デモノイドシューマンとして助け出せるかもしれません。
救出できるかは、ミユキさんが、どれだけ強く人間に戻りたいと願うかに掛かっています。
けれど、人を殺してしまえば戻りたいという願いが弱くなります。ご注意を」
悲しそうにうつむく五月。
「せっかく好きなこと、得意なことを持っているのに……人を殺すだけの存在になるなんて、そんなのミユキさんだって望んでいない筈です。
……ミユキさんを止めてあげて下さい。よろしくお願いしますね」
参加者 | |
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國光・東(クラックランブル・d00916) |
榎本・哲(狂い星・d01221) |
モーリス・ペラダン(黄昏の怪盗・d03894) |
高雲・太洋(食堂の主・d03967) |
柾・菊乃(同胞殺しの巫女・d12039) |
桃山・弥生(まだ幼き毒・d12709) |
中畑・壱琉(中学生ストリートファイター・d16033) |
ハリエット・アニス(高校生デモノイドヒューマン・d16974) |
●出会い
壁や床は真新しい。甘い香りが店中から漂ってくる。
店内に足を踏み入れた灼滅者、中畑・壱琉(中学生ストリートファイター・d16033)と高雲・太洋(食堂の主・d03967)は後ろ手で扉を閉め、ESPを使う。店内の音が漏れないように。
「いいにおい、おなかすいた……じゃなくて、ミユキさんを助けなきゃ!」
壱琉は鼻をひくつかせていたが、店内中央に意識を戻す。
「そうだな、彼女が幸せを取り戻せるよう手伝わないとな」
大真面目に同意する太洋。
二人の視線の先に、机を蹴り潰すデモノイド、ミユキの姿があった。
桃山・弥生(まだ幼き毒・d12709)はいつもの微笑を崩さず、冷静な口調で言う。
「派手に壊れていますね……店員さんの自業自得でしょうが」
残念ながら、灼滅者がやってきた時点では店員は既に行方をくらましており、声をかけることはできなかった。
ハリエット・アニス(高校生デモノイドヒューマン・d16974)は店員の事を考えてか、わずかに眉を動かした。
「ええ、店員さんには後で色々と『お願い』しませんと。……でも、まずはミユキちゃんのことですね」
國光・東(クラックランブル・d00916)は窓に目をやる。彼の地元、神戸の街が見えた。東は拳を握りしめる。
「ああ、あの娘を助けよ。この街の為にもなっ!」
灼滅者の前でデモノイドは別の机を持ち上げ、投げつけようとしていた。
モーリス・ペラダン(黄昏の怪盗・d03894)と柾・菊乃(同胞殺しの巫女・d12039)が暴れる巨体へ声をかける。
「ケハハ。元気がよいのはいいことデス。デスガ、飲食店で暴れるのは、いけマセンヨ」
「そうです。ここには食材も置いてあるんですよ! 食を愛する貴女が食材を潰すのは、それこそ食への冒涜ではありませんか?!」
外国人なまりで飄々と告げるモーリス。足を前に踏み出して熱く語る菊乃。
デモノイドが机を投げるのをやめた。
「ぐる……?!」
灼滅者を見つめる。警戒するように目を細めた。鼻息をいっそう荒くする。顎を動かし、ガチガチ歯を鳴らす。
榎本・哲(狂い星・d01221)は敵の巨体にいささかの怯えも見せない。へらり笑う。
「付き合ってやる。さぁ、来いよ」
言いながら、槍の穂先を敵に向け構えた。
●開戦と言葉
デモノイドの腕が変形し、剣の形になる。剣の腕が哲の脳天に叩きつけられる。
「やるじゃねぇか……」
哲は頭部から血を流しつつ、一歩後ろに飛びのく。地面に着地すると同時、槍を前に。
螺旋の突きでデモノイドの青い肌を貫いた。手ごたえはあった。
だが、デモノイドはまだ痛みを感じていないようだ。哲を睨み、拳を振り上げた。
そのデモノイドの懐へ、弥生は潜り込む。
弥生は日本刀とチェーンソー剣、二振りの刀剣に炎を宿す。そして、ミユキの胴に火をつけた。
デモノイドの体は炎上する。デモノイドは腕をでたらめに振り回し、炎を消そうともがく。
モーリスのビハインド、バロリが暴れるデモノイドを霊撃で牽制。
モーリスは仲間やバロリがデモノイドの意識をひきつけているのを確認すると、哲へ近づいた。
「治療シマス。ご安心クダサイ、ケハハ」
小さな光がモーリスの意志に従って動く。光は哲の傷口を塞いでいく。
一方、壱琉は地面を蹴った。デモノイドに急接近。
次の瞬間に壱琉は拳を敵の顎へめりこませる。壱琉の拳はさらに腹を殴り、顔面を撃つ。閃光百烈拳だ。
打たれたデモノイドは、
「むぎゃあああっ!!」
口を大きく開き、怒りの叫びを響かせる。
治療を終わらせていたモーリスは、執事服の袖からチョコレートを取り出し、投げる。チョコレートは、叫ぶデモノイドの口の中へ。
「ヤハハ、喰らうがイイデス! お味はいかがデスカネ? 思いだしマセンカ、大食いをしていた理由ヲ?」
デモノイドのミユキは顎を上下させた。叫びが止まった。
ハリエットは両手を広げ、訴える。
「意地悪をした店員さんには、ちゃんと謝って貰うから……ミユキちゃん、私たちの話を聞いてください」
「ぐる……?」
ミユキは不思議そうに瞬きする。
菊乃は金の瞳で、彼女の目をみつめた。
「その姿のままでは、美味しいものが美味しいと思えなくなっちゃうんですよ? 大食い大会にだって出られません。そんなの、イヤですよね」
壱琉が続けた。助けてあげたい、と想いをこめて。
「今まで大食い大会で出会ってきたライバルもいるんじゃないかな? その姿じゃ、彼らと競い合うことが出来なくなっちゃうよ」
ミユキはしばらく黙っていたが、
「……オイシイモノ……タイカイ……?」
たどたどしいながらも、人の言葉を口にする。菊乃と壱琉は頷いた。
「私も大食いは好きなんです。貴方にも負けない位。元に戻って、私と勝負したり、お店を教え合ったりしませんか?」
「僕もミユキさんと大食い対決してみたいな!」
菊乃が、私達きっとお友達に好敵手になれるはず、そう微笑みかける。壱琉も僕だって負けないんだから、と胸をはった。
太洋も普段は丸めている背をすっと伸ばす。自分の胸に掌を当て、
「その対決、ウチでやるのはどうだ? ウチは食堂やってんだ。だから元の姿に戻ったほうがいい。その姿じゃ、ウマイもん食うのも一苦労だろ?」
と、彼女を誘う。
ミユキの体から力が徐々に抜けていく。
弥生は穏やかな表情のまま、けれど言葉の端々に、毒を織り交ぜ話す。
「あなたは間違っていません。大切なものを汚されたなら、戦うべきです。
ですが……このままだとあなた、何も食べる必要のない怪物青モップになりますよ?」
そこで、弥生は言葉を区切る。数十秒後、試すような口調で尋ねる。
「けれど幸運なことに、あなたが助かりたいと強く願えば助かります。そこで今一度聞きます。大切なものの為に戦う覚悟はありますか? 意志の力で闇に抗う覚悟は?」
東は声を張り上げた。腹の底からの声を。
「そのまんまじゃ、何を食べても一緒やんけ、神戸には菓子とか中華とか旨いモンいっぱいあるやろ。食わな損やぞ、戻ってこい!」
哲はなげやりな言葉遣いの中に、真剣味を入れて語る。
「テメェのやりたいことは、馬鹿馬鹿しい騒ぎか? 暴れてダダ捏ねて人を殺して? 違うだろ? ンなのやめちまってよォ、飯でも食いに行こうぜ?」
ミユキは首を動かす。灼滅者八人の顔をそれぞれにみつめた。
「タタカウ……モドル……ヤメル……タタカウ……モドル……」
灼滅者の言葉を繰り返す。そして眼から、ぽたり、水滴を零した。
言葉は届いた。後はデモノイドの彼女を倒さなければならない。
「気持ちはよう分かった。オレらに任しとき!」
東は宣言すると、赤々とした炎の如きオーラを体から立ち上らせる。
腕を見えぬほど早く動かし、拳の連打をデモノイドの巨体に叩き込んだ。
ミユキは拳の威力に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
菊乃は壁にめり込んだミユキを見ながら祈る。風の刃が現れ、ミユキの体に新たな傷を作る。
「があおおおおおっ!!」
傷から血を、口から唾液を零しつつ、ミユキは再び灼滅者に近づいてくる。
そのミユキの左右に太洋とハリエットが立つ。
ミユキの右手側で、ハリエットは腕を砲台の形に変化させた。
太洋はミユキの左手に陣取り、胸の中でご当地への愛を燃やす。
二人は同時に光を放つ。二種の光線が、デモノイドの巨体を震わせた。
「があああああっ」
ミユキは倒れ、痛みにのたうつ。天井から落ちる埃。
ミユキは即座に立ちあがる。腕から酸を吐きだした。標的となったのは、ハリエット。ハリエットは酸に防具や体を灼かれてしまう。
ミユキはダブルの動きで、さらに死の光線をハリエットへ発射した。
が、光線がハリエットに当たる寸前、太洋が彼女を突き飛ばした。代わりに光線を受ける太洋。太洋は膝を突く。
「クロたん、お願いしますっ!」
ナノナノのクロたんは主に従い太洋を回復させる。
太洋は、
「確かにすごい威力だ。驚いた。けどな……俺たちは負けない」
言うと、立ち上がり構えなおす。
●彼女を戻すための
ミユキの肉体はその後も抵抗を続ける。
ドスリ。東の腹にDMWセイバーが突き刺さった。
東は膝を大きくぐらつかせ、しかし、踏みとどまる。
体内の気を集め、体勢を立て直す。
「思てた通り、おもろいやっちゃ。……けど、隙だらけやで!」
東は仲間に視線を送る。
彼の視線を、弥生と壱琉が受けとった。
「心得ました。全力で参りましょう」
「任せてっ! 同じ大食いとしてミユキさんは絶対に助けるんだからっ」
弥生は上段から、敵の腕へ刀を振り落とす。壱琉は燃える斧で頭を狙う!
腕を切られ顔を焼かれ、動きを止めるミユキ。
そのミユキへ、巨大木刀をもった菊乃が飛びかかる。
「この丸太丸で、お祓いして差し上げます。やぁーっ!」
炎の消えない頭部に戦艦斬り!
戦闘は続く。ミユキの技は強力。
それでも灼滅者らが与えるダメージの方が大きい。攻撃主体の陣形がうまく作用しているのだ。灼滅者はミユキを徐々に追い詰めていく。
「今は加減抜きでいくぜ!」
哲は杖でミユキの太い腕を払い、鳩尾にフォースブレイクを叩き込んだ。
ミユキは背中を丸めこむ。顔をあげて、灼滅者を見る。
ハリエットと太洋は、彼女の瞳を見返した。瞳からまた雫が落ちる。
「ァ……ア……」
言葉にはならない声を発するミユキ。
二人は頷く。
「わかりました。必ず戻して差し上げますから」
「だから――もう少し、痛みをこらえてくれ!」
ハリエットはクロたんに仲間の治療をさせながら、自身はミユキに跳びかかる。閃光百烈拳で、ミユキの全身を殴りまくる。
太洋は風の刃を作り出す。刃は巨体の腹を深く切り裂いた!
ミユキは灼滅者を見つめ、そして後ろ向きに倒れた。地響き。
ミユキは立ち上がろうとするが、バロリが霊障波を放つ。ミユキの動きが遅れた。
ミユキの体の下で黒い何かが動く。それはモーリスが操る影。
「ゴチソウサマデスネ、ケハハ」
モーリスの影はデモノイドを包み込み、彼女の意識を刈り取った。
ミユキは意識を失う寸前、
「ありがと……」
と微かな声を出したのだった。
●激しく動いた後は?
床に倒れたミユキの体が変化する。デモノイドの巨体から人の姿に。
すぅすぅ。ミユキの口からは寝息。
それを見おろしながら、哲は呟く。
(「助けられたか。……つーか、何にロマンを求めるかっつーのは、人それぞれだが……闇堕ちまでしなくてもよかったよな……」)
仲間に聞こえない声でそう言うと、肩を小さくすくめた。
やがて、ミユキの寝息が止まる。目を開き、辺りを見回すミユキ。
太洋が彼女を助け起こそうと手を伸ばした。
「目を覚ましたようだな。おはよう、ミユキさん。自己紹介がまだだったな。俺は……」
彼女を起こしながら、自己紹介をする。
他の者も名乗る。
弥生は名乗った後、説明を入れる。世界や学園について。
「……というわけで私達はその武蔵坂学園の生徒で……よければ、私達と一緒にきませんか?」
弥生に問われたミユキはしばらく考え込んでいた。戦闘中に聞いた灼滅者の言葉を思い出しているようだ。
「難しいことは分からないけど」
とミユキは口を開いた。
「……私、皆と一緒にご飯を食べたり、大食い勝負をしたりしたい。だから……学校に見学に行ってもいい?」
モーリスはぱちぱちと手を打ち鳴らす。
「ケハハ、学園に来る記念に、如何デスカ?」
モーリスはミユキに棒状のものを差し出した。それはちくわ。
なぜにちくわ? ミユキは目を丸くしたが、結局受け取りハムハム食べる。
そんな彼女に、菊乃がお椀を差し出した。そのお椀にはトウガラシ入りのぜんざい。厨房で調理してきたのだ。
「実は、トウガラシとぜんざいの相性って、それほど悪くないんですよ? 甘味と辛みが引き立て合って……ぜひ、召し上がってください」
本当にこれ食べて大丈夫? まずさでもう一度闇落ちするとかない? 怯えた表情のミユキだったが、菊乃に勧められ、一口。
「……あ、美味しい!」
東は渋い顔。たとえ、唐辛子入りぜんざいが美味しかったにしても、店員の考え方は許せない、と。
「ちょっと待っといてくれるか。……店員を探しにいきたいからな。呼んできて話をつけな」
「私も探すのをお手伝いしますね。店員さんにはちょっとお願いしませんと」
と、ハリエットが申し出た。ハリエットは上品な笑みを浮かべているが、よくよくみれば、その目には殺気が感じられる?
「私のために怒ってくれて、有り難う。それだけですごく嬉しいから……店員さんのことは許そうって思うの」
おずおずと、ミユキが言う。そして、提案。
「それより、何か食べに行きたいな」
それを見ていた壱琉が、両手をあげて賛成。
「僕も、お腹すいた! 皆で食べに行こう!」
と無邪気な声。
その声につられ、ミユキや何人かが笑い声をあげるのだった。
作者:雪神あゆた |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年4月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 15
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