●ソウルアクセス
疲れ。
灼滅者ならば、ある程度の時間、休息を取る事が出来れば怪我は治せる。
だが、疲労など、怪我とは違う所にあるものは、そうそう取れるものではなく。
何より、交戦したシャドウの奇妙な言動が、精神面を疲労させていた。
「本番は、これから……」
リーファ・シルヴァーニ(翡翠姫士・d07947)の声にも、疲れが滲み出ている。
「またあのカニが出てくるってんなら、殴り飛ばすだけだぜ! 何度だってな!」
しかし、東堂・汐(あだ名はうっしー・d04000)は疲れも無視してやると、拳を叩き合わせて、気を引き締めて見せた。
「そうね。今、考えるべき事は、この子を救い出す事……」
それに同調するように、リーファの気も引き締まる。
「ずっとこうしていてもなんですし、参りましょうか。元々、僕達はそのために来たのですから。」
そして、もう休息は十分だろうと、三榊・社(再生の一手・d15871)は、眠り続ける少年の頭に手を乗せて。
小さな子ども部屋に、八人分の寝息が増えた。
●キッズドリーム
「野球やっとるみたいやね。見たとこ、ガキ大将とタイマンってとこやろか」
夢の世界に入るなり、グラウンドの一画に投げ出された灼滅者たちが見た光景がそれだ。
状況だけなれば、黄嶋・深隼(紫空を飛ぶ隼・d11393)が口にせずとも見るだけで分かるのだが、砂利を踏む感覚も、空気も、何より少年の周囲にいる友達やガキ大将の一人一人まで、偽者とは思えないほど個性的であり、違和感のないものだった。
「野球? 部屋にはバットにグローブどころか、ボールすらなかったぞ?」
「知らないわけではないでしょうが、経験はないという事でしょう」
吉沢・昴(ダブルフェイス・d09361)とレスティール・アルファルナ(くろねこ・d13482)の二人が、そんなやりとりをした目の前で、少年は鋭いストレートを投げる。
野球の経験のない素人が投げられるような、そんなレベルではなく。
そのままボールはグローブに吸いこまれるように納まり、少年は周囲の友達に胴上げされ、一躍ヒーローとなっていた。
「練習すりゃあ、上手くもなるだろうが。素人からアレになるってのは、おかしいだろ。……おい、あんまし動くんじゃねぇ」
「うー……」
ふらふらと動くゼノビア・ハーストレイリア(ピースメイカー・d08218)を押えて、下総・文月(フラジャイル・d06566)は、不自然に思う点を口をする。
「そういう夢なんでしょう。努力さえすれば結果が実る夢。ある意味、ご都合主義の世界とも言えますね」
そこから社は冷静に考える。これからどうすれば良いのか。幸い、少年との接触はいつでも出来るが、その時にどうするか。
答えは、ゼノビアの右手の人形越しに出てきた。
「夢だと教えてあげるっすよ。多分、幸せの結果は、今見てるこれだけじゃないはずっす」
ようは、少年自身が目覚めようと思わなければ、意味はないのだ。
ただ仮に、説得がうまくいっても、もう一つ。
「そんで、あの珍妙なシャドウも倒さなな。アイツおる限り、帰ろ思ても、帰られへんやろうし」
シャドウを撃退しなければ、元も子もないという事を忘れないで欲しい。
「……よし、とりあえず一度、話し合った方が良さそうだな。向こうも、こちらから動かない限り、襲ってこないだろうさ」
昴の提案に、灼滅者たちは頷いて返した。
参加者 | |
---|---|
東堂・汐(あだ名はうっしー・d04000) |
下総・文月(フラジャイル・d06566) |
リーファ・シルヴァーニ(翡翠姫士・d07947) |
ゼノビア・ハーストレイリア(ピースメイカー・d08218) |
吉沢・昴(ダブルフェイス・d09361) |
黄嶋・深隼(紫空を飛ぶ隼・d11393) |
レスティール・アルファルナ(くろねこ・d13482) |
三榊・社(再生の一手・d15871) |
●道化が見せた夢
目標の達成や勝利は、自信に繋がる。
健太がガキ大将との勝負に勝った事で得た自信は、初対面の吉沢・昴(ダブルフェイス・d09361)の提案を承諾するのに十分なものだった。
「ほら、バットはこうやって握るんだよ」
「ちょい待ちっと、こうか」
その健太に黄嶋・深隼(紫空を飛ぶ隼・d11393)が手解きを受けている様子を、昴は見る。
部屋に野球道具の一つもないような少年が、どれほどの技術を持っているのか。
「何かわかりやがりましたか?」
「あぁ、フォームから少しおかしく見えるな。基本は守ってるんだが、その型が向いてるようには見えない」
レスティール・アルファルナ(くろねこ・d13482)の言葉に、昴は見たままを口にして返す。
別に、バッティングフォームは間違いだとしても強く指摘できない。どんなに優秀なプレイヤーでも、日々改良を続けているからだ。
代わりに、ピッチングフォームならば基礎や型がある程度、決まっているので指摘もできる。
昴がそれらの理由を説明していた最中。
「うおっしゃぁぁァ!!」
東堂・汐(あだ名はうっしー・d04000)の大きな叫びと共に、カキーンという音が鳴り、打球が飛んでいった。
数秒ほどして、話していた二人のそばにボールが落ちる。
「残念、ファウルだよ。汐姉ちゃん」
健太の言葉に、汐はバットを握り直して言い返す。
「い、今のは手加減してやったんだぜ! 次は本気でいくからな!」
一打席勝負として始めた試合だったが、汐の言葉にも健太は動揺せず。むしろ自信に満ちた様子で、再びボールを投げた。
力強く真っ直ぐに、ボールは向かってくる。
「よし、ここっ……?!」
今までの投球に比べて、速度は遅い。バットを振る汐は確実に捉えたと思った。瞬間だった。
そのボールは、下方向にしなだれるように軌道を変えて、呆気なくキャッチャーミットに納まってしまった。
フォークと呼ばれる変化球である。
「お前スゲーな! 今の変化球とか言うやつだろ? 教えてくれよ。別にさほら、コツとかでもいいからさー」
勝負に負けた(後に、夢の中だから負けるだけで最強は私だと言う)汐は悔しがるより先に、健太に詰め寄り、その技術を聞きだし始めた。
当の健太も、悪い気はしないらしく。自身の努力の成果を一つずつ、子どもらしい誇張も混ぜて答えていく。
内容を細かく言えば、練習に費やした時間や、練習方法そのものなど。
「隠し玉としてはいいかもしれないけど。確か、少年野球で変化球は禁止よね?」
「そうですね。体に負担がかかるので危険されています。しかし、変化球を一つ使いこなせるまでとなると、数ヶ月の練習が必要なはずですが……」
少し離れた位置で勝負の結果を見ていた、リーファ・シルヴァーニ(翡翠姫士・d07947)と三榊・社(再生の一手・d15871)は意見を交わす。
何も知らない素人からスタートと考えるとやはり、おかしい。
「一ヶ月? なんや、そないちょっとしかやってないん。えらい、夢みたいな話やなぁ?」
そこで、健太の表情を見て質問をしていた深隼は、丁度良い頃合いだろうと、最初の揺さぶりを入れた。
「さっきのはフォークか。カーブやシュートに比べれば難易度の高い技だからな。俺でも投げるのは難しいぜ?」
続けて、武蔵坂学園の野球クラブに所属している昴も難しいことだと言い添える。
間違っても、素人がいきなり手を出すような球種ではない。
「えーっと、咄嗟に、それしか思いつかなくて、ほら……アレ……?」
そのテクニックはどこで覚えたのか。何を通して知ったのか。
今度は、あえて避けていた質問を重ねていく。今までの質問にはスラスラと答えていたが、今は何かを言う度、口詰まる。
元から有って無いような興味や知識は、正しい答えを返す事は出来ず。
「……来たよ」
不意に放たれたゼノビア・ハーストレイリア(ピースメイカー・d08218)の一言に、灼滅者たちはそれまでの雰囲気を変えた。
その時に健太は、もしかしてこれはおかしい事じゃないのかと、疑問を抱いたのだ。
結果、世界に亀裂は走った。
『ホぉ~フぉホふォ~。さスがにワたシも怒ッチゃいマしたヨー!』
亀裂から、いつかのようにカニ足をのぞかせて現れる、奇妙奇天烈なシャドウ。
前に分断したはずの足は、新たな足となり。オマケとして、バットのような配下を三匹、引き連れてきている。
「な、何だよアレっ!?」
健太は驚きながらも凶悪な顔をした、下総・文月(フラジャイル・d06566)の後ろに隠れた。
「隠れるのはいいが。……お前はこの夢の中で、どうしたいんだ?」
その健太に、文月は目を合わせる事なく問いかける。
『モチのロン、今がサいコーに決ぃマッて……』
「テメェは黙れッ!」
事情を知らない健太に、問いの意味がわかるはずがない。
「ゼノビアは……健太くんを助けるよ……」
それでも灼滅者たちは、この少年を助けるため、やって来たのだ。
ゼノビアだけでなく、他の灼滅者たちも意思を示すように、各々の殲術道具を構え、シャドウに向き合う。
健太は少し考えた。どうして出来たのかがわからない事が、何度かあったのを思い出したのだ。
もし、それが向こうのバケモノに関係しているとしたら。
「よ、よくわかんないけど。……兄ちゃんたちは、悪い人じゃないんだよね?」
答えを出せるほど成長していない思考は、今の敵と味方とを分けて考える。
「さぁな。そいつもお前が決めることだ」
それに返した文月の言葉の後。
『アぁレはレ? どウしテ貴方たチが消エチャってマぁすカぁ?!』
シャドウが連れてきた配下3体のうち、2体が唐突に消えた。
他ならぬ、健太の信頼を確かにした証拠である。
そして。
「無様ですね。ついでに、その無様な外ッ面も直してきてはどうで……おっと失礼。それは素顔でしたね」
皮肉にまみれたレスティールの罵倒を皮切りに、灼滅者たちは一斉に動き出した。
●信じられるか
まず灼滅者たちは、配下を先に狙った。
敵からの攻撃の手数を減らし、負担を減らす事を優先するためだ。
一つだけ良かった事と言えば、うるさいシャドウ本体とは反対に、配下は一切何も喋らなかった事か。
ちなみにこのバットの配下、柄の部分だけで大根ほどあり、要するにでかい。
「見たところ口もないようだし、仕方ないかしら」
やがて、リーファの放った拳が配下に命中し、縛霊手から生まれた霊力が配下の動きを鈍らせる。
「口の代わりに、体で喋るみたいだけれど」
リーファは即座に跳躍して、鈍く回転するバットの体当たりを避けた。引き続きバットは軌道を変えてリーファを追いかけるが、動きにキレはなく。
「この調子でいけば、すぐにも折れるだろうな」
入れ替わりに前に出た昴が、バットに盾越しの重い一撃を叩き込んで勢いを殺し、回転を止めた。
バットにミシリと、ヒビが出来る。
『ソうはさセなイ。問屋がオろサなァ~イッ! 隙アリでェスヨぉー!』
そこに飛び込んできたシャドウが、バットと共に動きを止めた昴を挟むため、カニバサミを突き出し。
「お前の相手は私だってんだ! 余所見してんじゃねぇぜ!」
砂利の地面で滑り込んだ汐が、力の限り巨大なカニ足へと、闘気を込めたアッパーを入れて、ハサミは何もない宙を挟む。
『ヌヌヌぅ。やっパ、メンドーでぇスネぇ。こォれでも、喰らィなサァぃ!』
灼滅者たちに翻弄されるシャドウは、ひとまず狙いを変える。
具体的に言えば、回復の妨害。
「ッ来るぞ、避けろ!」
シャドウの動きに警戒していた文月が叫ぶと同時、不気味に揺れるシャドウの体から、大量のイルミネーションライトが撒き散らされる。
文月を始め、近くにいた灼滅者たちへ大量の熱とガラスの破片が降り注ぐ。
「あぁ、兄ちゃんたちがっ!」
「落ち着いて、大丈夫。私達はそこまでヤワではありませんから」
悲鳴は健太のものだ。なだめる社の言葉に頷きはしたが、不安が顔に残っている。
ただ、理由は怪物に対する脅威だけではないと、社にはそれがわかった。
「……君はきっと、バベルの鎖の力で、この夢の事は忘れるでしょう。理解しろとは言いません。ただ、今は私達を信じて貰えませんか?」
健太にとって、怪物と対等に戦う灼滅者たちの存在も不気味には違いないはずなのだ。
だから社は、それだけ言うと返事も聞かず、ただ仲間たちを癒すための歌を歌い始めた。
気づけば、ガラスの山の上に灼滅者たちは立ちあがり、シャドウとの戦いを再開。
ライトに込められた力のせいで、回復効果が思うように通らないが、それでも歌い続ける。
『フぉほふォ~。イイ感じでェすネぇ? さぁ今ノ内、丸ノ内、ヤッテしまいナサ~イ!』
シャドウは意気揚々と灼滅者たちを見下ろし、配下のバットに攻撃するよう指示を出すが。
「それで満足してるようならば、貴方の器の底が知れるというものですよ」
だが、バットは幾ら待っても灼滅者たちを襲わない。
それもそれはずで、レスティールの巨大にした拳が開くと、中から木屑がパラパラと落ちた。
『ア~ラらァ……?』
マヌケな声を漏らして、今度は目を点にするシャドウ。
「前は逃がしたが、今回は簡単に逃がさねぇぜ。ここでくたばりやがれ、カニ野郎」
そのシャドウへと槍を向け、文月は啖呵を切る。
溜め込んだものを全て吐き出すように、全力で灼滅してやるために。
●夢の力
散々、攻撃を庇い続けていた深隼は今、ゼノビアの気の力で怪我を癒されていた。
「さすがに何回も肩代わりするんは、きついね。あのビーム受けてから調子悪いし。散々やわ」
「そのさ、危なそうだし、兄ちゃんは下がったら……?」
深隼が話している相手は、健太である。
「ガラス……まだ刺さってる……」
ゼノビアは会話に割り込まず、ただ黙って聞いていた。
「そういうわけにはいかへん。まだ皆、頑張ってるしな」
それに何より。深隼は間を挟み。ゼノビアに礼を言って立ち上がると。
「男の負けん気っていうんは、こういう時に発揮するもんやろ」
言い残して、乱戦に近いシャドウの元へと深隼は歩いていく。
健太は一瞬、止めようとして、ゼノビアがそれをじっと見つめ、無言で制止した。
おかげで、健太は最終的に手を下げた。
途中で深隼は、シャドウから距離をとる昴とすれ違いに話しを交わす。
「言うても、すぐには理解できへんやろうしな」
「ただ度胸はあるな、あの少年は。それより……」
目先の問題はシャドウである。言い終えるや昴はその場で毛抜形太刀を抜刀し、斬撃を衝撃波へと変えて撃ち出した。
衝撃波の行く先には、ビカビカと全身を緑色に光らせたシャドウの姿があり、その首らしき部位を直撃する。
『ほホヒっィ!!?』
痛みに喘ぐところに、更に追い討ち。
「今度は俺自慢の斬艦刀や!」
深隼の持つ、翼のような模様を描く線で出来た斬艦刀は、隼のような速度で振るわれる。
上と下、両方への斬撃で痛みにもがくシャドウ。
現実ほどの力がない以上、蓄積したダメージで限界が近く、シャドウに余力はないはずなのだが。
『痛ぁ~イ、痛ァ~い! 困りマぁシタねェ。こォの流れはマず~ぃ流レでぇすネェぇッ!!』
それでも迷惑な事に、シャドウは最後の抵抗に出た。
残った力を全てビームに変えて、頭の帽子の先端から繰り出したのだ。
一直線に飛ぶビームの狙いは、灼滅者ではない健太である。更に言えば健太に、咄嗟に避けろというのは無茶だろう。
やれる事は一つ。
「お前にはプライドってもんはないのか、この野郎ォ!!」
射線に割り込んだ汐が、闘気を纏った拳で、真っ向からビームを殴った。
そもそもビームは殴れるものじゃないが、それでも殴った。
拳の皮が剥げ、火傷を越えるほど熱くなっても、汐は一歩も退かず。
数秒ほど拮抗した力は、ついに拳を振りぬいた汐の勝利に終わる。
『ホひョぉぉ!? なンデ!? ドうシテ!?』
余力全てを込めたのだから、シャドウが驚くのも無理はない。
その驚きの声に、文月が槍を握り答える。
「どこまで行っても夢は夢、変わりようがねぇんだ。テメーみてぇな夢見がちなヤツには、わからねぇだろうがな」
そして槍を振るう。シャドウが喋る暇がないほどに無数に、蜂の巣のようになるまで。
「まぁ、特別に燃費が悪くて現実に長く居られない事だけは同情してあげます。それ以外は軽蔑しますが」
続く形となったレスティールが、槍とは反対側からマテリアルロッドの一撃を入れる。
「彼……健太君は目覚めないといけません。いつまでも貴方に構っている暇はないのです」
レスティールの流し込んだ魔力はシャドウの中に留まり、その魔力ごと、社が放つ闘気の塊が貫いた。
『ボ、ご……ほ、フぉホ……!??』
同時に魔力は爆散。
シャドウの胸に開いた大きな穴は、完全なトドメとなった。
●夢を夢で終わらない
シャドウを倒した以上、あとは夢を見ている本人が、帰る事を望めば良い。
最後の足掻きによる汐の怪我は酷いものだったが致命的なものではなく。ゼノビアと社の二人の手当てで、問題ないまでに治すことが出来ていた。
「じゃあ、俺が今までやってた事は、全部夢だったんだ」
そして、今回の事について、目に見て分かるような事まで説明は行った。隠すよりも夢である事はわかるだろうから。
実際、若干の幸せであった事は間違いなく。健太はそこで落胆した。
「そんな顔しなくてもさ、現実で良い事あった時は、こんなとこの何倍も楽しいに決まってるからさ、前向きに考えようぜ」
その項垂れた肩を叩き、汐が元気付けるように言うと。
「そうだ、帰ったら本格的に野球をやってみるとかどうだ。才能はあると思うぜ。野球経験のある俺が言うから間違いない」
「俺も言うたろ。負けん気出してけばええんやって、夢の自分に負けんように頑張ればええねん」
昴や深隼が続けて、健太の将来を勇気付ける。
「ちょっとやそっとでウジウジして、何が負けず嫌いですか。もう少し、自分の意思を真っ直ぐに考えやがれです」
「まぁ、なんだ。……現実ってのは辛いし、嫌な事もあるが、夢の中に閉じこもってても何も変わらねぇ。変えられるのはテメーだけだからな」
レスティールや文月の言葉は棘があったが、棘に隠れた気遣いもあった。
そして、社が全員に伝える。
「そろそろお暇しましょう。あまり長居すべき場所ではありませんからね。それと、信じてくれてありがとうございました」
見守る者の笑顔を湛えて。
帰還に反対する者はなく、霞むように消えていく灼滅者たちを健太は見送る。
最後にゼノビアが残した言葉で、少年もまた、現実への帰還を決意した。
「……大丈夫……ただ努力の時間が……ちょっと長くなるだけ……っすよ」
たった一人の少年を救うための戦いは、ここに終わりを告げたのだ。
作者:一兎 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年5月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 2
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