地獄合宿~いざゆけ、玄界灘耐久サバイバル地獄!

    作者:志稲愛海

    ●ようこそ、地獄合宿へ!
     歴史と自然と人情溢れる、修羅の国・福岡。
     こちらは、福岡で行なわれる地獄合宿の説明会会場となっております。
     合宿を行なう主な場所は、九州北西部に広がる玄界灘です。
     合宿参加者は勿論、魔人生徒会のお手伝いさんも募集しています。
     切磋琢磨し競い合うも良し、互いに励まし合うも良し、厳しく取り締まるも良し。
     生徒の皆さんの、勇気あるご参加・挑戦をお待ちしています。

    ●地獄合宿・詳細
     福岡の地獄合宿を一言で言うと。
     知力・体力・時の運――その全てを養う為の、サバイバル地獄コースです!

     まずは――『知力』。
     ウォーミングアップに、 金印発見の地・志賀島を10周、マラソンします。
     志賀島といえば、歴史の教科書でおなじみの『漢委奴国王』の金印が見つかった場所。
     美しい眺望の中、豊かな歴史を感じ知性を育みつつ、玄界灘の潮風に鍛えられましょう。
     ただし、これはあくまでも合宿。
     志賀島には、海鮮丼やサザエ丼などの海の幸や名物『金印ドッグ』がありますが。
     合宿中に、寄り道したりさぼったり手を抜くなど言語道断。
     少しでもそのような行動を取れば、参加者の中に潜む魔人生徒会の手の者に、すかさず生徒会手製『武蔵坂学園校章の金印』を押されてしまうでしょう。
     これはどう足掻いてもしばらく消えることのない、恐ろしくて抗えぬ烙印。
     押された者には、もれなく地獄に相応しいペナルティーが与えられます。
     また、金印を押す側の魔人生徒会のお手伝いさんも密かに募集していますが。
     勿論スパイ活動ゆえに、生徒会を手伝う際もマラソンはしっかりと走ってもらいますので、あしからず。

     そして――『体力』、ここからが本番です。
     ウォーミングアップのマラソンを終えたら、志賀島から玄界灘に浮かぶ無人島まで、泳いで渡りましょう。
     玄界灘の荒波に耐えた魚は身も締り、抜群の美味しさを誇ると言われています。
     そんな玄界灘を泳ぎ荒波に揉まれれば、体力もアップすることでしょう。
     カナヅチな人の為に、浮き輪も用意してありますが。
     くれぐれも海流がぶつかり合う玄界灘の荒海に飲まれぬよう、頑張って死ぬ気で泳いでください。
     勿論、遠泳の際もマラソンの時と同じく、魔人生徒会が目を光らせています。
     さぼっていると地獄のペナルティーが課せられますので、ご注意を。

     それから最後に――『時の運』。
     無人島に到着しましたら、お好きなようにお過ごしください。
     とはいえそこは無人島、本当に何もありません。
     まずは頑張って、食料調達から始めると良いでしょう。
     玄界灘は、運がよければ大物も釣れる可能性が高い、魅力的な釣り場です。
     マダイやイサキやヒラマサ、ブリ、アオリイカ、ヒラスズキ、ヒラメ、アジ等々。
     無人島でのキャンプは、自分達で捕った魚介類が食事になります。
     そして無人島への、他の食材などの持込みはOKですが。
     その際は、遠泳やマラソン時に背中に背負うなどして持ち込みましょう。
     それから大自然の中、満天の星空の下でキャンプをしている際も。
     野生動物には十分お気を付けつつ、合宿期間をたくましく生き抜いてくださいね。

     以上が、福岡で行なわれる地獄合宿の詳細となります。

    ●いざゆけ炎の地獄合宿!
     4月吉日――武蔵坂学園・視聴覚教室。
    「あなたも来たのか。わたしも今年は、福岡の地獄合宿に参加するつもりだ」
     綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)は、そう貴方に声を掛けて。
     合宿の概要が書かれた地獄のしおりをパラパラとめくっていく。
    「ふむ、志賀島の金印ドッグはイカのフライとステーキが交互に挟まっていてオーロラソースがかかっているものなんだが……今回は魔人生徒会が厳しく取り締まっているから、食べられそうにないか。遠泳は、玄界灘の荒波に飲まれて迷子にならぬよう頑張らないとだな。サバイバルなキャンプも、きっと皆と一緒ならば何とかなると信じたい」
     そんなことを言う紗矢は、ふと自分を見つめる貴方に首を傾けるも。
    「ああ、灼滅者の体力に男女差や年齢差は無いから、小学生女子だって大丈夫だ」
     だから心配は無用だと笑んだ後。
    「この地獄合宿、一緒に何とか生き抜こう」
     そう貴方の手をぐっと取りつつ覚悟を決め、気合を入れるのだった。


    ■リプレイ

     ようこそ、地獄合宿IN福岡!!
     ですが……その前に。
    「念の為に確認しておきますが、『便利な防具ESP』とか、まさか使おうとしていませんよね?? ……え、そんな話聞いてない? いえいえ、言いましたよね、『さぼったり手を抜くなど言語道断』――と。というわけで数日間、自力で手を抜かず頑張って生きてくださいねっ! あ、説明会で言っていましたが、道具や食材はどれだけ持ち込んでもいいですよ? ご自分で背負って、走ったり泳いだりする分でしたらいくらでも! その際、玄界灘の荒波に荷物やご自身ごと持っていかれないよう気をつけてくださいね!」
     ……酷い? 鬼畜?? 聞いていない???
     ええ、だってこれ『地獄合宿』ですからね!

    ●これ知力と忍耐力を育むマラソンですよIN志賀島
     まずはウォーミングアップに、 金印発見の地・志賀島でマラソンをしましょう。
     1周は10km、それをたった10周していただくメニューです。
     それでは地獄合宿の始まりです、いざゆけ武蔵坂軍団!!

    「厳しい戦いになりそうだが、それでこそ心身共に鍛えられるというもの。上等だ、どんな地獄であれ踏破する!」
     震えてるこれは武者震いだよ!
     そんなラシェリールは、皆を励ましつつも金印をペタン!
     裏切り行為? いえ取締りです!
    「はいはい、今はマラソン中よ。寄り道しない、金印押されたいの?」
     そうちらりと舞がみせるのは、魔人生徒会お手製・漢委奴武蔵坂学園金印!
    「ああ、すみません」
     つい歴史スポットにつられ迷子になりかけるイスカや他の皆も、真面目にコースへと帰還。
     本当はソッコーで金印を押すべきかもだけど……まぁセーフです!
    「もしかして、このことも考慮してルートが組まれたのでは……」
     美味しそうなこの金印ドッグの匂いは、罠!? そんな誘惑に傾きそうになる空も。
     妙な気配と寒気を感じて、真面目に頑張ります!
    「この合宿が終わったら、私、ニ海堂くんに手料理作って貰うんだ……」
     そんな御褒美兼フラグ的な言葉を口にする絢たちとペースを合わせ、気を配りながらも。
    「後でなんか作ってやるからとりあえず今は走ろう」
    「え! 何! 後でおいしいもの作ってくれるの!?」
     金印ドッグに誘われる翼の背後から両肩に手を添え、軌道修正する悠埜。
     そして俄然やる気になった翼に頷く絢。
     こんなご褒美があれば、金印ドッグの誘惑も跳ね返せそうな気がしない? と。
     ラインも張り切って、生徒会のお手伝い! ……のはずでしたが。
    「一番にゴールするのは、私です!」
     取り締まりも忘れて、ゴールまで一直線!!
    「休みながらなんて許すわけないぜ~」
     ラックスも実は、魔人生徒会の手の者。
     休むくらいなら、自費出版の「サルでもわかる!日本の歴史ワクワク探究」を読ませてレポート提出させますよ!
     これまで9周、真面目に走りました! ということで。
    「地元の名産わかって知力上がるから合宿の趣旨にあってるだろ?」
     金印ドッグへとGO!
     三千歳もドキドキと零についていくが。
    「先輩ー、ボクに構わず逃げてー! むぎゃー!」
    「サボり者発見ですわよ! 悪く思わないで下さいまし」
     美味しそうな金印ドッグが気になりつつも、アリスをエスコートしつつ依頼を遂行するミルフィに捕まって。
    「あっ、待てーっ! あれ……い、いったい何処に行ったんだ……?」
     三千歳が囮になる隙に、生徒会を手伝う一樹の目はやり過ごした零であったが。
    「すまんね、こっちも対抗策練っ……何ぃッ!?」
    「はい魔人生徒会ボランティアの岡本でーす、金印押させて貰いますねー」
     後ろから見舞われる、歴史を堪能しつつも監視していた拓海のドロップキックと金印押印!
     一人かわしても、第二第三の魔人生徒会(のお手伝い)が逃しません!!
    「終わったらうどん食おう!」
     そんなフラグも立てたところで。
     和幸は仲良くしたい妹の七誌とマラソン! ……ですが。
    「金印ドッグ美味そ……」
    「美味しそうね、でも食べちゃダメよ?」
    「おお、海鮮丼! あれも食べた……うわ!」
    「食べる暇なんてあると思ってるのかしら。蹴るわよ」
     妹、割と手加減なしです。
     これが最後の地獄合宿、のんびり志賀島を走る珠音とニコレッタ。
     でも、お腹すいたので。
    「金印ドッグ二つ。この辺に生徒会の目がないのは調査済み。お互いに黙ってたらばれな……」
    「隙有りーっ!」
     ――ペタンッ。
     珠音の額に、ニコレッタの金印が綺麗にヒット!
     裏切り? いえ、美味しそうなお料理がいけないのです!
     何周かは真面目に。それから、買いに行くのがさも当然という態度で。
    (「突撃あるのみですよ~、生徒会がなんぼのものですか~」)
     睦月の目的もやはり、金印ドッグ!
     そして、ダメと言われたら余計に食べたくなるのが人間の性。
     ということで!
    「わはー、おいしそー! いっただきまーす!」
     そうゲットした金印ドッグを食べようとしたきららに。
    「じゃあ私も……なんちゃって、はい、いいものあげます。後の地獄でお会いしましょう」
     すかさず空鐘のフェイントな金印が、二人にペタペタリ!
     さらに、うまうまと金印ドックを食べようとした赤花は。
    「ご当地ヒーローとしてはやっぱり名物は見過ごせない!!」
    「何おサボリしてんだ~許さないぞ~!」
     すかさず駆け寄ってきたスティーナから、ポンッと金印を押されました!
     足が遅い彼女でも、これだけ堂々とサボってたら逃がしません。
     いえ、金印押された赤花……何だか、逆に喜んでいます。 
     これはもう食べるしかないね! と。
     人が少なくなった隙を見計らい、六玖も金印ドッグゲットに向かうが。
    「あははははは! 誰にも見つからなかったら関係ない!」
    「……先輩、お楽しみのサボり中すみませんけど。腕、出してください」
     普通に嘉哉に見つかって金印押されました。
     いえ、本当はみんな食べてみたいんですけどね……金印ドッグ。
     そしてふと、生徒会関係者らしき生徒に近づくはじめは。
    「魔人生徒会とは懇意なんだろう?」
     学生新聞の取材を試みるも……皆雇われの身で、その実態は知らないという。
     魔人生徒会の謎は、深まるばかりです!

     そんな金印の烙印を押されていく人達がいる一方で。
     普通に走ってる人も沢山いますよ!
    「はっはっはー、この程度で根を上げてたらパルクーラーは務まらんぜよ☆」
     目指せ鉄人トライアスロン♪ と走り抜ける裁には、10周は物足りない??
     流希も速度調節しつつ、無理なく走りながら。
    「まぁ……、『お遍路を3日で走れ』といわれないだけマシでしょうが……、やったら逆お遍路を走ってやりますが……」
     少々物騒なこと呟いています。
     というか。
    「だぁぁぁ! ウォーミングアップで走る距離じゃねーだろコレ!?」
     勘弁してくれマジで! と思わず叫ぶ竜弥。
     うん、これ地獄合宿ですから!
     いえ、マラソンは嫌いじゃないんですが。
    「でもなんというかクーラーボックスを背負いながらは割とたいへんですね……」
     頑張ってテッテコ走る秀春。この苦労が無人島で報われると信じて!
     向日葵と朔花にとって、久しぶりの志賀島。
     景色を楽しむ余裕は正直余りないけれど。
    「ヒマ、きつかったら荷物渡していいからな」
    「きついけど、大丈夫っちゃ」
     鍛えし翼ならぬ、母親譲りの鍛えし脚力で。
    「む~、ラストスパート!」
    「はは、それでこそ俺の兄妹だ」
     二人一緒に、玄界灘の潮風を切ってラストスパート!

    ●死ぬ気で泳がないと荒波に飲まれますIN玄界灘!
     マラソンを終え、ディアナのその体力に驚いた翼であったが。
    「……お前、泳げなかったのか」
     小刻みに震えそわそわする彼女は泳げない!?
     そして、悠然と犬掻きする刃をガーンと見つつも浮き輪を探すディアナに。
     いざとなったら俺につかまれと、そう言いながらも。
     遠泳の前に、泳ぎの予行練習に付き合ってあげる翼。
     子規にとっても遠泳は初体験、25m泳げる程度で、ちょっぴり自信はないけれど。
     遠目で見るくらいだった玄界灘に来た事が凄く嬉しいから。
    「頑張って泳ぎ切るよ……!」
     予記も、地元の隣・福岡での合宿を嬉しく思いつつ。
     気を引き締め、島での栄養補給を心の支えにして。
     有明海が培った自信の泳ぎで、無人島を目指します!
     でも――玄界灘の荒波は、並大抵のものではありません!!
    「……大丈夫かしらこれ……本濡れない? ……いや無人島ライフを楽しむためには……ああっ危な……ちょ……波強……」
    「ぶわごぼぶぐぅ!? ちょ、沈むの聞いてない、聞いてないからーっ!?」
    「って風も強い! やばい! ほら大きい波がきtくぁwsでふぇr」
     あまりの荒波に、持ち込んだ本の心配をするエインヘリアルに、ファンシーな浮き輪のくろ、泳ぎが得意なはずの耕平でさえもさらわれかけ、死ぬ思いをするも。
    「これくらい、戦争に比べたらなんですか。大丈夫、貴方なら泳ぎ切れます。きっと」
     荒波の中で色々妄想を展開するくろ達に、由布は手を差し出して。
     皆で必死に、島まで犬掻きです!
     そしてぷかり仲良く兄妹で並んで、浮き輪に掴まりつつ遠泳していた一遂と百花も。
    「お兄ちゃんお兄ちゃん! どこー!」
    「あ! あんな遠くに!!」
     いつの間にか遠く離れてしまって、必死にバタ足!!
     そして一遂は、泣いちゃった妹を慰めつつも。
     今度はお手手をしっかり繋いで、一緒にばた足再開です。
     さらに、一生懸命泳ぐ意欲満々な青空につい張り合って。
     ムキにクロールしていた呼太郎であったが。
    「あれ……ゴールが、山内さんが、段々、遠く、なっ……」
    「うわー!?」
     荒波に飲まれ、浮き沈みしつつ波の随に漂う青空に気付き、慌てて救助!
     そしておさかなになった夢をみていたと言う彼女を撫でながら。
     腹減ったなぁと、へらり笑む。
     そんな中、何気に泳ぐフリをしつつも。
    「いやー眼福かな眼福かな」
     水着女子を眺めていたナハトムジークであったが。
    「!?」
     玄界灘の荒波に揉まれ限界を超えた水着の肩紐が切れた雪奈の様子に、思考がオーバーヒート。
     偶然目撃した他の男子諸君達も、鼻血ものな大事件です!
     そんな事件に目が釘付けになって、つい泳ぎを中断した生徒達を。
    「罪の証拠である烙印を背中に刻まれるといいわ」
     すかさず拘束した碧はその背中に、胸に隠し持っていた金印をペタン!
     そしてドーバー海峡を泳いだ事があるという万全装備のならかに、実践で泳ぎのご教授をとお願いする雀は。
    「学びながら泳ぐというのも非常に楽しいことですからら……っ!?」
    「……それにしても雀ちゃんは背が高いのね」
     腹筋をつんつんされ、吃驚するも。
     このお礼は後ほど陸で――と、お茶目な彼女に悪戯めいた笑みを。
     それからスタミナと根性をフルに発揮し遠泳に臨んだスク水のクリスは、全力で頑張りました!
     無人島に着いた瞬間、全て燃やし尽くしてぶっ倒れ、全身痙攣させる程に。

     荒波に逆らい島へと泳いでいくのは、ごっつい蛍光色のイカ型水泳キャップ。
     キャッチアップと2ビートキックで体力を温存しながら側泳する宗汰に並び、高い身長を生かした泳ぎの璃音も本気モードに。
     そして五感で水に触れ潜水し、海中の貝を拾いつつ泳いでいた理乃も。
     島が近づくと、全速力で競争に加わる。
     ちょっぴり合宿の方向性が間違っている気はするけれど。
     普段はふざけている皆が命懸けで何かに臨む姿は――やっぱり、格好良い。
     そんな仲間達を応援しながらも。
    「うぼぁー、口の中塩っ辛い……!」
     イカ型蛍光帽達を浮き輪で追う雷。
     握り拳をぐぐぐっと気合十分な雪も、クラブで練習した成果を発揮して。
     荒波に逆らわず、泳ぎ切る事を目標に頑張っている。
     そして寵子が最後尾を泳ぐ理由は。
    「これが……天国に一番近い合宿ね」
     幼女からマッチョまで色々なオトモダチが水着で同じ方向を目指すなんて萌えずにいられるかしら、いやいられません!
     そんな寵子と並び泳ぐスガタは、疲れてきたメンバーを拾う役割。
     この荒波の中、ちょっぴり助けられた方も不安かもしれないけれど。
    「これも合宿の試練なのかもしれん。あ、私うまいこと言ったよね今」
     みんなで、玄界灘で体力の限界に挑戦です!

    「地獄だか何だか知らねぇが体力勝負なら負ける気がしねぇ」
     大量の荷物を背負い、流されてもすぐに距離を取り戻す、マラソン大会1位の淼の本気モードは流石です!
     そんな淼を見つつ、キングにおんぶされるのは。
    「ミゼリアくん、もっと早くっ。炎導くんたちに追い越されちゃうんだよ」
     計算高い……いえ、いたいけな小学生だという律。
     そしてキングが披露するのは、華麗なる犬かき……いえ、ヴァカチン泳法です!
     もし力尽きても【仮眠部】の誰かが助けてくれる……。
    「先に行ってるぞー!」
     ……はず!?
     そしてミキは、海の中を歩行中。
    「一つ海流を読み誤れば即転倒のエクストリームフローティング、とくと見さらせです」
     手抜き? いえ、より過酷な修練です!
     そんな皆を後目に、まぁ気長にやるさ、と。
     生徒会を手伝い、サボる生徒を撃墜する玖韻。でも水中呼吸はダメです!
     そしてデッキブラシは没収されたものの。
    「も少しだぜ、付いたら少しぐれぇ仮眠出来るかもなぁ」
     春仁は荷物を背に泳ぎながら、そう一部溺れかけの仲間達に声掛けを。

     先祖代々水練と言えば黒の褌!
     正流は潮の流れを見つつ、相棒の律希をサポートしながら泳いで。
     流されそうになってしがみつく彼女の感触にも、必死で平常心を保つ。頑張れ理性!
     それから、足手纏いになるなら自分を置いて行ってと言う律希を。
    「これなら顔を見ながら進めますね♪」
     背泳ぎの体勢をとり、その逞しい胸元に乗せる。ゴールまで、一緒だから。
     そしてシュテラもそんな二人に続いて。
    「うわっぷ! これは、本当に荒波なのね……!」
     一生懸命泳いで、体力増強!

     オチを付ける為……いや、魔人生徒会など恐れるるに足らずと。
     玄界灘に浮かぶのは【ムサシザカ海賊団】のゴムボート――いえ、海賊船です!
     でもやっぱり。
    「ゲェー! もう来やがったのか!」
     すぐに生徒会のモータボートの追跡に合い、海流に流される海賊船。
     だが海賊にとっては秩序こそエネミー!
    「なぁに全滅させてから追い付きます!」
     そんなアレな台詞とともに小夏が水上を駆ける中。
    「いやいや、自爆装置はまだ早いってば、鴎。早いってばーっ! ぁ……」
     タージの声も空しく、ひかるがキャプテンに託したソレが、ぽちっと押された瞬間。
    「おーぼーえーてーろーっ!!」
     ちゅどーんと見事に自爆です、オチを有難うございました!

     そして走りきり泳ぎきった皆に、容赦なく笑顔で告げられる金印ペナルティーとは。
    「金印を押された皆さんは、スタートの志賀島に戻ってくださいね♪」
     はい、また始めからマラソンと遠泳してください!

    ●キャンプ? バカンス?? いえ地獄ですってばIN無人島!
     無人島は、本当に何もありません。
     豊富な自然の食材? 沢山の野生動物?? まず、飲み水すらありません!
     まぁ幸い、玄界灘には沢山魚が泳いでいます。草なら生えてるし、虫もいるかと。
     便利な防具ESPは最初に言ったように『手抜き』とみなし不可ですが、自力のサイキックはまぁOKですので。
     何とか頑張って、水や食料を確保してくださいね!

    「サバイバルといえば、食糧、水、拠点ッスね!」
     自然も修羅ッスね、FUKUOKA★と。
     何とか荒波を乗り越えた有栖も、まずは雨風を凌げる場所をと探索。
    「寝床、トイレの場所さえ確保できれば……ですけど」
     沢山の荷物を抱える舞斗もそうぐるりと周囲を探索した後。
     山暮らしの野草の知識を生かし山へ、海の幸を確保すべく海へと、食材を揃えに。
     やはり最優先は水!
     久しぶりの島篭りという光明も真っ先に真水のある場所と水質を確認、高所から島を見回して。
     野営地設置後、食料調達すべく素潜り漁へ。
     とりあえず真水調達や釣り場になる河口を探してから。
     野生動物除けをするべく、火を炊く準備をする政義。
     もしそれでも近寄って来る場合は……明日の朝食です!
     そして大事なのはやはり、食料の調達!
     野草や魚の知識はある為、食糧集めは問題ないが。
    「集められるかどうかは運次第だけどね……」
     そう、運次第!
     でも皆と一緒に料理して食べられればと、鷹飛も食材探しへGO!
     ヒーローたるもの、根性と体力は必須ですから。
    「この玄界灘のパワーをもらって頑張るぞー!」
     気力も十分、食料を確保すべく劔が狙うは魚や鳥。
    「ごっはん~、ごっはん~♪」
     飛ぶ鳥を小石で落とせないかと空を見上げた後。
     優子はとりあえず素手で魚を捕まえるべく、玄界灘へとダイブ!
    「すごいや、川とは比べ物にならないくらい魚がたくさんいる!」
     合宿も海も初めての龍輝もそう声を上げつつ。
     玄界灘へ飛び込み、銛で魚を突いては捕獲して。
    「一緒、に、お魚取り、いたしま、せぬかー?」
     そう声を掛けたスタイルの良い綾と、頷いたつるぺたスク水な紗矢の二人は。
     潜った海で、魚を影業の網でゲットしてはVサイン!
    「……沖縄の海とは違うのかな」
     光画部の皆とサバイバルに臨む星瞑も、槍で魚釣りにチャレンジ。
     雷歌も即席で作った銛を持って、紫電と一緒に素潜り。
     食べられそうな果物や植物も探して、調理はクリエイトファイアで!
     ちょっと火力調節はできませんけど。
     そして、初心者には銛突きよりも釣りが無難だと。
    「それなりの数を釣るためには……うむ、まずは撒餌だな」
     持ち込んでおいた釣り竿を携え、昌之は仕掛けの餌を岩場で現地調達。
     同じ様に現地で用意した餌を、持参した釣竿へとつけてから。
    「なーにが釣れるかなー、ふんふふーん」
     魚がかかるのを、鼻歌を歌いながら待つななみ。
     夏海はなかなか釣れず、うとうとしていたが。
    「うわっ、きた! 絶対逃がさないからな!」
     ついにヒット! そこそこの大きさだけど、めちゃくちゃ嬉しい食料ゲットです!
    「ひゃっほーキャンプだキャンプ! と思ったのに食料自力調達とか」
     ええ、地獄合宿ですから!
     玲も無難に釣りをしてみるも……サバイバルは助け合い精神。
     今日は大物釣った人にあやかる所存!
     丁度その時。
    「やっぱこれを言わなきゃな……獲ったどーー!!」
     捕獲した魚を掲げるリューネは、周囲の皆にも声を掛ける。
     ご飯は大勢で食べた方が断然美味いですから!
     元気いっぱいに動き回る秋穂も。
    「こまったときはおたがいさまだよ? はいどーぞっ♪」
     釣った魚をお裾分け!
     同じく、見つけた釣りポイントで釣竿を垂らす剣。
    「極上の魚……ばっちりと釣らせて貰おう!」
     でも捕った魚は食べません、挑むは食料をかけたサバイバル模擬戦です!
     そして狙う幸は海だけでなく、山にも。
    「きのこはっけーん!」
     あれ、これって……食べれるのかな? と。
     首を傾けるも、とりあえず持って帰ろうとするみのりに。
    「それは毒キノコだ。こっちの茸は焼いても鍋でも旨いぞ」
     豊富な茸知識を駆使し教える龍夜。被害者が減りました!
     それから龍夜は食用茸を集め、魚や肉と交換の交渉を。
     濡れぬよう調味料や米持参の凪も、野草類を調達しに山へ。
     鈴や獣よけも準備しつつ、お手伝いのサボりの取り締まりも抜かりなく!
     翔子も山籠もり経験を生かし、野草や木の実を集めながらも。
     より鍛錬に励むべく敢えて錘をつけ、クマを仕留めるべく箒星といざ山奥へ!
     でも思った以上に、意外と遭遇しないもの。
    「勝った方が食料を得る。……単純だろ?」
     そう野生動物と戦うべく山に入った広樹だったが。
     なかなか出遭えず、空腹でばたんきゅー。
     サバイバルは部活の真骨頂だと言う鈴も、やっと小動物を見つけるも。
    「アハハハ、キミの行く先は、ボクらの胃袋しか残ってないんだよ……」
     食欲で正気を失っています……!?

     そして何とか必死に集めた食材で、サバイバルな夕食!
     修羅の国の非常食・堅パンは海水でへにゃりとなったけれど。
    「どれ、手伝ってやるかね」
     無事釣れた魚を調理する月吼は、火起こしに苦戦する人に声掛けて。
     小麦粉、パン粉は海水にやられたが。対策を取った卵と、油やフライパンは何とか無事。
     それに島の食材はそう豊富ではないが。
     フィリスは材料を提供しつつ、加熱調理は料理上手な人にお任せ。
     そんな皆やミルフィの用意した食材で。
    「皆さんどうぞ、召し上がってください……♪」
     アリスは料理の腕をふるい、サボる人達に金印も押印、生徒会のお手伝いも。
     そして昔を思い出しつつも、素潜りで魚を獲った流人であったが。
    「……いかん、塩とか持ってきてなかったから純粋に焼くか刺身しか出来ぬではないか」
     でも丁度お誂え向きに。
    「……良かったらお試しされますか?」
     翡翠が流人や紗矢に差し出したのは、持参した福岡定番の刺身醤油!
     魚と調味料の交換こです。
    「別に食えれば何でも良いが、漁も悪くはないな」
     ガンナイフで仕留め適当に捌いた魚を直火で焼きつつ、食料にありつく朱香。
     織兎も結構器用に獲れた魚を紗矢へとお裾分けしながらも。
    「本格的合宿って感じだよな~!」
     近くでキャンプする皆から他の食料を分けて貰って。
    「重かろうがお好み焼きを知ってもらう為なら苦じゃない!」
     荒波の中、ミッキーと根性で運んだ材料で。
     広島風お好み焼きを作り、皆にふるまうのは來鯉。
     七葉も持参した釣竿で釣った魚や海水から取った塩で、夕ごはん。
     そして、張っていた罠にすてんとかかった紗矢に、金網で焼いた魚を。
     怪獣ぱじゃまと同デザインのウェットスーツで素潜りし、獲った魚や貝を。
     ユーキも調理して、いただきます!
     彼女以外……とても箸をつけられない惨状ですが。
     希は紗矢に、串刺しにした焼魚と非常食のチョコをお裾分けして。
    「寝るときの見張り番を交代で頼みたいがいいか?」
     星空の下での、夜の見張りの交代こを約束。
     獲った魚と乾パンを食べるロイも。
    「懐かしいな、旅をしていた時の事を思い出す……」
     生徒会の手伝いをしながらも、このサバイバルな雰囲気を楽しんで。
     野草や木の実、綺麗に捌いた魚を、皆にもお裾分けした後。
     篠介はふいにごろりと寝転がり、満天の星空見上げ、笑う。
     地獄も割と楽しいよな、と。

    ●そこかしこでやたら轟く『獲ったどー!!』IN無人島
    「RB海班、準備はいいか! 俺に続けぇー!!」
    「イエッサー!」
     即席の銛を手に海に潜るは【Rain Bucket】海団の、総一郎と綾乃!
     その姿は正に海の男! ですが。
    「ぎゃあああサメだー!?」
     サメだああああー!!?
     でも!!
    「サメとったどー!!」
     数分の格闘後、綾乃は勝利宣言!!
     そして鏡花は陸で、寝床確保班の任務を終え休憩中?
     それから海団をおかえりーと労って。料理は主婦にお任せ!
     その頃、森で食糧調達班は体操座り??
    「……まおさん、睨んでてもスマホは生き返らないよ……」
     海水が染みた愛機にしょげる真織に声掛ける初季。なんで持ってきた。
     でもお腹はすくもの。
    「これは……こごみ、でしょうか。それとも、ぜんまい? わらび?」
     そう立ち尽くすインドア派に、初季は山菜を教えてあげて。
    「サメ!? ハンマーヘッドシャーク!?」
     戻ったテントにいたサメにビックリ。

     こう見えて、料理は好きなんだ。
     そう言った来栖は慌てるレンリを後目に。
    「来栖嬢、火を使わないでください。周りが危険ですからやめ……」
    「おや……焦げた。まぁよく火が通っていて良いよな」
     火、通し過ぎです!?
     そして正直、今までで一番嫌な予感しかしない紅楼は。
     カレーという献立チョイスにホッとしたのも、束の間。
    「確か、本格的なカレーは小麦粉とカレー粉で作ると家のシェフが言っていた」
    「は……? いや、ちょっと待て、それはプロがやること……」
    「ちょっ、爆発しますからやめてください……」
     やめろ何で持ってる!? と。レンリと一緒に、粉を出したセシルにツッこむ。
     粉塵爆発的な惨劇が起きますから!?

    「休憩している暇はありません、さぁ、野営の準備です」
     そう、バテてはいられません!
     鞠藻の言葉に、軍曹殿こと寧美も大いに燃えて。
    「ごはん! ごはん食べたいっ! 食べよう! 作ろう!!」
     千巻に頷く【井の頭2-9】の皆で作るのは、定番のカレーライス!
    「まず変な具を入れさせない為にまともな具を確保しないと……」
    「食べれる野草とかは詳しいわよ。魚も捌けるし料理なら任せなさい」
     殊亜や巫女も早速食材確保へ。
    「ウネウネしたのいないよね……?」
     紫は集まった食材をチェックしつつ、皆と調理して。
    「やはりみなで食うカレーは美味いなそう思うだろ」
     出来たカレーの味に、どや顔する寧美。
     それから食後に千巻持参の花火をしつつも。
    「あ、女子はちゃんと夜寝るんやで。遠慮のう、しっかり寝るとええよー」
     今まで体力温存していた右九兵衛は夜の見張りを買って出る。
     いえ……今からが真の戦い!?
    「寝ている間もサバイバルです」
    「うくべー君とか野生動物が襲ってきても紫さんは守るからね!」
    「うちの女の子達に手を出す馬鹿者がいれば鉄拳制裁するから、安心なさいな」
    「万が一に備えて拾った木材抱いておくからね」
    「あ、警戒済みってか? デッスヨネー☆」
     超警戒されまくっています、ええ!

     何とか無人島に着いた【風灯り】の皆は、山・海・空に分担して食料調達!
     智恵美がキノコや果実を、珠緒が素潜りで魚やサザエをゲット。
     空担当の松庵はキジバトを……って、鳥!?
    「戦果は……二人共すごいですね! 私の方もじゃ~んっ! です」
    「幻覚性のあるキノコとか混ざってないよね?」
     大丈夫、図鑑で調査済み!
    「魚などは捌くとして、サザエは網焼きでもしよう」
     テントやコンロも万端、夕飯作りの開始。
     むしろ豪華かもしれない食事で、明日も生き抜きましょう!

     【空中庭園喫茶】の皆もまずは食料。
    「魚を採ったり、食べれる野草を探すのなら任せろ」
     山奥育ちの神奈はまだピンピン元気!
     逆に休みたい大和だが、とりあえず持参品でお米を炊いて。
    「おっ、活きのいいのが獲れたな! これは……いかにもやばそうだけど、食えるのか?」
     どうにかして海鮮丼・無人島バージョンを!

     食料確保も勝ち負けがあれば燃えるから。
     誰が一番大物を獲るか、【SG】の皆で勝負!
     海に潜るイヴ達を、最初は釣り糸を垂らし眺めていたウルスラだが。
    「……って我慢できるかデェッス! あ、ユラ、そっち行ったデース!」
    「……えっ? ……きゃあっ!!? ……今、足にぬるっとしたものがーっ!?」
     水中に参戦! 由良も妙な感触に声を上げて。
    「よっしゃー! 大物来たこれ! 優勝は俺だな!」
     海は得意だという蓮二は、超可愛いと、魚とキャッキャ。
     だが……そんな皆を狙うカメラ小僧が!?
     空哉は皆の『獲ったどー!』ポーズを撮りつつも。
     やはりつい、女子の水着にカメラを。
     でも。
    「……え? これ罰ゲーム有りなの? あかん! 適当にウツボでも何でもとってこねばー!」
     そしてその隙に。
    「……本当に欲望に忠実な人ね」
     イヴが女子の水着写真を、さくっと削除です!

     【o4】のキャンプはESPフル稼働の予定でしたが。ここは地獄、ESP無しの自力でGO!
     晩御飯の行方は、海にジャブジャブ入っていく円蔵の腕に。
    「……何も取れなくても、せめて海草ぐらいは持って帰りますので、ヒヒ!」
     ということでまずは、海草確保。
     燈子は岩場で貝や海藻を収穫しつつ、皆とぱちゃぱちゃ!
     千穂もわん! と元気な梅太郎と潮干狩りしながら。
    「濡れちゃったけど頑張ったよー!」
     大漁の戦利品にえへんと笑むシンを、すごい! と褒めて。
    「わ、シン先輩岩牡蠣だ」
     いそいそ鍋の準備をするかごめは、飯盒炊爨でご飯を。メイド姿な燈子シェフの味付けに期待!
     そして拠点の洞穴に、ヒヒヒ、と海の幸を獲って戻った円蔵も一緒に。
     シンは並ぶ笑顔にシャッターを切った後、豪華な夕食を!
     皆が集めた食材を、皆で一緒に食べれば。それが一番の美味しいおまじない、かも。

    「これ以上動くとか死んじゃうよぉ!」
     でも腹ぺこでも死んじゃいますよぉ!
     理一は【蝉時雨】の皆と釣りしつつ体力温存、ですが。
    「……波で揺れてるのかしら。ねえ、これ引いてる?」
    「おい、もしかして魚来てんじゃね?」
    「……って、ホナミちゃんそれ引いてる! 引いてるよ! 釣りあげてええ!」
     小首を傾げるホナミ、ヒットしてます!!
     茉莉も魚を釣るも。
    「あ……、折角釣ったお魚が逃げちゃったの……」
     活きが良くて、海にぽちゃん。
     そして民謡を口ずさむ遥音は何の歌か訊かれて。な、何でもない、と顔を赤くするも。
     楽し気に瞳を輝かせて海に潜り、食材ゲット!
     そして理一の知識や遥音の調味料を使い、食材を蒸し焼きにする嘉市は。
    「あっ、こら、食ってんじゃねえ!」
     つまみ食いする理一をグーで殴ろうとするも。理一も必死に逃亡!
     美味しそうだし、お約束だから……仕方ない??

     狩りに出た【閑話】のメイン戦力・ツェツィーリアを待つ間。
    「釣りやったことないんだー。おーしーえてー」
     暦はフィドルフに釣りの餌をつけて貰いつつ、べったりヘルプ!
     そして――暦に飛ぶは、矢や銛や絶対零度の視線。
    「本来俺のフィルといちゃついてるだけの君に喰わす飯は無ェが、優しい彼が自分のを君にやるのも癪だから1人分はくれてやるよ」
     嫉妬かむしろツンデレかもな言葉と共に戻ったツェツィーリアに。
     フィドルフは焚火を教わりつつも、結局は二人で惚気合うのだった。

     歴史浪漫溢れる志賀島から遠泳し到着した無人島で。
     【吉祥】の皆も休む暇なく食材探しへ。
     そういえばカエルって美味しいらしいよ、捕まえてってみる? と。
     言った樹燕に、料理は自重しておく奏は返す。
    「カエルか、鶏肉に似てあっさりした味で美味いらしい」
    「いや、冗談! 冗談だからっ!」
     そして玄界灘の漁師に倣う梗香の釣りの手法は、夜焚き釣り!
    「ほう、なかなかテクニカルだな」
     狼はそう感心しつつ、捕獲した魚を三枚におろして。
    「じゃー俺、火起こし隊長な!」
     慧樹は樹燕や奏と、枯れ枝拾い。
     そして、これも経験、と。本の知識を実践する尚竹。
     海水を蒸留したり、携帯浄水器で真水の確保を試みて。狼は出来た塩で魚に味付け。
     そんな手早い皆に、俺はなにしよっかなと呟いた浩之は。
    「……お、重い」
     テーブルと椅子にする石を頑張って設置!
     そして準備も整って。
    「さあ、火を起こして魚を焼いて食べよう」
     そう言った尚竹に、ふふーんと慧樹は得意顔。
     用意したのは、調理用の焚火と――キャンプファイヤー。
     星空の下で食事し、炎に照る仲間達の顔を見つつも全員が思う。
     疲れたけれど、このメンバーなら地獄合宿も悪くない。
     でもやはり……夏になったら『普通の』キャンプをしたいと。

     【ジンジャーエール部】の夕食もカレー!
     魚は俺が捌くから、という零冶の手際に。
     手をぱちぱちした依鈴は、ジャガイモの皮をむく壱を見て。
    「……壱先輩、料理できないんだね……」
     戦力外通告!
    「結構食べれる感じに剥けたと思うんだけどなー……」
    「……さっさと薪拾いに行くぞ」
     そう全は壱の首根っこを掴んで。
     自覚なしと自覚ありの料理できない人は火起こし係、ですが。
    「え、まさか…!?」
    「面倒だ、クリエイトファイアで良いだろ」
     でも火加減調節難しいよ!
     そしてスッピン対策済みな蛍が並べるのは葉っぱの皿と。
    「……あ、これとか使えるんじゃなァい?」
     貝殻のスプーン。
    「生臭さが出るから絶対に鍋に入れるなよ、絶対にだ」
     鍋を守る零冶の言葉に魚を入れたくなるも……我慢!
     それから蛍の隣に依鈴も座って。皆でキャンプファイヤーの如く炎を囲んで。
     美味な食事と、過酷だけど楽しい時間を。

    「びしょ濡れの服のままだと風邪引いちゃうよ?」
     大切なタキシードがsoddenなアーリストにタオルを渡し、パンダさんを乾かすリネットに。
    「Thank you! お前の優しさが心にsonantするぜ」
     礼を言い水気を取った後、彼が彼女と春雪に披露するのは。 
    「春君みてみて。どうなってるんだろうね~!」
    「すごいなー! 本当に魔法使いみたいだ!」
     そう、maximumなマジック!
     そして体力続く限り、疲れた皆にhealingを届けるshowtimeを!

     死ぬ目を見つつ島に着いた【トリノコ】の面々。
     阿吽と山に入る笙音は、採ったものが食べられるか芒に選定を委ねるも。
    「最低過熱されてば大体OKです!」
     ……その両手のグロ際どいきのこも??
     そして海では。
    「宗佑センパイ競争な! デカイの獲った方が勝ち!」
    「悉く俺たち人間離れしてるよね!」
     東と宗佑が、獲ったどー!!
     そして宗佑と芒が調理を、東は霊犬ズと遊んでた……はずが。
    「……あれ? なんか獰猛そうなの増えとんねやけど」
     って、それ野犬の群れですよ!!
     そして僕はもうダメですと、芒は意識朦朧に。主に腹痛で。
     でも……ゆらり蠢くは、空腹でイラッとした笙音。
    「野犬? こっちは飢えた灼滅者4人ですがなにか?」
     強く生き延びてね!

     これまでも温泉の返り討ちにあった【純潔のフィラルジア】。
     そしてここは無人島、でも!
    「……諸君、この由々しき事態を打破すべきインテリジェンス溢るる解決策は……わかるな?」
     ――温泉がないなら掘ればいいじゃない!!
    「やっべー、俺かしこ過ぎてモテ期の予感……!」
    「ナイスアイディアだよ早鞍くん、流石は部長!」
     はい、全然懲りてません!!
     いや、桃源郷は見つけるものじゃない、創りあげるモノ!!
     超キツくても振るうのをやめない紫廉の拳は、温泉を待ちわびる美少女たちの為! そんなびしょうじょいませんけど!
     そして、みをきはふと思う――水脈は本当に通っているのか?
    「……まぁ、気にしても意味が無いな。うん、忘れよう」
     遠泳で水着女子見る余裕がなかったフュルヒテゴットもそう思う事にして。
    「これが、けっこう、きつい……」
     温泉の周囲に置く大きい石を。
     掘れ掘れボーイズの同士とひたすら堀りまくる恭太朗は。
    「ついでに俺たちが作った証って事で全員の名前刻んでおこう」
     何か墓石みたいだけど気にしない!
     そして湯上りホカホカ桃色女子を夢見る匡は、紗矢に泥々な笑顔で手を振る。
    「温泉もうすぐ掘れるから、一緒に入ろ……あっ! ちょっとこっちに土掛けないで!」
     墓穴と思ったみたいです。
     そして温泉作業を影で支える面々。
    「これだけ食べれば体力も回復するはず……!」
     一都が用意するのは、新鮮な刺身やイカ飯。美味しそう!
    「あー温泉いいなー俺も入りたい」
     そう千早も一都を手伝い、真水探し。
    「疲れるだろうし、寝床も必要だよね」
     律もハンモックや炊事に使う木の枝を集めて。
     ずっと秋夜がドラム缶背負ってたのはこのため……皆に、ドラム缶風呂を!
    「炎……? 何言ってんだよ、ここにあるだろ?」
    「秋夜! 桃源郷を見る前に死ぬんじゃないぞ」
     燃える欲望の如き失血死レベルのクリエイトファイアが!
     途流はそんな秋夜に合掌しつつ、儚げ系女子を密かに所望してたりしてなかったり。
     そして千早は心で叫ぶ。血は大事にぃぃぃぃ!!
     同じ頃――藍蔵は男と男の一騎打ちの末、雄猪を仕留めて。
    「このキノコ、随分ショッキングな色してるわね……ま、でも大丈夫ね!」
     ショッキングな食材ゲット!
     そして純也は周辺の警邏にあたりつつ、先達各位を見て呟く。
    「ところで、寝なくて良いのか」
     睡眠欲に勝る欲望があるから!
     そして前方後円墳を作るみをきの隣で――壱は、気付いてしまう。
    「これじゃ湯上り姿ンおなごを堪能できんばかりか、水着姿さえも見れんじゃあないですかっ」
     それって結局……ただの地獄じゃん!!

     【仮眠部】の皆も、それぞれ分かれて食材確保。
    「たっぷり集めて美味しいご飯を作るのだ!」
    「できるだけ若い方がおいしいわよね」
     手帳で野草の種類を確認するミレーヌから離れぬよう歩く楼沙。
     決して不安だとか怖いとかじゃないですよ?
     でも姉様がずっと欲しかったから。お姉ちゃん、とそう呼んでみる。
    「これ、味見してみて?」
     歩夏から採った果物を渡される智代。
    「ほわ? ……これ見た目イガイガやねんね? 食べれんのん? ほんまに食べれますのん……!?」
     だが部長命令には逆らえず、ぱくり。結構、毒々しくてもいける!?
     鳥や兎を狙う蓮太郎は、次第にチマチマ考えるのが面倒になって。
    「投石で充分仕留められる……はずだ」
     獲物を追跡しつつ、力技に切り替え!
     そして皆が奮闘する中、一人本を読んでいる雪紗は、さぼり? いえいえ。
    「さて、演算によればそろそろだが」
     そう呟きパタンと本を閉じた彼女が向う先には、野生動物が。
     島についてすぐ仕掛けておいた、トラバサミや網の罠です!
     早く文明世界に帰りたい。
     そう体操座りしつつ溜息する幸太郎だが、キャンプ自体は嫌いではない。
     でも。
    「テントなんかで寝てると入ってくるだろ……」
     虫とかが苦手なのです。
     そして海では。
    「釣りで食料ゲットできたらいいなぁ」
     トリック仕掛けのサビキ釣りでアジを狙う悠矢。
     最初は持参した小説を読んでいたが。
    「!」
     引いた重量感ある手応えに、入れ食いの予感……!?
     そしてベリザリオも、皆に十分な食事をと。
    「故郷では銛一本で魚を捕ってましたもの。槍でも大漁に捕ってお見せしますわ!」
     深い場所に潜む魚をブチ抜く、螺旋に唸る妖の槍を!
     そんな皆の確保した食材を手際よく調理するのは、キッサ。
     狩ったり捌いたりしつつ、火起こしや水場確保もバッチリです!

     テレビじゃないよ、【文芸部・跡地!】の地獄合宿だよ!
     ちなみに防具ESP没収されてます、さばいばる!
     山に入り、兎紀はまずキノコゲット!
    「うわぁ、なにこれえげつねー色してる……まぁいいか」
     まぁ大丈夫なのもあるだろ、たぶん、と。
     そして木の実探索途中の勘九郎と彰二は。
    「上手に焼けましたー! ……あれ?」
    「……わー、しょーちゃん、それ焼き過ぎだぞ! まっくろだ!」
     遭遇した野生動物を焼きすぎちゃいました。
     そして素潜りし沢山魚を捕獲した豹は。
    「つい張り切っちまったぜ。有難く食えよ」
     豪華な魚料理を!
     そして皆の食材も……キノコもまぁ、死にはしないんじゃないかな。
     そんな豹に小突かれる天狼。
    「オイ、ボケっとしてねえでもっと仕事しろよ」
    「いっ一応、飲み水の確保しましたってばー!」
     まぁ飲み水大事ですしね、うん。
     そして家事に勤しむイブは、清潔感大事だと。
    「ちょ、いたッ、痛ぇよ!」
    「痛い? 嫌ですね軽く叩いてるだけですよ」
     防具ESPは使えなくとも、彰二の服をパンパン強めに叩いて払ってあげる。

     【月光樹】のテントを張って飲み水も確保した那岐は、今度は図鑑を見つつ山菜探し。
     澪もこれまでの過程で相当バテつつも、大物を狙って魚釣り!
    「でも俺、こういう時に限って運無いからな……」
     なんだかつれる気がしないぜ……と思いつつ、掘り返して調達した餌を針に。
     そしてまだまだ元気な智巳は、山の野生動物と真正面からガチ勝負!?
     小動物には目もくれず、探す獲物は島の主です!
     そして食事後、虫除けしつつも星空を見上げる那岐。明日も晴れそうです。

     【箱庭ラボ】の皆も、流石に少し疲れをみせるが。でもこれからが本番!
    「休憩しながらでいいから薪拾いしましょ?」
     そんな律花に頷く、創矢と叡、望夜。
    「薪拾いね、よっこらせっと」
    「……なんか叡、おっさんくさい……」
    「ノラは元気そうだから、食糧確保お願いできないかしら?」
    「俺も食糧確保に同行するとしよう。……慣れないが釣りでもするとしようか」
    「あいよ、食糧なー! いくぞ、春翔ー!」
     そう春翔を伴い張り切る良太は、素潜りで魚獲り!
     正体不明の巨大な魚をブラ下げてあがってくるも……ちょっと美味しくなさそうな顔?
     そして皆で獲った食材を料理する春翔は。
    「あ、お料理、少しならできます、から……手伝います」
    「魚なら、俺も捌けますよ。あと姉さんは間違っても料理しないように」
    「何でしたら料理も……あら朔夜ちゃん、やっぱりダメ?」
    「皆が手伝ってくれるのならば助かる」
     創矢や朔夜、マジで辞めてくれと止めたけど望夜の申し出に、表情を少しだけ緩めて。
     いつかワタシも腕を奮いますからね? と、わざとらしく拗ねていた叡もくすくす。
     そしてキャンプに大切な火は。
    「あ! 木をこすって火を点けるの、何かの体験会でやったことありますよ!」
     そう珠姫が申し出て。ついでに鋼糸で動物よけも。
     サバイバルは知識とひらめき勝負だと思います!
     それに勿論。
    「……僕も、少しはこの合宿で体力付くかなあ?」
     体力勝負なのです!

     【万華境】の面々も、海と山で食材集め。
    「わぁ……餌を針に付けるのってちょっと怖いですねー」
    「釣りは初めてなのですか? 力を抜いて、浮きが沈んだら竿を引いてくださいね」
     そう緋沙に教えてあげる御理。己言も枝の釣竿で頑張ります!
     藍蘭は、食用の山菜か見分けるべく図鑑と見比べて。
    「山菜ご飯とかしたら、美味しそうですね……」
     これくらいあれば充分でしょうかと皆の元へ。
     そして色々な食材で沢山の料理が!
    「出来たね~! じゃ、食べよ~♪」
    「自分達で採った食材で作る料理って、より一層美味しく感じますね」
    「無人島って何も無いようですけど、みんなと一緒だとすごく楽しいですね」
     地獄合宿を楽しむ位の気持ちで。

    「……勇介と悟は、大丈夫かい……」
     大量の荷物で地獄を見ながらも。振り返った薫平に、悟は薄笑いサムズアップ!
    「さぁ気合い入れ直して地獄プリンや!」
     【Chaser】の合宿といえば、プリンー!!
    「いざ材料探し、ごー!」
     悟から手順を聞いたミカエラの先導で、ごー!
     ミカエラは山羊の乳。薫平と勇介も、野鳥の卵や岩海苔を。
     そして。
    「キノコ! これとかすっごいキレイだよ! 食べられるかなぁ?」
     陽桜が、明らかに怪しげなカラフルさのキノコ指してますけど!?
     そして焼魚やスープも作りつつ。
    「そだ、万能調味料、カレー粉入れちゃっていいー? 小エビと青海苔もー♪」
    「ミッキーちょい待ち砂糖あるで」
    「やっと、やっとプリンが食べれるっ」
     ……一体どんなプリンが!?
    「おいしい~!」
    「うまー生き返るぅ」
    「う、うまいっ……こんなうまいプリン食べたの、初めてだ……」
     おいしいプリンができました……!?

     【アルニカ】の皆も海へ!
     さーて張り切って獲ってくるわよーと。
     妖の槍を振り回すくるみが狙うは、一番食べ応えある魚!
    「釣り初めてだけど、結構面白いねー」 
     地獄合宿に胃が痛かった千鶴も、普通の魚を次々釣って。
    「わかめの友釣りですのよ! うおー!」
     数十分泳いだ玲璃の髪には、大漁の海の幸!?
     ……え、危険な緑のタコも??
     そしてメイクの落ちた檀は、律に写メられつつも。
    「ん、それは食べられるから大丈夫です」
     確保したものが食べられるか、図鑑を見て判断。
     そして、敬厳が張ったテントに戻ったくるみの戦利品は。
    「変なお顔のお魚見付けたわよ!」
    「ふえええ、くるみちゃんの持ってきたおさかな大きいよー!?」
     めいこも驚く、どデカサイズの魚!! 逞しすぎます!
     そんな巨大魚を前に、本気で調理に取り掛かる律。
    「アカシュモクザメ……何とかするしかないな」
    「……鮫なの? まぁ食べられるでしょっ」
     沢山食べられると思います!
    「それにしても大漁ですね!」
     サメってどんな味なんでしょう、と敬厳も楽しみな様子で。
     めいこも鮫は兄に任せ、玲璃のわかめで味噌汁を。
     そして千鶴は改めて。
    「こんなぶっ飛んだ合宿、一人じゃ耐えられなかっただろうな……」
     皆に、感謝するのだった。

    「……なんや今度は川が見えるんやけど」
     十織は【糸屋】の点呼をしつつ、どこぞの川から一浄を引き戻してから。
     簡単なカマドを作って味噌汁でも……。
    「……溶けてやがる。はやすぎたんだ」
    「味噌は……犠牲になったんだ」
     味噌味になった荒波恐るべし。
     さらに今度は魚釣り! ですが。
    「此処は魚いないんや」
     そう呟くチセの釣竿は、ワカメの大漁です。
     十織と彩葉も同じくワカメ。
    「ふっ、ここは僕の出番かな。大きい魚狙うよ」
     そう得意げだったアストルは、ワカメの気配さえ皆無。
     そんな中、巨大烏賊を銜え泳ぐのは……お手柄なシキテ!
     そしてご飯作りに気合が入る彩葉だが見事に海草ばかり。
     でも。
    「なぁ彩葉はん、海草サラダも作りましょか」
     大漁のワカメも、美味なご飯に早変わり!
     そして満腹になってごろり寝転がれば。
     過酷だけど楽しい地獄に降る――満天星たちのご褒美が。

     瑠璃羽と紗矢が一緒に拾うは、亀の手などの不思議生物。
     さらに唯人の調達食材は、遠泳中に絡まった謎の海藻。
     そして瑠璃羽と【そよ風クラブ】の皆と紗矢を『玄界灘そよ風風ディナー』へ!
    「多分……美味しいはず?」
     不思議色彩に不気味な亀の手浮かぶソレを食べた唯人の感想は。
    「ん~っと……海の味がするね、うん、海だ海……」
     海です!!
     そして瞳が作るのは。
    「キャンプといったらこれじゃろう」
     激辛レトルトカレー! サバイバルらしい個性的な具の。
     そして大物を釣って捌いた謎体力の恭乃が振舞うは。
    「どうぞ、皆様。刺身各種盛り合わせですよ~」
     超新鮮なお刺身!
     そして刺身のピクピクが止むのを待てずに……聞こえ始める、瑠璃羽の寝息。

     素潜りの方が効率よく魚介類を獲れるのではと。
    「さあ、お魚さん覚悟してください……!」
     菫が銛で魚を突き、貝を回収する間。 
    「魚釣り、楽しいな……これはちょっとはまりそうだ」
     そう言葉が釣って捌いた魚と持ち込んだ野菜を久遠は調理して。
    「労いも込めて、海鮮鍋を堪能してくれ」
     【雨宿り】の皆で、鍋を。
     そして風雪と共に火の番を買って出る彼や菫に。
    「二人と一緒に参加出来て良かった…とても心強かったよ。……ありがとうね」
     言葉は、そう労いの言葉を。

     クォーツはまず士郎と寝るテントを張って。
    「!! 手伝ってくれるの? ありがと……!」
     そう言いつつ重いものを軽々持つ流空の、薪拾いを手伝う。
     そして流空は、陸と釣りを。
    「最近調子はどうだ? 寂しくないか?」
     そう聞く兄に寄り添い、兄さん姉さんが居て寂しいわけないよ♪
     寂しい時には俺呼んでよね、と答えてから。
     薪集めを褒められれば、クォーツさんも手伝ってくれたと上機嫌。
     そして七狼は野生生物や野草を探す枷織に、手伝うよと声かけて。
    「二人ナらドンナ獲物も狙えルな」
    「あぁ、俺達で力を合わせれば穫れない獲物は無いよ」
     沢山の食材確保し、陸たちに、魚釣レたか? と問う。
     そして食材を解体する狂夜。
     そのナイフ捌きに兄達も圧巻、褒められた狂夜も心底嬉しそう。
    「皆でキャンプみたいで楽しいね……♪」
     そう仲良くクォーツと料理する黒雛に。
     兄達は感慨深かったり、その料理の腕に感心したり。
    「大好きな人たちと一緒でとっても幸せです……♪」
     楽しそうに笑う黒雛にクォーツも頬緩ませるも。
     仕方なく狂夜は魚と動物の目玉詰め合わせを彼へくれてやった後。
    「嬉しい、ありがと……大事、食べる」
    「赤毛に分けちゃだめだからね!」
     黒雛のいない所で彼を睨み、チコと沢山走り回った友達の士郎には美味しいところを。
     そしてクローツと一緒に、士郎とチコはテントへ。
     兄妹達も星空を堪能しつつ思う――皆一緒だから乗り越えられる、と。

    「大物の魚獲れるまで戻ってこないでよ?」
     そう言うアシュに、期待していろと海へ赴いた朱那と才葉は。
    「わははは、シューナ! 変なのいたぜー!」
    「わーサイワ、ソレは食べれそうにないわー」
     素潜りで、魚から興味を引かれるものまで、キャッキャ捕獲!
     そして釜戸準備から料理まで完璧なアシュが調理した夕食を食べつつ。
    「うーん、白いゴハンにお魚、幸せだネ~」
    「この焼き魚うまーっ!」
    「焼き魚って外で食べてこそ美味だよね」
     【空部】らしく、3人で星空を見上げる。

    「エルさんマジか。沈むなって!」
     そう供助に引っ張られ辿り着いたのは絶海の孤島だった――。
     ということで、供助と民子が食料確保へ向かう間に。
     エルメンガルトがシーツで作るのは、ハンモック!
     供助は釣りと銛で魚を。民子が鳥らしき卵と見た事のあるっぽい果物と、お手柄の湧き水をゲットして。
     食材を、作った簡易釜戸や石焼きや串焼きにして、味噌味に。
     お腹一杯、後は就寝……ですが。
    「あっシーツ、全部ハンモックに使っちゃった……」
     まぁ多少の寒さなら無問題!

     先生! さくらえさんがぐったりしたまま動きません!!
     いえ、さくらえだけではありません。
    「悪ぃ、薪の確保行くのもーちょい待ってくれ……」
     勇弥も荷物運搬で力尽きて、思わずよろよろ。
     そんな中、健とアサトは早速海へ食材を獲りに。
    「三國そっち魚いったぞそっちー!」
     持参した糸と針でインスタント釣り具の準備も、そして素潜りの覚悟も万全!
     貝や蟹や海草を探しつつ。銛で狙いを定めた、気合の一突きを。
     そして!
    「獲ったどー!」
     見事、確保ー!
     そんな食材を受け取った実は【フィニクス】のおかん……いえ皆が調達した物を調理する係です!
     実の手で、食材が刺身やお味噌汁、おひたしや炊き込み御飯に。
     勇弥も加具土に薪を持ってきて貰いつつ火加減を調節して。
     さくらえも、青い顔でそれを手伝った後。
     ご飯を食べつつも思うのだった。なんかどこでも生きてけるんだろうな、って。

     烈也が銛を手に、海で魚介類を獲る間に。
     沙希と翠は仲良くベース作りを。
     風雨よけは流木や葉っぱで、竈や焼き台は石を使って。
    「御柱さん遅いね」
     火を起こして石を温め、烈也の帰りを待つ。
     そして戻った烈也は魚を下拵えし、水を張った木桶に入れて。
     刺身や焼き魚を沙希と一緒に作る翠は、焼石鍋に石が投じられ出た煙に、びっくり。
    「お姉ちゃん大丈夫だよー」
     沙希は大きな煙に驚いて抱きついてきた翠を、なでなで。
     それから烈也は鍋に味噌を溶かし、料理の仕上げを。

    「ん、ついたか?」
     本の通りの手順で飛鳥は火を点けてから。
     食料採取に行った、他の【Fair】の皆の帰りを待つ。
     その頃。
    「いざと、なったら、手づかみで、頑張る……」
    「て、手掴み!? ……あ、あたしはちょっと」
     インドア派のえなは慧悟の言葉にびっくり。
     そして。
    「大きいのが釣れるといいね……って!?」
     急に糸に引っ張られ、三義が海に転落!?
     でもすかさず太郎丸を喚び出して。ぱくりと、ナイスコンビネーション!
     そして食材を持ち帰れば。
    「にいちゃん、見て見て! こんなに沢山採れたよ」
    「皆お疲れ様だ、三義も、がんばったな」
     くしゃり三義と霊犬の頭を撫でる飛鳥。
     その溺愛っぷりに无凱は魚や山菜や薬草を捌きつつ苦笑しながらも、他クラブの知人達も誘って鍋を。
     飛鳥も串に刺した魚を両面しっかり焼いて。
     採集で役に立てなかった分だと、えなも給仕に頑張る。

    (「これも訓練と思えば然程苦では……無かった、かな」)
     シルヴィオは【PhantomChaser】の皆と、食料の採取と調理を分担して。
     冷泉さんのフォローは任せて下さいですよ、と。
     羽千子も割烹着と三角巾で戦闘態勢!
     久悠は山菜を採り、薪になりそうな枝も拾って。
     飯盒に白米と採った山菜を入れ、山菜ごはんに。
    「確か簡単に石組めば石釜もできましたよね。ピザも焼けちゃうかな?」
     そうお皿を拵える羽千子は目指せお袋の味。乾杯代わりはお味噌汁とおにぎりで。
     自家製あんこのおはぎに紗矢も瞳をキラキラ。
     そしてキャンプファイヤーを囲み、皆と駄弁りご飯を食べつつ久悠は思う。
     たまにはこういうのも良いな、と。

     お母様に貰ったお菓子や食料は【竹耀茶寮】の皆に持って貰って。
    「いくぞだぉ! 冒険だ!」
     無人島でも、心のまま無邪気に遊ぶともの。
    「ほな、わいはキャンプの準備にいってくるわな」
     そうテントを設置し、大きめな石で簡単な囲炉裏も拵える始に。
    「………ふむ、こんなところかな」
     亜門は太公望よろしく釣り糸を垂らし、人数分の魚を確保した後。
    「やることは多いのぅ……」
     食べられる野草も摘んでおく。
    「とものちゃんに始君に……皆、結構食べるやろしな。ここは大漁目指すで」 
     シジマも鋼糸に木の実をつけ、思い切り魚釣りを。
     そして。
    「あとは兄やんらが食料を調達してくるのを待つはずやったんやが……」
     原始的な手法で火を起こそうとしている始に、とものと遊んでいたライスは。
    「ハジメ……マッチ使うかぉ?」
     ポリタンクから、マッチを取ってあげるのだった。

    「花音ちゃんの集めた山菜と弧月くんが採った魚を使って美味しいご飯作るからね」
     えいえい、おー! と。頑張って料理した真雪に。
    「サバイバルでも、真雪ちゃんの料理は絶品だー!」
     お嫁に欲しーい! と花音はぎゅーっ。
     それなら花音ちゃんがお婿さん? と首傾ける真雪を見つつ。
    「うむ、野外での夕食も、趣のあるモノだ……」
     弧月は無事魚を捕らえられた事に安堵して。
     三人で、流れ星にお願いを事を。
     道分かれようとも心は繋がっていける――そう、手を繋ぎながら。

     ノリノリで4人に指示する、先頭に立つ燐。
     陽和と空凛はまず釣りを。
    「空凛さん、釣りは始めてだよね? 馴れると楽しいよ?」 
     やってみようか、と言う陽和に空凛は頷いて。
    「ええ、釣りとは無縁の生活してましたから」
     そうどんどん釣っていく彼女は意外と素質あり!? 
     そしてバケツ3杯も釣る陽和の腕は、すでに達人級です。
     その頃、山では。
    「相棒、こういう体験はじめてだよね。あのね、これはフキノトウと言って、色々料理に使えるんだよ」 
     朔夜が双調に色々と説明をしていた時。
    「この場を切り抜けて燐さんの元へ収穫したものを届けましょう」
     野生の動物から戦利品と一緒に逃亡を!
     そして、地獄合宿縦断の旅もラストな不志彦は。
    「ふいー疲れた。イノシシ倒したから食おうぜ!」
    「あ、猪をグランドオーブンでか。これはおいしくなりそうだ」
     猪は勿論、燐の野草の天麩羅と魚で、豪勢なディナーを。
     そして。
    「わあ、もう準備万端。これは猪?」
     傷ひとつなく帰還した双調に聞いた空凛は。
     ふらついた身体をさり気なく彼に支えられる。

    「ねっねっ、魚獲ろうよ! 銛でね、こうやってひゅーんって」
    「ますますテレビみてぇ…ってあぶねッ!! ヒトに向けるんじゃねえよ絶!」
     危うく絶の銛で仕留められそうになる証。
    「海のお魚は手づかみで獲るには向かないでしょうか」
     お留守番のけろたんを心強く思いつつも首を傾ける絢時に、どんな罠すきー? と訊いた絶は。
    「きっとあかちゃんが嵌ってくれるから、気合入れて作らないとっ」
    「嵌らねえよ!?」
    「一応対人の罠も習ってはおりますが。生兵法は怪我の元と申しますし!」
     今夜、【ゼンブイレブン】暴露大会の開催を提案を!

     たとえどんな地獄でもヒーローは負けない!
    「わたしが饅頭だけの女だと思ったら、大間違いだよ!」
     【正義の味方部】の食糧調達班・花火は、木の枝の釣竿で魚釣り。
    (「友人と外泊、なんて密かな憧れだったのだけど。まさかこんな形になるなんて、ね」)
     エリザベスは素潜りで海老や貝を狙いつつも、ヒーローを名乗る者としてのあり方を自分に言い聞かせる。
     そして調達班の健闘を祈りつつ、将平は夕日が沈む前に火を起こす。
     燻る煙が、帰る皆の道標となる様に。
     菊里は、持参した味噌汁の具や野菜と調達した食材で早速調理を。
    「包丁捌きだけには自信があるので」
     太郎も包丁を握ると、魚を捌き野菜を切って下拵え。
     謳歌も大忙し! 魚を捌きご飯を炊いて、合宿定番のカレーも忘れません。
    「ご飯♪ ご飯♪ ごっはん~♪」
     舞子もおこげに期待しつつ飯盒をじーっ。
     サボってないよ、美味しいご飯を炊くにはタイミングが重要なんです!
     そして無事味噌を提供した後、休憩していた希子だが。
    「みんなー、準備できたよー!」
    「……っ! 良い匂いっ!!」
     謳歌の声とごはんの匂いに飛び起きて。
     あったかいごはんと味噌汁を手に、皆と火を囲んで。
    「こんな風にみんなと一緒にご飯を食べられるって素敵なことよね」
    「魚もバッチリ焼けてるようですよ」
     太郎も新鮮な焼魚を、皆に。
     そして――沢山の星々の下に。
    「地獄なんてー、なかった、ね」
     優しいヒーロー達の笑顔が。

    「こういうのは多少慣れてるんだ」
     黒斗はまず水の確保をし、枯れ枝を集める昴を手伝って。
     山菜や魚は任せ、海草や貝を獲る。
     そして昴にサバイバルを教わりつつ、釣りと汲み水用のバケツを用意する夏輝は。
    「せっかくだし大きな魚が釣れると良いなぁ!」
     魚を釣りつつも、デザートになりそうな果物がないか、きょろきょろ。
     そして獲った魚に塩を塗り串焼きにして食べつつも。
    「命を頂くって事が感じられるし、割と良い教育かもな」
     星空を見上げ、昴はふとそう呟くのだった。

     同じクラブの【ましろのはこ】の皆の寝床確保にと。
    「こういう地味な作業、好きなんですよね。つい夢中に……」
     布や縄、植物でハンモックを作る司に。
    「おつかれさまです。ご飯、できましたよ」
     香奈芽は涼しい顔で、海で冷やした飲み物を、ぴたり。
     そして遥斗は香草焼きにした魚を皆と食べつつ雑談を。
    「ここまで本格的なアウトドア料理は初めてなんですよ」
    「あれ、初めてですか。アウトドアに来たらしなきゃいけない規則があって……」
     司も嘘知識教えてみたりと、色々なお喋りを。

    「キャッホー! 今晩はサシミ、テンプラ、ツボヤキデース!」
     今晩の【はじめましての会】の夕食は、海の幸三昧です!
     ビハインドと協力し鋼鉄拳な銛漁をするローゼマリーは、今度は海女漁にシフト。
     そんな猟の仕方が先輩らしいと言ったユキトは。
    「なかなか面白かったです、生態観察」
     水の調達ついでの趣味の感想を喋って。魚の解体に、顔を緩ませる。
     そして雅は基本休息場所に残り、調理や暖のために火を起こしながらも。
     食料調達は任せ、野生生物の襲撃に備えるのだった。

     ミツキやラムゥフェル【Aile paisible】の皆も無人島でサバイバル!
    「やっと到着ですか。結構疲れるものですね」
    「改めて考える必要もなくムチャクチャだな」
     地獄合宿ですからね!
     でも休んでいられません、すぐに活動開始です。
    「行きましょう星子さん、ラムさんっ、新鮮な海の幸が私達を呼んでいますっ!」
    「やると思いましたよ……もう」
     簡易の銛を作るミネットに、何気におでこに金印の烙印が押されている星子はシュノーケルを渡して。
    「うっし、俺たちも島で使えるモンを探してくるとすっか!」
     眞白も緋織と図鑑を携え野草を採りに行きつつ、水の確保も。
     そして黒継は、整えたくつろぎ空間とクロちゃん特製のお紅茶で、帰ってきた皆をお迎え。
    「疲れている皆を癒す為に、僕は全力を尽くしますよ!」
     緋織はお茶用のお湯を沸かし、そして獲った食材で子鍋でバター焼きの一品料理を作って。
     ミツキも少し珍しい動き易さ重視の格好で、ミネットや眞白が下拵えしておいた魚を調理。
     こんな合宿が終わるのも……少し、寂しいけれど。
     皆で頑張ったこの寂しさは嫌いじゃないし。
     家に帰るまでが、地獄合宿です!

    ●だからバカンスじゃなくて地獄なんだってば!IN無人島
    「楽しみだね~♪ どんな鳥さんがいるんだろう?」
     ひよりとジュンペイの目的は、島でのバードウォッチング!
     ひよりは沢山の鳥にはしゃぎつつも、密かに思う。
     鳥の話をするジュンペイが――かっこ良くて可愛いと。
     そして鳥も可愛いけれど。
    「あそこの鳥を見てみぃ、何かひよりに似とるやろ」
     つい彼が見てしまうのは……すぐ隣の、ひよりの笑顔。
     ちょっぴり暑さに参りつつも、好きな奴に格好悪いとこ見せられないと。
     率先して力仕事をする昂獅郎と、即席の銛を作って海で魚や貝を獲る摘佳。
     初デートが地獄で申し訳なかったけれど。
    「どんなところでも、美味しい食べ物と大好きな人がいれば、大丈夫って気がするわ」
     そう言って照れる摘佳と一緒に、夕食作りを。
     ただでさえ食の細い狭霧の絶食フラグに、食欲湧く魚をゲットすべく意気込む燐音。
     当の本人は自分の食の細さに自覚ないように首を傾けるも。
     燐音が獲ってきてくれた新鮮な魚を、気合入れて調理!
     そしてふとお茶碗を忘れた事に気付いて。
    「どうせだからあーんしてあげましょっか?」
    「……それって普通、立場逆だよ」

     何だか妙にお互い意識してしまうけれど。
    「海水で身体べたべたでしょうし、水場で流してきては?」
     彼がテントを張る間、由希奈は森の泉で水浴びを。
     でも、ひらり風が悪戯して。
    「うっ、後ろ向いててっ! もう服着るから!」
     彼女の声で我に返ったいちごは謝り離れつつも呟く。
     むしろここからが地獄の様な……と。
     自分の言ってることを少しは自覚しろよな、馬鹿――と。
     折れて髪を梳かされているライズは、大輔が紡ぐ言の葉に、顔が真っ赤に。
     そして夕食を探しに行こうと差し出された彼の手を。
    「おにーさんはいつも手を繋ごうとするよなー」
    「あ、えっと……逸れたら困る、から……」
     ニヤニヤしながらも、ライズは握る。
     これまでの疲れなど、愛する人の手料理の前には気にならないと。
     晶が獲ってきた魚や木の実や山菜でルイーザが作るのは、カレーパエリア。
     料理中、白のスイムウエアにエプロンの後ろ姿をにこにこ見つめる晶の視線に照れるも。
    「どうぞ……晶様。はい、あーん♪」
     頑張ってくれた彼に、美味しいあーんとご褒美の笑顔を。
     きっと、こころも喜ぶよっ♪ と。
     山菜や木の実を探し、誘き出した野生動物を美波が叩きのめした頃。
     みなみ、喜んでくれるかな? と、心もなんとか罠で動物捕獲!
     それから日が暮れて……二人の時間。
    「こころ! 空が綺麗だね♪」
    「空より、みなみの方が綺麗です♪」
     イチャイチャしつつ互いに紡ぐ――大好き、と。
     星空の下、パチパチ焚き火の前で寄り添って。
    「ふふ……あ、ここ……ちょっと、ついてますよ」
     茉莉は、百花の口元についた魚をぺろっ。
     そして、はいあーんと魚を差し出す愛らしい仕草に。
     百花は彼女の両肩に手をかけ、茉莉っ! と思わず声を。
     どんな地獄でも……二人一緒ならば、そこは百合色の天国だから。
     カップルが多いのは自然の開放感からかと。
     そうスイムウェアの上にエプロンをつけるシャルロット。
     ハルトヴィヒは昔を思い出し苦笑するも、彼女の調理を手伝って。
    「合宿中も他に負けないくらいイチャラブしましょうね」
    「ふふっ、そうですね」
     目的が変わっている気もするけれど。地獄でも、一緒にいちゃラブです。

     無人島で、水着デート!
     長い黒髪ポニーテールを揺らす響にべったりな真白は、時折海を眺めては。
     ふと身の丈の倍ほどある銛を、海の魚目掛け撃ち込み引き上げて。
    「結構いろんな種類の魚が獲れたな」
     とりあえず焼いて食べるか、と。
     響は甘えてくる彼と一緒に、二人で獲った魚に塩などの調味料を振りつつ、夕食を。
     サバイバル経験を生かし、魚を釣って。
     食べられる野草を見極め、野生動物を心待ちにしつつ、聖と森に入るアレス。
    「思ったより色々そろいますね」
     身軽な恰好の聖も木の実をもいで。戦利品を作ったかまどで調理。
     そんな彼女とのサバイバルを楽しみながら。
     いつもありがとうな、と――アレスはそっと外套を聖の肩へ。
     洞窟で仲良く捕獲した魚や果物を食べながら。
    「世界に拙者たち二人しかいないみたいでござる……」
    「そうだね、こんな地獄ならまた来てもいいかな」
     星を眺める、矩子と逢真であったが。
    「!?」
     ふいに仕掛けた鳴子が鳴る。もしやRB団!?
     でも……やっちゃおうか、と。
     得物と恋人の手を握ったリア充がRB団を返り討ち!?

     銛で確保した食材で神楽が作るのは、疑似地獄蒸し!
     そんな彼の器用さに、神華は感心しつつ。
    (「料理してる横顔も真剣ですごく格好いい」)
     視線が合えば、別に見とれてたとかじゃ……と顔を真っ赤に。
     そして。
    「……美味しい!」
    「いつか別府来たら本当の地獄蒸し、食べさせちゃんな」
     神華と、神楽はそう約束を。
    「わぁい、捕れたよ!」
    「す、凄い才能だね」
     予言者の瞳で狙アップしたみとわの天星弓が、魚を狙い撃ち!
     そんな豊漁の夕食後、そっと寄り添い合って。
    「らいとがいてくれてよかった」
     そう言ったみとわは、いつの間にか寝息を立てて寝てしまう。
     そして無防備であどけないその姿に。ドキドキ眠れない、頼人であった。
     真水が湧く場所の傍にテントを張って。
     刹那が獲った魚を料理するミヤコ。煮たり焼いたり、保存用の燻製に。
     そして美味しい食事の後、手を繋いで夜の散歩をして。
    「わたくし一人では頑張れませんから……頼りにしていますね」
    「私が一緒に居ますから」
     過酷な合宿を乗り越えるべく、大きな寝袋で寄り添って眠る。
     地獄の星空は振ってきそうな程に綺麗。
     でも、静かだから……鳴く鳥の声も大きく聞こえて。
    「……あれ、怖い?」
     寄り添ってきた百花に、エアンはちょっぴりからかうように訊いて。
    「……くっついてるから、怖くないもんっ」
     強がるその髪にキスを落とし、もう一度夜空を見上げる。
     今夜は良い夢が見られそうだ、と。

    ●人間死ぬ気になればある程度どこでも住めるって証明されましたIN無人島
     無人島3日間0円生活!
    「じゃあ、食糧調達とか全部任せたからよろしく」
     ちゃんと確保しないと罰として晩御飯抜きよ、と。
     鏡花に送り出された既濁は、ナイフ両手に海でも山でも大物狙い!
    「かかってきなよ……解体してやるぜ?」
     ……怪我するかもしれませんが。
     その間に鏡花は抜かりなく、自分のテントの設営を。
     どかーん! とハンマーで豪快に岩が砕かれ、ぷかーと浮いた魚たちに。
    「ほら、いっぱい獲れたよー」
     どや顔の朱美と、ちょ!? と冷や汗のミルドレッド。
     そして燻製と焼き魚を作るべく火を起こせば、一瞬で炭に!
     そんな朱美に作り方を説明するミルドレッドだが。
    「ミリーちゃん、指、指っ」
     包丁は苦手なんです。
     ましろも頑張ってロッドな釣竿で魚釣り! のはずでしたが。
    「ぴぃぃ!? い、糸、絡まっ、」
    「……どうやったら、ここまで絡まるんだ」
     あうあうと自分を釣っちゃいました。
     倭は影業と鋼糸の投網で一気に魚の捕獲を狙って。
     そして夕食に、ましろへ野菜ジュースを渡しつつ。手作り肉抜き金印ドッグをいただきます!
     同じく釣りをする灯花は、銛を手に素潜りするセイナの勇姿に興奮しつつも。
    「あれ? ……せ、セーナ! み、みずぎが!!」
     くいくい動いた竿を引き上げた瞬間、慌ててそう声を上げる。
     でも、時遅く。
    「大丈夫、お姉さんにまっかせなさい」
     無い胸を叩き、ザバァッと立ち上がったセイナの目の前には。
     釣針に引っかかり揺れる、自分の水着が!!
     食糧調達の釣りをする神流は、じーっと霧を観察して。
     首を傾ける彼女に、僕と一緒にいて楽しいのかなって思っただけで、と釈明を。
     そして、つまらなければ来ていないと言った霧に、魚釣り勝負を挑む!
    「いいだろう、当然僕が勝たせてもらうがな」
     勿論、霧も勝負を受けて立つも。
     結果……帰宅まで、神流の荷物を運ぶことに。
     玄界灘の荒波にも、鬼神変で軌道修正しつつ。
     魚や貝を獲りながら、源一郎は蛸やアワビを探してみて。
    「……虫を食べると言っておったが大丈夫かの……」
     海岸にあがった後、そうぽつり。
     そして今日も有意義だった組み手に満足気なヴィルヘルムは。
     バッタを焼きつつ、ムカデの頭を切り落としていたのだった。

    「という訳で魚取ってきてくれ! 俺は泳げないから火を起こす!」
     そんなエクセルに、お任せくださいと言ったものの。
    「……釣れん」
     二時間あたりのない國鷹。ならば奥の手!
    「我が罪の手よ。償いの証を立てるため、魚を獲れ」
     その頃、ご家庭で出来る火の起こし方を語るエクセルだが。
     本当は防水性ライター使いました!
    「そういえば、メル様が料理するのはお菓子以外では初めて見ますね」
     捨六は、獲った魚を料理するメルフェスのサポートを。
     従者としてもこれは張り切りどころです!
     ……が。
    「これは想定していないわ」
     自分の料理の腕では、文明的な調理器具がないと厳しい現実に。
     メルフェスは、のの字を書いてメンタルブレイク。
    「今はシーズンだから、釣果は期待できそうだな」
     アオリイカを釣るべくエギを躍らせシャクったり、サビキ釣りで岩礁帯のアラカブを釣るテン。
     そんな食材でワルゼーが作るのは、自家製『金印ドッグ』!
    「ちなみにお代は500円だ! 何、カネがない? しょうがないな」
     今回は特別! 周囲の皆にも無償で振舞います。
    「よし! ご飯狩りに行くでよ!」
     頼もしく希沙が、捕ったどーと魚を網籠で確保する間に。
     藤乃は、こんもりふたつの枯葉山に、シーツをふわり。
     そして料理する希沙の隣で、しっかり火の番です!
     生き抜くという事は、独りだとすごく大変。
     でも、笑顔の貴方とこうやって手を繋いでいれば……とても、心強いから。
    「ねえ、見て見て! コレ、食べられるかなぁ」
    「わぁ、そのピンクい木の実何だろぉ?」
     とりあえず焼いたら何でも食べられるよね、とねんねに果物を運んで貰いつつ。
     結って貰ったポニーテールを揺らす阿韻は、輝生と一緒に今度は魚釣り!
     本当に何も無いけれど。このままずっとでもいいやと――二人、一緒なら。
     淳志が確保した水や火で、獲った魚を料理する八奈。
    「ああ、石を熱しておけば色々と利用できるね」
    「淡水魚は海水を蒸発させた塩で焼いて食べよっか」
     そして一口食べた兄に、おいしい? と八奈は訊ねて。
     返ってくるは、ありがとう美味しいよ、の言の葉。
     それから紗矢も誘って。暖かい夕ごはんと火の番を、一緒に。

     鈴音がペットボトルでウケを作って魚を。
     緋頼が訓練で得たサバイバル技能を駆使し猪を仕留めて。
    「ん~っ、なんかおいしさがまた違うわねっ」
     持参した調味料で料理し、作った木の食器で夕食を取りながら、二人は思う。
    「また、来ましょう。今度は大きなお魚を是非」
     たまにはこんな生活も良いかも、なんて。
    「とりあえず、ナイフ一本持ち込めば大体の事はできる」
     そう山篭り生活で培った術を活用しようとする八雲に。
    「はあ、ナイフで調理?」
     由宇はお子様水着のアイテムポケットからキャンプ用品を……出そうとしましたが。
    「……落ち込むなよ、自然の味も悪くないんだぞ?」
     便利ESP付き防具は生徒会が没収しとうとよ!
     ふっふふ、頑張れば、これくらい、できちゃうのです! と。
     どや顔で蛇やウサギを捕獲した恋は。
    「源ちゃん、みてみて~……え!? ちょ!? えぇ~!?」
    「おーい! 恋姉ちゃーん! なんかいたからつかまえた! うまいから食おーぜ! っどーしたんだ?」
     蛇や鳥、大物の猪までゲットしている源太郎に思わずびっくり。
    「……さ、流石、やせーじ……勝てる気が、しない、です」
     でも、ちゃんとお祈りしてから。全部美味しくいただきます!
    「お前は何をしているんだ?」
    「え? 食糧の確保の為、釣りに行くのですが?」
    「何を言っている、無人島での食糧確保と言ったらコレだろ?」
     そういい笑顔でベルが取り出すのはサバイバルナイフ!
     さらに蛇をキャプチャーし、大熊と素手で戦う彼に、驚愕するユキ。
     晩御飯確保は勿論、熊の全身毛皮はお土産です!?
     いっそ恐竜でも居れば、なんて。そう思った九里の背後で、野生の気配が……!
     そして恐竜ではないけれど。
    「……牡丹肉、お待ちに御座います」
    「おかえり。流石、見事な御手前」
     期待していてくれと、捕獲した大猪が、今度は真魔の手で焼肉や佃煮に。
     そんな二人の危険と隣り合わせな楽しい夜は――まだまだ、長そうだ。

     ぶちっと自分の釣竿の糸はちぎれた裕士だが。
    「お兄ちゃん、大きいの釣れた! ありがとうやで~!」
    「すごいわぁ、さっすが夜露やわー」
     餌をつけてあげた夜露が見事魚をゲット、お兄ちゃんべた褒めです!
     そして二人ぴたり並んで、焼き魚やキノコを仲良く食べてから。
     お手手つないで、一緒にすやすや夢の中へ。
     頑張った後の星空はやっぱり、とてもキラキラしていて。
    「ゆーき、綺麗な星だね」
    「りょーちゃんと一緒にお星様見れて、ゆーきとても嬉しいの」
     悠祈がぎゅーっと亮に抱きつけば、お互いにぬくぬくの温もりが。
     そして焚き火をし獣除けをしつつも、明日に備え、亮は瞳を細めた。
     おやすみなさい、可愛い子――と。
     合宿最後の夜の夕食は、ミゼの釣ったアジやイサキの塩焼きとリリウムが見つけた謎の小さなカニ。
     でも、ミゼは要らないようだから。リリウムがそれらを食べている。
     そして普段ならば、きっと会話を交わし合っているところだけれども。
    「…………」
     星空の下に聞こえるのは、パチパチ燃える焚き木の音だけ。
     共同戦線を結んだのは偶然だけど。
    「あのね、この合宿とっても大変だったけど……奏翔おねーさんとお友達になれて、すっごく嬉しい!」
     サイキは、並んで焼魚を食べる奏翔にそう言って。
    「サイキちゃんと一緒にサバイバルできて本当に楽しかった!」
     友達……か、と。
     奏翔も嬉し気に、合宿最後の日の星空を見上げたのだった。

    ●帰るまでが地獄だよ!IN福岡
     3日間に渡る福岡での地獄合宿、皆様お疲れ様でした。
     忘れ物はありませんか? 参加したお友達に行方不明者はいませんか??
     家に帰るまでが地獄合宿です。
     ということで、無人島に来た時と同じ様に。
     どうぞ気をつけて、玄界灘の荒波を泳いで志賀島を走って帰ってくださいね!

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年5月14日
    難度:普通
    参加:396人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 3/素敵だった 18/キャラが大事にされていた 59
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