地獄合宿~雪に誘われ地獄へと~

    作者:幾夜緋琉

    ●地獄合宿~雪に誘われ地獄へと~
     北海道のど真ん中にある大雪山系。
     東京都以上の広さを持つそこはまだまだ多くの雪が残り、寒風は肌身を大いに震わせる。
    「これは……寒いね……」
     防寒具を着込んだクリスが、フードを深く被り、ぎゅっと風を通さない様に紐を締めると、周りの皆も防寒具を引き寄せ、人によっては身を寄せて寒さを凌ぐ。
     冷風は完全に零度以下、防寒具を着込んでいるものの、自然と身体が震えてしまう。バベルの鎖の力で凍死するようなことはないのだが……。
     更に目の前は一面の白い世界が拡がっていて……綺麗、とも想いたい所だが、実際その中にいる灼滅者達にとっては、どうにも辛いばかりだ。
     『地獄合宿in札幌』。地獄合宿最北の合宿は、ここ大雪山を舞台として開かれていた。
    「いや大雪山って札幌じゃねーだろ」
    「札幌で涼しく合宿って聞いたのに」
     連れて来られた灼滅者達が寒さに凍えながら呟く。いきなり騙しに入っている辺り、既に地獄合宿はその牙を剥いていた。
     地獄合宿in札幌の内容は、大雪山を歩いて歩いて歩き回る雪中行軍修行。
     しかも期間は一日だけでは無い、三日間に渡って一日八時間歩き続けるという、まさしく『地獄』の合宿。
     更に地獄合宿だから、と、基本的に必要最低限の食べ物以外は、持ち込み不可という徹底ぶりである。
     でも……こういう厳しい合宿であるからこそ、苦楽を共にした仲間達との絆は確固たる物になるはずだ……というのが学園の意向。
     ……それが後付けか、先付けかは……まぁ気にしないことにしておこう。
     尚、最終日にはこの雪山のどこかに隠された、武蔵坂学園の校章を持ってくる事、と参加募集要項に記載されていた。
    「ともかく……みんな、頑張っていこうね。あ、でも辛くなったら……助け合おうね? 一人も脱落者を出さないように、ね?」
     その言葉に参加者一同頷き……いざ、地獄合宿in札幌の開始である。


    ■リプレイ

    ●一面の雪景色に
     北海道のど真ん中にある、まだまだ沢山の雪が残る大雪山。
     2013年地獄合宿in北海道の地として選ばれた極寒の地は、吹き抜けるような寒風が吹きすさぶ。
    「雪って……こんなに冷たいものなの……寒い……」
     震えるハノン……始めてみる雪が、こんなにも過酷な雪とは、想像できる訳もない。
    「ふははは!! 突き抜ける鼻通り! 軽やかに冴え渡る頭脳!! 花粉症の辛さに比べればこの程度の寒さなど、貧弱貧弱ー!!」
     利戈が腰に手を当てて、威風堂々宣言する……とはいえ心なしか、ガタガタしているように見えるのは多分気のせいじゃないだろう。
     とてつもない寒さは正しく地獄。利戈の宣言に対し、航が。
    「全員ガタブルですねぇ……こういう時は、上着の中に古新聞でも捲くと、風も通さず保温効果バッチリなんですよね。生活の知恵、ってヤツですねぇ」
    「へぇ、そうなんですだ。それは中々気がかないよね」
     くすり微笑むクリス。
     そんな対策を怠ってきた故に……。
    「……ううう、それを早く言って欲しかったのじゃ」
    「鷹森嬢。こちらに来る際に警告させて頂きましたよ? ……寒いから、もっと厚着をした方が良いと」
    「むぅ、そんなのきいちょらんよそんなの!」
    「……そうですか。やはり聞いておられなかったのですね」
     肩を竦める晃と珠音との掛け合い。
     学園から言われた注意事項の中には、この地獄合宿……快適に過ごせるような類いのものの持ち込みは不可という事がある、珠音もカイロを没収されたのである。
     地獄の環境の上に、更に地獄が重ねられているという事に、参加者からは不満が出るのも至極真っ当だろう。
    「しかし……そうとは言っても寒いですねぇ……こんな合宿を企画した人の気が知れませんねぇ……いや、まぁ参加している私も私ですがね」
    「うぅぅぅ……なんでこんな寒いところで耐久レースなんかするの? は、はぅぅぅ……寒いよー……」
    「ああ。まったく灼滅者だと想って、無茶考えてるだろウチの学校」
    「そうだよね。雪の降る中で地獄合宿って? でも雪中行軍……ふふふ、楽しそうだねぇ……」
    「……楽しい? そんな訳無いじゃない。全く……何で私がこんなコトをしなきゃいけないのかしら?」
     流希、碧、ディーン、透也、明日等が口々に吐き捨てていく。それに亜璃子と銀静が。
    「四月末といっても、北海道ですからね。北海道の四月が寒いのは当たり前ですよ? 快適も何もありません、セーターや重ね着は、この時期まだまだ現役使用ですよ?」
    「それに極寒という極限状況だからこそ、人は己の力を高めることが出来るのだと思います……そう思いませんか?」
     そんな二人の言葉に、更に睦月が。
    「そうそう、暑いよりはマシだよ、多分」
     どちらにせよ厳しい環境である事は間違いない訳で、その言葉に明日等は。
    「っ……油断をしたら酷い目に遭いそうね……まぁいいわ。全力で切り抜けてやるわ!」
     と、考える事にする。
     同様に、この状況を逆にポジティブに考えるのは梗香、夏南美、レテーシャにファム、時松、政義、亮。
    「史上最多の戦果記録を持つスナイパーは、フィンランドの冬戦争で活躍したと言う。狙撃手の端くれとして、私も雪山でのサバイバル術は身につけておかなければな」
    「うんうん。雪山! 雪一杯ー♪ 地獄の合宿? そんなの関係無いよね! 子供は風の子、ボクは子供。寒さには強いんだもん♪ 頑張って、雪の中を歩くぞー♪」
    「ええ。こんな寒い中で合宿、更に歩きづめで大変ですが、なんとかなりますよね。最終日に、みんなで笑って帰る事ができる様に頑張りましょう」
    「そうそう。北海道の雪山は懐かしい感じがするよ~。父ちゃん元気にしてるかなぁ? 頑張るからねー!」
    「まぁ、北海道はこの雄大な自然こそが極意。どうせ骨を埋めるなら、故郷北海道の雄大な山脈の中が良いじゃないか!」
    「いや……死ぬ事前提の地獄合宿ですかこれ? 確かにリアル第五連隊ごっこの様でもありますが……無茶をおっしゃるな、と言ったところですね」
    「いや、地獄とはいえ雪が見れるんだぜ? テンション上げて頑張らないとな!!」
     半分は北海道に来た事に対する嬉しさや、なかなかか見る事の無い一面雪の光景におもしろがっているだけ、と言えなくも無い……そして子羊と、なを、悠月も。
    「北海道ー、北海道ー♪ 北海道が舞台とあらば参加しないワケが無いよね! 北国のニュー☆ヒーロー、羊飼丘・子羊、参上っ!!」
    「凄い雪だな。雪国出身の身としては懐かしいものだ。まぁ地獄合宿って事で、のんびりくつろげないだろうが、それでも出来るだけ楽しくやりたい所だな」
    「そうだね。訓練ではあるけど、この雪景色を楽しむ心位はもって望まないと、ね」
     と、どこかワクワクしている感じである。そして。
    「そうだね。こんな風に雪山を歩くのって初めてだけど、関東じゃこんなに積もるコト自体無いもんね! せっかく来たんだし、張り切って行きましょう!」
    「うん。地獄の合宿だけど、みんなと一緒に居ればきっと乗り越えられますよ!」
    「シャルが一緒なら、どこまででも頑張れます♪ 頑張りましょうね」
    「うん、私もレンと一緒なら頑張れる気がします。頑張りましょう」
     なつめと姫乃、レンブラントとシャーロットが互いに手を取り合いながら微笑み合う。さらに。
    「さーさ、寒い日とはウチが抱きしめて暖めたるから安心してーな♪ でも、ウチが寒い時は暖めてな……?」
    「……澪。その格好寒くないの?」
    「ん、だいじょーぶや♪」
     寒そうな巫女衣装に身を包んだ澪、また虎徹の言葉に澪は彼をぎゅーっと抱きしめて答える。そんな二人の仲良さを横目で見ながら。
    「そうねぇ。私もいくら北海道出身とは言え、こういう寒さにはよわいのよねぇ。更に雪山って、天気が変わりやすいから苦手なのよねぇ」
    「そうよまったく……合宿だか何だか知らないけれど、どうしてわざわざこんな季節に、雪ばかりの山奥になんて来なければならないのかしらね」
    「……? ……こういうのも、良いのではないか? 心が浮くような感じがする……雪山は久しいしな」
    「……アルトはこういうのは好きだからいいわよね。まったくもう……寒いの、それだけ」
    「……そうか」
     巳桜とアルトがそんな会話を交しつつも、アルトはそっと巳桜の手を握り……ほのかに顔を染める。そしてそれを見つつ、源一郎と柚季は。
    「雪山、やはり寒いです。吐く息は白く、手もかじかんできました。寒いのです」
    「うん……寒い。当たり前だが寒いのう。とはいえ、震えていても仕方がない。景色はよいのだ、進むとしよう」
     と、頷き合う。
    「友達と一緒だから、辛いより、きっと楽しい思いの方が強い筈。大変だけど、きっとイイ想い出になる筈だぜ!」
    「そうだね。大雪……カムイミンタラ、神々の遊ぶ庭……冬眠明けのクマ、出そうだなぁ……」
     そして慧樹と羽衣の言葉に、友が思い出したように。
    「そうそう、北海道は自然の王国、もうそろそろヒグマが活動しているし、地味に少し郊外の山に入れば普通に出没するぞ。本州のツキノワグマに比べると、圧倒的にデカイグリズリーの亜種が。北国舐めんな! というコトだ。まぁという訳で、グリズリーに襲われればいくら灼滅者でも殺されないだけで洒落にならんから、これ皆に渡しておくぞ」
     と鈴を配り歩く。
     流石に人命に関わるし、快適に過すとは違うから鈴は全員分支給されていた。
     そして。
    「よし、そろそろ時間だ。防寒着はこれで……大丈夫。あとは信念、気力でこの雪山を絶対に攻略してみせる……! この程度の寒さで凍えるようなら、あいつを倒す事なんて出来ないからな!」
    「うん。年下の子だっているんだし、自分が頑張らないと……ね!」
     ラシェリール、太兵衛の言葉にみんな改めて気合いを入れ、地獄合宿in北海道は始まるのであった。

    ●北の地獄合宿
     そして地獄合宿の開始、一日目の雪中行軍が始まる。
     70人以上もの人数の集団なので、そういう意味で言えばまだ安心感はあるけれど、寒さに一切の妥協はない環境。
    「よし、初日は大きく二手に分かれるとするか。拠点となるかまくらを作るグループと、雪中行軍で歩く集団。ああ、8時間行軍が終わったら俺たちも加勢するから安心してくれ」
    「そうだな……流石に何の拠点もない状態だと、脱落者が出た時に本当に死にかねないしな。なら私はそちらを手伝おう」
    「私もそっちにするよ。めっちゃ寒いけど、頑張っちゃうよー!」
     悠月とあよが言うと、それに数人のメンバーが手を上げる。
     一応、雪中行軍の地獄がメインである訳だから、かまくらだけに全員傾注させる訳にはいかない。
    「よし、それじゃよろしく頼みますね」
     と実里が微笑み、そしてかまくら組を残し、いざ雪中行軍開始。
     吹きすさぶ吹雪が、じりじりと、確実に参加者の体力を削っていく。
    「さささ寒いいぃぃぃ!! こ、こんなの無茶振り過ぎるだろうこんなの!!」
    「死ぬ死ぬ死ぬぅううう。この寒さは死ねる!! こ、ここは……こうするしかないだろ!!」
     嘉哉に玖真がずばっつ、と唐突に脱ぐ。そして……ESPの水垢離を使用。
    「はははは! ねぇ、雪原も解ければ冷水だよね? 俺って頭いいだろ! さぁ、俺を幸せにしてくれ! そしてこの合宿で生き残らせてくれ!」
     ……でも、みるみる内にその顔色が変わっていく。
     雪から冷水、というのは確かにそのとおり。でも……天候が寒すぎて、水になる前に凍っている。
     さらに水垢離の能力は、あくまでも遠方にいる人間を助けるものな訳で……自分自身には効果がない。つまり……自殺行為。
    「……おーい、玖真、大丈夫ー?」
    「ふ……ふふふ……最後に美味しいもの食べたかったな。暖かいもの……スープでもいいよ。あ、この雪って、サイキックのブイヨンを使えばスープになるんじゃね? は、あははは、うん、うめーよ、うめーよー……」
     雪を掴んで口にどんどん運ぶ彼に、直哉が。
    「わぁ……なんて惨状。とりあえずこれ以上吹雪く前に上着を着て戻るわよー?」
    「ふ、はは……おいしいよぉ……」
     さっさと上着を着せて、一日目の雪中行軍から強制離脱させられる玖真。
     ……そんなある意味大惨事を目の前で見せられて、クリスが。
    「……うん。過酷な環境だね……すごく苛酷」
    「そうだな……そう言えばクリス君はイギリス出身だったよな? イギリスも冬は寒いところだと聞いてるが、日本の雪山は母国と比べてどうかな?」
    「ん? そうだね……まぁ寒いよ。だって北極圏により近い北方にあるしね。とはいえ……この寒さは、僕だって寒い事に変わりないさ」
    「そうか。やはりこの環境は凄まじいんだな」
     梗香はクリスの言葉にくすりと笑う……そんなクリスに。
    「クリス殿! 雪合戦しましょう雪合戦!! 雪だるまもいいですよね! わはーー!!」
     満面の笑みでやってきたのは歌留多。
    「あ、歌留多さん。……その格好、寒くないの?」
    「大丈夫大丈夫ですよー!! さー、あっそびますよーー!!」
     スペシャルハイテンションな彼女に、クリスは苦笑してしまう。
     ……同じような寒そうな服装なのは、くろとか、澪とか。
    「……寒い。北国の学生はほほんと凄い、尊敬しちゃう……それに、頭重い」
    「大丈夫ですか……? 頭重いのは、ミニカマクラのせいな気もしますけれど」
    「いや……これなら寒くないかな、って思って……」
    「そうですか……まぁ、無理しないでくださいね」
     フォルケの励ましにくろはこくりと頷くのであった。

     そして更に雪中行軍は継続。
    「そろそろ交代しますよ、先頭」
    「ん、ああ、わかった」
     今まで先頭に立っていた不志津に、政義が交代を伝え、最前線を交代。
     当然最前線となると、とてつもない寒風をその身に受けるわけで……。
    「うっ……これは中々寒い、堪えるな」
     政義が呟く言葉、それに嘉哉とハノンが。
    「寒いのなら、燃えればいいだろ!!」
    「そうだな。なーに、サイキック以外では死なないんだ。出血多量で死ぬ事もないんだろうしな!」
     二人は自分に傷をつけて、クリエイトファイア。
     確かに燃え上がる炎は熱く、寒さを一時的に紛らわせてくれる。
     でも、炎は程なくして消えて、何度も使えば炎よりも、血の喪失によって体温が下がっていってしまうわけで。
    「……あれ、おかしいな。死んでない筈のお父さんが、大きな川の向こうで手を振ってるよ……?」
    「いや、それは危ない状況なんじゃ……さすがにやめておいたほうがいいですよ」
     嘉哉、およびハノンのクリエイトファイアを流石に警告し、やめさせるフォルケ。
     そして……更に更に歩いていく。
     寒さに加え、更に疲労感が襲ってくる。
    「さむい……それに……眠い……」
    「うん……ねむい……」
    「皆様……だれもいなくなっていませんよね……?」
    「……いっそ、このまま眠るか……それもいいかもな……」
    「……だめだ、寒すぎて眠くなってきた……おやすみなさ……」
     雅と恋、碧とくるみと龍夜の五人が少しうと、うととし始める。
     そんな五人に、タージが。
    「みんな、寝たらだめだよ。気をしっかり持って。北海道といっても、所詮は武蔵野からちょっと北に来ただけだよ。同じ日本なんだから、何を怖がることがあるの。遭難するなんて、ありえないよ。そう、ありえないよ……」
     タージの言葉にハッと気をとりなおす三人。
    「く……す、すまんマハル。危うく寝てしまうところだった。さすが北海道、並みの覚悟では乗り切れんな。だが……これもよい修行。俺の生存能力のすべてを尽くして、全員で生還しよう!」
    「そうだよ。でもうー、寒すぎるよーー! だれがこんなの考えたんだよー!」
    「そうだよね。さぁ……て……」
     タージがずぼっ、と穴にはまる。
     いや、穴というよりは、大きな大きな足跡。
    「……このフライパンほどもありそうな足跡はいったい……ま、まさかヒグマ!?」
    「え!? ヒ、ヒグマ!? だ、だいじょーぶ、ほ、ほら、私、ファイアブラッド、だから……!」
    「大丈夫だよ。マハルさん、鈴を鳴らすとクマ避けになるって言ってたよ? みんな配られたでしょ、あれを使えば大丈夫だよ」
    「そうですか……ならよかったです」
     ほっとするタージ。そして龍夜は改めて地図を見て、残り時間を確認する。
     残り後3時間ほど。
    「よし、そろそろ時間だ。皆、谷は危険だから尾根のほうを回って戻るとしよう」
     龍夜の言葉に、レンブラントとシャーロットの二人が。
    「あと少しですって。寒いけど、一日目あともうちょっと……」
    「そうですね。レンは大丈夫? 寒くない?」
    「うん、私は大丈夫。シャルは?」
    「ううん、大丈夫……それじゃ、頑張りましょう」
     二人そんな会話を交わしあいながら、互いに身を寄せ合いつつ、キャンプエリアに向けて歩き始めるのであった。

     そしてキャンプエリアに到着。
     既にビバーク用の幾つかの簡単なかまくらはできている。そんな中のひとつに、連れ帰ってこられた玖真と直哉。
    「たっだいまー」「おっかえりー。あ、直哉君引き摺られている……ま、いっか」
     即効でまあいいか、といわれてしまう玖真、そして鎌倉の中に引き入れて体を温めると、少しずつ気を取り直してきて。
    「……は、あれ、ここは?」
    「あ、気がついたわね。ご飯食べれる?」
     なぜかなおやが差し出したのは雪握りご飯。
    「はい、頑張った昴式君にプレゼント。豪華でしょ!」
    「うんうん。せっかくあよがつくってくれたものを食べられないわけないわよねー」
     直弥、あよが迫る……それを断ることができない玖真は、また雪を食べ続けて……きゅぅぅ、とまた倒れる。
    「あ、直哉君がとどめさした! さ、直哉! ごはんにしましょ!」
    「そうね、私たちはちゃーんと食べましょ♪」
     と笑い会う。
     そして碧が。
    「さぁかまくらって中があったかいんだよね? くるみ先輩、ボクらもかまくら作り手伝うよ!」
    「そうですね。カマクラを作りましょう」
    「このまま寒風の下にいると身が持ちませんし、これから三日間の長丁場……体力を温存するためにも、しっかりとしたものを作りましょう」
     くるみ、雅も頷き、そして他の仲間達も。
    「さぁ、かまくら、ですよね! 崩れないようにがっちりと作らないといけませんよね……んと、氷を積み上げたほうがよいでしょうか?」
    「そうですね。雪で作ったかまくらで風をしのげるだけでも大きな違いだとは思いますが、氷で積み上げたほうが風は更に通しにくくなりそうですしね」
     レンブラントとシャーロットがそんな事を相談しあったり。
    「えーっと……かまくらの作り方ってどうするんでしたっけ?」
    「ん。ああ、それじゃ自分が教えてあげるよ」
    「え? 二湖せんぱい作り方知ってるんですか? すごいです!」
    「まぁこれでも男の子だからね♪ 力仕事はまかせろー!」
     なつめに二湖が微笑み、姫乃、ガマニオンと一緒に雪を運び、積み重ねる。
    「これ、もう少し厚くしたほうがいいですよね? 薄すぎると、穴が開いちゃうのかな?」
    「そうですね。たぶん壁は厚くしたほうがいいと思います」
    「了解ですっ!」
     と和気藹々としながらせっせと作り、完成したら。
    「よーし、できたっ♪ これえでちょっとはあったかくすごせますね! 明日も頑張って歩かないといけないし」
    「そうですね。これでぬくぬくできるね♪ さっそく入りましょう♪」
     一緒のかまくらに入り、暖かさを再確認するのであった。
     そして。
    「……せっかくだし、皆で泊まれる大きなかまくらを作らないか? そのほうがきっと楽しいと思うしな」
     なをの提案に、子羊、歌留多、利戈、ディーンが。
    「それはいいねー。そうそう、この時期ってね、北海道でも少ししめった雪になるんだよ。だからかまくらを作りやすい雪質なんだ。それとワンポイント。風向きを考えて、風の入らない方向に入り口を作るのがコツだよ。中に入ってから入り口を狭めるのもよいかもね?」
    「へぇ、そうなんですか。わたしもですね、もけけぴろぴろでもできるビバーク講座という本を買っていてですね、さぁ皆さんもビバークビバーク!」
    「いや、ビバークには間違いねぇけど、せっかくなんだからかまくらを作ろうぜ? そう、この合宿に備えて俺、正しいかまくらの作り方を研究してきたんだ。この俺にぬかりはねぇ!! 中の床部分は入り口より一段高くし、外からの冷気を中に入れるな。天井はドーム型にして、なめらかにするんだ。天井の雪が溶けて、水滴が滴り落ちたらもっと寒くなっちまうからな!」
    「ほう……そういうのもあるんですね。あと、気温は間違いなく氷点下以下ですよね? ならば、水をかければ更に氷の幕が張れるのではないですかね?」
    「そうだね。さぁ、ボクと北国のすばらしさを身体で感じようぜ☆」
     そして不志津の作ったカマクラは雪を固めて作ったブロックを積み重ねたカマクラ。
    「明日以降は、これを勝手に使ってもらっても構わないぞ」
    「ん? 不志津は明日からどうするのだ?」
    「明日には発つ。すべてに参加しなくては地獄とはいえんからな」
    「そう……気をつけてね」
     すべての地獄合宿へと参加する目的を持って参加している不志津。それに素直に関心する真白と明日等なのであった。

     そして大体かまくらが出来上がれば、当然その中に入ってまずは休息をとる。
    「綾崎……怪我とかしなかったか?」
    「大丈夫です」
     にっこり大高の言葉に微笑みを浮かべる乙葉。
     そして大高の傍に……自然とぴったりくっつくいてくる。
    「!」
    「……こうした方が暖かいです……嫌でしたか?」
    「……嫌じゃ、ねぇけど……」
     そっけない態度ながらも、長く二人でいるからこそ分かる、彼の語感が幾分やわらかくなっていること。
     そんな大高の言葉にくすり、と笑いつつも、乙葉は顔を染めながらずっと、ぴったり寄り添い続ける。
     そして同じように虎鉄と澪の二人も、かまくらの中で二人でひとつのマフラーをまき、体力温存しつつ、暖をとる。
     澪は遊びたさそうだったが、こうして虎鉄と一緒にいるのも悪くないな、ということで、彼に身を寄せながら少しずつうと、うととし始めていた。
     そして……くるみ達のかまくらでは。
    「クルルンあったかいね……みんな、クルルンに寄り添って。あったかいよ」
     とくるみはナノナノに抱きつき、暖を取って……周りの仲間達も、互いに身を寄せ合いながら暖を取る。
     そんな一方、珠音と晶のかまくら。
     今まで晶の食料を遠慮なく奪って食べてきて元気だったが、流石の寒さにだんだんと……。
    「……お腹すいたよ、中華まん怪人……」
    『そう。それならボクの顔をお食べよ!』
    「わぁい、いただきまーす……」
     そういいながら、晶の指をはむはむ。
    「……ほら、それは中華まんではありませんよ。仕方ありませんね」
     くすりと笑う晶が、晶をそっと抱きしめる……と、ぱちっと目を開いた珠音。
    「む……こ、恋人持ちに手を出すとはー! 信じちょったのにー!!」
     と暴れる珠音だが、晶はそんな珠音にくすくすと笑いながら。
    「寒いでしょう? これが寒くならない方法ですよ」
     と微笑み、また抱きしめる。
     また、航と雪乃は。
    「ったく……鼻水垂らした女とお泊まりだなんて冴えねぇな」
    「別に私だって、あなたと泊まりたくて泊まった訳じゃないわよ」
    「あー、そうですかっと……ま、寒いんだから、しっかりと背中くっつけとけよ」
    「……言われなくても分かってるわよ」
     と……仲が良いのか、悪いのか……そんな感じで、暖を取っているのであった。

     そして暖をとれば、もうひとつ必要な事がある……食事。
    「つーかサバイバルってんなら、道具を現地調達しても問題ないんだよな?」
    「そうね。でも、こんな広い場所、寒い場所に生物が活発に活動していると思う? いても寒さに強い熊位じゃないかしら?」
     航と雪乃の会話に、太兵衛が。
    「熊……いや、ここに出て来たら流石にまずいと思いますよ」
     という。
     まぁキャンプ地になっているところは見通しもよいし、熊が出てきても事前に察知はできそうだけど。
    「だからコレあげる。別にアンタのためじゃないけど、調子崩されたらこっちが面倒になるだけだから」
     と雪乃がチョコを航に渡す。
     確かにこういう場所では、チョコとかが一番最良の栄養手段かもしれない。
     たとえばタージが持ってきたカップめん。
    「カップめんでも食べて、身体を温めよう。うん、それがいい、それがいい……って、だめだ。わずか三分の間に、お湯が凍りついたよ」
    「えええ、お湯が凍った!? え、えとじゃあ、えい!!」
     自分を傷つけ炎を生み出す恋。
    「えと、これで、ぬくめてつくれない、かな?」
    「いや……無理みたい。流石な寒さだね」
     タージと雅が会話する……夕方になればなるほど、それほど厳しい寒さな訳で。
     だからカチンコチンになったチョコをちょっとずつかじりながら、身を寄せて暖を取るという手段が一般的になる。
    「うう、さむぅぃぃ……くるみちゃん、蒼月ちゃん、寄り添い会いましょう?」
    「そうですね……でも、これからは、これより過酷な戦いが待っているということなのでしょうか……?」
    「わからないよぉ……でも、この合宿って、そういう意味がもしかしたらあるのかもしれないよね……大丈夫かなぁ……」
     と、ぼんやり不安を覚えてしまうのであった。

     そして夜。
    「……さぁ、皆、時間だぞ」
     むくっ、と立ち上がる摩耶。
     その小脇には、うすくて小さい枕。
     そして摩耶の言葉に空牙、梓も。
    「そうだよな、修行といえば枕投げだよな! 身体動かしてりゃ、もっと温まるだろうしな」
    「だよねー。さー遊ぼうか!」
     と枕を手に持つ。
     ちなみにこの枕は圧縮袋で小さく小さく圧縮してかばんの隅っこに入れて持ち込んだもの。
     たぶん普通に持ち込むとなると、快適に過ごせる道具となりえるかもしれないから。
     だから枕はたった三個、それにかまくらの中だからそんなに広い場所ではない。
    「ふふふふ。空牙! 摩耶! 覚悟ー!!」
    「わぷっ!? くそ、やったなぁ!! お返しだぜー!!」
    「ぶっ……!?」
     でも、そんな枕投げも全力全開、修学旅行のノリで枕を投げ合えば、自然と楽しくなる訳で……三人は夜10時ころまで、遊び続ける。
     そしてそんな横では、なつめ、姫乃、ガマニオン、二湖は外に出て。
    「それじゃいっくぜー!」
    「はーい!! 雪があるなら楽しまないといけませんね♪ じゃあ……行きますよ! えぃ、えい!! えーい!!」
    「きゃーきゃー。姫乃せんぱいこわーい!」
    「そんなことないよー。ほーら、よけてみてー!」
    「二人とも元気だね……まぁ、楽しんでいるみたいだから、いいけどね」
    「あ、二湖せんぱいがいたー。えーい!!」
     ……と、こちらも全力全開の雪合戦を楽しんでいるのである。

    ●美しき白兎
     そして二日目。
     今日も昨日と変わらず、雪の吹きすさぶ山上の空間に。
    「寒い……し、シベリアを徒歩で横断した時よりきつい……」
     と美里の言葉に、ぐっ、と拳を握りしめる銀静。
    「……寒い……だが、死なないのであれば、此処で試されるのは精神の弱さ、堪える心! 心の炎がを燃やせば、寒さに負けることはありません!」
    「そうね……これくらい何て事ないわよ。この合宿が終わったら、観光をしっかり楽しむんだから!」
    「うん、そうだね。みんなー、フレフレファイト!!」
     明日蘿に夏南美がみんなを応援するように声をあげる。
     そして今日は、灼滅者達はさらに山腹の方へと向かっていく。
     広く広く広がる雪原、それを見て航が。
    「いいですか? 気温一度以上で大声を出したらダメですからね? 雪崩が起きちゃうから。起きたらもう全力で逃げるのみです。走っても無駄ですから、米袋をおしりに敷いて雪山を直滑降すれば早いですよぅ」
     と警告しておく。
     ……とは言え、しっかり灼滅者達は雪中行軍を継続。
     そして小一時間程経過した頃。
    「寒い、疲れた、信じられない……靴も濡れてしまったし」
    「何を怒っている? そういう修行だろう?」
    「……別に、怒ってないわよ」{「……そりゃあ、修行大好きな人にとっては、楽しい合宿でしょうけれどね」}
     巳桜にアルトが心配そうな声をかけるが、巳桜自身はそれをおくびにもださない。
     でも、巳桜はアルトから顔を背けるて、いじけている様にも……。
    「……?」
     首をかしげるアルト。
     それからしばらく歩いていくと……急に立ち止まるアルト。
    「……きゃっ!? 何よ、急に立ち止まらないでよ」
     と巳桜の言葉に、アルトは。
    「……乗るといい」
     背を向けたまま、しっかりしゃがむアルト。
     ……それにちょっと迷いつつも、巳桜は。
    「……転んだら、許さないわよ」
     と言いながら、彼の背中によじ登ると。
    「大丈夫だ……しっかり掴まっていろよ」
     と、アルトはすっと立ち上がり、巳桜を背中に背負い、歩いていいく……そんな仲間達の行軍風景を、フランがカメラマンの如く写真を撮りながら進む。
     そして羽衣、晶、慧樹、鞴のクラスメイト達も。
    「寒い寒い……しかもこの季節の雪って濡れるんだよね」
    「だね。この吹雪……寒いと言うより、いたいわ!」
    「そうですね……そういえば、レーヴァテインって炎だし、あったかくなっていいんじゃ……」
    「レーヴァテインであったまるかも、って? ……じゃー、お前で試してやるよ、羽衣! そこに直れーー!!」
    「きゃー、冗談ですーーっ!!」
     そんな会話と……ちょっとしたおふざけをしながら、着々と目的地へと向かっていくのである。

     そして大雪原へと到着した灼滅者達。
    「歩きましたねー。今日はここで折り返し、かな? せっかくだし雪合戦したいですね。こんなに雪があるのになにもしないのももったいないですし!」
    「うんうん、雪~♪ 雪~♪ 見ているだけで嬉しくなっちゃいますね♪」
     なつめと姫乃の会話、その時。
    「本当に、何処を見渡しても雪ばかりですねぇ……」
    「そうだな。でも寒いけど、銀世界ってきれいだな」
     レテーシャに順花がくすり、と笑う。そして。
    「そういえば、この大雪山で動物などは見ることはできないのでしょうか? もし見られたら嬉しいですいしね。思い出に残りますしね」
    「……いないかもしれんな。いるとすればタヌキやクロテン、エゾモモンガか……次は7月か8月に来るてぇもんだな」
    「そうだねぇ……うーん、くまさんや雪ウサギさんはいないかなぁ~? いたらでてきてくれないかなぁー?」
     紋次郎、ゆずきのが呟いた言葉。
     その言葉を聞き届けたかどうか分からないけれど……その瞬間。
    「……目標確認。対象2。北西に移動中……うーん、やっぱりキタキツネ、可愛いな~♪」
     フォルケがどこか嬉しそうな口調で語る……雪原の上を歩くキタキツネに、その回りをぴょんぴょん跳び跳ねる雪ウサギの姿。
    「うふふ、ウサギさん、可愛い……♪」
     笑みを浮かべるくろ、その傍らで亮がよーし、と意気込み可愛い雪だるまをつくって、可愛く動かしてウサギとキタキツネを誘う。
     そして近づいてきた動物達をじーっと見ている虎鉄。そんな彼に澪が後ろから抱きついてきて。
    「えへへ、こてちゅ~と一緒でぬくぬくや♪」
     とバレンタインに編んだマフラーに一緒にくるまって、仲睦まじいひとときを過ごす。
     それを横目で巳ながら、源一郎、柚季の二人も、うさぎを手にのせて、うさぎに聞かせる様に優しい歌を歌う。
     するとうさぎも、目を細めて、嬉し気に耳をピクピクさせる。
     そんなウサギの可愛いしぐさに、源一郎も、柚季節も微笑む。
     そして雪原で、鞴がクラスメイトに向けて作ったのは、クラス担任の井原先生にそっくりに似せて作った雪だるま。
     その雪だるまが、特に飾り付けをしなくても井原先生にあまりにもにていて。
    「鞴くん、すごいねー。すっごくにてるよ!」
     と笑い合っていたのである。

    ●雪の中で煌く
     そして三日目。
     地獄合宿の総仕上げとしての、この雄大な大自然の中にある武蔵坂学園の校章を探してこい、という課題の日。
     ……しかし、目の前には変わらずの猛吹雪。ちょっとホワイトアウトとしている光景に、流石に。
    「……こんなんじゃ、見つけるのも運だよなー……」
    「そうですね……どこをどう探してよいのかわからないし……」
     大高と乙葉が呟いた一言。それに銀静が。
    「この全てが真っ白な場所での探し物……ですか。素晴らしい、いくつか効率のよい方法はあるかもしれないが、な」
     斬艦刀を構えて、ちょっと一閃……雪が振り払われる。が、それでなにか変わるわけでもない。
     そして乙葉が。
    「と、とにかく頑張りましょう!!」
     と拳を握りしめて、そして総出で校章探しを開始する。
     とはいえ一切の手掛かりのない状況下だから、探しだすのは一筋縄ではいかない。
     例えばガマニオンが、サーヴァントの霊犬を伴って。
    「……もしかして、紋章がっそこに隠してあるのかな……?」
     と探してみたり、また透也は。
    「ははははは…………さぁ、どこにあるのかなぁ……?」
     と、ランナーズハイのごとく、死んだ目のまま笑いながら探してみたり……。
     もしくはラシェリールの様に、風を避けるべく木の影に身を隠しながら探し、グロッキーになっている仲間には。
    「こんな時こそ、心暖まる助け合いが必要だからな! ほら、これでも食べな!」
     と、幾ばくかの食料をわけあってみたり。
     そして由衛は、山の頂上に向かい、真っ白な大雪原を見下ろし、一瞬わずかに微笑み、そして降りていく。
     ……さらに、時間は経過し、夕方前。
     校章が見つからずに。
    「澪、僕はもう疲れたよ……」
    「虎鉄、大丈夫大丈夫、ならウチがらぶで暖めてあげるな♪ そう、終わったらそのまま温泉行くこうな♪」
     と、虎鉄と澪が言っていた……その時。
    「……あれ? あれ、これって……」
     夏南美が掬う雪の中に、キランと煌めく物。
     その煌めく物を、雪を払ってみると……見覚えのある校章。
    「……あった、校章、あったよー!!」
     大声で夏南美がアピールし、それに気づいたレンブラント、シャーロットが。
    「すごいです」
    「おめでとうございます」
     二人の拍手、そしてはじめが。
    「君は勇者だ! 合宿が終わったら是非取材させてくれないか! まずは今の気分を!!」
     メモ帳にボールペンですらすらと書こう……とするけど、インクがすっかり凍結していて。
    「くそっ、インクが凍っているじゃないか!」
     と吐き捨てたりもしたり。
     ……ともかく、偶然の賜物かもしれないが、無事夏南美が校章を発見した事により、地獄合宿はに一応の決着がついたのである。

     そして大雪山での地獄合宿が終わり、灼滅者達を回収するバスが数台到着する。
     しっかりと効いた車内の暖房空調が、すっかり冷えきった体をちょっとずつ暖めてくれる。
     だが所々から聞こえるすぅ、すうと言った眠りの音がバスの中に響いて……みんなが疲れている事は明らかな訳で。
    「いやぁ……暖まりますねぇ……」
    「ええ、やっと終わりましたね。しかし……この合宿を企画した輩には、後でしっかりお礼をしないといけませんね……」
    「全くだ……本当、ここまでの合宿とは……確かに少し、精神的には強くなれた気がするがな」
     睦月と政義、梗香の会話。
     まぁそれも地獄合宿の目的のひとつなのかもしれないけれど……恨み言が出てくるのも自然な訳で。
     そしてやっと、札幌にバスが到着。
     バスから次々と灼滅者達が降りてきて、うーん、と体を伸ばしてみたりする。
     そんな仲間達に。
    「さて……と。無事に終わったわけで……みんな、地獄を経験して辛かっただろうし、暖かいものでも食べて、せっかくだし登別に温泉入りにいかないか?」
    「そうだね。思ったより地獄じゃなかった気もするけど、あったかいもの、いいよね」
    「ああ。暖かいところでゆっくり休めるぜ。ヴィルも行くよな?」
    「もちろんだ。それじゃ、みんなで行くぞ」
     睦月、羽衣、順花、そしてヴィルヘイムの言葉に皆頷いて、そのまま希望者ではバスで登別へと向かい、暖かいものを食べて、暖かい温泉に入って、地獄合宿で疲れた身体を癒すのであった。

    作者:幾夜緋琉 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年5月6日
    難度:普通
    参加:78人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 10/キャラが大事にされていた 46
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