箱庭渓谷

    作者:日暮ひかり

    ●intermezzo
    「しんりんよくでココロとカラダをリフレッシュです!」
     灼滅者たちにそう言うイヴ・エルフィンストーン(中学生魔法使い・dn0012)はとても嬉しそうだった。
     この娘は、都会の真ん中で無茶なことを言う。
     後ろに居る鷹神・豊(高校生エクスブレイン・dn0052)に視線を送れば、まあ聞いてやってほしいという具合で目配せされた。
     どうやら、それなりに根拠のある話のようだった。
    「なんと東京にも、自然いっぱいのめずらしい公園があるそうなんですよ。イヴ達、今度のお休みに行ってみようと思いまして」
     日本では、6月になれば梅雨の季節がやってきて、その後夏が来ると炎天下の暑さが続くだろうと聞いた。
     だから、今が絶好の公園日和なんですとイヴは力説する。

     住宅地の真ん中、川にかかる橋のたもとにひっそりと存在する石の階段が、その公園の入口らしい。
     階段を下っていけば、別の世界に足を踏み入れたような風景が広がる。
     静かに流れる川の両脇に広がる鬱蒼とした樹木が、狭い空を覆って、木漏れ日の降る涼やかな空間を生んでいる。
     川のせせらぎと、野鳥のさえずる声が響く渓谷。
     すれ違うのもやっとの広さの遊歩道は、ピクニックには向かない。けれどゆっくりと散策すれば、ここが住宅の谷間であることを忘れてしまうだろう。
     所々、川に降りれる場所や湧き水も存在する。涼を求めるにはまだ早い季節だが、緩やかに流れる水と戯れてみるのもいいかもしれない。
     ――――。
     癖なのだろう。
     鷹神は、そういった事をいつものように事務的に説明していく。
     そんな不思議な場所があるなんて夢みたいですよねと言って、イヴは笑った。
     
    「駅から徒歩五分程度の場所だ。流石に俺でも迷うことはないと思われる。わざわざ君達の手を煩わせる程のことではないが、偶には都会の喧騒を忘れてみてもよいと思う」
    「鷹神さん……。ええっと、つまり……一緒にのんびりお散歩しましょう! って鷹神さんはおっしゃりたいのだと思います」
     ですよね? と問われれば、彼は少々憮然とした、不思議そうな顔で頷いた。
    「……そんなに俺の説明はわかりにくいだろうか?」
    「いえ、そうではないのですが……」
     とにかく、今度のお休みは駅前でお待ちしていますねと言って、イヴはぺこりと礼をする。
     都会の真ん中で始まるささやかな探検。
     東京に広がる小さな秘境を、散策してみる一日はいかがだろうか。


    ■リプレイ

    ●緑の息吹
     地から湧き出る水は人の心のようだ。大切な想いが静かに、尽きることなく生まれゆく。
     零れやすいものだから。水に浸した手をそっと、そっと華月はすくい上げた。掌の水は頭上から注ぐ光の雨を蓄え、控えめにきらきら輝いている。
     春の温度を抱いた水に願いをかける。どうか輝く想いで、大切な人の心を潤せますように。

     緑を閉じた箱庭は、奥深く進む程人の気配を虚ろにする。
     ――連れて行って。揺籃が差し出した掌に在りし日を想えば、烏芥に手を取らぬ理由は無かった。
     ふたり踏む土の柔らかさ、木漏れ日、揺れる斑模様。暖かいね。風が心地好いね。交す言葉だけで胸がいっぱいになる。
     今も昔も変わらない日常を、手を繋ぎ歩む幸せ。

     石段を降りる一歩毎に、爪先から翠の魔法に染まっていく。お兄ちゃんに手をひかれ、木漏れ日の降る叢をかき分け、裸足の少女は草と土を踏みしめる。
    「気持ちいいですけど、やっぱり冷たいですねぇ!」
    「雪融けの温度に比べればちっともよ」
     岩間から溢れる湧水で口を潤し、冷えた円蔵の手をイコの掌が包んだ。証拠だ、と微笑む彼女を導くように、大樹の根元に腰を降ろす。
    「たまにはのんびり過ごすのも良いですよねぇ」
    「避暑にまた来ましょ」
     耳を澄ませば、落葉が水に降る音まで聞こえるよう。丸くなる白蛇達をふたり撫でているうち、緑と土の境界が微睡みの中に溶けていく。遠く響くは清かな鈴の音。寄り添う誰かの温もりが、肩にあった。

    「君の好きな娘、俺ずっと愛して……まだ好き」
     交す言葉は少なく足だけが進んでいた。知ってたろ、と、煌介の眸が不意に優しく細められる。密かに抱く罪悪感を零さぬよう、答えはそっと笑って返した。
    「……それでも、譲れなかったんすよ」
     空哉の素直な言葉が嬉しくて、煌介も素直に言葉を紡げる。初めて芽生えた、強く貫く揺らがぬ想い。もう手放すべきと解っても、せめて。
    「君の心に、手放したい」
     銀の月が真直ぐに空哉を見据える。ああ、やはり彼は『先輩』だ。殊勝なその想い、自信は無くとも敬意をもって受け取りたいと思う。
    「……精一杯、頑張るっすよ」
     緑の苑に快く響くハイタッチは奇妙な友情の証。言葉にならぬ感謝を、君へ。

     虫や木々のさざめきに惹かれるまま、気儘にあちこち歩き回る狭霧を静樹は後ろから追う。
     軽口を叩きあいながら進む最中、静樹は上を仰いでぽつりと零した。
    「……適当に理由作って断れば良かったのにな、お人好し」
    「んー? 俺的には誘ってくれて嬉しいんすよ?」
     くるりと振り返った、満面の笑み。飲み物奢りにつられて来たわけじゃないらしい。お前らしい反応だと笑って頭を撫でれば、静樹ちゃんナマイキと今度はふくれっ面が返る。
    「……そろそろちゃん付け止めろっての」
    「俺的には普通なのにー。ホント、最近の子って扱いが難しい」
     よく変わる表情だとつい拗ねた瞳を向ける。背伸びしてまで頭を撫でてくる少年は、先輩の笑みだった。

    「大都会の中にもこういった場所があるのはありがたいですねぇ……」
     ベンチに腰かけ、風の音を聴き、流希は呟く。 最近はどうも厄介事が多くて、ゆっくり物を考える時間を無かったと思う。
     清風に 思いを載せる 箱庭か――いつものように歌を詠む。悩みを風が拭い去ってくれはしないでしょうがと、寂しげに微笑んだ。

     川に遊ぶ鳥に、風に揺れる花に、クノンは歩道から身を乗り出しカメラを向ける。
     微笑ましくありつつ、川に落ちないか心配にもなった。迦月が転ぶなよと言った矢先に足を滑らすのには肝を冷やしたが、新緑のシンフォニーに耳を傾けるうち、不覚にも欠伸が零れた。
    「少し、休憩しますか?」
     クノンはベンチを指し、座ると、当然のように膝を差し出す。
     膝枕、だと。
    「嫁入り前の娘さんにさせられるか……!」
     が、せめて肩をお使いくださいと促す彼女に勝てない。観念して隣に座り、今は――何も考えず肩を預ける。
     ――好きです、先輩。
     閉じられた瞳は、赤く染まる頬をもう見てはいない。夢現の中に、か細い囀りを聞いた気はしたけれど。

     葉と樹宮鈴が横に並べば、狭い歩道は埋まる。限りある水を飲み歩きながら、まるで小学校の遠足だと笑った。
    「見て見てヨウ、葉っぱの隙間からちょっとだけ空が見えるよ」
     鈴の指先の遥か上には、新緑に切り取られた青。成程、今日の空も良い。スマホの中へ収めたそれを見せようと隣を見れば、今度は透明な青が目にとまる。
    「……なンだよ?」
    「んーん、なんでもない」
     木漏れ日のさす森に黒い影の気配はない。眼鏡の奥の灰の眸が、今様々な色のひかりで輝いているのが――やっぱりなんと言うべきか判らないから、鈴は笑った。
    「……へんなヤツ」
     訳が解らない。けれど、だから、葉も同じように笑う。悪い気はしない、どうしてか暖かいのだ。

    ●迷い鳥
    「東京にこんな素敵な場所があるなんて知らなかったよ」
     有難うと声を弾ませる碧月にイヴは嬉しげな顔を返す。木の葉を通して降り注ぐ光は柔かく、世界がいつもより優しく見えた。何だか今日は、皆が素敵な気持ち。
    「豊さんも、優しい世界でゆっくり出来てるといいね」
    「あら? さっきまで近くにいましたが……」
    「え?」

    「うわー、空気澄んでるよね」
    「都会のオアシスみたいな場所だな」
     胸一杯美味しい空気を満たし、水と戯れ夏気分。偶然の遭遇がもたらした小さな贅沢を共有し、ベンチで休むるりかと峻の前を豊が通った。
    「はい、これ。いっぱいあるからあげる」
     大量のチョコは一体どれだけ出るのか、二人は不思議そうにるりかのポケットを見た。本人が意に介さないので謎だな、と苦笑しあって茶を飲みつつ有難く頂く。
    「関島さんっておいしそうに食べるよね」
     君もな、と笑って豊も二人にスナック菓子を与える。峻は一瞬静止した。
    「こうやって借りがどんどん増えていく様な気がするが……」
     また返せば良いか、と思う。皆で菓子を口に運べば、幸せだから。

    「豊はっけーん!!」
     歩き出した豊は耳に覚えのある声を聞いた。振り返る前に、誰かがどーんと背を押す。
     危うく橋から落ちかけ、同時に響くシャッター音。今度こそ振り返ると、トイカメラを構えた桜太郎と葵咲がにんまり笑っていた。しかも二人で指を突きつけ、例のポーズを真似てくる。
    「あ! 豊の服が……普通のジャケットだっ!!」
    「灼滅せよ! ……は、流石にその格好じゃ似合わないな」
    「はぁ!? な、何がおかしいんだよ!」
     暑くないの、勉強慣れた、ところころ笑って質問責めする葵咲に、すっかり狼狽える姿は教室で見れない自然体だ。
     桜太郎は密かに笑みを浮かべる。こっそり切ったシャッターにも気付かぬ程度の男、らしい。

    「楽しんでいるな、鷹神君」
    「土方先輩……。いやその」
     恥しい所を見られたと士騎から目をそらす豊に、その服は撥水ではないかと問うのは忍びない。
    「ここは本当に隙間なのだね」
     ゆるりと腰を上げ隣に並べば、当たり前のように豊も歩調を合わす。交すのは他愛ない言葉でいい。この時間にはそれが何より、似合っている。
    「鷹神君見て、珍しい昆虫捕まえたよ」
     道中イリスが悪びれず掲げてきたのは大きな芋虫だ。怖がると思ったなら心外だと、案外強気で笑う豊の掌に芋虫を移して、じっと眺めてみる。
    「この芋虫がいつか蝶になって飛ぶのよね」
    「蛾かもしれんぞ」
     ロマンないなあと呟いて、木の葉へ放す。どちらになっても空は飛べるだろうから。

    ●水の戯れ
     靴を脱ぎ、川辺の岩へ三人並んで腰を下ろす。まだ冷たい水は歩き通した足には心地良い。そう、季節は春、武蔵坂はもうじき体育祭。
    「爪に傷つくし、団体競技あんま得意じゃないのよねー。まあ、競技始まればマジでやるケドさ!」
     夜桜がばしゃんと水を蹴れば、凰呀も真似をする。銀河の蹴った水は二人よりも飛ばない。これだから体育祭は憂鬱なのだ、でも。
    「何人保健室送りにできるかしらね~♪」
    「……保健室送りにしちゃダメだよ!」
     凰呀の発言に思わず吹きだした。こんな風に皆で盛り上がれば、きっと楽しい。
    「そーいや、三人で出かけるなんてこれが初めてねー」
     もう長い付き合いの様な気がしてたと凰呀は言う。彼女にもたれて眠っていた夜桜が目を開けた。
    「……ふぇい? え? 何か今言った?」
    「んーん、なんでもないわ♪」
     心許せる親友になるのに、過ごしてきた時は関係ない。凰呀が頭を軽く撫でれば、夜桜はまた微睡みの中へ。銀河は二人へ笑いかける。
    「これからも一緒に色々楽しもうね!」
     穏やかな今をくれる友へ、精一杯の有難うを。風が少女達の長い髪を揺らした。

    「気持ちいいなあ…こんなところがあったなんて」
     見つけた動物や鳥を撮影しながら、兄の奏はゆったり森を歩く。
    「……静か……」
     同じ頃、弟の光生は目を閉じ、鳥の声に耳を傾けていた。
     奏が地図を辿って川に着くと、水に足を浸し寛ぐ弟の姿があった。隣に腰を落ち着け、言葉を交わす。
    「クラスメイトとはうまくいってる?」
    「……いや。まだ友達一人も出来てないし……」
    「そっか……年上でも大丈夫でしょ? 今度紹介するよ」
     心配そうに眉を下げる兄に、光生は申し訳ない気持ちになり話題をそらす。振られた改造制服の話に、安心したのかと奏は胸を撫で下ろす。小さなすれ違いも互いを想うゆえ。清流の快さを感じながら、長々と話した。

     緑の香りを胸に満たし、梅雨の前の青葉が好きだと心桜は顔を綻ばせた。川辺に降りる彼女へ伸びる明莉の掌を、少しはにかんで握り返す。
     並んで水に手を浸していると、一息ついていた明莉へ突如飛沫が降り注ぐ。
    「明莉先輩、ほれ!」
    「て、こらっ」
     笑い、戯れ、水をかけあう。心を冷やす水は枯れない。思い返すのは――無き『箱庭』。
    「望……、心桜は真面目だからなぁ」
     名前を呼ばれはっとする。
     心桜の頬を伝う雫が、明莉には心無しか涙に見えた。岩間に落ちた薄青色の著莪を掌に乗せ、我儘と一緒にそっと差し伸べる。
    「これからも一緒に過ごせるといいね」
     心桜の最後の我儘は叶えたくないから。著莪の花弁が、泣くように雫を零した。

     靴を脱ぎ川に入れば、水の冷たさが樹の心の隙間を通るようだった。
     言いたいことが言えたらいいのに。そばにいて、ただひとことが言えない。淋しいと知って、でも迷惑だけはかけたくない。
     渦巻く思考が重く、服が濡れるのも構わず岩陰へ座り込む。俯く顔は金の髪で見えない。流れに落ちた涙はどうか消えて欲しかった。

     この血に宿した焔は、木々を消し、水に消える。異なるたちのものに安らぎを覚える事が煉にはふと不思議に思え、川辺で靴を脱ぐ同胞に目を向けた。
    「結局人だから、なんでしょうか」
    「確かに、私達の血とは真逆のものね」
     荒ぶる血とは別に、好み、求める矛盾は獣なら持たないと依子は笑む。
    「そう在りたいと零すのは、人である自分を覚えていて欲しい子だからかな」
     答えるでもなく煉は河へ足を預ける。人の手を模る前足で掬おうとしても、水に浮かぶ木漏れ日は拾えないけれど。
    「早く来ないと掛けますよ、依先ぱ……わっ」
     きらきらと降り注いだ飛沫の向こうで、依子が悪戯っぽく笑っていた。重ねあう景色と思いが、二人の笑みを深くする。

     紙いっぱいに希沙が描くのは、森に息づく沢山の好きなもの。枝を発った小鳥を眺める先に、知る人の姿があった。
    「あれ、……茉莉ちゃん?」
    「お? 希沙ちゃん!」
     これは嬉しい偶然、共にマイナスイオンを求めて水遊びに興じるべきだ。初め控えめに跳ばしていた水も、楽しさから次第に増量していく。
    「タロちゃんも! あ、あれ……?」
     岸で寛ぐお犬様に希沙の水飛沫は効かない。茉莉がバケツの水を見舞えば、ふかふかの毛を台無しにされたタローは飛び起き、思い切り身体をふるう。
    「ぶはっ、やるな……!」
    「きゃー茉莉ちゃん! ……ぎゃー!」
     散った飛沫で二人ともずぶ濡れだ。腕白乙女達の笑顔は、水飛沫よりきらきらと輝いていた。

    ●森の魔女達
    「……なんで公園が好きなんだ?」
    「たくさんのお友達とおなじお空を見て遊べる所、なんだか好きなんです」
     皆守さんにも会えましたよと言うイヴを見て、幸太郎は成程なと空を仰いだ。
    「お前さんの様子は、今日の暖かな陽の射す青空のようだ」
     じゃあ皆守さんは……やっぱり珈琲さんですと素直に返す所、正にそう思う。

     立ち止まり、深く息を吸えば、身体が土と森の香りに包まれる。
     いのちの匂いだ。懐かしい香り。東京にもこんな場所があったのだと、アリスは顔をめいっぱいほころばせた。
    「今日はとってもとっても幸せなのですっ!」
    「喜んで頂けてとっても嬉しいです!」
     森の木の実や薬草がアリスの知る宝物。一緒に宝を探していたイヴの後ろから、うぉんと元気な声がした。
    「あっ、瞳さんに庵胡ちゃん!」
    「お久し振り♪」
     ぶんぶんと尾を振る庵胡を撫で、鳥に合わせて鼻歌を歌いながら歩く。こんなピクニック日和の日、瞳のお弁当は勿論手作りのサンドと紅茶だ。
    「……山奥の大自然の中に包まれてるみたいね」
    「ふふ、お弁当も倍美味しくなりますね!」
    「こんにちはっ。良いお天気ですね!」
     パーカーにジーンズ姿でしゃがむ敬厳に会釈する。小さな紳士も今日は『ラフ』な装いだ。
    「わあ、小さくて可愛いお花です」
    「僕が生まれ育った家も、緑に囲まれた場所ですので。母様も植物が大好きなんですよ!」
     夏休みにまた帰るそうだ。花と緑に囲まれた屋敷を想像し、うっとり夢心地のイヴ。ぽすんと頭へ乗せられた何かに、ひゃっと飛び退く。
    「大丈夫、帽子だよ。貸してあげる」
    「わわっ、いろはさん!」
     どんな帽子か見たいとイヴが言うので、水鏡を示した。作られた自然を嫌う人も居るけど、箱庭には箱庭の雅があるよねと、小袖に日傘を差した友は言う。
    「イヴはどんな公園も好きですが……あれ?」
     川辺の岩に座る龍夜、聞けば座禅をしているらしい。
     自然の声に耳を傾け、己の、世界の生を感じ、大切な守りたいものを汲み取る修行。占い師がカードを読み解くのに似ていた。近くで稲葉がのんびりと沢に足を漬している。
     やっと都会の空気に慣れたが、やはり自然の中が落ち着く。鳥の囀りを聴きながら、初めて救えた人のことを考えると実に清々しい。
     けれど心の整理がつかないまま、流れに身を委ねていいのだろうか――とばっちりの水飛沫が惑いを粉砕する。
    「……やったな! てやーっ!」
     見れば時雨鈴や、イヴ一行が近くで水遊びを始めていた。サンドを食べ終えた鷹飛が立ち上がり、楽しげな皆の様子を写真へ収めていく。
    「闇に落ちようとも、この気持ちが失われない限り帰って来れる」
    「落ちたら……ダメです」
     深刻になるな、今日は感謝していると龍夜が笑えば、イヴはやっと安堵して水鏡を覗いていた。
     みんな武蔵坂。こんな公園日和には、そういう事でいいのだろう、とりあえず。

    作者:日暮ひかり 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年5月16日
    難度:簡単
    参加:41人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 15/キャラが大事にされていた 4
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