月映えに紅く麗し

    作者:四季乃

    ●Accident
     その紅は、暗闇の中で煌く星のようだった。
     瞳に映るその流れるような紅の筋は、目の前をゆらゆらと泳ぎ、いつしかこの身体に絡み付いて、離さない。
     苦しい、と思った時は既に遅く、目の前が、世界が、紅の一色に染まっている。
     背骨が軋む音を、まるで他人事のように聞いていた。


    ●Caution
    「皆さん、夏祭りで金魚すくいをした事がありますか?」
     五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)は悲しそうな面持ちで、手の平を温めていたマグカップをテーブルに置くと、実体化した都市伝説について話し始めた。
    「とある女子高で、夏祭りですくった金魚を持ち寄って飼育していたようなのですが、先日その最後の一匹が死んでしまったらしいのです」
     ぽつりぽつりと呟くような姫子の言葉。
     彼女の傍らに立った雪椿・鵺白(ブランシュネージュ・d10204)が、彼女の肩にそっと手を置き、話を引き継いだ。
    「最初は熱心に飼育されていたようだけど、少しずつ気持ちが離れていってしまったのね。水槽は彼女たちの教室から理科室へと移動され、誰も飼育しなくなったの」
     偶然最初に持ち寄った女の子が事故に遭った事をきっかけに、金魚の怨みだと噂が広まり、膨らんだ結果…という事だ。
     その金魚は赤く綺麗な尾ひれを持つらしい。しかしこの尾ひれを使って切り裂きに掛かったり、締め付けると言う攻撃手段を取るので見た目に騙されてはならない。
    「尾ひれは綺麗なんでしょうけど、その金魚、猫ほど大きいんですって」
     少し困惑したように微笑んで鵺白は言った。
     彼女達が言うには、その金魚は理科室の窓際にある棚の上に置かれた水槽に近づくと現れ、その人間に襲い掛かるらしい。その後は暫く理科室を飛び回り、消えてゆくのだとか。
     中庭に面している理科室のベランダの鍵はきっちり閉まらないようで、少し揺らしただけで開いてしまうらしい。此処から潜入し、灼滅して欲しい。
    「二手に別れてそれぞれを灼滅するか。あるいは片方を引き付けている間に一匹を灼滅し、残りを全員で一気に叩くか。方法は皆さんにお任せいたします」
     幸い警備の者も居ないようなので、気を遣う事はない。
    「これ以上女の子達が悲しまない為にも…死んでしまった金魚達の為にも、皆、どうぞ、よろしく」
     姫子と鵺白はその柔らかい髪をふわりと靡かせ、そっと低頭した。


    参加者
    皇・ゆい(血の伯爵夫人・d00532)
    鈴城・有斗(高校生殺人鬼・d02155)
    篠村・希沙(手毬唄・d03465)
    雪椿・鵺白(ブランシュネージュ・d10204)
    ギルドール・インガヴァン(星道の渡り鳥・d10454)
    半崎・切(空に浚われる影・d14720)
    螢揺・詠祈(桜祈想・d15122)
    新谷・流鬼(鬼神・d16474)

    ■リプレイ

    ●静寂に漂ふ
     月が、にやりと意地の悪い形をして、虚空に浮かんでいる。
     件の女子高の敷地に潜入した灼滅者達は、ひっそりと静まり返る校舎を横目に、理科室を目指していた。
    「夜の学校って、よく判らない怖さがあるよね…」
     先導して歩いていた鈴城・有斗(高校生殺人鬼・d02155)が、ふとそんな風に零す。
    「怪談にはまだちょっと早い気もするけど、まぁしょうがないか」
    「怪談と言えば、学校の七不思議とか流行ったよね」
     無邪気に笑った新谷・流鬼(鬼神・d16474)が、太陽のような明るさで口にする。
     そんな二人のやり取りを傍で聞いていた皇・ゆい(血の伯爵夫人・d00532)は、上空を見上げ、ひっそりと吐息した。
    (「生き物を救う、飼うには責任がいる。…それが軽い気持ちでというのは許せないわ。ただ…私は、気持ちが離れるのはどうかと思うわ」)
     夏祭りで掬った金魚。皆で持ち寄って飼育していた筈が、この顛末。
     だから。
    「私はその命を救うわ」
     そんなゆいの決心が耳に届いたのか、傍を歩いていた篠村・希沙(手毬唄・d03465)が、緑色の瞳を細くして、ひっそりと頷いた。
    「忘れられて理科室に置いてけぼりで、寂しかったやろう。怒るんも恨むんも当然の権利、やと思う」
     誰に宛てるでもなく紡がれる言葉に、雪椿・鵺白(ブランシュネージュ・d10204)と螢揺・詠祈(桜祈想・d15122)、半崎・切(空に浚われる影・d14720)の三人が、そっと息を詰める。
    「哀しかったですよね。辛かったですよね。寂しかった、ですよね……」
     詠祈の声は微かに震えており、まだ見ぬ都市伝説の姿を想像し、その胸が鋭く痛む。
    「でも、もう終わらせんと」
     前方に、小奇麗に整えられた中庭が見えてきて、希沙はきゅっと唇を結んだ。
    「行こう。僕たちが、救ってあげなくちゃ」
     後方から彼女達の様子を見守っていたギルドール・インガヴァン(星道の渡り鳥・d10454)が優しく声を掛けると、灼滅者達はこくりと頷いた。

    ●暗闇に差す
    「うん、大丈夫みたいだ。入って来て良いよ」
     エクスブレインの話では、中庭に面した理科室の扉は、鍵がきっちり閉まらないとの事だった。
     それゆえギルドールが率先して扉に手を掛けて、持ち上げるように揺らすと、中からカチャン、と軽い音がして、呆気なく開いてしまったのには、少々驚いた。
    「理科室って薬品とか置いてあるから、危ないんじゃないかな?」
    「女子高だと『忍び込む』って考えがあまりないのかもしれないわね」
     ギルドールの後に続いて足を踏み入れた流鬼の言葉に、鵺白がふわりと微笑って答える。
    「結構広いですね。それに綺麗に整理されてます」
     詠祈は辺りを見渡しながら感心して呟いた。
     翳されたランプの明かりに照らされた理科室は、ほの暗い闇を漂わせているせいか、昼間に見る部屋とはまるで別世界に思える。
    (「今回は、友達の大切な人が参加してるんだよね」)
     その為、なるべくならば怪我を負わせたくはない。
    「張り切っていこうか、アング・ロクエン!」
     ライドキャリバーを見返り、有斗が口元に笑みを浮べた時だった。
    「…あっ……」
     切の口から短い音が零れ落ちたのを、鵺白達は聞き逃さなかった。
     そちらを振り仰ぐと、切は細い月明かりが差し込む窓際を真っ直ぐに見つめていて、切り揃えた前髪を微かに揺らし、こちらを振り返った。
    「あっ、た……」
     何が、とは聞くまでも無い。
    「それが例の水槽? 随分大きな水槽だね」
     流鬼の言葉通り、かつて夏祭りで掬った金魚が飼育されていたと言う水槽は、横幅一メートルはあるだろうか。荷台でも使わなければ苦労する大きさである。
    「こんなに大きな水槽で飼わなくてはならないくらい、金魚が居たんですかね…」
     悲しげな詠祈の言葉に、答えられる人は誰も居ない。
    (「置いてかれる寂しさは何となく、判る。ほんまは襲う気なんてなくて、ただ、気付いて欲しかっただけなんちゃうかな」)
     希沙は祈るように手を握り締め、その胸の内を掻き乱す切なさを払うように気合いを入れる。
     都市伝説を呼ぶためには、水槽へと近付かなくては。灼滅者達はゆっくりと歩を進めると、水槽との距離を詰めてゆく。
     己の心音が、耳に押し当てたように大きく聞こえた。
     手を伸ばせば触れられそうだ。そんな距離にまで近付いた時。
     ピ、チャン。
     聞こえる筈のない、水の音が理科室に響いた。
    「っ! 皆、後ろっ!」
     叫んだギルドールの言葉に、皆が一斉に振り返る。
     そこには、理科室の上空をゆらゆらと漂う二つの赤。暗がりに映えるその赤は、次第に猫ほどの大きさに膨れ上がると、色鮮やかな金魚の姿に変化していった。
    「忘れられ、て…いやだった、ね。でも、人、襲う…みんな、『悲しい』それ、だめ…」
     切がきゅっ、と唇を結んだその横で、こちらを惑わさんとするその艶やかさに瞳を細めた鵺白が拳を握り締める。
    「やはり生き物を殺めるのは気が引けるけど、仕方ないものね」
     戦闘態勢に入る灼滅者達と、二匹の都市伝説。
    「私の眼から逃れるかしら」
     予言者の瞳を発動させたゆいの言葉を皮切りに、灼滅者達は一斉に動き出した。

    ●揺らめく哀切
    (「綺麗な金魚なのに…見放されてしまうのはいくら金魚でも寂しいと思うの。ともかく、何とかしないと」)
     囮組が片方の都市伝説を引き付けている姿をちらりと流し見て、鵺白は螺穿槍にて攻撃を繰り出した。螺旋の如き捻りを加えて突き出された槍が、敵の背を穿つ。
     都市伝説は鳴き声と言う鳴き声を発しなかったが、耳を劈くような、ピイィィィと言う超音波にも似た嫌な音を立てる。
     その時、眩しい光が暗闇を切り裂いた。どうやら切がギルドールにシールドリングを放ち、援護したようだった。
    「そぉらっ! これでも喰らえっ!」
     魔法弾を次々と撃ち込みながら、まるで人が変わったようにそう叫んだのは流鬼だ。ビハインドの阿修羅も主に呼応するかのように霊撃を放ち、休む暇を与えない。
     しかし都市伝説は喰らった攻撃を跳ね返すかのようにその場でくるりと宙返りすると、ひらひらと赤い尾を振りかざし、シュパンッとゆいの肩を切り裂いた。
    「っ…」
     攻撃を受けたゆいは、一瞬よろけた。しかしこれしきの事では怯まない。
    「その尾ひれは傷つける為のもんではなかった筈やのに…ごめん、覚悟してや」
     オーラを拳に集束させた希沙の凄まじい連打が、都市伝説の腹部へヒットする。都市伝説はぐらり、と大きく傾くと、まるで逃げるように天井高く飛び上がった。
     だが。
    (「悲哀も絶望も沢山、あったんだと思います。言葉も、金魚さん達の思いも解りません」)
     だから――勝手な思い込みかもしれないのだが、だからこそ、その分だけ彼女達のことが好きだったのではないだろうか。
    「うたはそう、信じます」
     ガトリングガンをしっかりと構え、ガトリング連射を撃ち出す詠祈に、迷いは無かった。それでは尚の事、この都市伝説を灼滅しなくてはならない。
     囮としてもう片方を引き付けている有斗達もそれは変わらなかった。
    「悪いけど、向こうへは行かせないよ」
     自分達の間をすり抜けようとして行った都市伝説目掛け、ホーミングバレットを撃ち込んだ有斗。
     それは都市伝説の頭頂部にヒットすると、その身体が大きく揺れ、一瞬動きが固まった。その隙を狙い、アングが突撃をかませば、すかさずギルドールが制約の弾丸を放った。
     カーテンの隙間から差し込む月光に照らされた都市伝説の赤い体が跳ねる。その姿に、ギルドールは目を細めて微笑んだ。
    「これは綺麗だね」
     この姿に惑わされ、少女たちは死んでいったのだろうか。
     そう考える彼の眼前に、分裂した小光輪が現れた。それはギルドールの盾となって守りを固める。
    「ありがとう。助かるよ」
    「うう、ん……」
     穏やかな笑みを浮べて感謝の言葉を口にすると、切はこくん、と静かに頷いた。
     と、そこへ。
    「英雄が使った武器が私の力。蘇れ、英雄の影」
     地面から突き出る刃のついた影が、都市伝説の腹部を貫く。斬影刃を放ったゆいは、少しも表情を崩すことなく、痛みで宙をもがき回るその姿を尻目に見やる。
     その時、離れた場所からボゴッ、と鈍く激しい音が鳴り響いた。
     ゆい達が振り返ると、都市伝説の身体を殴りつける鵺白の横顔が視界に飛び込んできた。どうやらフォースブレイクで魔力を流し込み、体内から爆破したらしい。
     しかし、まだ灼滅出来ていない。都市伝説は最後の力を振り絞るかのように、地面へ落ちながらも、その尾を一つに固めて先端を研ぎ澄まし、灼滅者達目掛けて突き出してきたのだ。
    「痛ぅっ…!」
     攻撃を喰らったのは流鬼だった。彼は己の腕から飛び散る鮮血を見やり、赤茶の瞳をキュッ、と鋭くさせると、唇を大きく吊り上げて笑う。
    「てめぇ、痛ぇじゃねぇかっ!」
     ダンッ、と力強く床を蹴ると、流鬼は握り締める槍を都市伝説へと突き出し、その肉体を螺穿槍にて貫いた。
     都市伝説は空中で停止し、嫌な音を喚き散らしたあと、床にボトリと落ちた。陸に打ち上げられた魚のように、暫くジタバタと暴れていたが、次第にぐったりして動かなくなったのを確認。
    「一体倒しましたっ!」
     攻撃を浴びた流鬼へ、すかさずシールドリングを放った詠祈が叫んだのを合図に、灼滅者達は全員が合流すると、残りの都市伝説を蹴散らしに掛かった。
     まずアングに騎乗した有斗が、机の間を縫うように駆け抜けて行く。そのまま都市伝説を翻弄するように周囲を走り回り、援護射撃。アングも機銃掃射にて攻撃を繰り出すと、闇の中で紅が翻る。
    「さぁ、皆、今だよっ!」
     有斗が作ったチャンスを、無駄にする訳にはいかない。
    「苦し、かった、ね…忘れられ、て、自分、だけ、ずっと…でも…傷つける、だめ!」
     忘れられて放っておかれる気持ちはよくわかる。
     切は悲痛な叫びを上げると、フリージングデスを発動。空中で灼滅者達を見据え、真っ赤な尾を揺らす都市伝説の肉体が見る見る内に凍り付いていく。
    (「あの棚は薬品があるから、気をつけないとね」)
     向こう側に見える薬品棚を壊さぬよう、注意を払いながらギルドールがマジックミサイルを放つと、その攻撃に織り交ぜるように阿修羅が霊障波を重ねて放出。
    「こんな所で彷徨っても、どうしようもないんよっ!」
     体内から噴出させた炎を宿し、レーヴァテインを叩き込んだ希沙が眉を下げて悲しげに叫ぶ。しかしその悲痛な声は、都市伝説に届く筈もなかった。
     息つく暇も与えぬ連携プレーで、灼滅者達に追い込まれる都市伝説は、理科室の上空をぐるぐると激しく泳ぎ回り、時折シャアアアアッと威嚇のような音を発した。
    「余裕がないみたいね」
     金魚の赤に負けぬほど、否、それよりももっと血塗れた赤を連想させる鋼糸を指先に絡め、ゆいが瞳を細くして呟いた。
    「その鮮やかな鰭を私のアカで散らしてあげるわ」
     その言葉とほぼ同時だった。
     ゆいは高速で鋼糸を繰ると、都市伝説の鰭に狙いを定めて斬り裂きにかかった。
     しかし都市伝説も黙ってやられてはくれない。
     斬弦糸を喰らい、己の鰭が切り落とされたのを見て激昂したのか、都市伝説はピイイイイイッと鳴き声を発すると、尾を振り上げ、そのまま横に凪いだ。
     パシュン、と小気味良い音と共に、有斗の肩から鮮血が舞う。
    「いたっ…!」
     そこからなりふり構わず尾を振り回しに掛かる姿は、悪足掻きにしか思えない。こちらも灼滅が近いのだと悟ると、灼滅者達は一気にケリをつけようと、飛び掛った。
    「もう、悲しい想いをしなくて、良いの。これで、終わりにしてあげる」
     再び鵺白のフォースブレイクが、都市伝説の頭部へ命中。頭を攻撃された反動で、ぷかり、と水面に浮かぶように腹を上にしてひっくり返った所へ、流鬼の妖冷弾が打ち込まれる。
    「要するにただのでかい魚だろ! ならこいつはかなり効くだろ?」
     狂気すら感じさせるその表情は、まさしく鬼神。
    「もうここへは来ちゃだめですっ」
     詠祈がマジックミサイルを放って火力補助に加われば、都市伝説の身体からペリペリと鱗が剥げ落ちて、その身体が見るも無残な姿へと変貌してゆく。
     でろりと半分頭が崩れた姿は、もう金魚の面影などありはしない。これが末路だと言うのであれば、こんなに悲惨で、悲しい最期などあって良いのだろうか。
     そして――。
    「もう二度と、君達みたいな都市伝説が現れない事を、祈ってるよ」
     ギルドールの言葉に反応するかのように、都市伝説の真っ赤な身体から、体温や熱量が急激に奪われてゆく。
     都市伝説はもう、動く事も、逃げる事も出来ず、体の自由が奪われてゆくのをただ待つ事しか出来ない。
     目に見えぬ攻撃によって凍り付いたその肉体は、遂に床に落下し、パキン、と高い音を立てて――砕け散った。
    「綺麗な尾ひれも、優雅に泳ぐ姿も忘れへんよ」
     憚るような希沙の小さな呟きは、灼滅者達の勝利であり、この悲しい事件の結末でもあった。

    ●赤を弔う
    「棚の薬品も、備品も壊れてないみたいだね」
     戦闘後、理科室周囲の点検を終えたギルドールは、穏やかに微笑んで頷いた。
    「あ~なんか俺、無性に金魚すくいがやりたくなってきたぜ…」
     流鬼のそんな言葉にギルドールが目敏く反応。彼は金魚の冥福を祈ると同時に金魚すくいに興味があったので、流鬼に尋ねる事にした。
     一方、既に中庭へと出ていた有斗達は、都市伝説の崩れた亡骸を、中庭の隅に埋め、弔っていた。
    「せめて安らかに」
    「…お休み」
     両手を合わせる有斗と希沙。そこへ詠祈がどこからか摘んできた花を持って、駆け込んできた。彼女は自分達で作った墓の上に花を添えると、そっと両手を合わせて、瞳を閉じた。
    「あなたに、最期の祈りを。どうか、寂しくないように」
     そうして金魚と少女達の冥福を祈る傍ら、切も別の場所で摘んで来た花を添え、同じように祈りを捧げる。
    (「ゆっくり、…眠っ、て……おや、すみ…」)
     そんな彼女達の背中を、少し離れた場所で見つめていたゆいは、一人考えていた。
     動物の命は人間の寿命より短いが、我々を支えてくれる部分も大きい。
    「私の大切な人は…全部守りたいって言う人だから」
     自分は、そういう人間を護れる人になりたい。そして、散っていった金魚の都市伝説の魂を、自分は救えたのだろうか。
     帰路に着くゆいは、胸の中で密やかに呟いた。
     そうして仲間達の姿を見つめ、墓に視線を落とし、理科室を振り返った鵺白は、夜風に掻き消されるような儚い声で言った。
    「捨てられても、水槽の中で気高く泳いで」
     そして、傷付けてごめんね。と。

    作者:四季乃 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年5月22日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 1/素敵だった 9/キャラが大事にされていた 2
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ