【Crystal Labyrinth】黎明のネクロポリス

    作者:東城エリ

     23区内にある川の近く。
     緑化された木々が青々とし、公園のような佇まいの中にあるシンプルな建物。
     必要な時だけ解錠されていた重さを感じさせる鉄扉は外側へと開け放たれていた。
     長方形に切り取ったような開口部の入口から、地下へと続く螺旋階段。
     ビル数階分の高さがある階段。
     底を覗いても深淵に沈んでいるように真っ暗だ。
     階段を歩くことなく、地底へと吸い込まれていくのは、数羽のコウモリ。
     薄い皮膜の羽をはばたかせて、地下へと降りると、そこは神殿にあるような柱があった。
     柱は大きく、そして高さもある。
     灰褐色した柱と柱を繋ぐのは、同じ色の壁。
     壁は天井までぴっちりと覆い、壁の向こう側に何があるのか窺わせない。
     地面には砂埃が積もり、人の足跡が入り乱れている箇所がある。
     壁が広がる真正面のちょうど真ん中。
     真ん中にひとつ、ぽっかりと入口らしき空間があり、その周囲には足跡が沢山あった。
     そして、骨らしき物と肉塊が散乱していた。
     唯一の暗い入口をコウモリは目指す。
     無事に入口を通り抜けると、姿を消した。
     同時に、ぐしゃりと叩き落とすような音が聞こえ、入口の外へと投げられた。
     血袋のようになったコウモリは、それから動くことはなかった。
     
    「不死王戦争でコルベインの水晶城に居たノーライフキングの一部が動き出したようです」
     斎芳院・晄(高校生エクスブレイン・dn0127)は、そう言って眼鏡の奥、緑瞳を微かに細めた。
     彼らは、コルベインの所持していたアンデッドの一部を有効利用し、迷宮を作り始めています。
     ノーライフキングの迷宮は、時間が経てば経つほど強力になっていきます。
     早急な対応が必要でしょう。
     特に水晶城のノーライフキング達は、コルベインの遺産であるアンデッドを使用する事が出来るようで、放置すれば第二第三のコルベインとを誕生させる事になるかもしれません。
     
    「迷宮内部についてです」
     迷宮内部にいるアンデッドは、全て人型で数は12体。
     バスターライフルを使う者が6体、ロケットハンマーを使う者が6体になります。
     それらのサイキックに似た業を使います。
     天井まで壁がありますので、迷路の通路は隣の通路からやってくるということはありませんが、その分挟み撃ちにされたら逃げにくいですし、行き止まりに追い詰められたら焦りも出てくるかもしれませんが、落ち着いて対処してください。
     他には、迷宮に仕掛けられた罠などもあるかもしれませんから、慎重さを心がけながらも迅速に。
     迷宮探索には時間も掛かると思いますが、緊張の糸を切らせないよう、注意してください。
     
    「迷宮を突破した先にある玉座の間まで辿り着けば、迷宮の主であるノーライフキングと対峙することになります」
     ですが、今回での最優先事項は、迷宮を突破することです。
     迷宮を突破しないとノーライフキングが居る玉座の間へは辿り着けません。
     まずは迷宮突破に尽力を。
     迷宮を突破した時点で、ノーライフキングと戦うのが難しい程消耗した場合には、無理をせずに帰還するように。
     ノーライフキングは強力なダークネスですから、戦力に不安がある場合には、帰還するという選択肢もあると言うことを頭に入れておいてください。
    「皆さんの無事を祈っています」
     晄は、皆を一通り見渡し、微笑を浮かべ見送った。


    参加者
    九条・風(紅風・d00691)
    橘・蒼朱(アンバランス・d02079)
    立見・尚竹(貫天誠義・d02550)
    鏑木・カンナ(疾駆者・d04682)
    神崎・摩耶(断崖の白百合・d05262)
    ジンザ・オールドマン(銃梟・d06183)
    神楽・紫桜(紅紫万華・d12837)
    エール・ステーク(泡沫琥珀・d14668)

    ■リプレイ

    ●迷宮入口
     暗闇へと足を踏み入れる。
    「敵城内への潜入任務。さ、忍者の本領と行きましょうか」
     ジンザ・オールドマン(銃梟・d06183)は、落ち着いた声音で自身に言い聞かせるように呟いた。
     陽の光を背にして、闇を飲み込むようにある螺旋階段を下っていく。
     暗闇の先を用意した電灯で照らす。
     階段を下る足音がやけに響く。地下に反響しているのか、それとも敏感になっているのか。
     砂っぽい空気が、やがて湿っぽさを伴った空気へと変化していく。
     ビル5階相当の高さがある螺旋階段を下りきると、空気が停滞しているのが分かる。
     饐えたような、何とも言えない鼻先を刺激する匂い。
     けれど、やがて本格的に迷宮へと入ってしまえば、慣れてしまうのだろう。
     電灯で照らせるだけ照らし、入口の全容を見渡す。
     天井まで届く壁と、壁と壁を繋ぐ神殿様式の柱。
     広いはずなのに、狭苦しく感じる。
     入口前には、うち捨てられたいくつかの死骸。砂にまみれ、水気が飛んで乾燥し始めているようだ。
    「ノーライフキングの迷宮か、こんなもん出来上がったら、たまったもんじゃないな。早いとこ潰しちまうに限るな」
     神楽・紫桜(紅紫万華・d12837)が蟻塚を崩すような感想を口にし、
    「咲け紅紫の万華」
     続けて解除コードを紡いだ。
     殲術道具の千鳥十文字槍を確りと握る。
    「行こうか、相棒。今日はノウンも大活躍できそうだね。皆の安全の為にも、大変だろうけどよろしくな」
     橘・蒼朱(アンバランス・d02079)は、天井まである壁の中、ひとつだけある入口を見やり、ビハインドのノウンに声を掛ける。
    (「このような迷宮を作り上げるという事は、梅田や新宿の迷宮はノーライフキングの作った物という事か?」)
     立見・尚竹(貫天誠義・d02550)は疑問を浮かべ、眼前の状況へと関心を戻す。
    「しかし見事に上まで壁で埋まってんのね……閉所が苦手って訳でもないけど、流石に息が詰まるわ」
     鏑木・カンナ(疾駆者・d04682)は、じわじわと感じる圧迫感に微かに眉を寄せた。
    (「ゾンビだらけの地下迷宮。どこぞの合宿のようだな」)
     神崎・摩耶(断崖の白百合・d05262)は、GWの出来事を思い出す。
     迷宮には自分達しかいない分、無駄な消耗は避けていきたい。
    (「攻防のメリハリ付けて行くぞ」)
    「頼んだよ、相棒」
     蒼朱はノウンを先行させる。
    「敵の気配がしたら、ライトの明滅とかで合図を頂戴」
     カンナのライドキャリバー、ハヤテに声を掛けた。
    「頼むぜ」
     九条・風(紅風・d00691)も相棒のライドキャリバー、サラマンダーに手をあげる。
     サーヴァント達が先行し、動き出す。
    「アリアドネの糸も問題ない」
     紫桜は、迷宮に入ってから発動させたアリアドネの糸。行き止まりや迷ったときには、糸を手繰って戻れば、時間の消費もしなくて済むだろうという算段だ。
    「うっへェ……埃と腐臭塗れじゃねェか……、気持ち悪ィ」
     思わず口元を掌で覆いつつ、風は眉を寄せる。
    「あまり綺麗好きな城主さまでは無いようで……」
     ジンザが眼鏡の奥の青瞳を微かに細めた。
     訪れる者は基本的に敵であるから、綺麗さなどは求めていないのだろう。
    「マッピングとかするの初めてだし、ちょっとなんかきんちょー……」
    「大丈夫だ。私も初めてだ。徐々に慣れていけばいい」
     若干不安そうに呟く蒼朱に、マッピングの相棒である摩耶が元気づける。
    「ん、そうだね」
     こういった事は嫌いではないから、楽しくできればいいと思う。
    「サラマンダー、前見てろよちゃんと」
     何も無いのは良いことだが、その場合は、敵がどこかで固まっている場合も考えられる。
    「……ん」
     エール・ステーク(泡沫琥珀・d14668)は、持参した蛍光カラーのスプレーをある程度進むたび吹き掛ける。数本あるスプレーは全部色が違う。使い切るたびに色を変えておけば、何本目の時の辺りだと見当もつけやすくなる。
     風も同様に持参していたから、エールと交代でしていく事にしてあった。他には、予備の缶とライト、電池等で、簡単な携帯食糧と水も用意してある。
     摩耶は、クリップボードに方眼紙を止め、マッピングをし、方位磁石で確かめた方角も書き込んでいく。
     道幅なども出来るだけ忠実に推測して、全体の大きさを把握できるように。
     時折、蒼朱に確認して貰い、自分達のいる位置と地図の齟齬がないか確かめる。その時には、マーカーが表示されるので、一番の確認方法だ。
     蒼朱の目に付いたものは、摩耶とは別にメモしていく。
    (「どんな小さな事が役に立つか分かんないもんね」)
     カンナはそんな2人の様子に感心しつつ、歩を進める。
    (「マッピング手伝えれば良いんだけど、ぶっちゃけ細かい作業って苦手だから、手元を照らすとか荷物持つ程度の補助しか出来そうにないのよね……」)
     進んできた方向くらいは覚えておこうと、景色も記憶にとどめる。
     サーヴァント達の通った場所を辿り、進む。
     3人並んでも十分に広さのある通路は、全部同じ灰褐色で遠近感が取りにくい。
     目印につけている塗料が、一色の世界を彩り、少しの安堵感を生む。
     摩耶はマッピングしながら、仲間の動きを眺める。思うのは、皆が良く訓練され、洗練されているなと言うこと。
    (「何より、私のことを「残念」と呼ばないのが、素晴らしい」)
     エールは時折振り返り、背後から迫ってくる者が居ないか確かめた。
     全部の通路をまわるということは流石に時間的な余裕がないので、どうしても通過しない所も出てくる。
     そんな場所から不意に現れたときの事を考えて警戒の眼差しを向けて。
     行き止まりや外れの道に遭遇すれば、交代でその下へと×の傷を刻んだ。
     先行していたサーヴァント達が止まる。
     ハヤテとサラマンダーがヘッドライトを点滅させた。
    「へェ、お出ましってか。鼠じゃねェんだから、変なとこに巣作りしてんじゃねェぞ」
     風がアンデッドへと台詞を投げかける。
     左右の通路から現れたのは、合計3体のアンデッドだった。
     薄汚れ、血の染みが付いた衣服を纏ったアンデッド達が、獲物を持って襲いかかってくる。
     摩耶がサウンドシャッターを使用する。この場に居る以外の敵を引きつけてしまわないように。
     1体がロケットハンマーで殴りつけると、2体目も同様に殴りつけてくる。
     ハヤテとサラマンダーにヒットするが、大きく削る程には届かない。3体目はバスターライフルで、サーヴァント達と尚竹、紫桜を薙ぎ払おうとする。
     眼鏡を掛けた風は、WOKシールドで殴りつけると、同様にサラマンダーも突撃する。
     各個撃破で減らしていく戦法で、尚竹が妖の槍に捻りを加え、穿つ。
     ジンザは愛用のB‐q.Riotでハンマーを持つ2体の足下へと銃弾を撃ち込むと、カンナが防護符でエールへと付与する。
     先ほど受けたダメージをハヤテがフルスロットルで回復し、ノウンは霊撃で攻撃を仕掛けた。
     蒼朱がリングスラッシャーを分裂させ、風を癒し守る盾とする。
    「穿て千鳥」
     紫桜は千鳥十文字槍を操り出した。
    「1体目撃破」
     摩耶がカウントし、身体を覆うバトルオーラを拳へと収束させ、ハンマーを持つ敵へと突き出す。
    「……鬼さんこちら?」
     エールはWOKシールドで殴りつけ、注意を惹く。その行為は上手く作用して、エールへと殴りかかり、もう1体はバスターライフルで薙ぎ払う様に銃撃をしてくる。
     自分達の様に攻撃を集中してくる訳ではないので、誰か1だけが危機に陥るという事はない。
     戦力を十分に見極めて、確実に仕留めて行けば良かった。
     1体ずつ確実に落とし、一戦目を終え、ほっと胸を撫で下ろしたのだった。

    ●内部を巡って
     行き止まりではないが、そこには扉があった。
     片開きのものではなく、通路の広さに見合った、両開きの扉だ。
     光量のあるライト面に紙を貼って光が漏れないようにしたものを罠探索用の為に用意してあった。
     尚竹はそのライトを手にしてサーヴァント達と同じ距離から、下方から上方へと照らして、壁、床、天井の凹凸等を確認する。
    「ごく普通の扉に見えたが……」
     そう言いながら、何とも言えない表情を浮かべた尚竹が戻ってくる。
     普通の扉に見えても、こんな所にある扉だ。
     用心せずには居られない。
    「この迷宮、エリアを扉で分けているのかもしれない」
     書き込んでいるマップを見つつ、摩耶が考えを口にした。
    「引き返したとしても、結局ここに戻ってくる事になると思うよ」
     蒼朱もスーパーGPSのマーカーを確かめる。
    「もし、そうだとすると、先に進む事が決まっている俺達は、どのみちこの扉を開けて進まなければならないということだよな。罠のあるなしに関わらず」
    「その扉を通過しない方法となると、壁破壊となりますが。この壁ブチ抜いてみます? 忍者的に」
     紫桜の指摘に、ジンザが試してみますかと問いかける。
    「この壁ぶち破って、直接本体ンとこ行けねェかなァとか思うよな……」
     風は同意しつつも、同時に壁を破壊するのは面倒そうだと思う。
     天井までぴっちりと埋めている壁は、どの位の強度があるのか不明だからだ。
    「落ちてくるものなら、怪力無双で対処しますが」
    「サーヴァントが3体いるんだ。まずは、俺のサラマンダーに行かせて確かめるのが一番なんじゃねぇかな」
    「頼めるか」
     尚竹は、サーヴァントの方へ視線を向ける。
    「次は、ハヤテとノウン、頼むぜ」
     リスク分散の為にもその方がいいだろう。
    「その時は任せて」
    「了解したよ」
     カンナと蒼朱が応える。
    「行け、サラマンダー!」
     風の声に応え、サーヴァント達の中から、サラマンダーが抜けて1体で前進する。
     大きなタイヤで扉を蹴破る勢いで、ぶつかっていく。
     サラマンダーと扉が接触したと同時、爆発した。
    「あぶねえな」
     咄嗟にエールの口からヤンキーっぽい言葉が漏れた。
     砂埃で瞼を瞬かせ、手を埃から庇いつつ、前方を見やる。
     徐々に晴れていく視界。
    「落ち着いて行動しよう。焦る必要はない」
     紫桜が前方へと視線を向けた。
     もしすぐ近くにアンデッドが居たとしたら、吹き飛ばされている可能性の方が高い。
    「……接触型トラップ? サーヴァントは大丈夫?」
     エールが、淡々とした声音で、状況を確認する。
    「回復必要?」
     同じサーヴァント持ちなカンナが心配そうに声を掛ける。
    「ああ、回復してくれると助かる」
     サーヴァント自身の回復力よりも、カンナの回復力の方が高い。
    「分かったわ」
     サラマンダーをヒーリングライトで癒しながら、その先について話し合う。
    「見事に扉のあった部分が吹き飛んでいるな」
    「接触型のようだ」
    「次もこのタイプなら考えようによっては、ダメージ無しに行けそうです」
    「遠距離サイキックでもぶつけて破壊してしまうという手が使えるな」
    「……それでいければ、一番だわ」
    「サラマンダーの犠牲も役に立ったのなら良かったぜ」
     進行を再開し、扉を潜る。左右に通路があるが、今居る通路の方が広く、そのまま進む。電灯を奥へと向ければ、扉と敵影が見えた。
     数は5体。エールは背後を見やる。
    「……後ろにも敵が4体。全部で9体。これで全部出てきた事になるね」
    「って、後ろからもか」
    「数の少ない方から取りかかる」
     距離もあるし、数が少ない方が手数が重ねることが出来るからだ。
    「扉の前に居る敵は、扉に攻撃を加えて爆破すれば少なからずダメージを受けるよな」
     紫桜の指摘に、蒼朱が反応した。
    「ノウン!」
     ノウンが霊障波を扉にぶつける。同時に起こる爆発。あおりを受け、ダメージを受けるアンデッド達。
     1戦目同様、各個撃破の戦法だ。
     風がWOKシールドで殴りつけ注意を引くと、サラマンダーが突撃していく。
     蒼朱はリングの一部を尚竹を守る盾として旋回させる。
     回転を加えられた尚竹の妖の槍がアンデッドを穿ち、ジンザの放った魔法の矢が突き立った。
     1体目のアンデッドが落ちた。
     カンナはリングスラッシャーを分裂させ、紫桜の周囲を旋回させる。ハヤテは数の多い、扉側のアンデッドへ抑えの役割を担当させるべく、突撃するよう指令をだす。
     摩耶の足元から影が伸び、アンデッドを喰らう。
     エールはWOKシールドの守りを厚くする。戦い抜ける様に。
     身体を覆うオーラを拳に集約し、紫桜は重い一撃を叩き込んだ。動きに合わせて鳥の羽を模したピアスが揺れる。
     敵も同様の戦法らしい。2体がロケットハンマーで殴りかかってくると、後方にいる2体がバスターライフルで前衛陣へと銃弾を撃ち込んでくる。吹き飛んだ扉側のアンデッドは立ち上がって、生者を害しようと攻撃を加えてきた。
     扉側の敵の攻撃対象は、後方に位置する蒼朱とカンナとなる。
     ロケットハンマーでばらばらに殴りつけ、バスターライフルで銃弾をばらまく様に3体が繰り返す。同じ攻撃ながら、重なれば随分と重いダメージとなる。
    「ってぇ、だがまだ行ける」
    「大丈夫よ」
     蒼朱とカンナが大丈夫だと知らせる。
     戦いの間に敵の数は減り、同数だった数も逆転し、敵を落とす速度も加速し始めた。
     集中する敵が扉側のアンデッドだけになったとき、それは顕著になった。
     分割していた戦力が集約したところで、迷宮の中で幾度か戦いを繰り返す内に練度も上がってきた戦法は、その通りの戦果を発揮したのだった。
    「11、12、と。門番、ご苦労様でした」
     動かなくなったアンデッドに向けて、ジンザは言葉を掛けた。

    ●辿り着いた先にあるもの
    「あーァ、早くも日光が恋しいぜ……」
     延々と続く灰褐色の世界に、風が毒づく。装飾の施された門が、通路の奥に見えた。両側には等間隔に柱があり、回廊か城の謁見の間へと続く通路のよう。扉も何もない門だが、奥は揺らめくオーロラの様に見通せない。
     門を潜れば、先には迷宮の主、ノーライフキングが居るのだ。
    「ノーライフキングが居るってんなら、エクソシストやってる身としては、潰しに行くに決まってんでしょ」
    (「……まあ回復役なんですけど」)
     その先にいるというのなら、退く理由もない。カンナは、凛とした眼差しを向けた。
    「戦場食、食べます? 生きてるって実感沸きますよ」
     ジンザが皆に差し出す。最近の戦場食は美味しいらしい。
     息を整える位の時間はある。各々、身支度と心構えが出来た頃、自然と視線は門の方へと集中する。
    「それでは敵の大将に見参といこうか!」
     あと一息だと、皆を見渡して尚竹は言葉を紡いだのだった。

    作者:東城エリ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年5月18日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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