運動会~武蔵坂バルーンヒーローズ

    作者:黒柴好人

     5月26日といえばそう、武蔵坂学園の運動会が開催される日に他ならない。
     9つの組連合がただひとつの優勝という栄冠を勝ち取るべく競う様は運動会の常識を変える壮絶なものなのだ。
     常識を打ち崩す競技のひとつ。
     それが『武蔵坂バルーンヒーローズ』である!
     大人数参加型の競技であり、各参加者の頭上に設置された1つの風船をほどよい硬度を誇るスポンジの棒で割り合うという実にエキサイティングでエクストリームな内容となっている。
     その詳細のルールを説明していこう。
     開催場所はグラウンドの広大な一角、二重の円状の専用フィールドだ。参加者は組連合毎にフィールド内、外側の円の3つ――1A梅、2B桃、3C桜は赤色。4D椿、5E蓮、6F菊は青色。7G蘭、8H百合、9I薔薇は黄色で区分されたエリア――に振り分けられ、競技開始まで待機する。これはチーム戦である。
     基本的に対戦相手は各エリアの他2チーム(赤エリア、自分が1A梅所属とすると対戦できる相手は2B桃、3C桜に属する者のみ)となる。
     開始の合図は審判のホイッスル。その直後から作戦が開始される。作戦内容は非常に単純。相手の風船を破壊し、自分の風船は死守するべし。
     参加者の必須装備品は風船付きのヘルメットと1m前後のスポンジ棒のみ。他の所持品は基本的に自由だが、風船の攻撃に使用出来るものはスポンジ棒のみとする。
     風船を破壊された者は即失格。フィールドの外に退散しよう。
     そうして各エリアにて1つの組連合が残るまで競技を続ける。つまり、3つの組連合が残る事になる。さあここから全てを決する勝負のはじまりだ。
     赤、青、黄それぞれの勝者である組連合の生存者(風船を破壊されていない者)はフィールドの内側の円に進む。
     ここで激戦を勝ち抜いた各組連合の1人、あるいは数人が最後の1チームになるまで戦うのだ。
     最後まで残った組連合に大量得点の栄誉がもたらされるぞ!
     なお、サイキックの使用は禁止とするので注意されたい。

     ――といった説明を担任の教師から聞き、興味深そうに頷く観澄・りんね(中学生サウンドソルジャー・dn0007)。
     規則にうるさいこの担任は、ルールも細かいところまでキッチリと説明するので妙に話が長くなる。
     今、ホームルームでは運動会の出場種目の参加者が選出されているところだった。
     そして「この種目に出たい者は?」と問われ、
    「はーい! 私、出たいなっ! どかんとキメちゃうよ?」
     りんねは勢い良く立ち上がりながら手を挙げた。

     ここでフィールド上で活躍するための戦術を公開しよう。
     戦いの流れは大まかに『戦闘フェイズ』『ファイナルアタックフェイズ』の2種に分類されている。
     戦いにおいては士気、つまりテンションの高さが明暗を分けるという。
     士気は競技前から競技中に至るまで全ての言動や行動によって上昇していくらしい。
     自分なりの戦い方を見つけるのだ! そしてもう1つ重要な事が立ち回り。
     深く考えずに競技中以下の中から自分の役割を確定にするのだ!

    ●強襲
     正面から堂々と戦うぞ! パワーとか勇気とかその辺で戦え!
     チームの士気が高ければ高いほど味方全体の攻撃力(風船破壊成功率、破壊数)が増えるかも。
    ●遊撃
     敵の不覚を誘うぞ。死角に回ったり笑わせたりして、な……!
     チームの士気が高いと近くの敵複数の防御失敗率が上がるかも。
    ●防御
     攻撃よりも防御を優先するぞ! 風船大事に。
     自身の攻撃力は下がるが、士気によって味方全体の被破壊数が減少する。
    ●鼓舞
     応援こそ人々の力の糧! 戦闘よりも応援したいアナタに。
     自分がとても狙われやすくなるが、チームの士気が超アップ!
    ●指揮
     戦場の調律師とか、そんなアダ名を手に入れたいならコレ!
     自分の攻撃力は限りなく0になるが、近くの誰か1人の能力がすんごい上昇する。
     
     選択した役割は集計され、自身が所属する組連合の秘めたる力……レギオン・パワーを引き出すのだ!
     つまり、組連合内で強襲が多ければ攻撃主体の、防御が多ければ防御主体のチームとなる。それに加え、各々の行動によって勝敗が決する事になるだろう。自分と仲間は一心同体だ!
     最後にファイナルアタックフェイズ。これは最初の3エリアに別れた戦いに勝利した先の話になる。
     序盤戦を勝ち抜いた3組による戦い。これはもう必殺技でもなんでもブチかましてしまえばよかろう。存分に振るうとよい!
     少年少女よ、ヒーローになるのは……キミたちだ!


    ■リプレイ

     ようこそ、バルーンヒーローズへ!
     ファイトの模様は私、実況がお送りさせていただくぞ!

    ●赤エリア
    「野郎共ー、合戦でゴザル!」
    「「「おおー!!」」」
     集団から飛び出したのはウルスラ(1A梅連合、以下X連と省略)! スポンジ棒を掲げ、一団を率いながらの突撃だ!
    「一番槍は俺だー!」
     対するは紅鳥(3連)、両手に棒を携え、破竹の勢いでウルスラ一行に斬り込む!
    「必殺、竜巻斬り!!」
     紅鳥、とてつもない回転で一団を薙ぎ倒そうとしている!
    「クッ、やるでゴザルな!」
     ウルスラ、これを凌ぐ! しかし紅鳥の、
    「め、目が……」
    「む?」
     動きが停止した!
    「この隙を狙ってよいものか。だが好機でゴザル。キィェエエエエエ!」
    「させんのじゃ!」
     ウルスラの棒を止めたのは横から飛び出したイルル(3連)!
    「アレは任せぃ! 借りるぞよ!」
     四つん這いになっていた紅鳥の背を蹴り、イルル跳躍!
    「タワナアンナ家騎槍術奥義・飛竜閃ッ!!」
     槍のように持つ棒をイルル、ウルスラの頭上を突き抜く!
    「くろろキーック!」
    「むう! 父王直伝の妾の技が!?」
     だがその矛先が到達する前にイルルの風船が爆ぜてしまった!
    「よし、うまくいきましたね!」
     なんと脚に棒を装着した黒々(1連)! 放った蹴りが中空を舞うイルルを捉えていた!
    「仇はとらせてもらうよ」
     消沈するイルルの横をすり抜けるのは瑛多(3連)!
    「武蔵坂の壊し屋、陽瀬瑛多の力を見せてやんよー」
     ジャブを繰り出しながら黒々に詰め寄る。
    「くらえ、必殺陽瀬ダイナマイト爆発スペシャ」
    「それならこれでどうですか? くろろスロォォゥ!」
     徐々に近付く瑛多に棒をえ、投げ、た?
    「ルって投げんの!?」
     瑛多、跳躍しながらこれを回避。そしてそのまま黒々の脳天を強打だ!

    「一ぉっ! 日頃の分のお仕置きをしてやるわ!」
    「こいよリュシール! 遊んでやるぜ」
     因縁の対決が勃発しているようだ!
     全力突撃のリュシール(2連)に対し一(3連)、ひょいひょい前線を動き回っている。
    「追い詰めた! Monjoie!」
    「さすがリュシールのリズムは完璧」
    「っ、消えた!?」
    「だから読みやすい、ぜ!」
     巧みに密集地帯に誘導していた一、人影を利用し見事な一本!
    「名付けて妙技影縫い、なんつって」
    「その調子です! みなさーん! 3C桜が優勝したら私の手料理を振る舞いますよー!!」
     両手に棒、ではなくポンポンを持ち応援に徹する構えの菫(3連)の言葉に男子たちが大いに盛り上がった!
    「私もギターテクなら負けないからねっ!」
     玩具のギターで自軍を鼓舞するのはりんね(1連)!
    「素敵なリズムです……次の音楽のテストで、教えてください」
     それをじっと見つめる翡翠(1連)。
    「てすと? おー、てすともマカセテー」
    「では、私も頑張ってきますね」
     笑顔で飛び出す翡翠! 彼女が向かう先は、
    「真のヒーローとは、接近も回避もヒーロー感に満ちているものである!」
    「ヒーホゥ! 邪魔すんぜ!!」
     煉火(2連)と空牙(2連)の即席ペアが大立ち回りを繰り広げている!
     空牙が戦場を暴れ引っ掻き回し、弾き出された者に煉火がスタイリッシュに唐竹割りを繰り出すのだ!
    「……剣道。前にやってたんだけど……こんなとこで役に立つとはねぇ……」
     煉火の猛撃を食い止める者が現れた! 上段斬りを受け捌くように防御する太兵衛(3連)!
    「やるな! だが、貴様の命運を――ここで叩き割る!」
     更なる追撃を狙うが、しかし!
    「隙だらけ、ですよ」
     いつの間にか忍び寄っていたアヅマ(3連)が煉火の風船を破壊!
    「なっ、ヒーローの必殺技発動中になんて事を!」
    「いいな、必殺技が簡単に思いついて」
     戦法的に太兵衛とアヅマの相性はバッチリなようだ!

    ●青エリア
     1つのクラブが3軍に分かれ対峙している!
    「何人相手にしたって同じだ、オレの舞いは止められない! これぞマーベラス防御!」
     そう叫ぶ京介(5連)だが。
    「だからってこれはどうなんだ……?」
    「きょーすけちゃん、ごめんねぇ。にへ」
    「5E蓮は京介さんただ一人でしたから」
     特に詫びた様子もないウルル(4連)と静菜(6連)。そして他の梁山泊メンバーたち。
     5人の襲撃に耐え切れず、頭上の風船を散らせていたのだ!
    「ここで会ったが百年目……ってね」
    「確かにオレは回避もマーベラスだが、集中攻撃って!」
     一馬(6連)は過ぎたことはいいと再び棒を構える。
    「天神先輩、存分に暴れてください! 防御は引き受けます!」
    「あはぁ、それじゃあ思いっきりいくのです!」
     心太(4連)の援護を受け、京介が落とした棒を拾いウルルが6連に挑む!
    「俺たちは8人倒すまで負ける事許されないぜ」
    「わかってます。遊びこそ全力で本気ですよね♪」
     一馬が正面からウルルを叩くが、簡単に二刀で挟まれ阻まれる!
    「潰せ、蹂躙せよ!」
    「背後から? だが……。!?」
    「離しませんよぉ、にへへ」
     おっと一馬、ウルルに棒をホールドされていて身動きが取れない!
     瞬時に放棄するが、間に合わず。駆け抜けてきた眞白(4連)に撃破された!
    「戦争に卑怯もクソもあるものかよッ!」
    「私もそう思います」
     静菜、気配を殺し刹那の一撃で眞白を討つ!
    「気付かなかったあなたが悪いです」

    「平和は乱すが正義は守るものっ! 中島九十三式・銀都だっ」
     名乗り上げる銀都(4連)に応じたのは、
    「やあやあ我こそは股旅5E蓮連合軍!」
    「遠きものは音に聞け!」
    「近き者は目にも見よ!」
    「今こそ敵を打ち砕き、我ら5E蓮に勝利の栄冠を!」
     サザキ、龍治、虎次郎、莉都(一同5連)の4人だが、これは、莉都を上に乗せた騎馬の形をしている!
    「ちょ、俺は一騎打ちのつもりで!」
    「我らは」
    「「「4人で一騎!」」」
     こいつぁ一本取られた!
    「それならこっちも複数人で対抗すればいいだけだぜ?」
    「そうそう! 2人とも、行くよ!」
     颯爽と登場した銀都と同じクラスの武流に奏音(共に4連)!
     奏音に勇気付けられた武流は、騎馬の側面へと回り込む。
    「龍サン!」
    「わかっている。サザキ、怯むなよ!」
    「まず馬を射ようって事っすか」
     龍治と衝突! だが防御にも優れているのか、崩すには至らない!
    「背中借りるぜっ」
     と、銀都が武流の背中を使って跳躍! 騎将を狙い高々度から棒を叩き付ける!
    「武流くん、2人なら!」
    「やってみるか!」
     奏音が組んだ手を足掛かりに武流も跳躍!
    「「てやああああ!!」」
    「ぐあッ!」
     同時攻撃に莉都撃沈!
    「りつクンの意志、無駄にはしないから!」
     決意を新たに騎馬たちは分散、
    「……あ、おいしそうな状況。いただくわ」
    「「「ぎゃああああ!」」」
     前にどこからともなく現れたジェーン(4連)に全てを持っていかれてしまった!
     何故か味方ごと攻撃したように見えたが。
    「アンタの犠牲、無駄にはしないわ……」
     えー。

     アリスエンド(6連)が名乗り、挑む相手は奏(5連)!
    「ちょっと待ってよ。僕の風船、不良品みたいでさ。これから先生に言って交換」
    「逃げる奴は灼滅者だ! 逃げない奴は訓練された灼滅者だー!」
     アリスエンド、容赦なし! だが奏も回避!
    「へえ。引っかからない人がいるなんてね」
    「目についた相手を正々堂々と攻撃してるだけだけどー!」
    「それは殊勝だね。ところで奇襲が僕だけだと思った?」
     奏はチラリと彼女の背後に視線を送るが?
    「はいそこ、1対1で戦わなきゃ駄目でしょ!」
     しかしアリスエンド、真っ直ぐ奏に棒を直撃させる。伏兵も嘘か!
     一方、七と斎(両者6連)は攻撃しつつ戦場を駆けている!
    「衣幡、もっと暴れてもいいよ。オレが守るんだから大船に乗ったつもりで」
    「四童子、あっちあっち!」
    「って、一体どうし……」
     急に進路を変えた2人の先には、
    「頼もしい仲間が集まれば~♪ 恐れるものなど何もない~♪」
     美しい声音で歌う小さな少女、ティナーシャ(4連)が!
     士気を上げる彼女をまず叩くのか!?
    「お譲ちゃん、おねーさんとあーそびーましょー」
    「って衣幡サーン!? ストップストップー!」
    「え?」
    「え、じゃなくて! これ罠だって!」
     随分ニッチな罠だな!
     その場を辞そうとした七だったが。
    「ふふふふふ。私の策にかかったのですね」
    「かかっちゃった!」
    「すまないが、これも戦いだ。覚悟!」
     傍に控えていたらしい友衛が七を強打するが、ここは斎がガード!
    「とちおとめアターック!」
     と、ここで日羽と小袖(共に5連)が乱入!
    「地元栃木の特産品の宣伝、もとい風船を頂戴しに来たよ!」
    「宣伝はしないが、私たちのチームワークの良さをとくと見せてやろうではないか」
     日羽は超起動で敵を翻弄し、小袖は彼女の盾となるゴールデンコンビだ!
    「相手にとって不足はないか。皆、私に続け! 鬨の声を上げろ!」
     友衛の突撃も、
    「防御は最大の攻撃! スティックトルネード!」
     小袖には通用しない! 棒を高速回転させているが。あれ、この光景はどこかで?
    「ファイト、ファイト、5E蓮!」
     ちょこちょこと動き、飛び跳ねる香乃果は健気にも近くの周と優衣(以上5連)を一生懸命応援している!
    「6は世界を構成する要素の数! Fはファミリー。家族並みの絆の力、魅せつけろ! 菊はこの国の象徴!」
     一方のあさひもエールや十三(一同6連)たちにあらん限りの大声で檄を飛ばす。
     両軍、一斉に駆け出した!
    「可愛い女の子の応援を背に受けているんだ。負けるわけにはいかねえよなあ!」
    「私に続けぇっー!」
     周とエールが正面から激突する!
     連打のエールに対し一撃の周。勝利の女神は果たして周に微笑んだ!
    「もらった!」
    「あぶないっ!」
     ああ! だがあさひが身を挺して周の一撃を受け、撃破!
    「仇、とってね!」
     笑顔で親指を立てるあさひにエールは確かに頷くぞ。
    「個々で戦うな! 仲間と戦うのだ! そして突出している者を皆で叩くのだ!」
     十三の指揮の為か、戦列は崩れない!
    「それなら崩れるまで叩くまでです。叩き割れるまで叩きます」
    「いい心意気だ。いくぞ!」
    「ちぇすとぉぉぉぉ!」
     優衣と周、エールが舞い、或いは打つ!

    ●黄エリア
    「絶対に……絶対に、勝ちましょう!!」
     深呼吸を繰り返し、死力を尽くすかのように声を絞り上げるコルネリア(9連)!
    「うらー! 相良・イケメンストライク!」
     太一(9連)、自軍を守るために前に出た迅(7連)を強打するも、これは防御成功!
    「ここは引き受けるけど、自分の風船をしっかり守ってくれよ……」
    「わかってるって! よーし! たくさん風船割るぞー!!」
     その間に飛び出すアグニス(7連)、一気に太一の懐に滑り込み、
    「それ!」
     猫だましだ! が、
    「そんなもんに驚くか! 後頭部に雪玉ぶつけられる方が驚くぜ。しかも味方に!」
    「さすがは太一くんだね!」
     切ない事を叫びつつ、蒼月(9連)の牽制援護を受けながら反撃!
    「うう、そんな」
    「あれほど言ったのにねぇ」
     迅、緩やかに後退していく!
    「相良君すごーい! ふらぐもものともしないね!」
    「太一さん、今日は頼もしいです……!」
     緋織(9連)、そしてコルネリアも太一の活躍に一際大きな声を送っている!
    「僕たち最強のチームかもね……っとぉ!」
     蒼月、突然飛んできた棒をすかさず防御!
    「残念、外したようだね」
     有斗(7連)が棒を投げたようだが、なんと紐をつけて回収できるようにしてあるぞ!
    「無理はするなよ。風船を割られたら元も子もないからな」
     更にヴォルフ(7連)も控え、相手の出方を窺っているようだ。
     9連も仕掛けたいが、7連の防御も堅い。ならばと飛び出すのは波琉那(9連)!
    「せっかくの運動会……楽しくやんなきゃ、ね?」
     妖艶な笑みを浮かべ、一体何をしようと。
    「~♪」
     これは歌? って何だこの歌詞は!
    「ちょ、おま、そりゃジョンも驚くわ!」
     こう、えろえろ~としているネタに思わず太一がツッコんだ!
    「隙あり」
    「もがふぁー!?」
     ああっと、ここで伏兵ヴィルヘルム(8連)が謎の白いなにか、もとい謎の粉を太一の顔面にブチまけた!
     咳き込んでいる隙に風船爆散!
    「わ、わ!? 太一くん大丈夫っ!?」
    「まさか本当の敵は自分だったとは。ごふっ」
    「な、なんて卑怯な真似をっ!」
    「はて。ルールには抵触していないし、灼滅者ならこの程度の目潰し粉は平気だろ?」
     確かにルールとしては問題ない。けどあまりに非道だー!
     蒼月、他の仲間を守る為に一時後退!
    「そのような姑息な手、騎士道に反した行いですが……だからと言ってここで退くのもまた同じ事!」
     味方であるライン(8連)もヴィルヘルムに白い目を向けているが、ともかく戦う意志はあるようだ!
    「みんなー、頑張ってー! 頑張った人のお願いなら聞くわよー!」
     黎花(8連)も自軍の勝利を願い、何だか危なげな声援を送る!
    「それは何でも?」
    「あ、う、えーと。色っぽい踊りとかは無理だけど」
    「頑張るからそれを頼もうか」
    「えー!? 無理無理! 体操服でそんなこと……」
    「私は『外道』なんだ」
     ヴィルヘルム、いい笑顔だ!
    「なんと外道な。しかし護るべき仲間のためにも私は戦います!」
     勇敢にもライン、有斗に斬り込む!
    「この距離なら二刀持ちで!」
    「姑息な遠距離攻撃など使わせませんよ!」
    「俺も忘れないで欲しいね」
     果たして俊敏さと状況で勝ったヴォルフがラインを撃破する結果となった!

    ●ファイナル
     いよいよ大詰め!
     各エリアの熾烈な戦いを生き残った英雄を紹介しよう。
     まずは2連の爽太。熱き意志に冷静な隠密行動が勝利を呼んだ!
     6連の智巳。着流しに蓑傘、そして甲高くも荘厳な竹笛の音色と共に登場。気合と剣客なりきりは十分か!
     そして9連、旭と星子ペア。威圧を盾にする旭に短刀二刀流で攻める星子は敵なし?
     いよいよ最後の戦いが今、始まったー!
    「星子さん、あれをやるしかない!」
    「ええ!? も、もうヤケです!」
    「「シューティングスター、ゴー!!」」
     なにィ! 星子を思い切り2人に投げつけた!?
     ……べしゃりと落ちた星子を沈痛な面持ちで叩く爽太。
    「星子さんの意志は僕が成し遂げる。だから空から見守っていて欲しい」
    「いや死んでませんから」
     何故か抱き起こしに来た旭を智巳が一殴り。
    「兵どもが夢あと……」
     まあ気を取り直して。
     爽太、十三の指揮から学んだ成果を活かせるか。はたまた智巳が斬り伏せるか!
    「うぉぉぉお! 燃えるハートのバーニングスラッシュ!」
    「見切った!」
     爽太、駆ける途中で旭の棒を脚で弾き飛ばし空中でキャッチ、二刀構えで正面から突っ込む!
     対する智巳は居合いの太刀で迎え討たんとする!
    「……爆散っ!」
     爆炎と迅雷が激突。戦いを制したMVPは――2B桃連合、間乃中・爽太に決定だー!
     素晴らしいファイトをありがとう。それでは最後まで運動会を楽しんでいってくれ!

    作者:黒柴好人 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年5月26日
    難度:簡単
    参加:59人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 15/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 7
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ