「先生、そろそろ時間も遅いです。もうやめた方が……」
庭先で日本刀を振るう初老の男に対し、弟子の一人が声をかける。
先生と呼ばれた初老の男は、かれこれ時間を忘れて精神を統一し続け、刀に手をかけた状態で構え続けている。
時間はもうすぐ真夜中となろうとしていた。
「先生……」
声が届かぬ程の精神集中を続ける師へ、弟子は最近聞いた嫌な噂を思いだす。
それは真剣の日本刀を使い、深夜まで我を忘れて修行をし続けると現れるという侍――『八星』――の噂だった。
深夜、修行を続ける者の前に現れ真剣勝負を挑んでくるその侍は、妖刀八星という日本刀を持っている。
立ち会いを拒否すれば斬り殺され、立ち会いに挑んだとしてもその侍に勝った者はいないと言う。
「先生……」
弟子の心配をよそに、無我の境地で集中を続ける初老の師。
そして時刻は、真夜中となり……――。
「サイキックアブソーバーが俺を呼んでいる……時が……来たようだな!」
教室に集まった灼滅者達を見回して神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)が言い放った。
「今回お前達に解決を依頼したいのは、都市伝説が起こす事件だ」
都市伝説とは一般人の恐怖や畏れなどのマイナスの思考の塊が、サイキックエナジーを受けて実体化したものだ。
そしてそれは厄介なことに『出現条件が揃った時のみ出現』する。
「その都市伝説は、日本刀での修行に集中したまま深夜24時を過ぎると出現する侍だ」
具体的にはあくまで真剣の日本刀で一生懸命に修行を行い、深夜24時を過ぎれば良い。つまり本格派の日本刀使いでなくても構わないという事だ。
もちろん、全員がやる必要はない。誰か1人で十分だろう。
「新しい犠牲者が出る前に、この都市伝説を消滅させる。お前達にならそれができる」
ヤマトは自信満々な表情でキミ達にそう宣言した。
だが、奴の戦闘能力だけは本物だ。そう続けるヤマトの声音は一段低く、紛れもなく真剣身を帯びていた。
「この都市伝説では侍の持つ妖刀を八星と言うらしい――とりあえず侍も含めて八星と呼ぶ――が、たった1体の敵だがかなりの強敵だ」
手を顔に当てながらヤマトは説明する。
「姿は黒い羽織袴の浪人風、髪は長く後ろで束ね、また長い前髪のせいで顔の判別はつかない。左右の腰に4本ずつの日本刀を差しこれらが八星だ。どれもが今まで斬ってきた犠牲者の血を吸ったかのような真っ赤な刀身を持っている」
八星の攻撃方法は灼滅者が使う日本刀とほぼ同じサイキックだが、八星自体の能力値が高い為に威力は灼滅者の比では無い。
「特に居合斬りは八星の必殺剣だ。その瞬間、腕が八本になり上下左右各斜め四方の計八方向から、全包囲居合斬りが来る。これを避けるのは至難の技だろう」
それが必殺剣だとするなら、通常はそれ以外の2つのサイキックで攻撃してくると見て良いだろう。
「それと八星は複数の相手がその場にいた場合、後列にいる者達を優先して狙ってくる。立ち会うべき相手は最後に残し誰にも邪魔されずに戦いたい、とでも言いたいのかもしれん」
もっとも、俺の全脳計算域(エクスマトリックス)の前には奴の戦いの癖さえも丸裸だがな、とヤマトはにやりと笑った。
「だが油断はするな。相手は戦うためだけに生まれてきたような都市伝説だ。激しい戦いになるかもしれない……それでも、おまえ達が力を合わせれば必ず勝てるはずだ。頼んだぜ、灼滅者!」
参加者 | |
---|---|
獅子堀・磨璃華(本当は怖い赤毛のアン・d01031) |
荒上・戌彦(赤錆・d01094) |
元宮・真実(トラストウィッチ・d03023) |
四條・千景(隠逸花・d03182) |
空井・玉(野良猫・d03686) |
山岡・鷹秋(赫柘榴・d03794) |
御神・白焔(黎明の残月・d03806) |
静永・エイジ(彷徨のウィーラーフ・d06387) |
●朧月夜
剣先のように尖った三日月が雲の向こうに霞んで見えた。
膝下まである草原を吹き荒ぶ風は、どこか生温く人肌を思わせる。
朧月の薄明かりの元、その草原に立つ影は二人、元宮・真実(トラストウィッチ・d03023)と四條・千景(隠逸花・d03182)だった。
二人の剣士は手に持つ日本刀に精神を集中させる。その切っ先に今にも都市伝説の侍が、妖刀八星が在らんとするかのように。
妖刀八星、日本刀で修行をし深夜を越えると現れるという人斬りの伝説。
八星の姿を思い浮かべ、戦いの流れを脳内に再現、仮想を相手に一太刀弐太刀と刀を振るう。
刀身が僅かな月明かりに反射し、宵闇の中で幾度となく瞬いた。
そして……月に掛かった朧が消え、鋭い光が草原を照らす。
そこにはつい先ほどまで幻でしかなかった相手が、暗闇から滲みだすように現れていた。
長い髪は後ろで束ね、左右の腰に4本ずつの日本刀を差した黒い羽織袴を着崩した侍――妖刀八星。
「ふむ貴様が八星、心地の良い殺気だ」
刀を鞘へ収めつつ真実が気配へと振り向き、千景が仲間達へと合図を送る。
「今宵の相手はお主達か……」
低く落ちついた声で八星が呟く、だが次の瞬間紅い光が居抜かれ中空で火花を散らす。
「テメエ……」
紅色に染まった八星の一刀が抜かれ、草陰から飛び出した獅子堀・磨璃華(本当は怖い赤毛のアン・d01031)のロケットハンマーを打ち据える。
背の高い草影から現れたのは磨璃華だけでは無かった。
「ひい、ふう、みい……八人、か」
「てめぇこそ何本も持ちやがって。ま、いくつあろうが全部ぶっ壊しちまえばいいってもんだ」
「ヒトの想念から生まれた殺人鬼か。何にせよ此処で仕舞いとしてやろう」
山岡・鷹秋(赫柘榴・d03794)がライドキャリバーに騎乗し、御神・白焔(黎明の残月・d03806)腕を一振りするとその手には解体ナイフが握られる。
「滅しよう。我が刃に依って潔く散れ」
「Release」
静永・エイジ(彷徨のウィーラーフ・d06387)と空井・玉(野良猫・d03686)も言霊と共に殲術道具の封印を解除する。
「さァ、初陣だ。勝って帰ろうぜ!」
荒上・戌彦(赤錆・d01094)がこれから始まる戦いに高揚するかのように叫ぶ。
だが、それは灼滅者達だけでは無かった。
獰猛な剣歯を剥き出しに、妖刀八星が朗々と灼滅者達を威圧する。
「一人一刀墓標とし、この八星にて昇天するが良い!」
●月下の剣
雲の無くなった月の下、灼滅者達はそれぞれ決めてあった陣形を取る。
それは八星の戦闘の癖を逆手に取った戦術、狙われる後衛を囮とする作戦だった。
「後ろから狙うなど、侍の志とやらはその程度か。狂気の果てに辿り着いたのならそれも本望か? 興醒めだが私が相手をしてやろう、有難く思え」
一人後衛に陣取るエイジは、大鎌を担ぐと八星へと嘆息する。
「戯言を、汝らが弱者を後ろに守るは定石、強者は常に前に有り。故に強者との一騎打ちを為、我は弱者を先に殺すまで」
八星の妄執は士道では無い、血を求める妖刀に取りつかれし強者との戦い、それこそが執着、唯一の望みだった。
「それなら、血沸き肉踊る戦いが期待できそうだな!」
戌彦がそう言うと共に巨大な鉄塊の如き刀を大上段から打ち降ろす。
「ハッ! 都市伝説だか何だか知らねェが……ぶっ叩けるならどいつも同じよッ!」
さらに戌彦に合わせて磨璃華のロケットハンマーが炎を纏い真横から振り抜かれた。
次の瞬間、超重量の斬艦刀と炎のハンマーが中空で動きを止める。八星の真っ赤な刀身が左右の手で二人の攻撃を受け切ったのだ。
「甘ぇんだよ!」
だが、磨璃華のハンマーから炎が伝わり八星の刀身を燃やし始める。
八星は腕に力を入れ二人を押し返すと、燃える刀身を左手の一振りで炎を消し散らす。
「なっ」
さらに空いた右手の刀で玉が撃ち放ってきたリングスラッシャーを弾き返す。
灼滅者達の連続攻撃を防ぎきり八星が刀の握りを変える。それは一瞬の間隙だった。
だが、その僅かな隙間を見逃さず、圧倒的な重量を伴った二重の殺意が八星を覆い潰す。
鷹秋と白焔がそれぞれ鏖殺領域だった。
「ほう、今のは悪くなかった」
殺意の繭を打ち払い漆黒の中から人斬りが歩み出る。
さすがに無傷とはいかなかったようだが、その妖刀の刀身は禍々しく色褪せてはいなかった。
「へぇ、刀なんてあんまみねーからどんなもんだと思ってたが、中々いいじゃねぇの」
鷹秋が口の端を上げつつ皮肉れば、同時に撃ち込んだ白焔も真剣な表情で頷く。
「奴はまだ様子見だ。こちらの力量を……測っている」
悔しげに呟いたのは真実だ。
その瞳にバベルの鎖を集中させ八星の動きを見極めていたが、導き出されたのは奴が防御を優先し本気では無いという事実だった。
その言葉に心無しか笑みを浮かべそうになる自分を抑え、千景は顔を上げると八星を見据える。
「俺の名は四條千景、さぁ、お相手願いましょうか」
「ふ、やはり相手は侍に限る!」
千景が斬り込み、八星が迎え撃つ。
古式剣術と妄想の人斬りが斬り結ぶ中、二人の背後に月光よりも輝く光の十字架が現れる。
「己の武器に惑わされるのが侍か? 我が光で何処まで耐えられるか見届けてやる」
「ふん、良かよう……最初はお前だ」
右で千景を殴るように吹き飛ばすと、左の刀を一閃――月のごとき衝撃がエイジを襲う。
「これが私を殺す刃か、足りんな。所詮は腑抜けた贋造物か」
妖刀八星の一撃を受け、しかしエイジはすくと立つ。
「どうやら今までの弱者とは違うらしい……」
狂気に八星の口元が歪む。
天空の三日月に雲が掛からぬまま、戦いは泥沼の長丁場へと進んで行く。
●紅き月のように
妖刀八星が防戦に徹したまま戦いは続き、すでに十分を越えるようとしていた。
後衛のローテーションは戌彦から真実、白焔と続き、今は玉のライドキャリバーが担当している。
相手の攻撃を囮役の後衛がまかなってくれるこの作戦は、八星相手には十分に効果を発揮していた。
この癖を無視して真正面から決闘を挑んでいたら、今までこの都市伝説の犠牲になった者たちと同じく灼滅者と言えど無事に帰っては来れなかっただろう。
何度目かの連携攻撃を八星の二刀が撃ち払い、後ろに飛び退るように距離を取る。
だが、八星を休ませる事なく白焔が自然体のまま距離を縮める。
体勢の整っていない八星が刀で撃ち払う為右手を前に出すが、白焔は沈み込むようにその右を避けると体を巻き込むように上段へと打ち込む。
静と動の動きに八星の羽織に傷が入る。
灼滅者を見極める為の防戦だが、攻撃対象が単一なら手数の分だけ灼滅者が有利。それは個人の能力差ではなく、相談し対策を練った戦術勝ちという結果だった。
「どうやら、今宵この場に弱者はおらんようだ……」
八星は両の刀で白焔を牽制するとその足を止める。
その隙を見逃さず磨璃華が飛び込む、大振りで避けられぬようハンマーを囮に雷を纏った拳の連打繰り出したのだ。
鈍い音が連続で響き渡る。
無条件に磨璃華の拳をくらった八星が半歩よろめき、そして打ち込んだ磨璃華は何かを察して後ろに大きく飛び退る。
見れば磨璃華の頬に一筋の刀傷がぱっくりと開いていた。親指で拭いハンマーに血を塗ると炎があがる。
「いいねェ、文字通り燃えたぎってきたじゃねェか……!」
一方、八星は姿勢を整えると二刀を深呼吸する時の腕の動きに合わせてゆっくりと変えて行く。
そしてそれは、今までと違い禍々しく殺意に満ちた構えとなる。
「行くぞ。せめて……一太刀では逝ってくれるな」
紅が瞬く。
その瞬間、灼滅者達の後ろで耳触りな金属音と共に玉のライドキャリバーが行動を停止する。
思わず駆け寄ろうとするも玉は足を止める。大人の仮面が外れそうになるが、鉄の相棒の為にも今は冷静でいる必要があった。
玉は再び八星へと目を向ける。少なくとも、自分のライドキャリバーはしっかり役目を果たした。次は自分の番なのだ。
しかし今の一撃が意味するのは、八星が本気になったと言う意味だった。防御を捨て攻撃に専念し始めたのだ。
八星の太刀筋を見極めようと見に入っていた千景がその事実を皆に伝える。
「やはり殺すなら……人、だな」
張り詰めた空気の中、八星の台詞に鷹秋が返す。
「殺すのはこっちの台詞だ。ま、都市伝説は殺すって言わねぇんだろうなぁ、じゃバラバラにぶっ壊してやんよ」
「貴様の血を玩味してやろう。そして我が力と成るがいい」
エイジも大鎌を構え、他の灼滅者達も戦いの終わりが近づいている事に緊張を高める。
そして……激闘が始まる。
●妖刀八星
玉のライドキャリバーに代わり後衛へと移動したのは千景だった。
だが、一閃。
赤い刀身が見えた次の瞬間には、千景の横腹は斬り裂かれる。
その威力は先ほど玉のライドキャリバーを切り捨てた一撃を上回っていた。
「やはり斬るなら人が良い……つい、力を入れ過ぎてしまった」
八星の致命的な一撃が千星に入ったのは不幸としか言えなかった。
ただでさえ攻撃寄りに構えを変えた八星の、さらに必殺に近い一撃が来たのだ。
白焔が千景を抱きかかえ前衛に移動させ、変わりに後衛には鷹秋が入る。
「次はお前か! お前は一太刀で落ちるなよ!」
「はんっ、切った張ったは得意でな。おめーも、切られる感覚っつーの味わってみ」
流れるような動作で八星の剣撃を交わすが、紙一重で腕を斬られる。
同じ攻撃を何度も受ければ見切る事は容易いが、今回灼滅者が選んだ戦術はそうではない。
達人の一太刀を初見で避けるのはなかなか難しかった。
だが、鷹秋に連携してそのライドキャリバーが機銃を撃てば、今度は八星が全弾被弾する。
八星もすでに防御を捨てている。
灼滅者達を一人でも多く倒しに来ているのだ。
玉が致命傷を負わされた千景をシールドリングで治癒しながら、鷹秋の方へ視線を向ける。
今の自分にやれる事は少ない。だが、それが少しでもあるならと玉は再びシールドリングを使う気だった。
もっとも回復系サイキックを活性化して来ていない鷹秋は、玉には大丈夫だと頷き自身のライドキャリバーと交代する。
しかし、先程と結果は同じく、こちらも1撃で交代が必要となった。
「この光、有難く受けるのだな」
エイジはヒーリングライトで千景を癒すと、そのまま再び後衛へと下がる。
これで灼滅者達の戦術は、後衛に移動しない玉と磨璃華を抜かして一巡した事となる。
「そうか……本当に、誰もが強者だったと言うわけか……」
羽織袴はずたぼろに斬れ、裂け、燃えたままで、妖刀八星が落ちついた声音で呟く。
そして天の月が朧に隠れ、周囲が少しずつ闇へと染まって行く。
――キキンッ!
暗闇の中、刀を鞘に納める音が二つ。
「我が必殺の居合い……受けてみよ」
八星が向かった先は磨璃華だった。
今まで鍔迫り合いはしていても、本気で打ち込まれてはいなかった磨璃華は、先ほどの鷹秋宜しくその一撃を見切る事はできない。
闇の中から現れた八星は、その腕を八本に増やしそれぞれに紅色の刀が握られていた。
避けられない。
磨璃華の中で咄嗟に導きだされた判断は、そのまま覚悟となってギロリと鋭く八星を射抜く。
上下左右四方斜め、全方位から繰り出される居合い術を磨璃華は無視し、横合いからロケットハンマーを最大噴出で急加速、繰り出される右側からの斬撃を押し潰すように八星へと叩きこむ。
それは剣術や殺人術には無い強引なクロスカウンター、喧嘩殺法が得意な磨璃華だからこそ行える凶暴な技だった。
無防備に受けた磨璃華は膝を突くが、八星の持つ片側の三本の刀がその衝撃で曲がっていた。
「ハッ、ざまぁ……」
「ふっ、やるな……だかこちらはどうだ!」
倒れる磨璃華をすり抜け、八星が戌彦へと迫る。
「どうせ避けられねえってんなら、キツイ一撃をお見舞いしてやろうじゃねえか! てめえの全力、見せてみなァ!」
「その心意気や良し!」
居合いが来る。そう読んで懐に倒れ込むように突っ込み戦艦斬りを薙ぎ払う。
胸を打ち砕く音と、肩甲骨が砕ける鈍い音、その両方が響き渡る。
横薙ぎに巨大な斬艦刀が八星の胸を打ち砕くと同時、八星は上段から雲耀剣にて戌彦に放っていた。
だが、戌彦が身を犠牲に放った一撃はさすがの八星も蹈鞴を踏み動きを止める。
その瞬間、一気に間合いを詰めたのは解体ナイフを片手に無拍子のごとく距離を詰める白焔と、玉達の回復にとって立ち直った千景だった。
八星が二人をまとめて迎撃する為、常に後列を狙う為に使っていた技を繰り出す。
紅の一閃。
千景は血色の刀に一瞬顔を顰めるが、居合い一閃、白銀が煌めく。
――キンッ!
千景の白き刀身が八星の赤い刀身を紙一重の正確さで受け止める。
「その技は……覚えた」
「!?」
隠れた前髪の奥で、八星の目が見開かれる。
そして、至近距離から先ほど戌彦が潰した胸に白焔が手を当てる。
「ギルティクロス」
赤きオーラの逆十字を出現し、胸を貫くように八星を切り裂く。
「ま、まさか……」
一歩、二歩と八星が後づ去る。
だが、足を踏みしめ残った五本の日本刀を鞘へ収める。
「ま、まだ、我は負けて……いない。この、居合が、負けぬ、限り……」
最後の命を燃やすかのように、八星から殺気が立ち上る。
それを灼滅者達も感じ取った。だから、最後に目の前に立ったのは――
「腕を増やし多数を攻撃し避けられない一撃でも、私一人を殺せないなら意味などない」
元宮真実が日本刀を鞘に収め、居合いの構えを取っていた。
風が草を揺らし、静寂の中で雲が流れ、そして夜の闇に光が瞬く!
一瞬の交錯。
五つの真っ赤な流れ星が真実の体を切り刻む。
「私に必殺と呼べる技はない。だからこの一撃は貴様を死に近づけられればそれでいい。慄け! 私のとっておきだ!」
身体が切り刻まれるまま、真実の一刀が八星の赤き刀身をまとめて3本叩き折り、その勢いのまま八星の胴を一刀両断する。
月明かりが再びつわものどもを照らし出した時。
そこには血のように赤い刀身の刀が、墓標のように二本突き刺さっているだけだった。
作者:相原あきと |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2012年9月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 11/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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