十束・御魂(天下七剣・d07693)は、こんな噂を耳にした。
『ショタっ子を集めるアラサー都市伝説が居る』と……。
都市伝説が確認されたのは、日本がバブル景気に浮かれていた頃に建てられた高級住宅街。
バブルの崩壊と共に空き家が目立ち、かつての面影すらない、その場所を都市伝説が潜んでいる。
都市伝説は強力な催眠によって、ショタッ子を誘惑し、身も心も虜にしているようだ。
そのため、この辺りではショタッ子の行方不明事件が多発しているが、未だに事件解決には至っていないようである。
また、都市伝説は若い男……特にショタッ子に対して興味を持っており、戦っている最中も耳に息を吹きかけ、相手が油断した拍子に脳みそをちゅるんとするようだ。
しかし、まわりには都市伝説の虜と化したショタッ子がおり、命懸けで都市伝説を守ろうとするので注意が必要である。
参加者 | |
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松永・正義(輝石の従者・d00098) |
フェリス・ティンカーベル(万紫千紅・d00189) |
四月一日・いろは(剣豪将軍・d03805) |
十束・御魂(天下七剣・d07693) |
ミカゲ・ユズリハ(剱閃レゾンテェトル・d08629) |
立花・銀二(クリミナルビジー・d08733) |
八神・浅緋(伊達ダンピール・d10487) |
鏡・エール(シャドウテイカー・d10774) |
●気になる年下
(「また、凄いのが出ましたね」)
鏡・エール(シャドウテイカー・d10774)は事前に配られた資料に目を通しつつ、都市伝説が確認された場所にむかっていた。
都市伝説が確認されたのは、日本がまだバブル景気で浮かれていた頃に建てられた高級住宅街の一角で、最近になってショタッ子の行方不明事件が多発しているようである。
そのため、警察がウロウロしていたようだが、何の手掛かりも掴む事が出来ず、捜査は難航しているようだった。
「わたしも妙な噂を耳にしてしまったものです。趣味に文句を言うつもりはありませんが、誘拐となれば話は別です。手早く子供達を助けてしまいましょうか」
険しい表情を浮かべながら、十束・御魂(天下七剣・d07693)が屋敷を捜す。
事前に配られた資料の中に、都市伝説が根城にしている屋敷が記されていたおかげで、ほとんど迷わなかった。
その屋敷は何年も空き家であったにも関わらず、人が出入りした形跡があった。
門にも無数のツタが絡みついており、庭に飾られた女神像にも同様にツタが絡みつき、まるで自由を奪っているようだった。
「ショタッ子って、可愛い男の子の事だったかな。催眠で身も心も虜にしてるのかー。身まで虜にしてるって、いったい何をしてるんだろうね……?」
不思議そうに首を傾げながら、フェリス・ティンカーベル(万紫千紅・d00189)が疑問を口にした。
どちらにしても、その謎は実際に見て確かめれば、明かされる事だろう。
「自分の欲のためだけに、子どもの未来を奪う……。そんな事、許しておくわけにはいきません。行きましょう、姫様!」
ビハインドの姫様に声をかけ、ミカゲ・ユズリハ(剱閃レゾンテェトル・d08629)が屋敷に入ろうとする。
ユズリハは久々の戦いという事もより、両手が震えていた。
それを振り払うようにして気合を入れたため、感情を抑える事が出来なくなってしまったのだろう。
「ちょっと待ってください。このまま突っ込んでいけば、子供達の身に危険が及ぶかもしれません。まずは囮を出して、様子を見てみましょう」
今にも扉を蹴破って屋敷に突入しそうなユズリハを引き留め、立花・銀二(クリミナルビジー・d08733)が小さく首を振る。
確かに、ユズリハの考えも間違ってはいないが、中の状況が分からぬまま、迂闊な行動をするのは得策ではない。
「囮役が変装し、都市伝説がつられて出てきたところを強襲する作戦だな」
銀二の言葉を付け加えるようにして、八神・浅緋(伊達ダンピール・d10487)が呟いた。
「囮を出すのは、少々苦しいですが……」
複雑な気持ちになりながら、松永・正義(輝石の従者・d00098)が口を開く。
もちろん、きっちりとサポートをするつもりなので、囮役が死ぬという事はないが、それでもまったく心配がないと言ったら嘘になる。
万が一、こちらが予想をしていないような事態が起こったら……。
そう考えるだけで激しく胸が痛んだ。
「大丈夫。うまくやってみせるから」
そう言って四月一日・いろは(剣豪将軍・d03805)が男装すると、エールを連れて屋敷の中に入っていった。
●屋敷
「一体、ここは……」
屋敷に入ったいろはは警戒した様子で辺りを見回しながら、念のため殺界形成を発動させた。
室内は妙にヒンヤリとしており、甘い香のような匂いが漂っていた。
「あら、こんな所に迷い人」
それは都市伝説だった。
都市伝説は大きな胸が今にも零れ落ちそうなほど胸元の開いたドレスを着ており、まわりにはショタッ子達を従えて腰をクネらせるようにして近づいてきた。
「ボ、ボク達に何か用?」
怯えた様子で、エールが呟く。
それに満足したのか、都市伝説がニンマリ。
「……ん? ちょっと待って。何だか、あなた達、妙ね。ショタッ子特有の青々とした若葉の匂いがしないわ!」
すぐさま都市伝説の形相が奥のようになり、エール達めがけて鋭く伸びた爪を振り下ろす。
「どうやら、ただのショタ好きではなかったようだね」
都市伝説の攻撃を避けるようにして、いろはが後ろに飛びのいた。
考えてみれば、容易に分かる事だった。
都市伝説は可愛い子が好きでなく、ショタが好き。
ショタッ子の中には、女の子と見紛う子供も混ざっている。
それを見極めるためには、どうするか。
その方法が都市伝説の言っている青々とした若葉の匂いなのだろう。
それが何を意味しているのかよく分からないが、男の子特有の匂いである事は間違いなさそうだ。
「……たくっ! ガッカリさせないでよね。あたしを罠に掛けるつもりなら、とっておきのショタッ子。しかも、女を知らないチェリーにしなさい。せっかくの御馳走だと思って張り切っていたのに、興醒めしたわ。鬱陶しいから、やっちゃいなさい」
げんなりとした表情を浮かべ、都市伝説がまわりにいた子供達を嗾けた。
「そこまでですっ!」
騒ぎを聞きつけて扉を蹴破り、正義が都市伝説に攻撃を仕掛けていく。
それに驚いた都市伝説が慌てた様子で、ショタッ子達を盾代わりにした。
「卑怯な真似を! それが、おまえのやり方かっ!」
都市伝説をジロリと睨みつけ、浅緋が螺旋槍を放とうとする。
だが、ショタッ子が邪魔で、都市伝説に近づけない。
それどころか、ショタッ子達が何かに取り憑かれたように襲い掛かってきた。
「目を覚まして下さい! ……って言っても仕方ないみたいですし……ちょっと、ごめんなさいさせて貰いますね?」
申し訳なさそうにしながら、ユズリハがショタッ子に当て身を放っていく。
その一撃を食らったショタッ子が呻き声をあげ、重なり合えようにして倒れていった。
「出来るだけ気が付けずに帰してあげたいけど……」
そう思いつつ、フェリスが当て身を放っていく。
しかし、中途半端な優しさは、彼らにとって命取り。
気絶する事がなければ、何度でも立ち上がり、フェリス達に向かってきた。
「それでも、生きていただけマシですよ」
言葉に含みを持たせ、銀二が悲しそうにする。
おそらく、この場にいない者達は、既に都市伝説によって食われ、骨すら残っていないだろう。
しかも、それは食欲を満たすためではなく、ただ飽きたから。
そんな、くだらない理由で命を奪われていない分、彼らはまだ幸せである。
「世の中には、イエスロリータ・ノータッチと言いますし、ショタもきっと同じです! その禁を破ったあなたの行為は万死に値しますっ!」
まわりにいたショタッ子達を全員気絶させ、御魂がスレイヤーカードを構える。
「そんな事、あたしが知った事じゃないわ」
だが、都市伝説は怯まなかった。
反省するどころか、御魂達に逆ギレすると、髪を振り乱して辺りに殺気を撒き散らすのだった。
●都市伝説
「ところで、小さな男の子に興味があるって。具体的にはどうしたいんですか?」
戦っている最中に、何気ない疑問を感じた御魂は、そう言って都市伝説に問いかけた。
それはほんの些細な事ではあったが、御魂にとっては気掛かりな事。
「……それはね」
しかし、それが引き金となって、都市伝説が自らの趣味嗜好を語りだした。
それは常人には理解できないほどアブノーマルでセクシャルな内容。
その大半が専門用語であったため、御魂にはほとんど理解できなかったが、断片的な情報から聞かなければよかったと思えるほどの内容だった。
「そんな酷い事をして、よく平気でいられるね。しかも、催眠によって心を奪った状態で!」
激しい怒りをあらわにしながら、フェリスが都市伝説をジロリと睨む。
「お互い合意した上よ。それが催眠かどうかなんて関係ないでしょ。少なくとも、あなた達には」
皮肉混じりに呟きながら、都市伝説がケタケタ笑う。
まったく罪悪感を覚えていないため、まるで他人事のようである。
「それなら、情けをかける必要もなさそうですね」
都市伝説の暴走っぷりに呆れつつ、正義がティアーズリッパーを放つ。
その一撃を食らった都市伝説が烈火の如く怒り狂い、『何をするのよ、痛いでしょうが!』と叫び、歯を剥き出して襲い掛かってきた。
「この程度で怒っていたら、キリがないよ。これから、もっと痛い思いをするんだから」
都市伝説の攻撃を避けながら、エールが縛霊撃を炸裂させる。
それでも、都市伝説の怒りは収まらず、全身血まみれになって襲い掛かってきた。
「だったら、嫌と言うほど怒らせてやる。いくら怒ったところで、無駄な事を理解するまでな」
冷たい視線を都市伝説に送り、浅緋がレーヴァテインを叩き込む。
それに合わせて、銀二がナノナノと連携を取りつつ、制約の弾丸を撃ち込んだ。
「終わりにしましょう、見るに耐えません!」
嫌悪感をあらわにしながら、御魂がユズリハに合図を送る。
それに合わせてユズリハが螺穿槍を放ち、ビハインドの姫様が身の丈程ある大剣を振り下ろす。
「ぎゃあああああああああああああ! 痛い、痛い、痛いィ! どうして、あたしがこんな目に! 信じられない、あり得ないィ!」
頭から大量の血を撒き散らし、都市伝説が悲鳴をあげる。
「ボクからしてみれば、そっちの方があり得ない事ばかりしていたと思うけど……。その自覚すらないんでね」
ユズリハが頭を抱える。
都市伝説を倒したところで、犠牲者達の傷は癒えない。
壊れた心は元に戻らない。
いっそ、都市伝説が消滅したのと同時に、忌まわしい記憶も消え去ってくれればいいと思ったが、そればかりは倒してみない事には分からなかった。
「それじゃ、消えてもらうよ。この世から、ショタッ子達の心から。本当なら存在していなかったんだから、何も残さず消えてもらうから」
一気に間合いを詰めながら、いろはが居合斬りを炸裂させた。
「嫌よ、消えたくない。もっと、もっと、楽しむの! まだまだ、楽しみ足りなァァァァァァァァァァァァァア」
そして都市伝説が消滅した。
最後まで未練タラタラで、気絶したショタッ子達に手を伸ばし……。
「とにかく別の場所に運びましょう。なるべく遠くへ。ここから離れた場所に」
気絶したショタッ子を抱え上げ、銀二が仲間達に声をかける。
例え、記憶が残っていたとしても、屋敷で目覚める事がなければ、それが現実だったのかどうか曖昧になる。
その上で、一緒にいた者達が別々の場所で見つかれば、夢だと勘違いするかも知れない。
どちらにしても、この屋敷がどこにあるのか知らないのだから、彼らが真実を知る可能性は極めて低かった。
それが彼らにとって幸せな事かどうか分からないが、それでもトラウマを抱えたまま生きるよりもマシに思えた。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年5月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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