蛍の星、降るふる ~初夏の縁日夕涼み~

    作者:志稲愛海

     ――ゆらり、仄かな儚い光。
     その優しい輝きはまるで、夜空を翔ける流星群の様に。
     山の上から、次々と降ってくる。

    「随分初夏っぽくなってきたしさー。今度の休日に、蛍を観に行こうかなーって」
    「もう蛍が飛ぶ季節なのか」
     へらりいつも通りに笑む飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)の言葉に、綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)も興味を示して。
     遥河はうんうん頷きつつ、『関東ほたる観賞スポット特集』の載った雑誌を広げた。
    「もう関東では、5月中旬くらいから飛んでて、場所によっては見頃のところもあるらしーよー。蛍が鑑賞できる時期の休日は縁日の屋台が出てるとこも多いしさー、お弁当とかを作ってきてもいいかも。美味しいもの買って食べたりしながら、水辺で綺麗な蛍の光を眺めるのって、すごく素敵なカンジじゃなーい?」
    「縁日の屋台で、美味しいもの……!」
     見かけによらず底なし胃袋の紗矢はその言葉に、一層瞳をキラキラさせて。
     遥河はそんな様子ににこにこ笑みながらも、雑誌を指差す。
    「あ、みてみて! ここ、山の上から飛んでくる蛍が、まるで降る星々のように見えるんだってーっ。空を見上げれば、もしかしたら本物の流れ星も見られるかもねー。ちょっと冷たいかもだけど、蛍さんの邪魔にならない程度に、川に足をつけてみるのも気持ち良さそーじゃない?」
    「星のように降る蛍の光、か。それはとても綺麗だろうな」 
     流れ星に何お願いしちゃおっかなーとへらり笑う遥河に頷いて。
     この場所なら武蔵坂から日帰りで行けるしなと、早速休日の予定を確認し始める紗矢。
     そして遥河は雑誌のほたる特集をくまなくチェックしつつも、こう続ける。
    「折角だし、オレは浴衣で行こうかなーなんて。なんか一足早い夏祭りって感じで、ちょーテンション上がんない? 美味しい食べ物は勿論だけど、屋台に和小物とかもあるかなー?」
     これでも和のものや伝統芸能等も好む遥河ははしゃいだように言って。
     わたしも浴衣を探してみるかな、と紗矢は呟きつつも。
    「星が降るように瞬くたくさんの蛍の光に、美味しいものや和小物の屋台、か……」
     楽しみだなと、そう微笑むのだった。
     
     一人で静かに物思いに耽りながら、満天の星空の下で蛍を眺めるも良し。
     大切な人と、ロマンチックなひとときを過ごすも良し。
     クラブやクラスなどの友人達と、屋台を巡りつつ、初夏を楽しむのもいいだろう。
     他の人や蛍の迷惑にならなければ、それぞれ好きなように過ごして貰えればと。

     貴方も、星の様に優しい光が降る休日の夜に、お出かけしませんか?


    ■リプレイ


    「わぁ、すごい……沢山の蛍さん、です」
     そう水面の光を掬うユイは、纏う浴衣にどきどき。
     そして、この方がはぐれないよと、袖掴む手をそっと握る耀亮だが。
     流れ星に馳せたユイの願いは――彼には、秘密。
     夜のお出かけに胸躍らせ、屋台の戦利品を見せ合いこ。
     降る光の中、ひそひそ笑み合う雪春と永久も、流れ星に願いを。
     来年、再来年、その先もずっとずっと。長く永く、一緒にいられますように――。
     お互い驚かせたかった孤影と雛は、偶然同じ、珍しい浴衣姿。
     大丈夫、手を引いてあげるから、と――その手を取った雛は。
     身も心も彼に寄り添い、共に見つめる。深い闇にふいに滲む、儚き命の光を。
     手から伝わる狭霧の熱が、夜の怖さを溶かしてくれて。
     躓いた初衣を支えた感触が、少し気恥ずかしい。
     そんな二人はまるで。
    「……ファンタジーの世界に迷い込んだみたい」
     流星と光の国の、王子様とお姫様。
     蛍の光満ちる静かな川辺で。先日結城に告げられた想いの答えを紡ぐ夕。
    「はい、と言うか、ノープロブレム、というか、イエス、というか……」
     つまり、お返事はそーゆー事です、と。
     そして結城は、ネガティブエンドロールに入る彼女の手を握る。
     ありがとう、これからもよろしくお願いしますね、と。
    「それじゃほら、お手を拝借」
     川に入りたいと言う彩希と手を繋ぎ、鷲司は蛍の天の川へ。周囲はまるで光の海のよう。
    「だからちょっとだけ、怖い」
     でも、大丈夫。繋いだあたたかい手と、約束があれば。
     笹の葉で包んだ水まんじゅう片手に。
    「俺は実家にいた頃見ているけど、ちゃんと見るのは初めてかな」
     拓馬は、寄り添う浴衣姿の樹の肩を抱いて。
     この平穏に考えを馳せ、彼女と、淡く灯る蛍の光を眺める。
     互いの浴衣姿に密かに見惚れながら。
    「奈津兄にプレゼントがあるの」
     星の様な光の中、花音と奈津は、プレゼントの交換こ。
    「ほら、うちのみたいじゃない?」
     何よりも――同じ事を考えた事が、嬉しい。
     下駄を鳴らし、一緒に縁日を巡った後。
    「ふぇ?……何かゴミでもついて……?」
     蛍舞う空の下、智恵美はふいに顔を真っ赤に。
    「はい、もう大丈夫ですよ」
     ヴァンが挿してくれた、黒髪に揺れる簪に気付いて。

     無音ではないのに、静か。
     下駄鳴らし3歩小走る千波耶に歩調合わせて。
     今のは躓いたんじゃないと言う彼女に、そうだなと笑う葉は、ほら、と指す。
     願いを唱えるまで待ってくれそうな、山から降る流星郡を。
     約束の浴衣姿。でも鳴る下駄は慣れなくて。
     ふらついたディアナを翼は抱き留めた後。
     絡まる手から伝わった想いに、繋いだ手から返信する。
     蛍舞う景色を見ながら――彼女と同じ、気持ちを。
     手招かれ、一緒に川へ足を浸して。
    「私ね、進路決めたの。ありがと、春翔のお蔭でやっと答えが出たの」
     今度は私が力になるから――そう笑む律花に春翔も笑み返す。
     思う心は、まだ口には出さずに。
     ふいに伸ばした腕に灯る、蛍火。
     それを寄り添う御凛へ討真は贈る。
    「持って帰る事は出来ないが、いまだけお前に光の祝福を」
     仄かな光の髪飾りを。
     そしてお礼の口づけに、再びキスでお返しを。
     林檎飴やカキ氷片手に見る蛍も綺麗だけど。
    「俺には今日の鋼の方が綺麗さ」
     鷹秋は新調した華やかな浴衣纏う鋼を抱き寄せて。
    「あは、鷹秋のお尻にもくっついてるよ、蛍」
     袖やお尻で光る輝きに、笑い合う。
     百花の髪を飾る、椿の花。
     エアンはその髪に触れつつも口元を綻ばせて。
     水の冷たさと寄り添う温もりに笑み合い、蛍の求愛の瞬きを眺めれば。
    「……入った」
     詰んだ釣鐘草の中に、蛍のお星様が。
     川に足を浸し、屋台の戦利品を半分こして。
    「蛍も俺達みたいに自分にとっての一番を探してるのかなぁ」
     蛍を眺め呟く椿へと、朱梨は変わらぬ想いを口にするも。
     彼と共に光降る中、複雑な思いを心に描く。
     浴衣から伸ばした足に、冷たい水の感触。
     光明は光混ざる夜を、寄り添う刃兵衛と静かに眺める。
    「浴衣似合ってる。凄く綺麗だぞ」
     また戦場に赴く事になるから。大切な手を取って、今は唯それだけを。
     田舎で蛍は見たけれど。
    「今日の景色は、満天の星空がそのまま降ってくるみたいだし、それに……」
     ふいに言葉を切る葵。そして彼のお願いに頷き、由愛が瞳閉じれば。
     頬に触れる掌と……重ねられる、優しい唇。
     蛍の儚さを口にした璃耶に、にこっと笑んで。
     伊万里は誘う――来年も一緒に蛍を見に行きませんかっ? と。
     それに璃耶も頷き笑み返し、約束を。
     それまで蛍のように、懸命に一日一日を歩んでいきましょう、と。

    「……本で見るのとはまた違う、魅力です」
     千代と見る煌きは、流れ星の様な光の川。
     そして、折角ですからと伸ばした手に、喜一郎は温もりを感じて。
     二人手を繋ぎ、蛍の空を眺める。
     一緒に、借りた祖父母の浴衣を着て。
     晴汰は豪快にりんご飴齧る千巻に、たこ焼をお裾分け。
     そして、不思議だねぇと。
    「星に手が届くって、こんな感じなのかなぁ」
     降る光見上げ交わすのは、来る夏の約束。
     早変わりさせた顔に、ぱしゃり水をかけられて。
     タオルを被せられたヴェロニカは、航平から貰ったそれを、ころころ星空へ翳す。
     彼のお詫びのしるし――瓶の中のハッカ飴の、蛍に似た青い煌きを。
     図鑑でしか知らない光る虫を捕まえたかったけど。
     かわいそうなのですと止めた月夜と、手を繋ぎ、シニシャは思う。
     儚い命の間に愛を育む蛍と……同じ様になれるといいなと。
     月や星は優しく力強く。水面に溶け、ゆらり歪む。
    「ほたるの生きてる主張すごい!」
     蛍光の彩に声上げた千佳が、誰もいなければ凪専属ほたるになると言えば。
     誰もいないといいな、と……そう凪は思う。
     転ばぬようキュッと手を繋ぎ、明滅する淡い光を追って。
     降る星雨は、腕を伸ばせば掴めそう。
     そしてイコは掌を重ねる。
     いつも新しい景色を見せてくれる、円蔵の優しい手に。
    「夜空の星の光も美しいが、地上の暖かい光の光景もまた美しいものだ……」
     妙だけど、でも悪くない。浴衣で涼みにきたキースが感じるのは、あたたかさ。
     揺れる蛍の光も……渡された、ライン手製のクッキーも。
     纏う浴衣が夜に溶ける。でも昴が触る髪の色が、陽丞を見つける目印。
     儚く脆い光を遠く眺める悪友に笑み、陽丞は強く美しい光を目で追って。
     礼を言われ首傾げつつ昴は思う。嬉しそうだからいっか……と。
     はぐれるなよ? と。さちこに手伸ばすキィンの声に。
     ちいさなおとーさんもキリッと一鳴き!
     そして繋いだ手をぶんぶん、皆で見る輝きは。キィンが昔追ったのと、同じ光。
     瞬く命の光を、脅かさぬ様に。
     ギルドールの、来て良かったねの声に、零桜奈も微笑む。
     それからカメラを構えて。
     帰りに蛍饅頭を買おうと話しながら、並んで記念写真を。
     地獄合宿は驚いたが、ここに来られて本当に良かったと。
     結は屋台の戦利品を食べつつ蛍を眺めて。
    「和小物かー。お土産、買って行きましょうか♪」
     光溢れる中、紫苑は歩き出す。結の手を、確り握り返して。
    「ふふっ、可愛らしいし美味しいですね」
     甘い魔法のお菓子、綿飴のお返しに。レティシアも、ユーリに林檎飴を。
     そして声を潜めて。
    「……ワォ、ホタルが近づいて来たデス」
     降る光に煌くお互いを見つめ合う。
    「ブルーハワイも捨てがたい……けどボクは断然いちご味!」
     揃いの甚平姿な三千歳とイーニアスの両手は、屋台の食べ物で一杯。
     そして天の川の様な一面の光を眺め、思う。
     七夕の季節も、また一緒に――と。
     紫桜や紗矢や遥河にお菓子や飲物を振舞って。
    「綺麗でございますね……」
    「綺麗だな……穏やかな時間もきっと必要なんだぜ?」
     蛍眺める充に頷いた紫桜は、夜空に宣言を。
     明日からまた全力で突っ走る、と。
     見て――手を繋ぐ草灯の声と指先を追った、アスルの目を輝かせるのは。
    「お星様、おちてきた。みたい……」
     川面に架かる蛍の天の川。
     そして帰り道、草灯の耳を擽るのは……背中のアスルの、健やかな寝息。


    「全く、本人が此処に居なくてよかったよ……」
     色々問いを巡らせ呟く无凱は、掬った掌の蛍をふわっと手離して。
     そして双子の弟を見失い、ぷんすかする静謐だが。
     ふと繋がれた梶和良の手に、過ぎし日々を思い出す。
    「儚くも 命を燃やし 舞う蛍。……すぐに散ってしまう儚い命だからこそ、美しいのでしょうかねぇ……」
     珈琲片手に人々の笑顔を眺め、呟く流希。
     柚羽も静かに、けれど確りと記憶にこの光景を焼き付けつつ、一句。
    「大蛍 ゆらりゆらりと 通りけり」
    「……あの子にも、見せてあげたいな」
     水辺に足を浸す八尋も、今の景色を心に確りと刻む。
     蛍星の瞳をした大切な彼女に、見てもらう為に。
     そして、舌を林檎飴で真っ赤にしつつ。 
    (「友達……たくさんできるかな? どんなことが、これから起こるんだろう?」)
     透流は沢山の食べ物を抱え座りつつ、学園生活に想いを巡らせる。
     日本の祭りといえばと、浴衣を着てきたナイアは。
     浴衣似合ってるねーと、遥河と紗矢に声を掛けられて。
    「ふむ、浴衣かの。似合っておるのじゃ」
     青空の浴衣纏う雲龍は逆に、描いた通り藤色の浴衣着た紗矢へ声を。
    「手を出してみたら止まるかも知れんな」
     そう開いた掌に、ふいに灯った蛍の光を、雅弥は紗矢と見つめて。
    「空の星、落ちてきたみたいだね」
     そう指した蛍の星々を映し、紗矢や遥河と一緒に瞳を煌かせる七葉。
    「えっと……今日は着ぐるみじゃなくてごめんね?」
     今日は浴衣で、一緒に屋台巡りした砌と紗矢は。川でお弁当タイム!
    「やーやー遥河クン食べてるか~!」
     そう織兎が差し出したフランクフルトを、遥河はチョコバナナと交換こして。
    「俺の何が悪いのだろうか?」
     声掛けた女性からビンタでお断りされた勇也を慰めつつ、一緒に女心について語りあってみる。
     そして。
    「遥河は、蛍の光に何かに置き換えて見たり、する?」
     一緒に蛍狩りする時兎の問いに。
     頭に流れてくる未来予測になんか似てる気がするーと笑むのだった。


    「トンボ玉の屋台、覗きません?」
     依子が指した和小物屋台。
     あきつや昭子【Cc】の女性陣は、トンボ玉の彩を選びっこ。
     アイナーや篠介、男性陣の手にも、確りカキ氷が。
     そしてまぐまぐ紋次郎が食べるのは。
    「……ふわふわ、雲?」
    「……皆も食うか?」
     飴細工片手のサズヤや皆に手伝えと差し出される、特大袋の綿飴。
     各々の手には、ラムネやたこ焼、煌く林檎飴が。
     それから、下駄の音が止んだ時。
    「……星?」
     零れ落ちた光の雫が、篠介の掌へ。
     それを覗き込んだあきつは呟く……あったかな星、だなと。
    「……お! お前さん等にも流れ星!」
    「ひとのたましいは、蛍になって逢いに来るそうです」
     次々降り注ぐ光の中で。
     気恥ずかし気に皆から景色へ目を向けたアイナーは。
     皆と見る格別な光へと、手を伸ばした。

     【Chaser】の皆も、甚平や浴衣着て蛍会!
    「よう似合とるけど、こらー! めくんなー! めくらせろー!」
     悟は女性陣をからかいながら、皆と縁日へ。
     ミカエラが買って分けるのは、ヒーロー絵の綿飴。
    「綿菓子って、ひつじみたいだよね!」
    「ふふ、甘い。お礼に一口どうぞ」
     想希もラムネのお返しを、奏恵も宵桜の浴衣の袖を揺らしてイチゴカキ氷をお裾分けしつつ。
    「……もしかしてかき氷も甘い水なら、蛍も寄ってくるかな?」
    「あ、ゆーちゃん、悟ちゃんもたこ焼き食べる?」
     陽桜のあーんを、兄貴分として勇介は、悟へパス!
     そして冷やし飴や焼き鳥、飴にイカ焼き等、沢山交換し合った頃。
    「あ、あっちで光ってる! あっちも!」
     降ってくる光の洪水。そしてふと悟は、蛍舞う川を覗き込むも。
    「全然甘ないで、この水ふつーや」
     頭から、川へばしゃーん!
    「うちも水入ろかな。一緒行く?」
     そううずうず瑠美に誘われた陽桜は、行きたい! と笑んでから。
     掌の上で光る蛍をそっと、流れ星の群れへと解き放った。

     蛍飛ぶ中、【ふたりごと】の皆で囲むのは。
     智優利の、星マークの装飾入りオリジナル弁当箱!!
     学子も光を眺め、色々な事を思い出しつつ、羊羹や水饅頭を配って。
     ら~ららら~と踊る魅呼。音程気にしません!
     そして朔羅は踊りや蛍を見つつ思う。皆と、一緒がいいの……と。
     織音も弁当を食べていたが、そのうち光溢れる中で、うとうと。
     そんな彼に、千秋はノリノリな様子で。蛍に囲まれ寝ている彼の元へと。
     さらに業慧が作るのはカキ氷!? いいえ。
    「これが全て溶ける前に終わらせねば……」
     集中力向上の期待を抱き、蛍雪の功を実践すべく持参した氷に、蛍を呼ぶための甘いシロップをかけました。
     そんな皆を眺め、智優利はクラブを一緒に始めた蘭丸に、人がいっぱいで嬉しいと笑んでから。
    「これからもずっと楽しい時間を重ねていけたらと思うのは、わがままかな?」
     そう呟くも……それを望むことが我儘なはずがない、と。蘭丸は智優利と寄り添う。
     そしてアイラは、皆との楽しい思い出を大切に。ぱしゃり、カメラのシャッターを切った。

     暁や瑠璃羽に艶やかだと褒められて。
    「ん、ヘンじゃねーならよかった」
     涼しくていいな、と花の髪留めで見えた顔に安堵の色を宿す嵐。
     瑠璃羽は、暁の綿飴と自分の林檎飴を一口交換して。
    「んっ、甘い♪」
    「嵐は同じわたあめかぁ、鴎のやきそばもおいしそうだね」
     つい頼んでしまいますと、合流した鴎も、皆の浴衣に瞳細める。
     そして瑠璃羽が、嵐と鴎に教えた内緒話は。
     暁の頭にみつけた――光る蛍の姿。
     【星空芸能館】の皆も、夜のお出かけ!
     縁日を巡り、並んで川に足を浸しながら。
    「夜はまだ冷えるかな……わぁ……」
     くるみの前に広がる、降る蛍の光と。
    「見て、ください……おほしさまも、綺麗……♪」
     瑞央が見上げた、満天のお星様。
     そして紗里亜の口から自然と漏れるのは――歌。
     星の下のステージで、静かな静かなコンサートの始まり!
     えりなも、紗矢や皆と合唱して。
    「あ……♪ 流れ星♪」
    「えっと願いは……って、見えなくなっちゃった」
     結衣菜は、流れ星の様に蛍飛ぶ空を見上げた。
     普段は【西久保高1-1】の教室で話す仲だけど。
    「みんなとお出かけ嬉しいな!」
    「今日はクレイくんが何でも奢ってくれるわよ♪」
     クレイは春陽に林檎飴を、他の皆にも色々奢ってあげて。
     本当に甘い水に蛍が集まるか試しつつ笹団子配る七海の隣で。
     春陽の生んだ光が煌いて。
    「星人……そっと静かにね……」
     蛍へと手を伸ばす、リアと星人。
     蛍は恋の心――ひなたは遥河にも声掛けつつ、ここで一句。
    「身の内に 宿る焔ぞいつ焦がす 蛍の心 終に知りとて……かしら」
     そして春陽のカメラがぱしゃりと。
     蛍の星が降る思い出の1枚を、映したのだった。

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年6月13日
    難度:簡単
    参加:121人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 27/キャラが大事にされていた 3
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