武蔵坂学園の修学旅行は、毎年6月に行われます。
今年の修学旅行は、6月18日から6月21日までの4日間。
この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立つのです。
今年の修学旅行は、南国沖縄旅行です。
沖縄そばを食べたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載です。
さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!
●カヌーで冒険、やんばるのマングローブ
修学旅行2日目、6月19日(水)は沖縄本島の観光が中心のスケジュール。
昼食のあとは、沖縄本島北部の『やんばる』で、亜熱帯の大自然に触れる冒険の旅へ!
慶佐次川(けさしがわ)下流域の『マングローブ』は、沖縄本島最大の規模で、国の天然記念物にも指定されている。
海水と淡水がまじりあう汽水域に生息するマングローブの川は、波もなく穏やかなので、初心者も小さな子も気軽に楽しむことができるコースです。
亜熱帯の貴重な植物や生き物が生息する沖縄の大自然を、カヌーで体感してみませんか?
――最初はカヌーをこぐ、パドリングの練習。
パドルの持ち方や前進、ブレーキなど基本のこぎ方をレクスチャーして貰おう。
丁寧なレクチャーを受けたら最大2人乗りのカヌーに乗って、いざマングローブの森へ!
ゆっくりカヌーをこぎ始めると、川の両サイドに茂るマングローブ群が出迎えてくれる。
慶佐次川に生息するマングローブは、ヤエヤマヒルギ、オヒルギ、メヒルギの3種類。
ここは川幅も広くて開放感たっぷり、景色を楽しみながらカヌーに慣れていこう。
――また、このツアーではカヌーに乗ったまま、海にもいきます!
川幅が狭い支流付近に入ると、さらにマングローブが間近に迫ってきて、迫力も満点!
マングローブにギリギリまで近付いてみると、周辺に生息する希少な生き物を見つけることができるかも!?
沖縄ではトントミーの名で呼ばれているという、愛嬌たっぷりのミナミトビハゼ。
枝に擬態するヒルギハシリイワガニなど、珍しい生き物を間近で見れる、チャンスだ!
――支流付近のマングローブを堪能した後は、そのまま川を下って河口から大海原へ。
波に揺られながら進むのも、マングローブとは一味違う面白さと爽快感が盛りだくさん!
少しだけだけど、近くの慶佐次湾の小さなビーチで、水遊びを楽しむこともできます。
透明度の高い蒼色の海で、ヤドカリやサンゴ、貝がらを探してみよう!
「オレみたいな小学生にとっても、心踊る内容が盛りだくさんだよな」
うんうんと大きく頷くのは、ワタル・ブレイド(小学生魔法使い・dn0008)。
海を越えて日本に来たというワタルの視線は、パンフレットの見開きページに広がる亜熱帯の大自然に、食い入るように止まっている。
――沖縄では『やんばる』の名で呼ばれている、亜熱帯の山原。
――海水と淡水の狭間に生えるという、枝のような長い根を下ろした不思議な植物たち。
「すげぇな、どれも見たことがないぜ」
瞳を輝かせた少年の一言は、驚きと興奮を隠せずにいて。
真緑の亜熱帯世界をカヌーでざっくざっくとこぎながら、最後は海に出るという大冒険!
むしろ、少年の好奇心が湧かず踊らない方が、無理な話でして……。
「ライフジャケットも無料でレンタルできるし、みんなで行かないか?」
特別な服装は必要なく、家にある物で気軽にチャレンジ出来るという。
用意するのは水に濡れてもいい服と靴。短パンやTシャツ、スニーカやサンダルでもOK。
沖縄の陽射しは強いので、日よけの帽子と飲み物、女性陣は日焼け止めも忘れずに!
「折角の修学旅行だ、学年とか馴染みあるなし関係なく、みんな一緒に楽しもうぜー」
カヌーは誰と組もうかと楽しげに相談が始まる中、ワタルはあなたにも呼びかける。
瞳をキラキラと輝かせ、楽しそうに――。
カヌーをこぎながら、沖縄の大自然とマングローブをトコトン満喫しませんか?
●マングローブの川へ
パドリングの仕方を覚えた一行は浮きだつ心を抑え、カヌーに乗り込む。
浅瀬で肩を慣らしながらゆっくり漕いでいくと両側をうっそうと茂る緑が出迎えた。
「智恵美様、カヌーってすごいですねぇ~!」
初めて見る景色に優希那は大はしゃぎ!
智恵美と一緒に前へ進もうと漕いだ瞬間、パドルが手からすぽっと抜けてしまう。
「あれれっ? 前に進んでないっ? あわわ、回ってます~」
と、同時に回転する、カヌー。
その場をぐるぐる回ったあげく、揃ってバランスを崩して謎転覆!
「ごめんなさい優希那さん、運動神経へっぽこで……」
「うぁ~私こそ、ごめんなさいですよぅ~」
けれど、2人は必死に練習する。
素敵な景色を更に沢山見られますように――。
「わぁ、すごいね!」
恋人同士で風景を楽しんでいたのは【武蔵境2-8】のみとわと頼人。
前に座り水面を通して見るマングローブに振り返ってはしゃぐ恋人に合わせて、頼人はゆっくりパドルを動かしていく。
「まっしー、最近になってクラスに来たけど、ちゃんと楽しんどる?」
少し後ろに寄りかかって甘えてきた真白を澪は優しく抱きしめる
無表情で楽しそうに頷いた真白に澪は感謝を示すように頬を擦り付け、軽くキス。
真白も仲良し同士の挨拶を交わすようにぎゅっとハグ返しする、そんな中……。
「刀弥、オレ達の結束の力を見せる時が来たようだ」
「ああ、俺達の装備なら問題ない」
と、周囲にラブ旋風が吹く中、広樹と刀弥ペアは不敵な視線を交わす。
2人揃って水着の上にTシャツやパーカー、これなら濡れても大丈夫♪
「例え水上でも遅れをとるわけにはいかないっ!」
「折角だし少し冒険しようじゃないか!」
真白と澪に狙い定めた野郎共は、パドルを使って水をぶっかける!
けれど真白も負けず、隙あらば広樹と刀弥へ水を掛けたり、悪戯返し。
後ろの澪は胸にパドルがつかえながらも、満面の笑みで楽しそう〜。
「これって、2人仲良く水に落ちろな流れ?」
「なにも風景を撮っている時に狙わ――うわっ!」
いやいやまさかと恋人達が視線を交わした、丁度その時だった。
流れ弾もとい流れ水に2人揃って、バランスを崩したのは。
「とわ、大丈夫か!?」
川に落ちた恋人の安否に一瞬、不安がよぎる頼人。
けれど水から顔を出した恋人は笑顔そのもので釣られて笑ってしまう。
「助けは不要……っぽいな」
楽しそうな2人に広樹は瞳を細め、刀弥も黙って頷いた。
「先輩、漕ぎづらくないです?」
優梨の心が凄くドキドキしているのは、初めてのカヌーもそうだけど。
「いい女は、男を振り回すぐらいが丁度いいんだぜ?」
半分は冗談、半分は真面目に。
毅は優梨のペースに合わせながら巧みにカヌーをマングローブに寄せていく。
絶妙な気遣いに優梨も思わず笑みを零し、肩の力が抜けた時だった。
「なー、大松ー」
誘われた時も、多分今も。
何か緊張されてる気がすると毅は笑い「何で、俺?」と、続けて問う。
優梨の身が震える。そして小さな、声で……。
「先輩のこと――」
「奏恵は、植物は好き……?」
……緑の葉や、花とか見るのが好き。
そう言葉を紡ぐセーメに奏恵も2つ返事を返す。
「ほら、セーメの髪と同じ綺麗な緑だし!」
水辺だからか、周囲は意外に涼しい。
支流に入って少しづつ狭くなっていく景色は、緑のトンネルのよう。
セーメがマイペースに漕ぐ中、魚がいるかもと奏恵が川を覗き込んだ、その時。
カヌーが大きく揺れたのは!
「あわわ、ごめんごめん!」
「うふふ、良いよ、気にしてない」
珍しく瞳を細め、清々しい笑みを見せたセーメに奏恵も一緒に笑い合う。
「本当にジャングルみたいよね……神秘的だわ」
全身で味わう川の流れに櫂は恐れよりも心が弾んだように楽しそう。
「何か面白い動物とか植物は見つけられるかい」
初心者の櫂を前に乗せ、冬崖は身体を慣らすようにパドルを操っていく。
前を漕ぐ櫂の背に新鮮さを感じながら、冬崖が声を掛けた時だった。
「あ、何か居た気がする!」
櫂が後ろを振り向くと同時に、シャッターが落ちる。
「こういう時くらい、いいだろ?」
それは櫂とマングローブが一緒の1枚。
いい画が撮れたと笑う冬崖に櫂は拗ねたように頬を紅く染めていく。
●マングローブ迫る支流へ
パドリングにも慣れてきた頃、視界に広がるのは亜熱帯の緑!
まるでジャングルに入り込んだ気分の一行は更に自然へ近付いていく。
「いっけーいっけー、カーヌーゥー。ほら小夜子ももっと漕いで漕いで」
「あんまりスピード出すと危ないですよ!」
Tシャツ短パンの茉莉花が勢い良く支流をパドルで漕いでいく。
その後ろで行きたいようにさせていた小夜子も急かされて漕ぎだす、が。
「ま、マリー! 前見て下さいよ前! ストーップ! それか面舵一杯!」
茉莉花のテンションは上昇、高まる不安♪
予想は的中し茉莉花が余所見した瞬間、カヌーはざぶーんと転覆……。
何時も通りの光景と茉莉花の明るさは亜熱帯の大自然の中でも代わらない。
「これがマングローブですか……中々の迫力ですね」
「根が複雑に絡み合って、まるで籠のようだよ」
時折、パドルを止めて写真を撮っていたのはソルデスと戒のペア。
自然の逞しさを更に間近で実感しようと、2人はカヌーを寄せて……。
しかし勢い余って仲良くひっくり返るのは、お約束♪
「……何事も受身は大事だよ、まったく」
「ははは、水浴びと思えばいいですよ」
溜息を洩らしながらも、自力で這い上がる戒。
楽しそうに笑っていたソルデスも再びカヌーへ乗り込んだ。
「そろそろ交代の時間だぞー」
本流から支流まで漕いだ熾は交代でカヌーを漕ぐ約束をしていたマヤに声を掛ける。
「熾の番が終わったら、次も熾の番よね」
「よし、海まで頑張って……って、何でオレの次もオレなんだよ!」
どうみても変だろッと叫ぶ、熾。
けれどマヤは「生物の写真が撮れないじゃない」と音速で論破してみせて。
「男なら細かいコトは気にするんじゃないわよ」
開放感あふれる本流とは異なる景色に、マヤの冒険心は刺激されていて。
そして、熾が海まで漕ぐことになったのは、言うまでもない。
「見て見て、結衣奈、あそこに何かいる!」
2組に分かれて漕ぐのは【StarGazer】。
一面の緑にまるで異世界に迷い込んだかの如く、銀河は感嘆の声を上げて。
「わあ、また転覆の危機!?」
当たって砕けろ精神でカヌーを寄せる銀河に結衣奈が慌ててブレーキ!
何とか危機を免れた2人は、マングローブの根元をまじまじと観察。
「マングローブってーのは、年中あったかい地域にある森林のよーなところよ~」
「へ~、そうなんだ。何かの必殺技とか謎の生命体かと思っていたわ」
凰呀と夜桜ペアは後方を気にしつつ、のんびり景色を楽しんでいて。
水分補給を欠かさずペースも合わせていく2人。しかし結衣奈と銀河ペアが追い付き手を振ったら話は別です!
「やっぱり競争は起こるのね、いくよ夜桜!」
「ちゃきちゃき漕ぐのっ!」
黒髪ーズに遅れを取る事は許されない!
息を合わせて漕ぎ出したペアに遅れを取った2人はまたもや転覆の危機!?
「慌てないでぇ~、落ち着いてぇ~!」
「カヌーって難しい……私の要領が悪いだけ?」
挨拶も競争も終始ドタバタで。
それでも楽しいのは代わりない、皆と一緒だから――。
「すっごい! ほんとに水の中から木が生えてる!」
くじ引きでペアを決めたのは【井の頭小6椿】のクラスメイト達。
口をぽかーんと開けた朱美の背を、ときは後ろで温かく見つめていて。
「あっちにも見たことない生き物がいるよ! ほら見て!」
「え、ほんとっ? どこどこ?」
転覆しそうな勢いで前に乗り出す朱美に、ときはマングローブの根元を指差す。
朱美は瞳をキラキラ輝かせながらときと息を合わせて静かにカヌーを根元に近付けた。
「やんばるってすごいっ! すごいんだよっ!」
「わしらも間近で観察してみようか?」
水泳キャップ装備の日夏もレオンと一緒に間近に迫る亜熱帯に瞳を輝かせていて。
転覆しそうな勢いでカヌーを漕ぎ出す日夏にレオンはボートの要領で冷静にさじ加減。
けれど、心の中は好奇心とドキドキが占めていて。
「緑いっぱいで、別世界に迷い込んだみたい」
「こういう風に遊ぶ機会は中々無かったのですが……心躍りますね」
運動神経に自信が無い由布を、後ろで補佐していた花梨も思わず感嘆を洩らす。
始めは申し訳無さそうにしていた由布も想い出と冒険談に華を咲かせた時だった。
「ねえ、どれだけ多く珍しい子を見つけられるか、競争してみない?」
「その勝負、乗った!」
川幅の狭い所では速度を落とす花梨と由布に、ついワタルがはしゃいでしまったのが運の尽き♪
「また1つ、思い出ができたなー」
「うん、すっごく楽しいねっ」
――きっと、ずっと、忘れない。
揃って川に落ちた3人にときと朱美は微笑み、日夏も元気良く声を掛けて手を振って。
仲間の新しい一面にレオンは喜びをかみしめ、大自然のひとときを焼きつけるように瞳を細めた。
清々しい微笑で景色を眺める右九兵衛とは逆に、雛の空気は重い。
せめて【夕鳥部】の皆と同じルートで進めば景色や思いも共有できるかもしれない!
そう割り切って楽しもうとしたけれど、やっぱりッ!
「なんでこんだけ女の子おって雛くんとなんやろ、運命……?」
「そうですね。はははははは。泣いてなんかないわ!」
照れるわーとヤケ気味に笑い飛ばす右九兵衛、更に落ち込む雛の地獄絵図。
「2人は何か抱えているのだろうか?」
「ここの皆は何時も賑やかだから、見ていて退屈しないよ」
虚空コンビと命名された虚と空ペアは揃って口数が少ない方。
未だ思考停止状態な野郎ペアに結実は少しドヤ顔で手を振ってみせて。
匠も静かにサムズアップを向け、結実と協力して支流を進んでいく。
リードして貰えるのは心強いけれど、協力して漕ぐのは達成感もひとしおで。
「んー、風が気持ちいいですっ♪」
お姉さんポジションで匠をリードしていた結実も、今は指先に触れる水の感触と景色を楽しんでいる。
ハンカチを水に浸して絞ると、匠の額に浮かぶ汗を丁寧に拭う。
「ありがとう」
微笑を浮かべた匠に、結実も顔を覗き込むように微笑んだ。
「おおきいなぁ」
マングローブに近づこうと慎重に漕ぐのは千尋とティエ。
カヌーに乗るのも初めて、これだけ大きな樹をみるのも初めてだ。
「あ、あそこ何か動きました! カニさんでしょうか?」
前に座っていたティエが興奮を隠せず、千尋の方へ振り向く。
微妙な照れを隠した千尋はティエが慌てないように言葉と笑顔に相槌を打ちながら、ゆっくり漕いでいく。
「灰月さんにお任せしちゃって見てばっかりで……」
「気にしないでね、ティエさんのサポート凄く楽しいよ」
今度は自分が漕ぐと言うティエに千尋は微笑を返し、水とマングローブのコントラストに瞳を細めた。
「しかし、ここまで来ると植物もまるで違うわね」
漕ぎ手を飛鳥に託した華月は瞳を細め、ゆっくり景色を見回す。
野郎ペアを横目にした飛鳥がしみじみ己の幸運を噛み締めた時だった。
「そういや、蒼城、誤解されると拙い相手とかいるんじゃないの」
「って、へ? そんな事くらいで誤解なんてされねーって」
ふと、飛鳥はここまで来て自分ばかり漕いでいたことを思い出す。
「てか、俺ばっか漕いでて流石に疲れたぜ!」
交代を告げる飛鳥に華月は小さく溜息を零し、パドルを強く握る。
数分後、飛鳥を悪夢が襲ったのはまた別の話……♪
虚の手がやや緩やかになり唐突な真顔で空に問い掛ける。
ぼんやり景色を眺めながら空もはしゃぐ仲間を視界に捉えて、思う。
何処でも本当に楽しそうだな、と――。
「見てみろ。シオマネキがいるぞ」
オヒルギの根元へカヌーを寄せた真志は前に座る所在に声を掛ける。
真志が示した方向に所在が目を留めると沢山のシオマネキが動いていて!
「わ、わ、凄い。あそこだけ真っ白で、いっぱい動いてる」
真っ白で片手だけが大きい『ハクセンシオマネキ』の仕草は面白い。
それが一斉に動く姿は実に壮観だ!
「確り楽しめよ?」
慌ててカメラを取り出す所在に合わせて、真志はゆっくりカヌーを動かす。
所在が見たいもの、感じたいものに向かえるように――。
「あそこに、カワセミがいますよ!」
「手伸ばせば、触れる、かなぁ……」
姉とペアを組んで景色を観察していた咲夜も興奮を隠せずにいて。
楽しそうな弟に世寿も嬉しくなり、カワセミに手を伸ばした時だった。
「……はわっ?!」
弾みでカヌーが傾き、世寿の体勢が崩れる!
寸での所で咲夜が引っ張り上げるものの反動で弟が川に落ちてしまった!
「ね、姉さんは無事です……っ?!」
急いで水から顔を出した咲夜にカヌーから伸ばされてきたのは、世寿の手。
咲夜は安堵の笑みを零し、姉の手を優しく取った。
「あれは……アカショウビンですね」
「近付いてみるか?」
ピロロローンと鳴き声がした方へ桜湖が視線を移すと、樹上に赤い鳥が……。
往路のペアを組んだワタルと協力して近くまでカヌーを寄せていく。
貴重な1枚を撮ったと同時に視界が晴れた。
「――海だ」
晴れ渡る空。その下に広がる蒼い海と白い浜……。
色鮮やかな景色が一行の目に眩しく飛び込んで来た!
●川を抜けて大海原へ
「ふふ、いい眺めですね」
一行が波と戯れる中、砂浜へ足を下ろすのは【りんご組】のりんご達。
ペアを組んだ竜胆と余韻に浸っていると、直ぐにスミレと杏子が追い付いてきて。
「あらあら、素敵な海岸線ですわ……♪」
フルートは宿に置いてきたが、これは良いインスピレーション♪
瞳に景色を焼き付けながらスミレがりんごに声を掛けようとした、その時だった。
「にしても……あんこ、よくカヌー漕げ――っ!」
杏子を横目に竜胆がぼやいた瞬間、大量の海水が降ってきて!?
「隙有りー♪」
遊ぶことに妥協は無し!
りんごを中心に水遊びがてらバシャバシャと海水を掛けてくる、杏子。
当然、竜胆とスミレにも浴びせようとする、けれど。
「……テメェ、待て!」
「って、ちょ。タンマー!?」
反撃に転じた竜胆も加わる中、ずぶ濡れになったのは杏子だけでない。
「あらあら、りんごさんも……大丈夫ですか?」
「まったく仕方ないですね」
スミレにタオルで拭いて貰いながら、りんごは苦笑する。
そして、騒々しくじゃれあう2人に柔らかく瞳を細めた。
●亜熱帯の自然に触れて
「あ、今なんかいた! 全力前進で漕ぐよ!!」
「落ちるなよ?」
北海道出身の月子にとって、この季節に亜熱帯の気候だけでも珍しい。
復路のペアを組んだワタルも想い出を瞳に焼き付けようと、2つ返事を返す。
冒険は始まったばかり、楽しい想い出と共に続いていく――。
作者:御剣鋼 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年6月19日
難度:簡単
参加:51人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 11
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