リア・ブラントミュラー(はくいのあくま・d15294)は、こんな噂を耳にした。
『美女の都市伝説が夜な夜な街を彷徨っている』と……。
都市伝説が確認されたのは、都内某所ある繁華街。
ここで都市伝説は逆ナンしているらしく、ホイホイとついていく男達が後を絶たないらしい。
だが、男達の大半はそこで都市伝説の正体を知って驚愕する。
ないはずのものが……ある!
色々とオマケがついていた方がお得感があるように思えるかもしれない。
しかし……、男達の口から洩れるのは、決まってこの言葉。
「何故、ついている」
まるで振り子時計のように揺れるソレは、男性陣なら誰もが見慣れたモノ。
おはようからおやすみまで顔を合わせる存在である。
それこそ、ドン引き。何故、ある。どうしてそこにある、と誰もが疑問を投げかけてしまう。
その中には『まあ、いいか』と気持ちを切り替え、新たなステージに旅立つ猛者もいるが、それは極稀。
だが、都市伝説は無駄に可愛く、男達のハートを鷲掴み!
こうして、両方ないと満足できない男が増えているとか、いないとか。
そのため、このまま放っておけば、繁華街がアブノーマルストリートとして、グローバル展開する事は間違いない。
海外にも日本のHENTAIっぷりを曝す事になってしまう。
そうなる前に都市伝説を倒す事が、今回の目的である。
参加者 | |
---|---|
フェリス・ティンカーベル(万紫千紅・d00189) |
風間・薫(似て非なる愚沌・d01068) |
緋南斗・鈴(普通の女の子・d02645) |
青柳・琉嘉(天信爛漫・d05551) |
八坂・百花(魔砲少女見習い・d05605) |
山岸・山桜桃(ヘマトフィリアの魔女・d06622) |
リア・ブラントミュラー(はくいのあくま・d15294) |
鬼島・鉄兵(桃色ヒヨコ・d17855) |
●男の子、女の子
「えっと、すごく可愛いおかまさん? そういう場合は、こんな可愛い子が女の子のはずがない! ……って言えばいいって、以前教えてもらったんだけど、この場合も当てはめていいのかな?」
フェリス・ティンカーベル(万紫千紅・d00189)は仲間達を連れて、都市伝説が確認された場所に向かっていた。
その時、感じたふとした疑問。
事前に配られたイメージイラストを見る限り、何処からどう見ても女の子にしか見えないのだが、オプション的な追加パーツが存在している事を考えると、そうとも言い切れないのかも知れない。
「要するにさ、女の人みたいに可愛い男、って事だよね? 女の子になりたかったのかなぁ」
険しい表情を浮かべながら、青柳・琉嘉(天信爛漫・d05551)が腕を組む。
元々、性に関しての知識が『胸と男の象徴があるか、ないか』程度なので、よく……分からない。
「はあ……、あたしの知り合いは、ゆりゆり都市伝説を倒しに行くって言うし……何なのかしら。こんな都市伝説ばっかりー!?」
納得のいかない様子で、八坂・百花(魔砲少女見習い・d05605)が愚痴をこぼす。
ここまでアレな都市伝説ばかり相手にしていると、都市伝説の存在自体がアレなように思えてしまう。
だが、そもそも都市伝説は噂から生まれた存在。
故に、荒唐無稽な話であっても、それが噂として面白ければ、都市伝説を生み出してしまうのだから、仕方がないのかも知れない。
「まあ、バベルの鎖があるさかい、変態が海外進出する心配は無いやろうけど……。少なくともうちらの中では伝説として語り継がれるやろな。そうならない様、変態はここで駆除するべし」
自分自身に気合を入れながら、風間・薫(似て非なる愚沌・d01068)が都市伝説を捜して歩く。
しばらくして、都市伝説が見つかった。
多くの男達を従えて……。
真っ白なスカートをヒラヒラさせて、まるで踊っているようだった。
それを見た男達がすっかり都市伝説の虜になっており、全裸担って一緒に踊っていた。
「一体、何をやっているの!」
すぐさま緋南斗・鈴(普通の女の子・d02645)が叱りつけたが、都市伝説はまるで他人事。それがどうして悪いのかさえ、分かっていないようである。
「ゆすらの第六感が告げています。……あれは間違いなく男性ですね。どんなに巧妙に女装しても、ゆすらは騙されませんよっ?」
警戒した様子で後ろに下がり、山岸・山桜桃(ヘマトフィリアの魔女・d06622)がキッパリと言い放つ。
しかし、まわりにいる男達は『こんな可愛い男がいる訳なんてない』と言う者もいれば、『それも個性だ』と言い放つ者、『いや、むしろそれがイイ』と興奮する者までいたが、都市伝説寄りの考えを変えるつもりはないようだ。
「まあ、都市伝説だし、人の噂で変容していくのも判るのだけれど……。どうしてこうなったのやらって感じね……」
色々な意味でアレな気分になり、リア・ブラントミュラー(はくいのあくま・d15294)が頭を抱えた。
都市伝説もそうだが、まわりにいる男達も、男達である。
少なくとも都市伝説と一緒にいる期間が長いほど、何らかの違和感を覚えるはず。
例え、それを上回るほどの可愛らしさを持っていたとしても、都市伝説が男であるとわかった時点で、もう少し違う反応を示さねばならなかったはずだ。
「……って、可愛いなオイ。ホイホイされた哀れなヤロー達に同情するが、実は『ふた何とか』ってやつなんだろ? 都市伝説だし、さっさと退治しちまおう」
仲間達に声を掛けながら、鬼島・鉄兵(桃色ヒヨコ・d17855)がスレイヤーカードを構える。
その途端、まわりにいた男達が、『彼女には指一本触れさせない!』と叫んで都市伝説にしがみついた。
●男達
「何というか、みんな人間を捨てているね。なぜか、全裸の人も混ざっているし……」
男達の駄目っぷりにドン引きしつつ、百花は生暖かい視線を送っていた。
多少なりとも催眠の影響があるかも知れないが、傍から見ていると残念な人達にしか見えない。
「もしかすると、それ以下かも知れませんね。あの表情を見ていると……」
げんなりとした表情を浮かべ、山桜桃が気まずい様子で視線を逸らす。
男達のだらしない表情を見ていると、色々な意味で気持ちが萎えてくる。
しかし、男達の方と言えば、締まりのない表情を浮かべ、都市伝説の足に頬擦りしていた。
「見た目はめちゃめちゃ綺麗なお姉さんなのに……、男の人なんだよね」
未だに信じる事が出来ず、琉嘉が確かめるようにして呟いた。
「うん、そうだよ」
そう言って都市伝説がニコッと笑って、スカートをたくし上げる。
そこにあったのは、禍々しいほど男性的なモノ。
あまりにも規格外なソレは、思わず土下座してしまいそうなほど。
それはまるで小柄で可愛い女の子が、自分の体の倍以上あるハンマーを軽々と振り回すほどのギャップがあった。
「変な物を見せないで欲しいんだよ!」
予想外のモノに驚きつつ、フェリスが激しい怒りをあらわにした。
「えーっ、これがイイっていう人もいるのにー」
だが、都市伝説は不満顔。
何かをぶらぶらさせつつ、文句タラタラである。
「……悪ぃがソコは愛せない」
後頭部を鈍器で殴られたような衝撃を受けつつ、鉄兵が都市伝説(主に下半身)に嫌悪感をあらわにした。
愛すにはスケールがデカ過ぎ……いや、そういう問題ではない。
下半身が悪魔めいているせいか、上半身が天使そのもの。
砂漠に咲いた一輪の花の如く、鉄兵の心を癒してくれた。
ここはむしろ、上半身だけ見ていよう。
そうすれば、愛せる。愛しまくる自身がある!
そんな歪んだ妄想をしてしまうほど、都市伝説は可愛かった。
「……なんだか、すごく帰りたくなってきたわ……」
呆れた様子で頭を抱え、リアが深い溜息をもらす。
都市伝説の催眠効果によって、鉄兵は禁断の領域に片足を突っ込んでおり、今にもダイブしそうな勢いだった。
おそらく、ギリギリのところで理性が働き、踏みとどまっているのだと思うが、今にも壊れそうな吊り橋を渡っているような危うさがある。
だが、このまま放っておけば、間違いなくまわりにいる男達と同じ末路を辿るだろう。
「ねえ、こっちこっちに来て、わたしとあそびましょ」
そんな中、鈴が少し服を脱いで、肩をチラリと見せた。
しかし、男達は都市伝説の虜になっているため、まったく効果なし。
それに気づいた鈴が改心の光を使う。
その途端、男達の表情が一変し、『俺達はなんて事をしていたんだ』てと己の過ちを悔いた。
この様子では、恋人もしくは、それに近い存在がいるのかも知れない。
都市伝説の下半身を見てギョとしつつ、逃げるようにしてどこかに走り去っていった。
「ちょっ、なんでよ。なんでそうなる訳!?」
そのため、都市伝説が納得のいかない様子で、大きく頬を膨らませる。
もしかすると、都市伝説には予想外だったのかも知れない。
催眠が解ける事。そして、鈴達と出会った事が……。
「変態として生きるには少々世知辛い世の中やで? これを機に普通の生き方をしたら、どうなんや」
そこで薫が諭すように呟いた。
「嫌よっ! 何でいまさら! あたしに死ねっていうの!」
それは確かに、都市伝説にとっては死亡宣告と同じであった。
今の自分を捨てる事は、自らの存在を否定する事に他ならない。
それ故に、都市伝説は戦う事を選んだ。
例え、自分に勝ち目がない戦いだと分かっていても……。
●都市伝説
「ようやく男の娘対決が出来そうね! 可愛いは正義!!」
そう言って鈴が都市伝説めがけてジャッジメントレイを放つ。
その途端、都市伝説が『ひーん』と叫んで踵を返す。
どうやら、先程の覚悟は紙っぺらのように薄く、鈴の攻撃はそれを吹き飛ばすのに十分なほどの破壊力があったようである。
「こら、待ちなさい!」
すぐさまリアが後を追うが、都市伝説の逃げ足は速く、近くにいた百花に『何でもしてあげるから助けて!』と叫び、サッと背後ら身を隠した。
「アブノーマルなのはノーサンキュー! あたしは茉莉一筋だしっ……!」
だが、百花は都市伝説を拒絶するようにして、ソーサルガーダーを使う。
それが原因で都市伝説は涙目になり、手当たり次第にポカポカアタックを仕掛けていった。
「ひぃ、こっちに来ないでください」
思わず後ろに下がりながら、山桜桃が自分でも驚くほどの悲鳴を上げる。
男の娘であっても、怖いものは怖い。
今にも泣き叫びたい気持ちになりつつ、都市伝説から必要以上に離れていく。
それでも、都市伝説は感情のぶつけところを探して、ポカポカアタックを繰り出した。
「何だその駄々っ子パンチ。か、可愛い。上目遣いとか。マジ可愛い。ヤ、ヤベェ……! 一瞬いいんじゃね、とか思ったオレ、キモイ。
普段よりも深めに皺を眉間に寄せ、鉄兵がひどく困った様子で頭を抱える。
……駄目だ、理性が吹っ飛ぶ。
いっそ、もいでしまえば、幸せになれるかも知れない。
いや、きちんと説得すれば、下半身から忌々しいモノを取り除く決心をしてくれるはず。
そうだ。それ、名案!
……と思ったのと同時に、色々な意味で死にたくなった。
「何だかよく分からないけど、鉄兵さんが大変な事になっているし! ひょっとして、これも都市伝説の力!?」
目に見えない力を感じつつ、フェリスがそれを振り払うようにして、都市伝説にレーヴァティンを多叩き込む。
その一撃を食らった都市伝説が完全に戦意を喪失させ、『もう、やだ。帰る!』と叫んで逃げ出した。
「可愛い子に目が行かない男なんておらへん! でも、同じもんついてる奴は死んでも嫌やと言わせてもらうで! それに、お前はもう死んでいる……なんてな」
都市伝説の行く手を阻み、薫が閃光百裂拳を叩き込む。
次の瞬間、都市伝説の体が宙を舞い、断末魔を上げて弾け飛んだ。
「これで平和になったのかな? うーん、よく分からないけど、世の中知らない事がいっぱいだー」
そう言って琉嘉が次々と浮かんだ疑問に、頭を抱えるのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
|
種類:
公開:2013年6月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 7
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|