修学旅行~西表島 de ジャングル・クルーズ!

    作者:猫乃ヤシキ

     時は6月、武蔵坂学園。
     今月行われる一大イベントに向けて、灼滅者たちは浮き足立っている。
     そのイベントとは……そう、待ちに待った修学旅行。 
     もちろん修学旅行だから、全ての生徒が行けるわけではない。
     選ばれし学年、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達のための行事なのである!

     今年の日程は、6月18日から6月21日までの4日間。
     発表された行き先は、南国のリゾート地・沖縄。
     沖縄グルメに舌鼓を打ったり、観光スポットを堪能したり、マリンスポーツや離島めぐりを楽しんだり。
     是非とも全力で楽しんで、最高の思い出を作ってきてほしい。
     
     はてさて、そんな夢いっぱい・希望いっぱいの沖縄修学旅行に向けて。
    「3日目の自由行動では、西表島に行くこともできるらしいよ」
     配られた修学旅行のしおりに目を落としながら、西表島についてニコニコと語らっているのは、相楽・藍之介(高校生神薙使い・dn0004)である。
    「西表島と言ったらさ、やっぱりマングローブの森は外さずにチェックしておきたいところだよねえ」
     ……説明しよう!
     マングローブとは。
     ご存知の方もいるだろうが、実は1つの樹木の種類ではない。亜熱帯の河口付近に自生する森林植物の総称だったりするのである。
     すなわちマングローブの森とは、緑と水に抱かれた広大な大自然そのもの、なのである。
     ここではまるで、巨大な森が丸ごと水没してしまった中を進むかのような、不思議で幻想的な光景を味わえる。
     ちなみに、藍之介いわく。
    「西表島では優雅に遊覧船に揺られながら、このマングローブのジャングルを堪能することができるんだよ」
     とのことである。
     さらにさらに。
     開放感たっぷりの遊覧船で川をさかのぼった先に待ち受けるのは。
     亜熱帯の西表島ならではの、広大なジャングル探検である!
    「ジャングルでは、日本一大きな先島蘇芳木(サキシマスオウノキ)が間近に見られるかもしれないんだってさ。ワクワクするよねえ」
     サキシマなんちゃらとはこれまた耳慣れない名の樹木だ。
     知名度で言えば屋久杉あたりには遠く及ばないものの、這いつくばる板のような奇妙な根っこが特徴的なヤツである。
     コレ、どなた様も一度はテレビや写真で見たことがあるに違いない。
     このサキシマスオウノキ、なんと西表島にあるものは樹齢約400年にもなるらしい。かなり立派なモンなので、一見の価値があると言えよう。
    「他にも、ジャングルには手のひらくらいの大きさもあるシジミだとか、アカショウビンだとか、サガリバナだとか……ここでしか見られない生き物にも、たくさん出会えると思うよ」
     始終ニコニコしっぱなしの藍之介が、意を決したようにぱたりとしおりを閉じる。
    「うん、決めた。3日目の自由行動、やっぱり僕は西表島に行くことにするよ。良かったら君も僕と一緒に、亜熱帯のジャングル・クルーズを楽しまないかい?」
     ワクワクドキドキがめいっぱい詰まった4日間の修学旅行。
     思いっきり楽しく過ごして、是非とも最高の思い出を作って来て欲しい。


    ■リプレイ

    ●ゆらりゆられて、遊覧船。

     遊覧船はゆったりと進んでゆく。
     マングローブの森の中では、時間も空気も驚くほど緩やかだ。

    「あれ、球根みてーだな!」
     ケイジが身を乗り出して、マングローブの森や動物たちに感嘆の声を上げる。
     烏(ビハインド)が楽しそうに羽ばたいているのを見て、ニカッと白い歯を見せる。
    (「一度でいい、一目でもいい。写真が撮れればなおいい」)
     一方、船上の一角で地図を入念にチェックしている唯水流。
     イリオモテヤマネコの目撃例を書き込んだお手製マップだ。
    (「……抱き締められればもっといい」)

    「マングローブの林かぁ。ん、結構涼しい?」
    「水上の風がとっても気持ち良いですね~♪」
     のんびりと川面を眺めているのは、【星空芸能館】の智恵理とえりな。
    「あの木はイタジイ、あれはハコガメです」
     隣では紗里亜がにわかガイドを務めている。
     紗里亜の解説に拍手を送るえりな。2人の様子を智恵理がスマホでパシャリ。
     花梨菜は、青と緑の雄大な眺めをキラキラした瞳で見つめて……、
     不意にファルケを振り返って、思わず顔を引きつらせた。
    「飛行機も酷かったが、これはそれ以上……」
     遊覧船の揺れに完敗、顔面蒼白のファルケ。
    「遠くの景色を見れば少しは落ち着くか……」
     よたよたしながら、マングローブの林を遠い目で見つめている。

    「カメラの準備はOKですかね?」
     高級デジカメでパシャパシャやっているのは【喫茶「sole」】の優衣。
     大自然の景色や船内はもちろん、同行の葉月の姿もしっかり収める。
    「さぁさぁ、撮りまくりですよ!」

    ●ジャングル上陸大作戦!

     遊覧船は速度を落とし、桟橋の前で停止した。
     ここからは、広大なジャングル探検だ。

    「皆、船酔い大丈夫か?」
     【イトマカルタ】のメンバーに声をかける玲。
    「宵は大丈夫だけど……」
     振り返ると、アルバートがしっかりと船酔いしていた。
    「……ビハインドも、船酔いする」
     感心したようにポソリとつぶやくサズヤ。
    「ヤマネコどこかなー」
    「ジャングルって凄いな。迷子危険。お、アレ?」
    「二人とも色々見つけるから、すごい……」
     サズヤがふと座り込み、足元を指差す。
    「……貝」
     それは超・巨大な貝殻。ってゆーかシジミ。
    「何だこれ、ホントにシジミなのか」
    「……お腹すいた」
     ぐう。
     宵の腹が鳴る。
    「お土産、皆に何か美味しいもの買ってこう! し、シジミでもいいと思うよ。うん」
    「……帰ったらクラブの皆に、土産話。シジミの味噌汁」
    「って、土産話、味噌汁かい!」

     ジャングル探検のロマンについてエアンが熱く語る。
     うんうんとうなずきながら隣で百花が聞いている。
    「変な虫とか、居ませんように……」
    (「ももの側にいるけど、怖がらせそうだし。黙っておこう」)
    「あっ、えあんさん、ケサランパサランがいる!」
    「え? ああ、サガリバナ?」
    「あれってお花なの?」
    「森の中には精霊が宿ると言うし。不思議なものが居てもおかしくないかもね」

    「サガリバナかわいい♪ ふわふわしてる!」
     藍之介と並んでジャングルを散策しつつ。
     潤子は珍しい生き物を前にはしゃいでいる。
    「あの赤い鳥がアカショウビンかな!」
    「本当だ。まさか出会えるなんて、ラッキーだね」
     藍之介も嬉しそうに、ニコニコと笑顔を返す。

     手に手にバナナを掲げているのは【Chaser】の面々。
     先頭を切って歩き出す戒。
    「勇介、健、千尋、奏恵、行くぜ~!」
    「おー!」
    「奏恵さん、ペース大丈夫?」
     千尋は奏恵を気にしつつ。
     編み物の柄になりそうな植物や生き物を、カメラで激写。
    「うわぁこの花の色いい♪」
    「灰月兄ちゃんには、丁度この時期に咲くサガリバナが似合いそうだな?」
     健が、見つけた巨大シジミをつかみあげて。
    「天雲兄ちゃんもビッグな男になりたいよな?」
    「ああ、俺はビッグな男になって、皆を守れるようになりたい」
    「わわっ、何これっ!? わっ、すげーっ!」
     その横で、珍しい動植物に反応しまくる勇介。
    「大きなヤシガニだな。これ旨いんだって」
    「へぇ、これ食えるんだ……」
     歩き辛そうにしている奏恵に、戒が笑って手を差し出す。
    「こう言う時はお嬢さん手をどうぞ、って言うんだっけか?」
    「戒くん先輩王子様みたい! ありがとー」
     奏恵が顔を赤らめながら、その手を取った。

    「ジャングルなのじゃ、危険が危ないのじゃ!」
     【ちょーほー部】のシルビア団長はサファリルックで息巻いていた。
    「迷子になったら死ぬしかないぞ? ゆえに手をつないで欲しいな?」
    「シルビアさん、足元気をつけてくださいね」
     強気なのか弱気なのかわからないが。
     とかくテンション高めのシルビアに、そっと手を差し出す一二三。
    「えっと、みなさん……待って、ください」
     他のメンバーからは若干遅れ気味に、息切れしながらついて行くアイスバーン。
     景色や動物を見る余裕はなく、歩くのに必死。
    「アイスバーンさん、何を持ってきたんですか?」
    「もちろん、砂糖です……」
    (「何故!?」)
    「これがジャングルか。なかなか圧倒されるな」
     一方、クールな感じを(今のところ)保っている弐。
     マングローブ林を分け入って奥へと進むと、蛙が潰れる様な音がする。
    「ふぐっ!」
    「……何が棲んでいるのだろうか?」
     弐が振り向いた先にいるのは、何故か顔面からコケているリャーナ。
    「……大丈夫?」
     ペアになって手をつないでいた薫が、不安げにのぞきこむ。
     そのかたわらで、しっぺ(霊犬)は薫たちを先導するように先へ走ったり、戻ってきたり。
    「も、森の中を歩くのはお手の物なのですよ!」
     起き上がって胸を張るリャーナの元へ、バビュンと飛んでくる謎の果実。
     もちろん、手をつなぐ薫も巻き添えを喰らうわけで。
    「でも、こういうのも悪くないね、しっぺ」
     逃げまどいながら、薫がクスリと笑う。

    「ジャングル探検なんて生まれて初めてだから、わくわくするなあ」
    「いやはや、凄いものですねぇ……」
     しげしげとジャングルを見渡す【西久保高2-9】の達人と流希。
    「しかし、忘れてはいけませんねぇ……。この自然が破壊されようとしているのですからねぇ……。いつまでも残したいものですよ。ええ……」
    「せっかくだし、みんなで写真撮ろうよ!」
     達人がクラスメイトを集めて、記念にパチリ。
    「イリオモテヤマネコいるかな~?」
     キョロキョロとイリオモテヤマネコを探す冴と一緒になって、周囲を見渡す奏。
    「目指せ! 動物好きのクラスメイトの為に珍しい動物の写真激写! っす!」
     などと言いつつ。
     その実、恋人のレインさんに会えないかとこっそり期待していたりもする。
    「できれば、イリオモテヤマネコのシャッターチャンスは逃したくないですね」
     参加できなかった学園の友人や家族へのお土産に、敦真も珍しい動植物を次々に写真に収めていく。
     転んだり、服などを木に引っ掛ける人が出ないように注意している。
     一応周りにも気を配るジェントルメンである。
    (「くっくっく……普段学校では見せない姿の写真……売れそうだな」)
     そして。
     さっきからこそこそと、級友の写真を影から撮っている変た……もとい少年。
     その正体は芥である。
    「シジミでかっ! 味はちゃんとシジミなのだろうか?」
     なお、景色や生き物なんかもばっちり撮影しているので、普通に楽しんでおるもよう。

    ●大捜索、イリオモテヤマネコ!

     地図と水、さらには鰹節まで携帯して進む唯水流は、気合十分である。
    (「この機会、逃すわけにはいかない」)
     目的はただひとつ!
    「ヤーマーネーコー!」
    「やっぱり西表島にきたなら、イリオモテヤマネコと会いたいよな」
     自然や動物と戯れつつ、紗矢もうんうんとうなずく。
    「どこにいんのかな? ……ん? イリオモテヤマネコ? イリヤマテオモネコ? どっちだったっけか?」

     一方、その頃。
     ケイジは野太い声を精一杯可愛らしくして、伝説のヤマピカリャーを探していた。
    「藍之介も一緒に探そうぜ!」
    「そうだね、本当に出てきたら面白いしねぇ」
    「せーのっ」
    「「やまぴかりゃーー! どこだー?」」
     ジャングルの中に、男たちの野太い声がこだまする。

    「道なき道を進む【喫茶「sole」】探険隊!」
     ハイテンションなナレーションをつけて進むのは、葉月と優衣。
    「果たしてヤマネコは見つかるのか。そして無事生還できるのか!?」
    「ヤママヤーはどこでしょうね~?」
    「あっ、大蛇が、大蛇が出現! こっちにはカニだ、巨大ガニがいた!」
     ……たとえ相手が普通サイズであろうとも、大袈裟なリアクションはお約束。
     
    「銀さん、猫さん見つけてもスレカに入れて持って帰っちゃダメですよ」
     修学旅行用に買ったブッシュナイフ。
     真新しい刃先を自慢げに舐めているのは、【猟奇倶楽部】のえるむである。
    「そのナイフ、本来の用途では使わないのか?」
     ついついツッコミを入れてしまう和麻。
    「だってツタとか切ったら、汚れて舐めれませんしー? ていうかさっきから何ですか、そのフツ猫の大群は?」
    「……どうしていつも猫に群がられるんだ」
     群がってくる普通の猫たちを、苛立ちつつぶんぶんと振り落とす和麻。
    「俺はイリオモテヤマネコを見に来たんだ! 普通の猫には用はないっ!」
    「ヤマネコはどこにいるんですかね?」
     和麻に群がる猫を、矧がマイねこじゃらしで釣り上げている。
    「イリオモテヤマネコは夜行性だし、6月は出産期みたいですし。難しいでしょうか…?」
     紫桜里がうーんと首をかしげつつ。
    「でも、ここには見たこと無い生き物がたくさんですね」
    「いろんな動物がいますね。東洋のガラパラゴスと呼ばれるのも頷けます」
    (「なかなかに面白いメンツだよなあ…」)
     仲間の掛け合いにレインがクスリと笑う。
     途中で恋人の奏を見掛けて、にっこりと微笑みかける。
     ふと。
     一匹の大きな猫が……彼らの目の前を通り過ぎた。
     彼らを歓迎するように姿を現したイリオモテヤマネコが、ぱたぱたと尻尾を振っている。
     レインが驚いて手を差し伸べながら、その毛並みを撫でた。
    「逃げない、のか? ふふ……柔らかくて、気持ち良いな」

    「……あっ、イリオモテヤマネコだ!」
    「え、本当に?」
     運良くその場に遭遇できた生徒たちは、写真を撮ったりその姿をじっくりと観察したり。
     しばし、イリオモテヤマネコを堪能したのだった。

    ●巨大な天然記念物・サキシマスオウノキとの邂逅!

     さらにジャングルを奥へ奥へと進むと……
     その先にあるのは神秘の大樹・サキシマスオウノキ。
     誰もが息を呑む、雄大な自然美がそこにある。

    「なんだコレ、荘厳過ぎだろ…」
     錠は見たこともない、流線形のフォルムに目を奪われていた。
     傍らにたたずむ葉が頭上を見上げれば、老木から射し込む木漏れ日。
     歪な形に幹をうねらせ、天に伸ばした枝葉で夏の陽射しを受け止めている。
    (「隣の連れとこうして樹を見上げるのも、これで二度目だ」)
    「なァ、この次も……あるよな?」
     震える錠の声に、葉がただひとこと、ぽつりと返す。
    「……好きにしろ」
    「うぜぇって笑ってくれよ、葉」
    「……でもまあ、見に来て良かったな」

    「ホントにスゲェ不思議な根っこしてんだな! かくれんぼにぴったりなんじゃねーか?」
     巨大な板根を前にはしゃぐ竜弥。
     しばし考えた後、傍らの藍之介をちょんとつつく。
    「大丈夫、やらねーよ? なっ、藍之介!」
    「うん? 楽しそうだよねえ。あ、いや、もちろん、やらないけど」
     絶対やらないと主張していた割に。
     なぜか後で2人まとめて引率の先生に怒られたとか、なんとか。

     見事な板根を見上げて紗里亜が息を呑む。
    「…すごい、ですね」
    「どうしたらこんな根っこになるんでしょうか…」
     花梨菜も、その不思議な形に驚いている。
    「ヤママヤーおらんの?」
     辺りをキョロキョロする智恵理に、愛用のギターを取り出すファルケ。
    「さて、踊る山猫は来るかどーか?」
    「ねえねえ、せっかくですから。皆で記念撮影しましょv」
     えりながカメラを取り出して。
     【星空芸能館】のみんなで一緒に、サキシマスオウノキの前でパチリ。

    「朔隊長、上陸作戦じゃの!」
     嬉しそうに鼻をぴすぴすさせる【宵空】のピップー。
     隊長の朔之助も辺りを興味津々で観察している。
    「自然ってすげぇな」
    「うん、見ていて楽しい。ここはやはり植物も空気も亜熱帯なんだなって感じで」
    「そうそう! あたし北国出身だから、全部真新しく見えちゃう! 面白いものねー」
     葵も七も、意気揚々としてうんうんとうなずいている。。
    「って、おぉ! これがサキシマスオウノキか! 半端ねぇ大きさ!」
     遭遇した巨木に感動し、周囲をぐるぐるする朔之助たち。
    「3人で手を繋いでも回りきらないな…」
    「ねえねえ、皆で写真撮ろうっ!」
    「写真を撮るなら、我が皆を写そうかの?」
    「皆で手広げて撮るの! 大きい木で一回やってみたかったのよ」
    「手、広げて取んの? そんじゃ皆で、手繋がないか?」
    「ふっふ、繋いじゃおうか!」
     皆で手を繋いで大きく広げて、パシャリ。大事な旅の思い出の1ページ。

    「うーん、まさにプリミティブっ」
     楽しそうにジャングルを散策している杏子。
     今日は【天文台2-2】の仲間が一緒だ。
    「うお、シジミ……マジでデケェスわ!」
     亮平は相変わらずダウナー系だが、今日は割とウキウキしている。
    「東堂はちゃんと土産になりそうなモン採取せーよ! 命が危険よ!」
     渇を入れる鈴に、困惑の表情を見せる昂修。
    「野生動物を狩……っちゃいけないんだよな、たぶん」
    (「腹が減っても自重しておこう」)
    「ちっちゃいカニが集団でゾロゾロ前に動いてる~。すごい、なんかすごい!」
     目をキラキラさせてはしゃぐ樹咲楽に、葵も満面の笑顔だ。
    「あのシジミとかカニとか美味しそうだね! 東堂クン、白星ちゃん!」
    「そのへんの生き物はとっちゃアカンよ!? 特に東堂ちゃん葵ちゃんハラペコ二人組ッ!」
     どいつもこいつも、ツッコミどころ満載。
     ツッコミにまわる三珠はなかなか大変そうである。
    「サキシマスオウノキ、で、でか…」
     麦わら帽子を持ち上げて、マキナが巨木を見あげる。同意する鈴。
    「木の根っこという概念をぶち壊してるね……」
    「このド迫力だよ…絶対、中に妖精さん住んでる」
    「晩婚晩婚て世知辛いなと思ったら板根でした」
    「鈴、それはバンコン違いだ」
    「……そんな目で見ないでお願い」
     一同が大樹の神秘に感動しているところで。
    「ねえねえ、これ背景にしてみんなで写真とらない?」
    「皆とこの木、全部入りきるかな?」
    「三脚無いから寄って寄って!」
    「よっしゃ!せーの」
     合言葉は、みんなで声を合わせて。
    「天文台、2の2ーっ!」
     たくさんのまぶしい笑顔が、青空の下で元気よく弾けてゆく。


     まだまだたくさんの楽しい出来事と一緒に……
     修学旅行の日々はキラキラと輝いて、きっと忘れられない思い出になるだろう。

    作者:猫乃ヤシキ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年6月20日
    難度:簡単
    参加:54人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 12
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