血塗の鉈

    作者:

    ●理不尽な罰
    「ひぃ……っ」
     女が恐怖にがくがくと震える中、熱い熱い岩肌の湯船が、どろりと赤く染まっていく。
     何故こんなことに。老舗の温泉宿で、先日遂に定年を迎えた両親を労いたかっただけだった。
     大浴場から繋がる、評判の露天へ来てみれば―――尋常でない湯気の中、湯船の中央に頭骸を滅多打ちにされた母の姿が在った。
     傍らに立つ男が、ゆっくりと此方を振り返る。足元のぬるりとした感触に視線を落とせば、赤一面の床の上に、白く固くなった女の手が浮かんだ。
    「……っひ、いや………!」
     此処は危険と、逃げようとして倒れこむ。火照っていた筈の体は、凍りついた様に動かない。
     腰を抜かし最早自力で逃げることもかなわない女へと、ざぶり、緑肌の男は湯を掻き分け迫り来る。
     湯気の中にぎらりと光ったそれが鉈だと気付いたのは、女の脳天へと強い衝撃が落ちた後のことだった。

    ●鬼
    「力を貸して、鬼が出たわ」
     教室に現れた唯月・姫凜(中学生エクスブレイン・dn0070)の言葉に、灼滅者達は首を傾げた。
     ――鬼、とは?
    「正しくは鬼の様な姿の眷族、かしらね。福島の山奥に在る老舗温泉宿の露天で凶行に及ぶわ。直ぐ向かって欲しいの」
     その鬼は、緑色の肌だという。
     屈強な体、手には鉈を持ち、来るものの命を狩っていく。
     惨劇の舞台となるのは、女露天だ。
    「女湯だからって男の子が入れない心配は無いわ。男露天に通じる扉の鍵が、開いているのよ」
     男露天と女露天を隔てる竹の仕切り板には扉が付いているが、この日、何故かその鍵は開いているという。
     女性にすれば恐ろしいことだが、灼滅者達には幸運と言えるだろう。
    「あなた達の露天到着と鬼が露天に現れるのが、ほぼ同時くらいね。夕食時でその時点では誰も露天に居ないから、客足を止める何らかの措置を講じれば被害者は出ない筈よ」
     露天へと繋がる入口付近には、『清掃中』の看板が備え付けられている。
     看板さえ立ててしまえばある程度の抑止効果は期待できるが、加えて灼滅者独自の工夫があれば、一般人が近付くことはまず無い筈だ。
    「鬼は眷族とは言ったけど、能力はダークネスに引けを取らないから絶対に油断しないで。特に鉈の攻撃は甘く見れない」
     鬼は1体。然し強敵であることを、姫凜は強調し語った。概要書き終えた姫凜の手が震えていることに気付いて、大丈夫かと灼滅者の1人は問う。
    「大丈夫。ただ……予測された未来では、源泉掛け流しで高音の露天湯が、真っ赤に染まってた。赤い湯船の中央に鬼が居て、沢山の裸の遺体が浮いていて……まるで地獄を見ているみたいだった……」
     余程恐ろしかったのか、姫凜の赤い瞳がぎゅっと閉じられた。『地獄みたい』その言葉が、灼滅者達の胸をざわりと揺らす。
    「大丈夫って信じてる。……気をつけてね」
     再び開かれた瞳は、心配そうに揺れていた。


    参加者
    羽坂・智恵美(古本屋でいつも見かけるあの子・d00097)
    アリス・バークリー(ホワイトウィッシュ・d00814)
    坂守・珠緒(紅燐の桜守・d01979)
    彩瑠・さくらえ(宵闇桜・d02131)
    嶌森・イコ(セイリオスの眸・d05432)
    経津主・屍姫(無常ノ刹鬼・d10025)
    如月・花鶏(フラッパー・d13611)
    観屋・晴臣(守る為の牙・d14716)

    ■リプレイ

    ●白き世界
     外と思えぬ熱気が、嶌森・イコ(セイリオスの眸・d05432)の新緑の髪を濡らす。
     本来肌を潤す筈の天然の蒸気は今、肌焼く程の熱を宿している。男女それぞれの大浴場から露天へと向かった8人の灼滅者達は、視界奪うこの湯気がただの蒸気で無いことを知っていた。
     通過してきた男露天とは違う異様な気配に、彩瑠・さくらえ(宵闇桜・d02131)は即時緋の華咲くガンナイフをその手に構えた。
     色白の手に映える漆黒の銃身は、いつになくじっとりと濡れている。後ろ手で男湯へ至る扉の鍵を閉じれば、かちゃりという音と共に前方からもざぶり……と波を掻き分ける音が聞こえてきた。
     ――鬼。この白き世界の中に潜む音の主こそが今日の標的だ。
    「誰もが知る存在ながら、まさか実際に姿を見る日が来るとは夢にも思いませんでした」
     薄れ行く湯気の中、羽坂・智恵美(古本屋でいつも見かけるあの子・d00097)は未だ見えぬ水音の主を考察する。その智恵美の心を慮ってか、隣で坂守・珠緒(紅燐の桜守・d01979)が応える様に声を上げた。
    「咎人でもない一般の人たちの血で地獄の釜ってわけにはいかないね」
     心身を癒す筈の出で湯は、このまま放置すれば血の池へと変わるという。
     珠緒の言葉に頷いたのは智恵美だけでは無い。
     惨劇を阻止すべく、アリス・バークリー(ホワイトウィッシュ・d00814)が放ったのは人遠ざける殺意の幕。
     露天の入口に立ててきた『清掃中』の看板も併せ、これで一般人が戦いの最中に此処へ至ることは無いだろう。念には念をと観屋・晴臣(守る為の牙・d14716)が展開した音を遮断する幕もまた、外界と戦場の関わりを遠くする。
    「『淨め祓ひの神業を以って成し給へと恐み畏みも白す』」
     平時明朗な如月・花鶏(フラッパー・d13611)の声が、今は厳かに響いた。解錠の魔言葉が、スレイヤーカードの封を切る。
    「『暁に熾きろ』」
    「『Slayer Card,Awaken!』」
     珠緒が、アリスが。次々と灼滅者達が戦意の証を手にする中、経津主・屍姫(無常ノ刹鬼・d10025)は、豊かな藍の髪をばさりと後ろへ払った。
    「いきなりこんなに強い眷属が出てくるなんて、これも何かの予兆なのかな?」
     湯船での機動性を重視し、ミニスカートで参戦した彼の所作は女性と見紛う愛らしさ。
     しかし、封印解き手にした解体ナイフを握るその力は屈強なる男のものだ。
    「何にせよ、みんなの憩いの場を汚させはしないよっ!」
     やがて、白い湯気の中から絵巻からそのまま抜け出た様な緑肌の鬼がぬらり、と姿を現した瞬間。
    「血の池地獄に鬼は付き物だけれど、温泉には似つかわしくないよねっ! 八百万の神様に代わってお仕置きだよーっ!」
     一際明るい花鶏の声と同時、灼滅者達は一斉に駆け出した。

    ●脅威
    「……鬼が相手ですし、俺たちはさながら桃太郎ってとこですかね」
     俺なんて日本刀を持ってきますし、と。構えの姿勢で呟く晴臣の直ぐ脇を、花鶏が超速で駆け抜ける。
    「鬼の腕なら私にもあるよ!」
     軽やかに地を蹴り飛んだ花鶏の腕は、大きく異形化し真上から鬼へと迫る。
     それを飛び退りかわした鬼の身のこなしは、巨躯に対して思いがけず俊敏だ。花鶏の全力の一撃に湯は左右に大きく波打った。
     そこへ飛沫を割って黒い弾丸が飛び込み、鬼の肩を穿つ。
     イコのデッドブラスター。
    「同じ翠を纏い血を纏い熱を纏うのね。……けれどとても相容れられそうにないの」
     貫く傷に鬼の肩から流れる色は、肌と違わぬ緑色だ。アリスはそれを冷静なる紫の瞳で見つめる。
    「あなたの血潮でその肌染め変えてあげようと思っていたけれど……血潮色が肌に出ているということ? ならばその血全て抜いたら、少しは温泉に似合いの色になるかしら?」
     アリスの癒し高める白光が、発する言葉に反して優しく、その身を包み込んだ。
    「たまさんとご一緒出来て嬉しいです、頼りにしています」
     ふわりと、飛び上がった中空で智恵美と珠緒が交わす笑み。心知れる人の伴う力強さが、互いを高め鬼へと振るわれる。
    「せっかくの温泉に血の池地獄なんて似合わないし。智恵ちゃん、確実に止めよっ」
     珠緒の言葉の端、智恵美の強大なる膂力と珠緒の叩き潰すに近い巨刀の一撃が、左右両側から鬼の逃げ場を許さぬ様に放たれた。
    (「――何ていうか、ホント趣味の悪い」)
     一方、さくらえの動きは緩慢にして無駄も隙も無い。どこか品のある女性然とした佇まいで、ゆっくりと黒鉄の銃口を異形へと傾け、瞳を薄く細める。
     口元が、緩く笑んだ。
    「残念だけど、ここはキミが出てくる場所じゃないよ」
     放つ銃弾の衝撃にも身動き1つ無く。獲物を追走する魔力の弾丸が放たれるや、鬼が不可思議な叫声を上げた。
     言葉を成していないその叫び――人型では在っても、言葉は発せないということか。
    「ベレト!」
     晴臣が呼ぶが早いか、ライドキャリバーのベレトが鬼の進路を塞ぐ様に突撃する。しかし交わしてそのまま湯船から陸へと上がった鬼の鋭い瞳が、何処か攻撃的な色を浮かべた。
    「――来るよっ!」
     通りの悪い視界の中、後方から戦場を見渡す屍姫が警戒の声を上げる。しかし直後花鶏へと瞬時に距離詰めた鬼は、先の花鶏へお返しとばかりに凄まじい右拳を横腹へと撃ち入れた。
    「……っ」
    「如月さん!」
     その一撃の鋭さに声が詰まり、花鶏は腹部を抱えて膝をつく。
     8対1。数だけを見れば圧倒的と思える戦いは始まったばかり。ただの一撃で膝付く敵の攻撃の重さに、終焉は遠く思えた。
     しかし、改めて縛霊手を握り締め、花鶏は仲間へと笑んでみせる。
    「何とかなるよっ! 誰かを傷付ける前にその鉈、へし折らなきゃ!」
     指差す鬼の左手には、未だ振るわれぬ殺戮の鉈が、血を纏う時を待ち鈍く光っていた。

    ●赤き血
    「……見れば見るほど地獄絵図の鬼そのまんまなんだね」
     具に敵を観察しながら走るさくらえは、そう呟いて再び愛銃『紅蓮』を握り直した。
     噴き出した湯気にじりじりと焼ける肌は不快な痛みを齎し、さくらえの表情を曇らせる。多用される灼熱の湯気は、威力こそ地味だが生じる炎によって確実に灼滅者達を蝕んでいた。
     警戒されていた鉈の攻撃は未だ見られない。それは幸運なことであったが――布陣上人数の偏った前列一帯に湯気の攻撃を受ければ、範囲癒す手段を持たない灼滅者達の回復が追いつかなくなることは直ぐに知れた。
    「埒があかないわね……」
     呟いたアリスは既に箒を降りている。機動力にと用意した空飛ぶ箒は、乗り降りにも時間を要し配置上有益な効果も持たない。
     同じ後衛ならばメディックの方が役を担える。回復手として果たすべき役目の大きさを早期に判断できたのは幸いだった。
     いや、早期に明確な判断ができるほど鬼が強かったと言うべきか――いずれにせよ、この戦線は長引くほどに不利と思われた。
    「考えても仕方無いよ! ――福は内っ、てね!」
     智恵美が杖に渾身の魔力を込め鬼を打つ間に、終始癒しに徹する形となっている屍姫が、声と共に何度目かの祭霊光をイコへと撃ち出した。
     最後方から仲間を援ける彼とアリスの存在が、この戦局を支えていた。屍姫の哨戒の声も激励も、その全てが勝利を目指し攻めているが――その癒しの光はどこまでも優しく仲間を包み込む。
     瞳を閉じその温もりで全身を満たしたイコは、揺ぎ無い銀の瞳を見開くと、その身に炎を纏った。
    「――それ程に血をご所望なら」
     まるで、鬼さんこちらと誘うかの様に。優しく包むかの如く広がったイコの焔の穂先が、鬼への着弾の瞬間に白銀の鋭さを纏った。
     レーヴァテイン。まるでイコの心を表すかの様に雄大で穏やかな炎が、しかし苛烈な熱さを秘め高く舞い上がる。たまらず鬼が体を捩り抜け出そうとするのを晴臣は見逃さなかった。
    「熱いですか? ……灼熱の中にいるなら、その熱ごと凍らしてあげますよ」
     身を焼く熱さから一転、晴臣が齎すのは凍て付く様な冷気の業、フリージングデス。
     突如身を包んだ寒さに、体をかき抱く様に小さくなった鬼。痛みへの反応が激しくなってきているのは消耗の証か――横からベレトの突撃によって吹き飛んだ鬼に晴臣が手応えを感じたその時。
     不意に真横から、ひゅっと何かが空を切る音が聞こえた。
    「観屋先輩っ……!」
     振り向いた晴臣の目の前で、血飛沫が上がる。
     赤いそれは鬼のものでは無く――護るべく飛び出した、イコの――。
    「嶌森さんっ!」
    「嶌森さんから、離れろっ!」
     花鶏が真横からのご当地キックを鬼へと見舞えば、再び鬼は湯船の中へと吹き飛ぶ。駆け寄った晴臣とさくらえへ大丈夫、と苦しげに応えて、イコは受けた鉈の傷を塞ぐべく斧に宿る龍の因子を解き放った。
     よくもとばかりに智恵美の暖かな若葉色の瞳がキッと鋭く鬼を見据える。と、智恵美は変化に気付いた。
     湯船に落ちた鬼の様子――呼吸は荒く、短い鉈を支えにしてまで立ち上がるその動きは、明らかに消耗した時のそれだ。
     消耗は、決してこちらだけの話では無い――この戦いにおいて、前衛への配置が多い、いわゆる前のめりの布陣は、最短で戦いを終えようとするならば理に適っている。
     つまり、時間と共に蓄積していくダメージにこちらが倒れる前に攻め倒せば良いだけだ。
    「ここはキミの居場所じゃないからね」
     状況を理解して、珠緒はひゅん! と手に持つ巨刀の切っ先を鬼へと向けた。
     愛刀『ロンノカムイ』をぴたりと止めたその刹那に、前へと駆け出す。重さをものともせず巨大な愛刀を振り、掴み取るは今日の勝利。
    「速攻で仕留めていこっかねっ! 鬼は地獄に帰ってもらうよ」
     戦いの終わりは、確実に近付いていた。

    ●厳罰
     長引かせるのは得策では無い――判断できれば、灼滅者達の行動は早かった。
    「……鬼退治といきましょうか」
     言って晴臣はベレトと共に前へと飛び出す。すらりと鞘から抜かれた日本刀は、月光の様に冴え冴えとした光を宿し、鬼の強靭な左腕を横薙ぎに斬り払った。
     人と異なる叫び声の中、傷口から噴き出す緑色が、白き湯船を血に染めていく。
     起こり得た招かれざる未来とは異なる、鮮やかにも薄気味悪い緑色の血の池。
    「日本ではどうか知らないけど、カトリックの地獄にいる悪魔達は――」
     苦しみ悶える鬼を見て、アリスがその手に悪を滅ぼす裁きの光を宿した。癒しに徹し、歯痒かった思いを、その白き光に込める。
    「――亡者を責める獄卒であると同時に、自分自身も神に反逆した大罪人として苦しめられるのよ。……あなたもそういうところへ堕としてあげる」
     白き光条が真っ直ぐに鬼の右脚へと放たれた。消し飛んだ右脚に恐らくは激痛を感じているのだろう、鬼の表情がみるみる怒りに醜く歪んでいく。
     残された右手に持つ鉈を握り締め、鬼が再び前へと飛び出した。
    「……ってちょ、タイム! ジャムったーっ!」
     向かうは花鶏。『黄泉戸喫』を手にあわあわとうろたえる少女へと片足で跳躍し、その鉈を掲げる。
     しかし鉈が脳天を割らんとする直前、その口元が不敵に笑んだ。
    「……なんてねっ!」
     地へ降りた鬼よりも更に高く跳躍しかわした花鶏は、その手に『黄泉戸喫』を握り直す。
     鎌の形状を取る杖、その刃がスライドすれば、接した切っ先から魔力が流れ込み、爆ぜて鬼の鉈掴む手を吹き飛ばした。
    「智恵ちゃん、お願いっ!」
    「たまさん!合わせますっ、ここは全力でいきましょうっ」
     カランカランと鉈が地を滑る音がする。懐が無防備な鬼へと間合いを詰めた智恵美と珠緒が、息の合った連携で同時にオーラ輝く拳を腹部へと打った。
     前に倒れこむ鬼。まだ息はあるが、勝利はもう揺ぎ無いだろう。
    「さぁ……」
     さくらえがゆっくりとその横に立ち、がしゃりとガンナイフを構えた。その姿を見て、イコはゆっくりと銀の瞳を祈るように伏せ、思う。
     無慈悲な鉈の一撃は、名に『厳罰』を冠していたけれど――果たして、厳罰は人と鬼、どちらに課せられるべきだったか。
    (「惨劇生む闇は、気にはなれど……ご家族の憩いを、護れますよう――」)
    「大人しく自分達の在るべき場所へ帰ってもらおうか」
     閑かに笑んださくらえの声が銃声の中に掻き消えると――ただならぬ存在感も激しき戦いも幻の様に、鬼は跡形もなく消えていった。

     戦い終われば、露天の湯船は緑から透明な出で湯へと戻り、残されたのは源泉流れる湯の音と灼滅者達、そして戦闘痕のみ。
    「清掃中って看板を出してるんだし、綺麗にして帰らない?」
     屍姫の提案に灼滅者達は急ぎ露天を元に戻す作業に取り掛かった。
     戦闘中にも気を遣ったお陰で設備系統には大きな被害も無く、軽く片付けるだけでほぼ元の姿を取り戻した。
     片付けながら、仲間同士鬼についての考察を纏めてもみたが、一連の鬼騒動についての有用な手掛りとはならなそうだ。
     ならばあまり長く清掃看板を掲げては旅館のクレームにもなりかねないと、灼滅者達は慌しく撤収を開始する。
    「折角いい温泉ですのに……普通に遊びに来たかったですね」
    「今度来るときはゆっくり湯につかりところですねぇ……。まぁ、ここ女湯なんですけどね」
     残念そうな智恵美と晴臣の声に、うーん、と考えた後に屍姫が提案する。
    「この後一度外へ出て、お客として入ることはできるんじゃない?」
    「それいい! 折角だし、温泉に浸かって行こうかなっ! 汗流した後のお風呂は最高だしねっ!」
     明るい花鶏の声と女子達の笑う声は女大浴場へ、屍姫ら男子の声は男露天に続く扉の向こうへと去っていく。
     ぱたん、と扉閉ざされた女露天。人の消えたそこには、ほどなくして穏やかな母子の憩いの時が、笑顔と共に訪れることだろう。
     惨劇を防いだ灼滅者達の戦いは、湯気の中に隠され、しめやかに閉じられた。

    作者: 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年6月23日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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