●夕暮れの帰り道
いつも通りの帰り道、夕暮れに染まったオレンジ色の世界。いつもながらに陰鬱な空気が流れた通りだった。
けれど、なぜかいつも以上に恐怖を感じる。いつもと違う。
「ん!」
ちりーんと鳴った風鈴の音に柳瀬は過剰に反応した。なんだ風鈴かと思いながらも、背筋がぞくっとする。
人がほとんど通らないような通りではあるが、こんなに人の気配がしないのは珍しい。漂う下水の匂いからも、いつもと違う匂いが混じっているような気がする。
さらにオレンジの光すら届かない道の奥。何かが動いたような気がした。
「きゃぁあ!」
飛び出してきた猫に柳瀬は悲鳴を上げた。尻餅をついた柳瀬は、鼓動が落ち着いた瞬間に笑い声を上げていた。
何をこんなにも怖がっているのかと馬鹿らしくなったのだった。
「馬鹿みたい。さっさと帰ろう……」
立ち上がった柳瀬が振り向き目を見開いた。そこには鬼がいた。ボサボサの髪から覗く鋭い蛇のような目。にたぁと笑った口から見え隠れする鋭い歯。
どこか現実から切り離されたような感覚で柳瀬は呆然と鬼を見ていた。
「ひっ……」
震えたように声を出した柳瀬が後ろに下がろうとする。しかし、後ろに下がることは叶わなかった。
振り下ろされる鬼の一撃。そして柳瀬の目に映ったのは、鬼の左腕に掴まれた血だらけになった人の頭。自分もあぁなるのかと思いながら、柳瀬は目を閉じた。
●鬼のような眷属
「鬼のような眷属が現れたんだ」
須藤まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)がけわしい表情で灼滅者(スレイヤー)たちを見た。ダークネスの持つバベルの鎖の力による予知をかいくぐるには、彼女たちエクスブレインの未来予測が必要になる。
地獄から来たような鬼が突然現れて、人を殺すのだ。この鬼には、柳瀬の後をつけることで出会うことが出来る。
「はい、ここだよ」
まりんは印をつけた地図をみんなに差し出した。
「柳瀬ちゃんはその地図の場所から鬼が出る道に向かうんだ」
目印はロングの髪とセーラー服。そして鞄につけているぶさいくなうさぎのアクセサリーだ。
柳瀬を発見して、そのまま後を付けて鬼の出現を待ってもらいたい。鬼が現れたら、柳瀬を守るためにもすぐに攻撃を仕掛けてもらいたい。
鬼だけでなく殺された人が亡者となって襲ってくる。亡者の人数は五体だが、亡者自体は弱くみんなの手であれば手こずることはないだろう。
しかし鬼は強い。そのため油断だけはしないで頂きたい。鬼は神薙使いのサイキックと無敵斬艦刀 を使ってくる。亡者はWOKシールドを使う。
「油断だけはしないで無事に帰ってきてね!」
参加者 | |
---|---|
七篠・誰歌(名無しの誰か・d00063) |
巽・空(白き龍・d00219) |
神羽・悠(天鎖天誠・d00756) |
梅澤・大文字(手乗り番長・d02284) |
烏丸・織絵(黒曜の鴉・d03318) |
志賀神・磯良(竜殿・d05091) |
小鳥遊・亜樹(幼き魔女・d11768) |
戯・久遠(暁の探究者・d12214) |
●尾行
「鬼ってなんなんだろうね。気になるな」
よく女の子に間違われる中性的な顔立ちを悩むような表情に変えた小鳥遊・亜樹(幼き魔女・d11768)が呟いた。各地で鬼が現れているのも気になっている。
ともかく一般人の被害は抑えないとと考えながらも、眷属のような鬼が何なのか気になってしまうのだった。
思わず下を向いた亜樹の視界で、子犬の尻尾が揺れた。つぶらな愛らしい瞳で上を見た子犬は、とある少女とみんなの顔を交互に見る。
実はこの子犬、犬変身した神羽・悠(天鎖天誠・d00756)なのだった。
「さて、首尾良く現れるといいが」
柳瀬を視線で追いながら戯・久遠(暁の探究者・d12214)が呟いた。一般人に見つからないようにして、足を踏み出した。
白銀のハスキーの霊犬、風雪も久遠に付いて行く。同じように音を立てずに、志賀神・磯良(竜殿・d05091)の霊犬、阿曇も歩を進め始めた。
上に乗っていた白蛇がそっと頭を上げて柳瀬の姿をとらえる。この白蛇こそ磯良だった。阿曇は言われたように、非常に注意深く進んでいた。
七篠・誰歌(名無しの誰か・d00063)も一般人に見つからないようにしてから、歩を進める。しかしその表情はどことなく暗い。
柳瀬を助けられたとしても、すでに犠牲者は出てしまっている。気にしても仕方のないことではある。
「正義の味方にはなれそうにもないな」
先に歩き出した仲間には聞こえない囁きが誰歌の口からこぼれた。黒髪のポニーテールが風に吹かれて微かに揺れるのと同時に、誰歌は柳瀬を尾行することに集中した。
そんな先を行く灼滅者たちから離れた場所に、柳瀬ではなく、柳瀬を尾行する仲間を尾行する仲間が待機していた。
「鬼……? 羅刹じゃねぇんだよな」
硬派なパンカラスタイルに包まれた細身の体格と綺麗めな顔立ちを歪ませて、梅澤・大文字(手乗り番長・d02284)が頭を捻る。しかし考えても答えは出ない。
「えぇい、難しいこたぁ後だ!」
まずは羅刹じゃない鬼にきっちり地獄に還って貰えばいい。
「尾行は苦手なんだ。目立つからな」
柳瀬を尾行した仲間が歩き出すのを確認して、烏丸・織絵(黒曜の鴉・d03318)が足を踏み出した。それに合わせて大文字も足を踏み出す。
カラン……。心地よい下駄の音が響き渡る。目立つからなと言った織絵の視線がまっすぐ大文字を捕らえる。
「悪い」
実は気が弱い大文字がそっと視線をそらす。注意すると言うように、音を立てずに進むのだった。
漢……おとこを極めんとする大文字だが、残念スペックのせいで色々と破綻してしまっている。
「学園にいると自分が浮いた存在だと言うのを忘れるよ」
季節関係なく紅のコートを好む織絵が、誰に言うともなしに呟いた。二人より少し先に進んでいた巽・空(白き龍・d00219)が足を止めた。
青色のポニーテールが合わせて揺れる。鬼退治には関係ない話ではあるが、灼滅者の女性全員がポニーテールなのだった。
すぐに物陰に身を隠した空が緊張気味に前を見つめ、大丈夫と言うように後ろにいた二人に頷き進みだした。
●鬼退治
まりんからの情報の通り、風鈴の音が響くのと同時に柳瀬の体が震えた。後ろから見ていた誰歌が理解出来ると言うように微かに頷いていた。
夜目が効く方ではある誰歌も、突然物音がしたらびくっとする。静かだからこそ、小さな音でも気になってしまうのだろう。
風鈴に驚いた柳瀬の足が止まる。そして猫が飛び出し、柳瀬が座り込む。
その瞬間、柳瀬の背後に音も立てずに鬼が現れる。左腕に掴まれた頭からしたたり落ちる血が地面に落ちそうになった時、久遠が地面を蹴った。
「武装瞬纏」
飛び出しながら力を解放した久遠の体を紺青の闘気が包み込む。振り向いた柳瀬に振り下ろされる一撃。瞳を見開く柳の前には久遠の背中があった。
「本物ならいざ知らず……」
一撃を受け止めながら久遠が口を開く。羅刹でもない眷属のような鬼にいいようにさせるわけにはいかない。
「こんな攻撃に後れを取る訳にはいかん」
言いざまに久遠が鬼を振り切った。後ろに飛ばされた鬼は、見た目に反して素早く地に手をつけて一回転することで久遠の力を外に逃がし見事に着地した。
そして阿曇鬼に向かって突進して行くのと同時に、磯良が白蛇から元の姿に戻った。
「そこまでだよ」
まっすぐ鬼と対峙した亜樹が、さらに柳瀬に向かって口を開く。
「あぶないよ。ここはぼくたちにまかせて下がって!」
それと同時に、亡者が現れる。地面からすーっと糸に釣られるように浮き上がって来る。
「クロステス・フリノット・カティバ・ガリノス」
すぐさま力を解放した亜樹が隙なく構える。まずは柳瀬の安全が優先だ。攻撃に行くより先に柳瀬を退避させたい。
そんな亜樹の意図を察してか、久遠が声を出す。
「任せた、志賀神。俺は鬼を抑える」
「任されたよ」
久遠の言葉に当然と言うように、磯良が柳瀬を抱え上げた。
「え!?」
戸惑ったような柳瀬の声を聞きながら、磯良が後方に下がる。日本の水の神様とでも言えばいいのだろうか。
表情は笑顔を浮かべているのに、どこか掴みどころのない雲のような磯良に柳瀬は瞳を彷徨わせる。状況が状況なのに、浮世離れしているような綺麗な磯良にどきどきしてしまうのだった。
柳瀬が後方に下げられた瞬間、いつの間にか子犬の姿から戻った悠が影を伸ばす。
「あんまり動くと俺の影に呑まれるぜ?」
炎の形状を取った影が、動き出した亡者の一人に一気に向かっていく。そして揺らめく炎が立ちのぼるように、亡者の体を絡めとっていく。
何でこんな場所に鬼が出てくるのか、物好きな鬼も居たもんだなと思う悠だった。けれどもしなければいけないことは決まっている。
「柳瀬は、俺たちで助け出そうぜ!」
はっきりと告げた悠に答えるように誰歌が飛び出す。死の力を宿した断罪の刃が悠に絡み取られた亡者を斬り裂いた。
さらに柳瀬の安全を確認した亜樹が駆け出した。オーラを集束させた拳が振り下ろされ、亡者の体を連打する。ボロボロと崩れるように亡者が掻き消えていった。
獣の咆哮のような声を上げた鬼が、シールドで自らの守りを固めた久遠に突っ込んでいく。異形巨大化した鬼の腕を久遠が受け止めた。
ザーッという、地面を滑る音を響かせて体が後方に押される。けれどそこからは一歩も譲らず攻撃を止めた。
「俺の役目は皆が来るまでの時間稼ぎでな」
間近で久遠が鬼を睨む。ばっと間合いを取るように離れた鬼が、灼滅者たちが只者ではないことを悟ったのか警戒するような視線を送る。
受け止め切ったとは言え、相当の力の鬼に久遠の顔が微かに歪む。すかさず風雪が傷を回復させた。
亡者が守りを固めるように、シールドを広げていく。そして、もう一人が鬼の守りを固めるの同時に阿曇に受けた傷を癒していく。
残りの二体がシールドを出現させて飛び出そうと構えた。その時、どす黒い殺気が亡者たちを包み込む。
「さーてと、鬼退治か」
仲間と鬼の間に降り立った織絵がにやりと笑う。尾行する仲間の尾行のために出撃が遅れたのだった。
「よう、桃太郎だ」
織絵に視線が集中した瞬間、亡者の体が吹き飛ばされる。雷を宿した空のアッパーカートが綺麗に決まった。
そして間合いを取るように下がった空が柳瀬に声を上げる。
「立てる? ここはボク達に任せて、早く逃げて!」
自分にかけられている声だという認識はあるが、目の前で起こっていることが信じられずに柳瀬は震えるばかりだ。下手に混乱していないだけましだが、自力で逃げるのは不可能そうだった。
さっと空が磯良に視線を送ると、磯良が大丈夫と言うように頷いた。安心して空は鬼を見据える。本当に地獄から来たかはわからないが、町を地獄へ変えさせるわけにはいかない。
「やいっ、鬼! 鬼が出んのは地獄か節分と相場が決まってンだよ!」
その間に登場した大文字がお呼びじゃないとばかりに鬼を睨みつける。
「この業炎番長漢(おとこ)梅澤が貴様を地獄にお引取り願ってやらぁ!」
喰らえと叫んで、大文字がビームを放つ。
「漢の拳! 漢ビーム!」
ビームを喰らった鬼が不穏げな声を上げる。決まったなとばかりに、マントをばさっと言わせた大文字が口元に笑みを浮かべた。
●亡者に救いを
舞を舞うように、流れるような動きでヒトガタの符を磯良が取り出す。
「天地の御空に清浄の御風吹きおこし給へ」
亡者にシールドで殴られた仲間の傷を磯良が招いた優しき風が癒していく。傷を癒してもらった空が亡者ではなく鬼を見据える。
「被害者さんを手駒に……! 許せない!」
そのまま地面を蹴り、跳躍した空が拳を強く握る。
「すぐ、楽にしてあげるから……!」
亡者をしっかりとらえた超硬度な空の拳が撃ち抜く。
「宿れ神炎! 敵を焦がし焼き尽くせ、レーヴァテイン!!」
すかさず悠が日本刀の神閃・焔絶刄に宿した炎を叩きつける。浄化されるように焼かれた亡者の体はボロボロと崩れ、地面に到着する頃には消えていた。
大文字と一緒に鬼を抑えていた久遠が、駆け出す。みんなが亡者を灼滅するまでの時間稼ぎに徹している久遠たちだ。
「もっとも、攻撃しないという訳では無いぞ」
そう言って、オーラを集束させた拳を何度も鬼に叩き込む。
「流石だぜ、たわむれ君」
間合いを取るために後ろに久遠が離れた瞬間、大文字の漢ビームが再び放たれる。知り合いである久遠を、大文字はたわむれ君と呼ぶのだった。
亡者を相手にしていた亜樹が地を蹴って跳躍する。
「これならどうかな」
殴りながら亡者の体内に魔力を流し込み、瞬時に離れる。流し込まれた魔力が体内から爆破すると、亡者の体から体がボロボロと落ちていく。
ふらつく亡者の体に、織絵が妖気を変換して出現させた冷気のつららを撃ち出して行く。つららに撃ち抜かれた体に誰歌の刃が止めを刺す。
一気に砕けるように落ちていく体は、他の亡者と同じように消えていく。イライラするように声を張り上げた鬼の唸り声に、柳瀬が怯えた声を出した。
自分の前に立ちはだかる大文字と久遠を無視して、柳瀬の方に向かって超弩級の一撃を振り下ろそうと迫っていく。柳瀬が危ないと灼滅者たちに緊張が走った瞬間、阿曇が飛び出した。
柳瀬への攻撃を代わりに受け止めた阿曇の体が攻撃に吹き飛ばされる。地面にぶつかる直前で体勢を立て直し着地した阿曇がふらつきながらも、唸るように鬼を見据えた。
すかさず風雪が阿曇を回復させるために走り出した。鬼に続くように、シールドを出現させて亡者が走り出す。
突き出される拳を身を沈めることで避けた空が、そのまま飛び上がりながらのアッパーカートを喰らわせる。
「ボクについて来れるっ?」
どこか楽しむような口調で、地面に降りた空が笑う。そこにとどめだとばかりに亜樹が飛び出した。螺旋の如き捻りを加えた一撃が亡者の体をボロボロに砕く。
最後の亡者に向かって、織絵が動く。手甲に仕込んだ槍を一気に出現させ、螺旋の如き捻りを加えて穿つ。微かに火薬の匂いが漂った。
それに合わせるように織絵のキャリバーが突っ込んでいく。攻撃されふらついた亡者の体に誰歌の刃が迫る。
赤で統一された服に身を包んだ誰歌が素早く斬り裂いていく。赤い色が線を引くような綺麗な動きで亡者を追い詰めていった。
ボロボロと崩れ始めた体に、悠が炎を放つ。弔いのように燃え上がり、亡者が消えていった。
地を響かせるように上がった吠え声に、亡者を灼滅した仲間たちの視線が鬼に集まる。己に絶対不敗の暗示をかけた鬼の瞳が、冷酷に灼滅者たちを見渡した。
●鬼
「ああ、桃太郎と名乗ったがな……」
冷酷な鬼の瞳を見て、織絵が構えなおす。
「御伽噺ほど私は優しくないぞ」
オーラを集束させた拳を強く握り織絵が飛び出す。すかさず磯良が流れるような動きで鋼糸を操る。
体に巻き付いた糸から逃れようと体を傾けた鬼に、織絵の容赦ない連打が襲った。そんな鬼の様子を見て亜樹が思案する。
言葉が通じそうなら呼びかけて情報を引き出そうと思っていたが、鬼は吠えたり唸ったりするだけで喋れそうにない。わかることがありそうならと、鬼を観察しつつ亜樹が追撃すべく飛び出す。
糸を振り切った鬼に、織絵が間を取るように離れると横から亜樹が突っ込んでいく。何度も繰り出される拳に、全てを避けることが出来ない鬼から唸り声が響く。
しかし、鬼は攻撃など気にならないと言うように片腕を異形巨大化させる。亜樹が気づいて離れようとしたが、一足遅かった。
体に重い衝撃が走って、体が飛ばされる。まともに受けた一撃に顔を苦痛に歪めながらも、地面に手をついて体勢を立て直す。
「させるかよ……!」
すぐにふわりと飛んだ悠が上から下に目掛けて鋭く一閃を切る。冴え冴えとした月の如き衝撃が倒れた鬼を襲う。ブレイクした悠の口元が笑う。
風雪が着地した亜樹を回復するのと同時に、鬼の体に赤きオーラの逆十字が浮かび上がり斬り裂く。
「正義の味方にはなれなくとも、退治させてもらう」
斬り裂いた誰歌がきつく鬼を見る。それに呼応するように空も声を上げた。
「悪鬼! 貴方はここで、必ず破壊する!」
気を引くように叫んだ後、だっと走り出し鬼の体をおもむろに掴む。
「鬼は地獄へ帰れーーっ!!」
鬼気迫る表情で空が鬼を危険な角度で投げ飛ばす。これには体勢を立て直すことが出来ず、鬼が無様に倒れこんだ。
「我流・要散木」
呟いた久遠が超硬度の拳を倒れた鬼に上から叩き込んだ。苦痛の声を上げながら鬼が起き上がった。
その足元から大文字の影が先端を鋭利に変えて斬り裂こうと伸びる。すぐに鬼は地を蹴ったが、完全に避けることは出来なかった。
自らを回復することもせずに、闘争本能のままに鬼が地を蹴る。異形巨大化した拳が空に迫った。けれど衝撃は襲ってこない。
「ぅ……!」
微かな声を上げたのは大文字だった。空の代わりに攻撃を受けた大文字がこれぞ漢の背中と言うような表情をする。
攻撃後、ふらついた鬼の様子を見た悠が構えなおす。
「トドメといくぜ!」
軽やかに地を蹴り、納刀状態から一気に抜刀して鬼を斬り裂く。
「これで終わりかな」
捻りを加えた亜樹の一撃が深々と鬼を穿つ。悲痛な声を上げた鬼から、亜樹が槍を引き抜くと亡者と同じように体が崩れていく。
「終わったか。皆の健闘に感謝する」
周囲を警戒しながら久遠が仲間に告げた。
「鬼……だったな。ガチで」
消えた鬼を思い返して大文字が呟く。日本画から出てきたみたいな鬼に大文字が顔をしかめる。
「どっから沸いて来てやがんだろうな」
大文字の声に磯良も頷く。
「何かの前触れでないと良いけれど」
何が起こったか理解出来ていない柳瀬に織絵が呟いた。
「映画の撮影だ、といえば信じるかい?」
作者:奏蛍 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年6月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 11/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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