メイドさんのいる枇杷農園

    作者:佐和

     はぁ、と。
     ビワ農園の入り口にある受付で、壱果は大きくため息をついた。
     実家のビワ農園はこの時期、畑の一角で、30分間ビワ食べ放題という催しをやっている。
     地元の農業組合とか観光協会とか何かいろいろのススメとかがあったらしいが、企画するだけでそれを運営する人手を増やしてくれるわけではなかったようで。
     こうして、菜々果は貴重な休日を、受付の椅子にボーっと座って過ごしていた。
     これでお客さんがいっぱい来て大賑わい、とかならやりがいもあるのだが、そろそろビワ狩りシーズンも終わりに近づいてきたからか、この閑散っぷり。
     バス旅行とかの団体さんも今日は予約されてないし。
     通りかかる人はいても、近づいてくるお客さんはいない。
    (「こんなんだったら、カラオケ行きたかったなぁ……」)
     同じ中学の友達の誘いを断らなくてはいけなかったことを思い出して、またため息。
     うーん、と椅子に座ったまま伸びをして。
     その拍子に、さして広くない受付部屋の、後ろの壁が目に入る。
     そこにはいつの間にか、洋服が1着、かけられていた。
     服があること自体は珍しくない。
     作業服の上着をかけるために、そこにはハンガーもあったのだから。
     だが、その服が、フリルいっぱいのメイド服、となると話は別だ。
    (「……何でこんなところに?」)
     理由に全く思い至らないまま、壱果は立ち上がって壁に歩み寄ると。
     惹かれるように、そのメイド服を手に取った。
     
    「フライングメイド服……ですか?」
     戸惑い気味に繰り返す物部・七星(一霊四魂・d11941)に、八鳩・秋羽(小学生エクスブレイン・dn0089)は無言のままこくりと頷いた。
     無言なのは、口の中にビワが入っているからで。
     だから、七星は困惑したまま、灼滅者達へと向き直った。
    「ええと……旬の果物を狙うバスターピッグの群れを、以前、退治したのですけれど……
     他の旬の果物も眷属に狙われるのではないか、と思って見ていただいたのですが……」
    「……で、フライングメイド服?」
    「はい。フライングメイド服、だそうです」
     だからそれって何なんだと、灼滅者達の間にも戸惑いが広がる。
    「……淫魔、好きな衣装……に、サイキックエナジーが、宿った、もの。
     着ると、強化一般人……淫魔の、配下眷属に、なっちゃう……」
     そこに、ビワを食べ終わった秋羽が説明を加えた。
     手は次のビワの皮を剥くのに忙しそうですが。
    「壱果、メイド服着て、ビワ農園に、お客さん、呼んでる。
     だけど、メイド服、否定する人、来たら……大変なこと、になる……だから」
    「その前にビワ農園に行って倒さないといけない、ということですわね?」
     確認する七星に、秋羽はこくんと頷いた。
     幸いにも、まだ被害は出ていない。
     そして今ならまだ、被害を出す前の壱果に接触することが可能なのだ。
     ある平日の朝の時間帯を、秋羽は告げる。
     壱果は中学生なので本来は学校に通っているはずなのだが、フライングメイド服を着てからは、ビワ農園への客寄せ……もとい、自分の魅力に集まる人に囲まれるために、学校を休んでいるらしい。
     男性客4人を魅了して手下にしている状態で、壱果に会うこととなる。
    「そこで、メイド服、灼滅、して」
    「あ、灼滅するのは『メイド服』なのですね」
     七星は改めてそれに気付いた。
     そう。壱果はあくまで強化一般人。
     眷属としての本体であるフライングメイド服を灼滅すれば、元に戻すことができるのだ。
     灼滅対象は、メイド服。そう、灼滅されるのは服だけなのだ。
    「あと……メイド服、着てる間の、記憶……灼滅したら、壱果から、消える、から……」
     攻撃は全てメイド服が受けることになるため、壱果本人はKOすらされていない状態で。
     つまり、壱果視点だと『破かれた服を纏った半裸な状態で見ず知らずの人達に囲まれている』という状況からスタート、ということになる。
     どうしたものか、と七星は考え込む。
     秋羽は、皮を剥き終えたビワをじっと見つめて。
    「……上手く、対応、できたら……ビワ狩りも、できる、かも?」
     言ってから、ぱくり、とビワにかじりついた。


    参加者
    二夕月・海月(くらげ娘・d01805)
    久篠・織兎(糸の輪世継ぎ・d02057)
    光苑寺・華鏡(空即是色・d03976)
    新堂・辰人(夜闇の魔法戦士・d07100)
    物部・七星(一霊四魂・d11941)
    神孫子・桐(放浪小学生・d13376)
    穗積・稲葉(しっぽハーメルン・d14271)
    茂多・静穂(ペインカウンター・d17863)

    ■リプレイ

    ●メイドさんに会いに行こう
     立ち並ぶビワの木を眺めながら、灼滅者達は農園横の道を歩いていた。
     見えるのは、覆い茂るビワの葉と、その間から覗く幾つもの紙袋。
     紙袋の中にあるビワの実を思って、はぁ、と物部・七星(一霊四魂・d11941)はため息1つ。
    「再びバスターピッグさんを相手取るものとばかり思っておりましたが、まさか噂のメイド服とはねぇ」
    「フライングメイド服、か。また強烈なのが現れたね」
     隣で呟く新堂・辰人(夜闇の魔法戦士・d07100)も苦い笑顔で。
    「服が本体とは……何でもありだな、ダークネスは」
     二夕月・海月(くらげ娘・d01805)は自分の服を摘みながら、やはり呆れたような雰囲気。
    「厄介な敵もいたものだ。
     深刻な被害が出ぬうちに、ことを済ませるとしよう」
     眼鏡の弦を指で押し上げながら、光苑寺・華鏡(空即是色・d03976)もやれやれと肩をすくませて。
     その後ろから駆け寄ってきた穗積・稲葉(しっぽハーメルン・d14271)が、元気に手を振り上げた。
    「悪い眷属は灼滅だっ!」
    「そんでもってビワだな! すごいビワの予感だな!」
     しかし、続いた久篠・織兎(糸の輪世継ぎ・d02057)の焦点は、敵を倒した先にあって。
    「うわー……ビワ農園は初めて見ましたが、圧巻ですね」
     目を輝かせて農園を見る茂多・静穂(ペインカウンター・d17863)も、戦いの後に胸を躍らせていた。
     神孫子・桐(放浪小学生・d13376)のわくわくした瞳もビワの木に向いている。
    「ビワ、美味しそうだ。食べれるように頑張ろう!」
    「頑張りましょう!」
     桐に応えるように、静穂もぐっと手を握った。
     そんな桐と静穂の服装は、依頼に合わせてのメイド服。
    「桐みたいに小さくても似合うか?」
    「うん。可愛い可愛い」
     心配そうな桐をくるりと1回ターンさせて、こちらも合わせて執事服を着た稲葉はぱちぱちと拍手。
     その様子を微笑ましく眺めながら、七星も身に纏ったメイド服を見下ろして、
    「既にメイドは足りておりますから、お引き取りいただきましょうね」
     口元をそっと押さえつつ、糸目でふふっと微笑んだ。
     そうこうするうちに、『ビワ狩り受付』の文字が書かれた小さな小屋が見えてくる。
     小屋の前には5つの人影。
     織兎がさっと辺りを見回すが、他に一般人の姿は見えない。
     指定された平日の朝早くを狙ったかいあり、といったところか。
     念のためにと辰人が準備していた殺界形成を発動させて、万が一もないように人払いをして。
    「……では、行こうか」
     華鏡の声に頷き合って、灼滅者達は、その人影へと近づいていった。

    ●メイドさんとお話を
    「あっ。またお客さん来てくれた」
     近づく8人を見て、メイド服を着た少女・壱果がぱぁっと顔を輝かせた。
     ようこそ、とお辞儀をする壱果へとまず進み出たのは、華鏡。
    「失礼。執事&メイドコスプレ協会の者です」
    「可愛らしいメイドさんがいると聞いて、お手伝いに来ましたよ」
     執事服姿の稲葉が後を継ぐと、壱果はきょとんと首を傾げる。
     そこに桐と織兎が壱果へと近づいて。
    「素敵なメイド服だね。こういう緑の多いところだと、絵本の一部みたいで、すごくいい感じだ」
    「本当。それに、よく似合ってるな~」
    「そう? そうでしょ!」
     メイド服を褒めちぎると、壱果は笑顔で2人へと向き直った。
     そのまま始まる3人のメイド服賛歌。
     それを確認した海月は、音が周囲に漏れないように遮断して。
    「それじゃあ僕らは、こっちのお客さんの相手をお手伝い、だね」
     辰人がにこやかに4人の配下へと足を進める。
     大きなカメラや派手な団扇を持った、どう見てもビワ狩り目当てではない格好の配下は、近づいてくる辰人達に怪訝な顔を向けていた。
     だがにこにこと友好的に見える辰人の笑顔と、その後ろで楽しそうにしている壱果の様子に、どうしたらいいのかを迷っているようで。
     その戸惑いの間に、七星は氷のつららを撃ち放った。
    「先にきっちり倒して差し上げますわね」
     にっこり微笑を横目に、辰人が続けざまに氷を生み出すと、配下がまとめて凍りつく。
     華鏡と静穂は、まずは自己強化をと態勢を整え、メディックの稲葉は前衛陣を守るべくその盾を展開させて。
    「さあ、行こうかクー」
     くらげを象る影業にそう呼びかけてから、海月も配下へと向かっていった。
     まずは壱果をできるだけ引き止めておいて、配下を先に倒す作戦だ。
     さっさと数を減らそうと、七星は最初に狙った相手へと舞い踊りながら飛びかかり、近くにいた相手もついでにまとめて打ち払う。
     攻撃すらも振りつけであるかのようなその動きに、メイド服がふわりと揺れて。
     とたんに配下のカメラが忙しなくシャッターを切った。
    「……っ!」
     思わず赤面した七星の前に立った華鏡が、プリズムの十字架を降臨させ、
    「撮影は許可を取ってから行っていただこう」
     許可どころか申請を即時却下する勢いで光線を撃ち放ち、配下を貫く。
     辰人はジャマーとして盗撮行為、もとい、相手の攻撃を阻害するべくナイフを振るって。
     据わった目をしたまま、海月は配下の1人を殴り倒した。
     ちょっと複雑だが、配下はこの騒動に巻き込まれただけの一般人。
     本当に倒すわけにはいかないと、ちゃんと手加減も忘れずに。
     その間、稲葉はせっせと仲間に盾を展開していく。
     次々と配下は倒れているが、戦いはこれで終わりではないのだから。
    「あーっ!」
     それを思い出させるかのように、壱果の非難の声が響く。
    「ちょっと! 私のファンの人に酷いことしないで欲しいんだけどっ!」
     桐と織兎とのお喋りに夢中になっていた壱果だが、さすがにいつまでも戦いという騒ぎに気付かないわけもなく。
     そろそろ褒めて油断させての抑えは無理か、と織兎が思ったところで。
    「ファン? 下僕と言ってもよろしいのですよ?」
     くすり、と壱果に挑発的に笑いかけたのは、静穂。
    「ですが、残念です。
     かつてメイドを雇っていた身からすれば、主君もなく従えるだけのメイドなどメイドにあらず!
     ……ああ、元のメイド服がパチモノの安物では仕方ありませんか」
    「なんですって!?」
     自らが着ているメイド服を、これこそが高価な本物だと言わんばかりに見せ付ける静穂に、壱果の怒りの声が襲い掛かる。
     作戦変更、と織兎は展開した盾でメイド服を殴りつけながら、
    「そうか~。偽者だから安物が似合うんだな」
     今度は貶めてその気を惹く。
     桐も腕を巨大化させると壱果へ向かった。

    ●メイドさんと戦いを
    「狙うのは服だけ! 可哀想だけどびりびりにするよ」
     宣言通り、振り抜かれた桐の巨腕がメイド服の肩口を破る。
     静穂の拳も胴体へと叩き込まれ、その衝撃で壱果の腰がちらりと見えた。
     壱果が踊るように繰り出した蹴りを、桐の前に立ち塞がった織兎が代わりに受け止めて。
    「お待たせいたしましたね」
     そこに、七星の放った妖冷弾が壱果を襲った。
     追いかけるように華鏡の魔法の矢も飛び来たる。
     配下を倒し終わった仲間が合流したのだ。
     抑え組をさらに鼓舞するように、稲葉のうさギターの音色が響き渡って。
     辰人の撃ち出した光の刃が、壱果のスカートを貫いていく。
    「お前を、切り裂いてやる!」
     キリリと真面目な表情で、得意の解体ナイフを構える辰人。
    「うわぁ……本気だ……」
     それを見て稲葉は思わず呟いていた。
     ジャマーで服破りのBSかけまくった上に、次に狙うはBS増やしのジグザグ。BS関係なくメイド服は破れていくというのに、是が非でも破りたいと言わんばかりのサイキックラインナップです。
     何か違う? とか首を傾げる辰人に、どこからかぱちぱちと乾いた拍手が送られました。
    「人を縛り操る魔のメイド服!」
     そして、朗々と響いたのは静穂の声。
     壱果を、いや、メイド服をびしっと指さして。
    「壱果さんと一般人に与えた拘束の苦痛! 断じて許せません!
     拘束は私とかの一部人間のみにしなさい!」
     ……何だか後半、ちょっとズレてるような気がしますが、とりあえず。
    「その痛み、私が引き受けます!」
     言葉と共に静穂は蛇腹剣を振り回し、メイド服のエプロンを切り裂いた。
     破れ、ボロボロになっていくメイド服を見て、ふと海月は考える。
    (「メイド服、みんな好きなものなのかな」)
     確かにかわいいとは思うけれども、その趣向はよく分からない。
     分かることは、眷属を放置して淫魔の思い通りにさせるわけにはいかない、ということと、壱果を助けなければならない、ということ。
     待ってろ、と海月は小さく呟いて。
    「ともかく、メイド服は引っぺがす」
     後ろへ回り込んでの攻撃は、メイド服の背中を大きく破った。
    「そんな……私、が……」
     足元をふらつかせる壱果の傍らに立ったのは華鏡。
    「まだ奉仕の精神が足りない、ということだ」
     静かな表情で眼鏡をくいっと押し上げながら、その足元の影で壱果を飲み込むように覆い、
    「人に危害を加えないなら、桐は良かったなと思うよ」
     桐の影がさらにメイド服を切り裂いていく。
    「壱果ちゃん。学校楽しいのに休むの勿体無いぞ!」
     あと少し、という状況を見て取った織兎は、その拳を打ち出しながらにこやかに笑って。
    「でも農園の手伝い、偉いな」
     壱果へと優しい声を向ける。
     その顔に、織兎に応えるような嬉しそうな笑みを見た気がして。
     七星は、静かに終焉の踊りを舞った。

    ●メイドさんとビワ狩りを
     その場に崩れるように座り込んだ壱果。
     俯いたその肩が、居眠りから目覚めたかのようにびくっと揺れて。
     すぐに壱果は顔を上げた。
     破れた服。見知らぬ人。
     悲鳴を上げるように大きく息を吸い込んだ壱果を見て、
    「大丈夫ですか? お嬢様、羽織り物でございます」
     すっと近づいた稲葉が、優しく上着をかける。
     気品のある優雅な動きと執事のような台詞でラブフェロモンの効果を最大限に引き出しつつ、壱果に向けるのは柔らかな笑顔。
     周囲にキラキラとした輝きが見えるかのような稲葉に、一瞬見とれた壱果は、だが、はっと気付いてかけられた上着を引き寄せ、隠れるように顔を伏せた。
    「……やだ、私、なんでこんな……」
     素敵な稲葉を前にして、さらに恥ずかしさが増してしまったようです。
    「僕らはただの通りがかりなんだけどね」
     そこに飄々と辰人が声をかけて。
    「壱果ちゃんがビワの枝に引っかかって、服がびりびりになってるのが見えたから、駆けつけたんだよ!」
     覚えてない? と織兎が首を傾げた。
     ええと、と思い出そうとする壱果の視線が、混乱を表すように周囲を彷徨う。
    「これで悪いメイドコスプレは立ち去りました!
     これから真のコスプレ道は始まるのです!」
     その視線を射止めるように、華鏡が大仰に手を掲げ、何かの劇の一幕かのような芝居がかった台詞を言い出した。
     横に立った七星が合わせるように、メイド服を翻して清楚に一礼。
    「これこそが執事&メイドコスプレ協会の役目!」
     壱果は、唐突な設定と勢いにぽかんとして、やたらきっぱり宣言した華鏡を凝視する。
     とりあえず、気絶している元配下を介抱していた桐と海月には気付かれずにすんだようだ。
     そんな救護所を隠すようにさり気なく位置を変えた稲葉は、壱果の手を優しく取って、
    「早くお召し物を変えた方が宜しいですね」
     ふわりと、壱果が立ち上がるのをエスコート。
     進み出た七星が、何が何だか分かっていない壱果の手を受け取って。
     こちらへ、と示した先には、静穂が持参した簡易テント。
     簡単な組み立ては、どさくさのうちに既に完了済みだ。
     勿論、静穂は着替えもしっかり用意済みでテントの中で待ち構えている。
    「フフ、偶にはこんな服を着て気持ちを切り替えてみましょう♪」
    「え、ええ!? でも、これ……」
     楽しそうな静穂と、戸惑う壱果の声が聞こえて……。
     10分後。
    「ビワ食べるぞ~!」
     楽しそうに木へ向かう織兎の後を、稲葉が跳ねるように追いかけた。
     うんうんと頷きながら辰人が続く。
     ビワ農園を進むそんな背中を見ながら、
    「……何でこんなことに……?」
     再びメイド服姿になった壱果は、まだ混乱する頭を抱えていた。
     とりあえず、ビワ狩りをしたいと言われたら対応するのが仕事なわけで。
     というか、学校どうしたんだっけ? とまた疑問が浮かんできたりするのだが。
    「桐、ビワが生ってるところちゃんと見るの初めてだ!」
     本当に楽しそうな桐の声や、
    「壱果さーん! これとこれ、どっちが美味しいですかー?」
     嬉しそうにビワを指さす静穂。
     採ったそばから必死に皮を剥いて、幸せそうにビワを食べる海月を見て、まあいいか、と思う。
    「メイドコスプレ果樹園というのもありだと思うな」
     うむ、と頷きながら眼鏡を押し上げる華鏡はちょっと置いといて。
    「種、くださいませね。杏仁豆腐が作れるんですのよ」
     ビワを頬張る海月に、七星が微笑みながら声をかけているところへ壱果は近づいていく。
     持ち帰りなしだけど、それくらいならいいかなと思いながら。
     新たなビワの味覚に海月の瞳が輝くのを見て、思わず笑みがこぼれた。
     そこに、ちょこちょこっと駆け寄ってきたのは、桐。
     両手で摘んだエプロンには、ビワが3つ、ころんと転がっている。
    「えへへ、ビワ美味しそうだ。来て良かったよ!」
     満面の笑みを見せる桐に、壱果は自然と、その思いを声に出していた。
    「……ありがとう」
    「壱果も、ありがとうございます」
     応えるように桐がぺこりとお辞儀をして。
     笑い声は、ビワ農園に満ちていった。
     

    作者:佐和 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年7月14日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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