ふわもこ「カルマクィーン見習い」佐藤・優子の危機!

    作者:志稲愛海

     最近河原で、毎日のように見かけるというその姿。
     それは、ぽてぽてと一生懸命ダンスレッスンしている――ヒヨコさん!?
     いいえ!
    「やっぱり今旬なのは、バラエティーもできるアイドルよね。頑張らなきゃ」
     時代のニーズに応え、『モフって踊れるふわりんスター!』を目指し、ひよこのきぐるみを纏ってダンストレーニングに励む少女。
     そう、ラブリンスター一派の淫魔・「カルマクィーン見習い」佐藤・優子であった。
     かつて彼女は、冴えない眼鏡と地味なおさげが特徴で。
     真面目そうだからと委員長を押し付けられるような、そんな娘だった。
     でも……生まれ変わりたいと。
     ラブリンスターや姉貴分のヒヒイロカネ銀虎の元で、他のカルマクイーン達と共に『カルマクィーン見習い』として不死王戦争を戦った後も。ラブリンスターのバックダンサーを務めながら、自らも売れっ子アイドル目指し、日々頑張っていたのだ。
     だが――路線変更を試み、きぐるみふわもこバラドルを目指していた少女の夢は。
     ここで、潰えてしまうのである。
    「ぐふふ……見つけたですよ。地下アイドルの劇場界隈で最近コアなファンを獲得しつつあるらしき、ふわりんスターたん……いや、ラブリンスター一派の淫魔!」
    「きゃ、ファンの方!? それとも……パパラッチしようとしても、私に恋愛スキャンダルなんてありません!」
     突如現われるやいなや、ぱしゃばしゃと無断でデジカメや写メを撮りまくる男達に、優子はそう大きくふるふると首を振るが。
     リーダー格らしきモヤシのようにひょろい背丈の眼鏡の男は、デジカメで撮った写真の出来を確認し、超絶かわいく撮れましたですと、満足気に笑んだ後。
     ヒヨコさんの羽をパタパタさせる優子へと、こう言い放ったのである。
    「バラドルも個人的には嫌いではないですとはいえ、あいにく拙者の推しは正統派……よってアモン様の仇、裏切りモノのラブリンスター一派に死の制裁を、なのです!」
     そして周囲の取り巻き達が一斉に、眼鏡の男の合図と共に。
    「アモンの仇って……!? きゃ、いたいですぅ!」
     ぴよーっと鳴き声をあげる優子へと、襲い掛かったのだった。
     

    「アイドルって大変そうだよねー。最近は、バラドルの需要も高いみたい?」
     集まってくれてありがとーと、いつも通りへらりと笑んだ後。
     何故かきぐるみを着た飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)は、同じく何故かきぐるみ姿な黒洲・智慧(九十六種外道と織り成す般若・d00816)に、事件の概要を語ってもらう。
    「以前から、不死王戦争で私が「死の運命」を付与した、「カルマクィーン見習い」佐藤・優子さんのことを探していたんですが。飛鳥井さんに調べてもらっていたところ、彼女が見つかったんですよ」
    「でも優子はね、ソロモンの悪魔・アモン勢力の残党に襲われちゃうんだ」
     不死王戦争においてアモン率いるソロモンの悪魔と共闘していた、ラブリンスターであるが。
     アモン勢力の残党が、そんなラブリンスター配下の淫魔に対して攻撃をしかけようとしているらしいのだ。
     ソロモンの悪魔達は、彼女達が武蔵坂と接触した事を、裏切りととったのかもしれないし。或いは、ラブリンスターと武蔵坂は実は以前からつながっており、不死王戦争の敗北はラブリンスターの策略であった……とでも思ったのかも知れない。
    「ダークネス同士の戦いではあるが……アモン残党のソロモンの悪魔を倒す好機でもあるな」
     ちょっぴり照れつつも二人につられて、シャム猫ぐるみを着てみた綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)に。
     遥河は頷きつつも、今度は敵戦力や戦場について説明を続ける。
    「事件が起こるのは、昼間の河原だよ。周囲には河原に散歩に来てる一般人も数人いるから、人払いが多少必要かな。戦場自体は広くて障害物とかもないみたい。それで優子を襲うのはね、ソロモンの悪魔1体とその配下の強化一般人4人だよ。リーダーは、眼鏡をかけたひょろいアイドル好きっぽいソロモンの悪魔――便宜上『モヤシくん』って呼ぶね。モヤシくんは、ソロモンの悪魔のサイキックと得物の日本刀のサイキック、基本戦闘術も勿論会得してるよ。モヤシくんの取り巻きの強化一般人4人は、バトルオーラを纏って殴りかかってくるみたい」
     そしてアモンの残党らの戦力は、佐藤・優子を守りながら戦って互角くらいだというが。優子と共闘したり、優子が敗北してソロモンの悪魔が消耗したところを狙ったりもできる。
     優子に対してどういう対処をとるかを考えつつ、作戦を立てて欲しい。
    「それにしても、探していた佐藤・優子さんは、新境地「ふわもふっ」を見つけてダンス技術を磨いていたんですね」
    「きぐるみアイドル・ふわりんスターかー。ふわもふは正義だよね! アイドルも有名になるためには、色々工夫してキャラ付けしていかなきゃいけないみたいだねー」
     そう頷き合う、きぐるみ男子な智慧と遥河を見ながら。
    「会いにいけるふわもふとは、なかなか魅力的だな。バベルの鎖に阻まれそうな気がしないでもないけどな……」
     何気に満更でもなくネコ耳ネコ尻尾をぴこぴこさせつつも、紗矢はそう呟くのだった。


    参加者
    風嶺・龍夜(闇守の影・d00517)
    黒洲・智慧(九十六種外道と織り成す般若・d00816)
    羽守・藤乃(君影の守・d03430)
    川代・山女(水底を視る者・d03521)
    ラックス・ノウン(不動のフーリダム・d11624)
    桜庭・黎花(はドジッコと呼ばれたくない・d14895)
    ヴィルヘルム・ギュンター(理外のケモノ・d14899)
    綾町・鈴乃(無垢な純白・d15953)

    ■リプレイ

    ●わくぴよ☆アイドル!
    (「変わろうと努力している人は尊敬できます。たとえ淫魔であっても」)
     川代・山女(水底を視る者・d03521)は、ふわりんスターこと「カルマクィーン見習い」佐藤・優子を前から探していた黒洲・智慧(九十六種外道と織り成す般若・d00816)と、並んで歩きながらも。
    (「そしてそれを襲うなんて許せませんね」)
     感心しない輩――ソロモンの悪魔達から彼女を守るべく、歩みを進める。
     先日のライブの際、しっかり両手で握手してくれたラブリンスター。
    (「すずのはラブリンスターさまとともだちになったのです。だから、ラブリンスターさまのともだちは、すずののともだちでもあるのです」)
     巫女装束を纏う綾町・鈴乃(無垢な純白・d15953)は、たすけるのですよ、と優子の元へと急ぐ。
     ラブリンスター派の淫魔とは、今は敵対しているわけでもなければ、面識はなくとも知らぬ仲ではない。
     だから、ふわりんス……いえ、優子と共闘できればと思う、羽守・藤乃(君影の守・d03430)であるが。
    (「多勢に無勢で不意打ちというソロモンらしい卑劣さも気に食いませんわ。まずは、宿敵を殲滅してしまいましょう」)
     倒すは、宿敵・ソロモンの悪魔。
    (「ラブリンスター達が敵と見なされたのか。全く、策謀を巡らせる者は他者も同じと思っていて困る」)
     的外れな悪意から守ってやらねばな、と風嶺・龍夜(闇守の影・d00517)は佐藤・優子へと近づいて。
    「俺達は武蔵坂学園の者だ」
     ……任務、開始だ、と。彼女に、声を。
    「え? 武蔵坂学園、ぴよっ?」
     そう振り向き、羽をぱたぱたさせながら全身を傾ける優子に。
    「そう、私達は武蔵坂から来たわ。まだ、無事……よね?」
    「むさしざかがくえんのあやまちすずの、ラブリンスターさまのおともだちをたすけにきたのです!」
     桜庭・黎花(はドジッコと呼ばれたくない・d14895)と鈴乃も続いて。
    「ラブリンスター様のお友達なんですかっ?」
     ぴよっと瞳を輝かせた、目の前のもふもふに。
    「く、その着ぐるみは卑怯だわ」
     一瞬見捨てようかと思ったけどできないじゃないっ、と、以前のスカウト事件の被害者であった黎花は複雑な心境になるも。
    「ふわもこに罪はないわ」
     あっさりきっぱり言い放ちました!
     それから龍夜は優子に、自分達が来た理由を述べて。
    「ラブリンスター達を狙う勢力があると言う噂を聞いたので助力に来た」
    「やあ、どうも武蔵野学園の方からきたピンチのときはこちらにTELをの灼滅者だぜ」
     続いたラックス・ノウン(不動のフーリダム・d11624)の鶏きぐるみ姿に、そのトサカ素敵ですっ、と優子はピヨピヨ笑む。
     そんな淫魔を見つつ、ふと疑問を抱くのはヴィルヘルム・ギュンター(理外のケモノ・d14899)。
    (「なぜ襲撃がバベルの鎖に引っかからなかったのかわからんな」)
     だが――その時。
    「……ん? まさか君たち、ふわりんスターたんに認知もらってるです?」
     現われたのは、モヤシみたいな男。
     その取り巻きも、スマホのカメラのシャッターを無遠慮に切っている。
    「あの……写真は事務所を通してください、ぴよ」
    「おや、いいのかなぁ。別の子に推し変しちゃうですよー?」
    「! ぴ、ぴよっ」
     駆け出しアイドルの弱みにつけこまれ、ぴよぴよオタオタする優子。
     そんな彼女に笑み、かわゆいですなぁと気持ち悪く言った後。
    「ですが、あいにく拙者の推しは正統派……よってアモン様の仇、なのです!」
    「えっ!?」
     そうモヤシが、スマホから日本刀に持ち替えた――瞬間だった。
    「私のきぐるみは『ふわっ! もこ。』」
    「その戦闘ちょっとまったーー!」
     すかさず『機』を見極め割り込んだのは、智慧とラックスであった。
     漆黒のひよこきぐるみな智慧は背中で語りながらも、社交礼儀の『もふもふ勝負』!
     優子も羽を広げ、二人で息の合った『ふわっ! もこ。』!
     ラックスは、終わったらカメラで写真撮っていいか何気に訊ねながらも。
    「とりあえず言いたいことあるかもしれないけどあいつ倒さない?」
     そう、気持ち悪いモヤシ男を指差して。
    「いっしょにたたかうですよ」
     同じく割って入った鈴乃も、優子へと味方アピールを!
     そして近寄ってくる一般人には、綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)や手助けに駆けつけた皆が素早く対応を。
    「すいません、お芝居の稽古をするので邪魔しないであげてください」
    「えと……道に迷っちゃったから、案内して欲しい……のですけど」
     機転の利いた言葉で野次馬を遠ざける、良太や夢乃。
     キレたモヤシの配下が暴れても決して慌てずに。
    「ここは危険にござる! はっ、危ないでござる! ニンポー・フライングヒヨコガードッ!!」
     パタパタピヨピヨとドピンクのひよこぐるみでふわもこガードするハリーや、避難誘導を人々に促す璃耶。
     螺子もエイティーンを駆使し体躯の小ささをカバーしつつ、影業等で人々の避難の手助けをしてくれている。
     そして優子のすぐ傍にいる灼滅者達も勿論、一般人への声かけを積極的に行なっている。
    「ここは危険だ! 早く避難しろ! 急げ!」
    「ここは危険ですので離れていて下さい」
     紗矢と共に、野次馬一般人へと王者の風を展開する龍夜に、ぴょんぴょん跳ねながら注意喚起してまわる山女。
    「お出でなさい、鈴媛」
     能力開放の言の葉を紡いだ藤乃がパニックテレパスを発動させた刹那。
    「ごめんなさい、少しここから離れてほしいの……」
     黎花がパニック状態の人達へと、ラブフェロモンを使って『お願い』を。
     勿論、その間にも。
    「やらせないのですよ!」
     モヤシくん達が優子や一般人に危害を加えぬよう、懸命に盾になる鈴乃。
     そんな彼女や皆をしばらく見ていた優子だったが。
    「あのっ……私も一緒に戦いますぴよ!」
     ぴよよー! と気合を入れ、灼滅者達の共闘に大きく頷いて。
    「ぐぬぬ、武蔵坂は、ふわりんスターたんゴリ推しなのですか!?」
    「佐藤さん達淫魔が狙われるのはこれからもあると思うので逃すわけにはいきません」
     智慧やラックス達の割り込み班と、山女やヴィルヘルム達の包囲班が。
     ソロモンの悪魔達を逃がさぬよう陣を敷いていく中、鼻息荒く言い放つモヤシくん。
     そして無事に全ての一般人を避難させた灼滅者達は。
     佐藤・優子と共に、ソロモンの悪魔へと、各々の得物を向ける。

    ●どきぴよ☆バトル!
     戦場を覆い尽くす色は、連続して放出された無尽蔵の黒。
    「悪いが、ここは通行止めだ」
     悪夢よ、来たれ――そう紡いだ龍夜の衝撃と殺気が、敵に刃剥く殺人領域を一瞬で成して。ぴよーっと続いた智慧も、漆黒ひよこボディーから強烈な殺気を解き放ち、強化一般人達を容赦なく飲み込む。
     そして、拳を振り上げるオタク一般人達へと逆に牙を剥いたのは、高速で旋回し加速のついた、ヴィルヘルムの透んだ刃の斬撃。
     それから、ふわりんたんときぐるみ着たいですぅ、と懲りずに連打を放ってくる配下へと、大きく首を振って。
    「ふわもこはなるものじゃないわ、愛でるものよ」
     きりっと言い放ち、敵の群れを、振り回した剣で纏めて薙ぎ倒しにかかる黎花。
     さらに一番大きく上体を揺らした敵目掛け空を割くのは、藤乃の生み出した魔法の矢。その鋭い一矢に貫かれ、まず1体の強化一般人が、無様に地を這えば。
    「お前らアイドル撮る時は迷惑かけずに、ばれないようにってならわなかったのか!!」
     ビハインドのフリーダムと共に攻撃を仕掛け、どす黒い殺気を放ちながらそう言い放つラックス。
     アイドルファンにも、ルールがあるのです! が。
    「拙者は古参でありますが、そんなの聞いたことないのです」
    「当たり前だ! んなこと教えるやつがいてたまるか!」
     まぁ……アイドルの追っかけも、常識の範囲内で!
     とりあえずふわりんスターの写真撮影は、事務所を通して下さい!
    「まずはざこをけちらすのです」
     それから鈴乃が展開した祭壇が構築したのは、展開霊的因子を強制停止させる結界。山女は抜刀し放たれたモヤシくんの日本刀で傷を負った優子へと、すかさず天上の歌声の癒しを施して。優子も懸命にぴよぴよ見様見真似ダンスを踊り、紗矢のデッドブラスターが敵を毒で蝕んだ。
     そんな灼滅者達の猛攻を浴びながらも、しぶとく足掻き、拳で殴りかかってくる強化一般人達であったが。
    「……あんまり見ないで」
    「奥義の弐、虎討」
     何気にまだステップはたどたどしいが、照れたように踊る黎花の情熱的な衝撃が敵の群れへと見舞われ、強化一般人1体を打ち倒せば。敵が体勢を崩した隙を見逃さず、その身を粉砕するほど重い龍夜の無敵斬艦刀の一撃が死角から叩きつけられ、また1体を沈めて。様々な間合いを使い分け、構えていないかの如き構えから繰り出された智慧の、相手の身包みごと斬り裂く高速の鋭撃が、最後の配下を一瞬にして仕留めたのだった。

    「な……そんな根性なしではアイドルファンはつとまらないですよ!」
     強化一般人が全て倒され、焦りを見せるモヤシくん。
     だが勿論、灼滅者達は攻撃の手を緩めない。
     優子も一生懸命、灼滅者達と共闘して。
    「ゆうこさまともおともだちになるのです」
     はい、私達はともだちです、と。鈴乃に嬉し気にぴよっと頷いた後。
    「皆さん、頑張りましょう!」
    「くっ、灼滅者風情で、淫魔アイドルたんに認知もらうなんて……!」
     灼滅者に笑顔を振りまく彼女に、モヤシくんは地団太を踏みながらも。
     月の如き嫉妬の衝撃で、灼滅者達を一気に薙ぎ払いにかかる。
     だが抜かりなく山女が回復を施し、自らの傷を癒す事を怠らない灼滅者は誰も倒れない。逆に、猛攻が返されて。
    「え、ちょっ……ギャアッ!?」
     無様にすてんと転んだモヤシへと、刃と問いを投げるのは、ヴィルヘルム。
    「聞きたい事は1つ。どうやってバベルの鎖の予知を躱した?」
    「な、なんの事か、拙者にはさっぱり……」
    「死ぬか? 生きていれば名誉挽回の機会はあるぞ? それでも死に急ぐのか? 今のてめぇにはおとなしく吐いて生き残るか、俺に斬り殺されるか。この2つしか選択肢はねぇよ」
     さて、どうする? と。
     見えざる刃をつきつけるヴィルヘルムを、慌ててモヤシは宥めてみるも。
    「と、とりあえず同じアイドルファン同士、武器を収めて……」
    「てめぇが要求できる立場だと思ってんのか? 死ぬか答えるかさっさと選べ」
     まぁ当然上手くいくはずはなく。
    「そもそもアイドルファン同士じゃありませんし」
     何気にツッこみを入れる山女。
     だが……不意にヴィルヘルムの問いに答えたのは。
     意外にも、佐藤・優子であった。
    「あの、バベルの鎖の予知はありました。でも微かな予兆だし、ソロモンさん達が淫魔を襲おうとしてるなんて夢にも思ってなかったので……熱狂的な困ったチャンなファンの方でもいらっしゃるのかな、くらいに思ってました」
     バベルの鎖は、『未来の自分に降りかかるであろう災難や厄介事を、微かな前兆と共に察知する』もの。
     もし襲ってくる敵に心当たりがあれば、その微かな前兆は大きな意味を成す。
     だが今回は淫魔に心当たりがなかった為、警戒が単純に薄かったのだろう。
    「ほ、ほら……! ではここは、アイドルファン同士仲良く……」
    「ん? ああ、灼滅しないってのは嘘だ。さっさと消えろ」
    「え、ぎゃあああッ!?」
     ――という事で。
    「ともだちのゆうこさまをいじめるひとはなぐっておしおきなのです」
     後はモヤシくんを皆でふるぼっこです!
    「なんというか、少し気持ち悪いわよ、貴方」
    「宿敵は殲滅させていただきますね」
    「これぞダブルフリーダムの力!」
     拳系巫女の鈴乃の突き上げる一撃がそのひょろい身体を浮かせれば。心にもダメージを与える言葉と異形巨大化させた拳で、容赦なくモヤシくんを殴りつける黎花。さらに宿敵へと鋭く振り下ろされるは、藤乃が繰り出す銀の一刈りの閃き。続くラックスとフリーダムのダブルの衝撃がトラウマを発現させ、容赦なくモヤシくんを飲み込んで。
    「魂砕業の伍、痕拳。虚ろなる影に眠れ! ダークネス!」
     これでもかとトラウマを重ねる一撃を見舞う、龍夜。
     そして崩れかけるモヤシくんにとどめを刺したのは、射殺す眼で敵を捉え特殊なステップから斬撃を繰り出す、漆黒のひよこぐるみだった。
    「せ、せめて神推しのあの子に、認知されてから……!」
     静止の姿勢から一閃。
     智慧のウロボロスブレイドが頚椎を一突きにして。
     確実に、敵の息の根を止めたのだった。

    ●もふりん☆スター!
    「無事ね?」
     正直複雑な黎花だが、ひとまず皆が無事なのは良い事だ。
    「全員無事か? 間に合ってなにより」
    「ご無事でようございました」
     ヴィルヘルムと藤乃もそう瞳を細め、山女も大丈夫ですか? と優子に声を。
    「智慧さんに殺されかけたり今さっきの人といい災難が続きますね。今回は味方ですので安心して下さい」
    「戦争の時も見逃してもらったし、今日も皆さんのおかげで助かりました!」
    「そこのひよこの着ぐるみを着ている智慧さんと仲良くしてあげてくださいね」
     そう山女は、ひよこぐるみ姿の智慧へと目を向ける。
     山女も実は、山女魚の着ぐるみなんですけどね!
     そして礼を言う優子との友達の証に、連絡先をぴよぴよ渡す智慧に続いて。
    「さてととりあえず一応この携番とメアド受け取ってくんない。今後もいろいろあるだろうし。というか個人的に関係作りたいし。できれば3日おきぐらいに連絡来たらめっちゃうれしい」
    「とりあえず今回のことはラブリンスター達に報告した方がいいだろう」
     連絡先を渡す、ラックスとヴィルヘルム。
     それを素直に受け取るも、私の連絡先は事務所が管理してるので、と申し訳なさ気に頭を下げる優子。
     そしてそんな彼女を見つめるのは。
    「ところで、触らせてもらってもいいかしら?」
    「……よければふわふわに、少し触れてみても良いかしら?」
    「ふわりんスターさまのふわもふをたんのうするのですー」
     わきわきそわそわしている、黎花や鈴乃に藤乃。
     勿論、ふわりんスターの返事はOK! ということで!
    「なかなかのふわふわね。んー……ふう、堪能」
     さわさわ、撫で撫で、揉み揉み、すりすり。心ゆくまでふるもっふ!
     ついでにネコぐるみな紗矢ももふり、つやつや目一杯もふもふを満喫した後。
    「努力をしている貴方の姿、私は好きですよ? 絶対にアイドルになって下さいね?」
    「貴女の努力する姿は美しいと思いますわ」
    「何かを成し遂げようと努力する姿は美しい。これから頑張ってくれ」
     友好的でもダークネス、ではあるものの。
     彼女に声を掛けた後、任務完了だ……と。歩き出した龍夜の背に返るは、元気の良い返事。
    「はい! 私、頑張ります!」
     そして、アイドルスマイル咲かせる佐藤・優子に。
     灼滅者達は、熱いエールを送るのだった。

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年7月9日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 13
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