ヒーローに憧れた暴れ者

    作者:幾夜緋琉

    ●ヒーローに憧れた暴れ者
    「おーし、いけいけーっ!! そうだ、やれやれーっ!!」
     とある映画館……とある特撮ヒーローものの映画を見ている少年。
     映画館だから、声を出すのは本来マナー違反だけど、まぁ子供向け映画だから、それはそれで許される。
     周りに居る、同い年位の小学生達も、同じように。
    『そーだー。いっけー! まけるなーー!!』
    『まけちゃだめー。やだよー、まけないでー!!』
     とか、そんな言葉が映画館の中に響き渡る。
     ……でも、その映画は……演出上の為か、ヒーロー達が一度倒されてしまう。
     絶体絶命……と言ったところで、映画は前編終了、と出てきて、後編は一月後……と出て来る。
    『えーーー!!』
    『なんだよそれー!!』
     そんな子供達の不満はさしも当然……でも、映画は終わり、映画館の人達が子供達を宥めながら映画館から帰らせていく。
     空は夕暮れになり……そしてその帰り道。
    『なんだよなー。あれってありかよー』
    『まったくだよー。あー、むしゃくしゃするー』
     そんな言葉を交している……その中の一人の頭を見ると、黒曜石の角がぽちり、と出ていて。
    『あー……むっかつくー。あばれてー』
     と言い……そして、帰り道の傍らにあったゴミ箱とか、犬猫を蹴っ飛ばしたりして、鬱憤を晴らすのであった。
     
    「……と、みんな集まってくれたな? それじゃ説明するぜ」
     神崎・ヤマトは、集まった灼滅者達に早速説明を始める。
    「今回、皆に相手にしてきて欲しいのはこの少年と……少年の周りに居る子供達だ」
     と差し出された写真に写っていたのは、快活そうな少年。
     なんかサッカーボールを蹴っていそうな、アクティブな少年の顔。
    「どうやらこの少年は羅刹らしくてな……彼がどうやら、ヒーロー映画にむかついて暴れ回ろうとしているみたいなんだ」
     そういうヤマトの表情は、何処か少しだけ笑っている様な、そんな気がする。
     確かに羅刹という所はある。でもやっている事は、子供の頃、誰でもしていそうな事。
     まぁ……羅刹の力でやられてしまえば死人が出てしまいかねない物騒さはあるけども。
    「幸い少年は、まだ元の人間としての意識を遺している状態。ダークネスの力を持ちつつも、その力の振るい肩を、むしゃくしゃするから、という事だけで発揮している様な状況だ」
    「そんな少年に出来れば説得をしてもらい、闇墜ちから救い出して欲しいんだ。無論、灼滅者の素質がなく、完全なダークネスになってしまうようであれば……灼滅してもらう事になるんだがな」
     そしてヤマトは続けて、敵戦力について。
    「彼はまだまだダークネスの力の使い方を良く判っていない様で、基本は前に出て殴りかかってくるのみだ。そして周りの強化一般人についても、同様に子供がダダをごねるが如く前に出ての近接攻撃だけだ」
    「とはいえ元は羅刹だ。一撃一撃、攻撃力は中々高い。真っ正面から直撃を受ける様な事をすると、いつのまにか体力が削られてた……って事にもなりかねないぞ」
    「後は……そうだな。少年達が見に行った映画は、とある特撮映画だ。だがこの映画、不評が一杯出てるようでな……調べた所、前後編になっているのに、それが表示されてないっていうのが不満の大要因になっているみたいなんだ」
    「とは言え、だから暴れるという事をされても困る。そんな少年の心意気もちょっとは理解してやりつつ、説得手段を考えてみてくれな?」
     そして、最後にヤマトは。
    「今回の羅刹は少年だ。まぁ……ちょっと過ぎた悪戯をしちまってる、って感じになるだろうから、皆も少年の事を理解してやってくれ、な?」
     と苦笑いしつつ、皆を送り出すのであった。


    参加者
    月歌・魅呼(アイドル候補生・d01195)
    御崎・美甘(瑠璃の天雷拳士・d06235)
    エリ・セブンスター(今だけちょびっとヒーロー・d10366)
    来海・柚季(泡沫の眠り兎・d14826)
    相馬・貴子(高でもひゅー・d17517)
    三条・三日月(宗近・d17859)
    宮澄・柊(迷い蛾・d18565)
    水前寺・苺(笑顔の代行者・d18689)

    ■リプレイ

    ●あこがれ
     ヤマトより話を聞いた灼滅者達。
     彼らの向かうは映画館。
     夏休み目前という事で、映画館には子供向けの映画……所謂特撮ヒーローが出て来る映画が全盛。
     でも……今回の映画は。
    「衝撃の結末! 確かにそれはちょっと意地悪だったかもねー」
    「そうよね。告知無しでそんな事やられたら、怒るのは当たり前だと思うな。まぁだからといって、羅刹の力で暴れられたら敵わないけどね」
     相馬・貴子(高でもひゅー・d17517)に、御崎・美甘(瑠璃の天雷拳士・d06235)が苦笑する。
     そう、今回の映画は……子供達にとっての期待を削ぐやり方をしてしまった。つまり前後編の形。
     それも全くの告知無し……制作が間に合わなかったからとか、そういう事かもしれないけど、それはさておきとして。
    「まぁ中途半端な終わり方を見せられて憤慨するのも解るが……暴れるのは良く無い」
    「ええ。ヒーローが倒れたままじゃ納得がいかない。そんな子供達がヒーロー嫌いなワケがない。きっと良い子だよ!」
    「そうだね♪ この子達は悪い事をしちゃってはいるけど、でも本当はヒーローの活躍を楽しみにしているんだと思うんだ♪ だからこそ、子供達にはちゃんと考えを改めてもらおうね!」
     宮澄・柊(迷い蛾・d18565)、エリ・セブンスター(今だけちょびっとヒーロー・d10366)、そして月歌・魅呼(アイドル候補生・d01195)の言葉。
     そしてそれら言葉に、思い出したように。
    「……ヒーローですか……」
    「……ん、どうしました?」
     来海・柚季(泡沫の眠り兎・d14826)のぽつりつぶやいた一言に、三条・三日月(宗近・d17859)が小首を傾げると。
    「いえ……ヒーロー、昔は結構憧れてたんですよね……」
    「ああ……そういう事ですか。確かにヒーローショーは、子供の頃……意外に熱中していたものですよね」
    「ええ……と。何はともあれ、悪役になっているヒーローは助けないといけませんね。そうしないと、彼らこそが闇墜ちしてしまいますし」
     そんな二人の会話に、柊が。
    「……しかし、闇墜ちしてしまう位の映画の内容……正直、怖い物見たさで、ちょっと気になるな」
     と真顔で告げる。
     ……まぁ、それほどまでに、その映画に熱中している子供達。
     そんな子供達が、心底まで悪い子とは思えない。だからこそ、必ずや助けよう、と心を強く持つ。
    「子供とは言え、落ちかけのダークネス……だから気を引き締めて……よし、頑張ろう」
     そんな仲間達が気合いを入れる中……水前寺・苺(笑顔の代行者・d18689)が肩を竦めながら。
    「……私の本業は暗殺なのですが……殺せない相手なら仕方有りません。さっさと仕事を片付けて戻る事にしましょう。心情は鮮やかな仕事……相手は小学生、とは言え手加減……しますけど、しませんよ」
     苺は少し複雑そうな表情。そして。
    (「……ヒーローごっこなんて、やった事ありません。上手く出来るか、心配ですね……」)
     と、仲間達のしようとしている事に、一抹の不安を覚えるのであった。

    ●うらぎり
    『くっそー。なんなんだよー。あんなのありかよー』
    『まったくだぜ。ひーろーはまけない、そんなのとーぜんなのにー。むっかつくーあー、あばれてー!!』
     6人の子供達が、ショッピングセンターにある映画館から不平不満を口々に話ながら出て来る。
     そんな少年達の目の前にあったゴミ箱……がっ、と足蹴にしたりする彼ら。
     不平不満が最高潮に達し、そして……羅刹の力が、表に体現しつつある。
     ……そんな少年達を見て、三日月が。
    「それでは、始めましょうか……柚季さん、魅呼さん」
    「ええ、解りました」
     柚季が殺界形成、魅呼がサウンドシャッターを使って……その場から一般人の影を消す。
     そして影を消すと共に。
    「……ちょーっと待ったーー!! そこで暴れようとしている子供達! ちょっと待って下さい!」
     大声で、その場に突撃を仕掛ける灼滅者達。
     三日月の声に振り返る少年達。
    「だめだよ、みんな、いいこでしょ? そんな事をしちゃだめなんだから!」
     魅呼はマテリアルロッドを構えつつ、片目でウィンク。
     そしてその後ろから、貴子は何処かでみた悪の組織の女幹部風の服装に身を包んで。
    「オーッホッホッホ!! 弱い者を苛めるその姿、まさしく悪の行いだねっ! 見所あるキミ達を、わたしの戦闘員にしてあげよーう」
    『あく!? ボクたちはあくじゃないもん。せいぎのみかたもん!!』
     先頭の少年……羅刹の少年がぶーぶーと大きな声で言う。
     そんな少年に対し、今度は柚季、エリが。
    「ヒーロー参上、です……ハンガーヒーロー……っ!!」
    「闇の力を気魄に変えて、愛しき者の盾となる。『霧雨・心専属ヒーロー』エリリンスター、参上!」 エリはポーズが決まっているが、柚季は顔を真っ赤にしている。実のところ、内心。
    (「……やらなきゃ、良かったです……」)
     と、目一杯後悔していたりする……そしてその隣の苺も、ヒーローごっこに対して……先ほどの不安を正しく実体験していた。
     しかし、そんな灼滅者達の言葉に対して子供達は。
    『うるせー。なんだよおまえたちはー。むっしゃくっしゃするー!』
     ぷんぷん、と怒る少年達。そんな少年達に。
    「うんうん。まぁそんなに怒らないで、ね? まずは話、聞かせて貰いたいんだけど……なんで、そんな事をしてるの?」
    『だってー。あのひーろーえいがひどいんだもん。ひーろーはまけておわっちゃうなんて、ひっどいはなしでしょー?』
    「そうだね。あの映画見たんだね? あれはひっどいよねー。続くなら先に言ってくれって話だよね?」
    「うん。あんな所で話がきられたら、凄くもやもやしますし、気持ちは良ーく分かります。でも、それを理由にして暴れたら、自分の好きなように暴れ回る悪の手先と同じになっちゃいますよ!」
    『う……、でも、でもでもでもさー、ひーろーがまけておわるってどうなんだよー。そんなのおっかしいよー』
    「うん。それも解る。納得出来ないよね、ヒーローは負けない、その通り! でもさ……ヒーローは本来弱い者の味方で、最後には必ず勝つ。何度倒れても、何度負けても……ね」
    「そう。いつも勝ち続けるヒーローってどう思う? 強い敵の前に一度は負けちゃっても、新しい力を、技を手に入れて勝利する。それでこそヒーローだとあたしは思うなぁ」
    「うん。映画にはわたくしも不満があるけど、ヒーローは何度やられても、何度だって復活して最後には悪に勝つのよ★ だから信じて復活を待てばいいと思うよ?」
    『でも……でも、むしゃくしゃするよー。おっかしいよー』
    「だからって、むしゃくしゃしたからって君達がしていることは、悪の組織とあまり変わりません。悪を許さないのがヒーローです。それに、悪に負けるヒーローなんていませんから」
    「そうよ。これはきっとあくのそしきの仕業! 何よりもまず、正義の味方に必要なのは勝利を信じる強いココロ! キミたちは今、ヒーローの資質を試されているの!」
    「人を傷つけるのではなく、人を守るヒーロー……そういうヒーローなら、私は、カッコイイと思うんです」
    『……でも、いっかげつって、なつやすみおわっちゃうよー。そんなにまーてーなーいー!』
    「後編が一ヶ月後なのは、ヒーローが復活する為に必要な時間なんだよ、きっと! だから、一ヶ月後には復活して、悪をやっつけてくれるよ♪」
    「そうだね。魅呼ちゃんが言っているように、この一ヶ月間は復活のための時間なんだよ。大丈夫、キミがヒーローを信じるなら、必ず最後には勝つんだから! ね?」
    「それに、ヒーローに憧れるキミたちが、一体どうしてこんなことをするの? ピンチになっても折れない強さこそが、正義の味方の最大の武器! 戦いはまだまだ続くんだよっ?」
    「ええ。ヒーローっていうのは負けない。一度は倒れても必ず復活して敵を倒します。それを期待して続編を待つっていうのも、想像するとちょっと楽しそうじゃないですか?」
    「八つ当たりなんてするもんじゃないよ。それはヒーローらしくない。まぁ……気持ちはわかないでもないけど、ここは正義の味方らしく、耐える事も覚えよう、な?」
    「その通り。みんなのヒーローの力はただ闇雲に奮っていい力じゃない。キミにもヒーローの力があるんだ!ヒーローの力を信じて心の闇に勝てれば、キミもヒーローになれるよ!」
     ……そんな灼滅者達の、次々と交された言葉に……周りの強化一般人の子供達が。
    『……なぁ……どーするよ?』
    『……なんだか、わるいひとたちじゃなさそーだぜ?』
     そんな仲間達の言葉に対し……羅刹の少年は。
    『っ……うるせーうるせー。うるせーからむかつくー。むかつくから、たおすぜー!! おまえらもたたかえー!』
     そんな言葉で、羅刹の少年、更に強化一般人の子達も……拳をぎゅっと握りしめる。
    「まったく……仕方有りませんね。行きましょうこしあん。解らずやさんにはおしおきです!」
     三日月の言葉に、霊犬のこしあんがわぅん、と吼えて構える。
     そして早速動きはじめるのは、羅刹の少年。
    『これでもくらえー!』
     大きな声と共に攻撃開始……流石、羅刹の力は強くて、大きなダメージ。
     しかしその攻撃を受け止めたのは、苺のビハインド、若草。
    「……ありがとう、若草」
     苺の言葉にこくり、頷く若草。そして羅刹の攻撃に続き、周りの強化一般人達も次々と攻撃。
     でも、それら攻撃はエリ、柚季、貴子、そして貴子の霊犬、てぃー太がそれら攻撃をしっかりとカバーリング。
     そして、攻撃を受けた仲間達に、柊がエンジェリックボイスで回復。
     更に魅呼が。
    「さすがにその力に慣れさせちゃうとマズイし……早速だけどいっくよー!」
     魅呼が奏でるディーヴァズメロディ。
     その歌声に……二人の強化一般人が催眠状態に陥る。
     そして残る3人の強化一般人の内、一人をターゲットに。
    「みんな、あの茶色の服を着た子からいくわよ!」
     美甘の言葉に合わせ、苺と二人で……クラッシャーの手加減攻撃。
     流石にその攻撃力は、強化一般人に対しての威力としては強力で……一人目が崩れ落ちる。
    「どうやらそこまで強い、という訳ではない様ですね……勿論、油断は出来ませんが……こしあん。次は右の青い服の子です!」
    『ワンッ!』
     三日月と息もぴったりなこしあん……そして青色の服の子に。
    「いい子ですから……ちょっと寝てて下さいね!」
     と、こちらも手加減攻撃で攻撃をする。
     ……そして次の刻には、二人目と三人目、更に次の刻で四人目……合わせて五分で、全ての強化一般人を打ち崩す。
     とはいえ羅刹の子、そして強化一般人の攻撃は着実に決まっていき……その攻撃に。
    「キィィ、オシオキだよーっ!!」
     幸か不幸か、痛い所に当たってしまい、怒る貴子が居たりするけれど……それはさておく。
     残るは羅刹の少年、ただ一人となって。
    「さぁ……後は貴方だけですね。ヒーローがヒーローたる所以の不屈の闘志、今、見せて上げましょう!」
     三日月の宣言、そして苺がクラッシャー攻撃を仕掛け、更に美甘が。
    「御崎流・落風! ちぇやっ!!」
     少年の身体をばっくから掴み、そのままDDTばりに技を一発。
    『い、いたいよぉおぉ……!』
     そんな泣き言を言う少年。
     でも……灼滅しなければ、結果は分からない訳で。
    「ごめんね……でも、信じてるから! だから……倒れて!!」
     エリがプリンセスモードを発動し、そして……強烈な一撃。
     その一撃に、羅刹の少年は……大きな叫び声を上げて、灼滅されるのであった。

    ●よいひと
     そして……灼滅後。
     彼の身体は消えずに残った……という事は、つまり灼滅者の素質があったという事。
     そんな少年の手に……静かに続編の映画のパンフレットを握らせる苺。
     そして、強化一般人の子供達の少年達の頭を一人ずつ、魅呼は。
    「大丈夫。みんないい子だから、ね? ……だから、もう暴れちゃだめだよ?」
     と、優しく微笑みながら撫でていく。
     ……そうしている間にも時間が経過して……。
    『……う、ぅぅん……』
     身じろぎ、そして……起き上がる少年。
     目を開き、周りをきょろきょろ……そこには灼滅者達の姿。
    『えっと……あの、みんな、だーれ?』
     きょとんと、不思議そうに言葉を紡ぐ少年。そんな彼らに目線を合わせて柚季、魅呼が。
    「えっと……大丈夫? みんな、気絶してたんだよ?」
    「そう。映画の見過ぎで、ちょっと興奮しすぎたのかな? でも、もう大丈夫みたいだね?」
    『あ……え……っと……』
     そうしていると、苺がその手に握らせてくれたパンフレットに気付く。
     そのパンフレットには、彼の大好きな特撮ヒーローの名前がしっかりと記載されてて。
    「そうそう、その映画の続き、来月なんだってね? もしよければ今度、一緒に見に行く? 勿論お友達も一緒に、ね?」
    「そうですね。続編が封切りされたら、一緒に見に行きませんか? 待った分だけ、きっと楽しみになると思うんです。勿論……それがもし納得がいかない結末だったら、今度は自分が理想のヒーローになればいいんですしね!」
     エリと三日月が言葉を掛ける……その中で、魅呼がテレパスで、子供達の心を読み解く。
     どうやら灼滅者達の言葉に対しては、そんなに不信感は覚えていない様である。だが……突然話しかけられて、ちょっとした戸惑いがある、という感じなのだろう。
    「あ……もしかして、さっきまでの事……何となく覚えているのかな?」
     と美甘が一人一人の少年の顔を見つめながら言うと。
    『うん……あの、何なの?』
    「あれはね……ヒーローの力なの。キミにも本当は、そういう力がついてるのよ?」
    「そう。もしその力の使い方をしっかりと覚えたいのなら、アタシ達と一緒にこない? そうすれば、きっとヒーローみたいに強くなれるはずだよ?」
    「そうね。大丈夫、解らない所があれば、あたし達が教えて上げるから……ね♪」
     エリと美甘の言葉に……少し、考えた風の少年。
    『……えっと、ね? お父さん、お母さんに、聞いてみる……』
    「うん。それでいいよ。あ……これ、連絡先ね」
     笑い掛ける美甘……連絡先を教えると共に。
    「それじゃ今日は、もう夕方だし帰りましょうか? もし良ければ、観た映画の話聞かせてくれませんか?」
     三日月の言葉にうん、と頷く少年。
     そして少年と手を繋いで帰る仲間達……を見送る柚季と苺。
    「……一緒に、行かないんですか……?」
    「ええ……折角だから、私も映画を見に行きたいな、って……ヒーローの映画、嫌いでは無いですし」
    「そうですか……私に構わず、どうぞ……行っていらっしゃいませ」
     くすりと笑う柚季に、苺はそうですか……と軽く微笑むのであった。

    作者:幾夜緋琉 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年7月21日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 12
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