7月14日、15日と2日間に渡って開催され、とても盛り上がった学園祭。
学園祭準備で遅くまで残って意中の人と距離が縮まっただろうか?
学園祭当日、一緒にクラブ企画を周って仲良くなりはしただろうか?
しかし、楽しかった学園祭も終わりを迎える。
あと数時間、学園祭の貴重な残り時間を、きみはどう過ごそうか。
武蔵坂学園のグラウンドは大きい、その中でも隅っこの暗がりの一角。
ちょっと奥まったグラウンドの一か所で、彼らはキャンプファイヤー用に組んだ丸太の前に集まっていた。
彼ら……――。
そう、彼らに統率者は無く、全てが同志だった。
彼らは自然発生し、気がつくと自然へと帰って行く。
メンバーに誰がいるかは不明、どう連絡を取り合っているかも不明。
しかし、彼らはリア充が発生するタイミングで確実に自然発生する。
ある者は覆面を、ある者は三角頭巾を、ある者は素顔で……。
彼らの名は――RB団。
「学園祭も終わりだな……」
「お前はどうよ? 俺は声かけまくったけど全滅したぜ……」
「俺は何度か襲撃しようとして灼滅されかけた……この学園過激過ぎじゃね?」
「いや、それは俺らに問題があるんじゃねーかな。いや、ないか」
「ああ、ないな」
「だな……」
いつの間にか火のついて無いキャンプファイヤー組み木の前には、覆面や頭巾の怪しい姿の者や、見バレ覚悟の素顔の団員が続々と集まっていた。
やがて集団の中の1人が宣言する。
「ここには新たにRB団へと目覚めた者、去年から、いや生まれた時からRB団の者達もいるだろう。学園祭は終わった! だが、俺たちの活動は終わりじゃない!」
「そうだ! その通りだ!」
1人に続いて別の同志が立ちあがる。
「みんな! 俺たちの誰にも負けない特技はなんだ!」
『くじけないしっと心!』
2人目に続いて全員が立ちあがり唱和する。
「そうだ! そしてこの機会にアレを開くのはどうだろう!」
「おお、アレか!」
「アレをやるのか!」
「確かに、こんな時しかやれないしな!」
「え、アレって何なんだよ? カバティか? 恋愛ゲームか?」
「否! RB団のRB活動のRB爆発のための反省会! 名付けて……『RB団サミット』!」
『おお~~!』
彼らの異様なオーラが次々に沸き立ち始め、やがて吠えるように団員達が叫びをあげる。
「目的は!」
「リア充撲滅!」
「合い言葉は!」
「リア充爆発しろ!」
「我ら!」
『RB団!!!』
●議題1、RB団とはリア充とは?
「諸君! あえて問おう! RB団とは何なのか?」
ロの字型の会議机の席から立ち上がり、そう宣言したのはディアス・シャドウキャットだった。エプロンドレスの美少女にRB団は初っ端から盛り上がる。残念ながら女装男子だが……。
「あ、それなら『りあじゅう』が何かも一緒に教えてくれない?」
手を上げて発言するのは竹尾・登。
どうやらRB団やリア充についてまずは説明する所から入る必要があるらしい。
「ではリア充から説明するでおじゃる」
立ち上ったのはバカ殿の格好をした紅羽・流希だ。
「朕は色々な所を周ったでおじゃるが、リア充どもがどこに行ってもいちゃこらしていたでおじゃる」
黙って聞くRB団達。
「あまつさえ! 朕が乱入して空気が壊されたと文句を言われ申したが、そんなこと知ったことではないでごじゃる!」
「いいぞー! その通りだー!」
桜井・夕月がやんやと合の手。
次に立ち上がったのは風紀委員っぽい腕章を付けた九十九坂・枢。
「私は言いたい! この暑いのにくっつくな! 見た目の体感温度あげるな! んでもって涼しい場所占領していちゃつくな!」
ゼーゼーハーハー。
「こほん……このように、リア充はある意味地球温暖化の一因であり、そちらの面からも撲滅は必須だと思いませんこと?」
「その通りだー!」
『だー!』
夕月のガヤっぽさに触発され他のモブRB団も揃ってやんややんや。
「昨夜、私が喫茶店で接客をしていた時の事です」
話し始めたのは覆面姿の阿剛・桜花。
「客はカップルばかり、しかも一緒にいた店長の恋人まで来店し……最終的にお店で独り身は私だけに!」
拳を震わせる桜花。
「リア充喫茶は重点的に襲撃するべきですわ! リア充爆発しろ! RB団に栄光あれ!」
『栄光あれ!』
「わかった! 理解した! リア充は敵だ!」
夕月が宣言する。
「今日この日より、RB団に入団させて頂きます! リア充多過ぎんだよこの学園!」
『おおー!』
「拙者もモテないでござる故、その気持ちはよぉーっくわかるでござるよ!」
忍者のハリー・クリントンが涙ながらに同意し、RB団っぽい覆面を着用すると。
「拙者、RB団として活動していく事を胸に誓うでござる!」
夕月とハリー、新たな2人同志誕生に盛り上がる一同。
リア充の有害さ、そしてそのリア充を爆発させる正義の集団、それがRB団なのだ。
●議題2、裏切り者がいる!
新たな同志に盛り上がった後、改めてと黒い三角頭巾のRB団がサミットを進めようとするが、それをディーン・ブラフォードが遮る。
「まず……スパイの皆さんは挙手を願います」
ざわ……ざわ……。
まさか?
笑い飛ばす団員たち。
ダンッ!
机を叩き雑談を止めさせたのはRB団内でも屈指のチームリーダー、シルビア・ブギだった。
「いいや、裏切り者はおる」
よいしょと机の上に立つと、スタイリッシュに回転し、ビシッと指差すは素破・隼。
「拙者でござるか!?」
「そんな!? 素破様はRB団として一緒に活動してきた魂の家族、裏切りなど!」
「夜鈴殿……」
動揺しながら声を張り上げるのは鮎宮・夜鈴、その擁護に感謝を意で瞳を潤ませる隼。だが夜鈴の手は同志アイスバーン・サマータイムと共にせっせと隼をロープで縛り手錠をかけていた。
「そこのニンジャは――」
ハリーがハッ!?とする。
「お主ではない!」
シルビアが言い直す。
「そこの隼は通りすがりの女子に声をかけられておった! きっと恋じゃ!」
「ま、待つでござる! それは偶然――ぎゅぅ」
アイスバーンが言い分け無用とロープをキツクする。
「疑われるようなことをしてる時点でリア充の証拠なんです。わたしなんかここ数日、話したのはコンビニ店員さんだけですよ?」
モブRB団が「ビデオ屋ー」「俺先生!」とか同意しまくる。
やがて隼は花火用の大筒(どこにあったんだ?)に詰め込まれ、3、2、1……。
「正義はいつも勝つ! にゃははは!」
シルビアの高笑いと共に夜空に打ち上げられたのだった。
大輪の隼を、夜空を見上げるRB団達。そんな中、知り合いの女性を驚かせようと近づいていた真夏月・牙羅は、何かがポトリと落ちて来て思わず拾ってしまう。
ソレを拾ったのは牙羅だけではない、シルビアや他のRB団も同様に……。
「ペンギン?」
誰もがそう呟いた瞬間。
――カッ!
閃光と共に大爆発を起こす。隼が大量に所持していたペンギン型自爆装置だった。
「判決は爆発の刑ですのーっ!?」
『ぎゃーーーっ!』
ガタガタ、ゴトゴト。
爆発慣れしたRB団員が黙々と机を並び直し、黒い三角頭巾のRB団が立ち上がって今度こそサミットを再開しようとするが――。
「まだだ」
観屋・晴臣が机の上にボロボロのRB団員を投げ捨てる。
「異端者を処分しておいた。RB団とはいえ学園祭の魔力には叶わない」
「………………」
晴臣が説明する中、じっと眼を瞑り聞き入るのは祁答院・在処。なにを隠そう在処は学園祭を女子と回っていたのだ。いきなり欠席の方が怪しいと参加したが……。
「祁答院在処さん、実はあるタレコミがありまして……あなたは、異端者ではありませんよね?」
「無論だ」
冷静を装い返事をする。
「では……この夏の予定は?」
「無論、特に無いな」
ざわ……ざわ……。
「(しまった!)」
疑惑の視線が在処に注がれる。
RB団にとって夏はリア充狩りの季節、何も無いなどありえない。
「ふ、不覚……」
●CM
子供っぽいポーズ、清楚で恥じらいのポーズ、胸を強調したセクシーポーズ。
ちなみに風真・和弥が持ち込んだ某美少女アイドルの写真集の話である。
ついでに流れるはそのアイドルの曲。
『ドキドキ(ドキドキ) ドキドキ☆ハート』
「ちなみに写真集は直筆サイン入りだ!」
風真和弥、RB団でも古株の1人……なぜその道へ。
●議題3、学園祭の反省と提案
ロの字型に並べられた机の後ろには、在処と隼が磔にされた十字架が(隼の方は『道聞かれ、異性と会話、舞い上がる』と辞世の句が)あった。
「……哀れ、かな」
2つの十字架を眺めてディアスが呟く。
まー、日常茶飯事ですが。
「間に会ったー!」
「アッシュ、遅いよ」
遅れて来て皆にトマトジュースを配り終わったアッシュ・マーベラスを、登が隣の席に呼ぶ。
「ううん、何でも! それより間に会ったかな? ニホンでトレンドのRB団、楽しみにしてたんだ!」
笑顔で言うアッシュに、やっと始まりそうだよと教えてあげる登。
すでに机の上には枢のマドレーヌや、裏方・クロエのお菓子、他のRB団員が持ち寄った甘いものやおにぎりが大量に並び、サミットというよりパーリー会場な空間となっていた。
「さて、いい加減サミットを始めましょう」
黒い三角頭巾のサバト服、霈町・刑一がやっとサミットの開始を宣言する。
もう文字数半分消費してるけどRB団だから仕方無い。
「まずは学園祭での報告をまとめました」
刑一がプリントを配布しつつ。
「広場や水着会場にもリア充がいたとの事ですが……」
「ボクも聞きました! それらはリア充に占拠されていたと! きゃつ等は強敵です!」
クロエが立ち上がり断言する。
RB団員達もうんうんと頷く。
「個人としては、色々なクラブを周りRBの足跡を残してきたのですが……果たしてどこまで効果があったのか……」
RB活動は地味で茨の道である。サミット内に沈鬱な空気が流れ。
だが。
「刑一先輩! サインくれよサイン!」
嶋田・絹代がダッと近づき刑一にサインを強請る。
「知名度を上げるロビー活動は大切なのです」
クロエがサインする刑一に感心する。
ちなみに絹代は「ラブリン所の淫魔を利用すれば良いんじゃね?」と提案するも、「ダークネス相手でもリア充になる者がいてはダメだ」とRB団員に却下される。
さりげなく和弥が残念そうだった。
「師匠―!」
そう言って手を上げるのは紫宮・樹里。
「私は冷たい物を飲み過ぎて胃が……で、学園祭に参加できなかったのです。だから、イベントに万全の態勢で臨むためにも、強靭な胃を鍛える事が重要だと思うのです」
樹里が提案する様々な飲み物をカップルに提供しつつ、自分達の胃袋を鍛える作戦は採用される事となった。
「私から提案したいのは団員の折れない心をいかに養えるか、です」
そう宣言するのは幌月・藺生、『おにぎり、しゃーッス』とRB団員達が頭を下げる。藺生の『ようこそRB団サミットへ~和みの夕べ~特製シャケおにぎり』は大好評だった。
「紫宮さんも言うように、私達の心身を鍛える機会、それが必要だと思います」
藺生の提案に、鍛える機会ならあります! と立ちあがったのは黒木・摩那だ。
「この夏、アイスを頼む時はあえてシングルにして下さい。RB団たる者、カップルを連想させるダブルを頼むなど論外なのです」
『おおー』
「普段から嫉妬心を忘れない。その心がけが心身を鍛える事に繋がると思います」
ブラボー! と拍手が巻き起こる。
そんな中、力の源を知るのも大事です、と後光を背負って立ち上がったのはフードが外された白いサバト服を着た黒橋・恭乃。
「いいですか、RB団というのはリア充に至るまでの猶予期……(略)……リア充になりたいという欲を認める事、それが更なる力を生む事になるのです」
説法内容にサミット会場が大きく紛糾する。
●議題4、新たなる作戦立案
「同志諸君!」
叫んだのは覆面姿の五代・拓海だった。
「俺は此処にオペレーション・アルタイルを提唱する!」
オペレーション・アルタイル
それはプライベートタイムを妨害し恋愛熱を冷まそうという織姫彦星作戦である!
「学生カップル如き、少しの時間離れてるだけで熱は冷めるはずだ!」
確かにとRB団内でいいね! が飛び交う。
拍手の中席に戻る拓海、続いて立ちあがったのは柿崎・法子だった。
「リア充爆発しろとは『よく言われること』だけど、もっと効果的なものは無いかな?」
「1つなら」
そう言って手を上げたのは西原・榮太郎。
「まずは凄いと言わせて頂きます。その執念、学ばせて頂きました」
それほどでも、と謙遜するRB団員達。
「とりあえず、噂を流すのは如何でしょうか。RB団に爆破されたリア充は末永く続く、とか……うまくいけば各自自由に爆破し放題――」
「素晴らしい!」
盛り上がる団員達。
「フリーーーーダム!」
騒がしくなる中、机の上に立って叫んだのは仮面のラックス・ノウン。
「俺が考えた作戦はこうだ! まずリア充の口にダメージクリスタル(?)を押しこむ! これは食べると口の中が痛くなる! 笑う!」
ドヤ顔のラックス。
「あははははは! 同意見だね!」
そう笑い飛ばすのはRB団のロックこと、夏炉崎・六玖だ。周囲にはすでにRB激辛食材を試食させられ倒れたモブRB団員たちがいた。
「どうだいこの威力! このRB兵器でリア充を爆破しようではないか!」
素晴らしい発明だ、とRB団員達が感嘆し、試食し、自滅していく。
「同志諸君、1つ忘れて無いか? 我らが道を阻む者達の事を」
『義勇軍か!』
「その通り。俺の提案はその義勇軍対策についてだ」
義勇軍に煮え湯を飲まされている者は多い、フィンの台詞に皆が注目する。
「それは……自爆だ! 最後まで戦い続けるのも良い。だが、散り際にも我らの華があることを理解してほしい」
フィンの法案は大絶賛で迎えられたのだった。
そんな中、ディーンが手を上げる。
「男女の仲を引き裂くには、片方だけに興味があるコンテンツを開催し、もう片方を放置するのはどうだろう?」
理論的で真っ当なアイディアである。しかし学園祭が終わっていつやると言うのか。
そこで立ちあがったのは九条・風だ。
「あるさ。リア充どもが色々な一線を越えてしまう危険な行事、そう、臨海学校!」
風が提案するのは臨海学校で肝試しを行い、剣山や地雷や巨大岩で殺人トラップを仕掛けるという作戦だった。
過激過ぎるので学外で行うイベントで使うのは微妙な気がします。
え、学内なら? HAHAHA!
「……次なる聖戦、臨海学校……同志達に周知徹底する必要があるですね」
クロエが横の刑一に言う。
「そうですね。修学旅行ほどでないにしろ、敵は多いでしょう」
刑一の重苦しい言葉に、サミットの皆がしんと静まり返る。
『敵』の多い臨海学校。
彼らはそこに乗り込まなければならないのだ。
頑張れ、応援はしておきます。
●議題5、そろそろ……
「皆様の熱い思い、この私の胸にも響きました」
サミットも終了間際、そう言って立ちあがったのは書記をしていた丹下・小次郎だ。
「書記お疲れ」
「いえいえ、それほどでも」
労われる小次郎。
「違います。私は軍師です。実は義勇軍の方々にこのサミットの情報を漏らしておきました」
『うぉぉおおいっ!』
「大丈夫です。終了時間を開始時間と偽って伝えましたので」
つまり義勇軍に乱入されず最後までやれたのは……。
「凄ぇ書記もいたもんだ!」
「軍師です」
●義勇軍
「なんだこりゃ……トマト、か?」
RB団っぽいのがいるとタレ込みのあった場所と違う場所に向かったエーミル・アシカイネンは、プール脇でサバト服と釘バットと液体がバラ巻かれた場所で戸惑っていた。
リア充爆発と書かれた紙が散乱し、1枚だけリア充めぇぇと恨み節だったが意味が解らない。
一方、今度こそ改心するのではと身に来ていた花宝院・アリスは、怒りに討ち震えていた。早目に来たせいで小次郎の作戦を丁度聞いたのだ。
義勇軍に速攻で連絡を回すと、暗がりサイキックを打ち放つ。
――ズバババババッ!
光が乱舞し会場に降り注ぐ。
「フ、フ、フ……RB団、許 す ま じ !」
一斉に傾れ込んでくる義勇軍。
義勇軍の突入方向と間逆の方からそそくさとアッシュや登と一緒に逃げようとするのは富山・良太だった。「青春かなー」とか思って聞いていたが、こんな事ならさっさと帰ればよかった。
ブンッ!
鼻先をブラックジャックが通り過ぎる。
「揃いも揃ってRB団とは……」
それを振るうのは笑顔の秋山・清美。
「気持ちは解ります……ですが、カップルを撲滅するのは少子化の更なる加速を意味します。よって、あなた達は有罪です」
お説教タイム? 残念、清美に手当たり次第になぎ倒されました。
「よくここまで来たね義勇軍、だけど活躍の機会は無いよ」
義勇軍に立ち塞がるのは法子。
「なぜなら、今回は爆破オチだからだよ。『よくあること』でしょ?」
ドドーン! ドカーンッ!
大混乱の中、書記の……じゃない軍師の小太郎が大声を張る。
「散りなさい皆の衆、全てはRBのために!」
蜘蛛の子を散らすようにRB団が散り散りに逃げて行く。
「世界のRBの風を!」
「闘志を燃やせ! これは戦争だ!」
「リア充」
『爆発しろ!』
作者:相原あきと |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年7月30日
難度:簡単
参加:36人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 4/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 26
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