学園祭~夜の教室で打ち上げパーティー!

    作者:本山創助

    ●学園祭終了
     色とりどりに飾られた武蔵坂学園を、沈む夕日がセピア色に染める。
     お土産を抱えて家に帰る生徒達が、別れの挨拶を交わす。
    「ばいばい!」
    「また明日ねー♪」
     明日からは、いつもの学園生活に戻る。
     楽しかった学園祭は、もう終わってしまった。
     だがしかし!
     学園祭の夜はこれからである。
     学園に残った生徒達は仲間同士で集まり、学園祭の最後を楽しく締めくくるのであった。 
    ●これはどんなシナリオ?
     どこかの空いている教室に集まって打ち上げパーティーをしよう! というシナリオです。その教室は軽く飾り付けがされている程度で、特に使われていませんでした。基本的には、ひとつのグループにつきひとつの教室が割り当てられます。そこでどんな打ち上げパーティーをするのかは、皆さんで決めて下さい。
     時間帯は夜です。詳しい時刻は描写しません。
     沢山集まってどんちゃん騒ぎするも良し、二人きりで思い出などを語り合うも良し。
     思い思いのやり方で、学園祭の夜を楽しく過ごしましょう!


    ■リプレイ

    ●八尋と薫平
     暗い教室を、月明かりが青く照らしていた。
    「夜の教室って……幽霊とか出てきそうだよね」
    「ははは、幽霊か。二人っきりだし、客が増えるならそれもいいかもね?」
     ポテチを食べながら、二人は語り合った。学校のこと、勉強のこと、そして――。
    「ね、薫平って好きな子いるの?」
    「俺は居ないなぁ……」
     笑いながら、薫平は八尋の目を見る。
    「八尋は今幸せなのかな?」
    「ひみつー」
     にっこりしながら八尋は思う。
     パーティーって言うほど特別じゃないかもしれない。
     けれど、幸せな時間。

    ●絆部!
    「お疲れ様ー!」
     悠の掛声とともに、四つの紙コップが合わさった。
     机の上に並ぶのは、バケツプリンや煉獄蒸し等、絆部特製の品々だ。
    「夜の教室って不思議。普段と違うところみたいでわくわくするね」
     興奮気味に話す紗奈。その口元に咲耶がスプーンを差し出すと、紗奈はより目になりつつ、ぱくり!
     悠は、そんな二人の頭をくしゃくしゃと撫で回す。
    「あっ、悠くんばっかりー」
     配膳に注力していたひよりが、手を休めて身を乗り出した。
    「さなちゃんも咲耶くんも、とっても頑張ったね」
     二人をいいこいいこ。
    「悠くんも! 頑張りました、だよーっ」
    「へへ」
     撫でられて照れ笑いする悠に、わたしも撫でる! と紗奈が一生懸命手を伸ばす。
     学祭の話に花が咲いた頃、咲耶が『Galette Lien』を取り出した。
    「今、食べるのが一番美味しい気がするんです♪」
     幸せいっぱいの食べさせ愛は、まだまだ続く。

    ●Orchid
     困難を極めた後片付けも、ついに終えることができた!
     というわけで――。
    「学園祭お疲れ様でした! かんぱーい!」
    「かんぱーい!」
    「乾杯ーっ」
    「か、かんぱーい!」
     紫苑の音頭に合わせて律希、黒々、貴子が笑顔で紙コップを合わせる。
     結も、そっと乾杯した。
    「あ、差し入れでわらび餅も貰ったから皆食べてね♪」
     紫苑のわらび餅をつまみながら、皆は体験した出し物について話した。
    「射的とか、ヒーロー喫茶とか、学園祭の醍醐味だよね……! それから呉羽先輩のライブも!」
     貴子の言葉に、律希が嬉しそうに微笑む。
    「知り合いが水着コンテストで入賞したんですよ」
     我が事のように喜ぶ律希。
    「水着……」
     水着という言葉に思わず顔を背けた黒々だが、皆は黒々の水着を口々に褒めた。
    「ボクは基本的に自分のクラブの店員やってただけでしたねぇ」
     慌てて話題を戻す黒々。ケーキを大食いしたこと等を報告。
     話は弾み、教室に笑い声が響く。
     ふと、紫苑が呟いた。
    「来年も何かできたらいいな」
     その手を、結がギュッと握る。
    「先輩、来年こそは一緒に楽しみましょうね!!」
     その言葉に、皆が笑顔で頷いた。

    ●メカぴ研
    「レッツパーリィ!」
    「きゅるるー♪」
     机に並べたケーキやパスタを囲んで、五人と二匹が乾杯した。
     椅子の上のメカピとヒメカも、皆に混ざれて楽しそう。
    「かぴばらかふぇ楽しかったねー」
    「メカピとヒメカもよう頑張ってたな」
     智恵理が野菜スティックを差し出すと、ヒメカは美味しそうにぱくぱく。
    「皆はお土産とかいくつくらい集めたん?」
    「ボクはスタンプラリーとかで色々回ったですー!」
     月夜が机の上におはじきやペンダントを並べると、メカピが目を輝かせて鼻先を近づける。
    「こっちの方がおいしいよー」
     エリオの声に振り返ったメカピが、エリオの手から苺をぺろり。
     イルルが串焼きを皆に配ると、二匹とも興味津々。
    「ほれ、野菜スティックで我慢じゃよ~?」
     その野菜スティックを、二匹は満足げにポリポリ。
     イルルと月夜の土産話に花が咲き、楽しい時間が過ぎていく。
     いつの間にか、エリオとヒメカが寄り添うように机に突っ伏していた。
    「エリオ君、寝てるん?」
    「エリオもヒメカもずっと頑張ってくれてたからなぁ。お疲れさま」
     沙雪がヒメカを撫でると、ヒメカが幸せそうに寝言を言った。
    「きゅるん♪」

    ●超常研
     暗い教室で、鍋がグツグツと煮えていた。
     コンロの炎が、鍋を囲む六人の顔を不気味に照らす。
    「皆さん変な食材を入れないって、私信じてます」
     何が何だか分からないものをつまんだ沙月が、意を決してそれを口に入れた。
    「あ」
    「沙月ちゃん……どうした?」
    「おいしい……カニシュウマイです♪」
    「これは牛肉かな? うまい」
     飛鳥も喜びの声を上げる。
     昆布、蟹、鶏肉団子などから良い感じのダシが出ており、皆は暑さも忘れて、しばし、その美味しさを堪能した。
    「ひょっとして、肉ばっかじゃね? これ」
     すっかり気の緩んだ晴彦が、笑顔で肉と信じるものを口に入れたとたん、絶叫した。
    「甘っ!」
     口の中に広がったのは激甘アンコだ!
    「か、辛いでござる~」
     その隣で涙を流すサーニャ。その舌の上には超激辛獅子唐が乗っている。
    「一度箸を着けた物は最期まで食べる。それがルールだからね」
     眼鏡を輝かせながら不敵に微笑む誠司。
     沙月のお説教を挟みつつ、闇鍋は佳境に突入した。
    「NKT……」
     誠司が謎の遺言とともに撃沈。
    「なにこれ……ぐふっ」
     晴彦も沙月の膝の上に倒れた。二人にとどめを刺したのはリコリスだ。
    「これを飲むでござる!」
     誠司を青汁で看病するサーニャ。
     沙月はうちわで晴彦を扇いでいる。
    「お? 普通に食えるな」
     そんな中、新巻鮭と格闘する八雲と飛鳥。
     超常研名物の闇鍋は、まだまだ続く。

    ●MSC
     天井は色とりどりの風船で埋め尽くされていた。
     輪飾りも他の教室の倍はある。
    「わ、シロにぃ飾りつけてくれたんだ! 雰囲気出てるね……!」
     バーベキューを持って教室に入ってきた流空が目を輝かせて辺りを見渡した。
     陸、狂夜、黒雛、流空が机の上に料理と罪貨(コインチョコ)を並び終えた頃、枷織が両手に飲み物をさげてやってきた。
    「……皆、揃ったな。デハ始めよう」
     乾杯!
     美味しい料理をつまみながら、土産話に花が咲く。
    「俺沢山いろんなとこ行った」
     興奮気味に話す狂夜に、皆は笑顔で頷く。
    「沢山人間共から魂を奪ってくれたわ。くくく」
    「俺もクルにぃと遊びたかったなー。後で改めてゲーム申し込んで良い?」
    「俺も一緒にゲームしてもイイだろうか」
    「くくく。闇の案内人は逃げも隠れもしない……」
     狂夜はとても嬉しそう。
    「かおる兄さんも楽しそうな企画参加してたよね……?」
    「ぶっ」
     唐突に話題を振られてむせる枷織。
    「うん、カオにぃかっこよかった!」
    「さすが兄さん」
    「とても楽しかったぞ、おる兄さん」
    「皆、応援してくれて有難な」
     枷織は弟妹の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
    「お前ノ彼氏も……中々タノシイ人ダな」
     七狼の言葉に、黒雛はポッと頬を染めてうつむいた。
     幸せな静けさの中、陸のギターが響き渡る。
     明日からまた皆で楽しく学校生活を送れますように。
     そんな願いが込められていた。

    ●家庭科部
     色鮮やかな料理の品々を、様々な衣装に身を包んだ面々が囲んでいた。
    「みんなお疲れさま! かんぱーい!」
     青色チャイナ服を着た響の音頭で、皆がコップを合わせる。
    「おお……ラッシーが五臓六腑に染み渡ります……」
     頬に手を当てて幸せそうに呟くのは、チロリアン姿のほの花。
    「はぅあ~……あかね、これ好きかもだよ~☆」
     朝顔柄の浴衣に身を包んだ茜が、生春巻きをつまんでご満悦。
     多国籍食堂を振り返りつつ、皆で美味しい料理を平らげた。
     でもまだ足りない!
    「よし、焼きそばでも作るか」
     インド風の格好をした倭とハンガリーの民族衣装を着たましろが焼きそばを作り、皆に振る舞った。
     皆のおなかが満たされた頃、ましろがポンと手を打った。
    「そうだ、記念写真撮ろうよ」
     皆でぎゅうぎゅうに寄り合って、カメラに笑顔を向ける。
    「ましろ~、転ぶなよー」
     タイマーをセットして駆け寄ってくるましろに響が声をかけた瞬間。
    「あっ」
     ましろはコケた。フラッシュと共に倭の胸へ。
    「も、もう一回!」
     笑い声が教室に響く。
     それから沢山の写真を撮った。
    「みんな……たのしかった、よね?」
     茜の言葉に、ほの花が頷く。
    「次の学園祭の後も、こんな風に楽しく過ごしたいですのう……」
     窓辺で皆と夜空を見上げながら、アリアーンは思う。
     ――此処に来れて、良かった。皆に出会えて、良かった。ありがとう、大好き。

    ●片隅組
     教室は蒸し暑かった。
    「扇風機回したいけど、無いか」
     がっかりする蒼護の肩を、オリキアがポンと叩く。
    「扇風機がないなら、ハンガーを回せばいいんだよ!」
    「ハンガー!」
     ハンガーを回しながら、愛流がクールな眼差しを蒼護に向ける。
    「いやいや、オレは野菜切るから!」
     興奮気味の二人をなだめつつ下ごしらえに取りかかる蒼護。
    「僕もお手伝いしよう!」
     真守もキャベツを刻み始める。
    「なんか手伝えることあるー?」
    「では、一緒に山芋をすって下さい」
     清美に教わりながらテキパキと山芋をする稲葉。
     夕月が色々な具材を混ぜて生地を作り、ホットプレートに白い円を広げた。
    「焼くのは任せて下さい」
     じゅわっと焼ける匂いが食欲をそそる。
    「ふっ……ひっくり返すのは任せて頂戴」
     ヘラを構えてキラーンと目を光らせる愛流。だが――。
    「あっ!」
     べちょ。
     お好み焼きが無残な姿に!
    「大丈夫です」
     清美が颯爽とヘラを動かすと、お好み焼きは綺麗に修復された。
     そんなこんなでお好み焼きの出来上がり!
    「学園祭、お疲れ様でしたー」
     乾杯!
     焼き肉を焼きつつ、学園祭(ハンガー)の話に花が咲く。
    「そろそろデザートをいただこうか!」
    「デザートならまかせろー! ばりばりーっ!」
     真守に応えて、稲葉がフルーツたっぷりの極上タルトを皆に振る舞った。
    「オリキアさん、今川焼き持って来たよー」
    「蒼護ありがとー♪」
     蒼護の顔をぎゅーっと抱きしめるオリキア。蒼護は窒息寸前だ!
    「皆で集まって騒ぐの、楽しいし、ごはんも美味しいのです。皆さん、今日はありがとうございましたっ!」
     夕月の言葉に、皆が笑顔で頷いた。

    ●人情長屋「ゑ°」
    「僭越ながらこの銭形平和乾杯の挨拶をさせていただく!」
     すっと立った平和が皆を見渡す。
    「皆ご苦労様、そしてこの場を設けてくれた菊乃に感謝し、乾杯!」
     乾杯!
    「みなさん、本当にお疲れさまでした! 我らが甘味処の最終営業……心ゆくまでお楽しみくださいっ!」
     菊乃の言葉に、皆が歓声を上げる。
    「菊乃さん、ジャンボパフェひとつ!」
    「私も。学園祭当日には完食出来なんだが、今度は負けない」
    「はい、少々お待ち下さい♪」
     枢と葎の注文を受けて、せっせとパフェを作る菊乃。たった一人の店員として、感謝の意を込めて皆をもてなすつもりだ。
    「私は、甘酒とたい焼きと水ようかんと串団子と大福と――」
    「オレはお店のメニューを右から順に!」
     容赦ないオーダーを浴びせる美乃里と夜斗。
    「はい、ジャンボパフェです♪」
     もの凄い勢いで注文を捌く菊乃だが、流石に目が回ってきた。
     見かねた香坂澪が立って美乃里の注文に応える。
    「はい、甘酒たい焼き水ようかんです」
     歓談しつつ、甘味の山を堪能する部員たち。
     美乃里は目をこすりながら、どこかぽや~っとした様子。
    「う、やはり食べきれません。誰か……」
    「オレに任せろー!」
     葎のパフェを引き寄せる夜斗。
    「わたひにもまかせろー♪」
     何だか上機嫌な美乃里も参戦!
     その光景に、菊乃がふわりと微笑む。
    「最後まで慌ただしくも、幸せな二日間でした」
    「来年が待ち遠しいな」
     平和もパフェを食べつつにっこり。
    「よーし、もう一回乾杯しようか!」
     枢がパフェを掲げると、皆も手元の甘味を構えた。
    「長屋のますますの発展と皆のご多幸を祈念して~」
    「乾杯♪」

    ●便利屋
     教室の全ての机の上に、パイが二つずつ乗せられていた。
     それを挟んで、両チームが対峙している。
    「よし、木元だ。木元を狙えー!」
     輪の号令と共に、一斉にパイをつかんで投げるBチーム。
    「企画立案お疲れ様なのじゃよ!」
     心桜のパイが猛スピードで明莉に襲いかかる。
    「甘い!」
     床に転がりながらパイの雨を避ける明莉。
    「ナディア先輩、お疲れ様!」
     だん、と机を踏み台にして高く飛び上がったかごめが全力投球!
    「ふぎゃっ!」
     柔らかいクリームがナディアの顔面にべしょっ!
    「こーろーしょー!」
     いつの間にか接近していた貴翔のパイがナディアのおなかにべしょ!
     ずりーっとずり落ちたパイのあとから、真っ白になったナディアの笑みが浮かんだ。スイッチオン!
    「食らえ、桜井さん!」
    「へぶっ」
     顔面にパイを食らって床に倒れるかごめ。
     平和だった夜の教室は、パイが飛び交う修羅場と化した。
    「皆の背中は任された!」
     両手にパイを持って一歩引くユリア。
    「女の子にはさすがに投げられ……へぶっ」
     油断した心桜の後頭部にパイがべしょ!
     振り返った心桜が見たものは、いたずらっぽく笑うユリアである。
    「こらそこ、仲間割れは……」
    「あぁ! 手元が狂った!」
     と言いつつ、注意しようとした輪の後頭部にパイをぶつける霧彗。
     さらに、ナディアが輪を後ろから羽交い締めにする。
    「今だ、やっちまえー!」
    「何をするー!」
     全員からパイをぶつけられて、輪は真っ白なオブジェと化した。
    「明莉先輩も!」
    「こら、裏切るな……へぶっ!」
     かごめに羽交い締めにされた明莉もまた、雪だるまになった。
     最早敵も味方もない。今は新入部員の貴翔と霧彗が洗礼を受けていた。
    「パイ投げがこんなに楽しいものだって初めて知ったよ~」
     ユリアが楽しそうに笑う。
     だがユリアは知らない。
     本当の戦い(掃除)はこれからだ、ということを!

    ●湯乃花荘
     教室では、足湯につかりながら皆が和やかに談笑していた。
    「さあ皆さん、LLかき氷の挑戦を受け付けますよ~♪」
     ゆのかの声で、空気が一変した。
     皆、この時を待っていたのだ。
    「学園祭は参加できなかった分、後夜祭でハジケルぜ!」
     ゆのかの前に立った遥が、LLかき氷を注文した。
    「もう一度、リベンジするんだよ!」
     続いて注文したのは毬衣だ。
     さらに、誠、煉、神座澪、翔、れうが次々にLLかき氷を注文した。
     ゆのかとセレナがフル回転でかき氷を作る。
    「お待ちどおさま、苺です♪」
     遥にかき氷を差し出すゆのか。
    「へっへ~。俺様が攻略して見せるぜ!」
     遥はガツガツと氷を口に放り込んだ。
    「はい、レモン、メロン、スイ、ブルーハワイ、抹茶、ミルクです♪」
     続く六人の前にもそれぞれが注文したかき氷が並べられる。
    「再び挑戦をさせて貰うぞ……いざ、勝負!」
     真剣な眼差しでスプーンを構える煉。
    「今度こそ勝つえ~!」
     澪もいつになく真面目な表情だ。
    「ふふふ、もう一度十分以内で完食して見せますよ!」
     唯一の成功者である翔が余裕の笑みを見せる。
    「巨大かき氷に、リベンジなのですっ!」
     れうも鼻息荒くかき氷に挑みかかる。
     挑戦者たちは一心不乱にかき氷を食べ続けた。
     そして、制限時間が近づき――。
    「あ……が……」
     ついに、遥がずりずりと床に崩れ落ちた。
    「あらあら……それ以上は無理なさらずに」
     温めのお茶と手拭いを遥に差し出すセレナ。
     その横で、れうは音もなく倒れ伏した。
    「がぅー……」
     毬衣も頭を押さえて倒れた。
     翔と煉はすでに諦めており、喋りながら食べている。
    「あうあう……まこきゅーん♪」
    「ってうぉ!? 澪!!」
     マイクロビキニの澪が、誠に抱きついた。
    「はぅ~、暖まるえ~♪」
     誠の顔は真っ赤になり、体温は急上昇。誠の頭の痛みは吹っ飛んだ。
    「うおおおお!!」
     ラストスパートをしかける誠。
     最後のひとくちを食べ、スプーンを置いてゆのかを見る。
     にっこり笑って、ゆのかは言った。
    「残念! 七秒オーバーです!」
     こうして、LLかき氷は新たな伝説を作ったのであった。

    ●合同開催組
     机の上には高級寿司が並べられていた。
     椅子は脇に片付けてある。今日は立食パーティーだ。
     皆の足下には子うさぎ達が遊んだり眠ったりしている。
     うさうさくらぶの皆を前に、永遠がジュースを掲げて言った。
    「今回はいりすのおかげで、グダグダだった2日間を何とか乗り切れましたの。本当にありがとうございましたのー」
     永遠の音頭で乾杯!
     ガラッと扉が開き、淼が顔を出した。
    「うっす、学園祭お疲れさん!」
     続いて炎血部の皆が教室になだれ込み、うさうさくらぶの皆と合流。
     机の上に、大量のお好み焼きと焼きそばとたこ焼き、そしてイフリート焼きが追加された。
    「あ、とあちゃん!」
     唯が永遠に駆け寄る。
    「誘ってくれてありがとう!」
    「みふふふー。お寿司どうぞー、ですの」
    「それでは遠慮無く……!」
     目を輝かせながら、うさうさくらぶの輪に入ってお寿司を食べる唯であった。
    「ぁ、ケーキも焼いてきましたので、良かったら皆さん食べてくださいね」
     林檎がケーキを並べると、すぐに人が寄ってきた。
    「おいしそうやなー。ありがとー」
     ケーキをつまんで微笑む澄香。
     二つのクラブが混じり合い、学園祭の思い出話に花が咲いた。
     そして始まる、寛子のDJ!
     ユーロビートに乗せて、寛子のMCが炸裂する。
    「精一杯盛り上がっていくの!」
     ディスコ『ダンス・カテドラル』で磨いた腕を披露する寛子。
     皆のテンションは自然に高まっていった。
     特に、炎血部員の目が燃えている。
    「『もふリート』の優勝をお祝いして、乾杯!」
     戦の音頭で、乾杯!
    「そして、炎導先輩を胴上げ!」
     淼ににじり寄る炎血部員達。
    「俺より上げなきゃならない奴が二人もいるだろ」
     後ずさる淼の背中に、桜太郎が回り込む。
    「逃がしませんよ、炎導先輩!」 
     足の止まった淼に炎血部員が襲いかかり、淼はあっという間に宙に舞った。
    「一位優勝おめでとう! やったよ部長! 淼部長!」
    「炎血部の皆様の感謝の気持ちを存分に受け取ってくださいね♪」
     在雛も陽和も、すごく嬉しそうに淼を胴上げした。
    「戦も、水着コンテスト優勝おめでとう」
     オリヴィアがポツリと言うと、胴上げの標的は戦に移った。
    「うちも胴上げするでー」
     澄香や他のうさうさくらぶ員も混ざり、盛大な胴上げとなった。
     笑顔で宙を舞う戦。
    「皆ありがとな!」
    「ウチが優勝できたのは、九十五パーセント枷々と神凪のおかげだ。ありがとうな!」
     戦の言葉に淼が礼を言い返す。
     次の胴上げは陽和だ。
    「え、私ですか?!」
     と、驚いている間に宙を舞う陽和。
     次はうさうさの皆が永遠を胴上げ!
    「み?!」
     とりあえず胴上げしちゃおう、というノリが続き、いりすや寛子など、目に付いた人物は片っ端から胴上げされた。
     そんな中、在雛は脳天唐竹割りをキメられ、頭を押さえていた。
     リクエストにはちゃんと応える淼である。
    「あー、びっくりした」
     胴上げから解放されたいりすが、子うさぎの元へ戻ってきた。
    「にゃ。うさうさ、かわいいにゃー」
     黒猫の着ぐるみを着た優夜が、子うさぎをもふもふしていた。
    「うさうさくらぶの子うさぎたちは、人なつっこいのですよ。どうぞ可愛がってあげて下さい」
    「うん。もふもふだにゃー」
     マリアの言葉に頷く優夜。
     その様子を、ほのかが遠巻きに眺めていた。
    「ほのかちゃん、うさぎだよー、もふもふだよ?」
     いりすはほのかを手招きすると、子うさぎを一匹抱き渡した。
    「あわわっ」
     びっくりしつつも、子うさぎの温もりに感激するほのか。
    (「かわいいね♪」)
     いりすの手を握り、接触テレパスで感動を伝えた。
    「人参が好物なのじゃよ」
     猯が人参を取り出すと、うさうさ達が束になって猯に群がった。
    「ぬわー!?」
     あっという間にうさうさまみれになる猯。
    「おおっと、大丈夫ー?」
     裏方に徹していた弥勒が素早く異変を察知。
     すぐに人参袋をつまみ出し、猯を救出した。
     が、今度は弥勒がうさうさまみれに!
    「ふふ、楽しいのう」
     お茶をすすりつつ、猯は教室を見渡した。

     皆が、この夜を満喫していた。

    作者:本山創助 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年7月30日
    難度:簡単
    参加:81人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 19
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