プールに潜む凶悪なる触手の進撃(ただしそうめん)

    作者:旅望かなた

     夏である。
     のーみそが溶けそうなくらい夏である。
     だから。
    「なーなージョン、この水全部触手になって女子に襲い掛かんねーかなー」
     プールで少年がこんな不穏な事を呟いても仕方ないのである。
     ちなみに隣のジョンはこんがり日焼けしているが明らかに日本人である。
    「ばっかおめー、そんなこと言ってるとバチ当たるぞ」
    「えー、いいじゃん触手」
    「そう言ってるとお前が入った時に限って触手になるんだって」
    「え、やだ俺そういう趣味じゃなくってよ」
    「まぁ、女子のネタだろ? あーしかしそうめん食いてーなー」
    「そうめん美味しいよねー」
    「閃いた!」
    「ん?」
    「そうめん触手とかどうだろう。エロくて食える」
    「あー今日も暑いなー」
     そう、今日も暑くてプール日和である。
     
    「……どうしてこうなった……」
     神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)が全力で頭を抱えていた。
    「……恐らくはこの白き麺による生物の如き触手という概念の面白さに、面白半分に兄弟に針小棒大に話した結果、幼気なる小学生を中心に真実として広まってしまった噂が都市伝説を生んだのだろう……嗚呼、我が全能計算域よ、何故このように俺にこのような試練を与えたのか!」
    「うん、はやく内容話してくれ」
     机に突っ伏すヤマトにとりあえずうながす灼滅者。
    「……小学校のプールに、都市伝説が現れる。それは触手――ある種の浪漫にして、女性の、時に男性の敵にして、秘められし情念の世界にのみ実在すると思われた、『あの』触手……だが、そうめんだ」
     さぁ、想像してみよう!
     プールをいっぱいに埋め尽くすそうめん!
     動きを止めてやろうと絡みつくそうめん!
     ちょっと「ずぶ濡れ」だったり「うごめき」だったりするそうめん!
    「幸い、その小学校のプールは建て替え工事が近く行われるということで閉鎖されているが、入り込むとそうめんがたゆたっている」
    「……いやだああああああああああ!」
     何か浪漫からそうめんへの愛まで全力で叩き潰すひどい都市伝説であった。
     
    「プール全体を覆い尽くすそうめんだけあって、体力は高めだが攻撃力はそれほどでもない。なお、特に誰を狙って来るという好みはなく、近接攻撃ではあるが範囲内の人間をまんべんなく攻撃してくるようだ」
     そして真面目に解説を始めるヤマトである。
     額に汗を浮かべながら真面目に聞く灼滅者達である。
    「攻撃方法としては、捕縛を与えてくる絡み付き、突然のうごめきといった感じだが、全ての攻撃でずぶ濡れになる可能性がある。めんつゆで」
    「めんつゆかよ!」
     ああヤマトくんは真面目に説明しているのに真面目にならない。
     恐るべし都市伝説!
    「まぁ、都市伝説なので灼滅したら綺麗さっぱり消えるのが幸いと言うべきか……」
     ふぅ、とヤマトは息を吐き、灼滅者達に向き直る。
    「ともあれ、工事に入る方や不意にプールに向かう人などをこんな都市伝説の犠牲にするわけにはいかない。なんとか、退治を頼む」
     そう言って、ヤマトは深く頭を下げるのだった。
     恐るべき戦いに身を投じる灼滅者達への敬意を込めて。


    参加者
    謝華・星瞑(紅蓮童子・d03075)
    日野森・沙希(劫火の巫女・d03306)
    ツェツィーリア・マカロワ(唯我独奏ロコケストラ・d03888)
    椎葉・武流(牙の勇者プアファング・d08137)
    白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)
    セーネ・イシュテルテ(白い闇に沈む永遠の夜・d17170)
    ルチル・ティタニア(おたからハンター・d17529)
    中井・亜紋(高校生ファイアブラッド・d18416)

    ■リプレイ

     シャワー室を抜けると、そこはそうめんだった――。
    「夏と言えばプール!」
     そうだね椎葉・武流(牙の勇者プアファング・d08137)くん。
    「それと素麺だな!」
     その通りだね武流くん!
    「でも混ぜてどうする」
     全く、その一言に尽きる話である。
    「色々とツッコミどころが多いが、何故プール一杯の素麺なんだろう」
     白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)が溜息を吐き、肩を竦める。
    「せめてプリンだったらやる気が出るのに」
     ほほう触手を出して絡みついてくるプールいっぱいのプリンと申したか。
    「あと小学生が触手がどうとか口走るな」
     最近の小学生はませてるって事のようですね。
    「この素麺は可哀想な素麺なんだよ」
     謝華・星瞑(紅蓮童子・d03075)が敵の憂いまで背負い、それでも戦うヒーローらしく、静かに呟く。
    「少年の妄想で生み出された食べられる素麺なのに、閉鎖されたプールに入り込んでしまったばかりに食べられなくなってしまって……自分達にできるのはせめて見た目だけでも美味しくしてあげる事だけなんだ」
     星瞑の言葉にこくこくと、セーネ・イシュテルテ(白い闇に沈む永遠の夜・d17170)がスケッチブック片手に頷いて。
    『素麺、おいしそ。でも、倒さなきゃ駄目。残念。食べれないなら、せめて盛り付けは頑張る』
     そうすらすらと書きこんで、仲間達へとスケッチブックを向ける。
    「本来なら夏の食卓を飾るはずの素麺……。可哀想ですがプールの邪魔ですので退治させてもらいます」
     けれど、せめて最期は――ルチル・ティタニア(おたからハンター・d17529)は霊犬の『兄様』と共に、そっと目を細めて。
    「最後に料理として飾り付けられた姿で逝って下さい。普通の素麺ではなくソーミンチャンプルーか焼き素麺ですが」
    「こ、これ本当に食べるんです?」
     日野森・沙希(劫火の巫女・d03306)が素麺を指し示す指を震わせて呟く。衛生上とかもうそういうレベルではない。
     数千リットルのそうめんが蠢いているのだ。
    「しかも触手だし……」
    「触手と聞いて!」
     なんか傍らから飛び出してくる変態。
     あ、ごめんなさいツェツィーリア・マカロワ(唯我独奏ロコケストラ・d03888)だったわ!
     ちなみに中井・亜紋(高校生ファイアブラッド・d18416)も聞いてないふりしつつ耳をぴつくかせて反応している。触手とか反応しちゃう、だって男の子だもの。
    『触手? なにそれ、おいしいの? 素麺は食べ物。美味しいよ』
     セーネがそう書いたスケッチブックを示し、こくんと頷く。
    『でも、美味しそう、思ったけど、近くで見ると、微妙?』
     うねうね、うねうね、とさらにセーネは書き足して。
    「それでも料理してあげます。文字通り」
     すっとルチルが進み出、ウロボロスブレイドを己の体の周囲に巻き付け飛び出して行く。
    「食えるんだべか? 食べれるかと思ってたけど、プールの中にいたこれはちょっと食べる気にはならんべな……」
    「小学校のプールに入ってる辺り衛生面が気になるけど、加熱すれば大丈夫だろ」
     亜紋の言葉にあっさりと応え、さらにサイキックソードを輝かせ、突撃していく武流。
    「そんな訳で、素麺チャンプルーを楽しむか!」
     ちゃんとタッパーに素材も用意済みだよ!
    「ま、せめておいしそうに調理するべ」
     食わないけど、とこっそり呟き、亜紋は両手のチェーンソーを思いっきり鳴らす。
    『素麺、料理、開始』
     片手で無敵斬艦刀を構え、もう片手にはバトルオーラごとデモノイド寄生体で包んだ拳。スケッチブックを背中に回し、セーネも床を蹴り飛び出す。
     さらにその後ろから、ジュンが思いっきり変身ポーズ!
    「マジピュア・ウェイクアップ!」
     きらきらっと輝いて、母の志受け継ぐ変身ヒロインの姿へ!
    「食べ物を粗末にするようですが、人の迷惑になるならば放っておくわけにはいきません! 希望の戦士ピュア・ホワイト、プールサイドに今参上です!」
     タン、と床を蹴り、ジュンは競泳用の飛び込み台へと飛び乗る。きらりと螺穿槍を輝かせ、回転させ……!
     灼滅者達がそうめんに触れようとした瞬間、プールいっぱいのそうめんから触手状のそうめんがぐわわわわっと飛び出した!
     あ、ちなみに今回は全員前衛なんだって。カッコいいね!
    「いいアングルから見るにはやっぱり近くじゃないと男がすたるってもんっしょ」
     亜紋さんマジ漢の中の漢ですね!

    「触手と聞いて。この一言でだいたい片付いてしまうような心境ではある。が、具体化しよう」
     ツェツィーリアがどやって顔で腕を組んでそうめんだらけのプールを見つめる。
    「触手に絡め取られてたいへんなことになる女の子が見たい」
     へ、変態だー!
    「触手に絡め取られてたいへんなことになる女の子が見たい」
     二回も言うけど変態だー!
    「大事なことなので二度。女の子少なかったら男の娘でもいい。いい。……泣かない」
     さっき謝ったけどあれ取り消すね。
     ツェツィーリア・マカロワ、容赦なくたいへんなへんたいさんでした。
    「Lockn'load! ヘイヘイ女の子達にさっくり絡んでくれよぉ?」
     にやにや笑いながら能力の封印を解き、ライドキャリバーのリーリヤを囮に送り出してガトリングガンをぶっ放す。
    「これは良いチャンス……初依頼だからな、成功させてみせるべ」
     亜紋がチェーンソーで触手をガンガンぶった切りながら、良い感じに捕らわれた仲間がいないかと目を皿のようにして探す。
    「気味が悪いからさっさと炒め……きゃっ」
     いた。
     出来るだけ触手を見ないようにしていた沙希があっさり捕まってプールの方に引きずり込まれていく。
    「ちょ、ちょっとど、どこ触ってるのよ!」
     いやーそりゃもーぜんしんくまなく?
    「うう、ぬめぬめする~」
     いやーそりゃもーそうめんですから?
    「ひぃやっ!? や、やだ、本当に力が入らなくて抜けられなひゅいんっ!?」
    「じゅる」
     ツェツィーリアさんよだれ、よだれ!
     ともあれ仲間を助けんと、ツェツィーリアはガトリングガンを構え炎の弾丸を叩き付け――!
    「柔らかくなる分うねうねの生きが良くなったりしねーかな」
     前言撤回助けてなかった。
    「……むぅ、ちょっと邪魔です。絡み付かないで下さい」
     手やら足やら胴体やらぐるぐるそうめんに絡まれながら、ルチルがざっくざく影の刃でそうめんをぶった切り、レーヴァテインで炒めていく。
     ちなみに普通の食材で真似すると消し炭になるので要注意。攻撃サイキックですからね!
    「そーれ、サイキック・食べやすい大きさにカット! そして……火力はレーヴァテイン!」
     ほら武流さんそうめんは炒めれてるけど具材は良い感じに灰になってる。
    「ほいっ!」
     それでもそうめんは多分美味しく焼き上がったので、とりあえずひょいと後ろに回す。
    「食いもん燃やすのはもったいねーが、焼かれとけ」
     チェーンソー剣でがんがんそうめんをぶった切っては、さらに亜紋がレーヴァテイン……しかしファイアブラッド多いな。まさか魂に潜むイフリートの力もそうめん焼くのに使われるとは思わなかっただろう。
     セーネは戦艦斬りとDMWセイバーを両手で交互に繰り出してそうめんを食べやすくカットするのに専念。同じく星瞑もサイキック斬りで食べやすく斬っていくのがメイン攻撃である。旋風輪でがんがんそうめんをぶった切るのはジュンことピュア・ホワイト。さらに仲間の炎で良い感じに焼けたそうめんを、螺穿槍で巻き付けてからお皿に載せてソーミンチャンプルーの出来上がり!
    「あ、俺も食べたいから調理担当は途中代わって……ってみんなチャンプルーかよ!?」
     思わず武流が閃光百裂拳をそうめんの海にぶち込みながらツッコミを入れる。
     だってそんな、火力だけで作れるそうめん料理のバリエーションなんて……ねぇ。
     知っている人がいたら連絡待ってます。茹でたそうめんよく余るんです。
    「め、めんつゆで服が……き、気持ち悪いよ~」
     その間にもさらにぐるぐる絡まれている沙希。
     ちなみに巫女服(!)である。
     はいはいツェツィーリアさんよだれ拭いて。
     そう――そしてここから、調理されてばかりだった触手の進撃が始まるのだ!
    (「友達の沙希殿が絡まれている……微妙な気分に……う~ん、良く分からないや」)
     自分も触手に絡まれつつ、とりあえず競泳用の飛び込み台からプールに飛び込んで沙希に絡まる触手をぶった切りに行く星瞑。
    「沙希殿、ここは自分に任せて下がっひゅううううう!?」
     当然、飛び込めば四方八方から襲い来るそうめん。
     しかも服装は大胆な水着!
    「きゃあははははくすぐったい! くすぐった……あ、ピンクの素麺を発見したぞ!」
     ……おかしいな、エロくならないぞ。
     ちょっとカメラを移してみよう。
    「ひゃっ、ちょ、そんな、そこは違っ、ダメです!」
     純白の希望の戦士ピュア・ホワイトがついに白き敵の魔手に捕まり、その肢体と衣装を薄茶の汚濁に染められる。
     要するにめんつゆこぼしたみたいな可哀想なことになっている。
    「…………~~~~~ッ!?」
     快進撃を続けていたセーネも、いつの間にかそうめんの海に取り囲まれていた。容赦なくその白い肌に純白のそうめんが、くるりくるりと絡み付く。
    (「や、やだやだやだやだ、うご、かないで……!?」)
     助けを求めるにも、スケッチブックを手に取れるほど動けないし、何よりそんな余裕がセーネにはない。その間にもそうめんはその細さを活かして素早くパーカーの裾から入り込み――、
    「むむむ、しつこいです」
     無表情に、だが頬を赤く染めて、ルチルが必死にそうめんへの抵抗を繰り広げる。けれど切っても切ってもくるくるくるくる巻き付いてきて、メイド服が相まっていろいろと凄まじい事に。
    「って俺男! 男だから! そういう触手とか勘弁しろー!」
     触手そうめんクッキングに夢中だった武流も、いつの間にか絡まれてすごいことに。あ、今逆さ吊りになった。
     スカートの女の子じゃなくて本当に良かったと思います。
    「絡み付かれる覚悟も既にしてある、めんつゆまみれ? 上等だべ」
     そう言ってガン見しつつにやけながら……いやいや状況確認をしっかりしながら素早くそうめんまみれの女子に近付こうとした亜紋は――次の瞬間左右から繊毛の如く現れたそうめんの触手にとっ掴まっていた。
    「いやーぁぁぁ! こーいうのは女子の担当だべ!?」
     そう言いつつも必死にガン見していた亜紋に、さらにそうめん触手の一本一本が独立して全身にこちょこちょ攻撃!
    「ぎゃーお止めになってー!!」
     そのままそうめんにどんどん持ち上げられていく亜紋。
     しかし!
    「何!? そうめんに持ち上げられた先が……絶景だと!?」
     そう!
     そこは全員がそうめんに絡まれている様が見える絶好のそうめんスポット!
    「ヘイヘーイ! かわいこちゃん達がみんな触手に絡まれて良いかんじゅおおおおっ!?」
     ライドキャリバーのリーリアを囮に出して高みの見物気分だったツェツィーリアも、いつの間にか伸びてきた触手に囚われて。
    「触手に捕まる筋肉って誰得なのか、いや実は需要あるのか! やだー!」
     じったんばったんちゅどーんしゅおおおどーんがすんがすん。
     殴られ撃たれ蒸発させられても必死に迫るそうめん。必死に抗うツェツィーリア。
     全力で抵抗してくれるとやる気が上がるって奴なのだろうか。
     そろそろツェツィーリアさんと触手が危ない感じになって来たので、カメラを移そう。
    「きゃ~。く、くすぐったい、やめてぇぇぇぇりゃめえええええ!」
     あ、うん沙希さんがもっとすごい事になってたのでカメラさん移って移って。
     とりあえず「いい加減にしてよ! こんな気持ち悪い触手食べれるわけないじゃない」と食いちぎる様が凄まじかったとだけ言っておこう。
     というわけで。
    『ブィン、ブン、ブン、ブィィィィ!』
     ライドキャリバーのリーリアさんの触手シーンでも映しておこう。
     敏感な所(精密機器的な意味で)に触手が巻き付き、大事な所(エンジン的な意味で)をくすぐり、声(モーター音的な意味で)を上げさせ……!
    「っ……! ん、ゅ……っ、や、ぁ……!?」
     おっとこちらはレアなセーネさんの声漏れシーンですよ!
    (「素麺、美味しく食べるつもり、だった、のに、たべられ、そうに、なって……!?」)
     呑まれていく呑まれていく。そうめんの与える快楽の渦に――どすん。
     一刀両断。
     真っ赤になったセーネが、己の周りで渦巻いていたそうめんを森羅万象断していた。さらに体を纏うオーラが、残ったそうめんを振るい落として行く。
    「あッ……う、い、いい加減にしてもらいます。離れて下さい」
     際どい所に絡み付いたそうめんを、ついにルチルがブレイドサイクロンで弾き飛ばし反撃!
    「よ、よくもやってくれたなぁ……」
     紳士的に助けに来た武流と星瞑の手も借りて、怒りのオーラを集めて触手の捕縛から何とか脱出した沙希は、思いっきり炎を燃やして。
    「炎に焼かれて消し炭にしてあげるんだから。これでこの夏素麺食べれなくなったらどうしてくれるのよ!」
     がっしがっしと槍とマテリアルロッドで交互に殴りつける。
     確かにそれは深刻な問題ですね!
     そして炎と息を合わせるように、かっと白い光が輝いた。そして――そうめんの上に立つのは、純白を取り戻したピュア・ホワイト!
    「せめてもの手向けに調理してあげようと思ったのですが、こんな邪悪な存在は浄化してしまいましょう、ええ」
     ピュア・ホワイトはさっと手を伸ばし、そうめんを掴み取る――プールの中の、全てのそうめんを!
    「マジピュア・天地返し!」
     それを竜巻の如く放り投げて――びっちゃああああああん!
     そうめんに大ダメージ!
    「うっらぁぁぁぁぁ!」
     ヴォルテックスでマックス盛りっぽくツェツィーリアが盛り上げて!
     さらにピュア・ホワイトがびしびしびしびしジャッジメントレイ!
    「当たっても大丈夫ですよ? 味方なら回復するだけですから」
     その気迫が怖いです!
    「そこだ素麺! 女子に絡みつ……あ、すみません! 真面目に戦います!」 頬をかすめた裁きの光に慌てて亜紋が集気法で飛び出し二丁チェーンソーを振り回す。ご当地ビームで星瞑が注意を集めたところに――沙希の怒りのレーヴァテインで焼き尽くされるそうめん。
    「今度は美味しくなって、昼食にでも出て来て下さい」
     消えゆくそうめんに、そっとルチルが『おいしくなぁれ』を贈った。

    「もっと清潔な所に現れてくれれば美味しく頂いたのに」
     そう言って星瞑は手を合わせる。敵への悼みもヒーローらしく。
    『素麺、怖い』
     ぽつり、セーネがスケッチブックに一言。ルチルがこくんと頷く。
    「……しばらくそうめんは食べたくないですね。お腹いっぱいです」
     確かにもう正直そうめんはもうしばらくいいかなって感じ、であった。
     ――ごちそうさま、でした。

    作者:旅望かなた 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年7月25日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 19
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