不意なる厄の声

    作者:幾夜緋琉

    ●不意なる厄の声
    『はぁ……はぁ……っ……うぅう……がぁ……』
     灯りの落された、少年の部屋。
     その部屋に響き渡る、少年の苦悶の声。
     ……彼が何故苦しんでいるのか……どんな悪夢を見ているのかは判らない。
     ただ、その呻き声は……収まることは無く、次第に大きく……呻き声は、次第に叫び声へと変化していく。
     そして……すっかり夜の帳が堕ちた、0時過ぎ。
    『……う……ううう……』
     少年はベッドから転げ落ち、ふらふらと目を開く。
     血走った目……そして、はぁ、はぁと辛そうな呻き声を上げた後。
    『ガァアア!!!』
     それと共に、突如……青き皮膚のようなものに覆われていく。
     そしてそのまま少年は、布団を飛び出し……下の部屋へ。
     そこには何も知らず寝息を立てる両親がいる……しかしそんな両親に。
    『グゥゥァアア!』
     全く躊躇する事無く、彼は……両親を殺害。
     そしてそのまま、夜半の住宅街へと飛び出ていくのであった。
     
    「皆さん、集まって頂けたようですね? それでは、説明を始めます」
     五十嵐・姫子は、集まった灼滅者達を見わたしつつ、早速説明を始める。
    「皆さんも既に聞いているとは思いますが……一般人の方が闇墜ちし、デモノイドになる事件が発生しているのは知っていますね? 今回皆様には、その一つを灼滅してきて頂きたいのです」
     と姫子が差し出した写真には、純朴そうで、人畜無害そうな少年の写真。
     恐らく遠足で撮ったんであろう写真は、友達と仲良く写っている様に見て取れる。
    「彼がデモノイドに目覚めてしまう……それを感じ取ったのです。その原因は……恐らく、両親に怒られたから、という、些細な理由でしょう」
    「しかし、デモノイドとなれば、理性を失い暴れ回ります。そして多くの被害を出してしまう事でしょう……そうなる前に、デモノイドを灼滅し、被害を未然に防いで頂きたいのです」
    「幸い、デモノイドデモノイド化する直前に、皆さんは彼の部屋へ侵入出来る事でしょう。ほんの僅かな時間しかありませんが……その間に彼に対し、踏みとどまらせるような言葉を投げかける事が出来れば、デモノイドヒューマンとして救う事が出来るかもしれません。彼が両親を殺してしまう前に、人として……皆様の言葉だけが頼りです」
     そして、続けて姫子はデモノイドについて詳しい説明を加える。
    「デモノイドさんは、強靱な腕から放つ殴りかかりの攻撃がメインです。又強酸の液体、砲台の一撃の二つを、目覚めた時点で使用出来る様です」
    「ただ、目覚めたばかりでその力の使い方は……手慣れてはいません。無差別に、目の前にやってきた相手を、無差別に攻撃する……といった位の様です」
    「また、ダメージが高いのと同時に、体力も意外に多い様です。しぶとい相手となりますので、皆様……良く注意して下さいね」
     そして最後に、姫子は皆を見渡しながら。
    「……被害者が出る直前です。皆さん……彼を止めてあげて下さい。止めないと……もう、戻れなくなってしまうでしょうから……お願いします」
     と、静かに言いながら、深く頭を下げた。


    参加者
    水無瀬・楸(黒の片翼・d05569)
    神虎・華夜(天覇絶槍・d06026)
    禰宜・剣(銀雷閃・d09551)
    天野・白蓮(斬魔の継承者・d12848)
    外道・黒武(お調子者なんちゃって魔法使い・d13527)
    綺堂・ライ(狂獣・d16828)
    月居・巴(ムーンチャイルド・d17082)
    天津・空斗(泡沫ノ空・d18209)

    ■リプレイ

    ●怒りの声響く夜
     姫子の話を聞いた灼滅者達。
     時刻は間もなく午前0時……周りの家の灯りはほんの僅か……ちらほらとついている程度の街角を、灼滅者達は走る。
     そんな灼滅者達の手には、一枚の写真……人畜無害そうな、可愛い少年の写真。
    「何だろうな……こんな可愛い子が、デモノイド化し、ご両親の命を奪おうとしてしまうとはな……」
    「そうだね。まぁ……何、親御さんに怒られるというのは、極々普通の事だけれど、彼にとっては……それが許せなかったのかもしれないね」
     神虎・華夜(天覇絶槍・d06026)のぽつりと呟いた一言に、月居・巴(ムーンチャイルド・d17082)が肩を竦める。
     少年にとってデモノイド化のきっかけは、ごく一般的な事……姫子からは、玩具を片付けなかったり、帰る時間がおそくなってしまったりして……それで怒られたという事で。
    「んー……親に怒られた、か。怒ってくれる人が居る事は幸せな事だとは思うんだけどな……」
    「まったくだ。でも、その少年にとっては、それが親に捨てられたと思い込んだ。それで絶望しちまったのかねぇ……」
    「……まぁ、子供ってのは純粋だしな。だからこそ純粋すぎて扱いがむずいんだよなぁ……ちょっとした事でこれだもんよ……」
     天津・空斗(泡沫ノ空・d18209)に、外道・黒武(お調子者なんちゃって魔法使い・d13527)、天野・白蓮(斬魔の継承者・d12848)らが紡ぐ言葉に、水無瀬・楸(黒の片翼・d05569)、禰宜・剣(銀雷閃・d09551)も。
    「お子ちゃまってのは、ホント感情の生き物って感じだよねー。ま、一時の感情だけで親を殺しちゃうとか、オレだったら悔やんでも悔やみきれないから止めるけどね、意地でもさー」
    「……まぁ、子供故にそういった所は織り込めないのだろう。子供のデモノイド化……でも、希望があるのなら、気合いを入れるとしよう」
     ぐっと拳を握りしめる剣。だが、その内心では。
    (「……でも、どうすればいいの? 子供の説得……子供の説得なんて、あたし解らないわよ!?」)
     実際には、内心パニックになってしまっている剣。
     それに気付かず、空斗、黒武、楸が。
    「ま、子供には理解するのが難しいのなら、それはそれでしょうが無い。まずは助ける。ガキに人殺しなんて似合わないからな」
    「ああ。まぁ……子供を悟らせるのは妹達で色々とやってきたから、頑張ってその知恵を活かすとしましょうかね」
    「だなぁ。んじゃ急いで行きますか……あそこみたいだし」
     と言って、先を急ぐ仲間達……と、それに遅れる剣。
    「あ……!」
    「……ん、どうしました?」
     綺堂・ライ(狂獣・d16828)が振り返り、声を掛けると、剣は。
    「……い、いや、何でもないわよ……急ぎましょう!」
     と、取り繕いながら追いかけるのであった。

    ●呼びかけし声
    「う……うううう……が……がぁぁ……」
     そして……少年の家へ足を踏み入れた灼滅者達。
     両親をおこさない様、注意深く……二階にある、彼の部屋へ。
     部屋で聞き耳を立てると……苦しそうな、呻き声が部屋の中から響いてくる。
     デモノイドに変わりつつある今……その呻き声と共に、元の人格も……デモノイドへ侵食されつつあるのだろう。
    「……時間の余裕はあんまりなさそうだね。みんな、準備は良い?」
     と巴が訊ねると、剣は。
    「ええ……正直、自身は無いけど……」
    「ん……どうしたんだ?」
     楸に問われると、剣は。
    「いや……前に不死王になったちみっこにも、ちょっと死について教育したら……なんか凄く脅えられたのよね……特に怖がらせるような事はしてなかった筈なのに……」
     むぅぅ、と、ちょっと悩み顔。
     そんな剣に、巴は。
    「……ま、自分の出来る限りの説得をすればいいと思うぞ?」
     とだけ告げて、そして……サウンドシャッターをその場に展開。
     音を外部に漏らさぬようにして。
    「これで良し……!」
    「OKー。それじゃ行くぜ。ほーれ、ちょいと邪魔させてもらうなぁ」
     がちゃ、と扉のノブを回し、ライを先頭に一気に灼滅者達は少年の部屋の中へ突入。
    『ぐぅう……!! がぁ……ああ!!』
     叫び声を上げ、布団から転げ落ちる……そして身を上げる。
     その身体が、ほんの僅かに青く色づく……それに、巴を始め、いつ戦闘に突入しても良い様に備えながら。
    「あらあら……自分から本当に悪い子になるつもりかしら?」
     華夜が先手で投げかけた言葉。それに、ぐぅぅ……と血走った視線を向けるデモノイド。
    「お前……君。君はお父さんとお母さんが嫌いなの? 違うよね? お父さんとお母さんに居なくなって欲しいの? 違うでしょ??」
    「そう。きみのご両親は、きみを害しようと思って叱ったのかな? そうならば、同じ家には置かないよ。君だって、ご両親のお叱りが自分の為だとうすうす判って居るからこそ、反抗したくなるんだろう?」
    「そう。お父さんとお母さんは、帰りが遅いと心配するし……片付けないと、玩具が何処かいっちゃって、君が悲しくなるからだよ。二人とも、君が大好きで大切なのよっ!」
    「そうだ。きみはご両親に愛されているんだ。胸を張ると良い」
     剣と巴の投げかける言葉……それに、少年は。
    『……う……ぐぅぅ……』
     頭を抱えるような動きを見せる。だが……睨み付ける視線に変わりは無い。
     その視線を真っ直ぐに受け止めながら。
    「さてさて……ご両親が怒った理由は一体なんなんだろうねぇ? 帰りが遅くなった事について両親が怒るのは、愛情の裏返しなのですよ」
    「そうだぞ。感情のままにあばれて……大切……大切な家族を潰すって、死ぬ程つれぇぞ! そんな化け物に負けんじゃねぇよ!」
    「お母さんらは別にキミの事が嫌いで怒った訳じゃないとオレは思うよー。遊んだ後は片付けるとか、時間までには家に帰るとか、お母さんたちと約束しただろ? もしキミが約束破られたらどうなんだい? 悲しくなったり、怒られちゃったりしないかなぁ?」
     黒武、ライ、楸……そして華夜も。
    「いい? 何で貴方のお父さんとお母さんが怒ったかは解る? 解らないのなら、今はそれで良いの。時間が経てばきっと解る……今言えるのは、貴方のお父さんとお母さんは、貴方のことを思って注意してくれた……それだけの事よ」
     ……そして空斗が、一歩前に出て。
    「……一つ聞かせて暮れ。親のことは……好きか?」
     空斗の問いかけに、本当……微々たる程度だが、頷く彼。それに……
    「ぼうず……お前はお父さんやお母さんが嫌いじゃないのは解る。そうだ、大事なお父さんやお母さんが嫌いな訳無い。でもな……今のお前をお父さんやお母さんがみたら、嫌われちまうぞ? お父さんやお母さんが欲しいのは、笑顔なんだからよ」
    「そう。愛情の裏返しな理由が分からないのなら、逆に聞きますけどね。両親が何時までも君の元に返ってこなかったら君はどう思うんだい?」
    『……ゥゥ……ぐぅ……!!』
     拳をぶん、と振り回す彼。
     五月蠅い、と言わんばかりのその一撃。それを感じ取った黒武が。
    「多分、今キミが思った内容と同じようなものが、両親も思っているんだと、おいらは思う訳ですよ」
    「そうだ……抗え!! 本当は、こんな事したいわけねぇだろぉ!? そこで負けたら、もうお父さんとお母さんの笑顔を見る事は出来ねぇぞ!!」
     黒武、ライの言葉に対しても……デモノイドは、ただ拳を振り廻すのみ。
     そしていつのまにか、蒼っぽかった身体は……完全な蒼に。
    「デモノイド化したか……まま、昂ぶった憤りの感情を発散させる簡単な方法は、物に当たる方が手っ取り早いですからねん。さぁ……派手に暴れようじゃないか。君のいらだち全て、一撃一撃に込めて叩き付けてみな! いくぞ、外なる世界を見て嗤うモノ!」
     黒武がスレイヤーカード解放、無敵斬艦刀を構えると、白蓮も。
    「そうだな。刀匠・天野の名において命ずる。胎動せよ……金剛の刃牙!」
     とスレイヤーカード解放、日本刀を構える。
     そして二人含め、楸、剣、巴もスレイヤーカードを解放すると共に、デモノイドに近接。
    「行くぞ!」「少しだけ大人しくしててくれや。1津、2津、3津!!」
     剣、白蓮が雲櫂剣でデモノイドの武器封じを与えると、黒武はデッドブラスター。
     それらが真っ正面からの攻撃で、楸、巴は左右に分かれて。
    「余所見厳禁、ってね。ほい、今の内だよー!」
    「……さぁ、遊ぼうか……少し痛いがもしれないけどね」
     ティアーズリッパーに、巴が鬼神変を重ねる。
     クラッシャーの連携攻撃……そして続くジャマーの華夜、ライ、空斗は。
    「こっちはバッドステータスを与えていく事に集中……だな」
    「ああ……そうだな」
     華夜は空斗に頷きつつも、先ずはブラックフォームの自己強化。空斗もシールドリングで前衛に強化を施しつつ……ライはDESアシッドを放ち、服破り。
     次の刻、華夜、ライ、空斗のジャマーらが、ブレイジングバーストを三連射し、彼に酷い炎のバッドステータスを叩き込んでいく。
     燃え上がるデモノイドの身体……苦悶の声を上げるデモノイド。
    「すまない……だが今宵一夜は、君の決断と選択によって、君の未来が大きく変わるんだ。コレは、その為の儀式であり、同時にパーティーだ」
    「だね。ま、生き残るかどうかはこっちにはちょっと解らないけど……でも、きっと生き残ってくれると信じてるんだからね。さぁ……これでも喰らいなー」
     黒武と楸の言葉、フォースブレイクと黒死斬。
     そして白蓮、巴、剣も。
    「無垢な子供の命までは取らない……ホンモノの剣士は、斬る者を選ぶからだ!」
    「……そうだね。ともあれ倒さない限りは……救う事が出来ない。すまないが……我慢してくれ」
    「そうね。ちょっとだけ、死ぬ程痛いけど、我慢してね!!」
     居合い斬り、閃光百裂拳、そしてティアーズリッパー。
     クラッシャー陣も容赦無い攻撃を連携して叩き込み、彼の体力をガリガリと削り行く。
     ……デモノイドも、丸太の如く太い腕で反撃の猛撃を仕掛けるのだが……力のみの攻撃一辺倒、それも単体が主ゆえに、ダメージは各自で回復を施す。
     そして、数分後。
     傷だらけのデモノイド……そして、不意に入った剣の渾身の居合い斬りで、片膝落したその瞬間。
    「俺の木刀は、命以外なら何だって斬る。たとえ……熱でもな!!」
     白蓮のフリージングデスが、その頭上から叩き落とされ、デモノイドは……頭から深く、崩れ落ちたのである。

    ●厄祓いて
    「……終わったか。ふぅ……姿が消えなかったって事は、どうやらデモノイドヒューマンとして覚醒したみたいだな」
    「ああ……まぁ、本当に目覚めるまでは、気は抜けないがな」
    「そうだねー。と、それじゃ目を覚ますまで……みんな、後片付けしよーか? 目覚めて部屋の中が壊れてたら、また少年が怒られちゃうだろうしね」
    「……そうだな。怒られてデモノイド化してしまったのだから、また怒られてしまうのはかなわんだろうしな」
     楸、剣、そして華夜の言葉。
     皆その言葉に従って、灼滅者達は、まず……戦闘の結果、色々と壊れたり、おちたりしてしまったものを片付ける。
     そして破片は……怪我しないように紙袋に入れて片付け、出来る限り突入前の状況に戻していく。
     ……一通り片付けて、そして……少年に再び視線を向けると……。
    『……う…………う……ぅん……』
     確かに息をしていた少年が……身じろぎ、目をゴシゴシと擦り始める。
     そして擦った目がぼんやりと開き……灼滅者達の姿を認識する。
    「……お、大丈夫か坊主。意識はあるか?」
     ライが軽くニッ、と嗤うと、そのポケットから黒ちび仔猫がにゃー、と鳴き声を上げる。
    『え……あ……えと……その……』
     デモノイド化していた時の事は、はっきりとした記憶ではない……何故皆が居るのか、どうして自分は、お兄ちゃん、お姉ちゃん達に囲まれているのか……分からない。
    「大丈夫? まだ痛かったりしない?」
    「気分はどうだ? 痛いところはないか?」
     剣、華夜が左右から優しい声を掛けてくるのに、その、あの……と口ごもる。
    「んー? 緊張してるのかな? 大丈夫だよ、オレは楸。キミの名前、教えて貰えないかな?」」
    『……その……あの……光琉……です……」
    「そっか。可愛い名前だねー。そうそう、キミは危ない目にあってたんだよ? それを俺達がちょちょいのちょい、って助けて上げたって訳さ」
    「そう……まぁ死ななかった様で何よりだ。良かった……かどうかはわからねぇが、お前は人間で居られたんだな……」
     楸にライが軽く少年の頭を撫でる。そして仔猫も、ライの手を伝って、少年の肩へとてとて……そして頬を肉球でぽふぽふっ。
    『ん……くすぐったいよ……』
     緊張していた少年だったが、どうやら仔猫の無邪気な動きが、彼のココロを幾分、開いてくれた模様である。
     ……そんなライの行動に、剣と、華夜が羨ましそうな表情を浮かべるが、それはさておき。
     灼滅者達は、少年がデモノイドに寄生された事……そして、今意識を取り戻したという事は、デモノイドヒューマンとして覚醒したという事。
     ……そして、ライの様に、同じようにデモノイドヒューマンとして生きている人が居るという事、そして……そういった人達が通う学校があるという事を、一つ一つ説明する。
     そして……一通り説明した所で。
    「いい? あんたは助かったけど……それでもこれからはずっと中にそいつが居る事になるのよ……だから、学校に来る?」
     剣の言葉に、ライ、楸、華夜が。
    「お前がどうするかはわからねぇがな……困ったら学園に来ると良い。お前と同じような奴が一杯いるからな?」
    「そうだぜ。心配しなくても、似たような奴が学園にはいっぱいいるし、一度来てみるかい?」
    「そうよ。私達の学校に来なさい。皆、笑顔で迎えてくれるわよ」
     そんな言葉を、灼滅者達が次々と言うと……でも……と悩む少年。
    「大丈夫だ。すぐに結論を出せ、という訳じゃないさ……悩んで、そしてしっかりお父さん、お母さんと話し合って決めな? ……もし行くと決めたなら、皆で歓迎するぜ」
    「そうそう。今通っている学校にも大事な友達とか居るだろうしな。そういった所、来るなら全部ケリを付けてこなきゃいけないしな」
     白蓮、黒武が続けて言葉を投げかけ……そして。
    「……と、もう夜も遅い。疲れただろうし……もう少し休むと良い……ほら……おやすみ」
     と巴が彼の目をそっと一つ、一つ瞑らせて……シーツを掛ける。
     ……突かれていたのか、すぅっ……と眠りに付く少年。
     そして……その寝顔を見ながら空斗が。
    「……どう、この力とつきあうか……わからないけど、学校の門戸を叩いてくれるのを、期待するしかないな」
     ぽつり呟く一言に、周りの灼滅者も皆頷いて……そして、灼滅者達は静かに、起こさないようにしながら、彼の元を去るのであった。

    作者:幾夜緋琉 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年8月4日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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