「ううっ……無理無理、マジで怖いってこれ……」
何故こんな事になってしまったのか、良く思い出せない。
覚えているのは、自分が今肝試しをしている最中である事と、それを終わらせるには手にした赤いハンカチを、墓地の最奥に有る鳥居に結びつけなければならないと言う事の二点のみ。
夢の中と言うのはえてして、そうした理不尽な状況で始まる物だ。それでいて奇妙なリアリティがあり、当人はこれが夢である事に気づけない。
「……ふえっ?!」
背後から忍び寄る何かの気配を察知し、飛び上がって辺りを見回す。
が、そこには何も無く、ただ薄気味悪い墓地の景色が無限に広がるばかり。
「こ、怖くない……怖くないし……お化けとか有り得ないし」
自分を鼓舞する様に繰り返し、歩み続ける。
「……お嬢ちゃん」
「ひっ!? ……だ、誰……ですか?」
唐突に掛けられるのは、しわがれた声。良く見れば、墓石の前にしゃがみ込んで手を合わせている小柄な老婆の姿。
「お嬢ちゃんも墓参りかい……偉いねぇ……」
「あ、いえ……っていうか、肝試し的な?」
「そうかい……でも気をつけないとねぇ……お化けが出るよ」
「や、あはは……やめてよお婆ちゃん。お化けなんて居るわけないじゃん」
「本当かい? ……でもほら、アンタの前に」
こちらへ顔を向け、立ち上がる老婆。しわだらけだが、それを顔と呼べるかどうかは微妙と言うしかなかった。何しろ目も鼻も口も無かったのだ。
「……ぎゃああぁぁぁー!!!!」
キミコは辺り一帯に響き渡る様な絶叫を上げると、脱兎の如く逃げ出すのだった。
「お化けなんて非科学的なもの、あり得ませんわ」
有朱・絵梨佳(小学生エクスブレイン・dn0043)は開口一番そう切り出したが、そんな事を言ったら灼滅者やダークネス、それを取り巻く全ての物はどうなのだろうと思えなくもない。
「とは言え、強制的にお化けの夢を見せられ続けて苦しんでいる女の子が居ますの。このままではダークネス……シャドウの目論見通り、心が荒廃してやがて死んでしまいますわ」
そうなる前に彼女の夢に入り、救い出してやらねばならないだろう。
「悪夢は無限に広がる墓地が舞台ですわ。夢を見ている少女――キミコ本人が、最深部にある鳥居にハンカチを結べば一先ずゴールなのだけれど……」
墓地には至る所にお化けが出現し、それから逃げている限りゴールにはたどり着けない。
お化けは柳の下でうらめしやと言う古典的なタイプから、妖怪の様なもの、井戸から這い出す近代的なもの、挙げ句にはチェーンソーを手にした不死身の化け物や手が鋏状になっている殺人鬼などなど、ホラージャンルのごった煮と言ったところ。
直接キミコに物理的危害を加えてくる訳では無いが、怖がりの彼女にとっては地獄そのものだろう。
「まずは悪夢の中でキミコと合流し、彼女がゴール出来るようにサポートしてあげて下さいまし。そうすれば、シャドウはなりふり構わず貴方達を排除しに出現するはずですわ。……でも彼女はかなり怯えているから、まずは貴方達が味方だと信じて貰わないといけませんわね」
「足でも見せて信じさせるか?」
と、冗談なのか本気なのか不明な三笠・舞以(中学生魔法使い・dn0074)。
キミコが肝試しをクリアしてしまえば、後はお化けに扮したシャドウと戦うだけのシンプルな展開だ。
「それじゃ、気をつけていってらっしゃいまし」
絵梨佳はそう言うと、灼滅者達を送り出すのだった。
参加者 | |
---|---|
三兎・柚來(小動物系ストリートダンサー・d00716) |
影道・惡人(シャドウアクト・d00898) |
華宮・紅緋(クリムゾンハートビート・d01389) |
雲母・凪(魂の后・d04320) |
大條・修太郎(紅鳶インドレンス・d06271) |
花久谷・悠(色は匂へど散りぬるを・d12769) |
黒芭・うらり(中学生ご当地ヒーロー・d15602) |
ラピスティリア・ジュエルディライト(夜色少年・d15728) |
●
「ううっ……無理無理、マジで怖いってこれ……」
どこまでも果てしなく続く広大な墓地。
いずれも長年手入れをされず、荒れるに任された状態の墓石が傾いたり崩れたりしながら延々と並んでいるその中を、キミコは独りきりでさまよっていた。
「迷子さん、またみーっつけ」
「ひ、ひえぇっ!!? ま、またお化け……?!」
新たな声に、飛び上がって墓石の裏に隠れるキミコ。
「こんばんわ。こんな所でどうしたんですか?」
墓石の裏から、恐る恐るこちらを伺う少女へ、黒芭・うらり(中学生ご当地ヒーロー・d15602)は微笑んで声を掛ける。
「え……人間……マジで? 嘘じゃなく?」
「ああ、僕達はお化けではないのでご安心を。ほら、足はちゃんとありますよ」
半信半疑のキミコに対し、トントンとその場で足踏みして見せるラピスティリア・ジュエルディライト(夜色少年・d15728)。
「大丈夫か? まあ、無理もねぇよな。これ普通は怖いんじゃね」
花久谷・悠(色は匂へど散りぬるを・d12769)はさり気なく、ビハインドのいーくんの足下を隠しつつ言う。足以外は、キミコを怯えさせないように工夫を施してある。
「喉渇いたでしょう? どうぞ」
「え、あ……ども」
華宮・紅緋(クリムゾンハートビート・d01389)は、警戒しながらも立ち上がったキミコに栄養ドリンクを差し出す。
「俺らも肝試しの最中でさ~、驚かせてごめんな?」
「肝試し……?」
明るく笑いつつ、片手を挙げる三兎・柚來(小動物系ストリートダンサー・d00716)。
「そそ。出口ってどこか解る? 迷っちゃってさ」
「い、いや……知ってたらこんな所に居ないし。ってかあたしも迷子で……そもそも何でここに居るのかワケ解んないし」
大條・修太郎(紅鳶インドレンス・d06271)の問いかけに、かぶりを振りつつドリンクの蓋を開け、ともかく一気に飲み干すキミコ。
「それもそうか、じゃあ一緒に行かない?」
「だな。うちら人数だけは多いし、一緒に行動すりゃ少しは怖くないかも」
「え、あ……うんうん! 行こう行こう!」
自分以外の人間と会えて大分安堵した様子で、続く修太郎と悠の言葉には、勢いよく首を縦に振る。
「いやー、マジで超怖かったし。だっていきなりこんなトコに独りでさぁ、しかもお化けとか妖怪? みたいのが次々出てくるし」
「意外と悪さはしないものです。びっくりさせたいってだけであんな形なだけですよ」
「えぇ? まぁ、確かに何かされたわけじゃないけど……でもガチで怖かったし」
灼滅者達と合流し、大分安心したのだろう。口数も多くなったキミコに、相づちを打ちつつ語りかける雲母・凪(魂の后・d04320)。
「逆に次はどんな形でびっくりさせてくれるんだろう? って期待しちゃったら楽しいかもですよ」
「な、なるほど……ってさぁ、なんであたしが先頭なの!?」
「ぁ? おぅ大丈夫だ、行け行け」
影道・惡人(シャドウアクト・d00898)は抗議するキミコの背中を押し、何かあったらすぐに助けてやるからと宥めて先へ進ませる。
「おや、怖いのでしたら手でも繋ぎましょうか?」
「ふえっ?! え、や、だだ大丈夫」
微笑みつつ問いかけるラピスティリアだが、キミコは顔を赤くして辞退する。
「うむ、それにホラー映画などでは、こう言う場合先頭より最後尾が危ないものだ。気づいたら居なくなってたりしてな」
と、自虐的なアドバイスをするのは最後尾を歩む三笠・舞以(中学生魔法使い・dn0074)。
ともかく、無事合流を果たした10人は、広大な墓地を再び歩き始めたのである。
●
「ねぇ、何か聞こえない?」
「……シクシク……シクシク」
灼滅者達がしばらく歩くと、どこからか聞こえてきたのは少女のすすり泣く声。
見れば、墓の傍らでしゃがみ込んで泣いている浴衣姿の女の子がいる。
「もしかしてあたし達と同じ迷子かな? ねぇ、大丈夫?」
すっかり気が大きくなったキミコは、少女の肩をぽんぽんと叩いて呼びかける。
「……お姉ちゃん達……だれ?」
「あたし達も肝試し中? ってか迷子中かな、あなたも一人なの?」
「……うん……」
「お母さんとか、お父さんは?」
「……お母さんが」
「居るの?」
しゃがみ込んだキミコが尋ねると、少女はピタリと泣き止み――
「お前だぁぁー!!」
振り向くと、世にも恐ろしい形相でそう叫ぶ。
「ぎゃあぁっ?!」
絶叫し尻餅をつくキミコ。
「いやいや、そこは中学生相手じゃ説得力無いだろ。キミコにどんな重い過去があるって言うんだよなぁ」
「い、言われて見れば……」
「お呼びじゃないぜ、散れ散れ!」
「……」
凪がキミコを助け起こす間にも、すかさずツッコミを入れる柚來。論破されたお化けの少女は、修太郎に追い払われてそのまま走り去っていった。
「しかしキミコさん、一人で来るなんてすごいよ」
「いや、来たわけじゃ無いんだけど……気づいたら居たっていうか」
「さっきも女の子に声掛けて上げてたし、偉いと思うよ」
「いやー……あはは……そんな事は」
修太郎はまた少し怯えがちになっているキミコを、勇気づける様におだてる。照れくさそうにしながらも、多少表情を緩ませるキミコ。
「お化けって、大きな反応する人に寄って行きやすいんだって。だからお化けに逢っても、見ないフリすると良いっておばあちゃんが言ってたよ」
「うぇ……そ、そっか……じゃあ見ないフリ、見ないフリ……」
そんなキミコと手を繋ぎつつ、アドバイスをするのはうらり。
会話を交わす間にも、パーティの周囲には青白い人魂がふわふわと飛び回り、空には一反木綿や化け鴉、天狗と言った妖怪達が乱舞している。
しかし怯えているのはキミコだけではない様で、うらりもそれらから視線を逸らし、時折冷や汗を拭いつつ歩む。
怖がっているのが自分だけではないと言う連帯感も、キミコにとっては心強いはずだ。
「さっきの小豆洗いが持ってた小豆煮てあんこにしてぇ……キミコはどんな和菓子が好き? あたしはー、この季節水ようかんとかいいよな」
「え、あー……いいね、あたしも水ようかん好き。でも洋菓子の方が好きかなー」
「じゃああれ食べた? コンビニで売ってるスイカの」
「あぁ! うんうん、超美味しかった!」
「あたしも結構好きだよ。それとベリーのケーキがさ」
「あれ一度食べてみたいんだけど、お店が遠くてさぁ」
そんなキミコの気を逸らす様に、お菓子の話題を振る悠。まんまと食いついたキミコは、ここが墓地なのも忘れてスイーツトークに花を咲かせる。
シュッ……シュッ……シュッ……。
「……え、何この音……」
と、どこからか聞こえてくる奇妙な音。何かから空気が漏れるような、その音の正体は――
「ひえぇっ!?」
そこに佇立していたのは、アイスホッケーのキーパーが身につけるフェイスマスクを被った男。しかも手には血まみれの鉈を持っている。
――キィィィッ!
「ふぇっ!? こ、こっちにも!」
何かを引掻くような異音に振り向けば、そちらには片手に鉄の爪を付けた帽子の男。
「墓地に殺人鬼って、キャラに合った場所に出てこないと怖さ半減だろ、自分のアイデンティティくらい大事にしろよな~」
「ちょ、そんな事言ったら殺されちゃうよ!」
凶器を手にした殺人鬼相手にも、憶すること無く突っ込みを入れる柚來と、慌てるキミコ。
ツッコミに気を悪くしたのか何なのか、殺人鬼達は灼滅者に向かってにじり寄る。恐ろしげに血の滴る刃が、今まさに振り下ろされる――!
「オラッ」
――ドゴッ!
よりも早く、惡人の拳がジェイソン(仮名)の顔面を捉えた。
きりもみしながら吹き飛んだ彼は、卒塔婆の束にぶち当たってそのまま生い茂る雑草の中にダウン。
「えっ……よ、弱い……?」
「おぅこいつら不意打ちでビビらねぇ相手には弱いぜ?」
「……えい」
惡人の言葉に、しばらく考える様子だったキミコだが、意を決したようにフレディ(仮名)のすねを蹴りつける。
「ぎゃぁっ!」
弁慶の泣き所を強かに蹴り飛ばされた帽子男は、そのまま足を引きずって逃げていった。
その後も様々な妖怪や亡霊の類に遭遇したものの、灼滅者達の励ましと助言を受け、キミコは前進してゆく。
そして一行はついに、この肝試しの終着点へと到達したのである。
●
「これを鳥居に結べば終わりだよね、行ってくる!」
「あっ」
ハンカチを手に、駆け出すキミコ。
――ブツッ……ザザー……。
鳥居の傍。場違いに安置されたブラウン管テレビの電源が入り、暫くして画面には一杯の砂嵐。
「なに、これ……? なんでテレビが……」
やがて砂嵐が収まると、そこに映っていたのは古井戸。
「キミコさん、早く結んで!」
うらりの声に振り向き、頷いたキミコは再びハンカチを鳥居に結びつけようとするが、その瞬間――古井戸の中から伸びた手が、井戸の縁を掴む。
爪が剥がれ、水にふやけた青白い左手、そして右手……やがて長い髪の女が、完全に井戸の中から這い上がる。
「……」
女は、不自然に肩を揺らしながら一歩、また一歩と画面の手前へと接近してくる。
「キミコ君、ご自分の肝試しでしょう? なら、きちんと終わらせなくてはなりません」
「行け、ハンカチを結べ!」
「えぇ、その赤いハンカチを結んだらきっと良い目覚めが待ってますよ」
ラピスティリアと修太郎、そして凪の声に、再び我に帰るキミコ。恐怖心を押し殺し、手早くハンカチを結びつける。
とほぼ同時、テレビの中からは薄汚れた白いワンピースを纏った女が這い出してくる。
「ひえぇっ!」
「下がっててください、お姉さん。いま元凶をやっつけますから」
「君の怖がるものは、僕達が祓います」
キミコが一目散に逃げて来るのを庇い、身構える灼滅者達。
「華宮・紅緋、これより灼滅を開始します」
胸元に浮かぶハートのマーク。宿敵シャドウを討つ為に、心を黒く染める紅緋。白いヘッドホンを装着したラピスティリアは、キミコへの射線を消して敵の目を自分へと引きつける。
「おぅヤローども、やっちまえ!」
愛用のライドキャリバー、ザウエルの上よりそう発した惡人は、ウロボロスブレイドの回転によって旋風を生み出し、長い髪の女――シャドウ目掛けて放つ。
「クッ……わたしの悪夢を台無しにしてくれるとは、怖い物知らずな連中だ……」
風の直撃を受け、舞い上がる髪の間から、ギロリと瞳が覗く。
「ひぃぃ……肝試しはもう終わりでしょ!?」
「ククッ……終わらせはしない……」
「俺らが守るから心配すんなっ」
「ここに来るまでにお前よりもっと怖い外見のがいたぜ」
すくみ上がるキミコを励ましつつ、柚來は鬼神の力を宿した腕で殴りかかる。これに呼応し、石化の呪いを掛ける修太郎。
「まずは邪魔者共を始末して……お前は死ぬまで悪夢の中だ」
「私達が絶対、守りきって見せる!」
苦々しげに言い放ち、禍々しい闘気を拡散させるシャドウ。しかし、うらりも負けじと吸血鬼の魔力を宿した霧を展開させる。
「す、すごい……」
先ほどまでとは打って変わって、巧妙に連携を取りつつ化け物と戦う灼滅者達。それが本来の姿とは知らず、恐怖心も忘れて見とれるキミコ。
――ヒュッ!
跳躍して距離を詰めると、そのまま妖の槍を回転させ螺旋突きを見舞う凪。
「がふっ! ぐっ……」
「ふふ…ここまで焦らしてくれたんだから勿論、楽しませてくれるのよね?」
「くっ……」
僅かによろめくシャドウに、ゆっくりと歩み寄りつつ問いかける凪。その凄みに、シャドウはやや怯む。
「そこだっ……手間掛けんなよ、マニキュア塗ったばっかなんだからよ」
この隙を突いて、放たれるのは悠の鋼糸。シャドウの身体に絡みつき、その動きを封じる。
「キミコの為にもしっかり除霊(物理)しないとなっ♪」
――バシッ!
柚來の拳がシャドウの頬を打ち、同時に魔力を流し込む。
「ぐあぁっ! こっちが無勢だと想って調子に乗って……!」
「ぁ? 勝ちゃなんでもいんだよ。めんどくせーからパパッとな」
「お、おのれぇぇ……」
足に来ているのか、ぐらりと上体を揺らすシャドウに、尚も追打ちの援護射撃を見舞う惡人。
「さあ、鬼神変の振り下ろしはいかがですか!」
「磯の香り、漁港ビーム!」
「ぐっ、ぐはぁぁっ!!?」
間髪を入れず、紅緋とうらりの波状攻撃がシャドウを襲う。
シャドウはがくりと膝をつき、ギリギリと歯ぎしり。
「さぁ、逃しませんよ」
「私はあなたに畏れを与えたいの。あなたが彼女に与えた様に、ね」
「ひっ……」
ラピスティリアと凪は、静かに微笑みながらシャドウへと近づく。
「く、来るな……ひ、ひえぇぇぇーっ!!」
元々蒼白の顔色を一層悪くし、シャドウは煙の様にかき消えた。
「逃げ足だけは速いな。とにかく、肝試し成功おめでとう」
周囲を見回す修太郎。夢の中でシャドウの逃走を阻止する事は出来ないが、ともかく作戦は大成功だ。
「うん、ありがと。皆が居なかったら、あたし一人じゃ絶対ここまで来られなかったよ」
灼滅者達を見回し、にっこり笑うキミコ。
「良かった良かった。それにしてもいーくん、意外と似合うじゃん。可愛い可愛い……っ」
「自分でやったんだろうに」
改めてビハインドのいーくんに目を留め、噴き出す悠。喋れない彼に代ってぼそりとツッコミを入れる舞以。
「もう怖いものなし、ですね」
「え、いや……そこまではまだ……」
微笑みつつ問いかける凪の言葉に、キミコは少し自信なさげな反応。
けれど全く怖くないと言うのも味気ないし、適度に怖いくらいが丁度良いのかも知れない。
「肝試しとか……私もまだ得意になれそうにないな」
ぽつりと零すうらりもまた、適度な恐怖心を抱いたまま、周囲をやや不安げに見回す。
「さあ、それじゃ帰りましょうか」
紅緋の言葉に一度も頷く。
「そうだね、そろそろ夢から醒めなきゃ。じゃあね、キミコ」
柚來もそう応えると、キミコに手を振る。
「うん、皆とまたどこかで会えるかな……?」
「かもな。でもこんな所には迷い込むんじゃねぇぞ」
少し寂しそうに尋ねるキミコにそう応えると、惡人はきびすを返す。
かくして一人の少女を悪夢より救い出した灼滅者達は、現実世界への帰還を果たすのだった。
作者:小茄 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年8月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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