クロキバ派のイフリートから、こんな内容の手紙が舞い込んできた。
すれいやーへ。
やまのおうちにきょうぼうないたちがでました。
はやくやっつけてください。
「勿論イフリート自身で蹴散らす事もできるとの事だが、その結果一般人に被害が出てしまうのは本意ではない……で、事件をうまく片付けられそうな武蔵坂学園に情報を寄越してきたという訳だ」
ちなみにこの『きょうぼうないたち』というのは、眷属の鎌鼬の事だ――そう言いながら、神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)は机上に広げた地図を指でなぞった。
「現場は栃木県の那須岳。この那須高原線……旧ボルケーノハイウェイを上っていく道沿いに、展望レストランの廃墟がある」
ボルケーノハイウェイ――いかにも火山チックなネーミングである。
雲海を眼下に、360度のパノラマを楽しめる素晴らしいロケーション。
だが、期待通りの集客ができず、レストランは敢えなく廃業。
「だいぶ長く放置されているらしく、建物はすっかり木々に浸食されて自然の一部と化しているようだな」
緑豊かな山の森に眠る廃墟。
現在そこが、鎌鼬の住処になっているというのだ。
地図を指でトントンと叩きながら、ヤマトはニヤリと笑みを浮かべた。
「イフリート達はこの件に一切関わらないとの事だが、これは確かな情報だ。知ってしまった以上、放置しておく訳にもいかないしな。お前達、ちょっと行って鎌鼬を退治してきてくれ」
鎌鼬は全部で10体。切れ味の良い鋭い鎌を持ち、廃墟に足を踏み入れた対象を無差別に襲撃する。
「内訳はボス級の強い奴が1体と、配下が9体だな」
廃墟は広いが、入口から見て手前が客席フロア、奥側が厨房というシンプルな間取りだ。崩れた天井や壁の瓦礫が障害物となって客席フロアをいくつかに分断しており、床は雑草で覆われている。瓦礫の向こうから突然襲撃されぬよう用心するべきだろう。
「配下共は入口周辺にたむろしているようだ。ボスは厨房にいて、戦闘が始まると同時に飛び出してくるだろう」
ボス鼬は疾風の如き斬撃を繰り出し、離れた場所にいる獲物複数を切り裂く技を併せ持つ。
「乱戦になるだろうから、複数の敵から挟撃されないように注意してくれ。油断さえしなければ、それほど苦戦する相手ではない筈だ。健闘を祈る」
それから……とヤマトは言葉を続けた。
「日帰りで帰ってくるのは少々厳しい場所だし、お誂え向きに温泉地だ。近くのホテルに人数分の予約を入れておくから、のんびり一泊してくるといい」
清々しい空気が味わえる山の宿。
戦闘で疲れた体に、癒しの湯――なんとも魅力的な響きに、灼滅者達の心も逸る。
「説明は以上だ。お前達の活躍を期待している」
参加者 | |
---|---|
水月・鏡花(鏡写しの双月・d00750) |
鈴城・有斗(は断ち撃つ刃の殺人騎・d02155) |
枝折・優夜(咎の魔猫・d04100) |
芦夜・碧(無銘の霧・d04624) |
明鏡・止水(中学生シャドウハンター・d07017) |
彩辻・麗華(孤高の女王を模倣せし乙女・d08966) |
香住・連雀(黄昏鳥雀・d09649) |
八葉・文(夜の闇に潜む一撃・d12377) |
●山に眠る廃墟
灼滅者達は、数歩先も見えない霧の山道を歩いていた。
「さっきはあんなに晴れていたのに……」
山の天気が変わりやすいというのは本当なんだねと、鈴城・有斗(は断ち撃つ刃の殺人騎・d02155)が肩をすくめる。このまま道なりに進めば目的地が見えてくる筈なのだが――。
強い風に急き立てられ、霧のような雲が滑るように斜面を駆け下りてゆく。途端、それまで真っ白だった視界がすうっと開けて、草木に埋もれた廃墟が彼等の眼前に姿を現した。
「おっと、こんな近くにあったのか」
明鏡・止水(中学生シャドウハンター・d07017)は、どこか眠そうな表情で崩れかけた建物を見上げた。美しい景色を眺めつつ食事が出来たのであろうレストランは見る影もなく朽ち果てており、伸び放題になった植物によって視界が遮られ、既に眺めを楽しめるようなロケーションではなくなっていた。
(「綺麗な眺めの展望レストランだったんだろうな……鎌鼬の住処になっているのは残念だ」)
ざわめく木々の音に混ざって聞こえてくる、眷属の息遣い。確かに、いる。香住・連雀(黄昏鳥雀・d09649)は武器を握る手に力を込めて、不敵に微笑んだ。
「このままじゃ落ち着かない。さっさと敵を一掃して、清々しい山の空気をじっくり味わいたいね」
「ええ、同感ですね」
静かに頷いた芦夜・碧(無銘の霧・d04624)が、周囲に警戒の目を向ける。それは、最近この手の依頼が多くなった事への微かな懸念の表れでもあった。
「イフリート達が私たちに遠慮して……ならいいのだけど」
手紙一通で思惑通りに灼滅者が動く事を、実は彼等に楽しまれているのではないかと枝折・優夜(咎の魔猫・d04100)は思う。
(「まぁ……眷属を放置できないのは確かだけど。とりあえず今は、教えてくれるだけ有難いと思う事にしておこう」)
一方、八葉・文(夜の闇に潜む一撃・d12377)はイフリートが書いた手紙の文面を思い出していた。
(「…なんか、可愛らしい感じだったわね」)
もともとイフリートは人語を扱うのが得意ではないのだ。あの文面も一生懸命練られたものだったに違いない。そう思うと、どうにも微笑ましい気分になってしまうのだが。
「…そろそろ気を引き締めないとね」
「準備はいい? さ、行きましょう」
折角温泉地に来たのだから、やる事はすぐに済ませて風呂を堪能したい。逸る気持ちを抑えつつ水月・鏡花(鏡写しの双月・d00750)が皆を促した。
メディックを担う者を中心にした陣形を組み、廃墟の入口へ。仲間の最後尾についた彩辻・麗華(孤高の女王を模倣せし乙女・d08966)は、気合いに満ち溢れた表情を浮かべて深呼吸する。
「全力でいきましょう。心置きなく温泉を楽しむ為にも、ね」
●切り裂く獣
開け放されたままになっている朽ちた扉の向こうに、鎌鼬の姿がちらりと見えた。
「先手必勝!」
先陣を切って廃墟に突入した有斗が、ガンナイフの刃を鼬に突き立てる。
「貫け、氷楔っ――Keil Eises!」
不意打ちを食らって体勢を崩す獣めがけて放たれた、鏡花の氷柱。凍てつく一撃に穿たれた鼬は、優夜が振りかざす漆黒の杖に横殴りにされ、炎に包まれながら燃え尽きた。
『キキッ!? キシャアアッ!』
突如飛び込んできた人間が生意気にも攻撃を仕掛けてきた――入口に付近にたむろしていた鎌鼬達が激昂し、甲高い雄叫びを上げて飛び掛かってきた。
ヴオオオン! 主を庇うべく、ライドキャリバーのアング・ロクエンが敵の正面に勢い良く飛び出す。
「…あんたら、ココを出て行ってもらおか」
鋭い瞳を眷属へ向けたまま、文が鎌の斬撃に傷ついた優夜へ防護符を投げ与えた。
「数が足りないな……」
敢えて鎌の一撃を身に受けた連雀は、巨大化させた腕で鼬を攻め立てながら、冷静に敵の数を確認している。現在、視界内には4体――そして、すぐ脇にある壁の向こうでざわめく複数の気配。
「障害物が多くて鬱陶しいわね。でもそれは敵にとっても同じ条件の筈」
こちらは奇襲や挟撃に備えた陣形を維持しているし、いざとなれば瓦礫を足場にして敵の攻撃を避けるつもりでいる。碧は高速回転させた刃で鼬集団を切り刻みながら恫喝した。
「眷属風情が、殺しの技巧持ち、殺人鬼を舐めるな!」
騒ぎを聞きつけた鼬が次々と瓦礫を乗り越えて接近してくる。鞭剣をくねらせて弱った個体を締め上げた麗華が、警戒の声を上げた。
「千客万来といったところですわね。皆様、お気をつけ下さいまし!」
「ウォンッ!」
同時に霊犬のゼファーが力強く吠えて仲間の注意を喚起する。
「どうやら配下はこれで全部、だな?」
麗華と並んで後方へ下がっていた止水のデッドブラスターが鼬を貫き、四散させた。
『ギイイイッ!』
逆上する鼬の矢面に突っ込んだアング・ロクエンが、スロットルを全開にして自らの傷を癒す。
「アング、その調子で頼むよ」
味方の盾として戦場を疾走するサーヴァントに声をかけながら、有斗もまた危険を顧みず敵の懐に飛び込み、至近距離から銃弾を撃ち込んでいった。
「さっさと消えなさい!」
『キィーィィッ!』
鏡花が繰り出す雷撃の如き魔矢を食らった鼬が、苛烈な攻撃を耐えきり反撃に出る。合流した眷属の群れが床を蹴って飛び上がり、前を担う仲間の体にザクザクと鎌を突き立てた。
「…療技、春風」
掌に生み出した風の塊に息を吹きかける文。浄化をもたらす優しい風は、瞬く間に仲間の体内から毒素を消し去っていった。
「ゼファー!」
「ワンッ!」
攻撃よりも回復を。治癒の力を宿したゼファーの瞳が有斗の傷を回復するのと同時に、優夜は酷い裂傷を負った碧に駆け寄って癒しのオーラで彼女を包み込んだ。
「あまり調子に乗らないで欲しいな」
シャウトを使う余裕など与えない。オーラを纏った連雀の拳撃が、瀕死の鼬を完膚無きまでに消し飛ばす。
「ようこそ。私の概念へ」
『ギヒィッ!?』
碧の放つドス黒い殺気に覆われた眷属達が、異様な悲鳴を上げる。怯んだ鼬めがけて一気に前へ出た麗華のトラウナックルが、敵の顎にクリーンヒットした。
「トラウマに苛まれながら、お逝きなさいな」
(「……いつボスが合流してもおかしくない状況だな」)
瓦礫に隔てられた廃墟の奥へ目を向けながら、止水が鋼糸を鼬に巻き付け、その体を引き倒す。
奥まった場所で蠢く、禍々しい殺気――ボス鼬が登場する前に、一体でも多くの配下を倒してしまいたい。有斗の放った弾丸は、必死で逃れようとする鼬を執拗に追い続け、その命を的確に貫いた。
「配下はあと5体……? なかなかしぶといわね」
鏡花の妖冷弾に撃ち抜かれた鼬が鎌を振り回し、連雀を斜めに斬り下ろす。間を置かず複数の獣が前衛陣を血祭りにあげるべく鋭刃を振り上げた。
「…そうはさせん。ウチがここにいる限りはな」
文が風を起こして仲間を包み込めば、すかさずゼファーと優夜が駆け回って負傷者を癒す。回復を担う者の見事な連携プレーだった。
と、その時。
『グルオォアアー!』
配下より一回り大きな鼬が突如として現れ、耳をつんざくような雄叫びを上げた。もしも奴が人語を操るとしたら「人間如きに何を手こずっているのだ」といったところか。
「ボスの攻撃が来る。皆、気をつけて!」
連雀が大声を張り上げて警告を発したのと同時に、大鼬の呼び起こした風が刃となり、複数の灼滅者を苛烈に切り裂いた。
「……ッ! こいつは、ちょっと厄介だな」
予想以上に攻撃力が高い。このまま放置しておいたら危険だと判断した連雀は、大鼬を足止めするべく跳躍し、渾身の力を込めてその巨体を殴打した。
『グガァッ!』
猛り狂う大鼬の躯にきゅるんと巻き付くのは、止水の繰る鋼糸。
「助太刀しよう」
「そっちは任せたわよ!」
碧のブレイドサイクロンに刻まれた鼬へ肉迫した麗華の強撃が、一瞬にして敵を消し去る。猛烈な勢いで突っ込んできた鼬の鎌をものともせず、有斗がガンナイフで応戦。螺旋の捻りを加えて突き出された鏡花の槍で更に一体が屠られて、配下の数はあと3体。
『キシャアアアッ!』
各個体が無秩序に暴れているのは、単体に集中攻撃をしかける隙が見出せないからなのだろうか。淡々と清めの風を巻き起こしながら、文は敵の動きをしっかりと観察していた。
「そろそろケリをつけたいね」
優夜の足元から伸びた影が巨大な猫の姿となり、敵にがっぷりと食らいつく。身を捩り、恐怖の悲鳴を上げる鼬を両断したのは、碧による居合斬り。
『グルオォッ!』
猛獣の如き咆哮と共に繰り出された大鼬の斬撃が、連雀を庇ったアング・ロクエンを深々と抉る。壊れかけたライドキャリバーに向けられるのは、ゼファーの浄霊眼。影を宿した武器で配下を攻め立てつつ、麗華が声を張り上げた。
「あと少し耐えて下さいまし。けっして重傷者は出させませんわ!」
「どこを見ているのかな? こっちだよ」
「貴様の相手は、この俺だ。かかって来い!」
連雀と止水VS大鼬の激しい攻防が続くなか、配下達はただひたすら、侵入者を仕留めることのみに集中していた。
『キイイイッ』
「ぐっ!」
矢継ぎ早に刃を食らった有斗が、裂帛の叫びをあげて毒の呪縛を吹き飛ばす。主を傷つけられたアング・ロクエンに思い切り轢き倒された鼬へ、鏡花がぴたりと狙いを定めた。
「撃ち抜け、蒼雷っ! ――Blitz Urteils!」
稲妻の如き魔法の矢を真っ向から浴びて、鼬が息絶える。最後に残った配下が狂乱の悲鳴を上げて鏡花に躍りかかってきた。
「…殺技、竜巻」
鼬に巻き付くのは、文の『黒焔鳳凰』。敵との距離を縮めた優夜の、炎を纏ったナイトロアーが弱った獣の頭部に炸裂する。
「そろそろ退場の時間だよ」
「私が引導を渡してあげるわ」
碧の言葉が終わるか終わらないかの一瞬で、配下の躯は上下に分断されて消滅した。
「あとはボスのみですわね」
配下全滅を瞬時に確認し、狙いを定め直した麗華が放つオーラが大鼬に命中。
『グオッ? ……グルアアアッ!』
「うあっ!」
それまで執拗に止水と連雀を攻めていた大鼬が思い出したように風刃を呼び起こし、前衛陣をズタズタに切り裂いた。
「行くよ、アング」
ドルルルルン! 有斗とアング・ロクエンが勢いに任せて大鼬へ特攻を仕掛ける。二人を援護するように放たれたのは、鏡花の妖冷弾。
「早く終わらせてしまいましょう」
『グ、グォァ……』
四方八方から灼滅者の全力攻撃を浴びせかけられ、さすがの大鼬も疲弊してきたようだ。
「一気に畳み掛けるよ」
優夜の影猫が大鼬に食らいつく。よろける獣に、止水と連雀の苛烈な一撃が叩き込まれた。
「…これで、終いや」
戦いに終止符を打ったのは、文の閃光百裂拳。凄まじい拳の連打によって粉々にされた大鼬は、廃墟に吹き込んできた風に散らされるようにして――敢えなく消えた。
「……終わったわね。お疲れ様」
早く帰って汗を流したいわねという鏡花の言葉に、全員が力強く頷く。
脅威の消えた廃墟を出た灼滅者達は、清々しい山の空気を存分に吸い込んでから、ようやく安堵の息をついた。
●山の温泉
疲れた体を引きずるようにして宿へ辿り着き、そのまま真っ直ぐ温泉へ飛び込んだ灼滅者一行。チェックインした時間が早かったからか、まだ一般客の姿はなく、彼等は存分にくつろぐ事ができた。
「はあー、極楽。暑い季節でも、温泉って気持ちいいな~♪」
露天風呂でのびのびと体を伸ばす男性陣。無色透明なぬくもりに傷ついた体を委ねながら、有斗は心地良い風と雄大な景色をのんびりと眺めていた。
周囲には緑の木々、見上げれば夏の蒼穹。眼下に目を向ければ、どこまでも続く白い雲海。
「見えるもの全てを独り占めしたような気分になるね」
「うん。空気も気持ちいいし……来てよかったな」
風が運んでくるのは、森の香り。首まで湯に浸かった連雀は、鼬が巣くっていた廃墟へと思いを馳せる。
(「あのレストランも、廃れなければこんな風に誰かを楽しませる事ができたのかなぁ」)
かつては大勢の人間で賑わっていたであろう建物。しかしそれは、もう二度と取り戻せない過去の思い出なのだ。切ないな、と連雀は息を吐く。
(「今後は眷属なんかに汚されず、緑豊かな森の中で静かに眠りにつける事を祈るばかりだよ」)
そんな連雀の横で――余程疲れたのだろう、止水は何度も寝落ちしかけてはハッと気づくパターンを繰り返していた。朦朧とした頭で思うのは、廃墟に置いてきた石版の手紙。『もし存分に暴れられる機会があったら、暴れてみたいか』――彼は、この山のどこかに居る筈のイフリートにそう問いかけてみたかったのだ。
「石版……見てくれるといいな」
黒猫の姿をして湯船の脇に佇んでいた優夜は「おちょくられているのでなければいいんだけどね」と思う。
「ふみゃん」
寝言のような止水の言葉に軽く答えてから、優夜はまったりと目を細めた。
一方、女性陣は。
「ふぅ。生き返るわ。運動後の温泉は良いものね」
『おんせん県』生まれの碧にしてみれば、温泉は遍く骨の髄から楽しむ場所。特に、戦いで疲れた後に浸かる温かい湯というものは、それはもうたまらなく心地良いのである。弟も一緒に来られればなお良かったのにと呟く碧の瞳は、どこまでも優しい。
「…こーいうのを『いい気分』っていうのかしら? 日常のもやもやが、何もかも融けていくみたいな…」
つい先刻まで鼬と死闘を繰り広げていたのが、まるで嘘のよう。文は半ばうとうとしながら夢心地。碧の「湯上がりに飲むヨーグルト牛乳が楽しみね」という言葉に「あ、私も飲む」と相槌を打ちながら、彼女は緩やかに眠りの世界へと落ちてゆく。
「さて、ゆっくりと楽しませて貰うわよ」
身体を流し終えてサッパリした鏡花は、眺めの良い露天風呂へと浸かった。そよぐ風は涼しくて、外気に冷やされた少しぬるめの湯が、体全体に染み渡るように気持ち良い。
ぐっと背を伸ばし、仲間以外誰もいない湯船に美しい肢体を委ねる。
「もう、ずっと入ったままでいたくなるわね」
「ええ、本当に……素敵なお風呂ですわね。疲れがしっかり取れそうですわ」
仰向けにぷかりと浮いて、心から温泉を満喫している麗華。全員無事にここへ来られて良かったと、彼女は満足げに微笑む。
「ふふ。気合いを入れたかいがありましたわね」
この後、男風呂では止水、女風呂では文があやうく水没しかかり救助されるという小さなハプニングもあったが――何とか全員揃って夕食の宴へと赴く事ができた。
ゆったりした個室に設えられた豪華な料理を前に、まずはジュースで乾杯。
「今日一日、お疲れさま!」
「いただきまーす」
「……食事の後で土産物、見に行かないか?」
楽しい時間は、まだまだ続きそうだ。
夏の星空に見守られ、若者達の夜がゆっくりと更けてゆく。
作者:南七実 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年8月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 1
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