一撃で気絶させられた少女が次に気が付いた時。
メイド服を着せられ、絨毯だけしか敷かれていない固い床の上に寝かされ、そして自分を攫った男が目の前にいて、少女は悲鳴を上げる。
「黙れ」
一撃。
重厚な木の机が、粉々に砕け散る。
少女は息を呑む。その目の前で、男は蒼い粘液のようなものに包まれた拳を、元の人間のものに戻して。
「お前は今日から俺のメイドだ。今までの名前も捨てろ。お前はアヤナだ。俺の機嫌を損ねると……こうなる」
男は無造作に机を指差す。
ひ、と息を呑んだ少女は、こくこくと大きく頷いて。
「わかったら、まずはこの机を片付けろ。お前達もだ」
見れば、壁際に並んだのは、同じような年頃の少女達。
誰もが皆、逃げ出そうとする意志を失い、男の顔色を伺って――そして黙々と、壊れた机を片付け始めた。
「一般人が闇堕ちして、デモノイドになる事件が起きてるんだけど……このデモノイドの力を使いこなす、デモノイドロードってのが現れちゃったんだよね」
いつもより幾分深刻そうに、嵯峨・伊智子(高校生エクスブレイン・dn0063)が口を開く。
「でもってね、デモノイドロードは、普段はデモノイドヒューマンと同じ能力を持ってるんだけど、自分が危険になったりするとデモノイドの力を使いこなして、デモノイドとして戦えるのね。自分の意思で闇堕ち出来る灼滅者、みたいな……でもって、危機が去ったらまた普段の姿に戻っちゃうのね」
だがデモノイドロードは、悪の心によってデモノイドに打ち勝ってしまった存在である。もし説得によりデモノイドを制御していた悪の心を弱めたら、そのまま完全なデモノイドになってしまうのみ。
「今回のデモノイドロードは、杉田・安蘭っていう男の人なんだけど、女の子をいっぱい集めて屋敷に自分の王国? みたいなものを作ってるんだよね」
手口は単純である。手加減攻撃によって女の子を気絶させ、屋敷に連れて来て、己のデモノイドヒューマンとしての力を見せつけて抵抗する気力を奪う。
集めた女の子を減らすのは嫌だという性格ゆえに、まだ殺された少女はいないが、もしも安蘭の機嫌を損ねてしまえば容赦なく殺されてしまう可能性もある。
「彼に接触する方法は、2つかな。安蘭が一人で街に女の子を探しに来たところに戦闘を仕掛けるか、それとも安蘭の屋敷に直接向かうか」
街で接触した場合も、安蘭の屋敷の位置はわかっており、女の子達を解放することはできるだろう。ただし、無関係な一般人を巻き込む可能性もある。
屋敷での戦闘に持ち込んだ場合は、女の子達が人質に取られる可能性があるので、対策を考えておく必要がある。ただし、この場合逃走される心配は非常に少ない。
「安蘭は、デモノイドヒューマンと同じサイキックと、シャウトを使って来るよ。手加減攻撃もあるけど、みんなが戦闘を仕掛けてきたら使うことはないと思う」
そう言って、伊智子は灼滅者達を見渡して。
「今回は誰かを巻き込むかもしれないから、その対策が重要になってくると思う。お願いします、女の子達を助けたげて」
ぺこりと頭を下げて、伊智子は灼滅者達を送り出した。
参加者 | |
---|---|
一・葉(デッドロック・d02409) |
アイティア・ゲファリヒト(見習いシスター・d03354) |
竜崎・蛍(レアモンスター・d11208) |
千歳・ヨギリ(宵待草・d14223) |
イーニアス・レイド(楽園の鍵・d16652) |
片倉・純也(ソウク・d16862) |
久瀬・隼人(反英雄・d19457) |
竜造寺・実果(中学生サウンドソルジャー・d19505) |
喧騒の中。
千歳・ヨギリ(宵待草・d14223)の瞳が捉えたのは、一人の男。
――杉田・安蘭。
その姿を確かめた瞬間、ヨギリの瞳は怒りに染まる。けれどそれを見せぬよう心の中に仕舞い隠して、彼女はそっとその男に近付いていく。
「あのぅ……花富通りってこっちですか?」
「あん? 嬢ちゃん、迷子かぁ?」
こくりと頷いてヨギリは、父親の会社に忘れ物を届けに来て迷子になってしまった少女を演じる。
男の口元を歪めた下心満載の笑みに、苛立つ心を必死に抑えながら。
「ごめんなさい……道、よくわからなくて。この場所まで案内してくれませんか?」
ヨギリが口にした住所に、安蘭はますます笑みを深め「ついてきな」と歩き出す。慌てて歩き出しながら後ろ手で、ヨギリは携帯電話の送信ボタンを押した。
(「女の子を閉じ込めて……暴力で屈服させるなんてひどい……!」)
こんな悪い王様はやっつけなきゃ……ね。
その思いをしかと、胸に潜めて。
さ、と一・葉(デッドロック・d02409)が手を上げた。それは、ヨギリから連絡が入ったという合図。
そのまま葉はアルバイト店員のふりをしながら、周りの様子に目を走らせる。ヨギリと安蘭がの姿ももちろんだが、一般人の動きをも確認して。
周囲の地形を確認し終えたイーニアス・レイド(楽園の鍵・d16652)が、着実に退路を塞ぐべく慎重に位置を取って。取り出した携帯ゲームは、夢中になっている一般人のように見せるカモフラージュ。
絶対に逃がすまい、と心に誓いながら、ふと片倉・純也(ソウク・d16862)は思う。
(「今回の悪意は、何と呼ばれるものだろうか」)
悪意とは何か。善意とは何か。デモノイドロードと対極の存在であるデモノイドヒューマンの純也にとってそれはまだ理解しがたいものであり、何を以て悪意か、デモノイドロードとなりその状態を保つには誰の視点で悪と言えるものが必要なのか――それがある意味純粋な、興味の対象であった。
「最悪だね……自分より弱い者を、力で言う事聞かせて満足してるなんて気持ち悪いよ……」
普段は元気で脳天気、けれどそのアイティア・ゲファリヒト(見習いシスター・d03354)の頬は、今は緊張と怒りに引き締められて。
「絶対ここで討って、皆を助けてあげないと」
そっと十字を握ってから、アイティアはすっとカードを抜く。さりげない葉の合図は、ヨギリが安蘭を連れてきたという証。
ちらりと視線が交わされ、頷き合う。
裏路地に男とヨギリが踏み込む。ヨギリより先を歩いていた男が、舌なめずりしながら振り向いた、その瞬間。
「逃げろっ、通り魔だ!」
ヨギリがパニックテレパスを発動、続けて葉の声が響き渡る。割り込みヴォイスを使い喧騒を打ち破った声の主を確かめて、それとは反対方向に一般人達は逃げていく。同時にイーニアスが近付く者なきよう殺界形成を使えば、もはやこの裏路地に入る者などいないであろう。
「っ!?」
思わず足を止めた安蘭に、メイド服姿の竜造寺・実果(中学生サウンドソルジャー・d19505)が飛び出し道を塞ぐ。
「拉致監禁までしといて結局はメイド好きか!」
補足すると、純然たる仕事用のメイド服である。
「……いい趣味しとるやないの!」
いいのか。
それとも皮肉か。霊犬のミリカが一声吠え、刀を閃かせ飛び出して行く。
「何がロードだ。ほざきやがって。ただのチンピラじゃねェか」
久瀬・隼人(反英雄・d19457)の舌打ちが、裏通りに響く。
「はっ……俺の、この力を見てもそんなことが言えるかな?」
腕を突き出す。その腕が蒼に染まる。徐々に粘液のようなものが纏わりつき、肩を、首を、顔を、胴を、脚を覆い――そして男は、デモノイドの姿へと変貌を遂げ――、
「お掃除の時間だ青モップ。てめェの顔で地面を拭いてやる」
「青モッ……ぶふっ!」
抗議の声を上げようとしたデモノイド化した安蘭が、隼人に素早く脚を払われバランスを崩す。早速地面を拭かせるには至らなかったかと隼人は再び舌打ちし、伸ばした腕を鬼神のものへと変える。
「うわーっでたー!」
次の瞬間聞こえてきた大声に、思わず安蘭は振り向く。竜崎・蛍(レアモンスター・d11208)がカードを引き抜き、「initlate!」と封印を解除、そのまま殺気を一挙に解き放って。
「私のことを捕まえてメイドにしようとしてる極悪変態暴君だー!」
「変態……だと……?」
デモノイドの口元がぎゅっと引きつる。巨大な刃に変化し迫ってきた腕を、急いで蛍は縛霊手の縁で滑らせ勢いを殺す。
「チッ!」
初めて安蘭の目の前に現れた、自分を殺せるかもしれない存在。
けれど恐怖を感じてちらと確認した退路は、純也とイーニアスが確実に塞ぐ。
「今日は年貢を納める日や。準備はええかの?」
そう言って、実果が声を張り上げる。戦いの邪魔にならぬように、けれど集中できてテンションが上がる曲を選び――さらにはその声に歌姫の誘惑を乗せて。
「そいじゃ、御主人様に最期のご奉仕といきましょーかね」
生憎、メイドでも何でもねぇ灼滅者だが――さらに背後を塞いだ葉が、肩を竦めてから思い切り輝かせたWOKシールドを叩きつける。
「お帰りなさいませ御主人様ってな……おらぁッ!」
「ぐっ!」
蒼い体がたたらを踏み、その瞳には怒りが燃える。けれど葉はひるむことなく、横っ面を張り飛ばされながらもシールドを大きく輝かせ、仲間達まで包まんと広げて。
その間にアイティアが、そっと指輪を撫で闇と契約を結ぶ。高まった力を確かめて、アイティアはすらりと刀を抜き放つ!
「さあ、審判の時だ」
小学四年生という年にしては大人びた様子で、イーニアスは掌に光を集めながら口を開く。
「自分より弱い者を力で支配して君主気取りか。まったく、反吐が出るね。被害者救出のためにも、矮小な君主には審判を受けて頂こう」
裁きの光――ジャッジメントレイ。
味方には暖かな癒しとなるそれは、今は容赦なく安蘭を穿つ。悲鳴か気勢か、大きく声を上げた安蘭は毒の弾丸を生み出し、解き放とうとする。
けれど安蘭の腕を離れた弾丸は、ぱしゅん、と魔力の弾ける音を立てて掻き消された。
「ねえ……余所見をしてて……いい、の?」
抑えていた怒りをあらわにし、ヨギリは尋ねる。一般人の影すら見えなくなったのを確認し、守りから攻めへとその身を転じながら。
「ガァッ!」
己が好きなようにできると思った少女が、確かな力で己を穿ち、倒そうとすることへの苛立ちか、安蘭が短く吼える。そこに純也が影を伸ばし、縛り上げながらふと口を開く。
「扱えるようになった時、何を考えた」
ふ、とデモノイドの口元が馬鹿にするように歪む。
「これで自分が好きなようにできる、当たり前だろ?」
お前も同じじゃないのか、とデモノイド化した純也の腕を、安蘭は指し示す。けれど――純也には、その気持ちはわからない。
「ハッ、力を持ったら好きなようにする、それが小物なんだよォ!」
隼人が鬼神へと変えた腕を思いっきり叩きつける。それを腕の刃で受け止めた安蘭は、軌道を逸らしながら身体を回転させてその勢いのまま葉へと酸の弾丸を叩きこむ!
WOKシールドのガードが破れ、僅かに勢いを削がれた弾丸が、葉の皮膚を、防具を灼く。けれど第二撃を続けようとしたそこに、純也が飛び込んでシールドを叩きつける――純也へと向いた怒りの一撃を、彼は寄生体と一体化したその腕で受けた。
ぎりぎりとつばぜり合いするかの如く、寄生体同士が組み合う。一瞬でも隙を見せたら飲まれるような拮抗状態――破ったのは、蛍!
「極悪変態暴君、覚悟ー!」
縛霊手が叩き付けられ、同時に霊力の網が安蘭を包む。
ガッ、と大きく口を開け、飛びすざるところに純也の影が絡み付く。けれど、安蘭が狙ったのは――葉!
「は? 私は?」
「ム?」
安蘭が心底意外だ、というように振り向く。
「私私! 私のこと捕まえてメイドにしようとかそういう話!」
デモノイドと化したその奥から、じっと蛍を品定めするように瞳が動き――、
ぷいっ。
「なっ……」
とりあえずそのまま葉と純也を相手取りつつ、時々ヨギリとか実果、アイティアに酸の弾丸をぶつけようとしたりする安蘭。
思わず後ろから縛霊手で急所めがけてぶっ叩く蛍。
「なんこいつよー。目ぇ腐ってんじゃねえの」
悶絶する安蘭に、口調がいきなり冷たくなる蛍である。
雲を断つ光の如く、アイティアが上段に構えた日本刀を真っ向から振り下ろす。じゅん、と濁った音を立ててそれは寄生体に包まれた腕が止めるも、その腕の動きが鈍ったのを確かめアイティアは今度は制約の弾丸を解き放つべく指輪に祈りを捧げて。
「主よ、どうか悪しき者を貫く力をお与え下さい」
そっとイーニアスが祈るように手を組み合わせる。雷が彼の持つ杖の先に現れ――勢いよく、蒼き体を穿つ!
ガッと声を上げ、それでも気迫を込めた叫び声で安蘭は電撃を吹き散らす。「ほー? メイドスキーが、ガッツあるのぅ」と実果が感心したように目を細めて、けれどそれすらも旋律になるかのように今度は癒しの歌を続ける。
「怪我したら言うてなー? 回復はボクの十八番や!」
歌い手として、癒し手としての意地を見せ、実果はにこりと笑い天使の歌声を唇に乗せる。ミリカが六文銭を鋭く飛ばし、蒼い体へとしかと食い込ませて。
隼人の拳がオーラに輝き、デモノイドの身体を乱打する。そして一度身を離し、砲台と化した腕が放つ死の光線をステップでかわし、「おいおいやる気あんのかァ雑魚モップ!」と挑発の叫びを上げながら拳に風を纏わせ――拳ごと叩き付ける、これが隼人の神薙刃。
さらに後ろから安蘭の肩を掴み、反対の拳を何度も葉が叩きつける。これもまた、闘気を宿して。
そしてヨギリのマテリアルロッド――と思しきファンシーな装飾を全体に付けた釘バッドが、魔力を宿して思いっきり振るわれる。どす、といい音がしたのは、物理と魔力どちらの力か。
純也がさらにシールドバッシュを決め、さらには盾の力を体力で若干劣る隼人へと分け与えて。
「悪事の自覚は。力を振るうのは楽しいか」
「楽しいぜ……俺が負けなけりゃなぁ!」
叫ぶと同時にがん、と衝撃。皮膚を灼かれる感触に眉をひそめながらも、純也は言葉を続ける。
「ならば気に入りの所有物を片端から壊し続けてみようか」
「だったらまた連れて来るまでよぉ」
にぃ、とその唇の端が、醜く笑みの形を作る。意図せずしてデモノイドと化してしまった人々の苦しみと葛藤を露わにした表情と、それは何と違う事か。
蛍とアイティア、二人の向けた指輪から、制約の弾丸が解き放たれる。安蘭の動きが一瞬止まった隙を、灼滅者達は逃さない!
「キミは自分のしたことの報いを受けるべきだ。命をもって、ね」
イーニアスが己の闘志をオーラへと変えて解き放つ。それに呻き声を上げた安蘭に、さらに実果の情熱のダンスが叩き付けられ、大きく姿勢が崩れる。
その時になって、男は逃げ場所を求めた。
最初から逃げるかもしれぬというそぶりは見せていた。けれど、死が目前のものとなって――今ばかりは絶対に逃げなければならぬと、逃げ場所を求めた。
けれど、それをすぐさまアイティアが悟り、叫ぶ。
「逃げようとしてるよ! みんな、囲んで!」
いざとなれば、身体を張ってでも止める覚悟と共に、アイティアはしっかりと逃げ道を塞ぐ。そしてすぐさま反応した葉が、腕をバトルオーラで覆い、輝かせて。
「お忘れ物ですよ御主人様――っしゃあッ!」
閃光百裂拳。百の打撃という名は、伊達ではないとばかりに。
「弱虫……。弱いからすぐ逃げるし、自分よりも弱い存在……を、苛めるの、ね……」
「なぁっ!?」
ヨギリの心底蔑むような挑発に、安蘭は怒りの声を上げる。そのまま大きく振り回して叩き付けられそうになった寄生体の刃は、純也が素早く受け止めて――さらに己の寄生体を宿した腕を、巨大な刃に変えて叩きつけ返す。
「絶対ここで終わらせなくちゃいけないもんね……!」
アイティアが制約の弾丸を、再び叩きつける。シスターとして、一人の少女として、人として――尊厳を破壊するこの男は、赦せぬと。
「変態にはお仕置きが必要」
そう迫真の表情で言い放ち、蛍が縛霊手を思いっきり叩きつける。光が、影が、安蘭の身体を包み、その動きを食い止める。
「逃げんなよォ雑魚! 雑魚は雑魚らしく死ね!」
隼人が乱暴にそう言い放ち、フロントジャンプキックを叩きつける。その威力にひ、と息を呑んだ男に、純也がゆっくりと口を開いて。
「城の場所は知っているぞ、ロード」
「っ!」
あからさまに、安蘭が怯む。ここで逃げても、逃げ場所すらないのだと示唆する言葉に。
そこに解き放たれたアイティアの制約の弾丸が、真っ向から決まる。動きを止められた安蘭に、さらに蛍の放った動きに制約を与える弾丸が叩き付けられて。
――暴君たろうとした男の最期は、みじめであった。
「お似合いじゃねェか。小物のロード様よォ」
地面に倒れ伏し、隼人に頭を踏まれ、地面にこすり付けられながらその蒼い体が塵へとかえってゆく。
「暴君ってのの末路は、暗殺されるか首を刎ねられるかのどちらかってな」
どっちにしろロクなもんじゃねぇ、と葉はそれを止めず、頷いて。
デモノイドロードの最期を確かめ、女性陣は屋敷へと向かい――少女達を、解放する。
机をばん、と蛍が叩けば、蛍の手に強烈な痛みが走る。
「あなたたちの主人はこうしてきたから」
満足げな顔だが、思いっきり手をさすっている――その様子と、援けに来てくれる人がいたという事実に、少女達は泣いていいのか笑っていいのか、わからない顔をする。
「大丈夫、もう貴方たちを無理矢理支配しようとする怖い王様はいないの……」
「怪我しとる子はおらんか? 傷も治してあげるきに♪」
ヨギリと実果の暖かな言葉に、小さな子ども達はわっと泣き出してその腕に飛び込み、年上の少女達は安蘭によって傷つけられた少女を呼んで。アイティアが「もう大丈夫だよ」と腕を広げ、いつまででも話を聞こうと傷つけられた心を優しく抱き留めて。
暴力を振るったのが男性である故に、屋敷に行くのは遠慮したイーニアスが、そっとその外で空を見上げて。
「……どうか、彼女達が幸福な日常を取り戻せますように」
既に彼女達に深い恐怖を与えた存在は、この世にいないのだから。
その祈りが、どうか叶いますように――。
作者:旅望かなた |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年8月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 12/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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