臨海学校~縁日を楽しもう!

    作者:望月あさと

     花火大会が始まる前の時間。
     たくさんの店でにぎわう縁日には、大勢の人であふれかえっていた。
     浴衣を着た子どもたちは、金魚すくいやヨーヨー釣りに奮闘し、浴衣姿の少女たちはりんご飴を手にしながら、会話に花を咲かせる。
     誰もが、この楽しい時間が過ごす。
     そんな中――。
     
    「ひゃっほー! はりきって殺すぜー!」
     縁日の人混みの中へ、揚々とした声をあげる男が乱入してきた。
     振り回している手にはナイフ。
     近くにいる人々が次々と刺されていく。
    「ははは、楽しいぜ! ほら、どうした。早く逃げねーと殺しちゃうぜ。ひとーつ、ふたーつ、三人目! ぎゃはははは!!!! 殺しまくるぜ!!!!」
     つんざく悲鳴。
     返り血を浴びる男は、誰を狙うわけでもなく、かたっぱしから人を殺し続けた。
     
     

    「みんな、夏休みといえば臨海学校! だよね。でも、臨海学校の候補地の一つだった九州で大規模な事件が発生することがわかったの。
     でも、がっかりしないで。
     大規模といっても、事件を起こす相手はダークネスや眷属、強化一般人じゃなくて普通の一般人なんだよ」
     須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)の説明によれば、何かカードのような物を持った一般人が無差別連続大量殺人を起こすようだ。
     しかし、なぜ一般人がそんなことをするのだろうか。
    「一般人は持っているカードに操られて事件を起こしちゃうの。
     だから、カードを取り上げてしまえば事件は解決! カードを取り上げられたら、直前までの記憶を失って気絶しちゃうから特に問題はないしね。あとは休憩所などに運んであげれば大丈夫だと思うよ」
     灼滅者であれば、すぐに解決できる事件だ。
    「ただ、この事件の裏には、組織的なダークネスの陰謀があると思われるんだ。一体、何が目的なんだろうね」
     
     縁日で起きる無差別大量殺人事件。
     ナイフを持った男が、縁日に来ていた人を次々と殺していく。
     事件の起きる場所は特定できないが、事件が起きれば必ず騒ぎになる。
     その騒ぎの中心部へ行けば、殺人を行っている男を見つけることができるだろう。
     ポケットのついたYシャツを羽織り、ゆるいズボンをはき ズボンの後ろポケットに入れている財布を、ベルト部分から伸びるチェーンで繋いでいる男。
     男さえ特定できれば、あとは灼滅者たちの手で、どこかに隠し持っているカードを見つけて取り上げればいい。
     ただし、カードの分析や敵組織の狙いについては、現場ですぐに調べられるものではないため、後に皆が戻ってきてから行うことになるだろう。

    「そしてね、実はこの事件と臨海学校は同時に行われているの。
     つまり、事件を解決したらあとは臨海学校なんだよ!
     いろいろ行事はあるだろうけれど、まずはみんなの守った縁日を楽しんで。もちろん、私も楽しむつもりだよ」
     まりんは、にっこりと笑い、
    「みんなが守ってくれた縁日で遊べるなんて素敵だね」
     


    参加者
    若生・めぐみ(癒し系っぽい神薙使い・d01426)
    西海・夕陽(日沈む先・d02589)
    若菱・弾(キープオンムービン・d02792)
    武月・叶流(藍夜の花びら・d04454)
    瀬戸・与四郎(游貘・d05718)
    ユリア・フェイル(白騎士・d12928)
    来海・柚季(自由を唄う蒼の鳥・d14826)
    瀬川・市丸(猛き炎を射抜く者・d18100)

    ■リプレイ

    ●1
     縁日では、すでに大勢の人であふれていた。
     通りの両脇には様々な店が立ち並んでいる。
    「いい匂いがするね……」
     瀬戸・与四郎(游貘・d05718)は、店から漂ってくる美味しそうな匂いに、くん、と、鼻を向けた。
     常に空いているお腹が、キューっと縮まって、音を鳴らしそうになる。
    「……腹、へったなぁ。早くカードを回収して屋台に、ありつきたい。な」
     そう。まだ、縁日を楽しむ時ではなかった。
     これから起きる事件を解決しなくては、食べることも遊ぶこともできない。
    「縁日だというのに……迷惑なものです」
    「柚季さんのいうとおりだよ~。しかも、こっちはせっかくの臨海学校なのに~~」
     ユリア・フェイル(白騎士・d12928)は、ぷくっと、頬を膨らませる。
     しかし、すぐにその表情はほぐし、
    「ちゃっちゃと解決して縁日楽しも~」
    「楽しい時間っていうのは、一瞬で過ぎちゃうからねー。少しでも時間を大切にしたいから、3班に別れて行動を開始しましょうかー。僕は、ユリアさんとだからー、ユリアさん、よろしくねー」
    「待って」
     瀬川・市丸(猛き炎を射抜く者・d18100)がユリアに微笑みで挨拶をすると、武月・叶流(藍夜の花びら・d04454)が呼び止めた。
     手には、携帯電話がある。
    「別れる前に携帯電話の番号、お互いに知らせあっておきたいの。何かあっても他の班と連絡できるもの。……普通の一般人に力を与えるカード……、すごく気になるし、謎の組織のこともあるし」
    「そうですよね。めぐみも全員の番号を交換します」
    「それなら、まずは俺と交換しねーか?」
     そういってきたのは、携帯電話をおもちゃのように揺らす若菱・弾(キープオンムービン・d02792)だった。

    ●2
    「折角に縁日なのに、なんて無粋なっ! 早々に見つけ出して、早々に片付けて臨海学校たのしむっ!」
     そう言い切って意気込む西海・夕陽(日沈む先・d02589)は、ずんずん、と、縁日の人混みの中へ突き進んでいった。
     一緒にいる与四郎は、須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)から聞いた特徴を頼りに犯人の目星をつけ、若生・めぐみ(癒し系っぽい神薙使い・d01426)はそれらしい人を探しながら騒ぎを警戒している。
    「瀬戸さん、若生さん。男を見つけたら王者の風、頼みますね」
     夕陽は、作戦の要となる力に念を押す。
     王者の風――これを使用することで、無差別大量殺人を犯す男の動きを鎮める作戦。
     そのため、3つに別れた班には、必ず王者の風を持つ者がいる。
     市丸とユリアの班では、市丸。来海・柚季(自由を唄う蒼の鳥・d14826)、弾、叶流の班では、柚季と弾だ。
     しかし、それぞれの班が懸命に男を探している中、縁日に悲鳴があがった。
     縁日を楽しむようにカモフラージュしながら周囲に怪しい男がいないか警戒していたユリアは、はっ、と顔をあげて騒ぎの元を探る。
    「どこ?」
    「ユリアさん、こっち」
     人々の動きを読んだ市丸が走り出した。

    「ひゃっほー! はりきって殺すぜー!」
    「いやあぁぁ!!」
    「きゃああぁぁぁ!!」
     突然、人混みの中へ乱入してきた男が、手当たり次第にナイフを人々へ切りつけていた。
     一番早くたどり着いたのは、弾と叶流、柚季。
     携帯電話でそれぞれの班と連絡を取っていた3人は、男を見つけたと口早に伝えるなり、携帯電話を早々に手放す。
    「危ない!」
     叶流が一般人をかばって、男のナイフを正面から受けた。周りから、悲鳴があがったが、灼滅者である叶流は擦り傷程度しか負わない。
    「そこまでにしてもらいます!」
    「おらっ! んな、物騒モン振り回してんじゃねー!」
     柚季が王者の風を起こし、無気力になった男を弾が手加減攻撃で気絶させた。
     辺りが静かになる。
     そこへ、「すみませーん」と言いながら人の垣根をかき分けてくる市丸とユリアが到着する。
     ぐったりとしている男に、市丸は、「見事にのびてるねー」と言いながら、小声で、
    「人の目もあるし、さっさと犯人を集合場所へ連れて行こうか」
     うなずいた弾が男を抱きかかえると、ユリアはにこやかに笑い、
    「恐い人、いなくなったから縁日楽しもう~」
     人々の足が動き出した。

    ●3
    「遅くなって、すみませんでした」
    「構わないわ、若生さん。負傷した人の怪我を治してきたのでしょう? きちんと、連絡をくれていたから大丈夫」
    「さすが、武月さん。話がわかりますね」
     夕陽が八重歯を見せて、にかっ、と、笑うと、叶流は少しだけ表情をやわらげ、気を失っている男を見下ろした。
     瀬戸は、集まっていた仲間の手元を見渡し、
    「ところで……カードは?」
    「まだ、です。全員が集まってからと思いまして……」
     柚季に言われ、瀬戸は男が持っているだろうカードを目で探した。
     外観からわからない以上、しまいこんでいるのだろう。
    「まさかアイドルのファンクラブ会員証だったりはしねーよな……?」
    「それはそれでユニークですけど、真実は実際に見るに限ります。どこだ、カード! ――ありました!」
     弾につぶやきに反応した夕陽は、男をまさぐり、カードを見つけ出した。
     後は、縁日を楽しむだけだ。

    ●4
    「お疲れ様、柚季。無事終わったようで何より。では、祭りを楽しむとしようか」
     八嶋・源一郎との待ち合わせ場所についた柚季は、茶飲み友達ならではの気兼ねさで、屋台をいろいろ見回った。
     源一郎はほぼ食べ歩きだが、目のつくものは片っ端から顔を出すため、ほとんどの店を制覇している。
     柚季がかき氷に続き、たこ焼きを食べていると、源一郎が物珍しそうにして地元の名物に足を止めた。
     さっそく買って食べる源一郎に、柚季は、
    「わぁ、それ美味しそうですね。一口もらってもいいですか?」
    「うん? 良いとも。ほれ、口を開けよ。熱いから気をつけるんじゃよ」
    「美味しい」
    「そっちの味も気になるのう。一口くれ。ん? あれは……」
     源一郎が目を向ければ、胃袋にうまそうな物を片っ端に入れ込んでいる弾がいた。
     革ジャンとグラサン姿から浴衣に着替えた弾は、ムシャアと一気に食べ物を飲み込む。
    「よし、腹がほどほど満たされたら、次はナンパだ!」
     食べ歩きもほどほどにして、綺麗な女性がいたら適当に声をかけていく。
     その横を、男性二人組にしか見えない鏡宮・来栖とレンリ・シャミナードが通り過ぎた。
     来栖が、日本の祭りが初めてというだけレンリに林檎飴をすすめてみれば、ライスは美味しいと驚く。
     噛んだときに広がる甘さがたまらないという来栖の言葉に納得してしまう、キラキラとして鮮やかな林檎飴。
     女性にも関わらず、男性用の白い浴衣姿が似合う来栖は満足げに笑むと、恋人の分もと追加で買う。
     すると、レンリも来られなかったパートナーにも林檎飴を食べさせたくなった。めったに考えないことなのに。
     物思いにふけっているようなレンリに、来栖が、
    「……たまには、素直になるのもいいと思うんだケドな」と、つぶやけば、レンリは土産にともう一本買っていた。

     合流した仲間から一仕事をねぎらいの言葉を受けたユリアは、桜井・かごめと乾杯した林檎飴とナディア・ローレンからもらったわたあめを手に甘いもので腹を満たしていた。
     ナディアは、気になった物を片っ端から買って食べていくため、どれを食べていないかわからない。
    「縁日っていいなー」
     ナディアがほっこりしていると、木元・明莉が子どもの時にはまったヨーヨー釣りに足を伸ばした。
     かごめは、金魚の柄を気に入って、浴衣の裾が濡れないように腕まくりをして挑んだが、あえなく紙がちぎれ落ちてしまう。
    「紙は少し湿らせた方が丈夫になるって話だったけどな」
     そういって、明莉が紙を湿らせれば、透明に花びらの舞う柄のヨーヨーが釣れた。
     それを見たユリアもやってみたが、簡単にちぎれて、繊細な作業は無理ってことなのだとうなだれてしまう。
     かごめと共に雨雲を漂わせていると、明莉が目についたお化け屋敷に目を輝かせた。
     目は口ほどに物を言うというだけあって、入場決定。
     つおい女の子にこわいものはないという女子二人の棒読みに、明莉も棒読みで復唱し返す。
     しかし、明莉は暗がりだ。先頭に突きだしたナディアの背にヨーヨーを当てて脅かしながら歩いていると、二人の後ろに回ったかごめが、おどろおどろしい声で、
    「リア充爆発しろおおおお」
    「ぎゃあああああ!!?」
    「わっ、木元さんどーした……!?」
     声をあげて逃げる明莉につられて走り出すナディア。しかし、ナディアはリア充ではないのでとばっちりだ。
    「ところでリア充ってなに?」
     残されたユリアは、かごめにたずねた。
     そこから、少し離れたところ。
     わたあめの店の前で、夕陽と天城・優希那は手を繋いでいた。
     人ごみではぐれないようにしっかりと繋がれた手は、作られていくわたあめを見ていても離れない。
    「ぐるぐる~なのです! 雲みたいに、ふわふわなのです!」
    「理屈はわかるんだけどー。どうやって作るのかが不思議だよな」
    「材料はたしか、お砂糖ですよねぇ? お家でも作れますかねぇ?」
     目を輝かせながら優希那に、夕陽はできたてのわたあめを一つ買った。
     そのまま差し出してもいいのだが、夕陽は大きな白い雲をひとちぎりし、
    「優希那ー。あーん」
    「ふへ? あ~ん」
     振り向いた優希那は素直に口を開けて、わたあめを美味しそうにもぐもぐと食べながら、「えへへ~」と笑った。
     そして、別のカップル。
    「瀬川、コレなんだ? 金魚泳いでるけど」
     伽羅夜・空は、林檎飴で金魚すくいの店を食べていた林檎飴で指し示した。
     初めての縁日で、何もかもが新鮮に映る空は興味津々で市丸に聞いてくる。
     恋人関係になってから初めてのデートということもあり、市丸は空にプレゼントをしようと金魚すくいを始めたのだが、二人でしゃがみこんで同じ箇所を見つめるのは妙に落ち着かない。しかも、林檎飴をなめながら、市丸の動きに対して、一つ一つ言葉を漏らす空が可愛くてしかない。
     少し滑り気味である手を悟られないようにしていると、紙が破けた。
     金魚をもらった空は、すくった褒美にと飴を市丸の口元にぐいぐいと押しこんだ。
     金魚は、名前をつけて飼おうと空は言う。
    「来年も一緒に来ような」

     内海・庚は何となく嫌な予感をしていた。
     与四郎が腹ごしらえと食べ歩きまわり、しまいには持ち切れないほどあれこれ買い込むことだ。
     そうなることがわかっていた庚は、お約束のように荷物持ちに徹していたのだが、せっかくの縁日だ。遊びたい。
     二人で射的でもやりてぇなあ……と、過ぎていく店をながめていると、与四郎がくいつく景品を見つけて目を光らせた。
    「与四郎、キャラメル食うために射的やらないか?」
    「……乗った!」
     細い体のどこに入るのか、大量の食べ物を消し去った与四郎と庚が射的場に並ぶ。
    「あのキャラメル、先に倒したら焼きそば。ね」
    「望むところだ。俺が倒したら、ちゃんと奢れよ」
     仁義なき食べ物の戦いのゴングを鳴った。
     一方、別の射的場では、
    「徹やん、アレやろや、アレ!」
     屋台で見たイカ焼きが関西と違うことについて熱く語っていた斑目・立夏は、射的の景品である鳶のぬいぐるみに目を止めた。
     サイキックや武器ではないため、難しいかもしれないと呟きながら玉を詰め込めば、自信がなくなり、もちもちとたこ焼きを食べていた藤谷・徹也に銃をすすめる。
    「了解した。どの標的を射殺すれば良い?」
    「しゃ、射殺ちゃう! ちゃうねんで!」
     ゲームの主旨を理解できていない徹也だが、技術を応用すれば、見事、鳶のぬいぐるみを獲得。立夏はガッツポーズと満面の笑みを取る。
    「徹やんも、わいと同じよに楽しかったか?」
     立夏にぬいぐるみをプレゼントした達也は、俺も楽しい。そう認識していた。
     その頃、他の射的場では、
    「あのクマさん可愛いっ♪」
     射的の店で立ち止まった天ヶ瀬・空が、凶悪な顔をしているクマの景品を、ひっきりなしに「かわゆい」と連呼していた。
    「そう思うよね、千李くん、クラりん」と、空が言うが、皇・千李は不思議そうに大当たりの景品を見つめる。
    「やっぱ、女の子のお願いぐらいは聞いてやるんが男の務めやで」
     そういうなり、大鳥居・内蔵助はイカ焼きをモグモグと食べながら、羽織ったいつもの振袖をなびかせて、軽めの的を片手射撃で三連発撃ち倒した。
     ドヤ顔で千李に振り返れば、困惑を浮かべながらも千李が本気を出して百発百中で的を撃ち倒す。
     負けず嫌いの性分がしっかりと出ている。のだが、クマだけはあえてはずされている。
     そんなことは知らない空が、蝶のかんざしを揺らしながら千李と内蔵助を応援していると、内蔵助が感嘆の口笛を吹く。
    「よーし、頑張った千李ちゃんには、ワイがお疲れのキッスをしたるわ」
     内蔵助が顔を近づけると、紺色の着流しが動く。
    「もう一度言うてみや……この世から断ち斬ってやろうか……?」
    「わわ……!」
     空が、危ない様子にオロオロする中、辺りが、わっ、ざわつき、恐怖の悲鳴があがった。

    「何か、騒ぎでもあったのでしょうか? これ、美味しそうですね。まりんちゃんも食べますか?」
    「もちろん。これ、二つください」
     浴衣姿のめぐみとまりんは、一緒に店を巡っていた。
     今は、ちょうど食べ物が尽きた頃。一緒に同じ物を食べていると、叶流が向こうから歩いてきた。朝顔の模様の描かれた青地がよく映えている叶流だが、めぐみたちに気づいていなかったのか、声をかければ、
    「あら。若生さんと須藤さん、一緒だったのね」
    「叶流さんは一人? よかったら、私たちと一緒に歩かない?」
    「いいの?」
     ちょうど同学年ということもあり、3人はすぐに和む。
     運動にと射的を選べば、的に玉が外れても当たっても、大盛り上がり。
    「難しそうだけど、絶対にあのぬいぐるみを手に入れてみせるよ!」
    「武月さん、がんばってください! まりんちゃん、めぐみたちもぬいぐるみを狙いましょう」
     しかし、結果は惨敗。
     その悔しさを話にして甘い物を食べていれば、どこからか「まりんちゃーん」と呼ぶ声が聞こえる。
     声の主を探せば、手を振る村本・寛子がいた。
    「いたいたー! はい、これ! さっき探して買ってきたんだけど……遅れてごめんね! 誕生日プレゼント!」
     そういって寛子が差し出したのは、可愛い細工物だ。
     なかなか息の乱れがおさまらない寛子に、まりんは受け取った細工物を嬉しそうに持ち、
    「ありがとう! 大事するね!」
    「ここで話もなんだし、あ、みんなで、あっちの屋台のタピオカジュースでも飲まない? 女の子ばかりも楽しいと思うの!」
     一緒に行動する仲間が増え、寛子たちは人々の中へ消えていく。
     灼滅者たちの守った縁日は、賑わいに溢れていた。

    作者:望月あさと 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年8月23日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 6
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