心の奥にひそむ野獣

     少女はかねてより、自身の内に獣がひそんでいることを自覚していた。獣は少女を凶暴な野性で支配してしまおうと、いつもその心の奥深くで暴れ狂っていたのだ。
     そんな獣に抗うべく、格闘技を修めて野性を制御しようと試みた。さらに自分は獣などでない――と思えるように、殊更人との繋がりも大事にしてきた。
     そんな彼女は、いつしか学校の柔道部で部長を任されるほどに周囲から評価を集めていた。
     だが元来人の上に立つなど苦手な少女にとって、その責任は大きな負担でもあった。
     手のかかる部員たちを纏めあげねばならない日々に疲弊した彼女は、いつしか野性へと身を堕としてしまうことに魅力を感じ始めていた。
     ――そしてとある日の、部活からの帰り道。彼女は暴漢と遭遇してしまう。
    「あなた、人間だっていうのにまるで獣ね。私もいっそ、あなたみたいにひと暴れしてみようかしら……」
    「襲ってきた男を返り討ちにした彼女は、そのまま完全なイフリートになっちまう、ってのが今回の予測の顛末だな」
     一通り予測について語り終えた神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)は、教室に集まった灼滅者たちを見回す。
     人の心を保つために周囲に世話を焼いていたら、いつの間にか周囲に頼られるようになってしまった。
     そしてそれが負担となって、余計に獣の心が力を付けてしまったのである。
    「……なんとも皮肉な話だ」
     ヤマトの語る予測を受け、灼滅者たちのうちからそんな言葉が漏れる。
    「だが彼女は、お前らと同じく灼滅者の素質を持っているようだ。俺の予測に従えば、彼女を人として救出できる可能性があるぜ」
     もし予測の通りに彼女が男を手にかければ、彼女は二度と人に戻ることはできないだろう。
     故にこれが、彼女を救出する最後のチャンスであるようだ。そう言うとヤマトは、作戦の概要を説明し始める。
    「こいつはどうやら、この事件で初めてダークネスの力に目覚めるようだぜ。救出するには、そのダークネスの状態で倒す必要がある」
     また彼女はこの時既にバベルの鎖の能力も得ており、その予知も無効化しなければならない。
     そのために彼女と接触するタイミングは、彼女が男を手にかけるべく、初撃を放ってからでなければならないという。
    「この時点ではまだ闇堕ちしかけだが、その戦闘力はほぼダークネス並になってるようだぜ。割って入って男を庇うのは相当困難になるだろう」
     だが、それを実行できなければ少女を救うことはできなくなる。故に成功させるには、仲間同士での連携が重要になるだろう。
     だが周囲は男の他にひと気はなく、それなりに広い空間なので戦闘には適しているようだ。
    「で、さっきも言ったように相手の戦闘力はイフリート並だ。油断はするなよ」
     使用してくるサイキックはファイアブラッドのものに加え、柔道を駆使してストリートファイターに似たものも使ってくることが予測されている。
    「今まで人間でいようと必死にやってきた奴を、みすみすダークネスにするわけにはいかないよな。絶対に助け出して、学園へ連れ帰ってこいよ!」
     ヤマトの激励を受け、灼滅者たちは教室をあとにした。


    参加者
    天王寺・楓子(祈りの一矢・d02193)
    室武士・鋼人(ハンマーアスリート・d03524)
    ロン・メイファン(龍争凰闘・d12783)
    ラナーク・エンタイル(アウトロー・d14814)
    渡部・るい(清く正しい野球拳系芸者・d16021)
    安藤・小夏(妹狐と書いてシスコン・d16456)
    四季・彩華(蒼嵐纏いし姫王子・d17634)
    リアナ・ディミニ(アリアスレイヤー・d18549)

    ■リプレイ


     ひと気のない夜の帰路にて、突然の暴漢の出現。その恐怖と緊張が、少女の中の獣を遂に目覚めさせた。そして後方で身を潜め、その時を待っていた灼滅者たちもまた行動を開始する。
     鋭く伸びた少女の爪が、男の喉笛を斬り裂こうと振われたまさにその瞬間――彼女の肘と膝、そして後頭部を何かが掠める。
     それは、安藤・小夏(妹狐と書いてシスコン・d16456)の指輪から放たれた魔力の弾丸であった。
     関節を狙った小夏の魔弾は、少女の攻撃を逸らし威力を減衰させた。だがそれでも少女の腕は止まらない。
     彼女の能力は、この時既にダークネスと同等である。たとえ急所を外れたとしても、ただの人間に致命傷を与えるには十分であろう。
     そして小夏が生んだ僅かな隙だけでは、男を庇うなど到底不可能だと思われた。
     ――だがそこへ、一匹の犬が割って入る。
     確かに後方の灼滅者たちでは、決して間に合わぬ距離だ。だが少女と男のすぐ近くに隠れていたこの犬――否、ESPで犬に変身していたリアナ・ディミニ(アリアスレイヤー・d18549)ならば可能であった。
     少女の爪をその身に受けながら、リアナは男を少女から引き剥がすべく体当たりする。
     負傷し血を滴らせながら、男に一瞬目を向けるリアナ。そして無事と判断してからは、少女を真正面から見据えるのだった。小夏の牽制とリアナの挺身、どちらが欠けても為し得なかったであろう、見事な救出である。
    「グゥrrr――!」
     少女は突然の乱入に怒り、唸りをあげリアナを威嚇する。少女は未だ人の姿を保っているが、全身から炎を巻き上げながら牙を剥くその様はまさにイフリートであった。
     そんな少女から男を庇うべく、駆け付けた仲間たちも立ち塞がる。だがそんな中、ラナーク・エンタイル(アウトロー・d14814)だけは全速力で男へと向かう。
    「っしゃああああ!!」
    「――ッグフ!?」
     そしてラナークは駆け抜け様に、男の腹に見事な拳を決めるのだった。
    「殺しはしねえ、ゲスにも家族はいるからな」
     さらにそのまま怪力無双の力で男を抱えあげ、少女たちから距離を取ったところで無造作に放り捨てるラナーク。
    「Freeze or you'll be burned.(動いたら殺すぜ?)」
     言いつつラナークは、全身から炎を放ちつつ男を威嚇する。
    「大丈夫。警察に突き出すけど、命は助けるヨ。だから終わるまで、そこで座ってるネ!」
     ラナークに追随したロン・メイファン(龍争凰闘・d12783)も、王者の風で男の気勢を削ぐのだった。


     そしてラナークたちが男を遠ざけている間、他の仲間たちは少女と相対していた。
     どうやら少女はその動物的勘で、眼前の灼滅者たちこそを脅威と認識したようだ。まるで目覚めたばかりの力を試すかのように、濃密な炎を纏った腕を振う。
     少女の攻撃から仲間を庇うべく、鍛えあげられた肉体で立ち塞がる室武士・鋼人(ハンマーアスリート・d03524)。
    「一人で獣に抗い続けて来た、その誇り高き精神に敬意を払います」
     炎の爪で斬り裂かれながらも、笑みを崩さず苦痛は見せない鋼人。そして振り被った『ムロブシハンマー』の鉄球を叩き付けた。
     鋼人の鉄球を、咄嗟に後退して躱す少女。だがその足元を、影の刃が斬り裂く。渡部・るい(清く正しい野球拳系芸者・d16021)の影業による斬撃である。さほど痛打にはならないものの、少女の態勢を崩すことに成功した。
    「――Pandora!」
     そこへ四季・彩華(蒼嵐纏いし姫王子・d17634)が、愛刀『斬負剣 -Pandora-』の封印を解き斬り掛かった。長い銀髪に映える朱のリボンを揺らしながら、強烈な上段斬りを見舞う。
    「人は誰しも、大なり小なり心の中に獣がいるもの。そして貴女は誰かのために、必死にその獣を抑え込んでいたんだね」
     そんな健気な人を、みすみす野獣に堕とすわけにはいかない――と、彩華は刀を握る手に力を込めた。
    「襲い掛かった方を助けるのも妙な話だけれど、でないとあなたは助けられないんだから、仕方ないよね」
     言いつつ天王寺・楓子(祈りの一矢・d02193)は後方にて、カエデを模した弓『姫楓・改式』で傷付いたリアナを癒していた。
    「ウグァaaaa――!」
     傷を負った少女は怒りの咆哮をあげながら、凄まじい速度で彩華へと肉薄する。彩華は咄嗟に、本能に任せた直情的な攻撃を予想し構える。
     だが予想に反し、少女は彩華を抱えると地面に叩き付けたのだった。
    「――ッぐぁ!」
     その動きは力任せの暴力などでなく、何如に効率的に力を使えるかという技術に裏打ちされたものであった。
     本来本能のままに暴れ狂うだけのイフリートだ。しかし幾度となく身体に覚え込ませた彼女の技術は、覚醒しかけというこの瞬間において、ダークネスの力と共に発揮されたのだ。
    「……実に見事な技ですね。だからこそ、君が獣を抑える為に柔道を選んだ理由を、今一度思い出して下さい」
     言いつつ敵を彩華から引き剥がすべく、ロケットで加速した鉄球を叩き込む鋼人。衝撃で吹っ飛ばされながら、少女はやはり柔道の受け身でダメージを軽減するのだった。
    「獣……かぁ。分からないでもないけど、いやな因果だね。でもそれで全部投げ出して逃げるのは、違うんじゃない?」
     起き上がろうとする少女へと、ウロボロスブレイドを激しく振う小夏。嵐のような斬撃の雨が少女へと見舞われる。
    「高々一匹の変態野郎を基準に、『人間なんて獣だ』なんて切り捨てちゃうの?」
     続け様に繰り出される蛇剣に斬り裂かれながら、少女はなんとか小夏の射程から飛び退いた。
    「相手が獣だからわたしも……なんて理屈は通用しんせんよ? どうか、自分の闇に負けないでおくんなんし!」
     少女が回避に専念しているその隙に、るいはギターの音色で前衛の仲間たちの傷を癒やす。
     そしてなんとか動ける程度に回復した彩華は、斬艦刀『贖罪大刀 -Alice-』を手に少女へと飛び掛かった。
    「今の投げは効いたよ、さすが柔道家だね。やっぱり貴女は、無差別に人を殺す野獣なんかじゃない! 誰かを守る誇り高い獣だ!」
     その牙も爪も何のために磨いてきたか、もう一度思い出して――そう少女へと必死に呼び掛けながら、渾身の斬撃で威圧する彩華。
    「あなたが獣に抗う為に柔道を選んだ事、人との繋がりを大切しようとした事、間違っていなかったと思うわ。唯一足りなかったのは、誰かに頼る事をしなかった事かしら」
     彩華を『姫楓・改式』の矢で癒しつつ、楓子もまた穏やかな口調で少女へと告げる。
     そして深手を負っているリアナも痛みをものともせず、鋼糸を放って少女の動きを封じにかかる。


     ダークネスの力に加え、鍛え抜かれた技をもサイキックと化して繰り出してくる少女に対し、灼滅者たちは苦戦を強いられた。
     だがそれでも、彼らは懸命に少女の人の心を呼び覚ますべく語り掛け続けた。
     そして傷を負い、炎に焼かれ、血を流しながらも発せられる彼らの言葉は、少女の心の闇に少しずつだが亀裂を刻み始めていた。
     どうして自分は、必死になって柔道の練習を続けたのだろうか。全てはこの燃え盛る心の炎を、自らで制するためではなかったか――そんなことを、少しずつ思い出していた時――。
    「うおおおぉぉぉ!!」
     男を縛り上げてようやく戻ってきたラナークが、事情も分からぬまま猛進の勢いに任せ、鬼神の腕による殴打を叩き込んだのだ。
     なんとかその場に踏み止まるも、怒るでもなく呆然とした様子の少女。彼女が何か掴みかけていたと感じていた仲間たちも、思わぬタイミングでの鬼神変に言葉が出なかった。
    「あ……なんだ?」
    「何やってるネ!? 多分今いいところだったアルヨ!!」
     そう呟くラナークに、同じく駆け付けたメイファンが叱咤する。そしてその頃少女の中では、様々な思いがぐるぐると駆け巡っていた。
    (「痛イ。殴ラレタ。顔ヲ。無礼ダ。腹立タシイ。許セない。強いのは私だ。報復しよう。だがどうやって? 爪か? 牙か?」)
     ――否、自分が振うべき力はそんなものではない――と、本能に囚われていた彼女の思考が、次第に明瞭になっていく。
     そして次の瞬間、ラナークは宙を舞っていた。
    「――うおっ!?」
    「足元……ガ、オルス」
     ラナークに大外刈りを決めつつ、少女は愉悦に顔を歪ませながら呟くのだった。

     そうして仲間が全員揃ったところで、灼滅者たちは反撃に出た。そんな彼らと相対する少女の目には、先程までとは違い明確な意志があった。
     しっかりと構えを取り、挑みかかる灼滅者たちへと柔道の技で対抗する少女。その姿はどこか楽しげでもあった。
    「もう分かってるはずネ? アナタが今いるのは近道じゃない。谷底へ惨めに堕ちていくだけヨ」
     言いつつ、炎を纏ったオーラを足に込め、渾身の蹴りを放つメイファン。
    「同じ読みの『ジュウドウ』でも、そっちは『柔の道』じゃなくて『獣の道』ネ。早くこっちに戻ってくるヨ!」
    「――ッ!」
     人間性を取り戻しているのか、少女はメイファンの攻撃をまともに受けてしまう。だがその直後、メイファンを放り投げて強引に距離を取る。
     動きは次第に鈍っているにも関わらず、少女の技の冴えはどこまでも鋭さを増していく。
     そして炎を纏った腕で、メイファンへと技を決めにかかろうとする少女。その眼前へと小夏の霊犬が立ち塞がり、斬魔刀で牽制をかける。
    「初対面のあたしに言われてもピンとこないだろうけどさ。……獣に堕ちたら、あなたの手を取ってくれる人間は、いないよ?」
     さらにそこへ、主である小夏もまたウロボロスブレイドを放ち捕縛をかける。
    「ひとりぼっちで寂しい思いしたくなかったら、とっとと正気にもどってそんな爪やら牙やらしまいなさい!」
     そして僅かに動きの止まった少女へと、楓子は目映い彗星の如き軌跡を引く矢を放つ。
    「あなたの事情、他人に話せる事ではないのかもしれないわね。でも、わたし達なら一緒に歩いてあげられるわ」
     楓子の矢を受け僅かによろめく少女。そこへるいの影が刃となって伸びる。
    「……ぬし様は今までがんばってきたじゃないでありんすか。人のためになることも、苦労もいとわず頑張ってきたんでありんしょう? それを、思い出しておくんなんし」
     るいの影の刃が、少女の守りを崩した。そこへ畳み掛けるべく肉薄したリアナが、螺旋を描きながら槍を放つ。
     灼滅者たちの攻撃は、弱体化した少女へと着実にダメージを与えていた。だが少女は巧みな体捌きで直撃を避けており、未だ有効打を与えるには至っていない。
     そんな状況を打開するべく、素早く接近した鋼人が少女に組み付く。
    (「投げられる――!?」)
     鋼人の動きに、柔道家である少女は咄嗟に投げ技への対処に集中してしまった。それはほんの刹那のことだが、それが勝敗を分かつ瞬間となった。
    「柔道家は心理的弱点として、組み付かれた時に一瞬投げを警戒し、打撃から意識が逸れるそうですね」
     ――『ムロブシハンマー』の鉄球が、突如としてロケットを噴射しながら少女へと叩き込まれたのだ。
    「一度きりの奇襲でしたが、成功して何よりです」
     遂に少女へと、痛烈な一撃が決まった。そして仲間たちも勝負を決しにかかる。
     なんとか反撃の態勢を取る少女。そこへ白い外套をはためかせながら、一息に肉薄する彩華。『斬負剣』による強烈な斬撃で、少女の構えを崩した。
     それでも尚眼前の彩華へと技をかけようとする少女を、回り込んだメイファンが掴む。
    「道を踏み外さず、一歩一歩行くネ。無理に抱え込むのはダメ……!」
     疲れたなら一旦腰を下ろしていい、重い荷物は手伝ってもらえばいい――そんな言葉を語りながら、少女に倣って巴投げを決めるメイファン。
    「――ガハッ!? ワタシ、ハ……負、ケナ――」
     遂に受け身を取ることもできず、頭から地面に叩き付けられた少女。それでも尚、よろめきながら立ち上がろうとしていた。
    「さっきの投げは中々だったぜ、次やる時はシラフでな」
     そんな少女の意識を、ラナークの手加減攻撃が刈り取るのだった。


     それからしばらくして、少女は目覚めた。伸びた牙や爪は最早なく、全身から炎を発することもない。そしてその胸中は、長く抱えていた荷を下ろしたように軽やかだった。
    「怪我は有りませんか?」
     そう言って、穏やかな微笑と共に手を差し出す鋼人。少女はその手を取って立ち上がる。
    「自分の闇を抑えてくださって、ありがとうございます。わたしも闇堕ちから救われた身ですので、あなたを助けることができて本当によかった」
     満面の笑みを少女へと向けるるい。まだ事態を完全には飲み込めていない少女だが、その笑顔は彼女を次第に安心させていった。
    「……でも貴女の中の獣は、今も在り続けている。その獣を貴女自身の力にするための、お手伝いをさせてくれませんか?」
     常に最悪の状況をも考慮していたリアナだが、なんとか最善の結果を出せたことに安堵していた。だからこそ、それを次に繋げなければならないとも考えていた。
     そうして少女は灼滅者たちから、自分が陥った状況や、世界のこと。そして宿敵であるダークネスについて聞かされる。
    「獣の牙や爪は、自分や大切な者を守るための物。それらを研ぎながらも本来の力や目的を見失わないようにしよう、ね」
    「そうだね。堕ちちゃったら、一人ぼっちになっちゃうよ……?」
     彩華の言葉に応じるように、寂しげに呟く小夏。どちらの言葉も、少女だけでなく仲間たち皆に向けられた言葉のようであった。
    「大丈夫。アナタがどの道を選んでも、一緒に歩く仲間は、よりどりみどりヨ!」
     何故なら皆、同じ道を歩いているのだから――自分や仲間たちを指し示しながら、自信に満ちた声で告げるメイファン。
    「月並みだけど、この手を掴む意志はある?」
     言いつつ、少女へと手を差し出す楓子。その手を、少女は迷うことなく掴んだ。自分と同じく、心の闇と戦っている人たちがいる。そのことが、何よりも少女を勇気付けてくれるのだ。
    「もし学園に来て柔道を続けるなら、柔道部の友達が力になってくれますよ。口の悪い友人ですけどね」
     そう言う鋼人は冗談めいた口調だが、その声音には仲間たちへの信頼が込められていた。
    「ところでお前ら、こいつどうすんだ? 一応逃げねぇようにふん縛っておいたが」
     そう言ってラナークが引き摺ってきたのは、ロープでぐるぐる巻きにされた暴漢であった。未だ王者の風で無気力なその顔は、ラナークによって滑稽に飾り付けられていた。
    「なかなか似合ってるだろ?」
     そんなラナークの呟きに、少女は思わず吹き出すのだった。
     こうして無事に少女を救出した灼滅者たちは、男を警察へと引き渡した上で、学園へと帰還した。

    作者:AtuyaN 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年8月25日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 10/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
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