真夏の夜の水族館~ナイトアクアスタジアム

    作者:志稲愛海

    「あーもう夏休みも終わっちゃうねー」
    「そういえば遥河は、宿題はもう終わったのか?」
    「折角の夏休みだからさっ。最後まで! 思い切り! 遊びたいよね!!」
     綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)の言葉が聞こえなかったかのように。
     飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)は、そう言い放つも。
    「でもさー今から遠出する予定ってのももう立てられないし、まだまだ日中は暑いしね……どこか涼しくて、気軽に行けて、それでいて夏休みの楽しい思い出になるお出掛けがしたいんだよねー」
    「涼しくて、気軽に行けて、夏休みの思い出になるお出掛け、か」
     紗矢は小さく首を傾けた後、思い出したように続けた。
    「そういえば、夜までやっている水族館があると、この雑誌に確か載っていたな」
    「夜の水族館……ちょっとした真夏の夜遊びだねー、いいねーそれ!」
     遥河は、見せて見せてー! とキャッキャ紗矢の開く雑誌を覗き込んで。
     夜の水族館の概要を確認し始める。

     ――夏の暑さも忘れてしまいそうなほどの、青の世界。 
     都会のど真ん中にあるそこは、水族館を中心とした大型屋内エンターテインメント施設。
     海中トンネルをくぐれば、空を飛ぶように水中を泳ぐマンタやサメたちと海底散歩を。
     イルカが豪快に煌く水飛沫を上げ、アシカが愉快なパフォーマンスを披露するショー。
     イルカやアシカとの触れあいや、よちよち歩きの可愛いペンギンとの出会いに。
     色鮮やかなトロピカルフィッシュやちょっと変わった海の生き物は、見ていて飽きない。
     そんな青の世界――水族館も、昼と夜とでは、その雰囲気が変わるのだという。
     いや、楽しめるのは水族館だけではない。
     同じ施設内には、猛スピードで駆け抜ける屋内コースターや海の生き物たちに乗って廻るメリーゴーラウンド、大きく左右に揺れる海賊船などのアトラクションや。
     それに、カラフルな熱帯魚が泳ぐ水槽に囲まれたレストランもあるという。

    「夜だし水族館だしさ、きっと涼しげだよねー。それに此処なら武蔵坂からもそう遠くないし、水族館自体もあまり広くなく程よい大きさだから、気軽に行けるね! 修学旅行とかで水族館には何度か行ったけど、夜の水族館はまた昼と雰囲気全然違うみたいだよー」
    「こんな都心で、イルカやアシカのショーもみられるんだな。わ、それにイルカやアシカと触れ合えたり、イルカのトレーナー体験なんかもできるようだ……!」
    「海の中みたいな水槽に囲まれたレストランでオサレに食事なんてのも素敵だしさ、円形型のイルカプールのすぐ傍にはテイクアウトショップもあるみたいだから、パンやスナックやソフトドリンク買ってからショーを見るのも気軽でいいかもねー」
    「あとは、サメやエイなどが泳ぐ海中トンネルが、この水族館の見どころらしい。それに、ローラーコースターやメリーゴーラウンドなどのアトラクションなんてものもあるのか」
     涼しくて、気軽に行けて、夏休みの良き思い出になりそうなところ。
     まさにこの夜の水族館は、最適な場所ではないか。
     また、夜の水族館は、昼とは大きく雰囲気が変わるという。
     そんな幻想的な青の世界を、友達同士わいわい満喫したり、恋人とデートしたり、まったりお一人様で過ごしたりと。
     それぞれが好きなように、真夏の夜遊びを楽しんでみてはどうだろうか。
     
     夏休みも、残りあと僅か。
     でも、あともうひとつ――真夏の夜の思い出を、作りに行きませんか。


    ■リプレイ

    ●海底の蒼
     まさに此処は、夜を潜った深海の底。
     璃音と手を繋いだ昭子と雪の手を握る実は、トンネルを泳ぐ魚を品定め。
    「こいつは食えるのかな……」
     ナポレオンフィッシュに首傾げ、遥河にも聞いてみて。
     刹那、雪が見逃した大きなエイが、すぐ目前に。
     【蝉時雨】の皆も海中トンネルへ。
    「お魚って綺麗だし美味しいし何時間でも見てられるよねぇ」
    「あれマンタじゃねえか? あっちにはサメ!」
     理一にツッこみつつはしゃぎ、肩叩く嘉市が年相応にみえると、微笑まし気なトランド。
     そして白のショールをふわり広げて。
    「こんな感じ?」
    「ホナミも一緒に泳いでるみたいだ」
     マンタと海中散歩するホナミに、私も仲間に入れるかなと。
     海月も、パーカーの裾をひらひら。
     泳げないゆまには少し怖い、夜の海。
     でも、クラブの皆と歩く海底の色は初めて知る青で。
    「とても神秘的ですね」
     飛良も皆に笑いかけ、微笑まし気に海中散歩を。
     仄暗い青に吸い込まれそうで。七葉も、銀河と藍花の手をぎゅっ。
     藍花は独り言を聞かれ恥ずかし気ながらも。
    「大丈夫、ちゃんとこの手は離さずにずっと繋いでるからね!」
     銀河に、小さく頷く。
     そして紗矢や遥河も交えた話題は、水槽の魚のDHA!?
    「一緒に泳ぎたい……くわれるだろうけど!」
     迫力満点のサメを見つつ、夕眞は一織と手を繋いで。
    「普段怖い話しか聞かない鮫も、中々良い物よね」
     一織の声につい虎之助は怖い想像を。
     そして【Beautiful Life】の皆への土産も忘れずに。
    「わ! お魚さんのおなか見えるよっ」
    「すごいね、あんなに大きい魚も!」
     トンネルに煌く魚を沢山指で追う、なつめと杏子と。
    「こうすれば迷子さんにならないです♪」
    「なっ!? た、確かに逸れぬが……」
     腕を絡めた姫乃に顔を赤くする星奈。
     それから【きらきらガーデン】の皆で、水槽レストランへ。
    「ら、楽園や……!」
     真っ先に向かった海中トンネルで大興奮の千総に静樹は笑むも。
     千総と一緒に魚やカメをガン見している途流と、ふと視線が合って。
     如何したんだ? と訊ねれば、こう返ってくる。
     夜の水族館ってすげーな――と。
    「あっ、ペンギン!」
    「ペンギンさん? どこどこー?」
     紗奈に手を引かれ、はなとひよりはペンギン水槽へ。
    「こんなふうに泳げたら、きっと気持ちよさそう」
     歩く姿は可愛いが、泳ぎは空を飛ぶ様に速くて。
    「ペンギン、ヘンな寝方ー」
     こそり手を振る春は、ペンギンの真似っこを。
     そして、ペンギンの群れを見つけた悠は。
    「俺達も仲良いんだぜ!」
     【絆部!】の皆の肩を抱き寄せ、笑顔で対抗!
     沙慧はそんな仲間の眩しい笑顔に思わず笑みを零す。
     そっか一人じゃないんだなと――結ばれた、大切な絆に。
     【Charlotte】の皆が楽しみにしていたのも、ペンギン。
    「ペンギンさん可愛いです……皆とっても元気ですね!」
    「ペンギンってこんなに激しかったっけ……」
     はしゃぐ澪の横で呟く庵と、荒ぶる姿にほのぼの溜息する草灯。
    「ペンギンさん、こんばんはです」
     そう挨拶したアスルも草灯の手を引いて。びくびくしつつも――可愛い、と。
     秘密の冒険の様な水族館で、【Quipu】の5人の目的もペンギン!
     そして葉が告げる、彼等の衝撃的真実。
     可愛さの代償かと結理はカメラを構え、啓もペンギンの可愛さを主張すべく皆の腕を叩けば。
    「あ、あれ撮って今滑ってコケたペンギン!」
     ペンギン好きの貫には堪らないシャッターチャンス!
     それから勿論、集合写真も。
    「おら、啓、こっちだって」
     まごつく啓は勿論、錠の頭のぶさいくな針千本も一緒に――ハイチーズ!

     蒼に煌く幾千億の中の一粒。
     見つけてくれてありがとう――そう戯れ紡ぐ狭霧に、みをきは返す。
    「……何度でも、なんどでも見つけてやる」
     違えはしない、その眩さに。
    「――あのね、これが俺の夢なんだよ」
     深い蒼の箱庭。広げた両手一杯に満ちる海色こそ、航平の作りたいもの。
     そしてその煌きを『欲しい』のは、暁も同じ。
    「融けちゃいたいね」
     でも、本当に深海に融けてしまいそうと。
     視界を泳ぐ茅花の掌に指先を置いた唯は悪戯に笑む。
     蒼に遊び融けるのも……ひとりよりも、ふたりで。
     手を繋いだら――オレの方も見てくれるかな、なんて。
    「こ、これなら……はぐれないだろ?」
     掴んだ夜兎の手に、ナオは指を絡めて。
    「はぐれてもすぐ見つけるけど」
     その手を、ぎゅっと握りしめる。
     ふわり揺れるクラゲから想司へと、イブが振り返った刹那。
     重なったのは――優しい口付け。
     でも、もういちど……いいえ。
    「もう一度、だけで満足ですか?」
     今日は、特別だから。
     沫って本当に海や魚が好きだなと、好きなものを知っていた事が嬉しくて。
     煌きに廻る青のトンネルで、識、と。
     躊躇しつつ差し出したその手は、溺れそうな蒼への誘い。
     ずっと海に漂うのは、どんな気持ちだろうか。
    「ふわふわしていて、気持ちよさそうだね」
    「綺麗なのですー……」
     充は頭を撫でられながらも。和真やクラゲと、のんびり。
     エイやマンタを探して、一緒に煌く蒼を眺める湊介と月瑠は。
     ふいに繋いだ手を、ぎゅっと握り締める。
     いつもよりずっと傍にいる大切な人と、笑み合いながら。
    「何か気になる魚でもいた?」 
     魚と共に幸せそうに泳ぐ、司の視線。美樹は彼の好きな物を新発見して。
     これからも一緒に思い出を作れたらと……口には出さないけれど。
    「お手をどうぞお嬢さん?」
     紳士的に差し出された奏の手を、彩華はそっと取って。
     初めての水族館で、共に見つめる。
     向けられた微笑みと、瞳に映る海色の煌きを。
     水面の煌きが創る、天上を泳ぐサメのシルエット。
     それを目で追う直人の袖を、ふと稲葉が引いたのは。
    「ほら、そろそろ先に進もうぜ」
     深海色と重なったその紅玉の瞳で……こっちを、見て欲しかったから。
     水族館はイーファへのご褒美。
     マンタを眺める彼女に声をかけ、十はイルカプールの方へ。
     そして背に聞こえるその足音にそっと祈る――道行に、光あれと。
     くい、と袖引く姿は、彼女の見せる可愛さ。
     春翔の手に手を重ねた律花は頬を染めながら。
    「私の髪の色と似てるって?」
     彼の海色の瞳が映す髪と熱帯魚を見比べ、クスクスと。
     煌く魚の影を一人見れば物寂しいけれど。
     友達発見! 瑠璃羽は紗矢達と、水族館スイーツを。
     こっそり海中にお邪魔した気分。
     千明も気持ちよさ気な水槽を紗矢と眺めて。
     円蔵もウミヘビに、ヒヒと笑む。
     やっぱりオブさんとオスさんの方が、愛らしい。
     昼とは違うその雰囲気に。
     混雑を避けつつ、不思議な感覚をおぼえる流希。
    「……昏いと、深いって、一緒じゃないんだね」
     深青を泳ぐ魚達を、煉も夢中で追えば。
    「すごいなぁ。ペンギン空を飛ぶ、じゃないけども」
     アイリスも、デートの下調べは万全!
    「夜に出歩くなどは、少しドキドキものじゃな」
     雅弥も紗矢と、海中の夜遊びを。
     小太郎と希沙で、千佳を親子サンド。
     そしてついはしゃいで。千佳と希沙ダブルで、イーならぬシー!
     改めて、静かに鑑賞……?
    「ん。あの太っちょの魚が美味そうだなーと」
    「きさは刺身がええな」
    「しおやきもすてがたい!」
     晩ご飯は、魚に決まり!
    「これがニョロニョ……へぇ、可愛いじゃん」
    「美味しそーなの居た?」
     チンアナゴを見て嬉し気なネオンの横で訊く時兎に、お魚帽子の一姫が指すのはカニ!
     でも。
    「……さすがに此処にいるのは食用じゃないと思うんだけど……」
     多分観賞用。
     そして聡士の裾を引いた時兎はトモダチ道連れで。
     皆といざ、サメの泳ぐ海中の世界へ。
    「落書きのおじさん、みたいな顔、してません?」
     その感想は、洵哉には微妙に分からないけど。
     分かるのは……エイを見るラインが幸せそうな事。何だか嫉妬する位に。
     くいくい手を引っ張られた先は、マンタ飛ぶ海の空。
    「ルゥはでっかい魚とか好きなんかね?」
     そんな鷹次にルールゥは頷く。
     頑張って生きるその姿に、あれくらいおっきくなりたいのです――と。
     仄かに発光する深海生物や、夜の鮫。
    「実に胸が躍るな」
     メフィリアと暁春は一緒に、相手が選んだ生物を興味深く見て廻る。
     世話になっている人に、楽しんで貰いたくて。
    「どの子がお気に入り?」
     こっち!と手を引かれ、依子の指を辿った先。
    「そうじゃな……アイツかの」
     篠介が指したのは、可愛い笑顔のウシバナトビエイ。
     カラフルで伸縮する謎生物。 
    「なんかうにょうにょしとる!」 
     手を引く星花と一緒に綴が夢中で眺めるのは、ウミウシ!
     そしてまた変なのを期待しつつ、次はエビへ。
     ペンギンにキュン、上げた声は正に乙女。
    「こ、此処で見た事は忘れろ! いいな!」
     我に返り詰め寄る優貴に、巴はどうしようかなーと笑って。
     次は、ウミガメを観に。
     兄・蒼刃の言葉にイラッとする薙乃は、ひとり先へ。
     でも……咄嗟に触れた手に赤面し、そっぽを向くも。
     早く来て! と兄のシャツを掴むと、一緒にペンギンに会いに。
     光祐が水族館で楽しむ、見物と観察。
    「……ゆっくり歩かないから転ぶんですよ?」
     そう抱き上げ、記念品の海月さんを手渡せば。
     むすっとしつつも赤くなる、深雪の顔。
     静かな青を二人で見る時間は、シュネーの憧れで、我儘で。
     央が何よりも嬉しいのは、手を繋ぐ彼女が楽しむ姿。
     そして指を絡めたシュネーは小さく紡ぐ――『ありがとう』と。
     生まれ変わったら海月さんもいいな、と誘う百花に、エアンは何でもいいと言った後。
    「ももと一緒に居られるなら……」
     だいすき――そう紡いだ彼女の唇へと、答えを落とす。
     アザラシの前で、にょろは逸れた伶を探し、きょろきょろ。
     そして彼を見つけ安堵した時、受け取って下さいと渡されたのは。
     初デート記念の、お揃いのペンギンさん。
     チュロス片手のうそは、この間のお詫び。
     イルカやペンギンを見る隣の恋人の表情は新鮮で。
     手を繋ぎ歩く夜の海の底で優志と美夜が交わしたのは――来年の夏の約束。
     芥汰の蒼海の眸と同じで、夜深の海底色の瞳にも似た青。
     手を繋ぎ探検する二人が出会った、マンタや魚の大群。
     そして。
    「……おんぶとお姫様だっこのどっちが良い?」
     寝ぼけ眼の夜深が少しだけ、海空に近づく。
    「……鳥でなくとも、飛んでるみてーだよなあ……」
     思わずそう呟いて苦笑するシーゼルの手をキースは握って。
    「この海も、空も、青く美しいもの。……俺は、それをお前と共に観たい」
     美しい青を共に泳ぐ様に、次はイルカショーへ。

    ●夏に飛沫く
    「イィイィヤッホーーッウ!! 楽すぃーー!」
     その声は、屋内コースターを全力で楽しむクレイ。
     そしてシグマも、思わず声を出して笑う。ホント子供みてぇだな、と。
     水族館で研究した新しい珈琲のブレンドとスイーツを。
     花梨はレストランで、遥河とまとめて。
     同じく水槽際の席でアイス珈琲を飲んでいた蓮二は、席を立つ。
     この青の世界には行けないから……会いたい人に会いに帰ろう、と。
     売店で、お土産ハント!
     イッショニカエロー! とペンギンで日和を誘惑する宗佑だが。
    「今、名前、呼び捨て……」
    「え? ……ひゃああごめんなさいわすれて!」
     思わぬ不可抗力に、レジへダッシュ!

     向日葵は【びゃくりん】の皆と一番前を確保。
     真琴もサッカー場で使うゴミ袋で準備万端、イルカショーの始まり!
     いるかもイルカを拍手で応援。
    「イルカさんがんばってください」
     でも此処は特等席。バシャーン! と水飛沫が!
    「ごめんごめん、楽しくてつい、な」
     思わず咲哉も大笑い。無警戒で吃驚するセカイの浴衣も透けてびしょ濡れに。
     それから皆でハイチーズ! ……と同時に。
     ぷかり、イルカのバブルリングが。
     イルカショーを見ていた雪音を守る、大破の折畳み傘。
     でも再び水飛沫がバシャリ! 全身びしょ濡れだけど。
    「ふふっ♪」
    「……あははっ」
     楽しそうに二人、顔を見合わせる。
     初めてのショーを同じ最前列で見ていた雪も。
     水を被り、くすくす隣を見て笑って。
     ラシェリールも、イルカ好きなノウェとショーへ。
     でも正直、ノウェの方が可愛いと、密かに思って。
     ノウェも親友に笑いかけ、礼を。夏の最後のいい思い出に。
     千李が手摺を掴み見るのは、アシカショー!
     トレーナー体験した蓮もアシカを楽し気に動かして。
    「……これ飼おうとしたらいくらかな」
     猫的な目で真剣に、千李は呟く。
     イルカが住めるプールを買うのは難しいけど。
    「宗原見たー?! やだもう可愛い……」
     イルカが賢いからだなと、かまちは笑いながらも。七の名トレーナーぶりに拍手!
     夕と結城もショーの後、イルカトレーナーに挑戦!
     そして指示を出してみれば、キュー! 上手に鳴いたイルカ。
     夕と結城はそのお礼にエサをあげながら、頭をなでなで。
     来栖と夜好も、そっとイルカに手を伸ばして。
    「……すべすべ、なんだな」
    「とっても人懐っこくておりこうさんなんだね、イルカちゃんって」
     癒され、温かい気持ちに。
     トレーナー体験でジタバタする羽衣の傍に慧樹も並び、繋いだその手を上げれば。
    「GO!」
     見事イルカがジャンプ!
     初めてのデート――繋いで揺れる手が、くすぐったい。
     【星空芸能館】も、イルカショー後の振れ合い体験に!
    「おいでおいで、おいしいごはんだよ~」
    「こちらへいらっしゃい」
    「わ~、お利口さんですね~♪」
    「近くで見るともっとかわいく見えるね♪」
     いちごや結衣菜のハンドサインで来たイルカを、くるみとさやかも撫で撫で。
    「えっと……えさ……どうぞ。きゃっ!」
    「乗ってきたら一つ歌って――って、水掛けられたー」
     えりなが渡したエサのお礼に、イルカの尾ひれがパシャン!
     音痴な歌で交流しようとしたファルケにも直撃。
     さらに。
    「……手の動きはこうかな? わぁぁ……♪」
     瑞央のサインでイルカが大ジャンプ!
     全員全身びしょ濡れだけど。
    「こんなこともあるんじゃないかと思って☆」
     紗里亜はそう笑って、皆にタオルを。
    「おー、イルカさんとアシカさんだー」
    「したいやりたい! ボールで遊ぶ!」
     ギュスターヴや夕月たち【桜堤中2C】の皆も、トレーナーに挑戦!
    「……あくしゅ、できたら……ともだちに、なれる、かなぁ」
     ドキドキ手を伸ばした花緒は、イルカと握手。
     そして、ジャンプのサインを出したアヅマだが。
    「おお! ホントに跳んだ! ……ってぶわっ!?」
     着水の飛沫をモロに浴び、ずぶ濡れに!
     イルカに悪気は勿論ありません。
     イルカに心惹かれる透夜も。
     恐る恐る遥河と、イルカにごはんをあげてみて。
    「イルカかわいいっすね、イルカ」
     レギンも嬉しそうに、イルカにタッチ。
     優歌もイルカを褒め、撫でてあげる。
     こうして触れて語りかければ、想いは届くと――実感しながら。

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年9月12日
    難度:簡単
    参加:152人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 18/キャラが大事にされていた 3
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