皇樹・桜夜(家族を守る死神・d06155)は、こんな噂を耳にした。
『服を溶かすスライム状の都市伝説が一般人を襲っている』と……。
都市伝説が確認されたのは、都内某所にある繁華街。
この場所でいつの頃からかスライム状の都市伝説が現れているらしく、一般人を襲っては服を溶かし、恥を掻かせているようだ。
服を溶かす以外にこれと言った能力がないため、強さ的に言えば大した事はないのだが、服を溶かされた方からすればたまったものではない。
場合によっては、裸のまま家に帰らなくてはいけないため、シャレにならないほど恥ずかしい思いをしているようである。
そのため、このまま放っておけば、被害者が増える事は確実。
それを防ぐためにも、都市伝説を倒さねばならない。
参加者 | |
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皇樹・桜夜(家族を守る死神・d06155) |
香坂・天音(アムネジアバレッツ・d07831) |
透峰・深宵(夜を渉る・d09449) |
黒岩・りんご(凛と咲き誇る姫神・d13538) |
霧ヶ峰・海璃(絶切刃・d15615) |
獅子堂・音夢(銀砂・d15905) |
四季・彩華(蒼嵐纏いし姫王子・d17634) |
マリア・ローエンハイト(スク水シスター・d20701) |
●ネトネト系
「……どうして、このような都市伝説を見つけてしまったのでしょうか。自分でも分かりませんが、これ以上被害が出ないように、さっさと倒してしまう必要がありそうですね」
皇樹・桜夜(家族を守る死神・d06155)は深い溜息をつきながら、仲間達と共に都市伝説が確認された繁華街に向かっていた。
都市伝説はスライムの姿をしており、相手に飛び掛かって、服をドロドロに溶かしてしまうようである。
「初めてのお仕事で、スライムと戦うなんて、まるでゲームですね」
事前に配られた資料を眺め、マリア・ローエンハイト(スク水シスター・d20701)がニコリと笑う。
しかも、都市伝説の強さは、最弱レベル。
場合によっては、瞬殺できるレベル。
ただし、女性相手に限って妙に強くなるらしくエロスな展開になる可能性も捨てきれなかった。
「でも、服を溶かされるのは嫌だなぁ。予備とかないし、とりあえず後ろからちまちまやっていこっと」
Tシャツとジャージのズボン姿で、霧ヶ峰・海璃(絶切刃・d15615)が軽く流す。
ずぼら癖が祟って着替えが全部洗濯中という状態のため、服がない。今着ている服以外は一着も……。人はそれを前振りと言う。
「……と言うか、服を溶かすだけなの? 裸は他の人に見せちゃ駄目って言われてるから判るけど……恥ずかしい、とかはよく判らないかも」
キョトンとした表情を浮かべ、獅子堂・音夢(銀砂・d15905)が首を傾げる。
よく判らないが、人前で裸になるのはいけない事。
そう考えると、警戒だけはしておいた方がいいのかも知れない。
「服を溶かされるのは困るけど、女の子の服が溶けるのは、得なのもあるよね……♪」
含みのある笑みを浮かべ、四季・彩華(蒼嵐纏いし姫王子・d17634)か゜女性陣に視線を送る。
これで参加者達の大半がむさ苦しいオッサンであれば、速攻で大事してしまうところだが、今回に限ってはしばらく様子を見ても悪くはない。
「……あんまり近寄りたくないわね」
色々な意味で身の危険を感じ、香坂・天音(アムネジアバレッツ・d07831)が後ろに下がる。
何か嫌な予感がする。
天音の予想が間違っていなければ、それはエロス的な展開の前触れ。
「どう考えても悪い予感しかしませんが、覚悟は完了。被害が増える前に何とかしましょう」
自分なりに納得しながら、黒岩・りんご(凛と咲き誇る姫神・d13538)が繁華街を睨む。
ここまで来たからには後戻りは出来ない。どんな事があろうとも、前を見て進まねばならない。
「確かに……、そうですね」
そう言って透峰・深宵(夜を渉る・d09449)が、納得した様子で後を追う。
それからしばらくして……。
深宵はスライムと思しき都市伝説を発見した。
●繁華街
「きゃあああ、誰かァ!」
都市伝説はOLと思しき女性を身体の中に取り込み、じわりじわりと服を溶かしている最中であった。
「いきますよ、桜夜さん」
覚悟を決めた様子で、りんごが桜夜に声をかける。
「さあ、狩りの時間だ!」
都市伝説をジロリと睨みつけ、桜夜がスレイヤーカードを解除した。
それと同時に都市伝説の体から無数の触手が伸びる。
まるで投網の如く広がったソレは、桜夜達の動きを封じ込めるようにして、身体に絡みついてきた。
「んっ、やぁっ、ああぁんっ! や、やめて、くださぃ」
恥ずかしそうに頬を染め、桜夜が必死になって抵抗をする。
それに気づいたりんごが助けに向かったが、その途中で足を滑らせて桜夜を押し倒すようにして倒れ込んだ。
そのため、桜夜はりんごを受け止めるが、やっと。
「ごめんなさい」
りんごもすぐに謝るが、倒れた拍子に桜夜の胸を揉んでしまい、一緒になって顔を真っ赤にした。
都市伝説はその隙をつくようにして、りんご達を飲み込んだ。
「皆には悪いけど役得だよね……って、うわ!?」
彩華も足元をすくわれるようにして転ばされ、あっという間にスライムの中に取り込まれた。
スライムの中はまるで水の中にいるような感覚であったが、それとは別に妙な感覚が全身を支配していった。
「美味しい展開……なのでしょうか?」
複雑な気持ちになりながら、深宵が後ろに下がっていく。
どちらにしても、興味はない。
それ故に、巻き添えにならないように、気をつけるだけである。
「恥ずかしいよりも、この服が溶けたら困るの、高いんだからね……!」
そう言って音夢が都市伝説を睨むが、スライム状の触手が容赦なく伸びる、伸びまくる。まるで音夢の言葉に反応して、興奮しているようだった。
「助けなきゃ駄目だけど……、服を溶かされるのは、嫌だなぁ……。予備とかないし……」
険しい表情を浮かべながら、海璃が気まずい様子で汗を流す。
仲間達が大変な事になっているが、このまま助けに向かえば、同じような目に遭う事は確実。
そこまでの危険を冒して……そう思っていると、襲われているOLと目が合った。
「うっ……」
こうなると見て見ぬふりなど出来はしない。
覚悟を決めた様子で都市伝説に突っ込んでいったが、あっという間に返り討ち!
都市伝説の触手に絡まれ、まったく身動きが取れなくなった。
「せ、せめて、バスタオルだけでも……きゃあ!?」
同じように都市伝説に襲われたマリアは、念のため持参してあったバスタオルを巻こうとするが、胸を隠した時点で両手両足の自由を奪われた。
「クラヴィア、あたしを守りなさい」
それと同時に天音がライドキャリバーに身を守らせ、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるのであった。
●都市伝説
(「なんか溶かす順番に好みが透けて見えるような?」)
朦朧とする意識の中で、音夢が女性陣に視線を送っていた。
パッと見ただけでも、都市伝説の好みが分かる。
それは最初に襲われていたOLを見れば分かる。
「あ、あの……」
いつの間にか、都市伝説の中から吐き出され、信じられない様子で目を丸くさせていた。
「いや、別に襲ってくれとは言わないけど……。何よ、これ」
こういう時に怒る事が正解なのか、よく判らない。
ただひとつ言える事は、都市伝説にとって、あまりタイプではなかったという事だ。
ひょっとして、年齢的な理由……と思ったところで、怒りが込み上げてきたのか、感情に身を任せて都市伝説を蹴り始めた。
「いや、あり得ないでしょ!? そう言うのって、一番やっちゃいけない事でしょ?」
自分でも何を言っているのか分からなかった。
本来であれば、助かってうれしいと喜ぶべきだが、都市伝説の態度に腹が立った。
しかも、蹴ったところがちょうど都市伝説の核であったらしく、その拍子に音夢達を外に吐き出した。
「ううっ……、何だかぶにぶにしてる」
外に吐き出された音夢は、嫌悪感をあらわにしつつ、身体にこびりついたスライムを払い除けた。
その途端、指についたスライムが垂れ落ち、床にドロリと広がった。
「くっ……、男のこんな姿を見て誰が得するんだ。……都市伝説! そこになおれ!」
彩華は自己嫌悪に陥りながら、都市伝説に対して言い放つ。
だが、都市伝説はもっと彩華を恥ずかしい姿にすべく、再び触手を伸ばしてきた。
「……って、ちょっとあり得ないでしょうが! 聞いているの、本当に!」
すぐさま、近くにいたOLがスライム状の触手を掴み取り、懇々と説教をし始めた。
「しばらく、眠っていてもらえますか?」
このままOLを放っておくと、面倒な事にしかならないと思ったため、深宵が当て身を放って意識を奪う。
おそらく、後で事情を説明する事になるかも知れないが、仕事が多忙なせいで見てしまった幻と言っておけば、何となく納得してくれるはずである。
「さて……、これでようやく戦う事が出来そうだな」
都市伝説に冷たい視線を送り、桜夜が一気に間合いを詰めていく。
それと同時に都市伝説がスライム状の触手を伸ばしてきたが、本気になった桜夜の敵ではない。
その体に触れる事さえ出来ぬまま、紅蓮斬の一撃を食らって消し炭と化した。
「凍らせてしまえば、勝利はこちらのものです」
次の瞬間、都市伝説の背後に回り込んだマリアが、フリージングデスを使う。
その一撃を食らった都市伝説があっという間に凍り付き、身動きひとつ取れなくなった。
「この破廉恥!! 不届きもの!! どすけべ!! 燃えて跡形も残らず消えろ!!」
頭に思い浮かんだ暴言の数々を吐き捨て、天音がバニシングフレアを発動させる。
それに合わせて、ライドキャリバーのクラヴィアが機銃掃射し、都市伝説の体を一片も残す事なく消滅させた。
「お、終わった」
都市伝説が消滅した事を確認した後、海璃が崩れ落ちるようにして座り込む。
とにかく、終わった。そして、疲れた。
気のせいか、いつも以上に体力を消耗した気がする、真面目な話。
「せっかくですから、今から銭湯に行きませんか? さすがにこのまま帰る訳にもいきませんし」
苦笑いを浮かべながら、りんごが桜夜に誘う。
それを聞いた仲間達が『せっかくだから、みんなで行こう』と答え、りんごの後をついていった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年9月4日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 6
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