襟裳・岬(にゃるらとほてぷ・d00930)は、こんな噂を耳にした。
『ニーソで踏まれたがる都市伝説が存在する』と……。
「何だか、最近……変態依頼が多くない?」
「あえて、そう言う噂ばっかり広まっているというか、何というか」
「いや、圧倒的にそう言う噂が多いから、広まっているだけみたいだよ」
「何か違うか分からないけど……」
そう思ってしまうくらい今年は変態系都市伝説の確認情報が多かった。
それ以前に『これは都市伝説ではなく、ただの変態では?』と思うレベル。
おそらく、それは都市伝説が上半身裸で、もっさりパンツを穿いた、オッサン故だろう。
都市伝説はニーソ片手に公園を徘徊しており、好みの女性を見つけると、『これを穿いて、俺を踏んでくれ』とせがんでくるらしい。
ただ、それだけ。やはり、ただの変態では、という疑問が過ぎる。
だが、実際には都市伝説であるらしく、どんなに踏まれようとも、蹴られようとも、股間を踏み潰されようとも、めげる事がないようである。
そのため、違う意味で苦戦を強いられるかも知れないが、大して強くはないようなので、力を合わせて何とかなるだろう。
参加者 | |
---|---|
月瀬・沙耶(鏡花水月・d00026) |
櫻羽・ひめ(キャットレディ・d00764) |
御剣・譲治(デモニックストレンジャー・d16808) |
小早川・里桜(黄昏を背に昼を抱く・d17247) |
瀬河・辰巳(錯落なる幻想・d17801) |
渚・夜深(深い海の灯台・d17913) |
牧本・芽衣子(清らかな催淫・d18145) |
揚羽・王子(バーロー・d20691) |
●神のニーソックス
「ニーソックスを片手に徘徊する都市伝説……。……灼滅すべきなの、だろうな。危険だしな、うん。早々に灼滅して帰ろう、そうしよう」
小早川・里桜(黄昏を背に昼を抱く・d17247)は仲間達と共に、都市伝説が確認された公園に向かっていた。
それにしても、変態が多い、多過ぎる。
変態と言えば、春に多いと言われていたが、今は秋。
季節外れにも程がある。
もしかすると、都市伝説達に季節感がないため、とっくの昔に春が終わっている事に気づいていないかも知れない。おそらく、そう。間違いない。
その考えが間違っていなければ、都市伝説に真実を知らせる事で容易に消滅……する訳がない。
おそらく、都市伝説に冷ややかな眼差しを送られ『だから、何?』と言われ、拳を小刻みに震わせる結果に終わる事だろう。
「でも、踏んで欲しいって事は、踏み放題なのかな? そうとうなマゾだよね!! 好みの子に踏んでもらいたいみたいだけど、好みに入らなくても僕は踏むよ!」
含みのある笑みを浮かべ、櫻羽・ひめ(キャットレディ・d00764)が断言をする。
場合によっては、何か新しい世界の扉を開き、都市伝説としても、変態としても、進化するかも知れない。いや、本当に進化したら、迷惑この上ないのだが……。
「それに、ニーソで踏むって事は、靴を履かないでって事なのかな? ああいうのって、ヒール等でグリグリやるから楽し……ドMが満足する気がするんだけど……。まぁ、変態の考える事だから、ノーマルの僕には分からなくていいや。適度に弄って灼滅するのみだし」
途中で考える事が馬鹿らしくなり、瀬河・辰巳(錯落なる幻想・d17801)が軽く流す。
とは言え、これは依頼。念のため、ニーソックスが似合いそうな格好をして、準備は万端。何処からでも掛かってこいと言わんばかりのテンションである。
「だが、この都市伝説は根本的に間違っておるのぅ、踏まれる側に踏む道具を選ぶ権利などないのじゃ。これは正すべきじゃの」
険しい表情を浮かべながら、揚羽・王子(バーロー・d20691)が呟いた。
もちろん、都市伝説にそんな常識(?)がある訳もなく、噂によって広まった事がすべて。それが正しかろうが、間違っていようが、些細な事でしかないのである。
「まぁ……、変態でも都市伝説でしたら、とりあえず暇潰しにはなるでしょう……」
どこか遠くを見つめながら、月瀬・沙耶(鏡花水月・d00026)が口を開く。
野郎には微塵も興味はないが、時間潰しには丁度いい。
都市伝説がそう簡単に屈するとは思えないため、適当に踏んでいればあっという間に時間が過ぎるはずである。
「良く分からない趣味。でも、叶えてやったほうが穏便に済みそう」
そんな事を考えながら、御剣・譲治(デモニックストレンジャー・d16808)がニーソックスを穿く。
その途端、仲間達が『……えっ? ええっ??』と言わんばかりに二度見をしたが、気にしない。
「まあ、お金次第ですね。それ相応のお金さえくれれば、別に踏むくらいどうって事はありませんが……」
あくまでビジネスとして捉えた上で、渚・夜深(深い海の灯台・d17913)が答えを返す。
都市伝説がお金を持っている事自体あり得ない事ではあるが、可能性はゼロではない。
ゼロではない限り、可能性があるという事だ。
「みんな踏んであげるのね。……優しいわ。めいは放置よ、放置!」
そう言って牧本・芽衣子(清らかな催淫・d18145)が、都市伝説の確認された公園に視線を送る。
そこには、わんこスタイルで芽衣子達を待ち構える都市伝説の姿があった。
●踏んで踏んで踏んでぇ!
「まずはコルセットとガーターベルトを装着じゃ。ガーターベルトが見える様に服装はクリノリンに前はフリルで後ろに向かって長くなるスカートじゃ、下は水着じゃの。これが踏む時の正しい恰好じゃ、コルセットとガーターベルトに目覚めるが良いのじゃ!」
都市伝説に遭遇した王子は奪ったニーソをチラつかせ、躊躇う事なくその背中を踏んだ。
だが、都市伝説は目の前に垂れ下ったニーソを眺め、恍惚とした表情を浮かべて甘い声を響かせた。
これには王子もドン引き。逆に都市伝説がニーソを穿いて誰かを踏んだら、どんな反応を示すのだろうと抱いていた疑問も跡形もなく消し飛んだ。
考えたくない、関わりたくない。
そんな言葉が脳裏を過ぎる。
考えるだけで、頭がクラクラしてきた。吐き気がした。
「ふっ……、その顔だ。まるでゴミムシでも見るような、その顔。その表情が俺に力を与える! ふはははははははっ!」
まるでラスボスが吐くような台詞を都市伝説が吐いた。
だが、わんこスタイルでそんな台詞を吐いているため、まわりにいる者達はみんな微妙な表情を浮かべていた。
「ここから先は、お金をくれたら踏んであげますよ。もちろん、ニーソで。さ、早く出してくださいお金。あなたの気持ちでいいんです。踏んで欲しい気持ちの金額だけ出してくださいね。私が納得できたら、踏んで差し上げますよ?」
夜深の言葉に都市伝説が鼻で笑う。
「一体、何がおかしいんですか」
「ふっ……、甘いな。既に俺の中では……妄想世界の中で、お前は俺を踏んでいる。別にお前の許可などいらぬ。ただ、思えばいいのだから……」
都市伝説がクールに決める。
だが、それを台無しにするほど、都市伝説は惨めな恰好をしていた。
「これってマズイんじゃないかしらね、ビジュアル的に……」
少し距離を置いた場所に座ってスケッチをしていた芽衣子が苦笑いを浮かべる。
既に都市伝説の恰好が、法的に危ない状態になっている。見ていてツライ。
おそらく、こんなモノを見てマトモでいられるのは、そっち側の人間か、内なる闇に変態的な何かを飼っている者だけである。
「それなら、望み通り……踏み抜いてあげましょう」
そう言って沙耶が黒ニーソに合わせたピンヒールで、都市伝説の背中を踏み抜いた。
「ぐほっ……、き、貴様……、Sだな。しかも、ただのSじゃあねえ。ドSだ」
都市伝説の背中にピンヒールの跡が残っていた。
しかも、薄っすらとか、何となくというレベルではない。
ハッキリ、クッキリ、まるで最初からそうであったかのように、ピンヒールの跡が残っていた。
「次は……、顔面を踏んでみるか」
覚悟を決めた様子で、里桜が都市伝説の顔を踏む。
とにかく、顔を見たくない。
それにどうせ、都市伝説の好みから外れている。……と言うよりも、『外れていてくれ、頼むから』と願わずにはいられなかった。
しかし、都市伝説はその足を掴むと、貪るようにして舐めまくった。
それと同時に走る悪寒。
すぐさま足を引っ込めようとするが、都市伝説の力が強すぎて何もできない、動けない。
「ひょっとして、好みじゃなくても嬉しいんじゃないの? とんでもない変態だねぇ」
無意識のうちに罵りながら、ひめが都市伝説の背中を何度も踏む。
そのたび、都市伝説が『ああ、俺は変態だァ!』と答え、身体をビクンビクンと震わせた。
「せっかくだから、俺も踏んであげる。股間をぐりぐりと、ね」
それと同時にニーソックスを穿いた譲治の足が艶めかしく伸びる。
最初は少女のように優しく、途中からオッサンの如く荒々しく。
「はっ、はぅうううううううううううううううううううん!」
都市伝説の中で何かが目覚めた。花、開いた。
まるで都市伝説は花畑を自由に飛び回る妖精さんのような感覚に陥った。
身体が……軽い!
それは都市伝説が今まで感じた事のない世界!
ようこそ、男の世界へ。真のパラダイスへ。
そう譲治が耳元で囁いたような錯覚を受けた。
「……変態感が半端ないね。……こんだけキモイ奴、生で見たのは初めてだよ。……男に踏まれる気持ちはどうだい?」
辰巳の言葉に都市伝説が甘く切なく野太い声で反応した。
●御褒美
「まさか、男に踏まれて、こんなに興奮するとはね。でも、これじゃお仕置きと言うよりも、御褒美だね」
譲治は都市伝説をぐりぐりしつつ、深い溜息を漏らした。
このままではいつになっても終わらない。
都市伝説の欲求は無限大。それはまるで底に穴の開いた壺。
永遠に都市伝説の快楽を満たす事など出来はしない。
「もっと踏んでほしいのなら、犬のように這い蹲って懇願してみたら、考えてあげますよ」
沙耶の言葉に都市伝説が尻を振った。ぷりんぷりんのもっちもちだった。
だが、沙耶は踏まない。踏むつもりもない。
「な、何故だ!」
都市伝説が問う。
「お主は間違いを3つおかしたのじゃ、1つはニーソにこだわった事、1つはガーターベルトの至高さに気がつかなかった事、最期の1つはこの依頼に妾が恋人と共に参加できなかった事じゃ!」
王子の叫びが辺りに響く。
「知るかそんな事ォ」
都市伝説の反応は当然であった。
もう訳が分からない。分かりたくもない。
「まあ、踏んでもらっただけでも感謝しないと。それとも、放置プレイが良かった?」
芽衣子の問いに都市伝説が悩む。
頭を抱えて悩みまくった。
「いや、悩む必要はないだろ」
まるでツッコミを入れるようにして、辰巳が都市伝説に閃光百裂拳を叩き込む。
これにはさすがの都市伝説も、息が出来ないほどに苦しんだ。
「成仏してくださいね、このド変態野郎」
その隙をつくようにして夜深が霊犬と連携を取り、都市伝説にご当地キックを炸裂させた。
次の瞬間、都市伝説が『はああああああああああああん』と甘い声を響かせ、跡形もなく消滅した。
「……暫くニーソックスは見たくないな」
里桜が乾いた笑いを響かせる。
記憶の奥底にこびりついたソレは、いくら拭っても拭いきれないほどのアレ。
忘れたくても、忘れる事が出来ないほどの忌まわしい記憶。
「まあ、踏まれて幸せだったんじゃないのかな、あの都市伝説。でも、猫じゃなくてよかったよ。猫だったら、僕……倒せなかったかも」
そう言って、ひめが都市伝説のいた場所を眺める。
だが、仲間達の中には、こう思っている者がいた。
あの都市伝説は間違いなく『ネコ』であったと。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年9月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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