9月16日、敬老の日。
とあるベッドタウンにある公園では、ゲートボール大会が開かれていた。
「なるほど。このスティックでボールを打つのですな」
タキシードに山高帽という、この場には不釣り合いな格好をした老紳士が、ゲートボール用のスティックを振りかぶる。
コンッ!
小気味のいい音と共にスティックがボールを打ち、舞い上がったボールは近くにいた老婦人の頭を直撃した。老婦人の頭部が砕け散り、血と脳漿が周囲に飛び散る。
「ふむ。しかしこれは面倒ですな。わざわざボールなど使わずとも、このスティックで直接殴った方が早いというのに」
老紳士はそう呟きながら、無造作にスティックを振るう。突然の事態に戸惑っていた老人が、そのスティックに頭を殴られ息絶えた。
「ああ失礼。ゲームというのは、不自由なルールの中でやるからこそ意味があるのでしたな。確かに、何でもありでは面白くありません」
大混乱に陥ったゲートボール会場で、老紳士は穏やかに微笑んだ。
「さて、若き灼滅者達は、私のゲームに参加して下さるでしょうか。まあ、来ないなら来ないで、私はここの皆さんに、慈悲を与えるだけですが」
「嗚呼、サイキックアブソーバーの声が聞こえる……。かつて老人だけを狙って殺戮を行っていた六六六人衆の序列六三七番、須郷・総一郎が再び現れると」
神堂・妖(中学生エクスブレイン・dn0137)の言葉に反応したのは、以前須郷と対峙したことのある御剣・譲治(デモニックストレンジャー・d16808)だった。
「この時期に、現れる――狙いは、まさか敬老の日?」
譲治の推測に、妖が頷く。
「……しかも、須郷は今回、灼滅者を待ち受けてるように見受けられる。もしかしたら、『闇堕ちゲーム』をやろうとしているのかもしれない」
闇堕ちゲーム。灼滅者を闇堕ちさせることで優劣を競う、六六六人衆の悪趣味きわまりないゲームだ。
「……須郷は今回、ゲートボール大会の会場に現れる。会場には約五十人の人がいて、その大半はお年寄り。ゲートボールをやってる人達だからみんな健康ではあるだろうけど、若い人ほどには機敏に逃げられない。今回の任務は、彼らの救出が最優先事項」
須郷は六六六人衆としては序列も低く、また自身も老齢であるため、今の灼滅者の実力ならうまく立ち回れば灼滅出来るかも知れない。だが、一般人の救出と灼滅を両立させるのは非常に困難だろうと妖は言う。
もちろん誰かが闇堕ちすれば話は別だが、それでは須郷の思う壺だ。
「……幸い、須郷は目の前に障害があれば、まずは障害を排除してから目的を果たそうとする。うまく気を引きつければ、救出はやりやすくなるかも知れない」
「須郷は、手に持ったステッキと、被っている山高帽を武器にする」
以前須郷と戦ったことのある譲治が、須郷の戦闘能力の説明を始めた。
ステッキはマテリアルロッドと同等の効果がある。また、山高帽はつばの部分に刃が仕込んであり、リングスラッシャーのような使い方が可能だという。もちろん、殺人鬼のサイキックも使用可能だ。
「……相手の目的は、ゲートボール大会に来ている老人の殺戮と、灼滅者の闇堕ち。できれば、どちらも阻止して欲しい。……無茶なお願いかも知れないけど、みんなならできるって信じてる」
妖は真剣な面持ちで、そう締めくくった。
参加者 | |
---|---|
黒夜・零(黒騎士・d00528) |
楯守・盾衛(シールドスパイカ・d03757) |
蒼間・舜(脱力系殺人鬼・d04381) |
シア・クリーク(知識探求者・d10947) |
彩橙・眞沙希(天衣無縫の白にゃんこ・d11577) |
樹・由乃(草思草愛・d12219) |
御剣・譲治(デモニックストレンジャー・d16808) |
黒水・薫(浮雲・d16812) |
●先制
今日は敬老の日。
とあるベッドタウンで開催されているゲートボール大会の会場に、今しも一人の老紳士が足を踏み入れようとしていた。
だが。
「ッヘーイ爺サンおッひさーーー! 早速だケドお小遣いチョーダァイ、命で!!」
物騒なことを言いながら老紳士の前に飛び出したのは、楯守・盾衛(シールドスパイカ・d03757)だ。既にその手に握られていた自在刀【七曲】が、躊躇なく老紳士の心臓目掛けて突き出される。
「おっと。いきなり危ないですな」
老紳士――六六六人衆が序列六三七番、須郷・総一郎はわずかに体の向きをずらすことで、その不意打ちを回避した。しかし、
「……案の定また現れて、しかも闇堕ちゲーム。懲りない奴」
御剣・譲治(デモニックストレンジャー・d16808)が腕と一体化したガトリングガンから放った炎の弾丸までは、かわしきることができなかった。
「いやはや。相変わらず乱暴な歓迎ですな」
火の付いたタキシードを軽く手ではたきながら、須郷は周囲を見回す。いつの間にか、須郷の周囲には6人の灼滅者の姿があった。
「今日は敬老の日だが、貴様は老“人”ではないから、敬う必要は無いよな?」
黒夜・零(黒騎士・d00528)の挑発的な言葉にも、須郷は優雅な態度を崩さない。
「よく見れば懐かしい顔触れも何人かおりますな。これは堕とし甲斐があるというものです」
須郷は穏やかな微笑みを浮かべつつ、ステッキを軽く振るった。たちまち圧縮された殺気が、ゲートボール会場目掛け放たれる。そこには、突如始まった戦いに目を丸くしているお年寄り達の姿があった。
「ボクの勝手ですが、全て守ります!」
だが、その殺気の塊の前に、彩橙・眞沙希(天衣無縫の白にゃんこ・d11577)が立ちはだかる。彼女の持つウロボロスブレイドが彼女の全身を包み込み、盾となって殺気の衝撃を緩和する。全てのダメージを打ち消せるわけではないが、被害者を出すよりはマシだ。
「みなさん、この人は指名手配犯の殺人鬼よ! 早く逃げて!!」
眞沙希が盾となって攻撃を防いでいる間に、黒水・薫(浮雲・d16812)が割り込みヴォイスで会場全体に避難を呼びかける。
「あのね、お願いがあるの……。お手伝い、してくれる? ある程度人が捌けたら一緒に逃げてね!」
一方で、シア・クリーク(知識探求者・d10947)は大会の運営者や手伝いに来ているボランティアなど、比較的若い人達にラブフェロモンを用いて、避難への協力をお願いしていた。会場にはお年寄りの人数が多いので、自分たちだけでは避難させきるのは難しいという判断だ。
「おじいさん、私たちと遊びましょう。貴方が灼滅されたら私たちの勝ちでいいですよね」
そう言って須郷の前に立ちはだかったのは、樹・由乃(草思草愛・d12219)だった。
「草神様の仰せのままに」
由乃が自らの信仰する草神様に祈りを捧げると、スレイヤーカードが輝きを放ち、妖の槍と解体ナイフが実体化した。さらに目に集中させたバベルの鎖の力で須郷の次の動きを読んだ由乃は、至近距離から妖冷弾を放つ。再度ステッキを振るおうとしていた須郷は、攻撃を中断しステッキで妖冷弾を弾いた。
「……なるほど。息つく暇もなく攻撃を集中させ、私に慈悲を行う暇を与えないという作戦ですか」
須郷は穏やかな笑みを浮かべたまま、深く頷いた。
「いいでしょう。ここはあなたがたの作戦に乗って差し上げましょう。ですが、後悔しますぞ?」
次の瞬間、須郷は眼前の盾衛へステッキを突き出した。軽く触れただけだったにもかかわらず、直後にステッキを通じて送り込まれた魔力の奔流が、盾衛を吹き飛ばす。
「楯守!」
やや離れていた位置で戦況を見守っていた零が、素早く縛霊手から祭霊光を飛ばし、盾衛を癒す。同時に、零のライドキャリバーが追撃を妨げるべく、盾衛のガードに入った。
だが須郷は既に次の行動に移っていた。須郷が頭を軽く振ると、被っていた山高帽が高速で回転しつつ飛び上がり、須郷を包囲していた灼滅者達をツバの部分に仕込まれた刃で切り裂いていく。
「全く……。どこ行っても、化け物みたいな厄介なじいさんは居るんだね。ウチのじい様もあんな感じだけどさ……」
半歩退いたところで攻撃の隙を伺っていた蒼間・舜(脱力系殺人鬼・d04381)が、須郷に向けていた天星弓を傷ついた仲間達に向け、矢を放つ。癒しの力を込められたその矢は、傷を癒すだけでなく須郷の動きに対抗するだけの超感覚を呼び覚ましていった。
「周りを見る余裕なんて、与えない」
譲治が、巨大な腕型の外装――Ouga armで須郷に殴りかかり。
「レディが誘ってるんです。受けずに紳士を名乗れますまい」
解体ナイフを構えた由乃が須郷のタキシードを少しずつ切り裂いていく。
灼滅者達の波状攻撃が、須郷を防戦へと追いやっていった。
●待避
「全く、おじいちゃんおばあちゃんは大事にしなくちゃなのよ。何としても、守らなきゃね」
クッションや毛布を敷き詰めたリヤカーを引きながら、薫は避難誘導に奔走していた。動けなくなった人を見つけたらリアカーに乗せ、自ら安全な場所まで送り届けていく。
「動ける人は水色の男の子の指示に従って逃げなさい! 動けない人は私が運ぶわ!」
普段は大声を出さない薫だが、今はそんなことは言っていられなかった。
一方、水色の男の子ことシアは、協力者となってくれた一般人と共に避難を手伝っていた。
「さあ、みなさんもそろそろ逃げて。ボクはあのおにーさん達に護ってもらうからだいじょうぶ。折角お手伝いしてくれるのに、怪我したらやだよ?」
老人達の避難が一段落したところで、シアは協力してくれた人達にも待避を促す。
二人とも避難誘導中も油断なく須郷が一般人に手を出さないか警戒していたが、須郷は灼滅者の相手を優先させたらしく、それどころではないようだ。
たまに流れ弾が一般人に向かうこともあったが、
「おばあちゃんとおじいちゃんに育てられたボク的には守りたいのですよ」
その都度眞沙希が身を盾にして攻撃を防いでいたため、被害が一般人に及ぶことはなかった。
「むう、これはいけませんな。なぜ私の慈悲から逃れようとするのでしょう? 老いは恐怖でしかないと分かっておられるはずなのに」
須郷の手の及ばないところまで老人達が全員待避し終えた頃、須郷が理解できないというようにそう呟いた。
「お前の言う事、無いとは言わない」
老いていく恐怖、罪悪感。譲治は、それが須郷の闇堕ちの原因かも知れないと感じつつも反論する。
「でも恐怖だけじゃない。こうやって自分から足を踏み出せば、新しい事が出来る」
ここにいる老人達のように、知人友人も、新しい趣味も作れる。
「それが解らないから、絶対に解り合えない」
譲治の腕と一体化したガトリングガンから、死の光線が放たれ須郷を直撃した。
「つか、じいさん。年寄りの冷や水って言葉知ってる? 幾らダークネスでも、大人しく隠居してた方が長生きできたんでないの?」
舜が手をかざすと、よろめいた須郷の体を影の触手が捉えていく。
「まだ辛くないですか? もう少ししたら辛い感じですか? 六六六人衆と戦うの初めてなんです。教えてください」
さらに、須郷の懐に飛び込んだ由乃が、解体ナイフで複雑な傷跡を付けていった。
「せッかくのゲートボール大会だし楽しい球技のお時間ッてか、だッたらコイツでホームランだッらァ!!」
動きを封じられた須郷に、盾衛が自在刀【七曲】を振り下ろす。須郷は咄嗟にステッキで刀を受け止めるが、その一撃でステッキにヒビが入る。
「まあいいでしょう。せっかく皆さんに足を運んでいただいたのです。せめて闇墜ちだけはしていただきましょうか」
須郷はヒビの入ったステッキを自らまっぷたつに折ると、無造作に一方を放り投げた。だがそのステッキの破片は、狙い澄ましたように、眞沙希目掛けて飛んでいき、彼女の脇腹に刺さる。
「つうっ……」
思わずうずくまる眞沙希に零が祭霊光を飛ばす。本心では積極的に戦闘に参加したいと思っている零だが、今回の自分の役割はあくまで仲間達の傷を癒すことだ。自分のやるべきことを確実にやって、相手を倒せればそれでいい。
だが、先程から老人達に向かうダメージを肩代わりしていた彼女の傷を全て癒しきることはできなかった。
「さて、まだまだいきますぞ?」
須郷が軽く頭を動かす。それは、彼が山高帽を武器として使用する前兆だ。だが、山高帽が須郷の頭部を離れた瞬間、飛来したマジックミサイルが帽子の軌道を逸らした。
「貴方のせいで喉が痛くなったわどうしてくれるの」
それは、避難誘導を無事終えて駆けつけた薫の放った一撃だった。さらに、
「敬老の日を狙ってくるとはなんたる不埒物ー!」
同じく駆けつけたシアが、駆け抜けざまに須郷の足を切り裂いていく。
「お待たせ! さーじゃんじゃんいこう!」
元気のよいシアの掛け声が、戦いが新たな局面に入ったことを高々と告げたのだった。
●闇墜ち
「しかし困りましたな。どうすれば皆さんは闇墜ちをして下さいますかな」
須郷が、言葉通りに困った表情を浮かべる。
「例えば、死にそうなほど傷つけば闇墜ちしてくれるのでしょうか」
次の瞬間、須郷が殺気を解放した。その殺気の奔流は、後衛に位置していた零と薫に襲いかかった。
「くっ!」
零のライドキャリバーが駆けつけ、零の盾となる。
(闇堕ちゲームと言うからにはルールも有る筈。然し一体誰がルールを決めて、それを闇堕ちゲームとして周知したんだ……?)
ふと、そんな疑問が零の脳裏をよぎる。
同じように殺気の奔流に晒された薫の前には、眞沙希が立ちはだかって彼女への直撃を防いでいた。
「なら、悪趣味なゲームを終わらせてあげるわ」
薫が反撃とばかりに腕を伸ばすと、薫の影から巨大な骸骨が立ち上がり、須郷を飲み込まんとする。だが須郷は折れたステッキを一振りして、影の骸骨を打ち消した。さらに須郷がステッキをもう一振りすると、須郷を中心として爆発的に突風が巻き起こる。その突風は、須郷を取り囲んでいた譲治、由乃、盾衛、眞沙希をまとめて吹き飛ばした。
「いッてエ! 爺サン年甲斐も無くハッスルしてンなァ」
悪態を吐きつつ、盾衛が起き上がると、同じように譲治と由乃も身を起こしていく。
だが。
「まずは一人といったところですな」
一般人や仲間をかばい続けてきた眞沙希の体は、遂に限界に達した。力を込めても起き上がることが出来ず、意識が闇に飲まれていく。
「さて、これでどなたか闇墜ちする気になりましたかな?」
そんな須郷の問いに、
「闇墜ちはしてやらない。偽善ですらない独善に、俺は屈しない」
譲治が灼滅者を代表して、決然と言い放つ。
「う~む。参りましたな。これはなかなかに難しいゲームです。皆殺しにするよりもよほど難しい」
「なら、こっちが先に終わらせてあげるよ。ナメないでよね」
シアが契約の指輪から魔法弾を放ち須郷を狙うが、須郷は考え込んだ姿勢のままその攻撃をかわした。
「先に終わらせる……。なるほど、そういう手もありますな」
須郷はポンと手を叩くと、ステッキの先端を倒れている眞沙希に向けた。
「あなた、何をするつもりです!?」
油断なく妖の槍と解体ナイフを構えながら、由乃が須郷を問い詰める。
「見て分かりませんか? 今から、このお嬢さんにとどめを刺すのですよ。目の前で仲間が殺されても尚、あなた方が闇墜ちせずにいられるか、今から楽しみです」
淡々と語る須郷に対し、まず零が動いた。
「そんなことはやらせるか!」
零の影から触手が飛び出し、須郷のステッキを持つ腕を縛り上げる。
「ご老人は大事にする主義だけど、そんな非道を行うダークネスは対象外。ごめんあそばせ」
さらに薫の撃ち放った強酸が、須郷の腕を溶かしていく。その間に零のライドキャリバーと盾衛が、須郷と眞沙希の間に割って入り射線を遮った。
だが。
「それで私を封じたつもりなら、甘いですな」
須郷が、軽く頭を振ると、山高帽が高速回転しつつ飛び上がった。そのまま山高帽はライドキャリバーと盾衛を迂回するように飛び、倒れる眞沙希目掛けて――、
「……そういうのは、一応阻止させてもらうよ」
ぞっとするほどの冷たい声が響き渡ったのはその時だった。須郷がその声の主――舜に目を向ける。
「そう、闇墜ちしてもね」
次の瞬間、舜の全身が闇に包み込まれた。そして、闇の中から放たれた影の触手が、今にも眞沙希の首を跳ね飛ばそうとしていた山高帽を叩き落とす。
「一度くらいは、闇堕ちした時の別人格ってのに挨拶してみたかったんだよね」
それが、多分人間として舜が発した最後の言葉。今や舜の全身はどす黒い殺気のオーラに包まれていた。
●灼滅、そして
「はっはっはっ。ついに闇墜ちしましたな! これでこのゲームは私の勝利です」
須郷は満足そうにそう微笑むと、優雅にその場で一礼してみせる。
「さて、私の目的はこれで果たせました。そろそろお暇させていただきましょう」
「待ちなさい。このまま勝ち逃げなど、草神様がお許しになりません」
立ち去ろうとする須郷の前に、由乃が立ちはだかる。
「生きてりャ死ぬサ。今日はテメェの番、いつかはオレらの番、そンだけ。だからテメェは、今日ここで死んでけやッ!」
同じく須郷の正面に立った盾衛が、自在刀【七曲】を分解延長した鎖剣状態で振り回し、背後から須郷の足首を切り裂く。
「ぬうっ!?」
姿勢を崩した須郷に、灼滅者達の一斉攻撃が繰り出された。
薫が骸骨状の影で須郷を幻惑し。
零が影の触手で須郷を縛り。
由乃が武器を捨ててオーラを乗せた拳を連続で撃ち込み。
シアの一撃が須郷のタキシードを十文字に切り裂き。
火を吹いた譲治のガトリングガンが、須郷の全身を燃え上がらせる。
そして、
「ハハハハハッ、やっぱり殺しはいいね! 相手が六六六人衆となれば格別だっ!」
闇墜ちした舜の影から発した触手が鋭い刃となり、須郷の全身を刺し貫いた。
「ウグオッ!!」
須郷の口から、大量の血が溢れ、その膝が折れる。
「やれやれ。年甲斐もなく少々無理をしすぎましたか。……まあよいでしょう。私ももう年だ。これは、私への慈悲と、思うことにしましょうか」
そして須郷の全身がうつぶせに倒れた。
「あれ? もう終わりか。せっかく闇墜ちしたのに、あっけないね」
舜はそう言って周囲に目を向ける。そこには、不安と警戒の色を目に浮かべた灼滅者達の姿がある。
「ああ、心配しないでいいよ。まだ、君達を殺すつもりはないから。じゃあ、機会があったらまた会おう」
そんな言葉を残して、背を向けて去っていく舜。須郷との戦いで傷ついた灼滅者達には、彼を追って止める余裕は、残されていなかった。
作者:J九郎 |
重傷:彩橙・眞沙希(千変万化のもふりすと・d11577) 死亡:なし 闇堕ち:蒼間・舜(脱力系殺人鬼・d04381) |
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種類:
公開:2013年9月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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