社会の窓ッ、全ッ開ッ!

    作者:空白革命

    ●要約:大事な告白の瞬間社会の窓が開いてたのが気持ちよくなっちゃいまひゅうううううう!
    「タケシ君。ごめんね、待った?」
    「うん、今来たところだよ……えへへ」
     南桐タケシくんは校舎裏にあるという大きな木の下ではにかむように笑った。
     金髪で大きな眼鏡をかけ、小柄で女子にも人気のある、天使か何かの生まれ変わりじゃあありませんかと言われたりもする甘ショタ美少年である。
     こんな美少年に校舎裏に呼ばれたとなれば女子生徒だって悪い気はしない。どんな結果になろうとクラスの皆に自慢できちゃうゾってなもんである。場所がこの裏伝説の木とか呼ばれ告白成功率20%を誇る地味な目玉スポットだとしてもである。
     タケシ君はにぱぁっと花咲くように笑って、女子の手を取った。
    「ボクこそ、こんな所に呼び出してごめんね。でも、どうしても言いたいことがあったんだ。ボクの気持ちを……知って欲しくて……」
    「うん……」
     顔を真っ赤にして俯き、上目遣いに見つめる美少年タケシ。
     女子生徒もその顔をドキドキしながら見下ろした。
     すこし眺めでふわっとした睫。澄んだ瞳。整った鼻と頬のラインを下がっていけばさりげなく潤った唇。形の良い顎。ほっそりと骨の浮き出た鎖骨。
     平らで、しかしほんの僅かに筋肉のついた胸板を下がっていけば。
     そこそこに鍛えられた腰と、そして。
    「あ」
    「ん?」
     首を傾げるショタ少年。
     顔へと目をやる女子生徒。
    「あの、ええと、チャックが」
    「え?」
     もう一度腰の下あたりに目をやった。
     同じく目をやる美少年。
     この状況を、できる限り汚らしくないイメージで表わすと。

     『タケシ初号機、ソーシャルウィンドゥ――全開ッ!』

     である。
    「プッ、クスクク……ちょ、タケシくんそれ、ぷふふっ」
    「う、うわ、うわああ……な、な、ななななな……!」
     タケシ少年は頭を抱え、かきむしり、そして……!
    「なんだかキモチイイイイヨオオオオオオオオオオ!!」
    「キャアアアアアアアアアアアア!」
     タケシ少年は上半身のシャツを一瞬にしてバリーンと破り捨てると太陽の如く輝く眼鏡を天に照射しつつ背中から小悪魔的な羽を生やし社会の窓を全開にしたままふわーっと浮かび上がったかと思うと光の柱の中で吠え始めたのだった。
     そんな姿を見てマトモでいられる奴なんて居ない。
     悲鳴を上げて逃げるか?
     それとも平手打ちして怒るか?
     否!
    「素敵! 抱いて!」
     女子生徒はダブルピースで絶叫した。
     ペッとつばを吐き捨てるタケシ少年。いやさ淫魔タケシ!
    「女なんて興味ねえんだこの駄肉が! 大人しく俺様の開放的覚醒シーンを見学しな! 今日は無料サービスしてやんよ! ヒャッハー!」
     
    ●もうまりんちゃんを許してあげて
    「こんな依頼の説明をするわたしの気持ちを……わかって!」
     須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)は振り向いて涙をぬぐった。
     まあなんか、告白が失敗したとかそういう理由で闇堕ちした美少年がいるらしい。
     あっ、でも失恋のショックとかじゃないんですよ。
     社会の窓がフルオープンアタックしてたのが凄まじく気持ちいいことに気づいてしまったんですよ、フフ。恥ずかしながらね……フフ。
     少年はこの後も美少年としてひっそり生活するフリをしつつ、所々の大事なタイミングで社会の窓を全開にする喜びに打ち震えていた。
     もう大変な事態である。
     また変態な痴態でもある。
     このまま放っておけば生徒会長になって『全ッ開ッ!』したり卒業式の代表挨拶で『全ッ開ッ!』したり成人式で『全ッ開ッ!』したりお見合いの席で『全ッ開ッ!』したりと大変な未来しか待っていない。
     今ここで止めるのだ。まだ……まだ人間の心が残っているうちに!
     
     南斬タケシきゅんは美しい美少年小学生である。
     そんな彼が学校から帰る間が接触チャンスなのだ。
     ちょっとした空き地を通るので、そこで待ち伏せ、挨拶、かーらーのー『全ッ開ッ!』である。
     幸いなことにあんま人は居ないし、別に見られて気にすることは無いと思うから放っておこう。それより『全ッ開ッ!』だ。
     彼は『全ッ開ッ!』することで自らのパワーを『全ッ開ッ!』して淫魔パワーを振り回すという。どう振り回すのかは、ご想像にお任せしたい!
    「みんな、頼むね! ほんと……たのむからね!」


    参加者
    若菱・弾(キープオンムービン・d02792)
    八塚・汀(砌・d03844)
    フレナディア・ヘブンズハート(煉獄の舞姫・d03883)
    天瀬・一子(Panta rhei・d04508)
    佐伯・マコト(プラモのマコちゃん・d07541)
    九音・律(ただの可愛らしい天使・d07781)
    天野・白奈(血を望まない切り裂き姫・d17342)
    日乃宮・茜(クレッシェンドフレア・d20934)

    ■リプレイ

    ●できるだけおおらかな気持ちで読もうね。そうしようね!
     男の尻があった。
     若菱・弾(キープオンムービン・d02792)の屈強な尻であり、ふんどしによってキュっと締められた大臀筋はしなやかにそして雄々しく盛り上がっていた。
    「よし……」
     弾はズボンをはき直して立ち上がると、公衆トイレの扉を開けて外へ出た。
     公園だ。
     八塚・汀(砌・d03844)が子犬と駆け回って遊んでいた。子犬というか霊犬だったが、そんなことは些細な問題である。
     しかもフレナディア・ヘブンズハート(煉獄の舞姫・d03883)がフリスビーを投げ、それを汀と霊犬蓮がわーいとかいいながら追いかけていたし、フレナディアは犬と遊ぶというより幼女を犬のように走らせることにちょっとした興奮を覚えていたようだったけど、そんなことは些細な問題である!
     ふと視線を移してみれば、佐伯・マコト(プラモのマコちゃん・d07541)と天瀬・一子(Panta rhei・d04508)が今回の資料をぱらぱらめくりながらこの世の者とは思えない表情を晒していた。
     あえて擬音語で表現するなら『エヘァァァァハッヘェヘヘヘェァィイイイヒヒヘァ!』である。
     この世でこんな音が出せる物体が他に存在するだろうか?
    「天使のような少年が快感に打ち震えながらファスナーを緒反るなんて、なんて甘美な光景!」
    「しかも『全ッ開ッ』後は小悪魔モードだなんて、これはこれで……ヘヘヘ」
     涎をぬぐう女たち。
     灼滅者っていうかダークネス側にちょっと近い感じだったけど、そんなことはっ、些細な問題である!
     更に視線を移すならば、ベンチに並んで座る日乃宮・茜(クレッシェンドフレア・d20934)たちの様子がわかることだろう。
    「色々、別のものにも堕ちてる子よね……今回のダークネスって」
     まあ様子と言っても足を揃えてナチュラルに座っているだけだったし、それは天野・白奈(血を望まない切り裂き姫・d17342)と九音・律(ただの可愛らしい天使・d07781)も同じことだった。
    「こんな事態を説明させられるなんて、まりんさんの心中、お察しします……」
    「んー……ねえ、僕が今気になってること、言ってもいいかな」
     津はかくんと首を傾げ、唇に当てていた指でもって滑り台の上を示した。
    「えへ、えへへ、ボクっ、ボクいまっ、皆に見られてるのに……『全ッ開ッ』しちゃってるよお! す、すご、すごく……キモチイイイイヨオオオオオオオオ!!」
     天使のような甘ショタ美少年が股間の『全ッ開ッ』部分から光を放ちながら飛び立ち、小悪魔モードへと変身していた。
     振り向く律。
    「あれ、みんなあえて放置してたよね?」
     それもまた、些細な問題である。

    ●イタリアだったら拍手されるレベルの変態
     灼滅者のチームがダークネスに遭遇した際にとる行動は大きく分けて三つある。
     ひとつは見敵必殺の理により攻撃。もうひとつは可能な限り情報を収集したのち撤退。そしてもうひとつは――。
    「アップで撮っていい?」
    「ハッ、俺様の輝きに寄せられてきた虫か。好きにしなこの雌虫がっ!」
     空中にぶんわぶんわか浮かびながら開放感に酔いしれているタケシ君を囲み、スマホで撮影することである。
     律もその一人だった。携帯で呟いたりしてた。
     最近のスマホって連続撮影機能とかついてんのね。音もそんなに鳴らないし。
     あとあれだね。きっとバベルの鎖がバベってRTとかほぼつかないんだろうね。知らんけど。
    「あ、ごめん。電池切れてきた」
    「ハァ? この俺様が撮影許可してやってんのにどういう態度だこの雌豚がっ!」
     ペッとつばを吐くタケシ君。律は『計算通り』みたいな悪い顔でニヤっとした……が。
    「目線くださーい! オッホウ脇腹から腋へのラインがもうサイッコー! 蝶サイコー! そしてソーシャルウィンドウの奥は白く光ってると! 修正完璧! 倫理規定クリア! 全国放送可! ホッホーウイぐへへへへへ!」
     一子が自らのキャラを破壊せんばかりの勢いで連続撮影しまくっていた。
     マコトに至っては顔を覆ってキャーキャーいいつつ、たまに指の間をチラッチラッ開いてドッキドキタイムを満喫していた。
    「嗚呼、光に混じって白いアレが……フフ、小悪魔の奥に隠れた天使」
     そういう意味かは知らないし、知りたくも無い。
     どうやら撮影じらし作戦は微妙な感じになりそうだ。もう二人くらいガッツリいってるもん。
     となればここは飴と鞭の使い分けである。
     要するに食いつき組と引き組である。
     例えば汀の――
    「全開の悪魔と半開の天使、こうおつつけがたしっ!」
     あ、いや、そこじゃないです。
    「どーしてもすりりんぐなのがいいなら、半開きがいいとおもうのですよ。チラッ、テヘペロ! みたいな」
     暫く下がっててもらっていいですか。ほねっこあげるんで。
     蓮こっちこっちーと言って再び遊び始める汀を放置して、白奈と茜が身を寄せ合ってヒソヒソしていた。ちなみに『ヒソヒソ』の部分は大文字である。
    「破廉恥です……」
    「あんなことして、恥ずかしいわよね……」
    「はい、あの、破廉恥なのはいけないと思います」
     さあどうだと思ってタケシ君の反応を見てみると。
    「アッハァ! この開放感たまんねぇなあオイ! 『全ッ開ッ』だぜ!」
     他人の評価など意に介していないという様子であった。
     なんなのこの変態。唯我独尊なの? と思ったし無防備に快感をエンジョイしているように見えて周囲を美少年オーラが覆っているので、実は戦闘をしかけようにも隙が無かった。ハイブリットな変態だった。
     まあ写メ撮ったり引いたりしたら突如無防備になるダークネスとかすごく嫌だけど。
    「ふむ、よし」
     弾はレザージャケットのファスナーをキュッとしめると、チェーンソー剣を手に取った。
    「南斬タケシ。お前の『全ッ開ッ』なんぞ淫魔的には小学生レベルなんだよ。なあ?」
    「そうね。ソーシャルウィンドウの『全ッ開ッ』程度、ビビリのすることじゃない」
     フレナディアは自らの髪をふぁさっとかき上げると、磨き上げられたボディを誇張するようにポージングして見せた。
    「やるなら、上から下まで『全ッ開ッ』しなさいよ。大通りの真ん中でも、スクランブル交差点の中心でも、スカイツリーの頂上でも祭りの櫓ででもやってみせなさい。アタシらにも見せるくらい日常的に『全ッ開ッ』するなら、もう常に『全ッ開ッ』してなさいよ!」
    「何……?」
     自らの根源を突かれたからか、タケシ君はシャフ度で振り返った。
    「この俺が『全ッ開ッ』してない? 俺様がクローズドだと!? 腰と腋くらいしか晒さない女がよく言う!」
    「言ってくれるじゃないの、だったら本気のカラダを見せ――」
    「待てぃ!」
     ブラのホックに手をかけたところで弾ががしっと羽交い締めにした。
    「このリプレイは全年齢対象だ。うっかり描けば公開すらできないシロモノになる。控えるんだ」
    「離しなさい。あのお子様に真の淫魔ってものを見せてあげる」
    「お前はサウンドソルジャー(灼滅者)だろ!」
     弾はとりあえず彼女を下げると、チェーンソー剣のエンジンをかけた。
    「むしろこの手で、奴を剥く!」

    ●倫理規定? ああ、それなら食ったことあるよ!
     テンポを悪くしてしまって本当に申し訳ないが、ここで一つ注意書きをしておかねばならない。
     BSにある『服破り』というのは必ずしも服が破れるわけではないのしそもそも防具としての服はサイキックエナジーの集合体だからやろうと思えばいくらでも元に戻るのだ。そう攻撃したら服だけ破れるなんてエロゲみたいな設定なわけがないしリプレイでもし服が破れてもそれは服破りの効果では無く物理的なものだしもし破れたままでもあえてそうしているだけにすぎないってことをよく理解して欲しいそしてここまで言っておけば証拠に使われることも無いぜここからはやりたい放題だぜグヘヘヘヘヘヘイイイイヤッホオオオオウ!!

     街灯の灯る公園、滑り台下。
    「いやぁぁぁぁああっ、やめてっやめてよぉ!」
     仰向けになった美少年タケシのワイシャツに、少女マコトの手が食い込んだ。
     ボタンを外す、などという迂遠な過程は存在しない。ポテトチップスの袋を開けるように、もしくは布にあいた穴を広げるかのように強引にそして激しく引きちぎったのだ。はじけ飛んだボタンが冷たい土の上を転がり、少年タケシの頬に涙が伝った。
     そして露わになる胸板。舐めるように、もしくは実際に舐めるがごとき近さで凝視しつつ、マコトは息を荒くした。
    「ごめんねっ、ごめんねタケシくんごめんね!」
     唇からあふれた唾液が少年タケシの乳首に落ち、ゆるやかに腋へと流れていく。肌は赤子のようにきめ細かく、恐るべきことに毛の一本すら、いや毛穴の一孔すら見えぬ有様である。
     マコトがそのままかぶりつくのではないかという所まで近づいた所で、弾が彼女の肩を掴んだ。
    「どけ、俺の番だ」
     マコトをどかし、弾はジグザグした剣をタケシの肌に這わせはじめた。胸、鳩尾、へそ、そして下腹部。
     しっかりと止められたホットパンツの留め具へと至った。
     たかが留め具。
     弾がすこし力を入れるだけで、金属ボタンははじけ飛び、少年タケシの下腹部から下が露わになった。
    「あっ……!」
     少年タケシの声が、僅かに闇夜へ転がった。
     だがここで留まる夜ではない。
     龍砕斧を手にした茜が、シャツを袖ごと引きちぎっていったのだ。彼の上半身に残されたのはもはや糸くず程度しかない。
     その様子を、肉を前にした野生の狼が如く見つめる女があった。
     一子である。彼女は両手を地に着け、今にもしゃぶりつかんばかりの勢いで弾とタケシのやりとりを凝視していた。
    「まだだよっ、もっと剥かなきゃ! マス席とった意味が無いよ! ねえ! はやく!」
    「や、やぁ……」
     小さく首を振っていやいやをするタケシ。彼は顔を両手で覆ったが、硬直した手はうまく目を塞いではくれなかった。
    「やりたいなら自分でやれ」
    「むう……わかったよもう」
     一子は自らのステッキをタケシの下腹部、つまりホットパンツの下の更に下へとねじ込み、股まで通したかと思うとまるで嵐のように引っ張り、服ごと引き裂いてしまったのだった。
    「オッホウ、キタキタァー!」
     手を叩いてはしゃぐ一子とマコト。
     少年タケシは指の間からその光景を見て、ぐすぐすと泣きじゃくった。
    「や、やめて、やめてよ……いやだよ、こんなひどい、こと……」
    「ふうん、いやなの? その割にはマテリアルロッドの方は元気みたいだけど?」
     引き裂かれたタケシの服をはぎ取り、手の中で燃やすフレナディア。
     汀のふかせた風が、彼女の髪を大きくなびかせた。
     まだ熱い彼女の手が、タケシのつま先に触れた。
     粘度の高い液体のように、つま先からすねへ、すねから内ももへと滑っていく。
     だがそこまでだ。フレナディアがやったことと言えば、彼の服を靴下以外すべて焼き払うことだけだった。
     『あっ』と声を漏らすタケシ。何故か?
     それが分かるよりもはやく、律の手が彼の下腹部を押した。
    「そんな子にはセイクリッドクロスだよね」
     律は彼のマテリアルロッドをおもむろに掴むと、ねっとりとセイクリッドクロスしはじめた。
     必死に抵抗しようとするも、それはタケシのマテリアルロッドよりはしる轟雷を高めるばかりである。
    「う、ぁっ……やめ、やめて! ボクのマテリアルロッドがっ、武器封じされちゃ……あっ、あああっ!」
     身体をのけぞらせるタケシ。内部から無数の光線が放たれる(セイクリッドクロスの技説明から引用しました)。
     タケシは頬を上気させ、息を荒くした。涙は耳の下を流れていき、冷たい土へと吸い込まれる。
     律のささやきが耳をくすぐる。
    「さいしょの一回は気持ちよかったんだよね? でもこれからは予定調和でしかないんだ。自ら望んで開くだけ。もう、最初の感覚には戻れないんだよ」
    「ぼ、ボクは……そんなの……っ」
     首を横に振ろうとした。しかし茜の熱い指が彼の顎を掴んで止めた。
     いや、彼女が掴んだのは顎だけではない。
     タケシのマテリアルロッドを包み、激しくレーヴァテインしたのだ。
     炎が熱くたぎり、燃え上がる身体。
    「快楽を得るために社会の窓を全開にするなんて、小さいわ。淫魔となって相手を魅了するなら……快楽に落としたいなら、全てさらけ出しなさいな!」
    「ぼ、ボクは……ボクは……う、うわああああああああああ!!」
     タケシは歓喜のディーヴァズメロディと共に、彼女の手へと熱いオーラキャノンをはき出したのだった。

    ●サイキックバトルは多種多様。なにもおかしなことはない。なにもおかしなことはない!
     それは光の柱であった。
     神が人へ降りたような、もしくは人が神へ至ったような。
     それは光の柱であった!
    「イイ、イイヨオ……スゴクイイイイイイイイイイイイイイイッ!!」
     完全なる『全ッ開ッ』となったタケシは光り輝くマテリアルロッドをみなぎらせ、両腕を十字架のように広げた。
     それだけで嵐が巻き起こり、弾を直撃した。
    「着ているもの? それは俺様に纏わり付くこの視線だ! ヒャーッハァー!」
     身体を十字にしたまま、物理法則を無視した動きで腰から突っ込んでくるタケシ。
    「来る!」
     激しい嵐を前に衣服を全て捨てた弾は、自らのマテリアルロッドをおっ立てて応戦した。
     二人のフォースブレイクは相殺――できなかった!
    「う、うおおおおおおお!」
     弾のマテリアルロッドが爆発。彼はふんどし姿のままその場にぐったりと横たわった。
     そこでようやく、白奈は自らの顔を片手で覆った。
    「私の中の悪魔、無垢の魂から、汚れを祓って」
     今更解除コードを言ったかのように見えるが、なあに些細な問題だ!
     中身を入れ替えたかのように一度脱力した白奈は手刀をするどく構えるとそのまま剣へと変形。タケシへと斬りかかった。
    「不快、自制心のかけらもないのかっ?」
     切り裂かれ、鮮血を散らすタケシの胸板。
     更にもう一方の手も刃へ変えると、目にもとまらぬ勢いで連続斬撃を繰り出して見せた。
    「みぎわもてつだうよ!」
     腕を異形化した汀が背後からも殴りかかり、同じく刀をくわえた蓮も飛びかかる。
     叩き込まれる拳。閃く刀。
     二人と一匹の攻撃をまともにうけたタケシは、しかし。
    「イ、イイ――タマンネェェェェェッ!」
     白目を剥いてダブルピースすると、激しいオーラを吹き出しながら果てたのだった。

     ――巻きでいく。
     公園で目を覚ました灼滅者タケシは、まず一子の顔を見た。
    「ボク、すごく小さい夢を見ていた気がするよ」
    「そうだね。これからは、もっと――」
     手を握り、歯を見せて笑う。
    「「ソーシャルウィンドウ、全ッ開ッ!」」

    作者:空白革命 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年9月23日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 10/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 12
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