わんこきねんび

    作者:西宮チヒロ

     食べるのも寝るのもだいすきだけど。
     でも、ほかのいつでもない、誕生日という日に何がしたいかと問われれば、ひとつしかなくて。
    「思いっきり遊びてーな。犬と」
     大好きな動物のなかでも、特に好きな犬。
     愛くるしくきらきらと輝く瞳。
     ぱたぱたと尻尾を振って駆け寄ってきたり、ぺろぺろと顔を舐めたり。
     一緒に思いっきり駆けた後、並んでごろり仰向けになったり。
     生まれ育った葉山や逗子では、犬を飼っている友達の家や、犬の散歩コースになっている公園や浜辺で一緒に遊べたけれど、武蔵野に引っ越してきてからはめっきり機会が減っていた。
    「なら、遊んじゃいましょう! 犬と」
    「おう! ──え?」
     あまりにもさっくりと言い切った小桜・エマ(中学生エクスブレイン・dn0080)へと多智花・叶(小学生神薙使い・dn0150)が思わず聞き返すも、少女はほわり笑顔で軽やかに続ける。
    「武蔵野市にだって原っぱくらいありますよ? 中央公園とか」
    「え?」
    「学園だってこんなに広いんですから。犬を飼ってる方もたくさんいますよ、きっと」
    「ちょ……」
    「あっ。カナくん、霊犬さんもお好きですよね? あの公園なら広いし……というか広すぎるから、一緒に遊んでても一般人の方にも気づかれませんよ、きっと」
    「おま……」
    「犬変身で一緒に遊ぶのも面白いかも。カナくんも一緒に犬変身したり!」
    「え、と……」
    「──お嫌ですか?」
     きょとんとした顔のエマに唐突に問われて、叶は思わず言葉に詰まる。
     嫌だなんてとんでもない。
     ──むしろ。
    「そりゃあ……そーできるなら勿論、すっげー嬉しーけど……」
     せっかくの休日。みんなの時間を使わせるのも申し訳ない。
     そう、年の割に我儘に不慣れな少年が言い淀んだ言葉を見越すと、エマはくすりと笑みを零す。
    「皆さんにとっても素敵な日になりますよ、きっと」
     
     みんなと、わんこと。
     のんびりとした秋空のもと、遊びにゆこう。
     緑の原っぱを、駆けたり、じゃれたり。
     遮るもののない広い空へ、凧やラジコンや、紙飛行機を飛ばしてみたり。
     風に揺れる花壇の花たち。集ったクローバーは柔らかなじゅうたん。
     疲れたら木陰で休んで、そのままちょっぴりおひるねも。

    「……それなら、弁当作ってくな。みんなの分」
     すこしでも楽しい1日になるように。
     じわりと滲み始めたわくわく感を胸に、少年は照れくさそうにはにかんだ。


    ■リプレイ

    ●もふりびより
    「八風、鯖味噌さん。……せーの、ですー!」
     晴れ渡る秋空に飛ぶ白いボールへ、霊犬2匹は全速力。何度か雪緒が繰り返していると、
    「あ、あわ、清十郎ー!?」
    「うぉおおお、って早ええええぇっ!」
     気づけば混ざる清十郎。
     お犬様ぶっちぎりの鬼ごっこの後は、いつもありがとうと毛の手入れ。ちゃっかり混ざった清十郎も、雪緒はふわり微笑み優しく撫でる。
     まさかの氷空の同行に、皐のタロウも嬉しそう。
    「ほら氷空、今日は思いっきり楽しもう!」
     笑顔の皐。くるくるとタロウを誘う伊吹を見たら我慢はしまい。
     ディスクを放って転べば2匹もぺろぺろ。遠投無茶ぶりに困り顔の伊吹。自然と零れる、幾つもの笑顔。
    「たまには、こういうのも良いな」
     ありがとな、と氷空の声に、皐はまた機会を作ろうと心に決める。
     昴の霊犬ましろよりも、一緒に遊んでいる方が楽しげなのは気のせいだろうか。
     飼い主に似て優しいいい子。いつもは見せない純粋笑顔で撫でると、陽丞は一緒にディスク遊び。凛々しく頼もしく美しく。尻尾ぱたぱた体すりすり、可愛らしい顔に思わずぎゅっ。
    「2人共、今日は遊んでくれてありがとう」
     笑顔で撫でる掌。彼が楽しそうだと、主も何となく楽しそう──だから、ましろも陽丞が好きなのだ。
     今日はぽかぽか、もふりもふられもふりあい日和。
     じゃれ合う茉莉とタローを競争へ誘うも、不動の構えのタロー様。
    「そゆときは……こや!」
     ふわふわに顔埋める希沙の腕で、素直じゃない子のうずうず揺れる尻尾に、茉莉は思わず笑みを零す。
     犬になるなら、チワワとポメのふわダブル。揃いの四葉冠に、溢れる花と希沙の写真。交わした今日のお礼に、娘達にも笑顔咲く。
     心地良い風が、腰の風鈴をちりんと鳴らす。秋晴れに自然と口許緩ませて、傍らの透へ犬変身の期待の眼差し。
    「今度、夏歩と一緒にもっふりサンドするから許してっ」
     詫びながら喚んだ霊犬は、お陽様の匂いの可愛い柴犬娘。鈴音が自己紹介がてら一撫ですれば、イケメン大好き夏歩は尻尾をぶんぶん。
     なでなですりすり。思わずはぐっ。お犬サンドに期待しつつ、「おいで」と手招いた透と一緒に、もふもふ日和を満喫する。
     サンドイッチも準備万端、たまにはと流希も犬変身。至って犬のつもりだけれど、人面犬風に見えていたらどうしようかと思いながら仲間達に混じるその傍らで、祇音の抱えたわんこが首をぺろり。
    「ひゃう!? ど、どこを舐めておる!? く、くすぐったいのじゃ!!」
     水もご飯も沢山食べて。満腹お腹でごろり、芝生で一緒にお昼寝開始。
     理想の犬を見つけた優希は、ゴールデン・レトリーバーをなでもふ。
    「……か、噛みつかれないですよね?」
    「犬、苦手だったりしたか?」
     大きなのは触るのが少し怖い愛姫。ならばと誘ったポメラニアンの手触りに、忽ち笑顔の花が咲く。
     我儘に付き合ってくれてありがとな。零す優希には首振って。私を助け、世界を広げてくれた彼へ──感謝するのは私の方。
     人は黒柴、オリキアは何かやばそうな翠色わんこ。
    「ジンー、おて!」
     どやぁな指示には従順に。一頻り遊んだら、うとうと気分で人の上にぽふん。
     犬変身なら人前でも恥ずかしくないと思っていれば、ぎゅっとされた感触は人間の腕で。
    「ジンー、ずーっとずーっと一緒にいようねー」
    「ニャー!?」
     思わず飛び出た変な声。自分も人の姿で抱きしめたいけれど、今はただ、この幸せ心地に身を委ねよう。
    「……なにこれ可愛い」
     尻尾ふりふり足許に添うパピヨンを、討真は思わず抱き上げる。
    「御凛、御凛っ。こいつ蝶みたいに可愛くてエレガントだと思わないか!?」
    「あんたはほんとにその手の好きよねぇ」
     確かに可愛いけど。ツボに入った討真へ笑み零したら、じゃれるパピヨンとハスキーを愛でつつ、のんびり彼特製のお弁当タイムだ。
     栗ご飯のおにぎりに、秋刀魚の白玉粉揚げとシメジのサラダ。暦の美味しいお弁当に、次はもう少し何か考えようと湊は心で決意する。
     視界で跳ねる犬達を眺めての、いつか飼いたいわんこ語り。
    「子供が背中乗れるくらいのでかい奴」
    「もふもふできる大きいのがいいのです」
     似合いそう、なんて思う一時が楽しくて。また一緒にの誘いに、喜んでと頷き返す。
     ナゲット、サラダ、ちくわ巻き等々。甘い卵焼きにデザートのオレンジまで揃った巴のお弁当は、男の癖にと思う程。
     片や優貴は、卵焼きに唐揚げ、金平ごぼうにおにぎり。少し焦げたり歪でも、味にはちゃんと自信ありだ。
    「……うん、美味しい」
     そう云って霊犬モモを撫でる巴の隣、ぎゅーっとしたら包まれた眠気。
     少しだけ、今だけ──思いながら、優貴はうつらと瞳を閉じた。

    ●味びより
     素敵な1日になると良いね。チセと霊犬シキテからの秋桜の花に、叶も幸せ笑顔。
     広島のご当地ヒーロー・來鯉の広島風お好み焼きブースでは、犬用のレシピも勿論用意。味もばっちり、霊犬ミッキーのお墨付きだ。
    「叶にーちゃんは人用と犬用、どっちが良い?」
    「んじゃ、両方!」
     笑う叶に、來鯉も笑顔。できたてが乗る皿を運んできたミッキーの頭を、ありがとな、とひとつ撫でる。
     犬は昔は魔除けでもあったんですよ、と語る紅緋の話にエマも興味津々。
     もふもふ遊ぶわんこ達。柔らかな芝生の緑を揺らす風に瞳を細め、さてと、と紅緋が立ち上がる。
    「叶さん。お弁当配り、手伝いましょう」
    「お! 助かるぜ。良かったら紅緋もどーぞだ」
    「では、私も後で。それにしても、よく作られましたねぇ」
     労いと、そして続く祝いの言葉にはにかめば、 メーラの面々からの祝いにもお礼と笑顔。ふわりとコーギーのロロからは、お祝いと弁当交換のお誘いも。
    「ふわりのタマゴサンド美味い……!」
    「ママがほとんど手伝ってくれたんですけど……」
     お料理できるのってすごいです。続く言葉に、叶は食べる手を止め笑顔を向ける。
    「でも、ふわりの気持ちが籠もってるんだろ? だから美味いんだと思うぜ?」
     お礼のおにぎりは、おかかに鮭に梅干し入り。唐揚げをじっと見つめるナノナノのりむりむへも、どんどん食っていーぞ、と箱ごと渡す。
    「お誕生日おめでとー! また一年、楽しく過ごそうねー」
    「ハッピードッグデー♪ 叶君、おめでとう♪」
     響斗の隣。どうぞ宜しく、とちょっと愉快な顔が魅力のパグ風庵胡が、円らな瞳に巻き尾ぱたぱたご挨拶。
     純白パピヨン姿の白は、霊犬ユキとお揃いの首輪。お似合いカップルね、と瞳は白を優しく撫でる。
    「これで他の犬とも遊んでくださいね?」
     犬用ボールを手渡す黒々は、白とユキの飼い主役。瞳の犬型クッキーを味わい眺めるも、気づけば響斗と一緒にみんな纏めてもふもふもふもふ。
     おにぎり、唐揚げ、卵焼き。響斗手製の5段重箱の1つ、肉々しいおかずのオンパレードは叶へ。
    「わんわん♪」(たんじょうびおめでとうだよ♪)
     ユキに甘えて、庵胡に戯れ、瞳と叶にじゃれつくちっちゃな白が、栗満載のカステラをもきゅり頬張った。
     よく焼いたお肉とか軽く焼いたお肉とか。味付けは塩、野菜はキュウリ。わんこと分けて食べられる、それがミカエラのお弁当だ。
    「はっぴーばーすでー! 叶も食べるー?」
    「ありがとな。じゃあ、ひとつ。……ん、肉ー! 肉ー! 塩加減さいこー!!」
     俺のもどーぞと生姜焼きを勧めれば、祝辞と共に現れた周のお弁当。あまり凝らない男子系弁当、その腕はギリギリ小学生には負けないほど。
    「凝った料理苦手なんだよなー。ぱっと作れるものの腕ばかり上達しちまう」
    「美味けりゃいーと思うぜ? エマなんて、作れるものぜんぶ珈琲関係ばっかだしな」
    「好きなんですもの、珈琲……」
     口噤むエマには苦笑浮かべ。叶は市松模様のクッキーを、幸せそうに頬張った。
     藺生の腕には、ちっちゃなハスキーに似た霊犬くー。
    「わんこって人の心を読むのが上手だよね」
    「一緒に心配たり、楽しんだりしよーとしてるみてーなんだよな」
     そんなくーも沈む心を察してくれる子。でも、甘えん坊だからもう少しキリッとして欲しい、なんて。語り口は、まるで恋人の自慢話のように。
     奏恵と桜子からも「おめでとう」の弾む声。もっともふもふに、と犬変身のプレゼント。
     奏恵は茶のポメラニアン。桜子は白の豆柴姿。青と蜜柑色のリボン揺らして突撃すれば、もふもふだよと云わんばかりの瞳やふりふり尻尾に誘われて、ハスキー霊犬・ぴー助も一緒になでなでのち原っぱへ。
     緑の上を全力疾走。ぴー助視点の近い地面。軽い身体は楽しくて、弾む心のまま駆け回る。
     大きく手を振る穂純の足許には、一緒に遊ぼうと誘う彼女の霊犬。
    「『かのこ』っていうの」
    「名前、ついたんだな」
    「うん。自然と浮かんだの」
     呼びたいと思える名前。続けてお祝いと共に現れたプレゼントは、犬のマスコットつきの一眼レフ用ストラップ。
     今日だけじゃなくいつでも遊んで。私もかのこもとっても嬉しいから。
    「これからも仲良くしてね、叶君」
    「俺の方こそ。ありがとな、穂純。かのこ」
     そう笑顔向ければ、背中にぽふんと乗ってきたラブラドール・レトリバーが耳許で一鳴き。
    「うわっ!?」
    「へへ、悪い悪い。お誕生日おめでとな♪」
     人の姿に戻った勇弥の悪戯っぽい笑顔は、犬の時とそっくり同じ。子犬のチョコレート・レトリバー『加具土』と散々駆け回った後でも構わず、駆けっこに誘う。
    「おう! 足なら負けねーぞ」
     穂純も誘いに続いたら、にまりと笑って2人犬変身。4匹揃って駆け出してゆく。

    ●じゃれびより
     ふんわり芝生は、ぽかぽか陽気を包んでほわりぬくぬく。
     ハスキーに転じた周が黒柴の叶にどーんと飛びかかり、そのまま緑の絨毯の上をごろごろ。盛り上がってきたらつい獲物を狙う目つきになるかもしれないけれど、良くある事だし気にしない!
     少年の気遣いを払拭せんと、満面笑顔の恵理。こんな楽園を、時間の損と感じる訳がないじゃない!
     黒柴叶と走って撫でて。撫でても良いかと尋ねられれば、「改めて聞かれると恥ずかしーな」と照れながらも頷く叶。
     ぎゅっと抱きしめて、耳許に添える祝いの言葉。
    「私達の方が贈物を頂いちゃいましたね? 何とも素敵な一日ですよ……えいっ!」
    「わっ、恵理……!」
     抱えてぐるんぐるんと遊んでいた叶へと、エマがつけたのは緑のチョーカー。優歌からの素敵な贈り物へのお礼をと、空色のフライングディスクを咥えて緑の芝生を駆けていく。
    「わんこわんこ!」
     犬見知りせず、ミカエラはわんこの群れに突進! お腹わしゃわしゃ頭なでなで。犬気分のまま戯れれば、陽桜もなでなでだきゅーともふもふ満喫。
    「叶は子狼みたいだねー」
    「ひおもなるー! 一緒にかけっこできょーそーなの!」
     転じたのは白くて小さなマルチーズ。わん、と誘うように吠えると、ふわもふまみれながら芝生を駆け回る。
     三ヅ星と綸太郎からの祝いと誘い。現れたディスクに尻尾ぱたぱた月白はともかく、何故か三ヅ星も瞳きらきら。
    「ミヅホはどっちが良い?」
    「もちろん競争だ!」
    「面白そーだな!」
     笑う叶に負けないからな、と猛ダッシュ! つられて綸太郎も駆け出して、皆一斉にディスクへと飛びかかる。
     勢いのまま芝生にぼふん。笑う三ヅ星と叶、嬉しそうな月白に笑み声洩らすと、感謝を添えて綸太郎は掌を差し出した。
     豆助と知和々の風呂敷包みには、宗佑と日和お手製・骨型犬型クッキーと手書きのカード。いざゆけまめちわ郵便!
    「日和隊長! 若干リーチ足りてないぽいです!」
    「何たる誤算でしょう宗佑隊員!」
     よちよち頑張る可愛い姿は思わずぱしゃぱしゃ。漸く辿り着いた白豆助を叶と知和々で黒柴サンドすれば、主も加わり連写連写!
     せーので一緒に誕生日祝い。まめちわからも小さなブーケを受け取ると、叶も尻尾ぱたぱた皆にすりすり。
     笑顔いっぱい夢いっぱい。元気で楽しい毎日を。想い詰まったカードの四隅には、犬姿の2人とまめちわ肉球スタンプがぺたり踊っていた。

    ●わんこびより
     総員出撃の黒柴軍団と、千穂の愛犬コーギー・梅太郎と霊犬・塩豆。
     「競争しようぜ舎弟」と鼻息荒い梅に、下克上阻止を息巻く瑛多だけれど、どう見ても下に見てるよね、と妹・すずめはこっそり思う。
    「すずめさんの神速、とくと見るがいいよっ」
     気合い十分、よーいどんの千穂の合図で走り出せば、
    「兄より優れた妹はいねー」
    「わわ、みんな速い、ダネ……!」
     クローバーのふかふかクッションを走る瑛多達の後に、少し遅れて続くチロル。息切らせて追いつけば、小鳥追うマイペースな塩豆に思わずぱしゃり。千穂もほわり。
     短足な梅もみんなも労っての休憩タイム。サンドイッチとお茶と、犬用クッキー。元気充電満喫したら、次は何して遊ぼうか。
     ロットワイラーの篠介に、シベリアンハスキーのアイナー。グレートピレニーズの龍二に、ベルジアンシープドッグの紋次郎。
     変身姿は秘密で集合。けれど、もふろうとして始まった全力疾走は一目瞭然。篠介と紋次郎だ。
    「ちっと背に触れただけだろが……。フライハイト、ちと助け……お前さんもか」
     龍二とアイナーのふもふタックル・全力ダイブ! いつのまにかの犬団子状態に、瞳きらきら「もふもふ楽しい!」と龍二も笑顔。
     遊び疲れたらごろり休憩。もふれずしょんぼりな篠介へは、龍二がヘソ天もふもふプレゼント。背中にもふんと乗る紋次郎の顎に、アイナーも尻尾をぱたり。たまにはこういうのもいいかもしれない。
     遊ぶ霊犬達を眺めつつ、灯倭のお菓子をお伴に木陰でのんびり。
     鳴神が美味そうに食うから釣られると添える祇音に、甘いの食べてる時さいこーに幸せだもん♪ と千代も笑う。
    「もふもふだーいぶ!!」
    「すっごく、ふかふか」
     じゃれ合うわんこ達からふわふわお裾分けを貰ったら、木漏れ日の下でみんなでお昼寝。
     一惺と千代菊にありがとうと一撫して、腕枕をした菊理へとおやすみと守護への感謝を囁く祇音の隣。枕になってくれた大事なパートナー・一惺へ、いつも共に在る感謝を添えて。灯倭もゆるり瞳を閉じる。
     シキテと色違いの真白の狼犬に転じたチセ。近い視線。触れる身体。軽やかに駆ける感覚と風の心地良さを満喫したら、宵月の仲間の周りをくるくるぱたぱた、寄り添いごろり。
     相棒であり家族であるシキテ。云わずとも伝わると思いながら、感謝と、ずっと傍にと心で願う。
     青空をゆく、白い紙飛行機。
     もたれていた空我から立ち上がった達人は、お兄さんからのプレゼントです、とマドレーヌを叶へ。仄かに届く、少年と同じ名の橘の香。
     これからの1年が君にとって良いものになりますように。
    「ありがとうな」
     いっぱいのわんこ。
     いっぱいの笑顔。
     一緒に過ごせただけで十分なのに、こんなにも胸がぽかぽかして。

     とびっきり素敵な今日は──忘れられない、わんこきねんび。

    作者:西宮チヒロ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年9月29日
    難度:簡単
    参加:56人
    結果:成功!
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