●あなたの応援が嬉しいの♪
博多は中州、提灯の飲み屋街が沢山並ぶ辺り。
夕方で、ほろ酔いの若者達が居る中……アイドル風の服装に身を包んだ女性達が、何処かの店の宣伝の如く街を歩く。
年齢としては、20歳から22歳の、ちょっと上の年齢のアイドル達。
そして彼女達は、短いスカートをくるくるまわり、ひらり……と翻す。
『……う、おお!?』
ほろ酔いの青年達が五人、それに一気に目を奪われると、ちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめる……そして、でも淫蕩に微笑んで。
「ねぇ……見た?」
『み、み、みてないみてないっ!?』
慌てて首を、手を振る男達に、彼女は。
「もう……別にいいんだよ? 私達のファンになってくれるなら、ね♪」
「そうそう……ねぇ、ファンになってくれる?」
『な、なるなる!!』
現金な青年達は、凄く頷く。そしてそれに彼女達は。
「なら、こーれ♪」
それぞれに一枚の、黒いカードを渡していく……そして耳元で、優しく。
「これで……欲望を抑え込まなくていいんですよ。そう……欲望のまま、人を殺して廻って下さいなのです。おうえんしてるのですよ♪」
と、妖艶に囁き……男達は熱に浮かされたが如く、動きはじめるのであった。
「皆さん、集まって頂けた様ですね? それでは、説明を始めます」
五十嵐・姫子は、集まった灼滅者達を見渡すと早速説明を始める。
「今回、皆さんは博多に行って貰います。博多にどうやら、臨海学校で騒ぎを起こしたHKT六六六人衆が事件を起こすようなのです」
「今回、黒いカードを持った若い男性達が、殺人事件を起こす模様です。ですが……今回の男性達は、ただの一般人ではなく、武器を持って、サイキックに似た能力を使って攻撃を仕掛けてくるみたいなんです……まさしく、ソロモンの悪魔や、淫魔の配下の如く、ですね」
「この能力が、黒いカードの新しい能力なのか、それとも別の力なのかは解りません。ですが、この男性達の凶行を止めて、黒いカードを回収してきて欲しいのです」
「尚、男性達はKOする事で、正気を取り戻すから心配は要りません」
そして姫子は、皆が相手にする相手について。
「相手にする敵の情報ですが……強化一般人が五人、となります。戦闘場所は博多は中州、屋台の並ぶ辺りです。ちなみに年代は20歳近辺の元々はサラリーマンの人達みたいです」
「とは言え……先ほども言った通り、サイキックに似た能力を使ってきます。彼らは近接して、バタフライナイフを振り回して攻撃をしてくるみたいです。解体ナイフによる攻撃……と言った方が解りやすいかもしれませんね」
「ただ元々は一般人です。体力は低いので、討たれ弱い人達ですので……皆さんが集まれば、そこまで苦戦する事は無いとは思いますよ? 油断しなければ、ですが……」
「何はともあれ、このまま殺人事件が起こる可能性を潰さないでいる訳にはいきません。皆さんの力で、罪を起こす前に彼らを倒してきて下さい……宜しくお願いします」
と、頭を下げるのであった。
参加者 | |
---|---|
水無瀬・楸(黒の片翼・d05569) |
神凪・燐(伊邪那美・d06868) |
桜塚・貴明(櫻ノ森ノ満開ノ下・d10681) |
黎明寺・空凛(木花咲耶・d12208) |
八祓・れう(先生のたまご・d18248) |
橋本・月姫(中学生魔法使い・d18613) |
アイリ・フリード(紫紺の薔薇・d19204) |
鳳仙・刀真(一振りの刀・d19247) |
●応援者達
姫子の話を聞いた灼滅者達。
九州は博多の地に現れた、アイドル風の衣装に身を包んだアイドルの様な者達に目を眩まされたサラリーマンの男達……。
そして、目が眩んだそんな彼らの手には、ファンクラブの会員証とも言うべくか、黒いカードかが握られているという話。
「黒いカード、ねー……前は六六六人衆絡みだったのに、今回は淫魔絡みかー…」
「そうですね。いや……実際には何か関連がある線も残っては居ますが……少なくとも巫山戯た事をやってるのは間違い無いですけれどね」
水無瀬・楸(黒の片翼・d05569)に、桜塚・貴明(櫻ノ森ノ満開ノ下・d10681)が肩を竦める。
確かに彼らのしている活動は、何処かふざけた活動と思われても仕方ない所ではある。
地道にアイドル活動の様な事をして、そしてファンを増やして何を為ようとしているのか……それが何に繋がるのやら。
「うぅ……そんな事はどうでもいいんです。淫魔のくせにアイドルってだけでちやほやされてずるいです、卑怯です、不平等です……絶対、いつか呪い殺してやるぅぅ……」
と、橋本・月姫(中学生魔法使い・d18613)が恨み節を紡ぐと、黎明寺・空凛(木花咲耶・d12208)も。
「全くです。本当……何をやってるんですか、我が宿敵は。私も淫魔に闇墜ちした事がありますし、人のことを言えないかもしれませんが……巫山戯た真似をして……」
ぴきぴきと、額に怒りのマークが浮かんでいる空凛……いつもは温厚で、優しい彼女なのに、今日は全く趣が違う。
「……そうですか、いつも穏やかで優しい心友の空凛がものすごく怒ってたから、何かと思い一緒に来ましたけれど……そうですよね」
「……え? 何故でしょうか?」
神凪・燐(伊邪那美・d06868)に八祓・れう(先生のたまご・d18248)が小首を傾げると、燐は少し屈んで。
「空凛は、歌が大好きで、歌に人生を傾けているの。そんな大好きな歌を、こういった形で汚されたら……怒るのも当然でしょう? あの黒いバニー服集団は、彼女にとって決して許せない筈なのです」
「ああ……確かにそうですね。私も好きな者を汚されたら、やっぱり……許せないですものね」
「ええ……」
そう燐とれうが会話してると、空凛は燐にふと顔を向けると、ちょっと申し訳なさそうに。
「燐、無理なお願いをしてごめんなさい。一緒に、頑張りましょうね」
微かに微笑む彼女、そして。
「勿論です。心友の為にも全力でこの事件、解決しますよ」
と、燐も笑顔で返す。
そしてそんな仲間達の言葉に、鳳仙・刀真(一振りの刀・d19247)が。
「力を持つとはどういう事か……籠絡されたとはいえ、それも解らず力を振り回す様では、そんなものは持つに値しない。少し、引導を渡してやった方がいい様だな」
「そうだねぇ。まぁ、黒いカードの事、ココでとやかくと考えててもしょうがないし、さっさと始めちゃおうかー」
楸も頷き、そして灼滅者達は中州へと到着。
夕方から夜になりつつある頃だが、店はもう既に数多く開店中で……とうにできあがりつつあるサラリーマン達もちらほらと見受けられる。
「あれが屋台かぁ……美味しそう……それに人も結構多い。これが博多、中州の屋台街……っていうものなんだね」
アイリ・フリード(紫紺の薔薇・d19204)が興味深そうに周りを見渡す。
でも……この人の多さは、灼滅者達にとっては面倒な事になる要因になるのは間違い無い。
「さて、と……どうする? 凶行してるサラリーマンのおっさん達をどうやって探そうかー?」
「そうですね……でも、先にまずは、ここに居る人を出来る限り減らしたい所です……アイリさん、アレ、使って貰っても宜しいでしょうか?」
楸に、空凛がアイリへ……こくっ、と頷き、アイリが。
「え? ……そうだね、人の数を減らすには、これが最適だろうしね。それじゃ……行くよ」
と言うと共に、殺界形成を纏う。
可愛げな少女の姿……それに対し、飲み屋でのんでるおじさん連中が、一人、また一人……ぱらぱらと帰り始める。
とは言え深く酔っ払っている様なサラリーマングループとかは、気が大きくなっているのもある様で……帰ろうとしないのも居るけれど。
「仕方ないですね……出来る限り、そういった人が居る所を避けるようにして、皆さんで手分けして探す事にしましょう」
貴明の言葉、皆もそれに頷き……そして灼滅者達は、4グループに別れて、中州を歩き始めるのであった。
●目眩まし応援に
そして灼滅者達は、中州の街中を歩く。
空凛と燐の二人、アイリと貴明、月姫とれう、そして楸と刀真。
見つけたいのは、凶行を働こうとするサラリーマン五人グループ……当然そんな凶行をやろうとすれば、周りも騒ぎ立てる訳で……すぐに見つかると思っていた。
……時間にして、小一時間。
夕闇が、すっかり暗闇に変わり始める頃になる……殺界形成の効果も次第に浸透してきて、中州を訪れる人数も中々少なくなってきている。
そして、発見したのは……楸と、刀真のペア。
「……ん?」
ほんの僅か、聞こえてきた荒ぶる声。
その声の方に視線を向けると……悲鳴が聞こえる。
『へへへへ……ころすぜー、ころすぜぇええ!!』
そしてその悲鳴と共に、男達の荒々しい声が聞こえてくる。
急行しながら、刀真が呼び笛で仲間を呼び寄せる。
……そして、楸、到着すると共に。
「ほい、はっけーん! はいはーい、酔っ払いが暴れてて危ないから、みんなちょっと離れててねー!」
殺界形成を使用しながら、周りに居る人達に避難指示。当然凶行に走っているサラリーマンらの動きも相まって、一般人達は早々に逃げようとしていく。
そして、逃がそうとする灼滅者達の動きにサラリーマン達は。
『じゃま、するなぁぁ!!』
と、狂気の目になりながら、その手の解体ナイフを振り回す。
容赦の無いその太刀筋……その攻撃を、スレイヤーカード解放と共に、ディフェンダーポジションをとると共に、防御。
肉に食い込む刃……ズキズキとした痛みが身を蝕む。
「っ……痛いな」
「大丈夫ー? 皆合流するまでちょっと頑張ってくれな?」
「ああ、解った」
楸に頷きながらも、刀真は五体の攻撃を出来る限り交し、ダメージを出来る限り下げるように動く。
更に、サラリーマン達の動きに。
「うっわー、酒臭っ! ちょっ、近寄んないでー。もう酔っ払いってだけでもウザいのに、手間かけさせないでよねー」
と、多少挑発の言葉を搦めて、刀真への攻撃を少しでも減らそうとする。
そして2ターン目……仲間達が合流。
『増援!? ほー、でもいい、殺すー!!』
『そうだそうだー、ころすー!』
狂気の言葉……月姫はそんなサラリーマン達に。
「うぅ……淫魔アイドルに現を抜かしているような連中のくせに、とっても仲がよさそうです……ちょっと悔しいので、その仲……引き裂いてあげますよ……」
と、少し暗い笑みを浮かべて、スレイヤーカード解放。
他の仲間達も合流するなり。
「さて……いささか迷惑ですので、容赦無く殴らせて頂きますよ!」
燐の様に、スレイヤーカード開放の言葉を口にして構えたり、霊犬を呼び出していったり。
前線のクラッシャーに楸、アイリ、対しディフェンダーに燐、刀真と、空凛の霊犬、絆。
その二重前衛が、サラリーマンに直接対峙すると共に。
「それでは、始めますよ……月姫さん、連携して行きましょう」
「ええ……解りました……」
貴明、月姫のジャマーコンビは、連係し……貴明が除霊結界、それとは別のターゲットに向けて、月姫が制約の弾丸でパラライズを配布。
バッドステータスを配り、弱体化した敵の内、ターゲットを一人空凛が。
「そこの左舷の相手を先ずは狙いますよ!」
「おっけー」
楸が頷き、そいつにティアーズリッパーで服破りを付与すると、刀真も。
「……喰らえ」
と、抗雷撃で電撃攻撃。
そして、燐はソーサルガーダーで刀真に盾を付与しつつ、空凛の霊犬、絆は斬魔刀で攻撃を嗾けていく。
更に空凛は、シールドリングで前衛陣を一人一人盾を付与していく。
……そして、れうは。
「さて……上手くいくか、解りませんけど、やってみますよっ……!」
と、真っ直ぐ……パラライズの効果が及んだ敵へ、リングスラッシャー射出。
狙うは手で、武器を落すことを期待したのだが……リングスラッシャーは敵の身体を傷つけるのみで、手を集中敵に狙うのは、元々部位も小さい故に中々難しい。
その次のターン、更に次のターンも狙うが……思った以上にそのターゲットを手に集中させるのは難しく、ダメージだけは与えられていく。
「っ……中々難しいですか……」
「その様ですねっ……」
れうに空凛が頷く。
「となれば……やるべき事は一つ、出来る限り早急に敵を倒すこと……のみですね」
「ええ……れうさん、メディックは私に任せて下さい!」
「解りましたっ!」
ぐっと拳を握りしめて、今度はディーヴァズメロディで催眠を付与。
貴明、月姫とターゲットを出来る限り集中させて、バッドステータスをどんどんと積み重ねていく。
次第に弱まっていく強化一般人……ナイフを振り回し、どうにか反抗をしようとするのだが、数の上でも5対8……個々もそこまで強力な個体という訳ではないので、戦況はこちら側に優位になりつつある。
その優位さに、少しくすり、と微笑む月姫。
「うふふふ、どうですか? 身体が動かずに仲間が倒されていくのを、何も出来ずにただ見過ごして行くしかない状況……大丈夫です。貴方もすぐ、後を追って貰いますから」
そんな月姫の言葉に、強化一般人は僅かに怯む……でも、衝動は抑えきれず、更に解体ナイフで暴れ回る。
だが、その攻撃は空凛と絆、貴明の霊犬、無天さん達でそれぞれが回復を施していく。
「まったく……さぁさぁ、サラリーマンさん達、お仕事は終わりの時間だよー」
アイリがヴァンパイアミストを放つと、楸も。
「ほーら、さっさと寝ちゃいなー」
とサイキック斬りを連打。
刀真も縛霊撃、抗雷撃を交互に打ち出しながら、命中率が低くならないよう注意していく。
……そして、バッドステータスを一通り通し終えた七ターン目。
「さて……それでは一気に攻勢へと回る事にしましょうか」
貴明の言葉に月姫もくすくす笑い、DCPキャノンを撃ち出し、貴明は導眠符で動ける数を減らす。
そして減らした後は。
「まったく、上司の叱責とこれ、どっちが効くかな? ……どっちも、痛いだろうけどね」
とアイリの百烈拳が、一番弱っていた強化一般人に決まると、一人KO。
残るは四人……大量のバッドステータスに蝕まれた身体は、満足に動けるようなものではなく……楸のサイキック斬り、刀真の抗雷撃で一人、また一人……と倒れていく。
そして、戦闘開始から12ターン。
最早立っているのは残り一人……どうにか対抗しようとするが、既に灼滅者達の気合いは十分。
「ふふふ……天罰ですよ。うつつを抜かしてるような貴方達は……倒れなさい」
と、月姫の虚空ギロチンがその身体に命中……最後の強化一般人は、断末魔の叫び声を上げながら倒れるのであった。
●嘘に紛れて
「……ふぅ……と、燐、大丈夫ですか!?」
「ええ、空凛こそ大丈夫? 怪我してない?」
「うん、大丈夫……よかった、お互いに怪我無いみたいで、ね」
空凛と燐の二人が互いを心配し合い、ほっと一息。
そして、倒れたサラリーマン達の下へ……完全に伸びていて、当分は目を覚ましそうにはない。
その手に持っていた、黒いカードを手にする……本当、真っ黒で、何処か禍々しい感覚を受ける。
「これが黒いカードかぁ……んー、なんかこれってスレカの劣化班というか、改悪版と言うか……とりあえず、同じような技術が使われているって感じだねー?」
それに根拠は無いけれど……手に持って感じた禍々しい気配からして、そんな気がする。
そして倒した5人分、全部の黒いカードを回収すると……頬をパチ、パチと叩いて。
「おーい、いい大人ー。起きて、起きろー。いい大人なのに、記憶を飛ばすまで飲み過ぎるだなんて、いくらなんでも酔っ払い過ぎだよー?」
と、楸が頬を叩いてたたき起そうとする。
だけど……中々起きない。もう、完全に伸びている様で。
「……ったく、しかたないなー。どうする、ここにほっぽっとくと何かありそうだし、人目に付かないところまで運んどく?」
楸の提案に、刀真が。
「……そうですね。まったく……仕方ない。貴明も、手伝ってくれますか?」
「ええ……分かりました」
溜息をつきつつ、男性陣三人が、強化一般人五人を、中州の橋の影まで背負って運ぶ。
そして橋のたもとに凭れかけさせるように座らせて。
「……さて、と……ちょっと時間も遅いし、後は自由行動って事でいいかなー?」
「そうだね……博多、折角来たんですし、ちょっとは楽しみたいし、ね」
と、楸の言葉にアイリも頷き、そして。
「では皆さん、余り遅くならないようにして下さいね? 博多まで来て、興奮する気持ちも分かりますが、羽目を外したらダメですからね?」
という燐の忠告に皆も頷き、そして灼滅者達は博多の街に繰り出すのであった。
作者:幾夜緋琉 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年9月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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