紅き悪魔の零落

    作者:天風あきら

    ●そして終幕は上がる
     大きな窓から射しこむ光。
     その両脇には、本がぎっしり詰まった本棚が並ぶ。
     窓の反対側には両開きの扉。
     どうやら簡単な書斎のようだったが、普通の書斎にないものが絨毯に染みこんでいる……紅い紅い魔法陣。強化一般人だったものの残骸は既に片付けられていたので腐臭はしなかったが、それでも死の臭いが、漂う。
     そして、その部屋の主たる者が座するはずのデスクと椅子。そこに深々と腰掛けていたのはソロモンの悪魔、レヒト・ロートだった。
    「さーって、次は何をするか……」
     思案しながら回転椅子でくるくると回る。その仕草はどうにも子供っぽい。
     今までの作戦は、悉く邪魔されてきた──主に、武蔵坂学園の灼滅者如きに。
     レヒト自身、ソロモンの悪魔としてはあまり頭の回る方ではない、と自覚していた。しかし、ここまで虚仮にされて黙っているのも如何なものか。それに──。
    「おい」
     彼が少し大きめの声で人を呼んだ。しかし反応はない。
    「──おい、誰か」
     若干声を張り上げても、何の反応もない。
    「誰かいないのか!?」
     痺れを切らして立ち上がり、扉を開けて叫ぶ。しかし、やはり返事はない。
     一階の書斎から出てリビング、台所。二階の個室がいくつか。
    「おい、仙道!? 二宮、マルゲリータ!」
     残った部下は、そう多くはない。しかしそれは温存していた、最後の懐刀と言ってもいい。しかしその腹心の部下たちが……誰も、いない。
    「北野、グスタフ、杉下、ミネルヴァ、一之瀬……!」
     部下達の名前を呼びながら、地下室へ。しかし、ワインセラーも兼ねたそこを見て、レヒトは愕然とした。
    「何、だと……!?」
     そこにはワインのボトルが数本のみ……保管されていた、魔術的な道具が何一つ、残っていなかった。
    「まさか……奴らが持ち逃げしたのか!?」
     レヒトはその場に膝をついた。突然の、あまりの出来事にしばらく声も出ない。
    「……くくっ」
     しかし、それでも地を這うような笑い声と共にレヒトはゆらりと立ち上がる。
    「成程、これが『裏切り』……嗤わせてくれるじゃねぇか、この絶望感!」
     そして真紅のマントを翻す。
    「仇敵には報復を、裏切りには粛清を! それでこそダークネスらしくあるというものだ!!」

    ●好機
    「皆、集まったようだね」
     篠崎・閃(中学生エクスブレイン・dn0021)は、いつものように集まった能力者達を見回した。
    「どうやら、ソロモンの悪魔、レヒト・ロートの陣営に動きがあるみたいだ」
     ピン、と張る緊張感。
    「それが……レヒトが、部下の強化一般人達に裏切られて逃げ出されるみたいでね。彼女の拾ってきた情報で、未来予測がより鮮明になった」
     と、閃の後ろから枸橘・水織(見習い魔法使い・d18615)が現れ、ぺこりと頭を下げた。
    「どうも強化一般人達の動きが不自然で……前回、レヒトの部下達を捕まえた時に尋問してたら、レヒトを信用しきれてない人も、ちらほらと」
     大部分はレヒトに心酔してたけどね、と肩をすくめる水織。
    「で、だ。レヒトは前回事件を起こした町の近郊、山を分け入った中にある山荘の一つを占拠して、アジトにしている」
     黒板に簡単な地図を描く閃。それによって記された道は単純で、基本的に迷うことはないだろう。近くに他の民家もない。
    「レヒトと強化一般人達は、アジトからそう遠くない……このあたりで接触し、戦闘となるだろう」
     閃は皆に向き直り、両手を使って八本の指を立てた。
    「離反するのはレヒトの手勢である強化一般人が八人。武装は解体ナイフとガンナイフが三人ずつ、契約の指輪を嵌めたのが二人。レヒトは彼らを信頼して、強力かつ目立たない武装を与えていたみたいだね。……これはもしかしたら、の話なんだけど」
     と前置いて、閃は迷いを振り切って口を開いた。
    「上手く強化一般人達と協力できれば、レヒトを倒す好機となるだろうね。でもレヒトを倒した後は強化一般人達とも戦わなきゃならない。出来るだけ、皆が消耗しないように倒せるのが最良だけど……」
     そう上手くいくかどうかが問題だ。それに。
    「強化一般人達だけに任せておくと、十中八九逃げられる。でも、全力でなければレヒトは倒せないだろうね……それに下手を打つと、強化一般人達も思い直してレヒトの指揮下に入ってしまう可能性も否定できない。そして……その辺の駆け引きに気を取られすぎれば、レヒトを倒すことは出来ないだろう」
     閃は思案するように腕を組む。
    「難しい依頼だとは思うけど……皆の力を合わせれば、決して負けない。そう、信じてるよ」


    参加者
    駿河・香(ルバート・d00237)
    殺雨・音音(Love Beat!・d02611)
    メフィア・レインジア(ネクストドア・d03433)
    黛・藍花(小学生エクソシスト・d04699)
    遠野森・信彦(蒼狼・d18583)
    枸橘・水織(見習い魔法使い・d18615)
    船勝宮・亜綾(天然おとぼけミサイル娘・d19718)

    ■リプレイ

    ●山中での遭遇
    「──見つけたぜ」
    「……ひっ……」
    「レヒト様……!」
     魔術道具を抱えたまま、後ずさる強化一般人達。その視線の先には、山荘から追って来たレヒト・ロートの姿があった。鋼糸でひゅんひゅんと風を切り、邪魔な枝葉や樹を切り倒す。
    「それを持ち出して黙って逃げたってことは、どうなるか……わかってのことだろうな」
    「……もちろんです」
    「このままでいて、私達の命が危ういのは、貴方の下にいても、貴方に裏切りを悟られて追われても同じこと」
    「ならば我らは、あえて貴方に背を向ける!」
    「例え貴方に殺されることになっても……」
    「私達は、私達の生き抜く道を探します」
     レヒトは思案気に手を尖った顎に当てる。
    「ふむ……。仙道、お前も同じ意見か?」
     最後まで口を閉ざしていた、強化一般人達を導くように一団の先頭にいた男が、ゆっくりと頷く。
    「レヒト様……残念ながら、ここが我々の別れの地です」
    「つまり、俺と戦うことも辞さないと」
     仙道と呼ばれた男はゆっくりと頷いた。恐らくは彼がリーダーなのだろう、他の面々も決意の表情で頷く。
    「そうか……ならば受けるか、裏切りの粛清を!」
    「皆、全力でかかれ! レヒト様は我らが主と定めしソロモンの悪魔!! 生半な覚悟では生き延びられんぞ!」
     レヒトと仙道の声を合図に、八人の強化一般人と、たった一人のソロモンの悪魔の戦いが始まった。

     その直後、八人の灼滅者が木陰に潜み始めた。静かに息を殺し、戦場の様子を窺い、じっと機を待つ。
     戦闘は、案の定レヒトに有利に運ぼうとしているようだった。既に男女二人が地に伏している。
    「杉下、北野……お前達も尊い犠牲となるだろう」
     漏れ聞こえてくるレヒトの声。
    「さぁ、次はお前か? ミネルヴァ」
    「うぁ……!」
    「……今よ! 『Ready Go!』」
     駿河・香(ルバート・d00237)の解除コードに合わせて、灼滅者達は一斉に飛び出す。素早く展開し、戦場を包囲するように。サーヴァント三体を含めれば十一人。小さな戦場を包囲するのに、苦労はなかった。
    「!?」
    「まさか……このタイミングで灼滅者?!」
    「へぇ……面白いじゃねぇか」
     あからさまに動揺する強化一般人達、一人余裕で笑うレヒト。
    「……こんにちは、貴方がレヒトですね、愚かなソロモンの悪魔……」
     無表情でありながら、声には憤りを滲ませる黛・藍花(小学生エクソシスト・d04699)。
    「確かに、俺は暗愚の主だった。だからこそ、やり直すチャンスを求めているのさ」
    「『やり直す』?」
    「そう。……お前達、大人しく俺の配下に戻る気はないか?」
     ざわめく強化一般人達。
    「今までのように身近に置くわけにはいかないかもしれないが……お前達には、色々と便宜を図ってやってもいい。粛清するにしても、命までは取らん」
    「待て! 俺達の目的はレヒトの灼滅だ!!」
     強化一般人達の動揺を抑え込もうとするように、遠野森・信彦(蒼狼・d18583)が叫んだ。
    「そう他人を惑わして破滅させるのがいつもの手口。レヒトの言葉に乗った者がどうなったかみんな知らないわけじゃないよね」
    「貴方達は『裏切り者』。そしてレヒトがどのようなダークネスであるかはあなた達が一番ご存知でしょう?」
    「今倒さないと死ぬまで恨まれますよぉ」
     メフィア・レインジア(ネクストドア・d03433)と、コルネリア・レーヴェンタール(幼き魔女・d08110)、船勝宮・亜綾(天然おとぼけミサイル娘・d19718)がそれぞれに強化一般人に声をかける。
    「今の状況でレヒトの元に戻ったら、最悪、どうなるでしょうね?」
     最悪はもちろん……死。だが、もしも……。
    「いいの? ……先が無いと思って見限ったんじゃないの? ……ここで戻っても殺されるか? ……遅かれ早かれ他の誰かに潰されないかな?」
     枸橘・水織(見習い魔法使い・d18615)も説得の言葉を重ねた。
    「此処でレヒトを逃がせば今後お前達は狙われるだろうよ。例え戻っても裏切りには粛清、ただで済むはずがない。お互い、レヒトへのケジメを付けようじゃねぇか」
     信彦の更なる説得。
    「ネオン達はレヒトちゃんを倒すのが何よりの目的! 元配下ちゃん達にもモチロン痛い目には遭わされてきたけど、その元凶はこのヒトだからっ」
     殺雨・音音(Love Beat!・d02611)の台詞に、強化一般人達が顔を見合わせる。
     いつの間にか、レヒトの笑みは消えていた。
    「……それで、お前達はともかくとして、こいつらにはどんなメリットがあるんだ?」
    「……!?」
     こんな風にレヒトが笑みを消す時。それは──彼が、奸計を弄する時。
    「強化一般人を元の一般人に戻す方法でもあるのか? それがなければ、灼滅者であるお前達はやはりこいつらも殺すしかないだろう。それとも、見逃すのか?」
     そこが、今回の説得で一番、突かれてはいけない所だった。
     極論と言えば極論。しかし最終的には強化一般人達にとって、どちらも変わらない──待っているのは『死』。レヒトに与すれば、いつか死は訪れる。ならば……どちらがより、隙をついて逃げ出しやすいか。
     それを勘考して、やがて強化一般人達はレヒトにナイフやガンナイフの切っ先を向けた。心なしか、その切っ先がかたかた震えているように見える。
    「……成程。それがお前達の答え、か」
     レヒトはにぃぃ、と普段の笑みを取り戻した。決して回りの良くない自分の頭脳だ、策を用いても上手くいかない事もある。
     だが、それが面白い。──命を賭けるに値する。
    「いいぜ……纏めてかかってこいよ!」

    ●武闘派の意地
     戦場には、結界のように張り巡らされた鋼糸が灼滅者達、強化一般人達の行動を阻害していた。
    「喰らいなぁ!」
     そしてレヒトが自由になっている左手から、強化一般人達の中心に凄まじい冷気を発生させる。共闘体制を取っていた灼滅者の一部も巻き込んで。
    「きゃああっ」
    「ぐっ……」
     強化一般人の中で二宮と呼ばれていた女が倒れた。その手から解体ナイフが零れ落ちる。所詮は強化一般人、ダークネスに対抗するには束になっても力不足だった。
    「何やってんの! 死にたくなけりゃこいつ殺すしかないでしょ!」
     怯みかけた強化一般人を鼓舞する香。同時に両手で集束したオーラを放ち、レヒトを追い詰める。
     続け様に信彦が妖の槍で螺旋状に穿ち、レヒトの脇腹に傷を刻む。
    「知ってる奴が居ると気が引き締まるもんだな、負けてらんねぇや」
     目くばせする香と信彦。
    「ちっ……流石にこの数は……」
     冷静に戦況を見わたすレヒト。そろそろ逃走の手掛かりが欲しかったが、生憎と樹木の間は灼滅者達に押さえられていた。樹を切り倒して道を作っても良かったが……。
     レヒトは口角を上げる。
    「いいねぇ、面白い!」
     窮地さえも、レヒトは楽しんでいた。
    「そんなこと、言ってられる場合かな~っ!」
     音音がすかさず彼の鳩尾にマテリアルロッドを叩き込むと、同時に流し込まれた魔力が体内爆破を引き起こす。
    「がはっ」
     喀血。しかしレヒトの笑みは崩れない。口元からぽたぽたと血を落としながらの笑顔は、正直不気味だった。
    「終わらせましょう、この愚か者達の騒動を……」
     藍花が伴う、彼女と瓜二つのビハインドと共に、藍花は一歩下がって己の周りに浮遊するリングをレヒトに向かって飛ばした。同時にビハインドが霊撃をレヒトに撃ちこむ。
    「くくっ……」
     苦悶を笑い声に変えるレヒト。もう、この男の心は壊れているのかもしれない──ダークネスが、そういうものであるのかはわからないが。
    「レヒトくんは、姑息な手と思うかもしれないけど、ボクだってレヒトくんが馬鹿では無い事くらい解る。その強さに敬意を払い、正々堂々卑怯にやるよ」
     強化一般人さえも利用しての状況に思う所はないわけではない。だがメフィアは、それでもこの道を突き進むことを決めた。目的のために。
    「はっ、別に姑息とも卑怯とも思わねぇさ。利用できるものは限界まで利用する、その考え方は俺達ダークネスに通じるもの、だがな」
    「……それでも、ボク達と君達は違うのさ」
     彼女の障壁が信彦の前に展開され、傷を癒す。
    「貴方のような方は、出世できませんね」
     と、コルネリアが言い放つ。
    「そうかな? これでもアモンの陣営では幹部クラスだったんだが」
    「所詮そこ止まりってことですよ」
     コルネリアの言葉と同時の一撃は、ただでさえぐちゃぐちゃにされていたレヒトの内臓を更に掻き乱す。
    「ぐふっ」
    「ふぃーばー! 頼みますよ!」
     ナノナノのふぃーばーはコルネリアに応じ、ふわふわとハートを飛ばして音音の傷を癒す。
    「ありがと~♪」
    「よくやりましたね」
     音音の礼と、コルネリアの労いに、ちょっぴり得意げになるふぃーばー。
    「配下をを大事にしない人の末路なんてこんなものね……みおが悪魔なら、みおを盛り立ててくれるなら、ちゃんと優遇してあげるかもしれないのに……」
     水織の不穏な一言と共に発せられた風は、言葉とは裏腹に清浄なもので、前線を維持する仲間達を癒していく。
    「ふにぃ、十時間しか寝てないのでぇ眠いのですよぉ。烈光さん、後は頼みましたぁ」
     と、ふらふらし始める亜綾に、霊犬の烈光は慌てて彼女を支える。
    「……ん~、じゃあ、行きましょうかぁ」
     と、渋々ながら起き上がった亜綾は、メフィア目がけてやはり障壁を展開させ、守りを固める。「ありがとう」と視線で振り返るメフィアに、亜綾は手を気だるげにひらひらと振った。
     烈光もまた、清められた眼差しによってやはり前線を癒す。
    「──我々も、行くぞ。これ以外に生き延びる方法はない」
    「……はい、仙道さん」
     強化一般人達も、動き出した。レヒトに詰め寄り、解体ナイフの無軌道な太刀筋が、敵を追尾する銃弾が、動きの制約を与える魔法弾がレヒトに突き刺さる。
    「く……」
     ここまでなのか。……いや。
     レヒトの笑みが深くなる。
    「これが最後だ、喰らえ!」
     と、レヒトが冷気を発生させたのは強化一般人達の只中。
    「きゃぁああっ」
    「うわぁ!」
    「あぁぁぁ……!」
     前衛に立っていた三人がその一撃をもろに受け、倒れる。残るは後衛で、契約の指輪を嵌めた二人のみ。
    「ひっ……」
    「くっ」
     悲鳴を上げかける二人、強化一般人を先に狙う卑怯さに表情を歪める灼滅者達。
    「どうせならなぁ、一緒に地獄に落ちてもらうぜ」
    「悪魔にも『地獄』なんて概念があるのですか?」
    「さぁな。だが俺達の魂が……何処へ向かうのか。興味はある。それを見届けられそうにないのは……残念だがな」
     レヒトは既に死期を悟っている。だがそれでも笑っていられるのは、ダークネスという異常者ならではなのだろうか。
    「いいか、一つ忠告しておいてやる」
    「?」
     レヒトが指を一本立てて、灼滅者達に話しかけた。
    「お前達は自分が『正義』だとか考えているようだが……実際はそうじゃない。ダークネスに支配されているこの世界で、『正義』なんて大義名分は支配する側のダークネスにあるのさ」
    「……!」
    「ま、それでも『正義の味方』を名乗りたいなら……のし上がって来るしかないな」
    「……自分の分際を計り違えた、それは貴方でしょうか、彼らでしょうか、それとも私達でしょうか?」
    「……誰でもないんじゃねぇか? ただ、皆ちょっとずつ欠けてただけさ」
     藍花の問いに、肩をすくめて見せるレヒト。
    「ま、どれにせよ……楽しみにしてるぜ、お前達がどんな道を進むのか──楽しみだ。さぁ、来い!」
     レヒトが両手を広げて待ち構える。
    「……行くわよ、信彦くん」
    「おうよ、香」
     彼へ向かって、香の銃の形をとった指の先から魔法の弾丸が撃ち出され、信彦が体中から蒼い炎を噴き出させて妖の槍に宿し、叩き付ける。
     すると……レヒトは、仮面を被っている右半分の顔を隠したまま、残る顔を笑顔で仰向けに倒れた。その顔には、一片の悔いも見当たらなかった。それが灼滅者達には悔しい。
    「せめて犠牲になった人々の冥福を祈ってくれたなら……さようなら、永久に」
     コルネリアの呟いた言葉が、風に流れた。

    ●激闘の末に
     残ったのは強化一般人が二人。力を捨てさせる手段もない以上、彼らも倒してしまうしかない。あまり気は進まなかったが、灼滅者達は二人に刃を向ける。
     亜綾が小型LEDをバラまき、デコイとして使用。更に「必殺、烈光さんミサイル、なのですぅっ」と烈光を掴んで敵にぶん投げ、烈光は仕方なく斬魔刀で一撃を浴びせたり。
     「仕方ないね」と言いながら、メフィアも強化一般人が戦闘不能になるまで叩きのめしたり。
     更に音音が「今回は特別にぃ~! ネオンちゃん☆パンチをお見舞いしてあげちゃうぞ♪」と異形巨大化させた腕でべちんと叩いたり。
     元々弱っていた後衛の二人は、それらで呆気なく沈んだ。

    「みお……闇堕ちしてないよね?」
    「え?」
     どうも、戦闘中に水織が放った言動が、ダークネスに近いほど無慈悲だったのではないかと危惧しているようだった。しかし彼女はこうして、未だ灼滅者としてここにいる。
    「大丈夫。──さて、レヒト退治もちゃっちゃと片付いたことだし、さっさと帰りましょ」
     香は水織の不安をわざと軽く明るくいなして、皆を促した。
     最後に藍花が戦場跡を振り返ると、そこには壮絶な死闘の形跡が残る。死して尚、レヒトと共にあるのは強化一般人達にとって不幸だろうか──それを聞くことが出来ないのが、少し残念だった。

    作者:天風あきら 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年10月13日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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