深い暗闇に包まれた木々の迷路。その間に冷たい風が吹き込む。
そこは富士の樹海。木々と闇に閉ざされたその場所に、白い物が土から覗いて見えた。
それは人の形をした白骨死体。二度と動かぬ骸に、天から一筋の光が射す。
「恨みに満ち満ちし自死せし屍よ。その身に宿す業をこの私に見せるのです。さすれば、その身に不死の力を与えましょう」
どこからとも無く声が響く。その声に起こされるように、白骨が喋り出した。
『信じてたのに……約束したのに……どうして、どうしてなの!』
女性の叫び。その声には怨嗟の念が籠もっていた。
『愛してたのに、愛してたのに、愛してたのに!』
狂ったように女の声が大きくなっていく。
『他の女と結婚するなんて許せない! 殺してやる殺してやる殺してやるぅ!』
憤怒と共に骸骨が動き出す。その骸骨の左薬指には、薄汚れたダイヤの指輪が鈍く輝いていた。
「やあやあ、みんな集まってくれてありがとう」
能登・誠一郎(高校生エクスブレイン・dn0103)が集まった灼滅者に向かって、早速説明を始める。
「実は富士の樹海で強力なアンデッドが現われるって情報を、長月・紗綾(暁光の歌い手・d14517)が掴んできてくれたんだよ」
そう言って誠一郎は詳細を話し出す。
「予測が正しいなら、白の王セイメイの仕業である可能性が高いよ。その力で生まれたアンデッドは、ダークネスに匹敵する程の戦闘力を持つんだ」
セイメイの力を得たアンデッドはそのまま樹海の奥に潜んでいるという。
「今すぐに被害を出すわけじゃないけど、敵の戦力が整うのを待つ訳にはいかないよね。急いで樹海に向かって、アンデッドを退治して欲しいんだ」
このままでは、アンデッドの一群が樹海に誕生してしまう。
「今回みんなに倒して欲しいのは女性のスケルトンだよ」
敵は1体。だがダークネスに匹敵する存在だ。眷属と同じと思っては危険だろう。
「どうも婚約者に振られ、自棄になって自殺してしまった人みたいだね。少しでも早く苦しみから解放してあげたいね」
相手はもう死んでしまっているのだ。これ以上現世での苦しみを長引かせる事はない。
「樹海は暗いし迷いやすいから、気をつけてね」
電灯も何も無い場所だ。何かしらの備えがあるほうが安心だろう。
「せっかく眠っている死者を起こして、生前の苦しみをもう一度与えるなんて酷い話だよね。みんなで敵の企みを阻止して、死者に静かな眠りを与えてあげて欲しい。お願いするよ」
死者になってもまで利用される女性の救われなさを思い、悲しそうな表情で誠一郎はそう告げた。
参加者 | |
---|---|
天祢・皐(高校生ダンピール・d00808) |
葛城・百花(花浜匙・d02633) |
聖・ヤマメ(とおせんぼ・d02936) |
御盾崎・力生(ホワイトイージス・d04166) |
神木・璃音(アルキバ・d08970) |
カリル・サイプレス(京都貴船のご当地少年・d17918) |
赤節・将春(月・d19789) |
廻時・流季(遷ろう時の狭間・d21465) |
●樹海の奥
一寸先は闇。そんな何も見えない、深い闇に包まれ閉ざされた富士の樹海。
一歩踏み出すにも苦労しそうな、整備されていない道。
だがそんな悪路を歩く少年少女の姿があった。
「ちょっと張り切りすぎたかな。3日は過ごせる装備だ」
ミリタリー服を着た御盾崎・力生(ホワイトイージス・d04166)の背には、どんな事態にも対応できるよう大きなバックパックが背負われていた。
「死体を漁って手駒にするなんて趣味が悪いわね。挙句の果てにダークネス並に強力だって言うんだから性質まで悪いわ」
ランプを腰に吊るした葛城・百花(花浜匙・d02633)が足元を照らす。
「諸々気に入らないし、さっさと片付けてしまいましょ」
「そうだな、夜が明ける前には終わらせよう」
百花と力生は迷う事無く草木の覆い茂った道無き道へ踏み入れる。すると植物が自然と左右に分かれて道を作った。そうして出来た道に仲間達が続く。
「スケルトンですか。全く、次から次へと事件を起こしてくれますねぇ」
「樹海って恨みとか持った人多そうですもんね」
そんな愚痴を吐きながら、天祢・皐(高校生ダンピール・d00808)は無造作に生えた草を踏みしめて進み。隣を歩く神木・璃音(アルキバ・d08970)は表情を変えないまま相槌を打つ。
「兎に角、無理矢理叩き起こされた彼女を眠らせてあげましょ」
そう言って璃音は前を歩く仲間に追いつくように速度を上げた。
「……自棄になって自殺、か。相手も相手だが、死んでしまっては復讐も何もできないだろうに。俺も人のことは言えないか」
そう言って赤節・将春(月・d19789)はちらりとビハインドの夕兎を見た。
「富士の樹海は自殺の名所と申しますけれど」
樹海の深い闇夜を見通すように、聖・ヤマメ(とおせんぼ・d02936)はランプで照らす。
「永遠の愛も誓いも自ら汚し風化させて、恨みだけで存在するのはせつなくむごい」
だからせめてもう一度静かな眠りに導こうと、ヤマメは心を決める。
「例え憎しみとは言え……死者の想いを利用するなんてね」
かつて同じ事を親友にした廻時・流季(遷ろう時の狭間・d21465)は、その時の想いを思い出し苦みに耐えるように俯いた。
「ずっと苦しいのはダメなのです! 女の人を救うのはしんしの役目。ぜったい、助けるのですよ!」
握り拳を作り、カリル・サイプレス(京都貴船のご当地少年・d17918)が元気良く歩を進める。
その元気な声に流季も頭を振って思考の渦から抜け出し、手にした地図に集中する。
地図には事前に聞いていた敵が現われる地点が記されている。そして自分達の現在位置もESP能力によって把握出来ていた。
「もうすぐ目標の場所だよ。みんな準備はいいかな?」
振り返り確認する流季の言葉に、灼滅者は戦いの準備を確認して頷く。
敵の居る深い森の奥へと入り込む。
●死者の狂気
深い森の奥、日中でも光が草木に遮られるような場所。そんな全てを包む暗闇の中、一筋の月光が地上を照らす。少し開けたところにそれは居た。
真っ白な細い手足。肉は全て失われ、欠けるところのない白骨死体が月を見上げて立っている。その骸骨から呪詛の言葉が漏れる。
『愛してたのに、愛してたのに、愛してたのに……』
女の声は悲しみと憎しみに染まり、殺意に塗り固められていた。
まだ気付かれていないのを確認すると、灼滅者達はそれぞれ展開して骸骨へと向かう。
「大人しく土塊に帰ってもらうわ」
「……楽にしてやる」
百花の黒い殺意が具現化して骸骨を覆い尽くし、将春は縛霊手から祭壇を展開し、敵の動きを封じる結界を張る。続けて夕兎が衝撃波を放った。
骸骨は不意打ちを受け、衝撃に体をよろめかせながら、攻撃してきた灼滅者へと顔を向ける。
『痛い……痛い……私に酷いことをする奴は死んでしまえばいい!』
骸骨の指に嵌められたくすんだダイヤの指輪が輝き、百花に向けて呪いが放たれる。その前に璃音が割り込み、代わりに呪いを受け止める。
「人を呪ってると成仏できないすよ」
軽口を叩きながらも璃音の腕は痛みと共に灰色に染まっていく。そこに一陣の爽やかな風が吹き抜ける。風は腕に纏わり石化していた呪いを浄化してしまう。
「わたくしが全てを癒してみせますのよ」
そう言ってヤマメは腕を下げ、起していた風を収める。
「私達が灼滅することで救われるのかは分かりませんが、せめて安らかに眠らせて差し上げます」
骸骨の死角から横手に回り込んだ皐は、駆け出し勢いを乗せて左手の槍を突き出す。捻りを加えた穂先は骸骨の肋骨を砕いた。
『殺す……殺す……男はみんな死ねばいい!』
皐へ向けて、骸骨の指輪から魔力の弾丸が撃ち出される。皐は咄嗟に右手の剣で斬り払う。だが続けて放たれる弾丸が剣をすり抜けて皐の顔へ襲い来る。
「みんなを守る。それがヒーローのつとめです!」
直撃する寸前、駆け寄ったカリルがエネルギーの盾を張り、魔弾の前に腕を差し込んだ。体勢を崩していたカリルはその一撃を受けて吹き飛ばされる。すぐさま霊犬のヴァレンが骸骨に向けて六文銭を撃ち、追撃されぬよう牽制した。
「時の流れを……この眼に映せ」
流季が前髪を上げると、瞳にバベルの鎖が集中する。その瞳はスローモーションのように敵の動き読み解く。
骸骨が指輪を掲げる。そこへ流季は右側から飛び込み、敵の機先を制するようにオーラを纏った拳の連打を浴びせる。
指輪を持つ左腕に打撃を喰らい骸骨は攻撃の機会を逸する。そこへ死角から璃音が接近し刀で骸骨の足を斬りつけた。更に起き上がったカリルがビームを撃つ。澄んだ流水の如きエネルギーが骸骨の背中を打ち据えた。
『呪ってやる呪ってやる。男はみんな呪われるといい!』
バランスを崩しながら骸骨は呪いを放つ。近くに居た流季と璃音が飛び退くと呪いは目標を失い消え去る。そこへ茂みからぬうっと身を潜めていた力生が現われる。
「どれだけ呪おうと、今という結果が変わることはない。呪う前に人事を尽くすべきだったのだ」
手にした特殊警棒を伸ばし骸骨に接近すると魔力を込めて叩き込む。骸骨は防ごうと右腕を出すが、その腕ごと肩まで叩き折り骨は砕け右腕が落ちた。力生は攻撃を終えると、また木の陰へと身を隠す。
『ひぃぃぃあああああ! 私の腕ぇええ!』
しゃがみ込んだ骸骨は腕を拾い上げくっつけようとする。すると腕はまるでパズルを組み立てるように腕の形へと戻る。だがその形は間違ったピースを使ったようにどこか歪だった。
『殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス。私を裏切るのも、私を騙すのも、私を傷つけるのも! 全部全部全部殺ス!』
甲高い奇声と共に骸骨は右腕を振るう。その腕の先には先ほどまで無かったパーツ。果物ナイフほどの切っ先があった。
それは女性がこの地で命を絶つ為に使ったナイフだった。骸骨の狂気は更に強まり、灼滅者へと向けられる。
●骸骨は泣く
『死ィネ!』
髑髏の口を大きく開けて、骸骨は凶刃を手に迫る。その前に璃音が立ち塞がった。
「相当嫌な思いをしたんすね。だったら尚更眠らせてあげますよ」
骸骨の刃を、璃音は青い炎を宿した刀で受ける。闇夜に火花が散り、刃と刃が押し合う。骸骨が全身の力で押し切ろうとした時、璃音は逆に力を引いて受け流す。骸骨がバランスを崩したところへ背中に一太刀を浴びせる。
焦げるような臭いを発しながら地に伏せる骸骨。だが骸骨は執念で飛び撥ねるように璃音の足に喰らいついた。歯が脹脛に食い込む。
「執念ですね。そこまで恨みや憎しみがあったのでしょうか」
皐は拳に雷を宿すと骸骨の顔に撃ち下ろすように叩き込んだ。歯が砕け衝撃で口が開く。その間に璃音は足を引き抜いて間合いを開ける。
「縛って燃やして……ズタズタにしてあげるわ」
起き上がろうとする骸骨へ、百花が構えたガトリングガンから炎の弾が吐き出される。無数の弾丸が闇夜に炎の残像を残し飛翔する。弾丸は骸骨の骨を削り焦がしていく。
骸骨は指輪から魔弾を放ちながら、その身を木々に隠し銃撃の射線から逃れる。だがそこには、既に待ち構えていた力生の銃口が向けられていた。武骨な鈍い輝きを放つガトリングが火を噴く。弾丸の雨を浴びた骸骨は更に身を翻して茂る草むらへと身を投げる。
「右から回り込め!」
「任せろ!」
力生が弾幕を張って敵の方向を誘導しながら叫ぶと、将春が素早く反応して右へと迂回する。そこから、自らの傷を癒している骸骨の姿が見えた。
「こっちから丸見えだぞ」
将春は魔導書を開く。呪文を読み上げると魔力が高まり、骸骨の隠れる場所が爆発を起こした。爆風に焼き出される骸骨。
『憎ィィィィ! 私の邪魔するもの全てが憎イ!』
纏わり付く火を消すように地を転がりながらも、骸骨は呪詛を放ち将春の体を石化させていく。だが将春の周辺に符が飛来しその呪いの力に対抗して、石化の効果を弱める。
「そのくらいの呪い、防いでみせますのよ」
ヤマメは更に符を放ち、将春の周りに符を纏わせ呪いを打ち消した。
「誰を憎んだところで救われはしないよ」
流季は将春の後方から飛び出るように骸骨へと接近すると、担いだ巨大な十字架を振り下ろす。魔力の籠もった一撃は骸骨の頭を砕く。
骸骨は頭を砕かれても、怯む事無く流季に掴み掛かる。その腕をカリルが盾で受け止めた。腕と同化しているナイフが盾を滑りカリルの左腕を貫く。
「うっ……痛いのなんてへっちゃらなのですよ!」
痛みに僅かに顔を顰めたカリルは、目の前の骸骨と成り果てた女性の事を思い、痛みなど大した事はないと強がり平気な顔を見せる。そして盾を突き出し骸骨を吹き飛ばす。
『うう……男は私を苛める……男なんて嫌いよ!』
後ろに飛ばされそうになるのを骸骨は踏み堪える。そして呻きながら風を纏うナイフを振るった。放たれた風が渦を巻き、巻き起こった風刃が灼滅者達に襲い掛かる。
向かってくる無数の風の刃の前に、璃音とカリルにヴァレンが立ち塞がる。仲間を守るようにそれぞれが獲物を構えて受け止めた。風がその身を切り裂き、赤い血が周囲に飛び散る。
傷ついた仲間に、ヤマメが優しい風を起こしてその怪我を治療する。
その後ろから百花のチェーンソー剣が勢いを弱めた風を切り裂いた。
風が途絶えたタイミングで、皐の影が槍となって骸骨の背後からその背を貫く。
『もうやめて……やめてよォ!』
骸骨は背骨を損傷して上半身を歪めながらもナイフを突き出す。
カリルの胸を貫こうとする一撃を、屈み忍び寄った力生の警棒が払いのける。上体が泳ぎ無防備になった瞬間、流季の十字架が胸に打ち込まれ、骨が幾つも飛び散った。
更に追い討ちとして、将春の放つ魔術の爆発と、夕兎の放つ霊波が骸骨を吹き飛ばし木に叩きつけた。衝撃に木の葉が雨のように降り注ぐ。
『どうして……どうして私ばっかりこんな目に……苦しいのに、悲しいのに、どうして誰も助けてくれないの!』
絶望の叫び。放たれた魔弾を、皐は両手で持った剣を振り下ろして切り裂く。
「その苦しみからあなたを救いましょう」
皐は踏み込み返す刃で骸骨を斬る。逆袈裟に放たれた刃は防ごうとした右腕を斬り飛ばした。
「この世にはもう助ける方法はありませんの、だから灼滅してあげますの」
横からヤマメの腕が膨らみ異形化する。その腕を骸骨の脇腹へ叩き付けた。
『嫌……もう一人は嫌ァア!』
骸骨の指輪が光る。放たれた魔力に向かい、璃音の影が鴉の形を取り光を飲み込む。
「ここに留まっても幸せはこないんすよ……」
璃音は刀を振るう。刀身に宿った炎が放たれ骸骨を包み込んだ。
「女の執念か……」
面倒なものだと思いながら、将春は夕兎と視線を合わせて無言のまま攻撃を仕掛ける。夕兎が衝撃波で燃え盛る骸骨を吹き飛ばしたところへ、将春が放った魔力の光線が貫く。光は骸骨の胸に大きな穴を開けた。
『一緒に、一緒に死んでよォ!』
「一緒には行けないのです。だけどせめて見送るのですよ!」
骸骨が這うようにしながら指輪を灯らせる。放たれた閃光をカリルとヴァレンが受け止める。カリルは貴船ビームを放ち勢いを弱らせたところで、ヴァレンが口に咥えた刀で光を斬り払った。
攻撃を打ち消された骸骨は跳ねるように跳躍してカリルに向かう。だがその前に木の陰から力生が現われた。
「その苦しみに俺が与えてやれるのは……灼滅だけだ」
ガトリングを横薙ぎに振り回して骸骨を弾き飛ばす。そして銃口を向けると撃ち出される弾丸が骸骨を蜂の巣にした。
『死……また死ぬのは嫌ァ!』
「死者は決して蘇らない。だから、君も本人ではなくただの怨念なのだろう……けど」
骸骨は慟哭するように叫ぶ。倒れ起き上がる力を失いながらも左手を上げる。だが流季が十字架を振り抜くと、腕が砕け指輪が宙を舞い地に落ちた。
「ごめんなさいね、貴女に掛ける言葉はないの。生前の不幸も、今の苦しみもどうでも良いの。貴女の存在がもう、私にとって許しがたい悪だから……殺すわ、この手で」
冷たく無慈悲な言葉と共に百花の影が黒い獣となり、骸骨を飲み込み噛み砕いた。
●夜明けの息吹
闇夜に包まれた樹海に静寂が戻る。
「白の王セイメイ……これで全力でないのですから、末恐ろしいですね」
「せいめい様はよく知りませんけれどこれを良しとする方ならば、わたくしにとっては灼滅対象で間違いないようですのね?」
皐はこのような事件を起こしたダークネスの力を想像し、厄介な相手だとこれからの事を考える。
崩れ去る骨を前に、ヤマメもこんな酷い真似をする相手をいつか倒してみせると決意を胸にした。
風化した骨は風に流され消えていく。そんな中一つ残った鈍い輝きをカリルが拾い上げる。それを大切そうにハンカチで拭うと、ダイヤは輝きを取り戻した。
「もう誰にも邪魔されないよう、静かにねむってほしいのですよ」
そう言ってカリルは大地に指輪を埋葬して、祈るように目を閉じた。
璃音が季節外れの梔子の花を添える。
「こいつの花言葉は『幸せを運ぶ』……なんすよ?」
来世こそは自殺なんてせずに幸せな人生が送れます様にと、璃音は願いを込めた。
「あの世で安穏を、安らぎを得られればいいが」
「そうですね、せめて安らかに眠って欲しいね」
その後ろから将春と流季も、一人の不幸な女の死後の安穏を願う。
顔を上げると、遠く東の彼方からぼんやりと明かりが広がり始める。
「もうすぐ夜明けだ。休憩していかないか? コーヒーなら淹れられる」
深く沈んだ空気を変えるように力生が少し明るい声を出して皆に尋ねる。
「いいわね。少し苦いのが飲みたい気分よ」
隣で百花が明るむ空を見上げながら言った。
全てを深い闇で飲み込むようだった樹海の森は光に照らされ、その姿を現していく。
それは全てのものを等しく包む、生命豊かな森の姿だった。
作者:天木一 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年10月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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