アイドル戦争 ももち浜の戦い

     福岡市早良区百道浜。ドーム型球場に福岡タワー、ビーチなどが隣接する博多のランドマークスポットにあるオフィスビルで、空きテナントの一室を無断で利用したライブ活動が人知れず行われていた。
    「どうでした、わたしのファンサービス……ドーム劇場にいる数が多いだけの娘達を応援するよりずぅっとキモチよかったでしょ?」
     バニーガール姿のHKT六六六研究生、六道・のぞみは誘い込んだ男達に順番に密着しながら妖しくささやいている。
    「私のファンの証……このカード、受け取ってくれるよね。これを持ってわたしのためにい~っぱい殺してきてくれるとうれしいなぁ」
     心酔したような表情の男達が黒いカードを受け取ろうとしたその時、激しい音を立ててオフィスのドアが蹴り開けられた。
    「そうはさせないわっ!」
     のぞみは数歩下がり、突然乱入してきた声の主にたいして身構える。
     そこには白い半袖ヘソだしセーラー服にホットパンツ姿の女の子が小馬鹿にするような笑みを浮かべながらポーズを決めて立っていた。
    「あなたがHKT六六六とかいうグループの地下アイドルね? 地方でいい気になってるみたいだけど、これ以上好きにはさせないわ! 本物の歌って踊れるスーパーアイドル・ラブリンスター様の名において、このあたし、ミルキー・ナナコが目にもの見せてあげるわよ♪」


    「はい、アイドル対決です……笑い事じゃないんですよ」
     神立・ひさめ(小学生エクスブレイン・dn0135)はがっくりと肩を落としながら改めて詳細を話し出した。
    「えっと、これは中学3年生の相良・太一(土下座王・d01936)さんからの情報なんですが、最近博多で事件を起こしているHKT六六六のフライングバニーさん達にたいして、ラブリンスターさん配下の淫魔さん達がアイドル勝負を挑んでいるんです。HKTが関わっているのでほうっておいたら殺人事件が起こってしまいますし、ラブリンスターさん側も人を助けるためってわけじゃないので、私達学園側で被害が出ないようにしないといけないんです」
     困り顔で話を続けるひさめ。
    「問題なのは、いつどうやって接触するかなんですが……対決が始まるときから介入することができそうなんです。どんな対決になるのかわかりませんが、うまく説得して対決方法なんかを提案すれば関係ない人を巻き込まない形のルールにすることができると思います。それとも対決は淫魔さん達に任せて決着を見届けてからHKTと戦う方がいいのかも……。ただ、もし対決の邪魔なんかをしちゃったら淫魔さんにも恨まれてしまうので、それは気をつけて欲しいんです」
     ここまで話したひさめは、ふと思い出して付け加える。
    「あ、淫魔さんなんですが、もし対決に勝つことになったら満足して帰ってくれるんですけど、負けてしまったら腹いせにのぞみさん――HKTの人です――に喧嘩をしかけちゃうので、一緒に戦うこともできると思います……ダークネスと共闘というのは許せないって人もいると思うので難しいところですね」
     プリントアウトしてきた地図を広げて状況を説明する。
    「さっきもいったように、どんな勝負になるかはわからないですけど、最初はこの福岡タワー前の広場にいます。勝負に利用されそうな場所は……この福岡タワーやドーム球場、すぐ側にビーチがあって泳ぐこともできますし、ジェットスキーもあるみたいです……私も乗ってみたいなぁ……こほん、あとは……都市高速道路のインターチェンジも側にあるみたいですけど、その辺で勝負とかになると怖いですよね。広場に現れるのは午前11時半くらいです。ほんとは人の少ない時間帯がいいんですけど、ほうっておいたら正午には対決を始めてしまいます」
     ひさめは地図から顔を上げて、集まってくれた仲間達をみる。
    「戦闘になったときですが、HKTののぞみさんは配下なんかはいないみたいで、1人で戦います。ナイフを持っているのと、あと黒いカードを武器にして投げつけたりしてきます。のぞみさん自身は強化一般人ですけど、ダークネスに匹敵するくらいの強さみたいですから油断はできませんね」
     そこまで話し終わると、ひさめは頬に手をあててうなり出す。
    「淫魔さんと一緒に戦うことになったら、たぶん楽に勝てると思います……ただ、それは淫魔さんが勝負に負けると言うことですし、悪いきっかけになっちゃうかもって考えるとよくないですよね……まあ、今考えてもしかたないですね、皆さんどうかよろしくお願いします」
     そう言って、ひさめは深々と頭を下げた。


    参加者
    色射・緋頼(兵器として育てられた少女・d01617)
    喜屋武・波琉那(淫魔の踊り子・d01788)
    逢瀬・奏夢(番狗の檻・d05485)
    赤秀・空(死を想う・d09729)
    響谷・遊羅(高校生サウンドソルジャー・d12122)
    相馬・貴子(高でもひゅー・d17517)
    ホテルス・アムレティア(騎士たらんとする者・d20988)
    六条・深々見(狂楽遊戯・d21623)

    ■リプレイ


     高くそびえるガラス張りの電波塔、福岡タワー前の広場に2人の女性が微妙な距離で向かい合い、張りつめた空気を発しながら互いに笑みを浮かべている。
     最初に口を開いたのは、バニーガール姿の女の子の方だった。
    「やさしくたのしく殺してあげる、HKT六六六研究生の六道・のぞみです!」
     前屈みになりながら投げキスをするのぞみ。
     それに応えるように、相手の白い半袖セーラー服にホットパンツ姿の女の子が、腰に手をあてながら胸を張り、横向きのピースサインをかぶせながらウインクする。
    「ラブリンスター様をさしおいてアイドルなんて名乗らせない、このあたし、ミルキー・ナナコが目にもの見せてあげるわよ♪」
     よく晴れた秋空の下、決戦を前に激しく火花が飛び散っている頃合いを見計らって、響谷・遊羅(高校生サウンドソルジャー・d12122)と色射・緋頼(兵器として育てられた少女・d01617)が2人の間に入るように進み出た。
    「じゃあ始めよっか。アイドルらしく戦ってもらう為のステージを、ね」
    「アイドルでしたら対決で解決しましょう! 勝った方には祝福を、負けた方は罰ゲームです」
     司会さながらの2人の人間の言葉を聞きながら、のぞみとナナコは緊張をゆるめないままに互いに距離を取った。
     今から15分ほど前、オフィスビルの中で今にも殺し合いを始めようとしていたのぞみとナナコを制止するため、とある学校の放送部の企画としてアイドルであるナナコを追いかけてきて偶然遭遇したと説明して、『アイドルなら大勢の目の前で決着をつけるべきでは』と持ちかけたのだ。
     ラブリンスター配下であるナナコは割り込んだ人間が武蔵坂学園の者だと理解した。のぞみの方は突然現れた人間の言うことを聞く事に不信感を持ち、抵抗はあったが、2人ともアイドル対決で決着をつけるという言葉には逆らいがたい魅力があり、どちらかに肩入れしたり邪魔をしないように釘を刺した上で、対決の仕切りを任すことに同意したのだった。
    「全機材問題なしだね」
     用意してきた機材の担当部ある赤秀・空(死を想う・d09729)はハンディカメラを構える緋頼に合図を送った。
     サブカメラマンを務めるホテルス・アムレティア(騎士たらんとする者・d20988)も音声が入らないように手振りで合図しながら、別アングルから撮影する。
    「なにか必要なものがあったら用意しますよー」
    「ご希望はなんでも言ってくださいねっ」
     アシスタント役の相馬・貴子(高でもひゅー・d17517)と六条・深々見(狂楽遊戯・d21623)がせわしなく走り回り、のぞみとナナコに甲斐甲斐しく尽くしている。
     電波塔である福岡タワーでの対決にはギャラリーも多く、バベルの鎖による情報伝達の弊害がなければ、すぐ側にあるテレビ局から本物のカメラが来てもおかしくないほど賑やかになってきていた。
    「どっちもがんばってー」
     観客に紛れて応援する喜屋武・波琉那(淫魔の踊り子・d01788)。撮影スタッフがあまり多いと疑われてうまく対決に誘導できないかも知れないと考えて、アイドルに浮かれるギャラリーのふりをしていた。
    「はい、これ以上前に出ないでくださいね」
     警備役も兼ねた逢瀬・奏夢(番狗の檻・d05485)はのぞみ達が気持ちよく盛り上がれる程度かつ、邪魔をしない……というよりトラブルに巻き込まれない程度の距離にギャラリーを誘導していた。
     灼滅者側が提案したのは3本勝負だった。
     ダンス対決から初めて料理対決、最後にカラオケ対決を行って勝利数で決着をつけるのだ。
     状況が整ったことを確認した遊羅は時計を確認して、正午ちょうどに『ももち浜アイドルバトル』の開始を高らかに宣言した。


     開始の合図と同時に空が入念にチェックした機材のスイッチを行けると、軽快な音楽がスピーカーから響き出す。
     ヴォーカル作成ソフトで製作された歌にあわせた最近動画投稿サイトで人気のオリジナルダンスを軽やかに踊り出す2人。アップテンポのリズムに合わせてのぞみとナナコが腕を振り回し、髪をなびかせながらステップを踏む。
     距離を取って舞台を囲んでいるギャラリーから感心する声が漏れだした。
     向かい合いながら踊るのぞみとナナコはアレンジを効かせて交互に見せ場を作り、個性をだしながらそれぞれアピールしている。
     まるでユニットを組んだペアのような2人のダンスに歓声が沸いた。
    (アイドルと言うだけあって、どっちもすごく上手です)
     メインカメラマンとして2人を撮影している緋頼は移動とズームを駆使して舞うように踊る2人をレンズにとらえている。
     ホテルスの方もサブカメラマンとして、踊る2人だけでなく緋頼の動きも計算しながらロングアングルで撮影している。  
     互角に見える2人のダンスだったが、曲の終盤に入る前当たりから観衆の中にざわめきが起こりだしていた。
     観客に紛れていた波琉那はなんのことかわからずにきょろきょろとしていたが、まわりの視線を追ってみるとある事実に気がついた。
    「まさか……そんな……」
     驚愕しながら間違いのないようにもう一度確認する。
     リズムに合わせて激しく踊るナナコの大きな胸の膨らみは服をはち切らないかと心配するほど上下左右に揺れている。
     そして視線をのぞみに向ける。大きいとまでは言わないが、人並みと言える大きさの2つの膨らみは踊りにあわせて動いたりせず、なぜかバニーガールの柔らかい生地をほとんど揺らすことはなかった。
     曲が終わり、汗を流して踊り終わったのぞみとナナコにも会場の雰囲気は伝わっており、言いようのない沈黙が流れる。
     重たい空気の中でコホンと咳払いをして、仕切り役の遊羅が前に出た。
    「えーと……それでは見ていただいた皆さんに、彼を境に、アイドルにふさわしいダンスを踊ったと思う方に移動していだきますー」
     そう指し示した先には奏夢が観客の近くに手を挙げて立っていた。
    「ほんとは学園に中継して投票して欲しかったんだけどな」
     パソコンまで用意していた空だったが、学園のことを知っているナナコはともかく、HKT六六六ののぞみがいることを考慮して中継はしないことになっていた。
     何ともいえない雰囲気の中で判定が行われていく。あえて数える者はいなかったが、ほとんどの観客が片方に集中していた。
    「では3本勝負1戦目、ダンス対決の勝者はー、ミルキー・ナナコ!」
    「やったぁ~♪」
     ナナコはぴょんと跳び上がって喝采の拍手に笑顔を投げながら大げさに手を振る。
     しばらく観客にアピールしていたナナコは、がっくりと肩を落として地面に四つんばいになっているのぞみに近づき、慰めるように肩を叩いた。
    「ウォータージェルパットとかもあるから……ね?」
    「せからしかっ!!」
     涙を浮かべるのぞみの叫びがむなしく響いた。


    「お疲れ様ですっ、ダンス最高でしたよっ!」
     勝負2本目の料理対決を控えて未だに落ち込んでいるのぞみにおしぼりを渡したり乱れたヘアスタイルを整える貴子。
    「いいわよ……次の勝負で目にもの見せてあげるわ!」
    「その意気ですよっ! がんばっください!」
     その向かいで同じように控えているナナコの方は余裕の表情でデッキチェアに座り、ゆったりと構えていた。
    「まっ、よゆーだったわねぇ……これ以上の勝負なんて必要ないんじゃない?」
     そんなナナコには深々見がサポートとしてついていた。
    「お疲れ様ですー、おしぼりと冷えた水です。飲み物は他にもあるんで欲しいものあったら言ってくださいー」
    「あら、気が利くわねー」
     少しの休憩を挟んだあと、 遊羅が合図して2人の対戦者をステージに招いた。
    「3本勝負の2戦目は、料理対決! 2人にはお弁当を作ってもらいます!」
     最初に料理対決の話を持ちかけた時にナナコとのぞみが話し合って決まった題目を高らかに宣言する。
     両サイドには空が用意したカセットコンロや各種鍋とフライパンなどが折りたたみの長テーブルに並んでいた。
     のぞみは必要な食材を貴子に買いに行かせた。
     ナナコの方も深々見に欲しいものを伝える。
    「えぇっ……ほんとにそれなのー?」
     戸惑いながらも深々見は急いで買い物に向かった。
     近くにあるマーケットから貴子が買ってきた食材が届くと、のぞみは手早く仕込み、包丁を踊らせて調理を開始した。
     鶏肉を唐揚げにしながら卵焼き、アスパラのベーコン巻きなどを手早く用意している中、対照的にナナコはのんびりと立ったままなにもせず、ハミングを口ずさんでいた。
     何をするのかと視線が集まる中、帰ってきた複雑な表情の深々見から手提げビニール袋を受け取った。
     鼻歌交じりに取り出したそれに観客の動揺が走る。
    「え……あれは……」
     声が撮影に入らないようにしていた緋頼だったが思わずつぶやいていた。ホテルスも同じように声を出してしまう。
    「ハンバーグ弁当ですよね……コンビニの」
     まわりが唖然としている中、ナナコは和風ハンバーグ弁当の封を開いて、可愛らしい黄色の弁当箱に丁寧に詰め直していった。
    「……調理が終わったので、試食に入りますー」
     試食役は仲間の方がいいと言うことで遊羅と奏夢が、まずのぞみのお弁当に箸をつけた。
    「唐揚げおいしいな、一口サイズで食べやすいし」
    「卵焼きもアスパラベーコンもいい感じだ」
     こちらは高評価を口にしながら、次にナナコの弁当を手に取り、食べ始める。
    「うん……なんというか、慣れ親しんだ味だ」
    「何日か前に食べたような気がする味だねぇ」
     表現に悩んだ末にコメントする2人。
    「えーと、庶民的な一面もあるんだね」
     観客役の波琉那がフォローしたが、あまり効果はないようだった。
     料理勝負の判定は、特に盛り上がることもなく、再び気まずい雰囲気の中でのぞみの勝利が決まった。
    「なんであたしの負けなのー、絶対こっちのがおいしーのにー」
     こぶしを振って不満を言うナナコに、目を合わせる者はだれもいなかった。


    「なんか納得いかないけど、あたしの歌で決着をつけてあげる」
     ふふんと鼻で笑うナナコに対して、のぞみも挑戦的に指を突きつけた。
    「私の歌を聴いてからもう一度同じ事をいえたら褒めてあげるわよ」
     勝敗の決まる最後の勝負、カラオケ対決の準備が整った。
     歌唱力に定評のある人気歌手の代表曲のイントロがスピーカーから流れると、先手ののぞみがマイクを握り、歌い出す。
     のぞみは高低幅のある歌唱力で抑揚を付けて、難しい歌をほとんど音程を外さずに歌い続け、難易度の上がる速いテンポのサビを息切れすることなく最後まで歌いきった。
     倒すべき相手ののぞみだが、その歌のうまさに灼滅者達は純粋に拍手を送った。
     モニターを見ていると93.5点という点数が表示された。ギャラリーの歓声があふれる中で得意げなのぞみがマイクをナナコに渡す。
     再びイントロが流れ出し、先程と同じ曲が始まった。
     小さく息を吸ったナナコは高い声質ではあるが、勢いよく歌い出した。
     力強い歌い方でこぶしをきかせ、ビブラート、フォール、しゃくりなどの加点を次々に上乗せしていった。
     音程を外すことは時々あったが、のぞみのそれを上回る加点をのばし、最後まで歌いきった。
     青ざめているのぞみが見ている中、さっきのそれを上回る歓声が響いている。ナナコの歌は96.7点をたたき出していた。

    「これで、どっちがアイドルとして上なのかはっきりしたわね♪」
     地面にへたり込んで呆然としているのぞみにそう言い残してナナコは気分よく立ち去っていった。
    「アドレスを聞くことができましたが、フリーメールみたいですね」
     対決映像を送りたいからと聞いたホテルスに、機嫌のいいナナコは自分のブログとメールのアドレスを書いて渡してくれていた。
     大勢いた観客はもう一人もいない。これから起こる戦闘に対して、ESPを駆使して人払いを行っていた。
    「では罰ゲームです。敗者ののぞみさん、灼滅させてもらいます」
     落ち込んでいるのぞみに緋頼のフリージングデスが放たれ、体にくい込むと同時に全身を凍らせていった。
     激痛で我に返ったのぞみはゆっくり立ち上がり、怒りの矛先を灼滅者達に向けた。
    「あーもう、そもそもアンタ達の話に乗ったせいでこんな目にあったんだ……やっぱり殺しておけばよかった!」
     敵意をむき出しにするのぞみは漆黒のカードを指に挟むようにして構え、手近にいた深々見の喉を切り裂こうと飛びかかった。
     深々見の前に素早く貴子が立ちはだかり、身を固めてカードを刃を受け止める。
    「アイドルは基本短命、諦めてもらおうかー」
     空の影縛りが伸びてのぞみの体にくい込み、縛りつけた。
    「依頼だから対応したけど、本当は俺、アイドルには興味は無いんだ」
    「俺も同じだ……でも、がんばるって点は感心出来たな」
     そう言いながらシールドをのぞみに叩きつける奏夢。口元から血を垂らしながら、のぞみは奏夢をにらみつける。
     重々しい金属音を漏らしながらガトリングガンを構えた波琉那はトリガースイッチを押して大量の弾丸をのぞみに撃ち込んでゆく。
     深々見はのぞみの背後に素早く回り込み、弾丸で傷ついていくのぞみの急所を深く切り裂いた。
     その隙に、回復役に重きを置いた遊羅は沸き上がるオーラに意識を集中して、カードを受けた貴子の傷を癒していく。
     ダークネスに近いチカラを持つHKT六六六の強化一般人であるのぞみだが、精神的に深いダメージを受けて冷静になれないまま戦い始めた上に8対1と言う数の差で、まともな攻撃もできないままじりじりと傷つき、追いつめられていった。
    「あーっもうっ! やってられない!」
     そう叫ぶと、逃げられないように警戒していた緋頼の手を振りきって、大きく後ろに飛んで距離をあけた。
     のぞみは追いつかれない程度の距離を開けると、瞳を潤ませて懇願するような顔をしてみせる。
    「HKT六六六のことはきらいでも、私のことはきらいにならないでくださいっ!」
     そう言い捨てると、アカンベーをして全速力で逃げ出していった。

    作者:ヤナガマコト 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年11月4日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 8
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