彩橙・眞沙希(天衣無縫の白にゃんこ・d11577)は、こんな噂を耳にした。
『お姉さんからお兄さままで魅了するするショタっこが存在する』と……。
都市伝説は半袖半ズボン姿の昭和を彷彿させるショタっこで、夕方になると決まって公園の砂場で遊んでいるらしい。
例えるなら、その姿はまるで土砂降りの雨の日に、捨てられた子犬。
ショタ好きでなくとも、思わず声をかけてしまうほどの愛らしさ。
それがショタ好きであれば、なおさら。
そのまま、後ろからギュッと抱きしめて、『今日からウチの子になる』と言ってしまうほど。
だが、それは都市伝説の手口。
相手の家についた途端に本性を現し、めくりめく禁断の世界へ誘ってしまう。
そうなると、もはや手遅れ。
ショタっこなしでは、生きられない体になってしまう。
しかも、身の危険を感じると、シャレにならないほどの大声をあげ、他の大人に助けを求めにいく始末。
その上、大人が来るまでの間に服を破って、襲われたように見せるのが得意なため、『おまわりさん、この人です』状態になる事は確実。
そのような事態になる前に、都市伝説を倒さねばならない。
参加者 | |
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四月一日・いろは(剣豪将軍・d03805) |
鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365) |
羊飼丘・子羊(北国のニューヒーロー・d08166) |
如月・春香(クラッキングレッドムーン・d09535) |
銃沢・翼冷(春の夢の如き塵芥なる無意味也・d10746) |
赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006) |
彩橙・眞沙希(天衣無縫の白にゃんこ・d11577) |
渚・夜深(深い海の灯台・d17913) |
●ショタっこ注意
「都市伝説の性質的に、このまま自宅にお持ち帰りして……と言う方法もあるんだけれど、今回は不測の事態と言うか……お持ち帰りした人が家族にバレても困るから、勇しゃ……げふんげふん有志の仲間が都市伝説に声掛けをして、公園で灼滅しないとね」
都市伝説が確認された公園の前に辿り着いた四月一日・いろは(剣豪将軍・d03805)は、そう言って殺界形成を発動させた。
一般人がうっかり公園に迷い込まないように……。
都市伝説に声をかけた人が、社会的に抹殺されないように……。
「本当に……、この手の都市伝説は困ったものですね」
赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006)が溜息を漏らす。
どちらにしても、生まれてしまった以上、被害が増える前に倒さねばならないが、この都市伝説が噂となって広まり、形になった経緯を考えると……、背筋にゾッと寒気が走った。
おそらく、あんな妄想から、こんな妄想まで、色々なものが垢太郎の如く固まってできたのが、都市伝説である。
「んー、でもショタには興味無いかなー」
まったく興味がない様子で、渚・夜深(深い海の灯台・d17913)が軽く流す。
だが、ショタに興味がなくとも、捨てられた子犬を見捨てる事が出来ない心優しいタイプであれば、都市伝説に声をかけてしまいたくなってしまうため、油断は出来ない。
「わたくし、周りから女の子好きの変態だと思われてますけど、実はショタっ子も大好物ですわ。……『切り落とす』という手もありますし」
含みのある笑みを浮かべ、鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365)が瞳をキランと輝かせる。
一体、何を切り落とすのか分からないが、妙に生き生きしているように見えた。
「可愛いショタっことはいえ……自分が見つけてしまった以上、自らの手で灼滅するのがスジというものでしょう……」
そんな使命感を抱きつつ、彩橙・眞沙希(天衣無縫の白にゃんこ・d11577)がニヤリと笑う。
その視線の先には……、都市伝説。
都市伝説はどんよりとした雰囲気を漂わせ、涙目になって体育座りをしていた。
「まあ、本音を言うとすぐにもう帰りたいんだよ、子羊。しかし、俺達が灼滅者である以上、避けられないものには如何にして事前に予防策を打つかが重要だと思うんだよ、いろは。つまり何が言いたいかって言うと俺を使って変な事するなよ? フリじゃなく社会的に死ぬのは勘弁だからな? あ、マロンパイ、食べる?」
そんな中、銃沢・翼冷(春の夢の如き塵芥なる無意味也・d10746)が、仲間達に言い訳をしていた。いや、自分なりにまわりを説得しているつもりだが、何やら泥沼に足を突っ込んで、そのままハイテンションで踊りまくってズブズブと沈みまくっているような気分であった。
「……ねぇボク、どうしてこんな時間まで1人で遊んでるの?」
そう言って如月・春香(クラッキングレッドムーン・d09535)が、都市伝説の目線になって語り掛けた。
「パパもママもいないの?」
都市伝説が涙目になって、春香の瞳を見た。
その途端、春香がキュンとした。
おそらく、これが都市伝説の力。そのせいで、こんなに……、こんなに胸がどきどきしているのだ。そうだ、きっとそうに違いない。
そう思いつつ、春香が両手で頬を押さえる。
自分でも何をやっているのか分からない。
とにかく、冷静になろうと思って深呼吸をしても、都市伝説の顔を見るたび、顔が真っ赤になって心臓が高鳴った。
「日本列島! 全国各地! ご当地愛がある限り! 北国のニュー☆ヒーロー、羊飼丘・子羊参上!!」
次の瞬間、羊飼丘・子羊(北国のニューヒーロー・d08166)がジャングルジムの上に立って、ビシィッと格好良く決めた。
だが、都市伝説どころか、春香までスルー。
これは同じショタキャラとして、忌々しき事態であった。
●都市伝説の誘惑
「よかったら今日からウチの子になる? ……ハッ!?」
春香が我に返ったのは、それからしばらく経った後の事だった。
よく覚えていないのだが、必死になって子羊から都市伝説を守っていたようだった。
その呪縛からようやく逃れる事が出来たのは、子羊が都市伝説に対して強烈な一撃を放った後。
その一撃を喰らった事で都市伝説の力が弱まったらしく、ようやく我に返る事が出来たようである。
それにしても、何故か気持ちがもやもやする。いますぐ都市伝説を抱きしめて、どこかに走り去りたい気分である。
「凄くかわいいと思うけど……、それだけだね」
そこで子羊がキッパリと言い放つ。
その途端、都市伝説が『ひぃっ』と小さく悲鳴を上げて身を強張らせたが、あまりにもあざと過ぎるせいでげんなりした。
「なあ、子羊や。さっきから妙に怖い顔をしているように見えるんだが、俺の勘違い……だよな。いや、何でもない。俺の気のせいだった。あは、あはははは……」
話している途中でただならぬ殺気を感じ取り、翼冷がわざとらしくゲホゲホと咳込んだ。
おそらく、これ以上この話題に触れれば、命はない。
そんな予感が翼冷の脳裏で小躍りしていた。
それとは対照的に春香は再び術中にハマりかけているのか、とても悲しげな表情を浮かべて都市伝説に手を伸ばしていた。
「おぉう……、いろはにはそう言う属性は無いけど、此れは此れで傍から観賞する分には良いものだね。上手く描けたら芸術発表会の題材にでもしようかな?」
目の前の光景をスケッチブックに描きつつ、いろはが内に芽生えた感情を何となく抑え込む。
確かに都市伝説は可愛いが、それよりも今は優先すべき事がある。
そんな気持ちがあるおかげで、何とか抵抗する事が出来たのかも知れない。
「さて、これで泣き喚いてもだぁれも来ませんの」
その間に鶉が殺界形成を使い、含みのある笑みを浮かべた。
「えっ? えっ?」
だが、都市伝説にはその意味が分からなかった。
鶉が何を考え、これから何をするつもりなのかさえ……。
「残念だけど同い年以上じゃないと、私興味無いから。あと10年早く生まれて来てね。でも代わりにあだ名とかつけてあげようか? なまこ君とかどう? かわいいかも、私なまこ好きじゃないけどね」
そのため、夜深が言っている事さえ、分からない。理解不能と言った感じであった。
「ウフフフフ……、命乞いしても誰も助けには来ませんわよ。さぁ、お姉さん達と遊びましょう」
幽魅の言葉を聞いて、都市伝説はようやく理解した。
自分の命が狙われている事を。幽魅達が敵であるという事を。
特に幽魅は切り落とす気満々でいるため、他の相手と比べて明らかにヤバイ。
これがテレビ放送であれば、モザイクを入れられ、音声を変えられてしまうほどのヤバさがあった。
「これじゃあ……、どっちが悪者だか分かりませんね……」
そう言って眞沙希が都市伝説を見つめて、怪しく微笑むのであった。
●都市伝説
「誘ってる……、誘ってますわね!」
都市伝説と対峙した幽魅は、興奮した様子で鼻息を荒くしていた。
もう我慢できない。いますぐ、切り落としてハグしたい。
そんな気持ちが脳裏に渦巻いているが、それを口に出す事はない。
その代わり、既に体は動いているが……。
だが、都市伝説からすれば、たまったものではない。
『おまわりさん、この人です』どころか、『おまわりさん、早く撃ち殺せ!』レベルの相手が襲い掛かってきているのだから……。
「いや、これはどう考えても、俺達の方が悪役だろ。ほら、何だか俺、目張りが入ってないか。声も変えられている感じがするんだが……」
まさに犯罪者と言わんばかりの雰囲気を漂わせ、翼冷が気まずい様子で汗を流す。
『今なら間に合う、早まるな』と誰かに言われているような気がする。
「まあ、うっかり見られる事もないから大丈夫」
苦笑いを浮かべながら、いろはが何となく翼冷を励ました。
気のせいか、荒れ狂う嵐の中で泥船に乗っているような気持ちになっているが、ここまで来て都市伝説を見逃すわけにもいかなかった。
「うう、なんでボクをいじめるの。ボクは何も悪い事をしていないのに……」
都市伝説は涙目だった。
小刻みに体を震わせて、身動きひとつ取れなくなっていた。
「あいにく、ショタ趣味はありませんのでっ!」
だが、そこで鶉が冷たくピシャリ。
「悪い子に……おしおき♪ といえば、これだヨネ♪」
すぐさま都市伝説のズボンを脱がせ、眞沙希のお尻をペンペンと叩いた。
しかも、泣こうが叫ぼうが、容赦はしない。
都市伝説のお尻が真っ赤になるまで、叩いて、叩いて、叩きまくった。
それでも、何とか眞沙希から逃げ出す事は出来たが、お尻が痛くて歩けない。
「ナンパな君は星になるといいよー♪」
その隙をつくようにして、夜深がご当地キックを放ったため、都市伝説は避ける暇さえなく宙を舞った。
「大人の階段どうぞ……なーんちゃって! ですのね」
しかも、落下した拍子に鶉のお尻が顔に乗ってきたため、都市伝説は『うわーん』と泣き叫んで跡形もなく消滅した。
「それにしても、本当に可愛かったわね。もしもあんな子を連れて帰れたら……帰れたら……。色々な服を着させたり、写真を撮ったり、甘やかしたり、甘えさせたり、ピーしたり、それから……」
都市伝説が消滅した後も、春香のもやもやは消えなかった。
おそらく、同じような男の子を街で見かけたら、そのまま家に連れ帰って……と思った時点で、『マズイ、マズイ』と首を振った。
「……これでまた一人、僕のライバルが減ったかな。うふふふふふふふ」
だが、子羊はとても上機嫌。
あのまま都市伝説を放っておけば、間違いなく脅威になっていた事だろう。
それを防ぐ事が出来たのだから、しばらく安泰。
これで安心して、今夜は眠れそうである。
「こんな悲しい都市伝説は二度と生まれないでほしいものですね」
そして、眞沙希は妙に清々しい表情を浮かべて、都市伝説が先程までいた場所を眺めていた。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年10月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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