りんごをくれなきゃすりおろしちゃうゾ!

    作者:るう

    ●野菜・果物コーナーでよくある光景
     小学校低学年くらいの男の子と一緒に買い物にやってきたお母さんは、今はカボチャを叩いて品定め中。その間、一度お母さんの隣から離れてから戻ってきた男の子の腕には、いっこ、にこ……さんこのりんごが抱えられていた。
     籠の中にりんごが転がるどさりという音に、お母さんが気付く。カボチャ選びを中断し、男の子を叱るお母さん。
    「こら! あなたはいつも、りんごばっかり食べてご飯が入らなくなるんだから!」
     お母さんは手早くりんごを元の場所に戻し、精肉コーナーへとカートを進める。りんごが見えなくなってしまえば、後は男の子も大人しくせざるを得ない。

     不満げな男の子と、呆れるお母さんが織り成す光景は、微笑ましい日常の一コマだ。
     けれど、その中に恐るべき邪悪が潜んでいることを、神前・蒼慰(中学生デモノイドヒューマン・d16904)の鼻は間違いなく嗅ぎ取っていた。

    ●武蔵坂学園、教室
    「どうやらその男の子――フジタカ君は、いくらお母さんに言っても聞いてくれないと知って、夢の中でお母さんにりんごを買うよう要求するみたいですね」
     五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)の話を聞けばわかるだろう。蒼慰が見かけた男の子は、お母さんに好きなだけりんごを買って貰うため、シャドウの力を使うのだ。
    「あんな小さな子が、闇堕ちするなんて……」
    「大丈夫。フジタカ君は、まだ完全には闇堕ちしきってはいませんよ」
     それを聞いて、蒼慰の表情が、ほっと明るくなる。闇堕ちしきっていないということは、今ならまだ灼滅者として助けられるかもしれない、ということだからだ。

    「お母さんの夢の中のフジタカ君は、りんごのお化け達を率いています。買い物をしている夢を見ているお母さんを脅かして、りんごを買わせようというわけです」
     姫子が言うには、現れるのは凶悪そうな目と口が貼り付いたような、手足の生えた人間大のりんごお化けが五体。大きな口と甘い香り、さらには手にしたおろし金がその武器だ。
    「もちろん本人も、シャドウハンターのサイキックで攻撃するでしょう。けれどフジタカ君は、それが、お母さんに向ければ殺してしまいかねない危険なものだとは知らないんです」
     シャドウの力がどれだけ危険か、そしてりんごを好きなだけ食べたいのなら代わりにどうすればいいのかを教えてあげれば、フジタカ君は次第に、自分の過ちに気付いてくれるはずだ。
    「とはいえ夢の中のフジタカ君は、シャドウの影響で攻撃的になっています。おしおきも必要になるということだけは、覚悟しておいて下さい」
     彼はお母さんより邪魔者を優先して攻撃するはずだが、たとえその攻撃が自分に向いたとしても、お母さんは彼を愛し続けるだろう。
    「もしも守りきれる自信があるのなら、お母さんにも説得を手伝って貰ってもよいかもしれませんね」


    参加者
    置始・瑞樹(殞籠・d00403)
    久瑠瀬・撫子(華蝶封月・d01168)
    華宮・紅緋(クリムゾンハートビート・d01389)
    森村・侑二郎(宇治抹茶金時・d08981)
    綿貫・砌(強く優しいあの人たちのように・d13758)
    神前・蒼慰(中学生デモノイドヒューマン・d16904)
    風輪・優歌(ウェスタの乙女・d20897)
    櫻井・椿(鬼蹴・d21016)

    ■リプレイ

    ●夢の中の出会い
    「フジタカさん、こーんにちはー」
     りんごと同じ赤色の少女、華宮・紅緋(クリムゾンハートビート・d01389)の親しげな声に気付くと、フジタカ少年はほっとした顔を見せた。
    「お姉ちゃん達も言ってやってよ。お母さん、僕にりんごを食べちゃダメって言うの」
     味方を得たと思い、りんごお化け達に追い詰められ座り込むお母さんを、一度は勝ち誇った表情で見下ろす少年。けれどその顔色は、続く紅緋の言葉を受けてさっと変わる。
    「あのね、その事ですけど……少し、私たちのお話を聞いてくださいな」
    「もしかしてお姉ちゃん達も、僕にりんごを食べるなって言いに来たの……?」
     りんごお化け達が、おろし金を構える。だが、その緊迫した雰囲気を和らげるように、二人の間にたおやかな女性が進み出た。
    「こんにちは。君はりんごが大好きなのですね」
     好きな物を食べたいがために、夢を操り母親を苛むとは。その無邪気さに恐ろしさを感じながらも、久瑠瀬・撫子(華蝶封月・d01168)は、少年のそんな危なげな純粋さを包み込むように微笑みを向ける。
    「ですが、ずっと同じ食べ方では飽きてしまいますよ。それでは、勿体ないとは思いませんか?」
    「絶対に飽きない!」
     けれどその救いの手を、少年は自信満々に拒絶した。
     この頑なな態度も、闇の影響だろうか? 神前・蒼慰(中学生デモノイドヒューマン・d16904)は切り口を変えて、フジタカに説いてみる。少年から闇を祓うための、目に見えない可能性を探るように。
    「私もりんごは好きだけど、それだけじゃ栄養が足りなくなるわ。そしたら、体を壊してしまう……体がおかしくなったら、大好きなりんごが美味しくたべられなくなるのよ。そうですよね、お母さん?」
     何度言っても聞かない息子の気持ちをくすぐるような、鮮やかな説得を見せた蒼慰に惚れ込んで、お母さんは大いに肯く。お母さんの言うことは聞けなくても、お姉さんたちの言うことはちゃんと聞きなさい……フジタカに、そう呼びかけるお母さん。
    「そんなの嘘だ! りんごを食べない方が病気になるもん!」
     けれど少年は、蒼慰の説得をも信じようとはしなかった。

    「そうですね……なら、りんごを今よりもっと食べられるようになりたいとは思わない?」
     そう風輪・優歌(ウェスタの乙女・d20897)が話を振ると、睨むような少年の目つきが、不意に年齢相応のものへと変わる。
    「そのためには体を大きくすればいいの。きっと置始さんならキミの何倍も食べれるよ?」
     唐突に話を振られて、咄嗟に重々しく頷いて見せる置始・瑞樹(殞籠・d00403)。
    「ほらね? けれど、体を大きくするには他のものも食べないと。食べ物にはそれぞれ役目があるの……りんごは元気に走ったりするのを助けてくれるけど、体を大きくするのは別の食べ物の役目だから」
    「りんごやないけど、ウチも主食はお菓子なんよねー……。偏食すると、ウチみたいに背がちっこうなってまうで?」
     一度瑞樹を見上げてから自分の体を確認し、櫻井・椿(鬼蹴・d21016)はため息をつく。
    「ウチも偏食治さなあかんな。けど、お菓子の美味しさには何も敵わへんで……」
    「りんご、美味しいですよね、俺も好きです」
     説得の苦手さを誤魔化すように頭を掻き、一人で呟いたり頭を抱えたりと忙しい椿に代わり、森村・侑二郎(宇治抹茶金時・d08981)が言葉を継いだ。彼自身には偏食癖はないのでフジタカ少年の気持ちは分かりかねる部分があるが、それを見守るお母さんの気持ちならわかる。
    「でも、それでご飯が食べられなくなると、せっかく作ってくれたお母さんがしょんぼりしちゃいますよね」
     押し黙った少年に、侑二郎は一つ提案をしてみた。
    「そこでです、りんごを食べるのは少し我慢して、食後にデザートとして食べるのはどうでしょう? そうすればお母さんのご飯、残さずに済みますよね。お母さんも、それくらいなら構わないですよね?」
     その時、それくらいなら……と答えようとしたお母さんを制して、フジタカが叫ぶ!
    「そんなの知らない! りんごを食べさせてくれないお母さんなんて、悲しんじゃえ!!」

    ●りんごお化けの悪意
     そう来たか……。思わず納得してしまいそうになった侑二郎だったが、りんごお化け達がその叫びに呼応して動き出したとなれば、はいそうですねとは行かない。お化けたちのおろし金がお母さんに届くよりも早く、侑二郎を始めとした灼滅者たちはその身を駆る!
    (「シャドウに魅入られて、お母さんを危険に晒して……なんだか僕たちそっくりだね」)
     オレンジ色に輝く盾でお化けの攻撃を受け止めながら、綿貫・砌(強く優しいあの人たちのように・d13758)はあの時の自分を思い出していた。寂しかった自分を救ってくれた、頼もしいお兄さん、お姉さん。自分はフジタカ君にとって、あの時励ましてくれた先輩たちのようになれるのだろうか?
     いいや。絶対に、なってみせる。
    「お母さん、ここは僕たちに任せて!」
     力強い自負が心の中に渦巻き、砌は敵の武器を押し戻した!

     母親に追い打ちをかけようと手の中に闇を溜めたフジタカに、椿の鋭い声が飛ぶ!
    「あかん! その力を使うと、お母さんを殺してまう! それでもええんか?」
     フジタカがはっとした瞬間、闇の力はかき消える。
    「確かにお前の母親は、りんごを食べさせてくれないかもしれない。けれど、母親がいなくなってしまったら、料理もりんごも、二度と口にできなくなってしまう……どうだ?」
    「そんなのは、いやだ……」
     瑞樹が問うと、少年の瞳が泳ぐ。瑞樹の強面が、真っ直ぐに少年を見守る。
    「でも僕は、お母さんを殺したりはしないよ……」
     自信のなさそうなフジタカに、蒼慰が説いた。
    「よく聞いてね。今、フジタカ君のりんご好きを利用して、悪魔がフジタカ君を乗っ取ろうとしているの。君にはそんなつもりがなかったとしても、悪魔の力がそうさせてしまうの」
     半信半疑の少年の両肩を持って、瑞樹は少年の体をりんごお化けに向けた。
    「嘘だと思うなら、試しに、あのお化けりんごを食べてみたらいいのではないかな。あれが本当に君の味方なら、喜んで『食べて欲しい』と言ってくるはずだ」
     その言葉が聞こえたのだろうか、五体のりんごお化けは一斉にこちらを向いた。そして跳び上がり、大きな口をがちがちと鳴らす!

    ●少年を誘う闇
     ぎろり。
     盾を構えつつ少年を庇う瑞樹の眼光が、りんごお化けを貫く。牙を剥き出しにするりんごお化けの顔に、露のような汗が滴る。
    「どうした。かかって来い……っ!?」
     敵の意識が護るべき者達へと向かないよう、挑発の言葉を発した瑞樹の唇から、小さな呻き声が漏れた。
     虚ろな目で至近距離から瑞樹へと闇の弾丸を放ち、呆然と立ち尽くす少年。少年の腕だけが別の生き物のように標的を探すのを、瑞樹は体を張って止めようとする。その様子を見たりんごお化けが元気を取り戻し、けたけたと笑いながら灼滅者たちへと踊りかかる!
    「逃げるんや!」
     座り込んだままの手を取り立たせると、椿はお母さんの身柄を侑二郎に託す。少年に再び闇の力を振るわせまいと、少年の拳と瑞樹の間に光輪を滑り込ませながら。
    「やっぱり、お話だけじゃ終われないんですね……。華宮・紅緋、これより灼滅を開始します!」
     コミカルな動きで飛び跳ねるりんごの一つが、防御など気にせぬ一撃の前に、汁を撒き散らしてぐしゃりと潰れた。堅いように見えるりんごも、その体よりも赤く大きく膨れ上がった紅緋の腕にとってはスポンジも同然だ。
    「握力強化器具でこんなに力がつきました……なんて」
     軽口を叩くが、まだ戦いが終わったわけではない。おろし金を振り下ろす、別のりんご!
    「殺戮・兵装(ゲート・オープン)!」
     だがそれも、炎が花弁のようにひらひらと舞い落ちる中で、静かに、しかし激しく燃えて尽きた。
    「さぁ、良い子のフジタカ君を惑わす物を、退治して差し上げましょう」
     炎を纏った槍を優雅に振り回すと、凛々しい目つきでりんご達を見回す撫子。容易には近付けそうにないと見るや、りんご達は遠巻きにしながら甘酸っぱい香りを放つ!
    (「この匂い、気を確かに持たないと、思わずりんごが食べたくなってしまいますね」)
     侑二郎は無表情のまま、刀で自らの左腕を大袈裟に切り裂いた。そして、気合いと共に香りの雲を押し止めると、背に庇ったお母さんへと声をかける。
    「今のうちに、早く」
     息子の変化に戸惑い震えるお母さんの肩を、蒼慰はそっと抱き寄せた。
    「大丈夫。フジタカ君を乗っ取っている悪魔は倒して、必ず助けてみせます……だからお母さんも、フジタカ君が悪魔に負けないように、ここで励ましてあげて下さい」
     蒼慰の破邪のメロディに乗せて、お母さんの張り裂けるような声が響く。
     その呼びかけを邪魔するように、りんごお化けが迫ってきた……が、その動きがしばし止まる。優歌の結界に阻まれて、これ以上は進めないのだ。すかさず一体にビームを放ち、爆散させる砌。
    「お前たちの好きには、させないよ!」

    「やっぱウチは、説得よりはボディブローの方が得意やわ! ……と言いたいとこやけど」
     仲間たちに纏わりつくりんごの残り香を、椿の放った光輪が少しずつ浄化してゆく。それに伴い、少年の目にも少しずつ光が宿り始める。
     最も端的な少年の変化に最初に気付いたのは、じっと気を溜めて攻撃を耐え続けていた瑞樹だった。純然たる悪意を纏っていた拳が、いつの間にかただの拳となってぽむぽむと瑞樹の腹を打つ。その目には、怒りと、戸惑いと、流れ続ける涙。
    「もう少しだから、頑張って!」
     りんごお化けの別の一体が、祈りを込めて優歌が振り回したギターに当たってべこりと凹む。その赤い皮の下には黄色い蜜ではなく、真っ黒い空間が広がっていた。
     それを見た瞬間、砌の奥底に、一度は薄れたはずの甘い香りと、得体の知れない何かが湧き上がってくる。砌は、その正体が何であるかを嫌というほどよくわかっていた。
     ややもすると仲間へと襲い掛かりそうになる自身の心を抑えつけ、砌は自らの指先だけに集中する。その指先から放たれた清浄な光が、自身を惑わす影を消し飛ばす!
    「僕みたいになっちゃ駄目だよ。絶対に、シャドウに負けないで!」
    「フジタカさんを惑わす悪いりんごは、もう一ついなくなりましたよ」
     砌の激励と共に紅緋の放った紅き闇が、四つ目のりんごを闇へと還す。少年を惑わすモノの外堀は、ほぼ埋まりつつある……そして最後のりんごに向けて、侑二郎の炎が閃いた。
    「あー済みませんね。最後の一つもここで終わりにさせて貰います、ハイ」
     これで残るのは、少年自身に巣食う闇のみ。
    「お母さん。今から少しばかり手荒な事をしますけど、決してフジタカ君を傷つけるような事はありません」
     蒼慰の決意に、お母さんもゆっくりと頷いた。少年の体が纏った闇を、しなやかな刃が戒めてゆく。
     焦りを見せるシャドウの正面で、撫子の槍が高らかに掲げられた。
     そして、ずぶり、という音。同時に上がった、聞くにおぞましい断末魔の主は、次第に、時と共に少年の体から消えていった。

    ●悪夢終わって
     その場にへたり込み、泣きじゃくる少年の頭を、椿はわしゃわしゃと撫で続ける。
    「良う頑張ったやん、上出来やで」
     ついに絡まりあった髪の毛が少年の頭を引っ張り、痛みを生むと、少年は驚いて泣くのをやめた。そっと手を離す椿の目と、不思議そうに見上げる少年の目とが合う。今度は年上らしく、優しく少年を撫でてやる椿。
    「お帰りなさい。頑張ったご褒美だよ」
     砌はフジタカの目の前に、多少不恰好なりんごの蜂蜜漬けを差し出した。今くらいなら、お母さんも目を瞑ってくれるはずだ。
    「正気に戻りました?」
     顔を覗き込む紅緋に、フジタカはりんごをくわえたままで、黙って頷く。
    「でも、これからはお母さんの言う事を聞いて、美味しいりんごを食べたりはしない……なんてわけにもいきませんよね。代わりに、いろいろなりんごのお菓子にチャレンジしてみてはいかがです? 私のお勧めはアップルパイ」
     紅緋の提案に、砌が身を乗り出して付け加えた。
    「お菓子以外にも、炊き込みご飯やリゾット、サラダにしても美味しいし、カレーやシチューの隠し味になるんだ。りんごが大好きなキミなら、もっともっと沢山の食べ方が思いつくんじゃない?」
    「ずっと同じ食べ方で飽きてしまわないよう、いろいろな食べ方ができるといいですね。それならお母さんも安心でしょう」
     撫子が訊く。そしてお母さんが頷いたその瞬間! 辺りの光景がぐにゃりと曲がる……。

    ●夢の中の料理会
     気付くとそこは、学校の家庭科室のような場所だった。こんな風に気付くと場面が移り変わっていることは、夢の中ではよくある話だ。
    「ぜひ、お母さんと一緒に料理にチャレンジしてくださいね」
     撫子の微笑と同時に、お母さんのもとへりんごを持ってくるフジタカ。その耳元に、優歌がそっと囁く。
    「体が大きくなるまで待たなくても、もっとりんごを食べる方法もあるよ。へとへとになるまで体を動かせばたくさん食べれるようになるから、もっとお母さんのお手伝いを頑張ればいいの」
     さらに小さな声で、もう一言。
    「そしたら、脅かさなくてもりんご食べるの許してくれるよ」

     慣れないナイフ捌きでりんごを切るフジタカに、あれこれ甲斐甲斐しく指示を出す紅緋。砌も一緒になって、フジタカとああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返す。
     そんな三人を監督する撫子に、お母さんが不思議そうに訊いた。
    「皆さん、どうしてこんな事を……?」
     蒼慰が悪魔と呼んだモノ――ダークネスと戦う力。少年には学園でその素晴らしい素質を活かして欲しいと、撫子は説く。
     特別な存在がますます特別な存在となり、息子に抱きつくお母さんを見て、椿はくすりと笑みを浮かべた。
    「子を大事に思わへん親はおらへん……ってやつやね」
    「そうだな……」
     と、瑞樹。だがそれは、彼女の大切な息子をダークネスとの戦いに巻き込む事も意味するのだ。瑞樹が力及ぶ限り守りたいと思う者が、また一人増えた。

    「私たちも、手伝った方がいいかしら?」
    「あーハイ、もっともですね……はい?」
     椿たちの言葉にしきりに頷いていた侑二郎が、蒼慰の呟きにつられて賛同してしまう。なし崩し的に、調理班に巻き込まれてゆく侑二郎。
     息子や灼滅者たちの料理風景を優しく見守るお母さんは、輝いて見えた。その姿は優歌には、わがままを言う息子に振り回されて忘れてしまっていたかもしれない大切なものを、お母さんが取り戻してくれたように思えた。
    (「叱るだけじゃなくて、そうやってお子さんを導いてあげて下さい……それが、胸を張れるお母さんというものですから」)

    作者:るう 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年11月7日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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