大阪市の体育館。
体育館中央にはリングがあり、二人の男が争っていた。
キックボクシングの試合中だ。
花道――リングへ続く路に、いつの間にか、男女二人が立っていた。
一人は、猛禽類をかたどった、緑の覆面をした女。
もう一人は、褐色の肌で肥満気味の巨漢。
緑の覆面の女はマイクを握っていた。それを口に当てる。
「このリングは我々が貰う! 観客よ目に焼きつけろ、我々の戦いぶりをっ!
――いけっ! ボブ・ザ・デンジャラス!」
女はリングを指差した。
「オウケイッ、ボスッ!」
隣にいた巨漢、ボブがリングへ走りだす。腹の肉を揺らしながら。
ボブはリングに上がる。
「試合の前に、ハラゴナシ~~!」
ボブはビール瓶を取り出した。瓶を観客に見えるように掲げ、自分の頭に振り落とす!
観客席から悲鳴。
瓶は砕け散る。が、ボブの頭には傷はない。
ボブの手には、半分になった瓶。それを口に近づけ、
「イタダキマァス!」
かじりつく。バリ、ボリ、バリィ、歯がガラスを噛み砕く音。
リング上にいた選手二人も観客達も、あ然としている。
「次はオマエタチ、マルカジリィ!」
ボブは跳び、着地する。どす。リングが揺れた。
教室で。五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)は灼滅者たちに説明を始める。
「リュシール・オーギュストさんが察知してくれた情報から調べたところ、プロレス団体を率いるアンブレイカブルの動きを確認しました」
リュシールに有り難うございました、と頭を下げてから、続ける。
「団体を率いるのは、幹部級のアンブレイカブル、ケツァールマスク。
彼女が配下のレスラーアンブレイカブル、ボブ・ザ・デンジャラスを連れて、キックボクシングの大会に乱入するようです。
ケツァールマスクと配下は、ギブアップした者を攻撃しないので、死者は出ません。
でも――アンブレイカブルに倒されたことで心が折れ、武の道を諦める人が出てしまいます。死者が出なくても、人の一生を左右するのです。
皆さん、彼女たちの行為を、阻止していただけないでしょうか」
現場は大阪の体育館。介入するのに最適な時刻は、夜八時。
その時間には、ボブ・ザ・デンジャラス――略称ボブが、リング上で、試合中の一般人選手と観客へ、アピールをしている。
放置しておけば、ボブは選手と戦いだすだろう。
「ボブが戦いだす前に、皆さんは乱入し、選手の代わりにボブと戦って欲しいのです」
リングの上の選手は、ESPや説得などでさがって貰う必要がある。
が、観客や大会運営者は、何かの演出と思いこみ、リング上に近づかない。
選手を追い出した後は、ボブと戦わなくてはならない。
ボブは褐色の肌の巨漢。次のような技を使う。
張り手や手刀(チョップ)を次々繰り出す、閃光百烈拳相当の技。
ジャンプし体を相手やマットに叩きつけ、大震撃に似た衝撃波を発生させる技。
また、丈夫で鋭い歯による噛みつきは、デスサイズ相当の力がある。
一方、ケツァールマスクはリング外にいて、戦闘に参加せず、試合を観察する。
勝敗が決まれば、ケツァールマスクは勝者をたたえ去っていく。配下が負けた時には、配下を回収し帰る。
「試合に勝っても負けても、ケツァールマスクと配下のアンブレイカブルは、皆さんや一般人を殺さず帰ります。なので、勝敗にこだわる必要はありません」
が、ケツァールマスクには、彼女なりのルールがあり、それを破れば介入してくる。
一つ。ギブアップした者を攻撃してはいけない。
二つ。観客を傷つけてはいけない。
三つ。プロレスとして、地味でつまらない試合をしてはいけない。
以上のルールを破れば、ケツァールマスクは灼滅者に攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
ケツァールマスクは強大。介入された場合、無事では済まないだろう。
「先ほども言った通り、目的は『一般人とアンブレイカブルの試合を阻止し、代わりにアンブレイカブルと戦う』こと。勝敗にこだわる必要はありませんし、危なくなれば、ギブアップしてもかまいません。
でも、試合がプロレス的に面白くなる工夫は、した方がいいでしょう。
つまらない試合をし、ケツァールマスクに介入されれば、大惨事になるでしょうから」
説明を終え、姫子は信頼をこめた目で、灼滅者を見る。
「皆さんの健闘をお祈りしています!」
参加者 | |
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鵺鳥・昼子(トラツグミ・d00336) |
レナ・フォルトゥス(森羅万象爆裂魔人・d01124) |
天方・矜人(疾走する魂・d01499) |
神夜・明日等(火撃のアスラ・d01914) |
リュシール・オーギュスト(お姉ちゃんだから・d04213) |
シャルロッテ・クラウン(残念な海賊きゃぷてんくらうん・d12345) |
ローゼマリー・ランケ(ヴァイスティガー・d15114) |
クレイ・レッドフッド(赤ずきんさん・d15359) |
●宣戦布告
天井に据えられた照明が、観客席やリングを照らしている。
リングの下には、腕を組む仮面の女、ケツァールマスク。
リング上にはあっけにとられたキックボクサー二人。そして、褐色肌の巨漢、ボブ・ザ・デンジャラス。
「リングはオレたちのモノォ。オオオオオ!」
ボブは吠える。が、
「ちょっと待ったぁ! 違うね! リングは俺達のもんだぜ!」
力強い声がボブの咆哮を遮る。鵺鳥・昼子(トラツグミ・d00336)の声だ。
ラジカセで激しいメタルの曲を流しながら、昼子は場外の花道を駆ける。ロープをくぐりリングイン!
七名の灼滅者も昼子に続き、リングに上がる。
レナ・フォルトゥス(森羅万象爆裂魔人・d01124)はボブに指を突きつけた。
「あくまでリングは自分達のものというのなら――わたしたちがお相手いたしましょう」
レナは赤の瞳で、ボブをまっすぐ見つめた。
ローゼマリー・ランケ(ヴァイスティガー・d15114)がマイクを手に取った。雄々しい声で告げる。
「勝負は二対一の五分三本勝負! 答エロ! 受ケルカ、ソレトモ、逃ゲルカ?!」
「オッケイ! オマエラ、ブッ潰ース!」
ボブは中指を突き立てる。
リュシール・オーギュスト(お姉ちゃんだから・d04213)はローゼマリーからマイクを受け取り、観客へ告げる。
「さあ、本日のサプライズ! 伝説の辻斬りヒール『ボブ・ザ・デンジャラス』と私達八人の変則対戦! ――皆さん、どうぞお楽しみ下さい!」
観客たちはしばらくぽかんとしていたが、姫の様な気品や威厳に押され、やがて拍手をし始めた。
リング下では、ケツァールマスクが愉快そうに目を細めている。
●ラウンド1、2
昼子の殺界形成で一般人選手は大慌てで、リング下に逃げていく。灼滅者のうち六名もリングから降りた。
リングに残ったのは、ボブと、そして昼子とレナ。
昼子は右手を差し出す。握手を求めてると受け取ったようだ、ボブはレナの手を握る。
昼子は腕に力を込める。ボブの手を思いっきり引っ張った。油断していたボブを転ばせる。
「ひーっひっひ! 間抜けめっ!」
昼子は、倒れたボブを踏む。さらにシールドを振り落とす!
「グヌオッ!」
ボブは怯む。が、それも僅かな間。ボブは昼子の足を押しのけ立ち上がった。
向かい合う昼子の喉に、ぶすり。ボブの手刀の指先が突き刺さる。
昼子は息が出来なくなる。動きも止めてしまう。そんな昼子の肩や腹へ、ボブが手刀で追い撃ちをかけてくる。
レナは仲間の危機を見、リング上を走る。ボブの背中に迫る。
「好き放題させるわけにはいきませんわ!」
ボブの首の後ろに、炎の腕を叩きつける。激しい音。ラリアットだ!
「許サナイ、オマエ、マルカジリィ!」
レナの打撃はボブを焼く。
が、ボブは振り向く。レナの腕を掴んだ。
腕はボブの顔の前へ寄せられた。
レナの肌に歯が刺さる。血が溢れた。
血に塗れたボブの口。観客席から悲鳴が聞こえた。
筋骨隆々の赤ずきん、クレイ・レッドフッド(赤ずきんさん・d15359)はリング下から仲間の戦いを見ていたが、急いで腕を突き出す。
クレイの掌からリング内のレナに癒しの気が注がれる。気は出血を止め、傷を塞ぐ。
その後もセコンドから支援がとぶ。戦う二人には心強いもの。
が、ボブの攻めはなお苛烈。
今も、ボブはレナの肩を掴む。口を大きく開ける。
頭を噛む気だ。
そこで、シャルロッテ・クラウン(残念な海賊きゃぷてんくらうん・d12345)がリングに乱入。
マストを振り回し、ボブの顔面をジャストミート。
ボブの手がレナから離れた。
昼子は、レナとシャルロッテが敵をひきつけている隙に、場外に降りる。リング下に置いていた凶器を取った。
それは一輪バイク。ライドキャリバー・ケルベロス。
昼子はリングに戻りケルベロスを押した。
ケルベロスはボブへ疾走、そして激突!
「どうだ、ボブ。凶器の味は? ――さあ、フォルトゥス。やってやれっ」
「お任せを。とっておきで決めますわ!」
レナは答え、激突されよろめくボブを背後から掴んだ。
ボブは腕をばたつかせる。
肘がレナの頭に当たるが、レナは腕を離さない。
体を大きく逸らし、ボブの脳天をマットへ叩きつける! そしてフォール。
『1』
灼滅者と観客がカウントを始める。
『2、ス……』、
ボブの肩が上がった。カウントは2.5!
そこでゴングが鳴る。一試合目は終了、結果は引き分け。が、良い試合だったと観客達が拍手を響かせた。
一戦目が終わった会場に、ヘビメタ音楽が流れる。
骸骨の仮面、天方・矜人(疾走する魂・d01499)が、ラジカセを担ぎリングに上がる。両腕を横に広げ宣言。
「武蔵坂スレイヤーズの二番手、天方・矜人! さあ、ヒーロー……もとい、ヒールタイムだ!」
言い終えると今度は、エンジン音。
神夜・明日等(火撃のアスラ・d01914)が、ライドキャリバーに乗りリングに迫る。
「アンタなんか、すぐマットに沈めてやるんだから!」
リング前でジャンプ。トップロープを飛び越えリングイン。
試合が始まる。二人の前でボブが飛んだ。
「ツブス!」
ボブの巨体が落下。マットを背中で打つ!
衝撃波が発生し、明日等と矜人を吹き飛ばした。
ロープまで飛ばされた矜人。
矜人はロープにもたれ、反動を利用して走る。目標はボブ。
矜人はボブの体を掴んだ。攻撃直後でバランスの崩れた体を掴むことなど容易いと。
明日等は衝撃で倒れていたが、立ちあがる。ジャンプ。
さらに空気を蹴るようにして二段ジャンプ。
落下しつつ、閃光百烈拳の手刀で掴まれた相手の脳天を――打つ!
ぐお!? 明日等の手刀に悲鳴をあげるボブ。
その巨体を矜人が持ち上げる。そして投げ捨てた。地獄投げで、投げっぱなしのジャーマンスープレックス!
見事な連携に、観客席が湧きたった。
が、ボブは黙っていない。両手をマットに突いて立ち上がると、反撃。
明日等は怪力の水平チョップをまともに受け、場外に落ちた。
ボブは追いかけようとロープを掴んだが、ローゼマリーがビハインド・ベルトーシカを引き連れ、エプロンサイドに立つ。二人は、仲間を庇いボブを牽制。
リングの下で。リュシールは明日等の傍らにいた。打たれた部位を確かめながら、気で治療を施す。
明日等はリュシールに軽く頭を下げ、再びリングへ。
時間が経過して。今、ボブは矜人の腕を齧っていた
矜人はダイナマイトモードで、コートを赤く変色させた。
仮面の目の部分も赤くなる。
「さあ、ダイナマイトにハジけるぜ!」
矜人はボブの顔を引きはがす。血が飛ぶ。リングが汚れるが、矜人は構わない。
矜人は杖を振る。ボブの肉を殴りつける。
威力は絶大。ボブを吹き飛ばす!
ボブはマットに転がり、大の字に。
明日等はリングに戻るとボブに駆け寄った。しゃがみ込み腕をとる。両足で腕を挟み、
「教えてあげる。これがあたしのプロレスよ!」
ボブの肘関節を反りあげる。腕ひしぎ逆十字固め。さらに影を腕に巻きつける!
「ノオオ!」
苦悶の声をあげ、掌でマットを叩くボブ。ギブアップしたのだ。
技を解かれボブはニヤリと笑って立ち上がる。まだ余力がある? 後の試合へ力を温存した? あるいはただの虚勢か。
いずれにしろ、灼滅者の一勝一分け。
「がんばれー、後一勝だー!」
「ボブも負けるなー」
観客の声援。ケツァールマスクは相変わらず腕を組んだまま、リング上を凝視している。
●ラウンド3、そして最終ラウンド。
三試合目。
「『Princesse』Lucile、お相手するわ!」
リュシールは宣言を終えると、旋律を口ずさみながら、リングイン。足が小刻みに動く。ステップを刻むように。
シャルロッテは巨大なマストを担ぎながら、入場。
「きゃぷてん・くらうんさまの、おとーりだあっ!」
彼女が着ている海賊コートや担いだマストが、金色に光り輝く! ゴージャスモードだ。
リュシールとシャルロッテは視線を交わし、頷きあう。
ゴングが鳴った直後、二人は腕を繰り出した。
リュシールの掌底が、シャルロッテの肘が、ボブの顎を打ち抜く!
タイミングの合った打撃のコンビネーションに、ボブの巨体が揺れ、倒れた。
が、ボブはすぐに立ち上がる。
リュシールの肩にボブの手刀が打ちつけられた! さらに、リュシールは頭突きを喰らってしまう。
痛みを堪えるリュシールの前で、ボブは勝ち誇る。
「オレサマ、強イ! サイキョ……ぐはああっ!?」
ボブが悲鳴を上げた。一輪バイク・ケルベロスが、リング下から飛んできた。昼子が投げたのだ。
ケルベロスはボブの背に命中。
体をくの字に曲げ痛がるボブ。
リュシールとシャルロッテは、仲間が作ってくれた時間で、呼吸を整え攻撃の構えを再度取る。
その後は一進一退の展開。二人は少なからずの傷を負うが、明日等がリング下から光の輪を操り、支援。
リュシールは光が自分を癒すのを感じながら、低い姿勢でタックル。ボブを押し倒した。
リュシールはボブの両足を掴み、体を強引に振り回す。
「ぬ、ぎ……っぁああああああっ」
足に力を入れ、ボブを振り回したままジャンプ。コーナーポスト上に着地し、そこからボブを投げ捨てた!
マットに激突するボブの巨体。
彼の足をシャルロッテは掴む。両足を肩に乗せ、ボブを持ち上げた。
「おめーはさめのえさだっ!」
足元の影、うごめく影の中にボブの巨体を叩きつけた。影喰らいとパワーボムを組み合わせた、パイレーツボム!
決まったか? 否。シャルロッテの影に包まれながらも、ボブはもがく。
ボブはロープを掴む。三本ロープを登り影から逃れた。
ボブはトップロープに立ち、二人に向かって落ちる。
肉の重みでシャルロッテを潰し、衝撃波でリュシールを弾き飛ばす!
そしてボブはシャルロッテの上半身を抑えつける。
シャルロッテは足をばたつかせるが、ボブを跳ねのけられない。
カウントが始まる。1、2……3! 三試合目はボブの勝利。
これで、勝負は灼滅者の一勝一敗一分。
観客が固唾を飲み見守る中、四試合目が始まった。
クレイはリングに立つと、ガトリングガンを出した。ガンを殴りつけ、踏みつける。
銃は使わないというアピールに、観客はざわめく。
もう一人の選手はローゼマリー。彼女のコスチュームが白く輝きだす。
さらに腕の筋肉が、肩の筋肉が、盛り上がる!
「ヘイ! 不死身比ベダ! カカッテコイ!」
ローゼマリーの挑発。
ボブは挑発にのった。雄叫びをあげ突進してくる。ローゼマリーの首をボブの太い腕が打つ。ラリアット。打撃の重たさに、ふらつくローゼマリーの足。
が、ローゼマリーは倒れない。ローゼマリーは一旦後ろにさがり、マットを蹴った。突撃。肩を相手の腹にぶつけ、先程のお返し!
その威力にボブは後退する。さがるボブをクレイが追った。
クレイは片足をあげた。
相手の足を思い切り踏みつけ、フリージングデスを実行。踏みつけた相手の足を凍らせる。
「どうだ、足が思うように動くまい!」
「コシャクナ!」
クレイが与えた冷たさと痛みに、ボブが悔しげに喚く。目を限界まで開き、怒りを表現している。
時間が経過し。
クレイとボブはロープ際で激戦を繰り広げてきたが、ボブの牙の様な歯がクレイの頭を噛んでいた。
クレイはボブの体を押し振りほどくが、勢い余り場外に落ちた。
矜人がクレイに近づいた。
「まだ行ける!」言葉と集気法でクレイを応援する
クレイの隣で、レナはリング上に注意を払う。ボブが場外に降りても観客は守る。その為の警戒。
リングの上では、ローゼマリーが腕を振っていた。
ローゼマリーは閃光百烈拳の要領で、ボブの胸に手刀をみまう。
「マダマダ行クゾ! 次ハ……コレダッ!」
ダブルの動きでボブの足を掴み、ドラゴンスクリュー式の地獄投げ!
回転し倒れるボブ。
クレイはリングに戻り、コーナーポストの上に移動した。
「この距離とタイミングならいける……ダイビング・エルボー・ドロップ!」
クレイは跳躍する。鋼鉄拳の力を使い、ボブの顔面に肘を落とす
ボブは呻く。ボブは起き上がろうと腹に力を込めるが、立てない。
灼滅者八人が与えてきたダメージが、ボブに立ちあがることを許さない!
ゴングが鳴る。
ゴングが、ローゼマリーとクレイの勝利を、灼滅者たち全員の勝利を告げる。
ケツァールが組んでいた腕を解いた。
「灼滅者よ、見事だ! お前達の力に、プロレス魂に、そして勝利に祝福を!」
力づよく拍手。
観客たちもともに拍手し、灼滅者たちを称賛する。
●試合の後はノーサイド
ケツァールマスクがリングに上がり、倒れたボブを起こし、肩を貸す。
ボブとケツァールマスクへ、明日等と矜人が声をかけた。
「ボブ、あなたは良いレスラーだったわ! また、会いましょう。でも次に会う時は、あたしたち、もっと強くなっているわ!」
「ナイスファイトだったな。再戦なら、いつでも受けて立つぜ」
片目を瞑る明日等。
矜人もボブを称えた後、ケツァールマスクへ自分の連絡先を書いたメモを渡す。
ボブは明日等へ不敵に笑い返し、ケツァールマスクは何も言わずメモを受け取った。
「再度言おう、実に見事なプロレスだった!」
二人はリングを降り、出口へ歩いていく。
クレイは、二人からリングのマットへ視線を移す。
「それにしてもプロレスのリングに立つというのは、なんとも不思議なものだ……」
クレイは顔をあげる。
「そろそろ行こう」
灼滅者たちもリングを降りる。
観客達は拍手と歓声で彼らを見送ってくれた。
良い試合だったと、面白くて感激したと。
シャルロッテは観客達に手を振って応えながら、言う。
「ぷろれすってたのしかったぜ!」
元気いっぱいな声で。
作者:雪神あゆた |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年11月9日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 35/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
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