最後の授業

    作者:陵かなめ

    「シロノ王セイメイノアラタナ企ミガ確認サレタ。死体ヲアンデッドニスル儀式ノヨウダ」
     学園に現れたクロキバは語った。白の王セイメイの新たな企み、死体をアンデッドにする儀式。穏やかではないキーワードが見える。
    「申シ訳ナイノダガ、コレヲ知ッタ若イイフリートガ、事件ノ起コル場所ニ向カッテシマッテイル」
     若いイフリートがアンデッドと戦うため現場に向かったというのか。
    「彼ラガ暴レレバ、周囲ニ被害ガ出テシマウノデ、済マナイガ彼ラヲ止メルカ、彼ラガ来ル前ニ、セイメイノ企ミヲ砕イテクレナイダロウカ」
     なるほど、若いイフリートが見境なく戦えば、周囲の一般人も被害にあってしまうだろう。そうなれば、学園としても捨て置くことはできない。灼滅、という事にもなるだろう。そうなる前に知らせにきたのだと。
    「ヨロシク頼ム」
     これが、クロキバの依頼だった。
     
    ●依頼
     五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)は、早速、事件の概要について話し始めた。
    「白の王セイメイが新たなアンデッドを生み出そうとしていることが、クロキバさんから知らされました。調べてみたところ、全国の霊安室やお通夜、お葬式の席、火葬場などで、死体がアンデッド化する事件が起こることがわかりました」
    「ねえ、そんな一般人が沢山いる場所でアンデッドが暴れ出したら、大変なことになるんじゃないの?」
     教室で聞いていた空色・紺子(高校生魔法使い・dn0105)が顔を曇らせる。
    「はい。ですから、そうならないようにアンデッドを倒して事件を解決してほしいのです」
     姫子は神妙な顔つきで、そう答えた。
    「今回の戦場は、老衰でお亡くなりになった方のお葬式会場です。この方がアンデッドになるのですが、生前は高校の教師をされていたと言うこともあり、多くの弔問客が訪れています」
     場所は大きなセレモニーホール。
     喪主や親族はもちろん、職場関係や知人友人教え子など、老若男女多数の参列者がいる。
    「えっと、お葬式の会場ってことは、出入り口が少ないよね?」
    「そうですね、祭壇から離れた場所に、大きな扉が一つです」
     もし一般人を逃がすのならば、アンデッドから守りながら、きちんと誘導する必要がある。
    「アンデッドとなる元教師ですが、長く教鞭を取っていたことから、本による打撃やチョークを投げる遠距離の攻撃などが考えられます。通常のアンデッドよりも強いです。勿論、眷属ですから、ダークネスほど強くはありませんけれど」
     ここまで話して、姫子が一つ間をおいた。
    「さて、ここまでお話しましたが、一つ問題があります。血気盛んな若手のイフリートが、すでにこの事件を嗅ぎ付けて、近くまで来ているようなのです」
     彼にエクスブレインの予知は無いため、セイメイの悪事のにおいを嗅ぎ付けて周囲を嗅ぎまわっている状態だ。事件が発生すれば、その場に駆けつけてきてしまうだろう。
     人が多い場所でイフリートが暴れまわれば、アンデッドと戦う以上に被害が出てしまうだろうし、死人が出ないとも限らない。
    「そっか。じゃあどうすればいいのかな? イフリートを探し出して引き返してもらうよう説得する? うーん、あとは」
    「被害を出さないように協力して事件を解決してもらうか、でしょうか」
     もしくは、イフリートを足止めしている間に、先に解決して引き返してもらうか?
     紺子と姫子は顔を見合わせた。どのように対処するのか、しっかりと話し合う必要があるだろう。
    「ちなみに、イフリートって簡単に探せるものなの?」
    「はい。かなり会場近くまで来ていますから、皆で探せば見つかるはずです」
     最後に姫子は教室に集まった灼滅者の顔を見た。
    「会場の一般人の避難、アンデッドとの戦闘、イフリートの件どのように対処するのか。沢山決めることはありますが、皆さんがんばってください」


    参加者
    ライラ・ドットハック(蒼の閃光・d04068)
    乙宮・立花(仮想のゆりかご・d06338)
    海藤・俊輔(べひもす・d07111)
    ファリス・メイティス(黄昏色の十字架・d07880)
    夢代・炬燵(こたつ部員・d13671)
    岬・在雛(トリッキューなステゴロ・d16389)
    佐々木・悠(愚者・d19124)
    サイラス・バートレット(中学生デモノイドヒューマン・d22214)

    ■リプレイ

    ●外と中で
     イフリートの対応を任された仲間は、セレモニーホールの四隅から分かれて捜索していた。
     ホールの裏手、一般人が足を踏み入れないような雑木林を捜索しているのはライラ・ドットハック(蒼の閃光・d04068)。長い間人の手が入っていないようで、草も木の枝も伸び放題だった。
     顔にかかる葉を表情一つ変えず手で払いのけ、辺りを窺う。
    「……気配はなし、か」
     もう一度注意深く確認し、次の場所へ向かった。
     ライラとは逆の方向から雑木林を捜索しているのはサイラス・バートレット(中学生デモノイドヒューマン・d22214)だ。鼻を利かせ、慎重に匂いをかぎ分ける。
    「この辺りには居ないか」
     もしもの時のために鳴子も設置してみたが、まだ知らせの音は聞こえなかった。
     佐々木・悠(愚者・d19124)も同様にイフリートの捜索に当たっていた。
    「……」
     周囲を見回すが、それらしき影はなかった。
    「行くよ。シェリル」
     スレイヤーカードをかざしファリス・メイティス(黄昏色の十字架・d07880)が呼びかけると、ナノナノのシェリルが姿を現した。お互いの死角を補うよう、注意深く辺りを見回す。
     一般人の目を避けるため念には念をと闇をまとっているが、一般人が偶然通りかかるような場所ではないようだ。勿論、葬儀の参列者が行き来する場所なので、目立たないに越したことはない。
     周辺に大きな建物はなく、双眼鏡で順に確認していった。
    「……居たね」
     距離はかなり離れている。相手はまだこちらに気づいていない。
     ホールの正面から広がる草原。その先の、背の高い草が生い茂っている奥に、赤々と燃え上がる獣の姿が見えたのだ。
     双眼鏡越しに、その姿は十分インパクトのあるものだった。姿勢を落とし、四つの足でゆっくり歩き、何かを探しているようにも見える。仲間に連絡を取ろうとトランシーバーを取り出すが、誰か受け答えるトランシーバーを持っていただろうか……?
     ファリスはトランシーバーを諦め、万が一の時のために設置しておいた鳴子に手をかけた。これを鳴らせば、イフリートにもその音が聞こえる可能性もある。けれど、すでに斎場の仲間は行動を始めているはずだ。
     鳴子に手をかけると、カランカランと乾いた音が辺りに響いた。
     一方、斎場内では、闇をまとった海藤・俊輔(べひもす・d07111)が火災報知機の前で待機していた。そっと斎場を覗くと、多くの参列者の姿が見える。
    (「人気者のせんせーだったんだなー」)
     皆の表情は暗く、それでいて祭壇にしっかりとした視線を向けている。
     ちゃんとお別れをしに来た人々だ。それなのに、こう言うのは許せない。
    (「勝負事も含めて全力で叩き潰してやんよー」)
     気合を改めて、火災について確認する。煙を起こそうとも考えていたが、風輪・優歌にクリエイトファイアの用意があるという事なので、それに頼ることにする。少しの炎で火事を装い、火災報知機を鳴らす。
    「じゃあ、皆。避難頼むぜー」
     俊輔の指が、火災報知機のスイッチを迷いなく押し込んだ。
     セレモニーホール内に、大音量の非常ベルが鳴り響く。
     途端にざわめく場内、足を止める参列者、顔を見合わせる係員。
    「ESPを使います。乙宮さん、空色さん、一般の方の避難誘導をお願いしますね」
     夢代・炬燵(こたつ部員・d13671)は、仲間の顔を確認して体から殺気を立ち上らせた。ざわりざわりと、恐ろしい感覚だけが広がっていく。火災のベルと肌に感じる恐怖と。その場に留まっていた一般人達が、出入り口に向かって走り始めた。
    「火災が発生しました。係員の指示に従って、速やかに避難をお願いします!」
     ほどなくホールに姿を現した乙宮・立花(仮想のゆりかご・d06338)が、はっきりとした声を上げた。今は緊急時だ。いつアンデッドが起き上がってくるかもわからない。普段はあまり見せない姿だった。
    「こっちから、順番にね」
     岬・在雛(トリッキューなステゴロ・d16389)が手を上げると、紺子をはじめサポートのメンバーも一般人の避難誘導を始めた。
     大人数が移動する、その勢いの波に足を取られ転びそうになった老人がいる。音羽・紗和が、すぐさま近づき支えた。親に手を引かれ泣きながら走っていた子供が、バランスを崩す。勾月・静樹が走り寄り抱き起こした。出口の先で誘導をする紀伊野・壱里の姿もある。

    ●起き上がり、話し合い
    「気をつけて」
     在雛が祭壇の異変に気がついた。
     ゆっくりと、確かに、棺が押し上げられている。
     最後の参列者が出口のドアに届いたところだった。
    「おっけー、相手してやるよー」
     俊輔がひらり祭壇の前に躍り出た。
    「……ォ、オォォォオオ」
     不気味な叫び声がこだまする。
     果たして、起き上がったアンデッドは祭壇の上に立った。
     逃げる一般参列者の背がホールから消えていく。その背に向かって、アンデッドが迷いなくチョークを投げつける。
    「……させない」
     誘導をしていた立花が、それに気づいて指輪を構えた。魔法弾を放ち、チョークと相殺させる。
    「……いこうか」
     霊犬の佐助を一撫でする。イフリートを説得している仲間の姿はまだ見えない。だが、アンデッドが起き上がってしまっては、メールで連絡することもできなかった。――戦うしかないだろう。しっかりと相手を見据え、覚悟を決めた。
    「戦闘開始ですね」
    「そうだね」
     炬燵と在雛もまた、武器を構え祭壇の前に立つ。
     外の仲間はどうしただろうか。どちらにせよ合流するまでここにいるメンバーで持ちこたえなければならない。
     まるで教壇に立つように辞書を小脇に抱え、アンデッドが祭壇からゆっくりと降りてくる。
     いつの間にか火災のベルは鳴り止んでいた。炎も煙もない。ただ、この広いホールに、戦う者だけが残った。

     さて、ホールの外では、鳴子の音を聞いて仲間達が集まってきていた。少々時間がかかってしまったけれど、それも致し方ないだろう。
     呼ぶ音を聞いたのはイフリートも同じだった。
     音に気づいたイフリートは、草原を瞬時に駆け抜け、灼滅者達の前に現れたのだ。
     全身に纏う炎、ギラリとまっすぐ睨み付ける鋭い眼光。見た目は幼いながらも、彼の底から湧き出るような強さをひしひしと感じる。
     イフリートは今にも飛び掛ってきそうな勢いだった。
    「ストップ、ストップ! ちょっと待って! アンデッドのところまで連れてってあげるよ」
     こちらに戦う意思はないのだと示すように、ファリスが両手を振る。
     獣姿のイフリートは、何を言っているのかと首を傾げるようなしぐさを見せた。
    「……僕たちの、仲間になりませんか?」
     悠が切り出す。
    「オレ、イソガシイ、ノダ。オマエ、ナカマ、チガウ。ドケ」
     目の前に現れた小さな者達など、取るに足りない存在。自分の力だけでアンデッドを倒す。イフリートはそんな態度をはっきりと表し、歩き始めた。
    「俺らもクロキバから頼まれててな」
     その足を止めさせたのは、サイラスの言葉だった。
    「クロキバ、シッテル、ノカ?」
     これが、取っ掛かりとなった。
    「……わたし達とあなた。どちらがセイメイの配下を先に倒すか、勝負しない?」
    「ショーブ」
     ライラの口から出た勝負という言葉に、イフリートの耳がピクリと反応する。
    「……まさかとは思うけど、逃げないよね? クロキバの仲間なら、わたし達より優秀と証明できるはず」
     相手の自尊心をくすぐるような言葉選びをすると、イフリートはガウガウと唸り声を上げた。
    「オレ、ニゲナイ!! オレ、ユーシュー!!」
    「だったら、さ。お前と俺ら、どっちが早く獲物を狩れるか、競争してみねぇか?」
     話をまとめるようにサイラスが言うと、イフリートは「オレガ、イチバン」と叫び、勝負に勝つと息巻いた。
    「……すでに敵は見つけている。付いていらっしゃい」
     ライラの言葉に、イフリートは素直に従う。
     また、ファリスがいいと言うまで攻撃をしないでほしいと伝えると、ショーブだから、と、彼なりに納得したようだった。
    「……」
     何とかなった。悠はほっと胸をなでおろした。
     イフリートを加えた一同は、急ぎセレモニーホールへと向かう。
     現場はすでに人払いが済んでおり、周辺に一般人の影はなかった。どうやら、ホールの仲間は一般人の避難に成功した様子だ。
    「よし。”せーの”でアンデッドを攻撃しよう。どちらが倒すかは早い者勝ちだよ?」
     ファリスが声をかけると同時に、イフリートは唸り声を上げ戦う姿勢を取る。
     何かがぶつかる音が、ホールの中から聞こえてきた。
     それを合図に動き出す。
     開かれた出入り口の扉めがけ、一気に駆け出した。

    ●アンデッドとイフリートと
    「……先生が、チョークや辞書で、誰かを傷つける、なんて……悲しすぎる……」
     辞書を振りかざすアンデッドの攻撃を受け流し、立花が霊力を網状に放出する。それはアンデッドに絡みつき、確実に動きを鈍らせた。
     アンデッドは、うめき声をあげる。
     安らかに、眠ってもらわなければならないと強く思う。従えた佐助と共に、立花はホール内を駆けた。
    「わざわざ、蘇ってまで教鞭を振るう精神は尊敬に値しますが、あなたが今していることは、今では体罰に当たるんですよ」
     炬燵が諭すように声をかけても、アンデッドは何も答えなかった。
     代わりにチョークを構える様子が見える。
    「いちおー競争だからあんまやり過ぎるとひきょーだし」
     言いながら、オーラを纏った手を構え俊輔が走った。投げつけられたチョークは、走りながら一つずつ確実に叩き落した。流れを止めず、するり敵の懐に飛び込む。
     獣爪のようなオーラで切り裂けば、アンデッドの死装束が破れていく。
    「ここで捕まえるよ」
     影を伸ばし、在雛はアンデッドを絡め取った。
     動く自由を制限し、装備を切り裂く。
    「ア……ァア……セイメイ、サマ」
     それでも、アンデッドは攻撃を止めようとはしなかった。
     灼滅者達が次の一手を構える。
     その時、出入り口に新たな気配が現れた。
    「ガゥ。オレ、イチバン、ヤッツケルッ!」
     赤く燃え上がる灼滅の炎。獣の姿は勇ましく、低い姿勢で獲物を狙っている。
     その背後から、イフリートの説得に当たっていた仲間達が顔を見せた。
    「あ、話はついたんですね」
     炬燵がその様子を見て安堵の表情を浮かべた。
     並んで入ってきたということは、イフリートと話をつけたのだろう。
     ようやく合流がかなった。仲間達は、いそいそと配置につく。
    「じゃあ、いくよ? せーのっ」
     ファリスが声をかけると、今か今かと待っていたと言わんばかりの勢いでイフリートが踏み込んだ。
    「オレガ、ヤッツケテ、ヤルノダッ」
     後ろ足で大きく地面を蹴り、瞬時に距離を詰めアンデッドに噛み付く。何かが噛み壊される嫌な音が響いた。だが、イフリートは攻撃の手を緩めない。そのまま頭を振り、壁にアンデッドを叩きつけた。
    「……ア、ァ、ヴ、ァァァ……」
     たまらず、アンデッドが苦しげなうめき声を上げる。
     安らかに葬儀を迎えるはずだった先生。それが、このような姿で蘇るなど、それは……。
    「死者への冒涜。捨て置くわけにはいかないな」
     ファリスはざっと仲間を見回し、傷を負っている仲間に癒しの力を向けた。
     それにしても、と。次の攻撃に移りそうなイフリートの様子をちらりと見る。イフリートの力は、見るからに凄まじいものだ。名目上は競争という事になっているが、味方につけると心強い。
     だがまだアンデッドは消えない。
    「……眠りさない。あなたの授業は終業よ」
     片腕を巨大に異形化させる。牙が多数生えた怪腕を、ライラは振るった。勢いのまま、もがくアンデッドを殴りつける。
    「あなたの時代は終わったのですよ。ですから、あとはここに集まってくれていた教え子たちに任せて、死後の世界で教鞭を振るってください」
     畳み掛けるように、炬燵がアンデッドへ影を伸ばした。
    「セイメイ、サマノ、タメニ……ァ、ア」
    「喰われな」
     サイラスが連環刃【画竜点睛】を器用に伸ばし、まだ動く気配のするアンデッドを捕らえる。続けて、悠と在雛も攻撃を叩き込んだ。

    ●イフリートの炎
    「もういっちょう、行こうぜー」
    「……うん」
     たたらを踏んでよろめいたアンデッドに俊輔と立花が迫る。
     立花と共に走りこんだ佐助は、斬魔刀でアンデッドを切り付けた。続いて立花が魔法弾を飛ばす。
     完全にアンデッドの足が止まった。
     その隙に、俊輔が反対側から飛び込む。
     すさまじい連打を繰り出せば、アンデッドはその場に膝をついた。
    「……退いてっ」
     もう一押し。
     そう思ったとき、ライラの短い指示が飛んだ。
     アンデッドに向かっていた仲間が、その足を止める。イフリートの動きに注意していたライラが見たものは、彼が練り上げた巨大な炎の塊だった。やや離れた位置から、その瞳が狙うはアンデッド。
     今にも炎が爆ぜそうだ。
    「オレガ、イチバン、ダッ」
     仲間が慌ててアンデッドから距離を取る。
     ほぼ同時に、イフリートが放った炎がアンデッドを襲った。
     それは、瞬きをするような、ほんのわずかな時間。
     誰かが息を呑み、誰かが息を漏らした。
     イフリートの炎は、あっけなくアンデッドを焼き尽くした。

    「オマエ、タチ、オレノ、ホノオノ、ジカン。ヨクツクッタナ!」
     イフリートが意気揚々と灼滅者達に声をかけた。彼が巨大な炎を練る時間は、灼滅者達が稼いだようなものだった。
    「……さすがはイフリート、ね。いい戦いだった」
     ライラがイフリートを褒め称えると、彼はむんと胸をはり得意げに鼻を鳴らした。
     そして、満足気に帰っていった。
     一般人への被害もなく、斎場も倒壊するような損傷はない。
    「帰りましょうか」
    「そうだね」
     炬燵の言葉にファリスが頷く。
     サイラスは消えてしまったアンデッドが最後にいた場所をちらりと見た。
     これは、遺された人間の心の傷を抉る、中々酷いやり方だ。改めて、そう思った。

    作者:陵かなめ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年11月16日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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