ロシアに染まったご当地怪人

    作者:天木一

     新潟にある飲食店で、一人の男が箸を割ると、ざるに綺麗に盛られた蕎麦を摘み上げ、さっとつゆに潜らせると勢い良くすする。
     男は目を閉じてゆっくりと蕎麦を味わう。そして目をカッと見開いた。
    「何だこのへぎそばは!」
     お店に響く声で大声で叫び、男は箸を叩き付ける。
    「あの、何か問題がありましたか?」
     奥から店主が何事かと現われ、男に話しかける。
    「このへぎそば、これはいったい何処の蕎麦と布海苔を使ってるんだ!?」
    「はい、それはもう昔から地元のものを使っております」
     激しい男の剣幕にも、店主は胸を張って答えた。
    「ふざけるな! いいか、食べ物はロシアのものが最高なんだ! これからはこいつを使え!」
     男が取り出したのは、ロシア語の書かれた袋に入ったソバの実と布海苔だった。
    「そんな、どう考えても一番美味しいのは日本産ですよ? こんなもの使ったら味が落ちます」
    「そんな事はない! ロシア最高! ロシア万歳! ロシアン怪人こそ正義!」
     恍惚の表情をしていた男は、顔の形を蕎麦蒸籠へと変身した。その口元には生やし始めた髭が蓄えらえれていた。
     男の大きく開いた口から蕎麦を吐き出し店主を雁字搦めにしてしまう。
    「うわぁ!?」
    「さーて、まずはこの店の材料を全てロシア製にしてくれる! ゆくゆくは全ての蕎麦をロシア産のソバにして、このロシアンへきそば怪人が世界を征服してやる!」
     男は高笑いと共に奥へと消えるのだった。
     
    「やあやあ、みんな集まったみたいだね」
     灼滅者を前に、新潟の情報誌を手にした能登・誠一郎(高校生エクスブレイン・dn0103)が話し始める。
    「今回の事件は、どうも新潟の怪人がご当地幹部ロシアンタイガーに忠誠を誓って力を得て、好き勝手に行動するみたいなんだ」
     日本のご当地怪人を傘下に入れて勢力を増していく作戦なのかもしれない。
    「現われる怪人は、新潟の郷土料理であるへぎそばを扱っている店の、材料である蕎麦と布海苔を全てロシアのものと交換してしまうようだね」
     勝手にそんな事をされては、店は大損害となるだろう。
    「この怪人が現われる店は分かっているから、そこで待っていれば遭遇できるよ」
     時間帯は昼過ぎ、店はそこそこ客が入っている。巻き込まないように戦いたい。
    「敵は普通の怪人より強化されてるとはいえ、倒せない敵ではないよ」
     皆が力を合わせれば十分灼滅出来る相手だ。
    「ロシアン怪人の勢力が増えるのは好ましくないよね。何とか発見できた敵は確実に叩いておきたいんだ。だからみんなの力でこの迷惑な怪人を倒して欲しい」
     お願いするよと、誠一郎は頭を下げ灼滅者を見送った。


    参加者
    風花・クラレット(葡萄シューター・d01548)
    エルメンガルト・ガル(ウェイド・d01742)
    ファルケ・リフライヤ(爆走する音痴な歌声銀河特急便・d03954)
    神堂・律(悔恨のアルゴリズム・d09731)
    狼幻・隼人(紅超特急・d11438)
    志乃原・ちゆ(カンタレラ・d16072)
    守ヶ原・悠華(グリーンガーダー・d20635)
    響・ヴェールヌイ(ふしちょー・d21662)

    ■リプレイ

    ●新潟の蕎麦
     お昼の飲食店は人の流れが速い。
     寒気に満ちた外から逃げるように店内へと客がやってくる。
     中は蕎麦を食べに来る客達で繁盛していた。
     そんな店に3人の灼滅者が訪れる。
    「大盛りサービスして~!」
     テーブルに座ると笑顔で注文する風花・クラレット(葡萄シューター・d01548)。その姿に見蕩れた店主は、あいよと威勢良く返事をして大盛りに盛り付ける。
    「お蕎麦って言うのは暖かいのも冷たいのも楽しめて、いいですよね。あと、安いって点もとっても素敵です」
     財布に優しいのもいいと、志乃原・ちゆ(カンタレラ・d16072)はじっとメニューを見るが、蕎麦を注文すると食べる事に夢中になりそうなので自重する。
     四角い木の器に乗った蕎麦が灼滅者達の座るテーブルに並べられる。
    「……ん、この蕎麦美味いな!」
     早速箸を手にしたファルケ・リフライヤ(爆走する音痴な歌声銀河特急便・d03954)が、ずるずると蕎麦をすすり味わう。
    「ほんと、美味しいわね」
     クラレットも舌鼓を打つ。そんな2人をちゆは見ないように視線を逸らすと、お腹が可愛く鳴った。
     美味しそうに蕎麦を食べる様子を、店の外から観察する者が居た。
    「うまそうに食ってるなー」
     店内で美味そうに蕎麦を食う仲間を、エルメンガルト・ガル(ウェイド・d01742)は羨ましそうに眺める。
    「……俺も蕎麦食いたい……あの香りが最高なんだよなぁ……」
     その隣で神堂・律(悔恨のアルゴリズム・d09731)がぶつぶつと呟く。
    「最初は何もつけないで食ってさ、その後汁をちょいっと……」
     じゅるりと涎が出そうなほど、妄想の世界へ入っていた。
    「今は我慢や。しっかし、ロシアの蕎麦になったらご当地そばやないやないか」
     蕎麦に意識が飛びそうになる仲間を堪えさせようと、狼幻・隼人(紅超特急・d11438)は蕎麦から怪人の事に話題を変える。
    「あ、でも作り方はともかく素材を他から持ってくるのは有りなんか?」
     ご当地とはどこまでご当地なのかと隼人は首を捻る。
    「でもロシア属性持ちとしては、是非はともかく一度食べてみたいところではあるね」
     ロシアの血が流れる響・ヴェールヌイ(ふしちょー・d21662)は、ロシア風へぎそばに興味津々だった
    「元は新潟の怪人なのに今はロシア怪人。これって自分の故郷を捨てたって事だよね。……なんか悲しいね」
     自らのご当地を裏切った怪人を思い、守ヶ原・悠華(グリーンガーダー・d20635)は寂しそうな表情を見せた。
     少しの間しんみりした空気が流れる。その時、まだ生え揃っていない口髭を蓄えた男が店へ向かっているのを発見した。
    「どうやら来たみたいだね」
     エルメンガルトの言葉に灼滅者達は顔を合わせて頷く。
    「さて、やりますか」
     道行く人々に向け響は殺気を放ったのを合図に、全員が行動を開始した。

    ●ロシアに染まった男
    「何だこのへぎそば……」
    「ここのお店は既に美味しいわ。ロシアン怪人の出番は無いわよ?」
     髭の男が叫ぼうとした時、クラレットが前に出てその言葉を遮る。
    「何だと? 何故俺の事を!?」
     ロシアン怪人という言葉に反応した男は、驚いたように見る。
    「ふ、ロシア製がいいって、食ったことあるのか? まだまだ甘いな」
    「ロシアってあれですよね、ウォッカのイメージしかないんですが。ひょっとしてお蕎麦にも入れる気ですか? やだなあ、せっかくのダシが台無しになっちゃいますよ」
     何も分かっちゃいないと、ファルケが鼻で笑い。続けてちゆもロシアを馬鹿にするように言葉を続ける。
    「お前達に蕎麦の何が分かるというのだ!」
     その挑発的な態度に青筋を浮かべて激昂する男。
    「ロシアの材料に変えたいならば、まずへぎそばガードの私達を倒す事ね!」
    「店に損害を出すわけにはいかない、場所を変えて白黒つけようぜ」
     そう言ってクラレットとファルケは外に向かう。
    「自信が無いなら来なくてもいいですけど」
     その後ろに続くちゆが、チラリと振り返って挑発する。
    「いいだろう。本当の蕎麦がどういうものなのか、教えてやろう」
     挑発に乗った男もその後ろに続く。
    「あ、あのお客さん……」
    「外は危ないから中にいなよ、すぐ帰ってくるからさ」
     何が起きているのかと心配そうに話かけてくる店主に、ファルケが周囲の客とまとめて威圧し、この場にいるように指示する。
     店の外に出ると、待ち構えていた仲間達が合流して空き地へ誘導する。そちらに向け歩を進めると、仲間と共に男を取り囲んだ。
    「ここなら誰の迷惑にもならないよ」
     周囲に建物のない場所で悠華が振り向く。
    「もうこの辺りには人はおらんで、好きに戦えるっちゅーわけや」
     隼人は槍を構え、戦闘態勢に入りながらそう告げる。
     男が店内に入った時点で、外の人払いは行なわれていた。視界に入る範囲には一般人はいない。
    「お前達の仲間か……いいだろう、何人いようと無駄な事。このロシア風へぎそば怪人の力を見せてやる!」
     男の顔が木の板になり、蕎麦蒸籠へとその姿を変える。
    「ソバは食べてないから若干空腹だけど、美味しいソバを守るため、キサマの企み打ち砕く!」
     決まらない台詞と共に、エルメンガルトがびしっと男を指差す。
    「何でもかんでもロシア風味にすりゃいーってモンじゃねぇだろーに……。とにかく、日本蕎麦、存亡の危機だ。灼滅しましょうかね」
     軽く文句を言いながら、律が前に出る。その足元から伸びる影が、触手のようにうねり怪人の足を捕らえた。
    「この程度!」
     怪人は手にした箸で影を摘んで切り裂く。だが、その間を突き灼滅者が仕掛ける。
    「見せてあげるわ、本当のご当地を力を! クラレットビーム!」
    「ロシア化の前に日本の心を聴けっ! さぁ、俺の歌でカンドーの涙を流すといいっ」
     クラレットがひらりと一回点しながらロッドを振るう。そして技を叫ぶと葡萄色の光線が放たれた。光は怪人の体を焼く。
     続けてファルケがギターをかき鳴らし、メロディに合わせ歌い出す。だがその音程は致命的なまでにずれていた。不協和音が怪人の精神を抉る。
    「ぬぉ! ……口先だけかと思えば意外とやる。ならばロシア蕎麦を喰らわせてやるっ」
     怪人の大きく開いた口から蕎麦が噴き出る。それに対し、ちゆと隼人が仲間を庇うように前に出る。
    「食べ物を粗末にするのは許しません」
    「ほんまもったいないで!」
     ちゆはガトリングガンを構え、襲い来る蕎麦に無数の銃弾を撃ち込む。隼人はエネルギーの盾を拡大して障壁と化し、蕎麦の進撃を阻む。勢いを弱めながらも蕎麦は止まらない。
    「デカさん、ディフェンスを」
     響の指示に、霊犬のデカブリストが駆け寄り、口に咥えた刀で蕎麦を断った。それを機にちゆと隼人が押し返す。そこを狙い済ました響がライフルの引き金を引いた。銃口から放たれたエネルギーの奔流が怪人を吹き飛ばす。
    「行くよ! 西尾抹茶ビーム!」
     更に追い討ちと、悠華が抹茶の如き緑の光線を放つ。怪人の体は光に撃ち落とされ落下していく。
    「ぬうう……!」
     何とか空中で体勢を立て直した怪人は、着地と共に箸を構える。そして一歩踏み出そうとした時、足を引っ張る感触に動きを止めた。
    「何ぃ!?」
     見ればいつの間にか、エルメンガルトの影が地面を伝い怪人の足に絡み付いていた。
    「ご当地怪人ともあろうものが他国に染まるとは……許せないな!」
     怒りを込め影を締め上げる。
    「適材適所って知ってる? ピロシキはロシアのモンが美味いよーに、蕎麦は日本のモンが最高なんだよ!」
     踏み込んだ律が刀を抜き放つ。鞘走った刃は横一閃に怪人の胸を斬り裂く。傷口から黒い汁が溢れ出した。

    ●ロシア風怪人
    「くっくっ……本当に蕎麦が日本のものだと思っているのか?」
     俯いた怪人は皮肉気に笑う。
    「知っているか? 日本の蕎麦の殆どが中国産のソバを使っている事を……一般流通では国産のほうが珍しい。そんな状況でご当地を名乗るか!」
     まるで泣き笑いのような顔で怪人は黒い汁を飛ばす。それは灼滅者の上に雨のように降り掛かる。
    「防ぎます」
    「了解だよ。あんなのに濡れたくナイからね」
     オーラを纏ったちゆが、力を凝縮させて撃ち出す。同時にエルメンガルトが槍から氷柱を飛ばし、降り注ぐ黒い汁を打ち消す。だが撃ち漏れた汁が降り、クラレットと律の体を濡らし、まるで焼けるような痛みを与えた。
    「大丈夫だ、俺の天使の声で身も心も癒してみせるぜっ」
     ファルケが高らかに歌う。心はともかく、その音はあっという間にクラレットの傷を治癒し、霊犬のあらかた丸も浄化の瞳で律に治療を施す。
    「この身に、知らぬ内に中国の血が流れていた事実を知った時の……俺の気持ちが分かるかぁ!」
     魂の慟哭が口から漏れた。怪人は鬱憤を吐き出すように蕎麦を飛ばす。
    「だからってロシア産の蕎麦を使っても一緒でしょ。そもそもロシアの蕎麦なんて知らないわ」
    「……てか、ロシアってそば粉作ってたんだ……初めて知ったよ……」
     クラレットは蕎麦を右腕で受けると、左手で掴み思い切り引っ張りあげる。怪人もまた引き返し、互いの力が拮抗する。
     そこへ律が死角から袈裟斬りに刀を奔らせる。一閃が怪人の背に傷を作った。
    「ロシアはソバの消費量世界一よ。食べ方は違えどロシアでソバは主食だ。ロシア国民はソバを愛している。ならば欺瞞に満ちた日本産に拘る事無く、大いなるロシアの一員になってしまえばいい。ロシア産蕎麦と堂々と売ればいいのだ!」
     引き合った蕎麦が中央で切れる。怪人はもう一度蕎麦を吐き出して追い討ちを仕掛ける。
    「それでええんか? それでも新潟をご当地や言えるんか?」
     飛び出した隼人が飛来する蕎麦を迎え撃ち、巻きつかれ体の自由を奪われながらも、仲間に届く分を受けきった。
    「それって言い訳して諦めただけだよね。ボクはそんな相手には絶対に負けない! 新潟への思いを捨てたあなたになんて、絶対に!」
     自らのご当地愛を燃え立たせ、悠華は大きく跳躍して蹴りを放つ。
    「何と言われようと構わん! このグローバル社会で俺はへぎそばを守り続ける。その為ならロシアの力も取り入れてやる。そしてゆくゆくは世界に覇道を築き上げるのだ!」
     硬い顔の板で蹴りを受け止める。悠華は足跡を顔に残しながら、反動で後ろの大きく跳ぶ。
    「無駄だね」
     足跡のついた場所に響の撃ったオーラが着弾する。衝撃に怪人は仰向けに倒れた。
    「そんな思考では何も守れない」
     そのまま銃口のように冷たい視線を送った。怪人はむくりと起き上がり口を広げる。
    「頼むであらかた丸」
     その間に隼人が声を掛けると、あらかた丸が駆け寄り、巻きついた蕎麦をもぐもぐと食べて千切ってしまった。
    「……なんか意図しとったのと違うなぁ。ま、ええかっ!」
     自由になった隼人は、飛来する黒い汁を盾で防ぎ押し返す。
    「そんなんでええんやったら、別にロシアでも中国でも変わらんのちゃう?」
     その汁の陰からエルメンガルトが手裏剣を投げる。死角からの攻撃は気付かれる事なく怪人の体に刺さった。
    「まあオレはドイツ出身だけど、日本好きだしオレのご当地ダイナミックだって日本由来の筈だし。ツマリもっと日本であることに誇りを持てってことだよ!」
    「日本はもう終わっている。偉大なロシアの庇護下に入ればいいのだ!」
     怪人は刺さった手裏剣を箸で抜き捨てながら言い放つ。
    「その淀んだ目を覚まさせてあげます。いきますよ。歯でも食いしばって覚悟して下さいね」
     ちゆが銃口を向ける。閃光、そして轟音。吐き出される弾丸の雨が怪人を撃ち砕く。
    「ぬぅっ」
     幾つも体に穴を開け黒い汁を垂らしながらも、怪人は身を屈めて弾丸の雨を潜る。
    「歌エネルギーチャージ完了」
     その逃げる前の前に立っていたのはファルケだった。
    「歌って心に響かないなら直接叩きこんで、カンドーの涙を流させるのみっ。くらいやがれ、魂の旋律っこれがサウンドフォースブレイクだぜっ」
     フルスイングの一撃はアッパー気味に怪人の顔面を捉え、打ち上げた。
    「落とす」
     銃を手に響が跳躍する。銃身を鈍器として振り下ろした。怪人はくの字に地面に叩き落とされる。怪人は倒れた上体を持ち上げ振り向いた口から蕎麦を飛ばす。
    「もとより日本の食糧自給率は低いんだから! これ以上それを下げないでくれるかな!」
     炎を宿した刀を振るい、律は蕎麦を払って斬り込む。刀は受け止めようとした怪人の持つ箸を切断し、そのまま刃は顔の板に届いた。
    「そばは材料だけでなくお水も大事なんだよ! ご当地って全部を使うってことなんだから! 食らえ! 新潟名水ビーム!」
     水流が怪人を押し飛ばす。新潟のご当地の力を借りた悠華の一撃が、怪人の汁を流しつくす。
    「自分のご当地を最後まで信じられないのが貴方の敗因ね」
    「ほざけ!」
     クラレットの体がずんだ餅のような緑色のオーラに纏われる。対する怪人は汁が黒く輝く槍のような蕎麦を放つ。
    「おぼろ崩し!」
     その蕎麦をエルメンガルトが受け止めて投げ捨てた。
    「仙台牛タンダイナミック!」
     怪人を持ち上げて跳躍すると、地面に頭から叩き付けた。衝撃で怪人の頭にひびが奔る。
    「お、おおおお、こんな……馬鹿な!?」
     ひび割れから汁が噴出し、ひびが大きくなっていく。
    「へぎそばに栄光あれ! ロシア万歳……!」
     その言葉を最後に、怪人は爆発して跡形も無く消滅した。
    「ダスヴィダーニャ」
     消えた怪人に響は別れの言葉を告げた。

    ●ご当地を食す
     戦い終えた灼滅者は飲食店へと戻ってきた。
    「戦ったらお腹空いたわね。お蕎麦を食べましょう」
     クラレットはさっき食べたんじゃないかという仲間のツッコミを気にせずに店員を呼ぶ。
    「店主、わさびとからし両方を頂きたい」
     席に着いた響がマイペースに蕎麦を頼む。
    「ここの蕎麦美味しかったから皆で食べようよ」
     ファルケの言葉に従い、全員が席に座るとそれぞれ注文する。
    「お待ちどおさまっ」
    「この瞬間の為に頑張ったかいがあったぜ!」
     待ってましたと、律はやってきた蕎麦を勢い良くすする。
    「実は結構楽しみにしてたんだよね、おそば」
     悠華も早速割り箸を割って蕎麦を食べる。
    「うん! おいしい! やっぱり食材は地元の物だよね!」
    「うちの店は国産100%ですから。蕎麦粉は有名な店にも卸してる地元の農家のものですよ」
     店主は胸を張って蕎麦の説明をした。ふんふんとそれを聞きながら味わう灼滅者達。
    「箸使うのって慣れなくてさー」
     箸の扱いに苦労しながらもエルメンガルトは美味そうに蕎麦を口にする。
    「やっぱご当地蕎麦はめっちゃ美味いわ」
     隼人も独特な風味のある蕎麦を味わう。
    「……あ、そういえばもうすぐ年末でしたね」
     美味しそうに夢中で食べていたちゆは、年越し蕎麦もこんな感じの美味しいのが食べたいと笑う。
     皆も土産に買って帰ろうと、ご当地蕎麦の話を楽しそうにするのだった。

    作者:天木一 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年11月16日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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