ゴミも積もれば……

    作者:奏蛍

    ●生ゴミあさり
    「ここにもない……」
     明らかな異臭に顔をしかめながらも、小由里は必死に生ゴミを漁っている。気づかないうちに姉の婚約指輪を捨ててしまったようだった。
     洗い物を終えた姉がそのままお風呂に入るのに指輪を置いて行ったのだ。その後に流しを使った小由里は指輪が置いてあるのなんて思いもしなかった。
     たぶん水に流された指輪はゴミネットの中に。そしてそのネットのゴミを小由里は生ゴミとして捨ててしまったのだ。
    「どうしよう……みつからない……」
     探しても探しても指輪は出てこない。それに生ゴミがどんどん増えていくのだ。
     どれが探してあってどれが探してないのかも、既にわからない。けれど、探し続けなければいけないのだ。
     急いで探し出してここから出ないとゴミに潰されてしまう。もう部屋の中は半分くらいまでゴミで埋め尽くされている。
     小由里に残された時間は後ちょうど半分の時間。異臭がきつくなっていく部屋の中で、小由里は涙を溜めながら生ゴミを漁るのだった。
     
    ●悪夢の中だから汚れない……はず
    「異臭がけっこうきつそうっすね」
     部屋中に転がる生ゴミを想像してギィ・ラフィット(カラブラン・d01039)が呟いた。そして仲間に視線を戻して須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)からの情報を話し始める。ダークネスの持つバベルの鎖の力による予知をかいくぐるには、まりんたちエクスブレインの未来予測が必要になる。
     今回みんなに悪夢から助け出してもらいたいのは、小由里という少女だ。小由里は姉の婚約指輪を間違えて生ゴミと一緒に捨ててしまったことに、罪悪感を覚えていた。
     その罪悪感にシャドウが狙いをつけたのだった。囚われた小由里は、悪夢の中で必死に指輪を探している。
     小由里の姉の方は確かに最初はショックで文句を言ってしまったようなのだが、さっぱりとした性格なのか……。すでに怒っているということもなく、小由里に対してもいつも通りに接している。
     だからこそ、余計に小由里にとってつらいというのもある。姉がもっと怒ってくれたらいいのにとすら思うほどに……。
     まず眠っている小由里にソウルアクセスしてもらう必要があるが、みんななら楽に部屋に侵入できるだろう。
    「物音さえ立てなければ特に問題ないってことらしいっす」
     悪夢の中では、小由里が必死に生ゴミを漁っている。まずは夢であることを理解してもらうことが大事だ。
     シャドウが作り出した悪夢の中では絶対に指輪が見つからないようにできている。もちろん、現実でも指輪を見つけ出すのはもう不可能なわけなのだが……。
     異臭もすごいので、とりあえず早々に悪夢であり探し続けても指輪が見つからないということをみんななりの方法で小百合に伝えてもらいたい。小百合がみんなのことを信じさえすれば、生ゴミは綺麗さっぱり消えてくれる。
     するとシャドウと、その配下五人が部屋に出現してくれるだろう。部屋の広さは十分にあるので、戦うのに問題はない。
     またシャドウは小百合を傷つける意思はないので、戦いの邪魔にならないところにいてもらえれば庇う必要などもない。シャドウは配下が全員灼滅されれば、退却してくれるだろう。
     シャドウを撤退させた後のことだが、そのままみんなもすぐに撤退して頂いて構わない。けれどもし小百合の罪悪感を少しでも減らしてあげられたなら、目覚めた小百合は姉に対して前のような笑顔を見せられるだろう。
     シャドウはシャドウハンターのサイキックとバトルオーラを使ってくる。配下は三人がガトリングガンを、二人がバイオレンスギターをつかてくる。
    「方法は自分たち次第ってことみたいっすね」
     ギィの緑色の瞳が探るようにみんなを見渡すのだった。


    参加者
    鏡宮・来栖(気まぐれチェシャ・d00015)
    ギィ・ラフィット(カラブラン・d01039)
    一之瀬・祇鶴(リードオアダイ・d02609)
    望月・小鳥(せんこうはなび・d06205)
    天外・飛鳥(囚われの蒼い鳥・d08035)
    逢見・莉子(珈琲アロマ・d10150)
    日凪・真弓(戦巫女・d16325)

    ■リプレイ

    ●異臭の中で
     物音を立てずに侵入し、難なくソウルアクセスした灼滅者たちが小由里の夢の中を見渡した。部屋の中を満たしていく生ゴミと異臭。
     そんな部屋の中央に小由里はいた。必死に生ゴミを漁っている。
    「僕も手伝おう。人では多い方がいいだろう?」
     警戒されないように声をかけたのは鏡宮・来栖(気まぐれチェシャ・d00015)だった。一見、青年に見える来栖に言われて小由里は頬を染める。
     来栖はと言えば常に男性のような格好をしているし、間違われることを気にした様子はない。小由里の返事を待たないまま、ゴミの仕分けに参加する。
     その間にもゴミは少しずつ量を増していく。
    「小由里さん、ちょっと待ったっすよ」
     突然現れて、声をかけられても疑問にすら思っていない小由里にギィ・ラフィット(カラブラン・d01039)が声をかける。
    「こんな世界が現実だと思いやすか?」
     そんなはずはないと言うようにギィが冷蔵庫に手をかける。生ゴミの中にいつの間にか出現していた冷蔵庫に小由里は首を傾げる。
     しかし横目でゴミの中を必死に指輪を探している。夢の中に閉じ込められていることを分からせようと、冷蔵庫を持ち上げた。
    「証拠に、ほら、冷蔵庫がこんなに軽々」
     持ち上げて片手で冷蔵庫を支えながらギィが余裕な表情を見せる。まるで手品でも見たと言うように瞳を丸くした小由里の手首をヴィルヘルム・ギュンター(伯爵・d14899)が掴む。
     ギィを見ながらも無意識に手で探し続けていたのだ。
    「それくらいにしたらどうだ?」
     夢の中であるからこそ、いくら探しても探し物は見つからない。小由里に伝えるヴィルヘルムの言葉に望月・小鳥(せんこうはなび・d06205)は微かに頷く。
     なくしてしまったのものは、探しても探しても見つからない。大切なものほどずっと掴んでいないとダメなのだ。
     そうしていないとすぐに零れ落ちて見失ってしまう。でもそれがわかったのなら、後は進むだけ。
     小鳥にはそれがわかっているからこそ、小由里もきっと進めるようになる。大丈夫とつ置く思うのだった。
    「ゴミ、どんどん増えてるな……」
     まるで夢の中のようだと呟く来栖に小由里が、灼滅者たちを見渡した。最初に疑問に思って欲しかったことに気づいたのだった。
     壁を塞いだ生ゴミたちで、ドアを見つけることすら困難だった。どうやってここに入ってきたのか。
    「夢?」
     さっきから、夢という言葉を何度も聞いている。しかし夢?
    「現実でこんな風にゴミが勝手に増えることなんてないだろ」
     ヴィルヘルムが話しているうちにも、ゴミは少しずつ増えていく。思わず生ゴミの臭いに顔を顰める。
     そしてすぐに微かに首を振った。結構臭いことは確かだ。けれど地獄合宿で経験した腐臭に比べたら問題にならない。
     同じく悪臭を感じている日凪・真弓(戦巫女・d16325)も夢だと気づかせるまでの我慢と、まっすぐ小由里を見る。
    「これは貴方が自分自身で背負い込んでいる重荷が見せている悪夢です」
     きっぱりと言い切る真弓に小由里の瞳が見開く。真面目であるが故に融通が利かない真弓の言葉だからこそ、揺るぎなくまっすぐ小由里に届く。
    「重荷……」
     困惑する小由里を見て、誰かに罰して欲しいという気持ちが真弓には分かる。取り返しのつかない事をしてしまった時こそ、その人がどういう人物かというのがわかるものなのかもしれない。
     小由里はきっと真面目で誠実な人物なのだろうと真弓は思う。だからこそ、悪夢から救い出してあげようとさらに言葉を紡ぐ。
    「貴方のお姉さんは貴方がこんなに苦しんでいる事を喜ぶのでしょうか?」
     その言葉に小由里の体が震えたのが、手首を掴むヴィルヘルムにはわかった。そして生ゴミから指輪を探そうと入れ続けていた力が抜けたのも。
    「わかったらさっさと目を覚ませ」
     手首を離したヴィルヘルムがはっきり告げる。しかし生ゴミはまだ消えない。
     どんどんと増え続けている。小由里が探すのをやめたことで、さらに増えるスピードが増した様にも思える。
    「こんなゴミだらけの空間なんて現実じゃないに決まってるんだから」
     完全に夢だと思えないでいる小由里に、さっぱりと耳心地良く響く逢見・莉子(珈琲アロマ・d10150)の声が聞こえる。自分も母親のピアスをなくしてしまった経験がある。
     小由里の気持ちがわかるからこそ、解決策を見つけてくれたらと思う。面倒見がいいせいか、不安で泣きそうな小由里を見ていると放っておけない気持ちになる莉子だった。
    「じゃーん! かわいいでしょ♪」
     殲術道具をプリンセス版に小由里の目の前で変形させた天外・飛鳥(囚われの蒼い鳥・d08035)がにこりと笑う。儚げな美少女に見えるが、少年だ。
     生ゴミの中で、きらきらとした衣装に身を包みくるりと回ってみせる飛鳥に小由里は思わず笑ってしまった。明るい飛鳥の様子に、探さなければいけないという思いから一瞬解放されたのだった。
     そんな小由里の様子に、飛鳥も笑みを深める。凄く仲の良い兄の大事な物をなくしてしまった経験が飛鳥にもある。
     けれど兄は笑って許してくれた。だからこそ、小由里の辛さが同じようにわかる。
     小由里の笑顔がこのまま続けばいいと思うのだ。
    「さっさとこんな臭い夢は終わらせよっ」
     飛鳥の言葉に瞳を彷徨わせた小由里を見て、一之瀬・祇鶴(リードオアダイ・d02609)が呟いた。
    「自分を許せない限り、罪悪感が無くなることはないということね……」
     けれどこんな夢を見続ける限り、小由里と姉が向き合えることはない。この悪夢を終わらせて前を向いて貰わなければいけない。
    「自分の事ばかり考えていないで、ちゃんと姉と向き合いなさい」

    ●探すという思い
     祇鶴の言葉に、小由里は瞳を彷徨わせるのを止めた。
    「悪夢はここで終わりよ」
     心の中では小由里にもわかっていた。生ゴミを探し続けることに意味などないことを。
     けれど、わかりたくなかった。探していればいつかは見つかると思いたかった。
    「指輪……見つからないんだね」
     悪夢だとわかっても、指輪は見つかることはない。信じたくなかった現実だが、小由里は灼滅者たちの言葉を理解し信じた。
     絶望的な小由里の声が響いた瞬間、異臭が嘘のように消えた。そして転がる五つの生ゴミ。
     パチンと言うフィンガークラップが響くのと同時に、床から一人の少女が現れる。そして、生ゴミが形を変える。
    「下がってろ。こいつらが悪夢の元凶だ」
     ヴィルヘルムの言葉に、小由里はのろのろと後ろに下がる。困惑しているのか、呆然としているのか小由里の様子は少しおかしい。
    「おいこら、何勝手してくれてんだよ?」
     シャドウの見た目は可愛らしい少女だが、ものすごい口が悪い。不愉快そうに見てくるシャドウに来栖が床を蹴る。
     前に飛び出すのと同時に黒のトランプに念を込める。そしてシャドウ目掛けて放つ。
     漆黒の弾丸となった想念はシャドウの体をかすめる。
    「いきなりこれとか……」
     シャドウの言葉には怒りが込められている。そんな声を冷静に受け止め、慌てることなく祇鶴が懐から本を取り出す。
     そして栞を抜き取り、眼鏡を外す。
    「さぁ、終わりを始めましょうか」
     力を解放するのと同時に、祇鶴がガトリングガンを連射し始める。合わせて真弓がどす黒いさっきを無尽蔵に放出して、後方の敵を覆い尽くしていく。
    「ただで済むと思うなよ!?」
     後方で攻撃を受けている配下を見た瞬間、シャドウが飛び出していた。オーラを集束させた拳がギィ目掛けて迫る。
    「殲具解放」
     すぐに力を解放したギィが身構える。完全に防ぎきることが出来ないシャドウの凄まじい連打の衝撃に、後方に押しやられる。
     さらにその体に配下の二人がギターで殴りつける。
    「響かせて」
     そんなギィの耳に、力を解放した飛鳥の甘く柔らかな女性的な歌声が響く。
     透明感のある天使のような歌声がギィの傷を癒していく。癒されるのと同時にギィは超弩級の一撃を繰り出した。
     どうせ配下は生ゴミの姿っしょ? と思っていたギィは武器を構え直して少しつまらなそうな顔をする。
    「予想通りすぎっすね」
     ギィの攻撃に崩れそうな形になった配下にヴィルヘルムがとどめを刺す。白光を放つ強烈な斬撃が、配下を本当のゴミと化させ崩れさせる。
     本来ならシャドウを灼滅したいヴィルヘルムだが、現段階では厳しそうだった。ならばさっさと配下を灼滅して撤退させるしかない。
    「ロビンさん行くですよ」
     ビハインドのロビンに声をかけた小鳥が、シャドウに原罪の紋章を刻み込む。合わせてロビンが攻撃を仕掛けている間に、莉子は床を蹴る。
     そしてオーラを集束させた拳で、配下を連打するのだった。

    ●得意なゴミ処理
     激しくギターをかき鳴らす音が莉子を攻撃する。同時に三方向からガトリングガンの連射が始まった。
     前にいた灼滅者たちがそれぞれ攻撃を避けていく。無敵斬艦刀を盾がわりにふわりと避けたギィが、そのまま一気に配下との距離を詰める。
     詰めながら、車道も懲りないと思ってしまうギィだった。闇堕ちを狙っているならまだしも、人間をなぶって遊んでいるようにしか見えない。
     みさげた輩にはきついお仕置きが必要と、超弩級の一撃を再び振り下ろして連射する配下の一人を吹き飛ばす。
    「とどめは任せてよ」
     同時に飛び出した莉子が殴りつけながら魔力を流し込む。莉子が離れた瞬間に内部から爆破が起こり、配下の形が崩れて床に転がった。
    「メディックだから殴らないと思った? ざんねーん♪」
     音波で攻撃をしていた配下の前から、飛鳥が舞うような動きで離れた。殴りつけられた配下が、同じように内部から爆破を起こして体を揺るがす。
     崩れかけた配下を再びヴィルヘルムが斬り捨てる。
    「後残り二体だな」
     崩れた配下を見下ろして、呟いたヴィルヘルムが瞬時に身構えた。影を宿したシャドウの攻撃がヴィルヘルムを捉える。
     衝撃に飛ばされた体が転がってしまう前に、床に片手をつけてその反動で体勢を立て直す。そして着地した。
     内蔵した祭壇を展開させた真弓が結界を構築していく。同時に祇鶴が再び、後方に向かってガトリングを連射する。
     配下への攻撃を邪魔されないうよう来栖が動いた。非物質化させた剣がシャドウに迫る。
     これを避けたシャドウに、小鳥とロビンが攻撃を仕掛けていく。超ド級の一撃を振り下ろした小鳥の攻撃を避けたシャドウが、そのまま漆黒の弾丸を放つ。
     避けられなかった来栖が衝撃に何とか床に踏みとどまって耐える。そして宿敵からの攻撃は全て受け止めてみせると言うようにまっすぐシャドウを見る。
     ガトリングガンを連射していた祇鶴が瞳を細める。
    「あら、まだ生ゴミが残っているようね?」
     灼滅者たちの攻撃を耐えている残り二体を見ながら呟く。
    「こちらのゴミの処理は私達には得意分野だけれど……」
     まだ耐えるの? と言うように微かに首を傾げた祇鶴は間違いなくサディスティックだ。
    「ふざけんな!」
     配下を灼滅されて、尚且つ小馬鹿にされたと感じたシャドウが吠えるのだった。

    ●気持ちに気づいて
    「これで終わりっす」
     緋色のオーラを宿した武器でギィが最後の配下を攻撃する。容赦のない威力に配下は形をとどめておくことが出来ず崩れ去る。
     さらに眉を釣り上げたシャドウが再び仕返しと言うように漆黒の弾丸を放つ。貫かれた小鳥が息を飲むのと同時に、飛鳥が歌声を響かせた。
    「覚えてろよ!?」
     配下を全て灼滅されたシャドウがその姿を消していく。途端に静かになった部屋でギィが振り返って小由里を見る。
     どこか呆然としている小由里のそばに祇鶴が近寄る。
    「あなたが本当にするべきことは、指輪を探すことでは無い筈よ」
     その言葉に小由里は首を振る。見つけなければこの罪悪感は消えない。
     そんな小由里に祇鶴は首を振った。こんな状態の小由里が傍にいて、姉が幸せになれるとは思えない。
     なれるはずがない。それは小由里が間違っているからだ。
    「お姉さんは気にしない、と言ってくれてるのです」
     小鳥が気持ちを届けようと声を出す。ずっと小由里が気にしてしまっていたら、同じように姉も気にし続ける。
     謝って許してもらったのなら、お互いのために前に進むべきなのだ。罪滅ぼしをしたいのなら、姉のためになることをするべきだと小鳥は思う。
    「罪滅ぼしをするなら、お互い気持ちのいいことが一番です」
     にこっと笑った小鳥の柔和な表情に、小由里はふと肩の力を抜いていた。
    「お姉ちゃんもきっと自分の不注意で君が苦しんでること辛いと思ってるよ」
     自分の物をなくすより、大切な人の大事な物をなくすことのほうが辛いとわかっている飛鳥がそっと話しかける。そう、姉も辛いはずなのだ。
     小由里が辛いのと同じように。いつまでも小由里が塞ぎ込んでいたら、姉もつらい。
    「だからもう悩むのはこれっきりにしよ!」
     自分の思いだけに囚われて、姉が自分を見てどんな気持ちになるかなんて考えていなかった。小由里の瞳が潤んで見えるのは気のせいじゃないだろう。
    「お姉さんともう一度ちゃんと話し合ってみてはどうだろう?」
     話さないから伝わらないこと、わからないことがあると来栖は思う。そう、姉はもう気にしていないかもしれないのだ。
     話せばそれが小由里にもきっと伝わると思う。その言葉にギィも頷く。
     ちゃんと目を見て謝って、そして話し合う。
    「ありきたりなことっすけど、それが大事っす」
     ギィの言葉に頷いた小由里に、真弓がまず自分を許してあげられるようにと言葉を紡ぐ。
    「抱え込むだけではどうにもならない事もあるのですから……」
     唇をきゅっと結んだ小由里が無言で頷いた。目覚めたらきっと、また笑顔で姉と話せるようになるだろう。
    「さっさと目を覚ませ」
     同じ言葉をヴィルヘルムは小由里に言う。けれど、その言葉の響きは違うものだった。
     この夢を終わらせて、姉と話すために目を覚ませと……。

    作者:奏蛍 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年11月20日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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