我こそは怒りの鉄槌!

    作者:幾夜緋琉

    ●我こそは怒りの鉄槌!
     ……とあるリングで行われていた、格闘技大会。
     プロレス……と言うよりは、多少エンターテイメント的な要素を多く含んだプロレス。
     ちょっとしたコント的な部分や、おどけた部分もあったりして……そんなプロレスだからこそ、プロレス会場には大人達だけでなく、子供、女性の人達も多い。
     ……そして、そんなプロレス興行が、ある程度中盤にさしかかった所……突如。
    『ははははは。ぬるい、手ぬるいぞっ! その程度の力では、観客も飽きてしまうというものだ!! とうっっ!』
    「な、なんだお前は!?」
    『お前に名乗る名は無いっ。さぁ……いくのだっ!』
    『オーー!』
    「お、おい……う、うわぁああ!」
     話を聞くこと無く、マスクを被ったマスクレスラーが、リングポストにから飛び降りる。
     打ち合わせになかった事に、慌てる彼ら……しかし、彼らは全く以て意に介さずに、プロレスラー達をばったばったと倒して行く。
     それに……今迄に無い展開で、興奮する観客達。
     そしてボロボロにした後で、彼らは。
    『ふははは。面白い! 次の機会を待っているぞ!』
     と、しゅたっと去って行くのであった。
     
    「さて……と、皆やってきたな? それじゃ説明を始めるぜ!」
     神崎・ヤマトは、集まった灼滅者達に微笑むと、早速だが説明を始める。
    「最近、ケツァールマスクという幹部級のアンブレイカブルと、配下のレスラーアンブレイカブルが、格闘技の高いに出てきて、その場を荒らしまくって帰っていく……という事件が起きているのは皆も知っているか? 今回の事件も、その一つだ」
    「ケツァールマスクとその配下達は、悪役風の衣装に身を包んではいるものの、ギブアップした者を攻撃する事は無いので、死者は出ていない。しかしながら、アンブレイカブルにこてんぱんに倒された事で心が折れてしまい、武道の道を諦めてしまうものが多数出てしまっているんだ」
    「今回の、アンブレイカブルがターゲットにしたのは、エンタメ性が高いプロレス団体だから、正道の武道とはちょっと話は違う所があるが……でも、彼らの一生を左右しかねない事件ではある。皆の力で、どうにか阻止為てきて欲しいんだ」
    「ちなみにアンブレイカブルレスラーの戦闘能力だが……プロレスラー然はしているものの、攻撃手段はアンブレイカブルのサイキックが全開だ。基本は近接しての接近攻撃、投げ技などが多い」
    「又、彼らは目立とうという意識が高い様で、派手な技……ジャーマンスープレックスのような技を使用してくる機会が多い様だ。攻撃力もそれ相応に高く、中々危険な一撃……となる可能性はある。幸いなのはたった一人だけ……という所だろう」
    「また、元凶と言うべくか……ケツァールマスクは戦闘には参加しないで、配下の戦闘を見守っている様だ。しかしながら、観客に気概を与えるような行為や、ぎぶあっぷしたものに攻撃を加える行為、そして地味すぎて試合が面白くなくなったときには、介入してくる事があるみたいだな」
    「逆に介入させない様、彼らを楽しませるような戦闘を行えば、彼らは一般人に気概を加えることは無い。逆に介入してきた場合は……かなり強力な敵故に、勝利も難しい事だろう」
    「幸いにアンブレイカブルレスラーを倒せば、ケツァールマスクは勝利者を称えて去って行くので、アンブレイカブルマスクを倒す事に集中して欲しい」
     そして、最後にヤマトは。
    「例え試合に負けたとしても、満足すればケツァールマスクと配下のアンブレイカブルは満足し、去って行く。試合の勝敗よりも、いかに満足させるかが重要となる。そして満足させるには、プロレス的に試合を盛り上げる様な事が効果的だろう。つまらない試合をスル事で、ケツァールマスクが介入してきたら、大惨事になりかねないからな……宜しく頼むぜ」
     と告げて、送り出すのであった。


    参加者
    媛神・まほろ(夢見鳥の唄・d01074)
    刀牙・龍輝(蒼穹の剣闘志・d04546)
    神代・煉(紅と黒の境界を揺蕩うモノ・d04756)
    神護・朝陽(ドリームクラッシャー・d05560)
    銀・紫桜里(桜華剣征・d07253)
    嶋田・絹代(どうでもいい謎・d14475)
    山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)
    天草・水面(神魔調伏・d19614)

    ■リプレイ

    ●我こそは!
     ヤマトに話を聞いた灼滅者達。
     とあるプロレス団体の興行が行われるリングにケツァールマスクが現れ、思うがままに暴れ回ろうとする事件……そんな事件を解決するが為に、灼滅者達は夕暮れの興業会場へと向かっていた。
    「しかし……プロレスですか……」
    「ええ、プロレスですね。でも……正直プロレスのルールとか良く判って無いんですけど、とりあえず3カウント取れれば良いんですよね?」
    「多分……問題無いと思いますけれど、私も良く判りませんね……」
     媛神・まほろ(夢見鳥の唄・d01074)、銀・紫桜里(桜華剣征・d07253)の会話。
     特に今回のポイントとなっているのは、プロレスのルールに乗っ取り、ケツァールマスクを楽しませる必要がある、という事。
     逆にケツァールマスクを楽しませなければ……彼女自身が参戦してしまう。そして参戦すれば……かなりの不利な状況に陥る事だろう。
    「んー……余りむずかしく考えなくて良いと思うよ? だって、プロレスで楽しませれば良いんだし、プロレスと言えばとにかく派手に動いて戦えばいいんじゃないかな?? だって、最強の肉弾戦でしょ?」
    「いーや、プロレスよりカポエイラじゃい! 最強の格闘技はカポエイラに決まりじゃろがい!!」
    「あはは……そうかもね」
     刀牙・龍輝(蒼穹の剣闘志・d04546)に、嶋田・絹代(どうでもいい謎・d14475)がカポエイラ最強説を唱え、苦笑する。
     そんな二人の言葉を聞きながら、山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)は。
    (「……うーん……わからないですね。プロレスのマンガを読んだりして勉強してきたけど……これみたいに、格好良く試合出来るのかなぁ……」)
     勿論マンガのプロレスは、超人戦とか生身の人間が出来る者では無いのも多い訳で……不安に思うのも仕方ない。
     そして不安に思う仲間達に対して、神護・朝陽(ドリームクラッシャー・d05560)、神代・煉(紅と黒の境界を揺蕩うモノ・d04756)が。
    「ま、何にせよプロレスといっても、ケツァールマスクを楽しませる必要がある訳だ。となれば……楽しんだもん勝ちだから、思いっきりやっちゃおうよ」
    「そうだな。なんせこんな強敵と、こうしてぶつかれるんだ。不謹慎かもしれないが……俺自身も楽しくて仕方が無いぞ!!」
     煉の笑みは、まさしく戦う者の笑み……そして、灼滅者達は興業会場へと到着。
    「よーし。それじゃ行くッスよ。イベントの進行はオラが取り仕切らせて貰うッス。こっちは人数多いッスし、同じリングに何人も居たんじゃ、お客さんからも見え辛いッスからね!」
    「ああ、宜しく頼むぜぃ!」
     天草・水面(神魔調伏・d19614)に絹代が頷き、そして灼滅者達は、興業会場の中へと急ぐのであった。

    ●怒りの四戦
     そして……灼滅者達が興業会場へと足を踏み入れた……ちょうどその時。
     会場は丁度イベント最高潮……ポールの上に立って咆哮を上げるレスラーに、観客達がおおおお、と手を上げて反応を返している。
     観客らは、正しくこのプロレスを楽しんでいる……多少お遊び的な要素も交えてはいるが、でもプロレス自体は真剣勝負。
     ……と、そんな所に。
    『ふははは、ぬるい、ぬるいぞっ。手ぬるいっ!! そんなものでは、観客も飽きてしまうというものだ、とうっ!!』
     リングポールではなく……客席の一角に立つアマゾネススタイルの覆面レスラー。
     その言葉と共に、大きくジャンプ……観客席を飛び越えて、くるくる身体を回転させてリングに立つ。
    『な、なんだお前、しらねー顔だな!?』
    『おい、お前俺達の団員じゃねーだろ?』
    『団員!? そんなの知るかってんだな! さーさー、いくのだ!!』
    『オーーー!!』
     威声と共に、逆サイドの所からクルクルジャンプ、そして……リングに立つなり、リング上に立っていたプロレスラーを一人、また一人、とばったばったと倒して行く。
     正しく桁違いの能力……いや、鍛えているとは言え、一般人とダークネスの間には、歴然たる力差がある訳で仕方ない。
     ……とは言え、それではケツァールマスクを楽しませることは出来ない……全員が倒れてしまい、ケツァールマスクは。
    『なんだ? その程度かおまえら? つまらん……まったくもってつまらないじゃないか!!』
     ……と、その言葉を声高らかに告げる……突然の状況に、呆気にとられている観客達……と、その瞬間。
    「ケツァールマスクよ、確かに今の戦いではつまらないかもしれない。しかし……私達には、もっと強い者の用意がある! 勝負しないか!」
     会場に響き渡るアナウンス。
     ケツァールマスクが周りを確認……リングサイドアナウンスのマイクを奪取し、挑発の言葉を告げる水面。
     そしてケツァールマスクは、くすりと笑みを浮かべて。
    『ほぅ……面白そうではないか。その話、乗った!!』
    「感謝する。よーし、それじゃ勝負は変則タッグマッチ1対2の三本勝負! さぁ一組目、出てこいやぁぁ!!」
     水面のリングアナウンスに促されると。
    「先ずは僕達が相手だ! 僕達の実力を見て貰おうか!」
     と言う言葉と共に、ブゥゥン、と言うバイクの音が会場内に響き渡る。
     そして響き渡ると共に、リングインの花道には一台のバイク……龍輝のライドキャリバー、天駆の音。
     リングサイドを白煙を上げながら一周回り、そしてリングへとしゅたっ、と着地。
     また、逆側からもう一人……バク宙でくるくると回転しながらリングへ降り立つ絹代。
     真ん中に立つ、ケツァールマスクの配下の男を左右に立ち塞がるようにして。
    「さぁ、先ずはほんの小手調べ。ここは鋼鉄のバイク乗り、アイアン・ライダーがいくよ!」
     龍輝が言うと共に、絹代が合わせてその場に鏖殺領域を展開。
     そして龍輝が配下に接近すると、拳に力を込めての鋼鉄拳。
     合わせ絹代が側転、ジンガの動きで、彼を挑発。
     ……とはいえ、流石にアンブレイカブルの力を持った彼は、中々の力を持っている。その一撃に対して、強靱な身体でもって受け止める。
     そして……反撃のターン。
     彼は、その拳をぐっと握りしめて、龍輝の身体へと組み掛かり、そして身体を押し倒そうとする……が、ぐっとふんばる。
    「……っ、負けないよ!」
     龍輝はニヤリと笑みを浮かべると……次のターン。
     今度はナックルアローばりに抗雷撃を身体に穿つと、更に絹代が。
    「ああ。地を駆る猫の如く、飛びかかる事狼の如し。誰かの言葉ってわけでもねぇけどな!」
     威勢良い言葉と共に、手刀と蹴りを組み合わせた黒死斬を一閃。
     二人が連続攻撃するも……中々効率的なダメージには至らない。
     逆に配下の攻撃は、掴みかかり……そして、投げ穿とうとし続ける……そして、次の攻撃で、龍輝の身体をロープへと投げ放つ。
     だが、ロープの反動を使い、その勢いを殺す事なく……ジャンプ。
     上空に飛ぶと共に。
    「ジャンピング・アイアンパーンチ!!」
     と、上からの鋼鉄拳、バックステップする所に、更に絹代が逆立ち回転斬りで攻め込んでいく。
    『……っ!!』
     僅かに唇を噛みしめた彼。そして続けて今度は、絹代へ。
     大きく両手を広げ……タックル的な攻撃。
     流石にその一撃は、かなりのダメージ。
     更に数ターンが経過……二人の疲弊がかなりの状況になると、視線で合図。
     ……ケツァールマスクは、その戦闘にわくわくといった表情を浮かべている……楽しめては居る模様だ。
    「時間いっぱい、そこまでー! さー、続けていくぜぃー!」
     龍輝、絹代の退場を促すと共に、続く二人が登場……リングサイドに控えていた紫桜里、煉がリングへと上がると。
    「続けてはオレ達が相手するぜ? さぁ、息の合ったコンビネーション攻撃を食らってみろ!」
     と煉の言葉に紫桜里が頷き、そして煉が動く。
     接近しては、彼にラリアットを喰らわす様に、黒死斬やサイキック斬りの攻撃を決めていく。
     そしてその一撃を決める中、紫桜里は一歩後方から光刃放出で遠隔から服破りの攻撃でバッドステータスを付与。
     数ターン掛けて、確実なバッドステータス付与する。
    『ウゥ……!』
     と、アンブレイカブルの言葉に、ケツァールマスクは。
    『ほら、もっと頑張りなさいよ!!』
     とハッパを掛ける。それにウガァァ、と唸り声を上げながら、強靱な身体を基にし、投げ掛かったり、体当たりで攻撃したり。
     ……バッドステータスが蓄積し、動きが制限され始めれば、更に紫桜里がコーナーポストのトップへと昇り……。
    「ルナティック・ダイブッ!!」
     と、ムーンサルトダイブでダイビング攻撃。
     頭上から、彼の身体は一旦下敷きに……でも。
    『ガアアア!!』
     すぐにその身体を起こす……そして紫桜里の足を掴んで、ジャーマンスープレックス。
     床に身体がたたき付けられ、思うように身体が動かない……流石、強靱なアンブレイカブル。
     そこにカンカンカン、とリングゴングを鳴らし。
    「続けての相手よ、でてこーいやぁ!」
     と水面のアナウンスに従い、まほろ、朝陽が花道からの入場。
     花道サイドに居る観客、手を差し出すものに対しては手を叩きながら入場する。
     でも、盛り上がりに物足りなくて、皆に。
    「ほらほら、おめーら声を出せ。応えてやるからよ!!」
     朝陽がそう顧客を煽ると、顧客はおおお、と声を上げる。
     そしてリングに上がる所で……まほろはプリンセスモードを使用。
     和装の柄が豪華になり、観客が目を奪われると共に……。
    「宜しければ私達とお相手願えませんか? 腕には自信があります故、楽しんで頂けるかと思いますよ?」
     何処か余裕を持った笑み……その笑みに対して、ケツァールマスクはくくく、と含み笑い。
    『大した自信だねぇ……面白いじゃないか』
     その口調の端には、この戦いを楽しんでいるであろう感じが取れる……そしてまほろ、朝陽とのタッグターン。
     朝陽が彼の真っ正面から接近するのに対し、まほろはバックサイド。
     前後から、繰り出されるラッシュ……対しての彼の攻撃を、ノーガードで受ける朝陽。
     正しく肉弾戦……プロレスの真骨頂と言った試合を行う朝陽に、観客達は一層盛り上がっていく。
     そんな観客の盛り上がりに、ケツァールマスクも。
    『おお、楽しい、楽しいぞ! これこそがプロレス! これこそが……試合!!』
     そんな言葉を何度も、何度も満足気に話す……そしてそれを間近に見て、効いていた水面は、視線で透流に合図を送り、彼女は一旦姿を消す。
     ……そしてリング上の戦闘は、タッグバトルが続く……1対2という戦力差こそあれ、互角以上の戦闘が繰り広げられる。
     ダークネスの身体からは、蓄積したダメージに血が滲む……でも、決して引き下がりはしない。
     いや……むしろ、灼滅者らとの戦いを、楽しんでいるかの如く、嬉々として拳を振り回している。
     ……そして。
    「まほろちゃん!」
     朝陽の言葉にこくりと頷くまほろ……そして僅かにふらついた彼をぐっと掴みかかり、そして……彼の身体をロープサイドへ投げる。
     ロープの反動で身体が戻ってくるところに、まほろ、朝陽が。
    「さぁいくぜ!」
    「ええ!」
     二人、息を合わせたダブル鬼神変。
     バタン、とその身体がリングに沈む……カウント1、2……どうにか踏みとどまる。
    『ほら、どうした!? もっとやれるだろう!?』
     とケツァールマスクの言葉に、こくりと頷く配下……そして……。
    「三回戦終了……これで終わりと思ったら大間違い! 最後の相手は我々だ! さぁ出番だ、マスクドォォォ! トールゥゥゥゥウウ!!」
     一層声を張り上げた水面のリングコール……それに透流が巨大な丸太を怪力無双を使い、登場。
     そしてチェーンソー剣で、爆音に似たうなりを響かせながら丸太を切断、パワフルアピール。
    「手ぬるいなどと言っていたな? でも手ぬるいなんて言葉は武蔵坂の雷神、このマスクド・トールを倒してからにしてもらおうか!!」
    「そうだ。そしてそのペアはこのおら……雷飛刃具・狙流蛇亜だ!」
     水面も……その場にガトリング連射をして自己アピール。
     ……そんな二人のアピールに、手を叩いて上機嫌なケツァールマスク。
    『ほう、ラスボスの登場って訳か! 面白い、中々趣向があるねぇ!!』
     大満足……そして……水面、透流がリングに上がると、相互合図を取り合い……スタートするなり、前後から挟み込むようにして。
    「いくぞ……ダブルゴッドラリアット!」
     首を挟み込むような、ダブルラリアット……げふっ、と苦悶の表情になる彼。
    「続くぜ、ジャイアントトール・スイング!!」
     更に続けて、ふらついている所に透流を……まるで巨大なハンマーの様に見立てての、振り回し攻撃。
     ……透流自身のダメージも多い気がするけれど、それは気にしないことにする。
     ……そして、透流が今度は敵を逆さまに持ち上げ、その頭を両膝でがっちりと締め上げ……ツームストンパイルドライバー。
     頭に大ダメージを与えるその攻撃は……配下に強烈なダメージ。
     そして……配下がぐふっ、と断末魔の声を上げると共に……灼滅されると。
    『おもしろい。面白かったぞ!! 満足だ。今日は帰らせて貰おう!!』
     高笑いを上げて去りゆくケツァールマスクなのであった。

    ●心おきなく
     そして興行会場を後にした灼滅者達。
     空はすっかり暗闇に落ちている……それ位、長時間戦っていたのだと思うと、疲れがどどっと出てきてしまう。
    「……ふぅ……どうやら、満足して帰ってもらえたみたいですね……まずは、一安心といった所でしょうか……」
    「そうだね……しかしながら強かった。1対8で、どうにか勝てた位だし。でもお互いにスッキリ、そして会場は満足してくれた。やっぱりみんなが楽しんでこそのプロレスリング、でしょってな」
     朝陽の言葉にそうですね、と微笑む紫桜里。
     そして絹代も。
    「まぁ、たまにはこんな汗臭い事も在りっすかねぇ……ずっとってのはいやなもんっすけど、惜しまずに全力を出し切れる戦いってのはいいもんっすね」
    「そうだね。まぁ……凄い疲れたけれどね」
     龍輝も苦笑。
     ともあれ、ケツァールマスクは満足してくれた……でも、いつかはケツァールマスク自身も倒さなければならない訳で。
    「何にせよ、今後もっと難しい戦いになる可能性もある。鍛錬を欠かすことは出来ないな」
    「ええ」
     煉に頷くまほろ。
     そして灼滅者達は、暗闇の中、思う存分、体を動かした疲れの中で、帰路へとつくのであった。

    作者:幾夜緋琉 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年11月27日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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